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特開2019-181041アクティブ磁気シールドシステムおよびそれを用いた心磁計システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-181041(P2019-181041A)
(43)【公開日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】アクティブ磁気シールドシステムおよびそれを用いた心磁計システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/05 20060101AFI20190927BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20190927BHJP
【FI】
   A61B5/05 A
   G01R33/02 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-78669(P2018-78669)
(22)【出願日】2018年4月16日
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 竜弥
(72)【発明者】
【氏名】宮下 豪
(72)【発明者】
【氏名】杉山 公一
【テーマコード(参考)】
2G017
4C127
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AA03
2G017AB02
2G017AC01
2G017AD32
4C127AA10
4C127CC02
(57)【要約】
【課題】システムの複雑化を抑制しつつ、シールド領域内の磁場変動をより確実に抑制することができるアクティブ磁気シールドシステムおよびそれを用いた心磁計システムを提供すること。
【解決手段】シールド領域10を囲むパッシブ磁気シールド1と、パッシブ磁気シールド1を囲むように設けられるシールドコイル3と、パッシブ磁気シールド1の外部に設けられて磁気を検出する磁気センサ7と、磁気センサ7を内包し、磁気センサ7とともに磁気センサユニット2を構成する補正用コイル6と、シールドコイル3への電流の通電によって生じる磁気の磁気センサ7への影響を補正用コイル6への電流の通電によって生じる磁気で抑制するように補正用コイル6への電流の通電を制御する制御装置4とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド領域を囲むパッシブ磁気シールドと、
前記パッシブ磁気シールドを囲むように設けられるシールドコイルと、
前記パッシブ磁気シールドの外部に設けられて磁気を検出する磁気センサと、
前記磁気センサを内包し、前記磁気センサとともに磁気センサユニットを構成する補正用コイルと、
前記シールドコイルへの電流の通電によって生じる磁気の前記磁気センサへの影響を前記補正用コイルへの電流の通電によって生じる磁気で抑制するように前記補正用コイルへの電流の通電を制御する制御装置と
を備えたことを特徴とするアクティブ磁気シールドシステム。
【請求項2】
請求項1記載のアクティブ磁気シールドシステムにおいて、
前記制御装置は、前記シールドコイルに電流が通電されて前記シールド領域に侵入する外部磁場および外部磁場変動が抑制された状態で前記磁気センサの検出結果が0となるように、前記補正用コイルに通電する電流を制御することを特徴とするアクティブ磁気シールドシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のアクティブ磁気シールドシステムにおいて、
前記補正用コイルは、前記磁気センサを挟んで対向するように配置された一対のコイルであり、
前記補正用コイルの一対のコイルの対向距離2bは、前記磁気センサに対して下記(式A)で表される磁場Bを生成するときに、下記(式B)を満たすことを特徴とするアクティブ磁気シールドシステム。
B=αc×I ・・・(式A)
b^2=(N×μ0×a^2/αc)^(2/3)−a^2 ・・・(式B)
ただし、上記(式A)及び(式B)において、αcは定数、Iは前記補正用コイルに通電される電流、Nは前記補正用コイルの一対のコイルのそれぞれの巻数、μ0は真空の透磁率、aは前記補正用コイルの半径である。
【請求項4】
請求項1に記載のアクティブ磁気シールドシステムにおいて、
前記補正用コイルは、前記磁気センサを挟んで対向距離aで対向するように配置された半径aの一対のコイルからなるヘルムホルツコイルであり、
前記補正用コイルの一対のコイルの半径a及び対向距離aは、前記磁気センサに対して下記(式C)で表される磁場Bを生成するときに、下記(式D)を満たすことを特徴とするアクティブ磁気シールドシステム。
B=αc×I ・・・(式C)
a=N×μ0×8/(5^(3/2)×αc) ・・・(式D)
ただし、上記(式C)及び(式D)において、αcは定数、Iは前記補正用コイルに通電される電流、Nは前記補正用コイルの一対のコイルのそれぞれの巻数、μ0は真空の透磁率である。
【請求項5】
請求項1に記載のアクティブ磁気シールドシステムにおいて、
前記補正用コイルは、前記磁気センサを内包して配置したソレノイド状のコイルであり、
前記補正用コイルの単位長さ当たりの巻数nは、前記磁気センサに対して下記(式E)で表される磁場Bを生成するときに、下記(式F)を満たすことを特徴とするアクティブ磁気シールドシステム。
B=αc×I ・・・(式E)
n=αc/μ0 ・・・(式F)
ただし、上記(式E)及び(式F)において、αcは定数、Iは前記補正用コイルに通電される電流、μ0は真空の透磁率である。
【請求項6】
請求項3又は4に記載のアクティブ磁気シールドシステムにおいて、
前記補正用コイルの一対のコイルの対向間隔を調整する間隔調整装置を備えたことを特徴とするアクティブ磁気シールドシステム。
【請求項7】
請求項5に記載のアクティブ磁気シールドシステムにおいて、
前記補正用コイルの全長を調整して単位長さ当たりの巻数nを調整する巻数調整装置を備えたことを特徴とするアクティブ磁気シールドシステム。
【請求項8】
請求項6に記載のアクティブ磁気シールドシステムにおいて、
前記間隔調整装置は、前記補正用コイルの対向間隔を一対のラックとピニオンギアによって調整することを特徴とするアクティブ磁気シールドシステム。
【請求項9】
請求項7に記載のアクティブ磁気シールドシステムにおいて、
前記巻数調整装置は、前記補正用コイルの全長を一対のラックとピニオンギアによって調整することを特徴とするアクティブ磁気シールドシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のアクティブ磁気シールドシステムにおいて、
前記シールドコイルと前記補正用コイルは電気的に直列に接続されていることを特徴とするアクティブ磁気シールドシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のアクティブ磁気シールドシステムにおいて、
前記制御装置からの制御信号に基づいて、前記シールドコイルと前記補正用コイルとにそれぞれ異なる電流を流すことができる電流源を備えたことを特徴とするアクティブ磁気シールドシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のアクティブ磁気シールドシステムと、
前記アクティブ磁気シールドシステムの前記シールド領域に配置された心磁計と
を備えたことを特徴とする心磁計システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブ磁気シールドシステムおよびそれを用いた心磁計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
外部からの磁場侵入やその変動に影響を受けやすい装置には、例えば、SQUID(Superconducting Quantum Interference Device:超伝導量子干渉計)センサをアレイ状に配置して心臓磁気を計測する心磁計や脳磁気を計測する脳磁計などの生体磁気測定装置などの他に、超電導コンピュータ、電子ビームを用いる顕微鏡や露光装置などがあり、これらの装置は配置される環境の磁場変動(以降、外部磁場変動と称する)によって動作に悪影響を受けてしまう。例えば、心磁計においては、心臓磁気としてpT(ピコテスラ、10の−12乗テスラ)オーダーの極めて微弱な磁場変化を計測するため、心磁計が配置された空間にこのオーダーの外部磁場変動が存在するだけで、計測結果のS/N比が大幅に悪化し、計測が成り立たなくなってしまう。そこで、心磁計のように外部磁場変動から悪影響を受けてしまうような装置を、その外部磁場変動による悪影響を取り除くための磁気シールドシステム内に配置して運用することが考えられる。
【0003】
磁気シールドに係る従来技術として、例えば、特許文献1には、強磁性体よりなる磁気遮蔽体に外部磁界が印加されたとき、前記磁気遮蔽体の外部で、前記外部磁界と前記磁気遮蔽体の磁化による磁界との合成磁界を検出し得る位置に設置された、一方向のみの磁界の大きさを検出する磁気センサと、前記磁気遮蔽体に磁界を印加するように設けられたコイルと、前記コイルに電流を流さないときときの前記磁気遮蔽体の遮蔽度に比して、より高い遮蔽度を有するように増幅度と位相が設定された、前記磁気センサの出力を増幅し、電流に変換して前記コイルに流す制御ユニット、を備えたアクティブシールド装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、磁気シールドが必要とされる所定領域に対し、外界からの磁気変動を減衰し、アクティブに磁気シールドを行なうための磁気シールド装置であって、磁気変動量を測定するための磁気センサ群と、その各磁気センサ毎に対応して設けられ、それぞれ、独立に、磁気センサ配設箇所に磁界をかけるための電磁コイル群と、各磁気センサとこれに対応して設けられた電磁コイル毎に、これらを関連つけて制御するコントローラ群とを備え、前記各磁気センサによる測定で得られた磁気変動量をもとに、それぞれ、独立に、各磁気センサ配設箇所に磁気変動を相殺する方向に磁界をかけて、電磁コイル群で囲まれた空間を磁気シールド空間として形成して、該磁気シールド空間内に前記所定領域を配するもので、少なくとも、前記磁気シールド空間の所定方向の前記所定領域を挟む2箇所と、その磁気シールド空間内の前記2箇所の間の位置に、それぞれ、前記所定方向に沿う磁気変動量を測定するように磁気センサを設け、且つ、各磁気センサ位置において測定された前記所定方向に沿う磁気変動量を相殺するように、各磁気センサ位置において前記所定方向に沿い磁界をかける電磁コイルを配置していることを特徴とするアクティブ磁気シールド装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、内部空間および少なくとも1つの開口部を有するパッシブシールドと、前記開口部付近における磁場を補正する第1コイルと、前記内部空間において磁場を補正する第2コイルと、前記第1コイルを駆動する第1駆動回路と、前記第2コイルを駆動する第2駆動回路とを有する磁気シールド装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−094280号公報
【0007】
【特許文献2】特開2003−167038号公報
【0008】
【特許文献3】特開2014−060270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
磁気シールドには、パッシブ磁気シールドと呼ばれる方式のものとアクティブ磁気シールドと呼ばれる方式のものがある。
【0010】
例えば、パッシブ磁気シールドでは、外部磁場変動による装置への悪影響を取り除いたり緩和したりするために、外部磁場変動により悪影響を受ける可能性のある装置を配置した空間を強磁性体や電気良導体、あるいはその両方によって囲み、その空間(以降、シールド領域と称する)内への外部磁場および外部磁場変動の影響を遮蔽する。ただし、パッシブ磁気シールドで心磁計のようなpTオーダーの微弱な外部磁場変動の緩和・遮断が要求される状況に対応するには、必要な強磁性体や電気良導体の物量が膨大になることが予想され、また、その結果として装置を配置できるシールド領域がきわめて狭くなることも考えられる。
【0011】
そこで、アクティブ磁気シールドでは、パッシブ磁気シールドで抑制しきれない外部磁場および外部磁場変動を打ち消す(緩和・遮断する)ように、シールド領域の周囲にコイルを配置し、シールド領域に侵入する外部磁場の計測値に基づいてコイルの通電電流を決定して通電することにより外部磁場および外部磁場変動を抑制しており、例えば、上記の特許文献1〜3に記載の従来技術などが挙げられる。
【0012】
特許文献1〜3においては、アクティブ磁気シールド方式として、磁気センサによって得られた信号から、シールド領域に侵入する外部磁場および外部磁場変動を抑制するためのコイル通電電流を決定、通電する方法を採用している。
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術においては、磁気センサによって得られる信号は外部磁場の大きさによって変わり、かつ、磁気センサはパッシブ磁気シールド付近に設置されているために外部磁場のみならずパッシブ磁気シールドの磁化とアクティブ磁気シールドのコイルから生じる磁場の合成磁場を計測してしまう。したがって、その磁気センサの出力値からでは、シールド領域に侵入する外部磁場を最小にするためのコイル電流値が一意に決まらないという問題がある。
【0014】
また、特許文献2に記載の従来技術においては、磁場勾配を計測するためのセンサとそれを打ち消すためのコイルとを追加することにより、例えば、特許文献1における問題を緩和している。しかしながら、この従来技術では、文字通り、センサ数とコイル数、さらに、これらを駆動するための回路が増加してしまい、磁気シールドのシステム構成が複雑化してしまう。
【0015】
また、特許文献3に記載の従来技術においては、磁気センサをシールド領域内に配置する必要があるが、例えば、pTオーダーの微弱な磁場変化を計測する必要のある心磁計に適用する場合には、磁気センサ自体がノイズ源となってしまい、磁気計測に悪影響を与えてしまうため、このような構成を採用することができないという問題がある。
【0016】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、システムの複雑化を抑制しつつ、シールド領域内の磁場変動をより確実に抑制することができるアクティブ磁気シールドシステムおよびそれを用いた心磁計システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、シールド領域を囲むパッシブ磁気シールドと、前記パッシブ磁気シールドを囲むように設けられるシールドコイルと、前記パッシブ磁気シールドの外部に設けられて磁気を検出する磁気センサと、前記磁気センサを内包し、前記磁気センサとともに磁気センサユニットを構成する補正用コイルと、前記シールドコイルへの電流の通電によって生じる磁気の前記磁気センサへの影響を前記補正用コイルへの電流の通電によって生じる磁気で抑制するように前記補正用コイルへの電流の通電を制御する制御装置とを備えたものとする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、システムの複雑化を抑制しつつ、シールド領域内の磁場変動をより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態に係るアクティブ磁気シールドシステムの全体構成を概略的に示す図である。
図2】第1の実施の形態に係るシールド領域に対するアクティブ磁気シールドシステムの各構成の位置関係を模式的に示す図である。
図3】第1の実施の形態に係る磁気センサユニットを抜き出して示す図である。
図4】第1の実施の形態に係る磁気センサユニットの間隔調整装置を示す図である。
図5】第2の実施の形態に係る磁気センサユニットを抜き出して示す図である。
図6】第2の実施の形態に係る磁気センサユニットの巻数調整装置を示す図である。
図7】第3の実施の形態に係るアクティブ磁気シールドシステムの全体構成を概略的に示す図である。
図8】第4の実施の形態に係る心磁計システムにおいて、シールド領域に対するアクティブ磁気シールドシステムの各構成の位置関係を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、同一の構成要素が複数存在する場合、符号(数字)の末尾に異なるアルファベットを付して区別すことがあるが、当該アルファベットを省略して当該複数の構成要素をまとめて表記することがある。例えば、3つの磁気センサ7x,7y,7zが存在するとき、これらをまとめて磁気センサ7と表記することがある。
【0021】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1図4を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係るアクティブ磁気シールドシステムの全体構成を概略的に示す図である。また、図2は、シールド領域に対するアクティブ磁気シールドシステムの各構成の位置関係を模式的に示す図である。図2においては、紙面の右方向にx軸、上方向にz軸、斜め右上方向にy軸を定めたxyz座標系を定義する。
【0023】
図1及び図2において、アクティブ磁気シールドシステム100は、シールド対象物を配置するシールド領域10を内包し、例えば、各辺がそれぞれx軸、y軸、z軸の何れかと並行になるように配置された略六面体形状のパッシブ磁気シールド1と、パッシブ磁気シールド1のx軸方向、y軸方向、z軸方向においてそれぞれ対向する一対の面の何れか一方の面の近傍のシールド領域10の外側に配置された磁気センサユニット2(2x,2y,2z)と、パッシブ磁気シールド1のx軸方向、y軸方向、z軸方向の外側の近傍にそれぞれパッシブ磁気シールド1を挟んで配置された2つで一対のコイルから成るシールドコイル3(3x,3y,3z)と、磁気センサユニット2で検出された磁場強度に基づいて電流指令値を生成する制御装置4と、制御装置4からの電流指令値に基づいて磁気センサユニット2及びシールドコイル3に電流を出力する電流源5とから概略構成されている。
【0024】
パッシブ磁気シールド1の内部に画定されるシールド領域10は、外部磁場や外部磁場変動に影響を受けやすい、例えば心磁計などの装置類がシールド対象物として収容される領域である。
【0025】
パッシブ磁気シールド1の具体的構造には種々のものが考えられるが、本実施の形態では、略六面体の形状をもち、各面に強磁性体(たとえばパーマロイ)や電気良導体(たとえばアルミ板)が少なくとも1層配置され、それぞれの面の間が磁気的および電気的に結合されたものを例示して説明する。パッシブ磁気シールド1は、図2に示すような略六面体形状である必要はなく、六面以上であっても以下であっても、パッシブ磁気シールド効果が得られればよいことは明らかであるが、本実施例では、説明の簡単のために略六面体形状を例示している。なお、パッシブ磁気シールド1には、出入りのために扉(すなわち、シールド対象物の搬入・搬出のための扉)が設けられるし、各種の配線や換気などを目的に、扉以外にもパッシブ磁気シールド1内外を貫通する穴が設けられる(扉、穴ともに図示しない)が、これらの開口は外部磁場および外部磁場変動がパッシブ磁気シールド1内に侵入する原因となりうる。
【0026】
磁気センサユニット2は、パッシブ磁気シールド1の各軸方向の一方の面、すなわち、x軸、y軸、z軸それぞれの方向の一対の面のうちのいずれか一方の面の近傍であって、かつ、パッシブ磁気シールド1の外側に配置されている。なお、機能の面のみを考慮した場合には、磁気センサユニット2は、必ずしもパッシブ磁気シールド1の各面の近傍に配置する必要は無い。しかしながら、磁気センサユニット2をパッシブ磁気シールド1の各面から遠方に配置すると、アクティブ磁気シールドシステム100全体の寸法が大きくなり設置の制約となるため、これを避けるために、磁気センサユニット2を各面の近傍に配置することが望ましい。さらに、パッシブ磁気シールド1の内部に磁気センサユニット2を配置するとシールド対象物に悪影響を与える恐れがあることから外側に配置している。
【0027】
シールドコイル3は、パッシブ磁気シールド1の各軸方向、すなわち、x軸、y軸、z軸方向の外部磁場および外部磁場変動を抑制するためのものであり、パッシブ磁気シールド1の外側の各面の近傍に配置されている。シールドコイル3は、パッシブ磁気シールド1のx軸方向、y軸方向、z軸方向の外側の近傍にそれぞれパッシブ磁気シールド1を挟んで配置された2つで一対のコイルから成っている。各軸方向のシールドコイル3は、それぞれ、一対のコイルが直列に、かつ、各軸に対して同一の周方向に電流が流れるよう接続されている。
【0028】
なお、本実施の形態において、シールドコイル3は、パッシブ磁気シールド1の各軸方向の両面にそれぞれコイルを配置した場合、すなわち、各軸方向に対応するシールドコイル3(3x,3y,3z)がそれぞれ2つのコイルからなる場合を例示して説明するが、1つ以上のコイルから構成されていればよく、パッシブ磁気シールド1の各軸方向の一方の面にのみ対応してコイルを配置する場合(すなわち、各軸方向に1つのコイルを配置する場合)や、各軸方向に3つ以上の複数のコイルを配置する場合も考えられる。また、シールドコイル3は、アクティブ磁気シールドシステム100全体の設置寸法やシールド対象物への影響を考慮して磁気センサユニット2と同様にパッシブ磁気シールド1の近傍かつ外側に配置している。
【0029】
磁気センサユニット2の補正用コイル6は、シールドコイル3と直列に接続されており、本実施の形態ではそれぞれが逆向きの電流を流すように結線されている場合を例示している。なお、補正用コイル6とシールドコイル3との結線の向きは体系によって異なり、適切な結線の向きの決め方については後述する。
【0030】
図3は、磁気センサユニットを抜き出して示す図である。また、図4は、磁気センサユニットの間隔調整装置を示す図である。
【0031】
図3及び図4において、磁気センサユニット2は、磁気を検出して検出結果(磁場強度)を制御装置4に出力する磁気センサ7と、磁気センサ7を挟んで同軸状に対向するように配置された一対のコイルで構成された補正用コイル6とで構成されている。磁気センサ7は、補正用コイル6の対向する2つのコイルの略幾何中心、すなわち、2つのコイルの略中間位置の中心軸上に配置されており、補正用コイル6に内包されている。磁気センサユニット2は、補正用コイル6の2つのコイル間の距離(対向間隔)を調整する間隔調整装置11を有している。補正用コイル6は、一対のコイルが直列に、かつ、各軸に対して同一の周方向に電流が流れるよう接続されている。磁気センサ7は、微弱な磁場変化を捉えることを目的とするセンサであり、例えば、フラックスゲートセンサなどが好適である。
【0032】
補正用コイル6の一対のコイルの対向距離2bは、磁気センサ7に対して下記の(式1)で表される磁場Bを生成するときに、下記の(式2)を満たすように設定される。
【0033】
B=αc×I ・・・(式1)
b^2=(N×μ0×a^2/αc)^(2/3)−a^2 ・・・(式2)
ただし、上記の(式1)及び(式2)において、αcは定数(後述)、Iは補正用コイル6に通電される電流、Nは補正用コイル6の一対のコイルのそれぞれの巻数、μ0は真空の透磁率、aは補正用コイル6の半径である。
【0034】
図4において、間隔調整装置11は、並行に配置された一対のラック8と、2つのラック8の間に配置されたピニオンギア9とから構成されている。なお、本実施の形態では一対のラック8が上下に配置されている場合を例示して説明するがこれに限られない。間隔調整装置11では、ラック8の歯とピニオンギア9の歯とが噛み合うように配置されており、中心を固定されたピニオンギア9を介して上下のラック8が並行を保ったまま、ラック8に沿う方向に互いに逆方向に駆動される。2つのラック8には、補正用コイル6の2つのコイルがそれぞれ1つずつ固定されており、間隔調整装置11によって2つのコイルの間隔が調整可能となっている。ラック8の駆動方向と補正用コイル6の2つのコイルの中心軸の方向が同じ方向となるよう配置されるとともに、補正用コイル6の幾何中心に磁気センサ7が所定の方法で固定されている。このような構成により、間隔調整装置11は、補正用コイル6の2つのコイルが同軸上に配置された状態、かつ、磁気センサ7が幾何中心に配置された状態を保ちつつ、補正用コイル6の2つのコイルの対向距離2bを調整することが可能である。
【0035】
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
【0036】
本実施の形態のアクティブ磁気シールドシステムにおいては、外部磁場が侵入、あるいは変動すると、磁気センサ7がその磁場を検出する。ただし、磁気センサ7は、磁気センサユニット2としてパッシブ磁気シールド1の近傍に配置されるため、外部磁場のみならず、パッシブ磁気シールド1の磁化やうず電流がつくる磁場、シールドコイル3および補正用コイル6が発生する磁場も同時に計測することに留意する必要がある。
【0037】
磁気センサ7により検出された磁場強度の変動情報は、制御装置4に入力される。制御装置4は、シールドコイル3および補正用コイル6に通電することで、シールドコイル3および補正用コイル6がつくる磁場、および、これにより変化するパッシブ磁気シールド1の磁化やうず電流がつくる磁場により、磁気センサ7の出力すなわち磁場の強度情報が規定の値になるように、電流源5に対し電流値を指令する。なお、本実施の形態では、上記の場合の磁気センサ7の出力(すなわち、磁場の強度情報)が0(ゼロ)となる場合を例示して説明する。なお、この際の制御装置4による制御は、例えば、PID制御を採用すればよい。
【0038】
電流源5は、制御装置4の指令に基づきシールドコイル3および補正用コイル6に対し通電する。このような制御を継続することにより、磁気センサ7の出力は常に0(ゼロ)に保たれる。
【0039】
本実施の形態に係るアクティブ磁気シールドシステム100を動作せない状態において、外部磁場変動にともなって磁気センサユニット2の位置で計測される磁場をB0、シールド領域10内のうち、外部磁場変動をとくに抑制させたい位置に侵入する磁場をB1とする。また、アクティブ磁気シールドシステム100を動作させたときに、外部磁場変動にともなって磁気センサ7で計測される磁場をBout、シールド領域10内のうち、外部磁場変動をとくに抑制させたい位置に侵入する磁場をBinとする。いま、パッシブ磁気シールド1のシールド性能が外部磁場の強度に対して変化しないとすると、シールドコイル3及び補正用コイル6に通電される電流Iに対して、下記の(式3)〜(式5)が成り立つ。
【0040】
Bout=B0+(α×I) ・・・(式3)
Bin=B1+(β×I) ・・・(式4)
B1=γ×B0 ・・・(式5)
ただし、上記(式3)〜(式5)において、α、β、γは体系によって決まる定数であり、好ましくは実測により得られる定数を用い、また、必要に応じて数値シミュレーション等で得られた定数を用いても良い。
【0041】
ここで、定数αは、シールドコイル3とパッシブ磁気シールド1が寄与する成分αb(定数)と、補正用コイル6が寄与する成分αc(定数)とに分解することができるため、下記の(式6)が成り立つ。
【0042】
α=αb+αc ・・・(式6)
本実施の形態に係るアクティブ磁気シールドシステム100では、磁気センサ7の出力が常に0(ゼロ)になるような制御を行うため、下記の(式7)が成り立つ。
【0043】
Bout=0 ・・・(式7)
このとき、シールド領域10内に侵入する外部磁場および外部磁場変動が抑制されていると言えるためには、上記の(式7)が成り立つと同時に下記の(式8)が成り立つ必要がある。
【0044】
Bin=0 ・・・(式8)
ここで、上記の(式1)〜(式7)を変形して整理すると、下記の(式9)が得られる。
【0045】
(αb+αc)×γ/β=1 ・・・(式9)
上記の(式9)からは、電流Iや磁場Bin,Bout,B0,B1に依存しない関係が成り立つことがわかる。また、上記の(式9)において、定数αb、γ、βはそれぞれ、アクティブ磁気シールドシステム100を構成する各機器の配置によって決まる値であり調整が難しいものの、定数αcは補正用コイル6のみの寸法の変更で簡単に調整できる。ここで、補正用コイル6に通電される電流Iにおいて、補正用コイル6が磁気センサ7につくる磁場Bは上記の(式1)によって表されるため、図3に示したように、補正用コイル6が巻数Nで半径aのコイルが対向距離2bで配置される構成であれば、上記の(式1)は下記の(式10)のように表すことができる。
【0046】
B=(N×μ0×a^2×I)/(a^2+b^2)^(3/2)
=αc×I ・・・(式10)
ここで、上記の(式1)、(式9)、及び(式10)を用いて距離bについて整理しなおすと、上記の(式2)を得ることができる。すなわち、上記の(式2)で決まる距離bを用いて、対向距離2bとなるように補正用コイル6を構成すれば、上記の(式7)が成り立つ条件下では(式8)が同時に成り立つといえる。つまり、このような条件を実現するために、図4に示した間隔調整装置11によって補正用コイル6の2つのコイルの対向距離を調整すればよい。
【0047】
なお、実際には、据付誤差や材料の不均一などによって、上記の(式10)が精密には成り立たないことが考えられるが、概ね(式10)が成り立ち、その近傍の値に最適な対向距離2bがあることが容易に推定できるため、微調整による最適な対向距離2bの設定が可能である。
【0048】
補正用コイル6とシールドコイル3との結線の向きは、上記の(式9)により決定されるαcの符号によって決定する。例えば、定数αc<0(ゼロ)である場合、すなわち、定数αcの符号が負である場合には、補正用コイル6とシールドコイル3に通電される電流によってそれぞれに形成される磁場の方向が互いに逆向きとなるように結線する。これは、例えば、図1で示すように補正用コイル6の結線部6bとシールドコイル3の結線部3bを結線することによって、通電時に補正用コイル6にはz軸正方向の磁場が形成され、シールドコイル3にはz軸負方向の磁場が形成される場合である。一方、定数αc>0(ゼロ)である場合、すなわち、定数αcの符号が正である場合には、上記の定数αc<0(ゼロ)である場合とは逆となり、補正用コイル6とシールドコイル3に通電される電流によってそれぞれに形成される磁場の方向が同じ向きとなるように結線する。これは、例えば、図1で示す補正用コイル6の結線部6aとシールドコイル3の結線部3bを結線することによって、通電時に補正用コイル6及びシールドコイル3にz軸負方向の磁場が形成される場合である。
【0049】
以上のように構成した本実施の形態においては、(1)磁気センサの配置(位置)によらず、磁気センサの出力を0にするように制御装置が前記シールドコイルを制御すればよく、(2)磁気センサの数は、磁場の向きあたり一つあれば構成され、(3)磁気センサはパッシブ磁気シールドの外側に配置することができる。すなわち、システムの複雑化を抑制しつつ、シールド領域内の磁場変動をより確実に抑制することができる。
【0050】
<第1の実施の形態の変形例>
本発明の第1の実施の形態の変形例について説明する。本変形例では、第1の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本変形例で用いる図面において第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0051】
第1の実施の形態では、補正用コイル6の半径aを固定とし、その際に最適な対向距離2bを上記の(式2)に従って決定する場合を例示したのに対し、本変形例では、補正用コイル6にヘルムホルツコイルを採用する場合を例示している。
【0052】
本変形例においては、補正用コイル6を、半径aであってかつ対向距離aであるような、いわゆるヘルムホルツコイルとして構成している。ヘルムホルツコイルは、その幾何中心に生成される磁場が略一様になるという特性を有しており、補正用コイル6の幾何中心に配置される磁気センサ7の位置での磁場が安定に生成されることが期待される。
【0053】
補正用コイル6をヘルムホルツコイルで構成する場合において、例えば、半径a、対向距離aのヘルムホルツコイルを考える場合、磁場Bを算出するための上記の(式10)は、下記の(式11)のように変形することができる。
【0054】
B=(4/5)^(3/2)×(N μ0 I)/a
=αc×I ・・・(式11)
上記の(式11)を半径aについて解くと、下記の(式12)が得られる。
【0055】
a = N μ0 8/(5^(3/2)×αc) ・・・(式12)
つまり、上記の(式12)によって決まる半径a、対向距離aをもつヘルムホルツコイルを補正用コイル6として用いれば、シールド領域10内に侵入する外部磁場および外部磁場変動を抑制することができる。なお、第1の実施の形態でも述べたように、実際には、据付誤差や材料の不均一などによって、上記の(式12)が精密には成り立たないことが考えられるが、概ね(式12)が成り立ち、その近傍の値に最適な対向距離aがあることが容易に推定できるため、微調整による最適な対向距離aの設定が可能である。
【0056】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0057】
以上のように構成した本変形例においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
また、補正用コイル6にヘルムホルツコイルを採用したことで、ヘルムホルツコイルの幾何中心に生成される磁場が略一様になるという特性により、補正用コイル6の幾何中心に配置される磁気センサ7の位置での磁場をより安定に生成することができる。
【0059】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図5及び図6を参照しつつ説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0060】
本実施の形態は、補正用コイル6にソレノイド状のコイルを採用する場合を例示するものである。
【0061】
図5は、本実施の形態に係る磁気センサユニットを抜き出して示す図である。また、図6は、本実施の形態に係る磁気センサユニットの間隔調整装置を示す図である。
【0062】
図5及び図6において、磁気センサユニット2Aは、磁気を検出して検出結果を制御装置4に出力する磁気センサ7と、磁気センサ7を内包するように配置されたソレノイド状のコイルで構成された補正用コイル6Aとで構成されている。磁気センサ7は、補正用コイル6Aの略幾何中心、すなわち、軸方向の略中間位置の中心軸上に配置されている。ソレノイドの内部では、第1の実施の形態の変形例で示したようなヘルムホルツコイルよりもさらに均一な磁場が形成され、補正用コイル6Aの幾何中心に配置される磁気センサ7の位置での磁場がさらに安定に生成されることが期待される。
【0063】
磁気センサユニット2Aは、補正用コイル6Aの軸方向の長さ(全長)を調整して単位長さ当たりの巻数nを調整する巻数調整装置11Aを有している。本実施の形態の補正用コイル6Aに採用するソレノイド内部に生成される磁場は、巻線の半径によらず、その単位あたりの巻数nのみにより決まる。したがって、磁場Bを算出するための上記の(式10)は下記の(式13)のように変形することができる。
【0064】
B=n×μ0×I=αc×I ・・・(式13)
したがって、最適な巻数nは、下記の(式14)のように算出される。
【0065】
n=αc/μ0 ・・・(式14)
つまり、上記の(式14)によって決まる単位長さあたりの巻数nをもつソレノイド状のコイルを補正用コイル6Aとして用いれば、シールド領域10内に侵入する外部磁場および外部磁場変動を抑制することができる。なお、第1の実施の形態でも述べたように、実際には、据付誤差や材料の不均一などによって、上記の(式14)が精密には成り立たないことが考えられるが、概ね(式14)が成り立ち、その近傍の値に最適な巻数nがあることが容易に推定できるため、微調整による最適な巻数nの設定が可能である。
【0066】
図6において、巻数調整装置11Aは、並行に配置された一対のラック8と、2つのラック8の間に配置されたピニオンギア9とから構成されている。なお、本実施の形態では一対のラック8が上下に配置されている場合を例示して説明するがこれに限られない。巻数調整装置11Aでは、ラック8の歯とピニオンギア9の歯とが噛み合うように配置されており、中心を固定されたピニオンギア9を介して上下のラック8が並行を保ったまま、ラック8に沿う方向に互いに逆方向に駆動される。2つのラック8には、補正用コイル6Aのソレノイド状のコイルの両端がそれぞれ固定されており、巻数調整装置11Aによってソレノイド状のコイルの長さ(全長)が調整可能となっている。ラック8の駆動方向と補正用コイル6Aのコイルの中心軸の方向が同じ方向となるよう配置されるとともに、補正用コイル6Aの幾何中心に磁気センサ7が所定の方法で固定されている。このような構成により、巻数調整装置11Aは、補正用コイル6Aのソレノイド状のコイルの幾何中心に磁気センサ7が配置された状態を保ちつつ、補正用コイル6Aの単位長さ当たりの巻数nを調整することが可能である。
【0067】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0068】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図7を参照しつつ説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0070】
本実施の形態は、電流源5として、シールドコイル3に電流を通電するための電流源5aと、補正用コイル6に電流を通電するための電流源5bとを備えた場合を例示するものである。
【0071】
図7は、本実施の形態に係るアクティブ磁気シールドシステムの全体構成を概略的に示す図である。
【0072】
図7において、アクティブ磁気シールドシステム100Bは、磁気センサユニット2(2x,2y,2z)、シールドコイル3(3x,3y,3z)、制御装置4、及び電流源5から概略構成されている。電流源5は、シールドコイル3に電流を通電するための電流源5aと、補正用コイル6に電流を通電するための電流源5bとから構成されている。電流源5a,5bは、制御装置4からそれぞれに出力される電流指令値に基づいて、シールドコイル3及び補正用コイル6に電流を通電する。すなわち、本実施の形態においては、シールドコイル3と補正用コイル6とは直列に結線されず別々に通電される。これにより、補正用コイル6には、シールドコイル3とは異なる電流を通電することが可能になり、補正用コイル6への通電電流の調整によって据付誤差や材料の不均一などによる誤差を調整することができる。
【0073】
なお、一般に、シールドコイル3と補正用コイル6とはそのインダクタンスが異なるから、本実施の形態のような構成をとった場合、制御装置4のゲインを大きくしすぎると、シールドコイル3と補正用コイル6との通電電流の応答が異なり、制御が安定しないことも考えられる。しかしながら、一般に、アクティブ磁気シールドシステムでは、パッシブ磁気シールド1でシールド性能が出にくい、すなわち、周波数の低い外部磁場変動の補正に対して有効であることを期待するので、大きなゲインをとる必要はないと考えられる。
【0074】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0075】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
また、補正用コイル6とシールドコイル3とに異なる電流を通電することが可能になり、補正用コイル6への通電電流の調整によって据付誤差や材料の不均一などによる誤差を調整することができる。
【0077】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を図8を参照しつつ説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0078】
本実施の形態は、アクティブ磁気シールドシステムのシールド領域に心磁計を配置した心磁計システムを例示するものである。
【0079】
図8は、本実施の形態に係る心磁計システムにおいて、シールド領域に対するアクティブ磁気シールドシステムの各構成の位置関係を模式的に示す図である。
【0080】
図8において、本実施の形態に係る心磁計システム101は、アクティブ磁気シールドシステム100と、アクティブ磁気シールドシステム100のシールド領域10に配置された心磁計102とを備えている。
【0081】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0082】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
<付記>
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…パッシブ磁気シールド、2,2A,2x,2y,2z…磁気センサユニット、3,3x,3y,3z…シールドコイル、3a,3b,6a,6b…結線部、4…制御装置、5,5a,5b…電流源、6,6A…補正用コイル、7,7x,7y,7z…磁気センサ、8…ラック、9…ピニオンギア、10…シールド領域、11…間隔調整装置、11A…巻数調整装置、100,100B…アクティブ磁気シールドシステム、101…心磁計システム、102…心磁計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8