特開2019-196467(P2019-196467A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立化成株式会社の特許一覧
特開2019-196467CMP研磨剤及びその製造方法、並びにCMP研磨方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-196467(P2019-196467A)
(43)【公開日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】CMP研磨剤及びその製造方法、並びにCMP研磨方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20191018BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20191018BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20191018BHJP
【FI】
   C09K3/14 550Z
   C09K3/14 550D
   B24B37/00 H
   H01L21/304 622D
   H01L21/304 622X
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-92408(P2018-92408)
(22)【出願日】2018年5月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100211018
【弁理士】
【氏名又は名称】財部 俊正
(72)【発明者】
【氏名】南 久貴
(72)【発明者】
【氏名】大塚 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 真悟
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AC04
3C158CA01
3C158CB03
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED01
3C158ED26
3C158ED28
5F057AA14
5F057AA28
5F057BA15
5F057BB16
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA06
5F057EA11
5F057EA16
5F057EA29
(57)【要約】
【課題】酸化ケイ素を含む被研磨面を有する被研磨体を研磨する場合において、当該被研磨体を十分に良好な研磨速度で研磨することを可能とするCMP研磨剤を提供すること。
【解決手段】砥粒と、液状媒体と、を含有し、砥粒が、エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を含む、CMP研磨剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥粒と、液状媒体と、を含有し、
前記砥粒が、エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を含む、CMP研磨剤。
【請求項2】
前記エポキシド化合物が、ハロゲン基を少なくとも1つ有する、請求項1に記載のCMP研磨剤。
【請求項3】
前記エポキシド化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項2に記載のCMP研磨剤。
【化1】

[式(1)中、Xはハロゲン基を示し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン基で置換されていてもよい炭素数1〜5の炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
【請求項4】
前記エポキシド化合物が、エピクロロヒドリン、2−クロロメチル−1,2−エポキシプロパン及び2−クロロメチル−1,2−エポキシブタンからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項3に記載のCMP研磨剤。
【請求項5】
前記砥粒が、エポキシド化合物で表面修飾されたセリウム酸化物粒子を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のCMP研磨剤。
【請求項6】
酸化ケイ素を含む被研磨面を有する被研磨体の研磨用である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のCMP研磨剤。
【請求項7】
砥粒と、液状媒体と、を含有するCMP研磨剤の製造方法であって、
エポキシド化合物により金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子の表面を修飾することにより、前記エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を含む砥粒を得る工程を備える、CMP研磨剤の製造方法。
【請求項8】
前記砥粒を得る工程が、金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を含む水分散液に、前記エポキシド化合物及び塩基性化合物を加えて撹拌することを含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記エポキシド化合物が、ハロゲン基を少なくとも1つ有する、請求項7又は8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記エポキシド化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項9に記載の製造方法。
【化2】

[式(1)中、Xはハロゲン基を示し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン基で置換されていてもよい炭素数1〜5の炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
【請求項11】
前記エポキシド化合物が、エピクロロヒドリン、2−クロロメチル−1,2−エポキシプロパン及び2−クロロメチル−1,2−エポキシブタンからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記砥粒を得る工程では、エポキシド化合物でセリウム酸化物粒子の表面を修飾する、請求項7〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
被研磨体と研磨布との間に、請求項1〜6のいずれか一項に記載のCMP研磨剤又は請求項7〜12のいずれか一項に記載の方法により製造されるCMP研磨剤を供給して、前記被研磨体を研磨する、CMP研磨方法。
【請求項14】
前記被研磨体が酸化ケイ素を含む被研磨面を有する、請求項13に記載のCMP研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CMP研磨剤及びその製造方法、並びにCMP研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)技術は、半導体素子の製造工程において、シャロートレンチ分離の形成、プリメタル絶縁膜の平坦化、層間絶縁膜の平坦化、プラグの形成、埋め込み金属配線の形成等に必須の技術となっている。
【0003】
上記CMPに用いる研磨剤(以下、「CMP研磨剤」という)としては、種々のものが知られている。CMP研磨剤に含まれる砥粒(研磨粒子)によって分類すると、砥粒としてセリウム酸化物(セリア)粒子及び/又はセリウム水酸化物粒子を含むセリア系研磨剤、砥粒として酸化ケイ素(シリカ)粒子を含むシリカ系研磨剤、砥粒としてアルミニウム酸化物(アルミナ)粒子を含むアルミナ系研磨剤、砥粒として有機樹脂粒子を含む樹脂粒子系研磨剤等が知られている。
【0004】
半導体素子製造工程において、酸化ケイ素等の絶縁材料を研磨するための研磨剤としては、シリカ系研磨剤と比較して無機絶縁材料に対する高い研磨速度が得られる点で、セリア系研磨剤が多く使用されている(特許文献1参照)。さらに、研磨速度を制御し、研磨後の基体の平坦性を向上させるために、上記セリウム酸化物を用いた研磨剤に添加剤を加える技術が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−106994号公報
【特許文献2】特開平08−22970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
酸化ケイ素を含む被研磨面を有する被研磨体を研磨する場合、良好な研磨速度が得られ難い。そこで、研磨粒子の種類に関わらず、研磨速度を更に向上させる要求が存在する。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、酸化ケイ素を含む被研磨面を有する被研磨体を研磨する場合において、当該被研磨体を十分に良好な研磨速度で研磨することを可能とするCMP研磨剤、当該研磨剤の製造方法、及び、当該研磨剤を用いたCMP研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、砥粒と、液状媒体と、を含有し、砥粒が、エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を含む、CMP研磨剤に関する。
【0009】
上記のような構成を備える本発明のCMP研磨剤によれば、酸化ケイ素を含む被研磨面を有する被研磨体のCMP研磨において、十分に良好な研磨速度を得ることが可能である。
【0010】
上記エポキシド化合物は、ハロゲン基を少なくとも1つ有することが好ましく、下記一般式(1)で表される化合物であることがより好ましく、エピクロロヒドリン、2−クロロメチル−1,2−エポキシプロパン及び2−クロロメチル−1,2−エポキシブタンからなる群より選択される少なくとも一種であることがさらに好ましい。
【化1】

[式(1)中、Xはハロゲン基を示し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン基で置換されていてもよい炭素数1〜5の炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
【0011】
上記砥粒は、エポキシド化合物で表面修飾されたセリウム酸化物粒子を含むことが好ましい。
【0012】
上記CMP研磨剤は、酸化ケイ素を含む被研磨面を有する被研磨体の研磨用として好適に用いられる。
【0013】
本発明の他の一側面は、砥粒と、液状媒体と、を含有するCMP研磨剤の製造方法に関する。この製造方法は、エポキシド化合物により金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子の表面を修飾することにより、エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を含む砥粒を得る工程を備える。
【0014】
上記の構成を備える本発明のCMP研磨剤の製造方法によれば、酸化ケイ素を含む被研磨面を有する被研磨体のCMP研磨において、十分に良好な研磨速度を得ることが可能な研磨剤を得ることができる。
【0015】
上記砥粒を得る工程は、金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を含む水分散液に、エポキシド化合物及び塩基性化合物を加えて撹拌することを含んでいてよい。
【0016】
上記エポキシド化合物は、ハロゲン基を少なくとも1つ有することが好ましく、下記一般式(1)で表される化合物であることがより好ましく、エピクロロヒドリン、2−クロロメチル−1,2−エポキシプロパン及び2−クロロメチル−1,2−エポキシブタンからなる群より選択される少なくとも一種であることがさらに好ましい。
【化2】

[式(1)中、Xはハロゲン基を示し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン基で置換されていてもよい炭素数1〜5の炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
【0017】
上記砥粒を得る工程では、エポキシド化合物でセリウム酸化物粒子の表面を修飾することが好ましい。
【0018】
本発明の他の一側面は、被研磨体と研磨布との間に、上記CMP研磨剤又は上記方法により製造されるCMP研磨剤を供給して、被研磨体を研磨する、CMP研磨方法に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、酸化ケイ素を含む被研磨面を有する被研磨体を研磨する場合において、当該被研磨体を十分に良好な研磨速度で研磨することを可能とするCMP研磨剤、当該研磨剤の製造方法、及び、当該研磨剤を用いたCMP研磨方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0021】
<CMP研磨剤>
本実施形態のCMP研磨剤は、砥粒と、水と、を含有する。本実施形態のCMP研磨剤は、例えば、酸化ケイ素を含む被研磨面を有する被研磨体を研磨するために用いられる。ここで、被研磨体は、研磨によって除去される部分(被研磨部)を有しており、被研磨面は被研磨部に含まれる。したがって、被研磨体を研磨するとは、被研磨体の被研磨部(被研磨面)を研磨することを意味する。
【0022】
(砥粒)
本実施形態の砥粒(研磨粒子)は、エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を含む。このような砥粒は、金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子の表面をエポキシド化合物で修飾することによって得られる。
【0023】
エポキシド化合物は、少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物である。エポキシ基の数は特に限定されないが、例えば、3以下又は2以下である。
【0024】
エポキシド化合物は、−OH基と反応して化学結合(例えばエーテル結合)を形成可能な官能基を少なくとも1つ有することが好ましく、ハロゲン基を少なくとも1つ有することがより好ましい。
【0025】
エポキシド化合物がハロゲン基を少なくとも1つ有する場合、当該エポキシド化合物を塩基性条件下で金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子に接触させることにより金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子の表面を修飾することが好ましい。換言すれば、本実施形態の砥粒は、上記ハロゲン基を少なくとも1つ有するエポキシド化合物を、塩基性条件下で金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子に接触させることにより得られる粒子(エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子)を含むことが好ましい。
【0026】
ハロゲン基は、例えば、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)又はヨード素(−I)であり、−OH基に対する反応性に優れる観点から、クロロ基、ブロモ基又はヨード基であることが好ましい。ハロゲン基の数は特に限定されないが、例えば、3以下又は2以下である。
【0027】
塩基性条件下で反応が進行しやすい観点から、ハロゲン基はエポキシド化合物中の炭素原子に結合していることが好ましい。すなわち、エポキシド化合物は、ハロゲン基で置換された炭化水素基(ハロゲン化炭化水素基)を少なくとも1つ有することがより好ましい。
【0028】
エポキシド化合物は、より良好な研磨速度が得られやすい観点から、下記一般式(1)で表される化合物であることがより好ましい。
【化3】

[式(1)中、Xはハロゲン基を示し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン基で置換されていてもよい炭素数1〜5の炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
【0029】
Xは、例えば、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)又はヨード素(−I)であり、−OH基に対する反応性に優れる観点から、クロロ基、ブロモ基又はヨード基であることが好ましい。
【0030】
及びRが炭化水素基である場合、炭化水素基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。炭化水素基を置換しているハロゲン基は、例えば、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)又はヨード素(−I)である。ハロゲン基の数は特に限定されない。すなわち、炭化水素基は複数のハロゲン基によって置換されていてもよい。ハロゲン基が複数存在する場合、複数のハロゲン基は同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
エポキシド化合物は、さらに良好な研磨速度が得られやすい観点から、一般式(1)で表される化合物の中でも、エピクロロヒドリン、2−クロロメチル−1,2−エポキシプロパン及び2−クロロメチル−1,2−エポキシブタンからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0032】
エポキシド化合物は、金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子の表面に化学的に結合していることが好ましい。研磨剤中において、エポキシド化合物が有するエポキシ基の少なくとも一部は開環していてもよい。この場合、砥粒に含まれる金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子はエポキシド化合物由来のジオール化合物をその表面に有する。
【0033】
本実施形態では、エポキシド化合物中のエポキシ基の少なくとも一部が開環していることが好ましい。この場合、酸化ケイ素を含む被研磨面を有する被研磨体(例えば酸化ケイ素膜)の研磨速度をより高めることができる。本発明者らは、このような効果が得られる理由を以下のように推察している。すなわち、エポキシ基の開環により1,2−ジオール構造が形成されている場合、金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子の表面の−OH基の数が増加するため、砥粒と、親水性である酸化ケイ素膜表面との親和性が高くなり、より高速での研磨が可能になると推察される。また、エポキシド化合物上に−OH基が存在することで、粒子(金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子)の表面に直接−OH基が存在する場合と比較して、粒子から−OH基までの距離が長くなるため、粒子が複数の−OH基を介して多点で酸化ケイ素膜表面に作用することが可能となることも、上記効果が得られる一因であると推察される。
【0034】
金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子としては、セリウム酸化物粒子(セリウム酸化物を含む粒子)、セリウム水酸化物粒子(セリウム水酸化物を含む粒子)及び酸化ケイ素粒子(酸化ケイ素を含む粒子)、酸化アルミニウム粒子(酸化アルミニウムを含む粒子)等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果が得られやすい点で、セリウム酸化物粒子が好ましく用いられる。
【0035】
上記セリウム酸化物粒子は、どのような製造方法によって得られたものであってもよい。例えば、セリウム酸化物粒子を作製する方法としては、炭酸セリウム等のセリウム化合物を焼成又は過酸化水素等によって酸化する方法を適用することができる。焼成工程もその方法に特に制限はなく、ロータリーキルン、電気炉等を用いた焼結法などの方法を用いることができる。この場合、焼成温度は、350〜1000℃とすることが好ましい。また、硝酸セリウム等のセリウム化合物を塩基性条件において加温させて酸化する方法を適用することもできる。この場合、加温温度は、40℃〜200℃とすることが好ましい。
【0036】
セリウム酸化物粒子の種類には特に制限はないが、結晶粒界を有する多結晶セリウム酸化物粒子を含むことが好ましい。結晶粒界を有する多結晶セリウム酸化物粒子は、研磨中に細かくなり、活性面が次々と現れるという挙動を示すことにより、酸化ケイ素膜の研磨速度をより向上させることができる。結晶粒界を有するセリウム酸化物の製造方法は、再公表特許WO99/31195号等に詳しく記載されている。
【0037】
これらの方法によって製造されたセリウム酸化物粒子が凝集している場合は、凝集した粒子を機械的に粉砕してもよい。粉砕方法としては、ジェットミル等(「化学工学論文集」、第6巻第5号、1980、527〜532頁参照)による乾式粉砕及び遊星ビーズミル等による湿式粉砕方法が好ましい。
【0038】
砥粒(例えばエポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子)の平均粒径は、酸化ケイ素膜の研磨速度をより高める観点から、50〜300nmであることが好ましい。上記平均粒径は、研磨傷が発生しにくくなることから300nm以下であることが好ましく、280nm以下であることがより好ましく、250nm以下であることがさらに好ましく、200nm以下であることが特に好ましい。一方、上記平均粒径は、研磨速度を向上させる観点から、50nm以上であることが好ましく、70nm以上であることがより好ましく、80nm以上であることがさらに好ましい。
【0039】
ここで、「平均粒径」とは、CMP研磨剤をレーザ回折式粒度分布計で直接測定して得られる体積分布の中央値である。より具体的には、例えば、日機装株式会社製「Microtrac MT3300EXII」等を用いて求められる、平均粒径(D50)である。
【0040】
なお、上記平均粒径は、砥粒(例えばエポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物及び金属水酸化物粒子)の製造条件、分級条件等によって制御することが可能である。また、本実施形態において平均粒径とは、CMP研磨剤とした状態における砥粒の粒径であるから、後述する添加剤の種類及び量、CMP研磨剤のpH等によっても調整することができる。
【0041】
砥粒中の、エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物又は金属水酸化物粒子の含有量は、砥粒の全質量を基準として、85質量%以上、90質量%以上又は95質量%以上であってよい。上記含有量は、砥粒の全質量を基準として、100質量%以下であってよい。
【0042】
CMP研磨剤中の、砥粒(例えばエポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物及び金属水酸化物粒子)の含有量(濃度)は、CMP研磨剤の合計質量に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。上記濃度は、粒子が凝集しにくくなることから、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましく、4質量%以下が最も好ましい。一方、上記濃度は、研磨速度を向上させる観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。
【0043】
以上説明したエポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子は、砥粒(例えば、CMP用研磨剤の砥粒)の他、排ガス処理触媒、紫外線吸収剤等として用いることもできる。
【0044】
(液状媒体)
液状媒体(分散媒)としては、特に制限されないが、水を主成分とするものが好ましい。例えば、液状媒体中の水の含有量は、液状媒体の全質量を基準として、50質量%以上、75質量%以上又は90質量%以上であってよく、100質量%以下であってよい。好適な液状媒体の具体例としては、脱イオン水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。なお、CMP研磨剤は、必要に応じて水以外の液状媒体(例えばエタノール、酢酸、アセトン等の極性溶媒など)をさらに含有してもよい。
【0045】
(pH調整剤)
本実施形態のCMP研磨剤は、pH調整剤をさらに含んでいてもよい。pH調整剤として酸又は塩基を用いることにより、CMP研磨剤の所望のpHが得られる。また、pH調整剤が分散剤としての機能を有する場合があり、砥粒(例えば金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子)の平均粒径を制御できる場合がある。
【0046】
pH調整剤としては、特に限定されないが、主としてpHの調整に寄与することができ、研磨特性に悪い影響を与えないものが好ましい。そのような観点から、pH調整剤としては、無機酸、無機塩基、有機酸及び有機塩基を挙げることができる。無機酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホウ酸等を挙げることができる。無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水等を挙げることができる。有機酸としては、モノカルボン酸が好ましい。モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アクリル酸、安息香酸、ピコリン酸等を挙げることができる。
【0047】
(その他)
本実施形態のCMP研磨剤は、例えば、窒化ケイ素膜に対して酸化ケイ素膜を選択的に研磨する目的で用いられてもよい。そこで、CMP研磨剤は、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の研磨速度の選択比をさらに向上させる目的、又は、その他の研磨特性を向上させる目的で、必要に応じて、その他の成分をさらに含むことができる。
【0048】
その他の成分としては、例えば、界面活性剤、水溶性高分子等を挙げることができる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸共重合体塩、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸塩等を挙げることができる。これらの成分の添加量は、エポキシド化合物で金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子の表面を修飾することによって研磨速度が向上する効果を妨げない範囲の量とすることが好ましい。
【0049】
<砥粒の製造方法>
本実施形態の砥粒の製造方法は、上述したエポキシド化合物により金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子の表面を修飾することにより、エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を含む砥粒を得る工程を備える。ここで、金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子としては、セリウム酸化物粒子が好ましく用いられる。
【0050】
金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子の表面をエポキシド化合物で修飾する方法は特に限定されないが、エポシド化合物と、金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子とを反応させてエポキシド化合物を上記粒子の表面に化学的に結合させる方法が好ましく用いられる。金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子の表面をエポキシド化合物で修飾する方法としては、塩基性条件下で、エポキシド化合物を金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子に接触させる工程(接触工程)を含む方法が好ましい。接触工程は、金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を含む水分散液に、エポキシド化合物及び塩基性化合物を加えて撹拌する工程であってよい。この方法によれば、エポキシド化合物がハロゲン基を有する場合に、当該エポキシド化合物を金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子の表面に形成された−OH基と反応させて上記粒子の表面に化学的に結合させることができる。
【0051】
金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を含む水分散液は、例えば、通常の撹拌機による分散処理のほか、ホモジナイザ、超音波分散機、湿式ボールミル等を用いた方法によって、金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を水中に分散させることによって得ることができる。
【0052】
砥粒の製造方法は、pHを調整しやすくするため、遠心分離等によって塩基性化合物を除去するイオン除去工程をさらに含んでいることが好ましい。
【0053】
金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子の表面を修飾する工程は、砥粒の製造における任意の段階で実施してよいが、金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を粉砕する工程の後に行うことが好ましい。
【0054】
<CMP研磨剤の製造方法>
本実施形態のCMP研磨剤の製造方法は、上述したエポキシド化合物により金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子の表面を修飾することにより、エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を含む砥粒を得る工程を備える。砥粒を得る工程の詳細は、上述した砥粒の製造方法における砥粒を得る工程と同じである。
【0055】
CMP研磨剤の製造方法では、エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を得た後に、得られた粒子(金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子)を上述した液状媒体(例えば水)中に分散させてスラリを得ることが好ましい。分散方法としては、例えば、通常の撹拌機による分散処理のほか、ホモジナイザ、超音波分散機、湿式ボールミル等を用いた方法が挙げられる。
【0056】
さらに、上記の方法により得られたスラリにおける粒子(エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子)の粒子サイズを、公知の方法により調整してもよい。例えば、上記スラリを小型遠心分離機で遠心分離した後、強制沈降させ、この上澄み液のみを取り出すことで、粒子を微粒子化することができる。また、デカンテーションにより沈殿物を取り出し、ここに水等の液状媒体(分散媒)を加えることで、微粒子を除くこともできる。
【0057】
その他、液状媒体中の粒子(エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子)を高圧で衝突させる高圧ホモジナイザを用いることにより、粒子を微粒子化してもよい。
【0058】
<CMP研磨剤の種類>
本実施形態のCMP研磨剤は、研磨に用いる際に、上述した特徴を具備しているものであればよい。CMP研磨剤は、研磨に使用する時以外(保存時・輸送時等)は、例えば、以下の通常タイプ、濃縮タイプ、2液タイプ等の形態を有することができる。
【0059】
「通常タイプ」とは、研磨時に希釈等の前処理をせずに、そのままCMP研磨剤として使用できるタイプである。この通常タイプの作製方法は、特に制限されないが、例えば、使用時の砥粒(エポキシド化合物で表面修飾された金属酸化物粒子又は金属水酸化物粒子を含む)の含有量が0.5質量%である研磨剤1000gを作製する場合は、通常タイプでは、研磨剤の全量に対して、砥粒5gを投入すればよい。
【0060】
「濃縮タイプ」とは、通常タイプに対して含有成分を濃縮することで、CMP研磨剤の作製、保管及び輸送の利便性を高めたものである。この濃縮タイプは、使用直前に、含有成分が目的の含有量となるように水と混合し、通常タイプと同程度の液状特性(例えば、pH、粒径等)、研磨特性(例えば、研磨速度、選択比)を再現できるように任意の時間撹拌して用いる。このような濃縮タイプとすることによって、保管、輸送等のために必要な容積を、濃縮の度合いに応じて小さくすることができるため、保管、輸送等にかかるコストを減らすことができる。
【0061】
濃縮タイプの場合、通常タイプに対する濃縮倍率が、保存安定性と利便性の点から1.5〜20倍であると好ましい。濃縮しすぎると、砥粒が凝集しやくなったり、添加剤が媒体に溶解しなかったりするため、濃縮倍率の上限は20倍が好ましく、17倍がより好ましく、15倍がさらに好ましく、10倍が一層好ましく、5倍が特に好ましい。逆に、薄すぎると、保管及び輸送のメリットはあるものの、通常タイプと比較して希釈の手間がかかるデメリットの方が大きくなる場合がある。そのため、濃縮倍率の下限は1.5倍が好ましく、2倍がより好ましく、3倍がさらに好ましく、4倍が特に好ましい。
【0062】
濃縮タイプの研磨剤の作製に際して注意すべき点は、使用時に水で希釈する際に、この希釈前後でpHが変化するという点である。例えば、濃縮タイプの研磨剤から通常タイプと同じpHの研磨剤を調製しようとすると、水のpHは理論的には7である(ただし、実際の水は二酸化炭素が溶解しており、水だけではpHは約5.6である)ため、例えばpH5.5以下の濃縮タイプを用いた場合、希釈後、これよりも高いpHの研磨剤しか得られなくなる。そこで、使用時に目的のpHが得られやすいように、濃縮タイプの研磨剤では、pHをあらかじめ低めに調整しておくことが好ましい。
【0063】
さらに、「2液タイプ」とは、例えば、液Aと液Bとに研磨剤の含有量を分け、使用の一定時間前にこれらを混合して1つの研磨剤とするものである。このような2液タイプによれば、濃縮タイプの場合の砥粒の凝集のし易さを回避することが容易である。2液タイプにおける液Aと液Bとは、それぞれ任意の割合で含有成分を含むことができる。2液タイプの場合、その分け方としては特に限定されないが、例えば、液Aを砥粒及び場合によりpH調整剤を含むスラリとし、液Bをその他の成分及び場合によりpH調整剤を含む添加液として分割されたものが好適である。
【0064】
CMP研磨剤は、各成分を混合してからある一定の時間経過すると、セリウム酸化物粒子の凝集等で研磨特性が悪化してしまう場合がある。このような場合に2液タイプを適用することが有効である。また、液A及び液Bの容積を小さくするために、液Aと液Bとを、それぞれ濃縮タイプとすることもできる。この場合、液Aと液Bとの混合時にさらに水を主成分とする希釈液を加えて、1つのCMP研磨剤とすることができる。液A及び液Bの濃縮倍率及びこれらのpHは任意であり、最終的な研磨剤が、通常タイプの組成と同様の液状特性及び研磨特性を有するものとなればよい。
【0065】
<研磨方法>
本実施形態のCMP研磨方法は、被研磨体と研磨布との間に、上述したCMP研磨剤又は上述した方法により製造されるCMP研磨剤を供給して、被研磨体を研磨する研磨工程を備える。研磨工程では、CMP研磨剤を供給しながら、被研磨体を研磨してもよい。
【0066】
本実施形態のCMP研磨方法は、例えば、被研磨体を有する基体の該被研磨体を研磨定盤の研磨パッド(研磨布)に押圧した状態で、上述したCMP研磨剤又は上述した方法により製造されるCMP研磨剤を被研磨体と研磨パッドとの間に供給し、基体と研磨定盤とを相対的に動かして被研磨体を研磨する研磨工程を備える、基体の研磨方法であってよい。研磨工程では、被研磨体の少なくとも一部(被研磨部)を研磨により除去する。
【0067】
研磨対象である被研磨体は、例えば、基板上に形成されている。すなわち、被研磨体を有する基体は、基板と、当該基板上に形成された被研磨体と、を有する基体であってよい。被研磨体の形状は特に限定されない。被研磨体は、例えば、膜状の被研磨体(被研磨膜)である。
【0068】
被研磨体及びその表面(被研磨面)は、酸化ケイ素等の無機絶縁材料;オルガノシリケートグラス、全芳香環系Low−k材料等の有機絶縁材料;窒化ケイ素、ポリシリコン等のストッパ材料などで形成されている。被研磨体及びその表面(被研磨面)を形成する材料は、無機絶縁材料及び有機絶縁材料が好ましく、無機絶縁材料がより好ましい。本発明の効果が得られやすい点で、被研磨体及びその表面(被研磨面)は、無機絶縁材料の中でも、酸化ケイ素を含むことが好ましい。
【0069】
酸化ケイ素を含む被研磨体(例えば酸化ケイ素膜)は、低圧CVD法、プラズマCVD法等により得ることができる。酸化ケイ素を含む被研磨体には、リン、ホウ素等の元素がドープされていてもよい。
【0070】
被研磨体はその一方面(被研磨面)側に凹凸を有していることが好ましい。本実施形態の研磨方法では、被研磨体の凹凸の凸部を優先的に研磨することにより、表面が平坦化された基体を得ることができる。
【0071】
基体の具体例としては、最表面層として被研磨体である無機絶縁層(無機絶縁膜)を有する半導体基板等が挙げられる。
【0072】
本実施形態の研磨方法において、研磨装置としては、被研磨面を有する半導体基板等の基体を保持可能なホルダーと、研磨パッドを貼り付け可能な研磨定盤とを有する一般的な研磨装置を使用できる。ホルダー及び研磨定盤のそれぞれには、例えば、回転数が変更可能なモータ等が取り付けてある。研磨装置としては、例えば、APPLIED MATERIALS社製の研磨装置(商品名:Mirra−3400、Reflexion LK)、株式会社荏原製作所製の研磨装置(商品名:F REX−300)が挙げられる。
【0073】
研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡体、非発泡体等が使用できる。研磨パッドの材質としては、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリエステル、アクリル−エステル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ4−メチルペンテン、セルロース、セルロースエステル、ポリアミド(例えば、ナイロン(商標名)及びアラミド)、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリシロキサン共重合体、オキシラン化合物、フェノール樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等の樹脂が使用できる。研磨パッドの材質としては、特に、研磨速度及び平坦性の観点から、発泡ポリウレタン及び非発泡ポリウレタンが好ましい。研磨パッドには、研磨剤がたまるような溝加工が施されていてもよい。
【0074】
研磨条件に制限はないが、研磨定盤の回転速度は、基体(例えば半導体基板)が飛び出さないように200min−1(rpm)以下が好ましい。基体にかける研磨圧力(加工荷重)は、研磨傷が発生することを十分に抑制する観点から、100kPa以下が好ましい。研磨している間、ポンプ等で連続的に研磨剤を研磨パッドに供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨剤で覆われていることが好ましい。
【0075】
研磨終了後の基体(例えば半導体基板)は、基体を流水中でよく洗浄して、基体に付着した粒子を除去することが好ましい。洗浄には、純水以外に希フッ酸又はアンモニア水を用いてもよく、洗浄効率を高めるためにブラシを用いてもよい。また、洗浄後は、基体に付着した水滴を、スピンドライヤ等を用いて払い落としてから基体を乾燥させることが好ましい。
【0076】
このようにして、被研磨体(例えば無機絶縁層)を、上述したCMP研磨剤で研磨することにより、被研磨体の凹凸を解消して、基体の全面(例えば半導体基板の全面)にわたって平滑な面を形成することができる。このような工程を所定数繰り返すことにより、所望の層数を有する基体(例えば半導体基板)を製造することができる。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
(セリウム酸化物粒子の作製)
炭酸セリウム水和物40kgを、アルミナ製容器に入れ、空気中で800℃にて2時間焼成して、黄白色の焼成粉末20kgを得た。この焼成粉末は、X線回折法で相同定を行ったところ、セリウム酸化物粒子からなる粉末(以下、「セリウム酸化物粒子粉末」という。)であることが確認された。得られたセリウム酸化物粒子粉末の粒子径は、20〜100μmであった。得られたセリウム酸化物粒子粉末20kgを、ジェットミルを用いて乾式粉砕した。
【0079】
(エポキシド化合物で表面修飾されたセリウム酸化物粒子の作製)
容器内に、1Lの0.1規定水酸化カリウム水溶液と上記で得られたセリウム酸化物粒子粉末100gを加えて撹拌した。さらに、20mLのエピクロロヒドリン、5mLの2規定水酸化カリウム水溶液を加え、室温下で6時間撹拌させて反応を完了させた。これにより、エポキシド化合物で表面修飾されたセリウム酸化物粒子を得た。
【0080】
得られた粒子粉末(エポキシド化合物で表面修飾されたセリウム酸化物粒子からなる粉末)を、上澄み液のpHが7.5になるまで脱イオン水と遠心分離機を用いて洗浄した。ここで得られた沈殿物を900gの水に分散させ、5%アンモニア水を50mL追加し、さらに6時間撹拌させた。得られた粒子粉末を上澄み液のpHが7.5になるまで脱イオン水と遠心分離機を用いて洗浄した。
【0081】
(濃縮エポキシド修飾セリウム酸化物スラリの調製)
容器内に、遠心分離で得られたエポキシド化合物で表面修飾されたセリウム酸化物粒子の沈殿物120g及び脱イオン水880gを入れて混合し、さらに酢酸を0.2g添加して、10分間撹拌し、エポキシド化合物で表面修飾されたセリウム酸化物粒子を含む混合液を得た。
【0082】
得られた混合液中のエポキシド化合物で表面修飾されたセリウム酸化物粒子を、ビーズミルを用いて湿式粉砕した後、固形分濃度(エポキシド化合物で表面修飾されたセリウム酸化物粒子の濃度)が5質量%になるように水で希釈して、スラリ(以下、「濃縮エポキシド修飾セリウム酸化物スラリ」という。)を得た。
【0083】
(濃縮セリウム酸化物スラリの調製)
容器内に、乾式粉砕で得られたセリウム酸化物粒子粉末15.0kg及び脱イオン水84.7kgを入れて混合し、さらに1規定の酢酸を0.3kg添加して、10分間撹拌し、セリウム酸化物粒子を含む混合液を得た。
【0084】
得られた混合液中のセリウム酸化物粒子を、ビーズミルを用いて湿式粉砕した後、固形分濃度(セリウム酸化物粒子の濃度)が5質量%になるように水で希釈し、スラリ(以下、「濃縮セリウム酸化物スラリ」という。)を得た。
【0085】
得られた濃縮エポキシド修飾セリウム酸化物スラリ及び濃縮セリウム酸化物スラリの平均粒径を、レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、商品名:Microtrac MT3300EXII)を用いて測定したところ、平均粒径の値は、それぞれ178nmと182nmであった。
【0086】
(実施例1)
上記で得られた濃縮エポキシド修飾セリウム酸化物スラリ(固形分濃度:5質量%)100gに、脱イオン水を900g添加し、混合して、CMP研磨剤を得た。
【0087】
得られたCMP研磨剤の平均粒径を、レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、商品名:Microtrac MT3300EXII)を用いて測定したところ、平均粒径の値は179nmであった。
【0088】
(比較例1)
上記で得られた濃縮セリウム酸化物スラリ(固形分濃度:5質量%)100gに、脱イオン水を900g添加し、混合して、CMP研磨剤を得た。
【0089】
(評価用ウエハ)
研磨特性の評価には、市販の酸化ケイ素膜ウエハ(評価用ウエハ)を用いた。このウエハはシリコン基板上にCVD法により厚さ1000nmの酸化ケイ素膜を形成することにより作製されたものである。
【0090】
(研磨実験)
研磨実験は、基板ホルダーと、研磨定盤とを備える研磨装置(APPLIED MATERIALS社製、商品名「Mirra−3400」)を用いて行った。まず、基板ホルダーに上記評価用ウエハを固定し、研磨定盤に多孔質ウレタン樹脂製の研磨布(研磨パッド)「IC−1010」(ニッタ・ハース株式会社製)を貼り付けた。次いで、評価用ウエハの酸化ケイ素膜(絶縁膜、被研磨膜)が研磨布に接するように、評価用ウエハを研磨布及び研磨定盤に対し、加工荷重20kPaにて押し付けた。そして、研磨布上に、上記実施例及び比較例で調製したCMP研磨剤を200mL/分の速度で滴下しながら、研磨定盤と基板ホルダーとをそれぞれ93回転/分と87回転/分で作動させることにより、評価用ウエハを30秒間研磨した。研磨後の評価用ウエハを、純水で十分に洗浄した後、乾燥させた。
【0091】
研磨速度は、研磨前後の評価用ウエハの酸化ケイ素膜の膜厚を測定し、膜厚の変化量を研磨時間で除算することで算出した。膜厚の測定には、光干渉式膜厚装置(ナノメトリクス・ジャパン株式会社製、商品名「Nanospec AFT−5100」)を用いた。
【0092】
表1に、実施例1及び比較例1で得たCMP研磨剤を用いた場合の、研磨速度の値を示す。
【0093】
【表1】
【0094】
表1に示されるように、実施例のCMP研磨剤を用いた場合は、比較例のCMP研磨剤を用いた場合よりも、酸化ケイ素膜の研磨速度の値が大きかった。つまり、本発明のCMP研磨剤によれば、酸化ケイ素を含む被研磨体の研磨において、十分に良好な研磨速度が得られることが確認された。