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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-198582(P2019-198582A)
(43)【公開日】2019年11月21日
(54)【発明の名称】胴綱用滑り止め具および安全具
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20191025BHJP
   A01G 23/00 20060101ALI20191025BHJP
【FI】
   A62B35/00 B
   A01G23/00 551Z
   A62B35/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-96574(P2018-96574)
(22)【出願日】2018年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】小山 龍一
(72)【発明者】
【氏名】岡村 寛之
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184LA12
2E184LA23
2E184LA33
(57)【要約】
【課題】木登り用の安全具に対する着脱が容易でかつ、この安全具を用いて木に登り降りする際の作業者の安全性を向上させることができる胴綱用滑り止め具を提供する。
【解決手段】木に登る際に作業者の体を支える胴綱15の周側面上に巻回して用いられ、胴綱15を木の幹に掛止する際の胴綱15の滑りを防止するための胴綱用滑り止め具であって、胴綱15の周側面上に巻回されるシート体2と、硬質材からなり、かつシート体2の主面側に突出している棘状の突起3と、シート体2に設けられ、かつこのシート体2を筒状に保持させておくための第1の固定構造4と、を備えていることを特徴とする胴綱用滑り止め具1Aによる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木に登る際に作業者の体を支える胴綱の周側面上に巻回して用いられ、前記胴綱を木の幹に掛止する際の前記胴綱の滑りを防止するための胴綱用滑り止め具であって、
前記胴綱の周側面上に巻回されるシート体と、
硬質材からなり、かつ前記シート体の主面側に突出している棘状の突起と、
前記シート体に設けられ、かつこのシート体を筒状に保持させておくための第1の固定構造と、を備えていることを特徴とする胴綱用滑り止め具。
【請求項2】
前記突起は、鋼材からなることを特徴とする請求項1に記載の胴綱用滑り止め具。
【請求項3】
前記突起は、前記シート体の厚み方向の少なくとも一部を貫通していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の胴綱用滑り止め具。
【請求項4】
前記突起は、その外形形状がテーパー状をなしている突部と、この突部の底面に一体に設けられ、かつ前記突部の前記底面よりもその平面形状が広い抜け止め部と、を備え、
前記抜け止め部は、前記シート体の厚み部分に埋設されている、又は、前記シート体の裏面側に配されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の胴綱用滑り止め具。
【請求項5】
前記突起は、前記シート体にかしめられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の胴綱用滑り止め具。
【請求項6】
前記第1の固定構造は、面ファスナであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の胴綱用滑り止め具。
【請求項7】
前記シート体において少なくとも前記胴綱と接触する領域に固設されている滑り止め部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の胴綱用滑り止め具。
【請求項8】
バンド状をなし、かつ前記胴綱用滑り止め具に一体に又は別体に設けられ、かつ前記胴綱用滑り止め具が巻回された前記胴綱を前記胴綱用滑り止め具の上から緊縛する第2の固定構造を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の胴綱用滑り止め具。
【請求項9】
作業者の腰に巻き付けられるベルト状の腰当てと、
綱からなり、前記腰当てに固定金具を介して取設される前記胴綱と、
前記胴綱に着脱可能に装着されている請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の胴綱用滑り止め具と、を備えていることを特徴とする安全具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木の幹を登る際に用いられる安全具において作業者の体重を支える胴綱に着脱可能に設けられて、木の幹に胴綱を掛止した際にその滑りを好適に防止することができる胴綱用滑り止め具およびそれを備えてなる安全具に関する。
【背景技術】
【0002】
はじめに、本発明品の使用対象である従来技術に係る安全具とそれを用いた木の幹の登り方について図8,9を参照しながら詳細に説明する。
図8は従来技術に係る安全具の一例を示す斜視図である。また、図9(a)〜(d)はいずれも作業員が従来技術に係る安全具を用いて幹を登る様子を示す側面図である。
図8図9に示すように、従来技術に係る安全具13は主に、作業者19の腰にあてがわれるベルト状の腰当て14と、この腰当て14に固定金具16を介して着脱可能に固設される胴綱15とにより構成されるものである。
そして、このような従来技術に係る安全具13は、例えば図8に示すように、胴綱15の一の端部側に掛止フック16b(例えば、ナスカン等)を備えており、この掛止フック16bを腰当て14に設けられている掛止リング16aに着脱可能に掛着させることができる。
さらに、従来技術に係る安全具13では胴綱15の他の端部側に、伸縮調整具16cを有しており、この伸縮調整具16cから導出される胴綱15の他の端部の長さを調節することで、腰当て14に胴綱15を装着した際の胴綱15の長さを調整可能にすることができる。
【0003】
このような従来技術に係る安全具13を用いて木の幹を登るには、はじめに、作業者19は木の幹の傍らに立った状態で、胴綱15を木の幹に半周巻回してからその一の端部に設けられる掛止フック16bを腰当て14に設けられるリング状の固定金具16に掛着させる(図示せず)。また、必要に応じて伸縮調整具16cにおいて胴綱15の掛止フック16bから伸縮調整具16cまでの長さを調節する。
【0004】
この後、図9(a)に示すように胴綱15を木の幹18の周側面上に掛止して胴綱15および腰当て14で作業者19自身の体重を支えながら、幹18に両足を掛止する。このとき作業者19は、足にスパイクの一種であるガニ20を装着しておくことで、幹18の周側面上において滑りを防止しながら足を掛止することができる。
さらに、この状態から図9(b),(c)に示すように、胴綱15及び腰当て14により体を支えたまま作業者19は、幹18のより高い位置に足を片方ずつ移動させてから、図9(d)に示すように、胴綱15の握る位置を幹18により近い位置に移動させて、胴綱15に反動をつけて幹18との接触部分を鉛直上方側に、つまり、図9(d)中の符合Pで示す方向に移動させる。
この後は、図9(a)〜(d)に示す動作を繰り返すことで、作業者19は木の幹18を登ることができる。
【0005】
このような従来技術に係る安全具13を用いて木に登る場合、木の幹18に掛止されている胴綱15が滑って幹18から外れてしまうと、作業者19は転落してしまうので極めて危険である。
このような事情に鑑み、図8,9に示すような従来技術に係る安全具13を用いて木の幹18を登る際に、胴綱15が幹18の表面を滑らないようにするための工夫が必要とされていた。
本発明と同一の技術分野に属する先行技術としては以下に示すようなものが知られている。
【0006】
特許文献1には「胴綱用滑り止め具」という名称で、本発明と同一の出願人による木登り時に胴綱が樹木から滑って作業者が落下するのを防止できる胴綱用滑り止め具に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される胴綱用滑り止め具は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、昇木時に用いる胴綱用滑り止め具1であって、樹木当接面22及び該樹木当接面22に形成された複数の貫通穴23を有する筒状容器2と、前記筒状容器2の内部に収容される板状部材31、及び該板状部材31における前記樹木当接面22側に配置される面に設けられ前記複数の貫通穴23から突出可能な複数のとげ部32を有する滑り止め部3と、前記滑り止め部3を樹木当接面22から離れる方向に付勢する付勢部材4と、前記筒状容器2の内部における前記板状部材31の他方の面側に設けられ前記胴綱7を挿通可能な胴綱挿通空間5と、前記筒状容器2の両端面に形成され、前記胴綱7を挿通可能な一対の胴綱挿通穴6と、を備えてなるものである。
上記構成の特許文献1に開示される発明に係る筒状容器は、容器本体と、胴綱を着脱するための蓋部と、を備えているため、容器本体の蓋部を開閉して胴綱を着脱することができる。したがって、特許文献1に開示される発明は、既存の胴綱にも使用することができる。また、特許文献1に開示される発明は、容器本体から胴綱を簡単に分離することができ、しかも容器本体自体がコンパクトで持ち運びに便利であるというメリットを有する。
【0007】
また、特許文献2には「防滑ロープ」という名称で、災害時の避難や運送、梱包、その他における滑りにくく、安全に使用できる防滑ロープに関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、ロープ3の周面に天然ゴムや合成ゴム等の滑り止め用の突起4を多数突設したものであり、特に、複数本のストランド2を撚り合わせたロープ3の各ストランド2の外周面に天然ゴムや合成ゴムの弾力性のある突起4を一定の間隔で突設してなるものである。
上記構成の特許文献2に開示される発明によれば、ロープの外観も美麗にしつつ、ロープの周側面上に形成される突起4により弾力的な防滑効果を図ることができる。
また、特許文献2に開示される発明によれば、滑り止め用の突起が半球状をなしていることで、ロープに手を握りやすくすることができかつ滑りにくくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−43941号公報
【特許文献2】特開2006−263115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の特許文献1に開示される発明の場合、胴綱用滑り止め具は、付勢部材として例えばバネが用いられており、この付勢部材によりとげ部が幹に押し当てられて胴綱の滑り止め効果が発揮される仕組みになっている。
このため、特許文献1に開示される発明の使用時に、万一この付勢部材が破損してしまった場合は、とげ部を幹の表面に強く押し当てることができなくなってしまい、十分な滑り止め効果が発揮されないおそれがある。
つまり、特許文献1に開示される発明の場合は、胴綱用滑り止め具の内部構造が万一破損した場合、胴綱の滑り止め効果が突然発揮されなくなってしまい、作業者が転落事故を起こす恐れがあった。
【0010】
上述の特許文献2に開示される発明の場合は、例えば先の図8に示すような従来技術に係る安全具13の伸縮調整具16cに特許文献2に開示される防滑ロープを挿通させる際に滑り止め用の突起が邪魔になる。
また、特許文献2に開示される発明の場合、滑り止め用の突起は、天然ゴムや合成ゴムの弾力性のある材質が、ロープの表面に単に貼り付けられているだけであるため、木登りの際に滑り止め用の突起が取れてしまうおそれがある。さらに、特許文献2に開示される発明の場合は、防滑ロープを繰り返し使用することで、滑り止め用の突起が徐々に減少することが予想され、防滑ロープの滑り止め効果の低下が起こる懸念があった。
【0011】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、従来技術に係る安全具の胴綱に対する着脱が容易で、かつ構造がシンプルで破損し難く、かつ作業者が幹に登る際に胴綱の滑りを確実に防止することができる胴綱用滑り止め具を提供することにある。
さらに、本発明は上記目的に加えて、本発明に係る胴綱用滑り止め具を繰り返し使用した場合も、胴綱用滑り止め具の滑り止め効果の低下が起こり難い胴綱用滑り止め具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための第1の発明である胴綱用滑り止め具は、木に登る際に作業者の体を支える胴綱の周側面上に巻回して用いられ、胴綱を木の幹に掛止する際の胴綱の滑りを防止するための胴綱用滑り止め具であって、胴綱の周側面上に巻回されるシート体と、硬質材からなり、かつシート体の主面側に突出している棘状の突起と、シート体に設けられ、かつこのシート体を筒状に保持させておくための第1の固定構造と、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において、シート体は、複数の棘状の突起を保持するという作用を有する。また、棘状の突起は、木の幹の表面に押し当てられた際にスパイクのように機能して胴綱の滑動を抑制するという作用を有する。さらに、第1の固定構造は、胴綱の周側面上に棘状の突起を有するシート体を筒状に巻回した状態で保持させるという作用を有する。
【0013】
第2の発明である胴綱用滑り止め具は、上述の第1の発明において、突起は、鋼材からなることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、上述の第1の発明による作用と同じ作用に突起を鋼材により構成することで、合成樹脂等により突起を構成する場合に比べて、突起の強度を高めるという作用を有する。
また、安全具の胴綱に第2の発明である胴綱用滑り止め具を装着して木登りに用いた際に、この突起が幹の表面においてスパイクのような役割を果たすことで、幹の表面における胴綱の滑りを抑制するという作用を有する。
【0014】
第3の発明である胴綱用滑り止め具は、上述の第1又は第2の発明において、突起は、シート体の厚み方向の少なくとも一部を貫通していることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、上述の第1又は第2の発明による作用と同じ作用に加えて、突起がシート体の厚み方向の少なくとも一部を貫通させておくことで、シート体から個々の突起を外れ難くするという作用を有する。
【0015】
第4の発明である胴綱用滑り止め具は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明において、突起は、その外形形状がテーパー状をなしている突部と、この突部の底面に一体に設けられ、かつ突部の底面よりもその平面形状が広い抜け止め部とを備え、この抜け止め部は、シート体の厚み部分に埋設されている、又は、シート体の裏面側に配されていることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、突起が抜け止め部を備えていることで、シート体から突起を一層外れ難くするという作用を有する。
【0016】
第5の発明である胴綱用滑り止め具は、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明において、突起は、シート体にかしめられていることを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明は、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、突起がシート体にかしめられていることで、シート体に接着剤等を用いることなく強固に個々の突起を固設させるという作用を有する。
【0017】
第6の発明である胴綱用滑り止め具は、上述の第1乃至第5のそれぞれの発明において、第1の固定構造は、面ファスナであることを特徴とするものである
上記構成の第6の発明は、上述の第1乃至第5のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、第1の固定構造が面ファスナであることで、シート体への第1の固定構造の取付けを容易にするという作用を有する。また、第6の発明によれば、胴綱への第6の発明である胴綱用滑り止め具の着脱作業を容易にするという作用も有する。
【0018】
第7の発明である胴綱用滑り止め具は、上述の第1乃至第6のそれぞれの発明において、シート体において少なくとも胴綱と接触する領域に固設されている滑り止め部材を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第7の発明は、上述の第1乃至第6のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、シート体において少なくとも胴綱と接触する領域(シート体の裏面側)に滑り止め部材を備えていることで、安全具の胴綱にシート体を巻回した際に、胴綱の周側面上においてシート体が滑るのを妨げるという作用を有する。
そして、この作用により第7の発明である胴綱用滑り止め具を胴綱に装着した状態で木の幹に掛止した際の、幹の表面と第7の発明である胴綱用滑り止め具との間の滑りを好適に抑制するという作用を有する。
【0019】
第8の発明である胴綱用滑り止め具は、上述の第1乃至第7のそれぞれの発明において、バンド状をなし、かつ胴綱用滑り止め具に一体に又は別体に設けられ、かつ胴綱用滑り止め具が巻回された胴綱を胴綱用滑り止め具の上から緊縛する第2の固定構造を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第8の発明は、上述の第1乃至第7のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、第2の固定構造を備えていることで、第8の発明である胴綱用滑り止め具を装着した胴綱を木の幹に掛止した場合に、第1の固定構造による固定状態を解除するような力がシート体に作用する際に、胴綱からシート体が外れるのを妨げるという作用を有する。
【0020】
第9の発明である安全具は、作業者の腰に巻き付けられるベルト状の腰当てと、綱からなり、腰当てに固定金具を介して取設される胴綱と、この胴綱に着脱可能に装着されている第1乃至第8のいずれかの発明である胴綱滑り止め具と、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第9の発明において、腰当ては胴綱に連結されて作業者の体重を支えるという作用を有する。胴綱は、作業者が木登りをする場合や、木の幹の所望の位置にとどまる際に、幹の所望の位置に作業者の体を保持させて、作業者が落下するのを妨げるという作用を有する。
また、第1乃至第8のいずれかの発明である胴綱滑り止め具は、胴綱を木の幹に掛止させた際に、幹の周側面上において胴綱が滑るのを妨げるという作用を有する。
【発明の効果】
【0021】
このような第1の発明によれば、従来公知の安全具において胴綱を腰当ての固定金具に取設した後で、胴綱に第1の発明である胴綱用滑り止め具を巻回して着脱させることができる。
また、第1の発明によれば、第1の発明である胴綱用滑り止め具を胴綱に装着したものを木の幹に掛止した場合に、棘状の突起の頂部が木の幹の周側面に押し当てられてスパイクのように機能して、胴綱が幹の表面で滑るのを好適に防止することができる。
この結果、第1の発明を安全具に装着して木登り又は木の上での作業を行うことで、木の幹の表面で胴綱が滑って作業者が木から滑落するのを好適に防止することができる。
よって、第1の発明によれば、安全具を用いて木に登る場合や木の上で作業を行う場合の作業者の安全性を大幅に向上させることができる。
また、第1の発明である胴綱用滑り止め具は、その外形がシート状であるため嵩張り難く携行が容易であるというメリットも有している。
【0022】
第2の発明によれば、上述の第1の発明による効果と同じ効果に加えて、突起を鋼材により構成することで、突起の強度並びに耐久性を大幅に向上させることができる。
さらに、第2の発明によれば、シート体の主面側に突出する棘状の突起による胴綱の滑り止め効果を一層高めることができる。
【0023】
第3の発明によれば、上述の第1又は第2の発明による効果と同じ効果に加えて、突起がシート体の厚み方向の少なくとも一部を貫通して設けられていることで、シート体と突起の密着性を高めることができる。
この結果、シート体の表面に突起を貼設する場合に比べて、第3の発明である胴綱用滑り止め具の使用時に、シート体から突起が外れてしまうリスクを低減することができる。
よって、第3の発明によれば、より信頼性と安全性の高い胴綱用滑り止め具を提供することができる。
【0024】
第4の発明によれば、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による効果と同じ効果に加えて、突起を平面視した際に、突部の平面形状よりも広い抜け止め部を備えていることで、シート体から突起を一層外れ難くすることができる。
よって、第4の発明によれば、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明と比較してより信頼性と安全性の高い胴綱用滑り止め具を提供することができる。
【0025】
第5の発明によれば、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明による効果と同じ効果に加えて、突起がシート体にかしめられていることで、シート体から突起を一層外れ難くすることができる。
よって、第5の発明によれば、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明と比較してより信頼性と安全性の高い胴綱用滑り止め具を提供することができる。
【0026】
第6の発明によれば、上述の第1乃至第5のそれぞれの発明による効果と同じ効果に加えて、第1の固定構造が面ファスナであることで、胴綱へのシート体の着脱を容易にすることができる。
また、第6の発明によれば、シート体への第1の固定構造の取付けも容易にすることができ、かつ第1の固定構造を備えた第6の発明を廉価に提供できるというメリットも有する。
【0027】
第7の発明によれば、上述の第1乃至第6のそれぞれの発明による効果と同じ効果に加えて、シート体において少なくとも胴綱と接触する領域(シート体の裏面側)に滑り止め部材を設けることで、第7の発明を装着した胴綱を木の幹に掛止させた際に、胴綱の周側面上において第7の発明である胴綱用滑り止め具が滑るのを防止することができる。
よって、第7の発明によれば、より信頼性と安全性の高い胴綱用滑り止め具を提供することができる。
【0028】
第8の発明によれば、上述の第1乃至第6のそれぞれの発明による効果と同じ効果に加えて、胴綱に装着された胴綱用滑り止め具の周側面上から胴綱を緊縛することができる第2の固定構造を備えていることで、万一、胴綱用滑り止め具を装着した胴綱の使用時にシート体を固定する第1の固定構造が解除されても、胴綱から胴綱用滑り止め具が外れるのを防止することができる。
よって、第8の発明によれば、より信頼性と安全性の高い胴綱用滑り止め具を提供することができる。
【0029】
第9の発明は、上述の第1乃至第8のそれぞれの胴綱用滑り止め具を備えた安全具を物の発明として特定したものであり、第9の発明による効果は、第1乃至第8のそれぞれの発明による効果と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施例1に係る胴綱用滑り止め具の斜視図である。
図2】本発明の実施例1に係る胴綱用滑り止め具を胴綱に装着した様子を示す概念図である。
図3図2中のA−A線断面図である。
図4】本発明の実施例2に係る胴綱用滑り止め具の断面図である。
図5】(a)本発明の実施例3に係る胴綱用滑り止め具の断面図であり、(b)本発明の実施例3に係る胴綱用滑り止め具を胴綱に装着した様子を示す概念図である。
図6】本発明の実施例4に係る胴綱用滑り止め具の部分断面図である。
図7】本発明の実施例5に係る胴綱用滑り止め具の部分断面図である。
図8】従来技術に係る安全具の一例を示す斜視図である。
図9】(a)〜(d)はいずれも作業員が従来技術に係る安全具を用いて幹を登る様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態に係る胴綱用滑り止め具について実施例1乃至実施例4を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0032】
はじめに、図1乃至図3を参照しながら本発明の実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aについて説明する。
図1は本発明の実施例1に係る胴綱用滑り止め具の斜視図であり、図2は本発明の実施例1に係る胴綱用滑り止め具を胴綱に装着した様子を示す概念図である。さらに、図3図2中のA−A線断面図である。図8,9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図1,2に示すように実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aは、先の図8に示すような安全具13の胴綱15の周側面上に巻回されるシート体2と、硬質材からなり、かつシート体2の主面側に突出している複数の棘状の突起3と、シート体2に設けられ、かつこのシート体を筒状に保持させておくための第1の固定構造4と、を備えてなるものである。
【0033】
このような実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aにおけるシート体2は、例えば人の体重に相当する荷重により引っ張られた場合でも破損しないような十分な強度を有する材質により構成されていることが望ましい。このようなシート体としては、皮革や、天然素材の繊維又は合成繊維からなる織物や、合成樹脂等の成形体、あるいはこれらに表面処理を施してなるシート体を支障なく使用することができる。
【0034】
また、実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aの突起3は、衝撃等により容易に破損しない硬質材により構成することが望ましい。例えば、人の体重に相当する荷重を突起3に対して加えた場合でも変形しない合成樹脂や金属製とするのがよい。さらに、特に突起3を金属により構成する場合は、高い強度が期待できる鋼材を用いることが望ましい。
【0035】
また、このような実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aは、図2に示すように胴綱15の周側面上に巻回した状態で用いられる。このため、実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aは、胴綱15の周側面上にシート体2を巻回した際に、その状態を維持しておくための第1の固定構造4を備えている必要がある。
このような第1の固定構造4は、胴綱15の周側面上においてシート体2が巻回された状態を維持しておくことができればどのような構造でもよい。
【0036】
実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aでは、第1の固定構造4として例えば、オスタイプ及びメスタイプからなる面ファスナを用いることができる。
この場合、図1乃至図3に示すように、シート体2の一方の端部の主面側(突起3が突設される側の面)にオスタイプ又はメスタイプの面ファスナ5aを設けておき、シート体2の他の端部の裏面側にメスタイプ又はオスタイプの面ファスナ5bを設けておくとよい。
そして、胴綱15にシート体2を巻回した際に、図2,3に示すように、シート体2のそれぞれの端部に設けられている面ファスナ5a,5b同士を重ね合わせることでシート体2の端部を着脱可能に固定することができる。これにより、胴綱15の周側面上に、シート体2を着脱可能に装着することができる。
なお、図1,2ではシート体2の端部に、細帯状の面ファスナ5a及び面ファスナ5bを設ける場合を例に挙げて説明しているが、面ファスナ5a及び面ファスナ5bの幅は図示されるものに特定される必要はなく、胴綱15の周側面上を巻回できる程度の十分な幅を有していてもよい。この場合、胴綱15の周側面上にシート体2が巻回されて1層以上の層構造をなす場合もある。
【0037】
このような実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aを用いて木の幹に登るには、まず、先の図8に示す胴綱15において保護カバー17が設けられている部分に先の図1に示す実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aのシート体2を、図2に示すように胴綱15の周側面上に巻回して固定する。なお、胴綱15は、図8に示すような保護カバー17を備えていなくともよい。
この後は、先の図9に示す要領で安全具13を用いて木の幹18に登ればよい。
【0038】
また、安全具13の胴綱15に装着する胴綱用滑り止め具1Aの数は単数である必要はなく、胴綱15を用いて木の幹18を登る際に、胴綱15と木の幹18とが接触する部分の全域に実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aを隙間なく装着してもよいし、所望間隔毎に複数の胴綱用滑り止め具1Aを装着してもよい。
このような実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aを安全具13の胴綱15に装着した場合は、先の図9(a)〜(d)に示す状態において、胴綱15と木の幹18との間に、実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aが介設されることなる。
この場合、シート体2の主面側に突設される突起3がスパイクのような働きをして、木の幹18の表面における胴綱15の滑りを防止することができる。
したがって、作業者は実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aを備えた安全具13を用いることで、作業者19は安全に木の幹18を登り降りすることができる。
【0039】
上述の通り実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aは、安全具13の胴綱15と木の幹18との間に介設された状態で使用されるため、個々の突起3には大きな荷重が作用する。
このため、突起3をシート体2の表面に単に接着しただけでは、実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aの使用時に突起3がシート体2から容易に剥がれてしまうおそれがある。また、シート体2から突起3が不意に外れてしまった場合は、木の幹18の表面に対する胴綱15の滑り止め効果が十分に発揮されなくなる。
この場合、木登りの最中に胴綱15が滑ってしまうと、作業者19が木の幹から落下してしまう恐れもあり極めて危険である。
【0040】
このような事情に鑑み、本発明の実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aでは、図3に示すように、突起3をシート体2の厚み方向の少なくとも一部を貫通させながらシート体2に固設してもよい。
この場合、突起3がシート体2の主面上に単に接合するのではなく、シート体2に突起3が掛止されるので、実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aの使用時に、シート体2から突起3が不意に外れてしまうリスクを低減することができる。
さらに、実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aでは、図3に示すように突起3を突部3aとその根元に形成される抜け止め部3bとにより構成しておき、突部3aをシート体2の主面側に導出させるとともに、抜け止め部3bをシート体2の内部又は裏面側に配してもよい。なお、突起3を側面視した場合、抜け止め部3bの最大直径は、突部3aの最大直径よりも大きくなるよう構成されている。
実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aが、このような突部3a及び抜け止め部3bからなる突起3を備えていることで、シート体2に突起3を設けた際に、シート体2から突起3を一層外れ難くすることができる。
【0041】
なお、突起3がシート体2の厚み方向の全てを貫通している場合は、突起3が抜け止め部3bを備えていても、シート体2において突起3を挿通させる穴が広がるなどした場合は、実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aの使用時に突起3が抜けてしまうリスクが高まる。
このような事情に鑑み、図3に示すように、例えばシート体2を第1の層2aと第2の層2bからなる層構造とし、これらの接合部分に突起3の抜け止め部3bを介設してもよい。この場合、第1の層2a、第2の層2b及び突起3は互いに図示しない接着剤等により一体化しておくとよい。
このように、シート体2の厚み方向内部に突起3の抜け止め部3bを埋設することで、シート体2から突起3を一層抜けにくくすることができる。この結果、実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aによれば、シート体2に対する突起3の接着部分における信頼性が高く、かつ使用時の安全性に優れた胴綱用滑り止め具を提供することができる。
【0042】
また、特に図示しないが、突起3が突部3a及び抜け止め部3bからなる場合に、抜け止め部3bに複数の貫通孔(選択的構成要素)を散在させた状態で形成しておいてもよい。
このような突起3は、抜け止め部3bに形成されている貫通孔を利用して、抜け止め部3bをシート体2の主面側に縫着することができる。この場合、突起3をシート体2の主面側に接着する場合よりも、突起3がシート体2から外れるリスクを大幅に軽減することができる。
また、このような抜け止め部3b及び貫通孔を備えている突起3は、シート体2の厚み方向の一部を貫通した状態でシート体2に設ける場合でも、貫通孔を利用してシート体2に突起3の抜け止め部3bを縫着することができる。
この場合は、図3に示される、シート体2に対する突起3の固定強度を一層高めることができるという効果を有する。
【実施例2】
【0043】
次に、図4を参照しながら実施例2に係る胴綱用滑り止め具について詳細に説明する。
図4は本発明の実施例2に係る胴綱用滑り止め具の断面図である。なお、図1乃至図3,8,9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4に示すように、実施例2に係る胴綱用滑り止め具1Bは、先の実施例1に係る胴綱用滑り止め具1Aと同じ構成に加えて、シート体2において少なくとも胴綱15と接触する領域(シート体2の裏面側)にシート体2に一体に固設されている滑り止め部材7を備えているものである。
なお、特に図示しないが、シート体2が第1の層2a及び第2の層2bの多層構造からなる場合は、滑り止め部材7と第2の層2bとを兼用してもよい。
また、図4では、シート体2の裏面にシート状の滑り止め部材7を貼設する場合を例に挙げて説明しているが、この形態に特定される必要はなく、シート体2の裏面に滑り止め部材からなるエンボス加工を施してもよい。
【0044】
このような実施例2に係る胴綱用滑り止め具1Bによれば、先の図8に示す安全具13の胴綱15に実施例2に係る胴綱用滑り止め具1Bを装着した際に、シート体2と胴綱15の間に滑り止め部材7が介設されることになる。
この場合、実施例2に係る胴綱用滑り止め具1Bを装着した安全具13を用いて先の図8に示す要領で木の幹18に登る場合に、胴綱15を幹18に掛止した際に、胴綱15の周側面上においてシート体2の裏面がスリップするのを好適に防止することができる。
この場合、安全具13の胴綱15に装着された実施例2に係る胴綱用滑り止め具1Bが胴綱15と一体となって機能するので、作業者19が安全具13を用いて木の幹18に登る際の安全性を一層向上させることができるというメリットを有している。
【実施例3】
【0045】
さらに、図5を参照しながら本発明の実施例3に係る胴綱用滑り止め具について詳細に説明する。
図5(a)は本発明の実施例3に係る胴綱用滑り止め具の断面図である。(b)は本発明の実施例3に係る胴綱用滑り止め具を胴綱に装着した様子を示す概念図である。なお、図1乃至図4,8,9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例3に係る胴綱用滑り止め具1Cは、第1の固定構造4として面ファスナ5a及び面ファスナ5b以外の構成を備えてなるものである。
より具体的には、実施例3に係る胴綱用滑り止め具1Cは、第1の固定構造4としてシート体2の一の端部側にハトメ8を、またシート体2の他の端部側にこのハトメ8の貫通孔9に挿通させるための突起3を備えてなるものである。
この場合、図5(b)に示すようにシート体2の他の端部に配されている突起3を、ハトメ8の貫通孔9に挿通させることで、胴綱15の周側面上にシート体2を固定することができる。
また、実施例3に係る胴綱用滑り止め具1Cでは、シート体2において第1の固定構造4をなす突起3も、木の幹18に登る際の滑り止め用のスパイクとして使用することができる。
【実施例4】
【0046】
続いて、図6を参照しながら実施例4に係る胴綱用滑り止め具について詳細に説明する。
図6は本発明の実施例4に係る胴綱用滑り止め具の部分断面図である。なお、図1乃至図5,8,9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図6に示すように、実施例4に係る胴綱用滑り止め具1Dは、シート体2に突起3をかしめたものである。
より具体的には、実施例4に係る突起3は、突部3aと抜け止め部3bとが別体からなるものである。このような実施例4に係る突起3の突部3aはその底面に挿入穴11と、この挿入穴11に続く中空部10を備えている。また、実施例4に係る突起3の抜け止め部3bは、平板状の抜け止め部3bの中央に挿入部12を備えている。
そして、このような実施例4に係る突起3をシート体2に取り付けるには、抜け止め部3bに設けられる挿入部12を、シート体2の裏面側からシート体2の厚み方向に貫通させた後、この挿入部12を突部3aの底面に形成されている挿入穴11から中空部10内へと挿通させる。
この後、専用の治具(図示せず)で突部3aを固定した状態で、抜け止め部3bの挿入部12が突設されない側の面を強打すると、突部3aの中空部10内に挿入された挿入部12の先端が中空部10の底に当って変形して変形部12aとなり、図6に示すような挿入穴11からの抜け止めとなる。
【0047】
上述のような実施例4に係る胴綱用滑り止め具1Dによれば、シート体2に突起3を強固に固設することができるので、実施例1乃至3に係る胴綱用滑り止め具1A〜1Cよりもより安全性に優れた胴綱用滑り止め具を提供することができる。
【0048】
最後に、図7を参照しながら実施例5に係る胴綱用滑り止め具1Eについて説明する。
図7は、本発明の実施例5に係る胴綱用滑り止め具の部分断面図である。なお、図1乃至図6,8,9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の図1乃至図6では、シート体2に対して突起3を個別に設ける場合を例に挙げて説明してきたが、複数の突起3を一体化したものをシート体2に固設することによっても同等の作用効果を発揮させることができる。
より具体的には、実施例5に係る胴綱用滑り止め具1Eにおける突起21は、複数の棘状の突部21aの根元部分が連結部21bにより一体に連結されてなるものである。
そして、実施例5に係る胴綱用滑り止め具1Eでは、このような突起21をシート体2に糸22により縫着することで一体に固定してなるものである。
もちろん、突起21の固定方法としては糸22による縫着のみでなく、接着剤による固定を併用してもよい。
【0049】
また、図7ではシート体2の主面側に突起21を載置するようにして固設しているが、突起21の突部21aをシート体2の厚み方向を貫通させながら突起21を配置してから、シート体2の裏側において連結部21bを糸22により縫着してもよい(図示せず)。この場合はシート体2の主面側に突起21を載置するようにして縫着する場合に比べて、シート体2から突起21が外れるリスクを一層低減させることができる。
このように、シート体2に対して接着剤以外の固定構造又は固定部材を用いて突起3や突起21を固定する場合は、シート体2に対して接着材のみを用いて突起3や突起21を固設する場合に比べて、より強固に突起3や突起21をシート体2に固設することができる。この結果、発明品に係る胴綱用滑り止め具の使用時の作業者19の安全性を一層向上させることができる。
【0050】
さらに、特に図示しないが、上述の実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具は、シート体2に一体に固設され、又は、シート体2とは別体に設けられ、かつ胴綱15に巻回されている実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具の上から緊縛することができるバンド状の第2の固定構造を備えていてもよい。
このような第2の固定構造は、単なる紐やバンド体を結んで固定できるよう構成されるものでもよいし、又は、解除構造付きの結束バンド(インシュロック)を用いてもよい。あるいは、解除構造を備えない結束バンド(インシュロック)を使い捨て部材として備えていてもよい。
そして、上述の実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具がこのような第2の固定構造を備えている場合は、実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具の使用時に、何らかの原因で第1の固定構造4が外れてしまった場合でも、第2の固定構造により実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具が胴綱15から完全に外れてしまうのを防止することができる。つまり、この第2の固定構造は、実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具における安全装置として機能するものである。
この結果、作業者19が実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具を備えた胴綱15を用いて木の幹18を登る際に、胴綱15からが実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具が外れて、木の幹18の表面上で胴綱15がスリップするのを好適に防止することができる。
したがって、実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具の使用時における作業者19の安全性を一層向上させることができる。
【0051】
上述のような実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具によれば、先の図安全具13に示す胴綱15に装着して用いることで、作業者19が木の幹18を登り降りする際の作業者19の安全性を向上させるという効果を有する。
さらに、実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具を備えることで安全具13の使用時に、胴綱15が木の幹18に直接触れないので、胴綱15自体の損傷を防止して、胴綱15の耐久性が低下するのを防止することができる。
また、上述のような実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具では、シート体2に対する突起3の十分な接合強度を有しているものの、経時劣化に伴うシート体2からの突起3の落脱は避けられない。実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具が劣化した場合、シート体2から全ての突起3が一時に外れるということはなく、突起3のどれかが徐々にシート体2から落脱することになる。この場合、シート体2から突起3が取れ始めることで、作業者19は発明品に係る胴綱用滑り止め具の劣化が進んでいることを認識することができ、その胴綱用滑り止め具の使用をやめる、あるいは新しいものに交換するなどの対策を講じることができる。
よって、実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具を使用して木の幹を登りする際に、発明品である胴綱用滑り止め具が突如致命的に破損して作業者19の落下事故が起こるのを回避することができる。よって、この点からも実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具を用いる場合の安全性を向上させることができる。
また、実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具は、図8に示す安全具13において、胴綱15の端部をその固定金具16である伸縮調整具16cに挿通させた後の胴綱15に対して着脱させることができるので、その取扱いが極めて容易である。したがって、実施例1乃至実施例5に係る胴綱用滑り止め具によれば作業者19にとって極めて使い勝手の良い胴綱用滑り止め具を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように本発明は、木登り用の安全具に対する着脱が容易でかつ、この安全具を用いて木に登り降りする際の作業者の安全性を向上させることができる胴綱用滑り止め具およびそれを備えてなる安全具であり、電力設備の保守点検や林業に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1A〜1E…胴綱用滑り止め具 2…シート体 2a…第1の層 2b…第2の層 3…突起 3a…突部 3b…抜け止め部 4…第1の固定構造 5a…面ファスナ 5b…面ファスナ 7…滑り止め部材 8…ハトメ 9…貫通孔 10…中空部 11…挿入穴 12…挿入部 12a…変形部 13…安全具 14…腰当て 15…胴綱 16…固定金具 16a…掛止リング 16b…掛止フック 16c…伸縮調整具 17…保護カバー 18…幹 19…作業者 20…ガニ 21…突起 21a…突部 21b…連結部 22…糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9