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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-201086(P2019-201086A)
(43)【公開日】2019年11月21日
(54)【発明の名称】処理装置、部材及び温度制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20191025BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20191025BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-94092(P2018-94092)
(22)【出願日】2018年5月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】片岡 瑛太郎
【テーマコード(参考)】
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004BA09
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004CA04
5F004CA06
5F004EA28
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA12
5F131AA32
5F131AA33
5F131AA34
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA03
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB14
5F131EB16
5F131EB78
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB84
5F131HA22
5F131HA28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】流路が形成された部材の温度分布を調整し、冷却効率及び冷媒精度を向上させる処理装置、部材及び温度制御方法を提供する。
【解決手段】内部に処理空間を有する処理容器と、処理容器に配置される載置台11と、載置台11の内部に形成される冷媒流路12、13と、を有する。冷媒流路12、13は、載置台11の基台16の処理空間側の面に対して垂直方向に複数段に設けられ、冷媒は処理空間側の面に近い冷却流路12から流入され、遠い側の冷却流路13から流出される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に処理空間を有する処理容器と、
前記処理容器に配置される部材と、
前記部材の内部に形成される流路と、を有し、
前記流路は、前記部材の処理空間側の面に対して複数段に設けられる、
処理装置。
【請求項2】
前記流路を流れる熱媒体は、前記部材の処理空間側の面に近い側の第1流路から流入し、前記部材の処理空間側の面に遠い側の第2流路から流出する、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記第1流路は、渦巻状又はリング状に形成される、
請求項2記載の処理装置。
【請求項4】
前記第2流路は、中空に形成される、
請求項2又は3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記第2流路に設けられる熱媒体の入口と出口とは、該第2流路の中心軸に対して点対称の位置であって該流路の外縁又はその近傍に設けられる、
請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記第2流路の内部に熱媒体の流れを偏向させる部材を設ける、
請求項2〜5のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記処理装置は、
前記部材の処理空間側の面と反対側の面に接触するOリングを有する、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項8】
処理容器の処理空間に向けて配置される部材であって、
前記部材は、内部に形成される流路を有し、
前記流路は、前記部材の処理空間側の面に対して複数段に設けられる、
部材。
【請求項9】
各段の前記流路のうち前記部材の処理空間側の面に近い側の第1流路に熱媒体が流入する入口が設けられ、前記部材の処理空間側の面に遠い側の第2流路に前記熱媒体が流出する出口が設けられた、
請求項8に記載の部材。
【請求項10】
内部に処理空間を有する処理容器と、
前記処理容器に配置される部材と、
前記部材の内部に形成される流路と、
前記部材の処理空間側の面と反対側の面に接触するOリングと、
を有する処理装置の温度制御方法であって、
前記流路は、前記部材の処理空間側の面に対して複数段に設けられ、
第1の温度の熱媒体を前記部材の処理空間側の面に近い側の第1流路から流入させ、前記部材の処理空間側の面に遠い側の第2流路から流出させる第1の工程と、
前記第1の温度と異なる温度の第2の温度の熱媒体を、前記第1流路から流入させ、前記第2流路から流出させる第2の工程と、
を有する温度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置、部材及び温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、冷却流路内を流れる冷媒の流量を減少させることなく、冷却効率及び冷媒精度の向上を図ることができるとともに、小型化及び低コスト化を図ることができる半導体冷却装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−258624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、流路が形成された部材の温度分布を調整することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一の態様によれば、内部に処理空間を有する処理容器と、前記処理容器に配置される部材と、前記部材の内部に形成される流路と、を有し、前記流路は、前記部材の処理空間側の面に対して複数段に設けられる、処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、流路が形成された部材の温度分布を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来の載置台の冷却流路の一例を示す図。
図2】一実施形態に係るプラズマ処理装置の一例を示す縦断面図。
図3】一実施形態に係る載置台の冷却流路の一例を示す図。
図4】一実施形態に係る上段の冷却流路の一例を示す図。
図5】一実施形態に係る下段の冷却流路の一例を示す図。
図6】一実施形態に係る冷媒の温度制御方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0009】
[はじめに]
はじめに、従来の載置台の冷却流路の一例について、図1を参照しながら説明する。図1は、載置台11に形成された、従来の冷却流路12の一例を示す図である。載置台11は基台16と静電チャック20とを有する。載置台11の上には静電チャック20が配置され、静電チャック20の上にはウェハWが載置される。
【0010】
基台16はアルミニウム、チタン等から形成されている。基台16の内部には冷媒管12aが設けられ、その内部が冷却流路12になっている。冷媒管12aは、冷媒入口配管110と冷媒出口配管115とに接続されている。チラーユニット105は、冷媒を所定の温度に制御して出力する。チラーユニット105から出力された所定の温度の冷媒は冷媒入口配管110→冷媒管12a(冷却流路12)→冷媒出口配管115→チラーユニット105の経路を循環する。このようにして循環する冷媒により載置台11の温度が制御され、これにより、ウェハWの温度が調整される。
【0011】
チラーユニット105のみで温度制御を行う場合、温度変化による膨張と収縮の繰り返しによって樹脂等で形成されたOリング17が変形する。これにより、基台16と基台16を支持する支持部材15との間にて真空空間と大気空間とを遮断するOリング17の機能が低下し、載置台11が置かれた処理装置の真空空間と大気空間とが連通する不具合が生じることがある。特に温度差が大きい冷媒による急激な温度制御が行われると、載置台11の内部の温度変化が大きくなり、上記の不具合が生じ易くなる。
【0012】
そこで、基台16のOリング17に接する部分の温度変化を緩やかにすることが可能な載置台11が配置されたプラズマ処理装置1について説明する。載置台11は、階層化した流路を持つ。
【0013】
[プラズマ処理装置の構成]
まず、本開示の一実施形態に係るプラズマ処理装置1の構成の一例について、図2を参照しながら説明する。図2は、一実施形態に係るプラズマ処理装置1の一例を示す縦断面図である。本実施形態では、プラズマ処理装置1の一例として容量結合型の平行平板プラズマ処理装置を挙げる。
【0014】
プラズマ処理装置1は、例えば表面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムからなる円筒状の処理容器10を有している。処理容器10は、接地されている。処理容器10の内部には、ウェハWを載置する載置台11が設けられている。載置台11は、絶縁性の支持部材15を介して処理容器10の底部に設置される。基台16と基台16を支持する支持部材15との間には、真空空間と大気空間とを遮断するOリング17が設けられている。
【0015】
載置台11は、基台16及び静電チャック20を含む。静電チャック20は、絶縁体21bの間に吸着電極21aを介在させた構造を有している。吸着電極21aには、直流電源112が接続されている。吸着電極21aに直流電源112から直流電圧が印加されると、ウェハWが静電チャック20に静電吸着される。絶縁体21b中の吸着電極21aの下にはヒータ14が組み込まれている。
【0016】
基台16は、導電性の金属、例えばアルミニウム(Al)やチタン(Ti)、導電性の炭化ケイ素(SiC)等で構成されている。基台16の内部には、複数段の冷却流路12、13を形成する冷媒管12a、13aが設けられている。
【0017】
冷媒管12aには冷媒入口配管110が接続され、冷媒管13aには冷媒出口配管115が接続されている。冷媒入口配管110及び冷媒出口配管115はチラーユニット105に接続されている。
【0018】
チラーユニット105から出力される、例えば冷却水、ガルデン、フロリナート(登録商標)等の冷媒は、熱媒体の一例である。冷媒は、チラーユニット105にて設定温度に制御され、冷媒入口配管110に繋がる冷媒管12aの入口INから上段の冷却流路12内に流入する。そして、冷媒は、基台16内の冷却流路12を流れた後、冷媒管12aの出口Vから出口Vに繋がる冷媒管13aの冷却流路13内を流れる。そして、冷媒管13aの出口OUTから冷媒出口配管115を流れ、チラーユニット105に戻る。このようにして、載置台11は、その内部を循環する冷媒により冷却される。なお、冷却流路12,13は、ウェハWの直径と同じ程度又はそれ以上の幅を有していればよい。
【0019】
ヒータ14は、交流電源104から給電される。これにより、載置台11が加熱される。載置台11の温度調整は、冷却流路12,13に流れる冷媒による冷却及びヒータ14による加熱により行われる。ヒータ14の設定温度とチラーユニット105の冷媒の設定温度とが決まると、ヒータ14に印加する電力が決まる。かかる構成により、ウェハWの温度を所望の温度に制御することができる。なお、ヒータ14は、設けなくてもよい。
【0020】
ウェハWの外周側には、例えば単結晶シリコンで形成されたエッジリング25が設けられている。さらに、エッジリング25及び載置台11の外周面を囲むように、例えば石英等からなる中空のカバーリング26及び円筒状のインシュレータリング27が設けられている。
【0021】
基台16には、整合器33を介して高周波電源32が接続され、また、整合器35を介して高周波電源34が接続されている。高周波電源32からは、所定の周波数のプラズマ発生用の高周波HFの電力が基台16に供給される。高周波電源34からは、高周波電源32から出力される周波数よりも低い周波数のイオン引き込み用の高周波LFの電力が基台16に供給される。かかる構成により、載置台11は、下部電極としての機能を有する。なお、図示していないが、ウェハWの裏面と静電チャック20の表面との間には、ヘリウムガス等の伝熱ガスが供給されてもよい。
【0022】
載置台11の上方には、載置台11に対向して上部電極として機能するシャワーヘッド40が設けられている。載置台11とシャワーヘッド40との間は、プラズマが生成される処理空間Uとなっている。なお、プラズマ発生用の高周波HFの電力は、下部電極に印加される替わりに上部電極に印加されてもよい。
【0023】
シャワーヘッド40は、本体部40a及び天板40bを有し、処理容器10の天井部に設けられている。シャワーヘッド40は、絶縁性部材41を介して処理容器10に支持される。本体部40aは、導電性材料、例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウムから形成されてもよい。天板40bは、本体部40aの下部にて本体部40aに着脱自在に支持されている。
【0024】
本体部40aの内部には、中央側のガス拡散室50a及び外周側のガス拡散室50bが設けられている。天板40bには、各ガス拡散室50a、50bに連通する多数のガス孔55が形成されている。
【0025】
また、本体部40aには、ガス拡散室50a、50bへ処理ガスを導入するためのガス導入口45が形成されている。ガス導入口45にはガス供給配管46が接続されており、ガス供給配管46には、ガス供給部30が接続されている。ガス供給部30からは、プラズマエッチング等の所定の処理ガスが、ガス供給配管46を介してガス拡散室50a、50bに供給される。ガス拡散室50a、50bにて拡散された処理ガスは、ガス孔55を介して処理容器10内にシャワー状に分散して供給される。ガス導入口45の部材と本体部40aとの間には、真空空間と大気空間とを遮断するOリング49が設けられている。
【0026】
天板40bの内部には、複数段の冷却流路42、43を形成する冷媒管42a、43aが設けられている。冷媒管42aには冷媒入口配管120が接続され、冷媒管43aには冷媒出口配管125が接続されている。冷媒入口配管120及び冷媒出口配管125はチラーユニット105に接続されている。ただし、冷媒用の冷媒管42a、43aに接続されるチラーユニットは、チラーユニット105であってもよいし、別のチラーユニットであってもよい。
【0027】
チラーユニット105から出力された冷媒は、冷媒入口配管120に繋がる冷媒管42aの入口から下段の冷却流路42内に流入し、天板40b内の冷却流路42を流れた後、冷媒管42aの出口に繋がる冷媒管43aの上段の冷却流路43内を流れる。そして、冷媒管43aの出口から冷媒出口配管125に流出し、チラーユニット105に戻る。このようにして、シャワーヘッド40は、その内部を循環する冷媒により冷却される。なお、冷却流路42,43は、ウェハWの直径と同じ程度又はそれ以上の幅を有していればよい。
【0028】
処理容器10の底部には、排気管60が形成されており、排気管60を介して排気装置65が接続されている。排気装置65は、真空ポンプを有しており、この真空ポンプを作動させることにより処理容器10内を所定の真空度まで減圧する。処理容器10内の側壁には、ウェハWの搬入出口67が設けられており、この搬入出口67には、当該搬入出口67を開閉するゲートバルブ68が設けられている。
【0029】
プラズマ処理装置1は、制御部100によって制御される。制御部100には、CPUとメモリとユーザインターフェースとが設けられている。ユーザインターフェースは、工程管理者がプラズマ処理装置1を管理するためにコマンドの入力操作を行うキーボードや、プラズマ処理装置1の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等から構成されている。
【0030】
メモリには、CPUの制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウェア)やチラーユニットの冷媒の設定温度等、処理条件に関するデータが記憶されたレシピが格納されている。また、制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータで読取り可能なコンピュータ記憶媒体(例えば、ハードディスク、CD、フレキシブルディスク、半導体メモリ等)などに格納された状態のものを利用してもよい。制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで使用することも可能である。
【0031】
ウェハWの搬送時には、ゲートバルブ68が開き、搬入出口67からウェハWが処理容器10に搬入されると、リフトピンが上昇し、ウェハWはアームからリフトピンに受け渡され、リフトピンに支持される。リフトピンは、モーター等の駆動により上下動する。リフトピンが下降し、ウェハWが載置台11に載置されると、直流電源112から吸着電極21aに直流電圧が印加され、ウェハWが静電チャック20に吸着され、保持される。
【0032】
また、ガス供給部30から処理容器10内に処理ガスが供給され、高周波電源32から載置台11にプラズマ生成用の高周波HFの電力が印加される。高周波電源34から載置台11にイオン引き込み用の高周波LFの電力が印加されてもよい。これにより、ウェハWの上方に生成されたプラズマの作用とイオン引き込みによりウェハWにプラズマ処理、例えばエッチングが施される。
【0033】
なお、本実施形態に係るプラズマ処理装置1では、複数段の冷却流路が載置台11及びシャワーヘッド40に形成されている。いずれの部材においても、チラーユニット105から出力された冷媒は、処理空間Uに近い側の流路にダイレクトに入り、処理空間Uから遠い側の流路から出て、チラーユニット105に戻る。
【0034】
なお、載置台11及びシャワーヘッド40は、処理容器10に配置される部材であって、複数段の冷却流路が設けられ、熱媒体により温度制御を行う対象の部材の一例である。複数段の冷却流路を設ける部材は、載置台11又はシャワーヘッド40に限られず、プラズマ処理装置1に使用するいずれの部材であってもよい。
【0035】
[冷却流路]
次に、一実施形態に係る載置台11の冷却流路の一例について、図3図5を参照して詳述する。図3は、一実施形態に係る載置台11の冷却流路12,13を含む冷却機構の一例を示す図である。図4は、一実施形態に係る上段の冷却流路12の一例を示す図である。図5は、一実施形態に係る下段の冷却流路13の一例を示す図である。
【0036】
冷媒管12a、13aにより形成される冷却流路12、13は、載置台11の基台16の処理空間U側の面に対して垂直方向に複数段に設けられている。冷媒は、冷却流路12,13のうち基台16の処理空間U側の面に近い側の冷却流路12から流入し、基台16の処理空間U側の面に遠い側の冷却流路13から流出する。
【0037】
具体的には、冷媒は、チラーユニット105にて設定温度に制御される。チラーユニット105は、ポンプ106、高温タンク108、低温タンク109、弁体107a及び弁体107bを有する。
【0038】
高温タンク108では、冷媒の温度を第1の温度(例えば、90℃)に制御する。低温タンク109では、冷媒の温度を第1の温度よりも低温の第2の温度(例えば、10℃)に制御する。
【0039】
弁体107a及び弁体107bの開閉を切り替えることにより、高温タンク108又は低温タンク109の冷媒がポンプ106に流れる。弁体107aを開き、弁体107bを閉じると、高温タンク108から第1の温度の冷媒がポンプ106に供給される。弁体107bを開き、弁体107aを閉じると、低温タンク109から第2の温度の冷媒がポンプ106に供給される。
【0040】
ポンプ106は、インバータにより動作周波数を変化させることで出力する冷媒の流量を制御する。ポンプ106から出力した冷媒は、冷媒入口配管110に繋がる冷媒管12aの入口INから上段の冷却流路12内に流入する。冷媒は、冷却流路12を流れた後、冷媒管12aの出口Vから出口Vに繋がる冷媒管13aの冷却流路13内に入る。そして、冷媒管13aの出口OUTから冷媒出口配管115に流出し、チラーユニット105内の高温タンク108及び低温タンク109に戻り、各設定温度に制御される。このようにして、載置台11及びウェハWの温度が調整される。
【0041】
基台16の処理空間U側の面16aと反対側の面16bには、絶縁性の支持部材15との間に樹脂のOリング17が設けられている。チラーユニット105が制御する冷媒の温度が、例えば、10℃と90℃というように温度差があり、載置台11にて急激な温度制御が行われる場合、載置台11には急激な温度変化が生じる。その温度変化による膨張と収縮の繰り返しによってOリング17が変形する。
【0042】
これに対して、本実施形態に係る複数段の冷却流路12,13では、チラーユニット105から出力された冷媒は、処理空間Uに近い側の冷却流路12にダイレクトに入り、処理空間Uから遠い側の冷却流路13から出る。
【0043】
これによれば、基台16の上面16aと上段の冷却流路13との間の基台16の温度変化は大きくした状態で、基台16の下面16bと下段の冷却流路13との間の基台16の温度変化を緩やか(温度変化量を小さく)することができる。これにより、ウェハWの温度の制御性を担保しながら、Oリング17の変形を抑制することができる。
【0044】
冷却流路12、13の構成について、図4及び図5を参照しながら説明を続ける。図4に示すように、基台16に設けられた上段の冷却流路12は、渦巻状の冷媒管12aにより形成されている。上段の冷却流路12は、同心円状にリング状に形成されてもよい。冷却流路12の幅は、例えば10mm〜15mm程度であってもよい。冷却流路12の高さは固定ではなく、冷却流路12の幅に応じて設計されてもよい。
【0045】
冷却流路12の端部には、冷媒入口配管110とつながる入口INの穴と、冷却流路13に繋がる出口Vの穴とが形成される。チラーユニット105から供給される冷媒は、入口INの穴から流入し、渦巻状の冷却流路12を、時計回りに内側に向かって流れ、中央部にて流れの向きを変え、反時計回りに外側に向かって流れ、出口Vの穴から冷却流路13に流出する。かかる構成により、図3に破線の矢印で示すように冷却流路12を流れる冷媒は、出口Vから冷却流路13内に流れる。
【0046】
図5に示すように、下段の冷却流路13は、中空である。冷却流路13に設けられる冷媒の入口(冷却流路13の出口Vと連通する部分)と出口OUTとは、円板状の冷却流路13の中心点Oに対して概ね点対称の位置であって冷却流路13の外縁又はその近傍に設けられることが好ましい。これにより、冷媒が、冷却流路13内に滞在する時間を長くすることで、基台16の下面16bと冷却流路13との間の基台16の温度変化を緩やかにしてOリング17の変形を抑制することができる。
【0047】
また、冷却流路13内の冷媒の流れを偏向させる部材を設けてもよい。例えば、図5の例では、冷却流路13内に弁板13b、13cが設けられている。弁板13b、13c、13dは、回転軸13b1、13c1、13d1を中心として回転可能に設けられている。これにより、より長時間冷媒を滞留させ、冷却流路13内の冷媒の温度をより均一にすることで、基台16の下面16bと冷却流路13との間の基台16の温度変化をより緩やかにすることができる。これにより、Oリング17の変形を効率的に抑制することができる。弁板13b、13c、13dは3つでなくてもよく、1つ以上であればよい。また、回転する弁板に限られず、冷媒の流れを阻害する部材であればよい。冷媒の流れを阻害する部材を、冷媒の入口(冷却流路13の出口Vと連通する部分)と出口OUTとを結ぶ線の間に配置すると、冷媒の流れを効果的に阻害できるため好ましい。
【0048】
なお、冷却流路13内の冷媒の流れを偏向させる部材は、弁板に限られず、様々な形状を有することができる。例えば、冷却流路13内の冷媒の流れを偏向させる部材は、棒状部材であってもよく、冷媒の流れを偏向可能な部材であってもよい。
【0049】
以上に説明したように、本実施形態に係る載置台11によれば、複数段の冷却流路12、13を有し、処理空間Uに近い側の冷却流路12を渦巻状にする。これにより、基台16の上面16aと冷却流路12との間の基台16の温度変化を素早く行い、ウェハWの温度の制御性を高めることができる。
【0050】
加えて、冷却流路13を中空にし、冷却流路12から流入した冷媒を、冷媒の流れを阻害する部材やその他の構成を用いてより長時間滞留させ、冷却流路13内の冷媒の温度をより均一にする。例えば、冷却流路13に冷却流路12のような溝を形成してもよいが、そうすると冷却流路13と冷媒との摩擦が増えるために、チラーユニット105の押出し圧力を大きくする必要がある。このため、冷却流路13内は、中空であることがより好ましい。
【0051】
かかる構成の冷却流路12,13を有する載置台11を使用した効果の一例としては、基台16の下面16bと冷却流路13との間の基台16の温度変化を、チラーユニット105が制御する2つの設定温度の冷媒の温度差を小さくすることができる。
【0052】
例えば、チラーユニット105が制御する冷媒の第1の温度と第2の温度が10℃及び90℃である場合、基台16の下面16bと下段の冷却流路13との間の基台16の温度変化80℃の約1/3である30℃程度に緩やかにすることができる。
【0053】
以上の説明では、載置台11を例に挙げて冷却流路12,13の構成を説明したが、シャワーヘッド40に形成された冷却流路42,43についても同様に機能する。すなわち、冷却流路12、42は、部材の処理空間U側の面に近い側の第1流路の一例であり、冷却流路13、43は、部材の処理空間U側の面に近い側の第2流路の一例である。下段の冷却流路42は、例えば渦巻状又はリング状に形成されることが好ましい。上段の冷却流路43は、中空に形成されることが好ましい。
【0054】
かかる構成の冷却流路42,43を有するシャワーヘッド40を使用した場合、冷却流路42によりプラズマが生成される処理空間U側のシャワーヘッド40を素早く冷却することができる。加えて、天板40bの上面と冷却流路43との間の天板40bの温度変化を緩やかにすることができる。例えば、第1の温度の冷媒と第2の温度の冷媒との温度差の1/3程度にすることができる。これにより、温度変化による膨張と収縮の繰り返しによってOリング49が変形することを抑制できる。
【0055】
なお、載置台11、シャワーヘッド40等の部材に設けられる複数段の冷却流路は、2段に限られず、3段以上であってもよい。この場合、中央段の冷却流路は、その位置や大きさに応じて渦巻状又は同心円状に形成してもよいし、中空に形成してもよい。
【0056】
[温度制御方法]
最後に、図6を参照してプラズマ処理装置1において実行される一実施形態に係る温度制御方法の一例について説明する。この説明では、載置台11の温度調整は、冷却流路12,13に流す第1の温度の冷媒と第2の温度の冷媒によって制御され、ヒータ14の加熱による調整は省く。
【0057】
一実施形態に係る温度制御方法では、第1のステップにて第1の膜を成膜し、第2のステップにて第2の膜を成膜し、第3のステップにて第3の膜を成膜する。チラーユニット105の設定温度は、第1のステップでは10℃に設定し、第2のステップでは90℃に設定し、第3のステップでは45℃にする。なお、成膜処理に限られず、多層膜エッチングなどのエッチング処理であってもよい。
【0058】
この場合、第1のステップでは、チラーユニット105の弁体107bを開き、弁体107aを閉じる。これにより、低温タンク109から10℃に設定された冷媒がポンプ106に供給される。ポンプ106は、10℃の冷媒を、載置台11の処理空間U側の面16aに近い側の冷却流路12に送り、処理空間U側の面16aに遠い側の冷却流路13から流出させる第1の工程が実行される。
【0059】
次に、第2のステップでは、チラーユニット105の弁体107aを開き、弁体107bを閉じる。これにより、高温タンク108から90℃に設定された冷媒がポンプ106に供給される。ポンプ106は、90℃の冷媒を、載置台11の処理空間U側の面に近い側の冷却流路12から流入させ、処理空間U側の面に遠い側の冷却流路13から流出させる第2の工程が実行される。
【0060】
次に、第3のステップでは、チラーユニット105の弁体107aと弁体107bとを中程度開く。これにより、高温タンク108と低温タンク109とから90℃と10℃に設定された冷媒がポンプ106に供給される。これにより、45℃に設定された冷媒を、載置台11の処理空間U側の面に近い側の冷却流路12から流入させ、処理空間U側の面に遠い側の冷却流路13から流出させる第3の工程が実行される。
【0061】
これによっても、基台16の下面16bと冷却流路13との間の基台16の温度変化をチラーユニット105が制御する最大の温度差の1/3程度、ここでは最大の温度差80℃の1/3程度の30℃程度という緩やかな変化にすることができる。
【0062】
今回開示された一実施形態に係る処理装置、部材及び温度制御方法は、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0063】
本開示の処理装置は、Capacitively Coupled Plasma(CCP)、Inductively Coupled Plasma(ICP)、Radial Line Slot Antenna、Electron Cyclotron Resonance Plasma(ECR)、Helicon Wave Plasma(HWP)のどのタイプでも適用可能である。
【0064】
本明細書では、基板の一例としてウェハWを挙げて説明した。しかし、基板は、これに限らず、FPD(Flat Panel Display)に用いられる各種基板、プリント基板等であっても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 プラズマ処理装置
10 処理容器
11 載置台
12、13 冷却流路
12a、13a 冷媒管
13b、13c 弁板
17 Oリング
14 ヒータ
40 シャワーヘッド
40b 天板
42、43 冷却流路
42a、43a 冷媒管
105 チラーユニット
106 ポンプ
U 処理空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6