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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-203593(P2019-203593A)
(43)【公開日】2019年11月28日
(54)【発明の名称】車両の動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20191101BHJP
   B60K 17/22 20060101ALI20191101BHJP
【FI】
   F16H57/04 G
   B60K17/22 Z
   B60K17/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-100782(P2018-100782)
(22)【出願日】2018年5月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】三浦 道行
(72)【発明者】
【氏名】吉満 大輔
(72)【発明者】
【氏名】吉浦 伸介
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 龍彦
(72)【発明者】
【氏名】藤川 智士
【テーマコード(参考)】
3D042
3J063
【Fターム(参考)】
3D042AB17
3D042DA04
3D042DB01
3D042DB06
3D042DB08
3J063AA01
3J063AC03
3J063AC11
3J063AC16
3J063BA15
3J063BA17
3J063CA01
3J063CB52
3J063XH05
3J063XH13
3J063XH23
3J063XH45
(57)【要約】
【課題】動力伝達機構に供給するオイルの昇温性及び保温性を向上させると共に、比較的簡単な構成によって低コストで走行時にオイルの温度が過剰に上昇することを抑制する。
【解決手段】動力伝達機構11と、動力伝達機構11及びオイルを内部に収容するケース部材12とを備えた車両の動力伝達装置10は、駆動源2からの動力が伝達されてケース部材12の外部に回転可能に配置されるシャフト部材30と、シャフト部材30の周囲に空間部18を形成してシャフト部材30及びケース部材12の周囲を囲繞するカバー部材17とを備え、シャフト部材30に、回転に応じて空間部18内の空気の流れを促進する気流促進部50が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動源から駆動輪に至る動力伝達経路上に設けられた動力伝達機構と、前記動力伝達機構及び前記動力伝達機構に供給するオイルを内部に収容するケース部材とを備えた車両の動力伝達装置であって、
前記駆動源からの動力が伝達されて前記ケース部材の外部に回転可能に配置されるシャフト部材と、
前記シャフト部材の周囲に空間部を形成して前記シャフト部材及び前記ケース部材の周囲を囲繞するカバー部材と、
を備え、
前記シャフト部材に、該シャフト部材の回転に応じて前記空間部内の空気の流れを促進する気流促進部が設けられている、
ことを特徴とする車両の動力伝達装置。
【請求項2】
前記動力伝達機構は、前記駆動源からの動力が入力される入力軸と前記駆動源からの動力を駆動輪側に出力する出力軸とが同一軸線上に配置された縦置き式の四輪駆動車の変速機の変速機構であり、
前記シャフト部材は、前記ケース部材に近接して前記ケース部材に沿って車体前後方向に延びて前記駆動源からの動力を前輪に伝達するプロペラシャフトである、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の動力伝達装置。
【請求項3】
前記動力伝達機構は、前記駆動源からの動力が入力される入力軸と前記駆動源からの動力を駆動輪側に出力する出力軸とが同一軸線上に配置された縦置き式の変速機の変速機構であり、
前記シャフト部材は、前記ケース部材の外部に車体前後方向に延びる前記変速機構の出力軸である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の動力伝達装置。
【請求項4】
前記動力伝達機構は、車体前後方向に延びて前記駆動源からの動力が入力される入力軸を有するデファレンシャル機構であり、
前記シャフト部材は、前記ケース部材の外部に車体前後方向に延びる前記デファレンシャル機構の入力軸である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動源から駆動輪に至る動力伝達経路上に設けられた動力伝達機構を備えた車両の動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両では、エンジンなどの駆動源から駆動輪に至る動力伝達経路上に変速機構を備えた変速機やデファレンシャル機構を備えたデファレンシャル装置などの動力伝達装置が設けられ、これら動力伝達装置を介して駆動源からの動力が駆動輪に伝達されるようになっている。
【0003】
車両の動力伝達装置では、変速機構やデファレンシャル機構などの動力伝達機構と、動力伝達機構を内部に収容するケース部材とを備え、ケース部材の内部に動力伝達機構の要潤滑部などに供給するオイルを収容することが一般に行われている。
【0004】
例えば、自動変速機では、複数の遊星歯車機構及びクラッチやブレーキなどの複数の摩擦締結要素を備えた変速機構と、変速機構を内部に収容する変速機ケースとを備え、変速機ケースの内部に変速機構の要潤滑部などに供給するオイルを収容することが行われている。
【0005】
このような動力伝達装置のケース部材の内部に収容されるオイルは、オイルの温度が低下すると粘度が増大して潤滑性能等のオイル性能を低下させ得ることから、オイルの温度をある程度高い所定温度以上に維持するように走行開始時にオイルの温度を早期に上昇させることが望まれる。また、走行停止時に、次の走行開始時にオイルの温度を早期に所定温度以上に上昇させるようにオイルの温度が低下することを抑制することが望まれる。
【0006】
これに対し、動力伝達機構及びオイルを内部に収容するケース部材の周囲を覆うカバー部材を設けるものが知られている。例えば特許文献1には、動力伝達機構及びオイルを内部に収容するケース部材に、断熱空間を形成するように外側から覆うカバー部材を設けたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017−150581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
動力伝達機構及びオイルを内部に収容するケース部材に、断熱空間を形成するように外側から覆うカバー部材を設けることで、オイルの温度を早期に上昇させてオイルの昇温性を向上させると共に、オイルの温度が低下することを抑制してオイルの保温性を向上させることができるものの、車両走行時に、例えば車速が80km/h以上である高速走行時などに、動力伝達機構に供給するオイルの温度が過度に上昇するおそれがある。オイルの温度が過度に上昇すると、オイルの劣化と粘度低下による潤滑不足を引き起こし得る。
【0009】
そこで、本発明は、動力伝達機構と、動力伝達機構及びオイルを内部に収容するケース部材とを備えた車両の動力伝達装置において、オイルの昇温性及び保温性を向上させると共に、比較的簡単な構成によって低コストで走行時にオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0011】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、車両の駆動源から駆動輪に至る動力伝達経路上に設けられた動力伝達機構と、前記動力伝達機構及び前記動力伝達機構に供給するオイルを内部に収容するケース部材とを備えた車両の動力伝達装置であって、前記駆動源からの動力が伝達されて前記ケース部材の外部に回転可能に配置されるシャフト部材と、前記シャフト部材の周囲に空間部を形成して前記シャフト部材及び前記ケース部材の周囲を囲繞するカバー部材と、を備え、前記シャフト部材に、該シャフト部材の回転に応じて前記空間部内の空気の流れを促進する気流促進部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両の動力伝達装置において、前記動力伝達機構は、前記駆動源からの動力が入力される入力軸と前記駆動源からの動力を駆動輪側に出力する出力軸とが同一軸線上に配置された縦置き式の四輪駆動車の変速機の変速機構であり、前記シャフト部材は、前記ケース部材に近接して前記ケース部材に沿って車体前後方向に延びて前記駆動源からの動力を前輪に伝達するプロペラシャフトであることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両の動力伝達装置において、前記動力伝達機構は、前記駆動源からの動力が入力される入力軸と前記駆動源からの動力を駆動輪側に出力する出力軸とが同一軸線上に配置された縦置き式の変速機の変速機構であり、前記シャフト部材は、前記ケース部材の外部に車体前後方向に延びる前記変速機構の出力軸であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両の動力伝達装置において、前記動力伝達機構は、車体前後方向に延びて前記駆動源からの動力が入力される入力軸を有するデファレンシャル機構であり、前記シャフト部材は、前記ケース部材の外部に車体前後方向に延びる前記デファレンシャル機構の入力軸であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願の請求項1に記載の発明によれば、動力伝達機構と、動力伝達機構及びオイルを内部に収容するケース部材とを備えた車両の動力伝達装置は、駆動源からの動力が伝達されてケース部材の外部に回転可能に配置されるシャフト部材と、シャフト部材の周囲に空間部を形成してシャフト部材及びケース部材の周囲を囲繞するカバー部材とを備え、シャフト部材に、回転に応じて空間部内の空気の流れを促進する気流促進部が設けられる。
【0016】
これにより、駆動源からの動力が伝達されるシャフト部材が動力伝達機構を収容するケース部材の外部に回転可能に配置される場合に、カバー部材によって、カバー部材が設けられていない場合に比して、走行開始時にケース部材内のオイルの温度を早期に上昇させてオイルの昇温性を向上させると共に、走行停止時にケース部材内のオイルの温度が低下することを抑制してオイルの保温性を向上させることができる。
【0017】
また、シャフト部材に気流促進部を設けるだけで、気流促進部によって、気流促進部が設けられていない場合に比して、走行時にシャフト部材の周囲の空間部の空気の流れを促進させることができるので、比較的簡単な構成によって低コストで走行時にケース部材内のオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0018】
したがって、動力伝達機構と、動力伝達機構及びオイルを内部に収容するケース部材とを備えた車両の動力伝達装置において、オイルの昇温性及び保温性を向上させると共に、比較的簡単な構成によって低コストで走行時にオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0019】
また、請求項2に記載の発明によれば、動力伝達機構は、縦置き式の四輪駆動車の変速機の変速機構であり、シャフト部材は、ケース部材に近接してケース部材に沿って車体前後方向に延びるプロペラシャフトであることにより、縦置き式の変速機の変速機構を備えた四輪駆動車において、変速機構に供給するオイルの昇温性及び保温性を向上させると共にオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明によれば、動力伝達機構は、縦置き式の変速機の変速機構であり、シャフト部材は、ケース部材の外部に車体前後方向に延びる変速機構の出力軸であることにより、縦置き式の変速機の変速機構を備えた車両において、変速機構に供給するオイルの昇温性及び保温性を向上させると共にオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0021】
また、請求項4に記載の発明によれば、動力伝達機構は、デファレンシャル機構であり、シャフト部材は、ケース部材の外部に車体前後方向に延びるデファレンシャル機構の入力軸であることにより、デファレンシャル機構を備えた車両において、デファレンシャル機構に供給するオイルの昇温性及び保温性を向上させると共にオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置が搭載された車両の概略構成図である。
図2】車両の動力伝達装置及びその近傍を示す側面図である。
図3】カバー部材を取り除いた車両の動力伝達装置及びその近傍を示す側面図である。
図4図2におけるY4−Y4線に沿った動力伝達装置の断面を模式的に示す図である。
図5】気流促進部が設けられたシャフト部材を示す斜視図である。
図6】気流促進部の変形例を説明するための説明図である。
図7】気流促進部の別の変形例を説明するための説明図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置が搭載された車両の概略構成図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る動力伝達装置が搭載された車両の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置が搭載された車両の概略構成図である。図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置が搭載された車両1は、フロントエンジン・リヤドライブ車ベースの四輪駆動車であり、車体前部に駆動源としてのエンジン2が配設され、エンジン2の車体後方にエンジン2からの動力が伝達される動力伝達装置としての変速機10が配設されている。
【0025】
変速機10は、複数の遊星歯車機構及びクラッチやブレーキなどの複数の摩擦締結要素を備えてエンジン2から駆動輪に至る動力伝達経路上に設けられた動力伝達機構としての変速機構11と、変速機構11を内部に収容するケース部材としての変速機ケース12とを備えた自動変速機である。
【0026】
自動変速機10の変速機構11は、エンジン2からの動力が入力される入力軸13と、エンジン2からの動力を駆動輪側に出力する出力軸14とを備え、入力軸13と出力軸14とが同一軸線上に配置された縦置き式の四輪駆動車の変速機の変速機構であり、入力軸13と出力軸14との間に動力伝達経路を形成して、前記摩擦締結要素を選択的に締結することで各遊星歯車機構を経由する動力伝達経路を切り換えて車両の運転状態に応じた所定の変速段を達成する。
【0027】
自動変速機10の入力軸13は、エンジン2の出力軸にトルクコンバータなどの流体伝動装置を介することなく連結するようにしてもよく、あるいはエンジン2の出力軸にトルクコンバータなどの流体伝動装置を介して連結するようにしてもよい。
【0028】
自動変速機10の車体後方には、自動変速機10から伝達されるエンジン2からの動力を車体後方に延びる後輪用プロペラシャフト及び後輪用デファレンシャル装置を介して主駆動輪としての後輪に出力すると共に補助駆動輪としての前輪に出力する動力を取り出すトランスファ装置20が配設されている。
【0029】
トランスファ装置20は、自動変速機10の変速機ケース12に図示しない締結ボルトを用いて締結固定されたトランスファケース21を備え、トランスファケース21内に、自動変速機10の出力軸14に連結されてエンジン2からの動力が入力される入力軸22と、入力軸22と同一軸線上に入力軸22の車体後方側に連結されてエンジン2からの動力を後輪に出力する後輪用出力軸23と、入力軸22と平行に配置されてエンジン2からの動力を前輪に出力する前輪用出力軸24とを有している。
【0030】
トランスファ装置20はまた、トランスファケース21内に、入力軸22上に設けられて入力軸22に連結されたカップリング25と、入力軸22上におけるカップリング25の車体前方に設けられると共にカップリング25に連結されたドライブギヤ26と、前輪用出力軸24上に設けられると共に前輪用出力軸24に連結されてドライブギヤ26に噛み合うドリブンギヤ27とを有している。
【0031】
カップリング25は、電磁式等のカップリングが用いられ、エンジン2からの動力のうち前輪に出力する動力を取り出すようになっている。カップリング25によって取り出されたエンジン2からの動力は、ドライブギヤ26及びドリブンギヤ27を介して前輪用出力軸24に伝達される。
【0032】
前輪用出力軸24には、車体前方側の端部に車体前後方向に延びる前輪用プロペラシャフト30が連結されている。前輪用プロペラシャフト30は、車体後方側の端部に自在継手31を有し、自在継手31を介して前輪用出力軸24に連結されている。
【0033】
前輪用プロペラシャフト30はまた、車体前方側の端部に自在継手32を有し、自在継手32を介して前輪用デファレンシャル装置40に連結されている。前輪用プロペラシャフト30は、自在継手31、32を介してトランスファ装置20及び前輪用デファレンシャル装置40に回転可能に支持されている。
【0034】
前輪用デファレンシャル装置40は、前輪用プロペラシャフト30から伝達されるエンジン2からの動力を左右の前輪に伝達するデファレンシャル機構43を有している。デファレンシャル機構43は、車体前後方向に延びると共に自在継手32を介して前輪用プロペラシャフト30に連結されてエンジン2からの動力が入力される入力軸としてのドライブピニオン41を有し、エンジン2からの動力を左右の前輪にそれぞれ連結された車軸42に伝達するようになっている。
【0035】
これにより、カップリング25によって取り出されたエンジン2からの動力は、ドライブギヤ26及びドリブンギヤ27を介して前輪用出力軸24に伝達され、前輪用出力軸24から前輪用プロペラシャフト30及び前輪用デファレンシャル装置40を介して前輪に伝達される。カップリング25は、前輪と後輪とのトルク配分を可変できるようになっている。
【0036】
前輪用デファレンシャル装置40はまた、デファレンシャル機構43を内部に収容するケース部材としてのハウジング44を備えている。ハウジング44には、ドライブピニオン41とデファレンシャル機構43のリングギヤとのギヤ噛合部やデファレンシャル機構43のサイドギヤと車軸42とのスプライン嵌合部などの要潤滑部に供給するオイルが内部に収容されている。
【0037】
次に、本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置としての自動変速機10について、図2から図5を参照しながらさらに説明する。
【0038】
図2は、車両の動力伝達装置及びその近傍を示す側面図、図3は、カバー部材を取り除いた車両の動力伝達装置及びその近傍を示す側面図、図4は、図2におけるY4−Y4線に沿った動力伝達装置の断面を模式的に示す図である。
【0039】
図2から図4に示すように、自動変速機10は、エンジン2から駆動輪である前輪及び後輪に至る動力伝達経路上に設けられた変速機構11と、略筒状に形成されて変速機構11を内部に収容する変速機ケース12とを備えている。変速機ケース12は、図4に示すように、内部に変速機構11に供給するオイルが収容され、変速機ケース12内の底部にオイルを収容するオイル収容部12aが設けられている。
【0040】
変速機ケース12はまた、内部に変速機構11の下方に配設されたバルブコントロールユニット12bが収容され、バルブコントロールユニット12bは、オイル収容部12aから変速機構11の要潤滑部にオイルを供給すると共に変速機構11の摩擦締結要素などに所定油圧のオイルを供給するようになっている。
【0041】
変速機ケース12は、変速機構11の外周を囲むように略筒状に形成されたケース本体部15と、ケース本体部15の下面部に形成された開口部を塞ぐと共にバルブコントロールユニット12bを下方から覆うようにケース本体部15に取り付けられたオイルパン16とを備えている。
【0042】
自動変速機10では、変速機ケース12の外部に、回転可能に配置されるシャフト部材としてエンジン2からの動力が伝達される前輪用プロペラシャフト30が設けられている。前輪用プロペラシャフト30は、変速機ケース12の車体左側に近接して変速機ケース12に沿って車体前後方向に延びている。
【0043】
自動変速機10ではまた、前輪用プロペラシャフト30の周囲に空間部を形成して前輪用プロペラシャフト30及び変速機ケース12の周囲を囲繞するカバー部材17が設けられている。カバー部材17は、図4に示すように、ケース本体部15の周囲に略沿って断面略U字状に形成され、前輪用プロペラシャフト30が配置される部分に対応して外側に膨出する膨出部17aを備えている。
【0044】
カバー部材17は、締結ボルトB1を用いて変速機ケース12のオイルパン16に取り付けられ、変速機ケース12の周囲を車体前後方向全体に亘って覆っている。カバー部材17は、変速機ケース12との間に中空状の空間部18を形成し、空間部18内に前輪用プロペラシャフト30が配置されている。カバー部材17は、変速機ケース12のケース本体部15の周囲を覆っているが、ケース本体部15及びオイルパン16の周囲を覆うようにしてもよい。
【0045】
変速機ケース12とカバー部材17との間に形成される空間部18は、車体前後方向に延びるように設けられ、前輪用プロペラシャフト30の周囲に断面略円筒状に形成される空間部18aと、空間部18aと連通して変速機ケース12の周囲に断面略U字状に形成される空間部18bとを有している。
【0046】
カバー部材17はまた、図1に示すように、車体前方側に前輪用プロペラシャフト30が挿通されると共に空間部18に外気を流入する外気流入口17bが設けられ、車体後方側に前輪用プロペラシャフト30が挿通されると共に空間部18に外気流入口17bから流入した外気を流出する外気流出口17cが設けられている。
【0047】
車両1では、図1に示すように、走行時、矢印S1で示すように外気流入口17bから空間部18に外気が流入され、矢印S2で示すように空間部18に流入した空気は空間部18内を車体後方側に流れ、矢印S3で示すように空間部18に流入した空気は外気流出口17cから流出される。
【0048】
本実施形態では、前輪用プロペラシャフト30は、断面略円筒状に形成されると共に、前輪用プロペラシャフト30に、前輪用プロペラシャフト30の回転に応じて空間部18内の空気の流れを促進する気流促進部50が設けられている。
【0049】
図5は、気流促進部が設けられたシャフト部材を示す斜視図である。図5に示すように、気流促進部50は、シャフト部材としての前輪用プロペラシャフト30の車体前後方向中央側に設けられ、円筒状に形成されて前輪用プロペラシャフト30の外面に固定される円筒部51から外方に突出する複数の羽根部52を有するフィン部材53によって構成されている。
【0050】
複数の羽根部52は、同一形状を有して円筒部51の周方向に略等間隔に分散して配置されている。複数の羽根部52はそれぞれ、略矩形平板状に形成され、走行時に前輪用プロペラシャフト30がR1方向に回転されるときに車体前方側が回転方向後側に位置して車体後方側が回転方向前側に位置するように前輪用プロペラシャフト30の軸方向に対して傾斜して形成されている。
【0051】
複数の羽根部52をそれぞれ、走行時に前輪用プロペラシャフト30がR1方向に回転されるときに車体前方側が回転方向前側に位置して車体後方側が回転方向後側に位置するように前輪用プロペラシャフト30の軸方向に対して傾斜して形成するようにしてもよく、あるいは前輪用プロペラシャフト30の軸方向に平行に形成するようにしてもよい。
【0052】
フィン部材53は、車両の走行時に、前輪用プロペラシャフト30と共に回転し、前輪用プロペラシャフト30の回転に応じて空間部18内の空気の流れを促進する。フィン部材53は具体的には、図1に示すように、前輪用プロペラシャフト30の回転に応じて、矢印S2で示す空間部18a内の空気の流れを促進すると共に、矢印S4で示す空間部18b内の空気の流れを促進する。フィン部材53は、好ましくは樹脂材料を用いて形成されるが、金属材料を用いて形成することも可能である。
【0053】
車両1では、変速機ケース12のケース本体部15は、アルミニウム材料などの金属材料を用いて形成され、変速機ケース12のオイルパン16は、合成樹脂材料などの樹脂材料を用いて形成され、カバー部材17は、発泡ウレタン樹脂材料などの樹脂材料を用いて形成されている。変速機ケース12のオイルパン16をアルミニウム材料などの金属材料を用いて形成するようにしてもよい。
【0054】
気流促進部50を構成するフィン部材53は、変速機ケース12とカバー部材17との間の空間部18内において前輪用プロペラシャフト30の車体前後方向中央側に設けられているが、前輪用プロペラシャフト30の車体前方側や車体後方側に設けるようにしてもよい。
【0055】
このように、本実施形態に係る車両の動力伝達装置10は、動力伝達機構11と、動力伝達機構11及びオイルを内部に収容するケース部材12とを備えると共に、駆動源2からの動力が伝達されてケース部材12の外部に回転可能に配置されるシャフト部材30と、シャフト部材30の周囲に空間部18を形成してシャフト部材30及びケース部材12の周囲を囲繞するカバー部材17とを備え、シャフト部材30に、回転に応じて空間部18内の空気の流れを促進する気流促進部50が設けられる。
【0056】
これにより、駆動源2からの動力が伝達されるシャフト部材30が動力伝達機構11を収容するケース部材12の外部に回転可能に配置される場合に、カバー部材17によって、カバー部材が設けられていない場合に比して、走行開始時にケース部材12内のオイルの温度を早期に上昇させてオイルの昇温性を向上させると共に、走行停止時にケース部材12内のオイルの温度が低下することを抑制してオイルの保温性を向上させることができる。
【0057】
また、シャフト部材30に気流促進部50を設けるだけで、気流促進部50によって、気流促進部50が設けられていない場合に比して、走行時にシャフト部材30の周囲の空間部18の空気の流れを促進させることができるので、比較的簡単な構成によって低コストで走行時にケース部材12内のオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0058】
したがって、動力伝達機構11と、動力伝達機構11及びオイルを内部に収容するケース部材12とを備えた車両の動力伝達装置10において、オイルの昇温性及び保温性を向上させると共に、比較的簡単な構成によって低コストで走行時にオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0059】
また、動力伝達機構11は、縦置き式の四輪駆動車の変速機10の変速機構11であり、シャフト部材30は、ケース部材12に近接してケース部材12に沿って車体前後方向に延びるプロペラシャフト30であることにより、縦置き式の変速機10の変速機構11を備えた四輪駆動車1において、変速機構11に供給するオイルの昇温性及び保温性を向上させると共にオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0060】
図6は、気流促進部の変形例を説明するための説明図である。図6に示すように、前輪用プロペラシャフト30に設けられる気流促進部60を、前輪用プロペラシャフト30の外面に固定される円筒部61に径方向内側に略矩形柱状に窪む複数の溝部62を設けてなる外方に突出する複数の羽根部63を有するフィン部材64によって構成することも可能である。
【0061】
気流促進部60がフィン部材64によって構成される場合についても、気流促進部60によって、気流促進部60が設けられていない場合に比して、走行時に前輪用プロペラシャフト30の周囲の空間部18の空気の流れを促進させることができ、比較的簡単な構成によって低コストで走行時に変速機ケース12内のオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0062】
図7は、気流促進部の別の変形例を説明するための説明図である。図7(a)は、別の変形例の気流促進部が設けられたシャフト部材の斜視図であり、図7(b)は、図7(a)におけるY7b−Y7b線に沿った断面図である。
【0063】
図7(a)及び図7(b)に示すように、前輪用プロペラシャフト30に設けられる気流促進部70を、前輪用プロペラシャフト30の外面に固定される円筒部71に該円筒部71の一部を外方に切り起こしてなる外方に突出する複数の羽根部72を有するフィン部材73によって構成することも可能である。
【0064】
フィン部材73は、略円筒状に形成される円筒部71を有し、円筒部71は、前輪用プロペラシャフト30に固定される第1円筒部71aと、第1円筒部71aの車体前方側に第1円筒部71aより径方向寸法が大きく前輪用プロペラシャフト30と径方向に離間して設けられる第2円筒部71bとを有している。
【0065】
フィン部材73はまた、第2円筒部71bに、該第2円筒部71bの一部を略矩形状に外方に切り起こして開口部74が形成されると共に外方に突出する複数の羽根部72が形成されている。フィン部材73では、4つの羽根部72aが周方向に略等間隔に分散して配置されている。
【0066】
気流促進部70がフィン部材73によって構成される場合についても、気流促進部70によって、気流促進部70が設けられていない場合に比して、走行時に前輪用プロペラシャフト30の周囲の空間部18の空気の流れを促進させることができ、比較的簡単な構成によって低コストで走行時に変速機ケース12内のオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0067】
前述した実施形態では、動力伝達機構と、動力伝達機構及びオイルを内部に収容するケース部材とを備えた車両の動力伝達装置として自動変速機10について説明しているが、動力伝達機構と、動力伝達機構及びオイルを内部に収容するケース部材とを備えた手動変速機にも適用することができる。
【0068】
また、前述した実施形態では、動力伝達機構と、動力伝達機構及びオイルを内部に収容するケース部材とを備えた車両の動力伝達装置としてフロントエンジン・リヤドライブ車ベースの四輪駆動車の変速機10について説明しているが、フロントエンジン・リヤドライブの二輪駆動車の変速機についても同様に適用することができる。
【0069】
また、前述した実施形態では、気流促進部を前輪用プロペラシャフト30の径方向外側にフィン部材53、64、73を突出させて設けたものを挙げたが、気流促進部を前輪用プロペラシャフト30の径方向内側に窪ませた斜めの溝等を設けることによって構成する設け自ことも可能である。この場合についても、気流促進部によって、気流促進部が設けられていない場合に比して、走行時に前輪用プロペラシャフト30の周囲の空間部18の空気の流れを促進させることができ、比較的簡単な構成によって低コストで走行時に変速機ケース12内のオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0070】
図8は、本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置が搭載された車両の概略構成図である。第2実施形態に係る動力伝達装置が搭載された車両について、第1実施形態に係る動力伝達装置が搭載された車両と同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
図8に示すように、本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置が搭載された車両81は、フロントエンジン・リヤドライブの二輪駆動車であり、車体前部に駆動源としてのエンジン2が配設され、エンジン2の車体後方にエンジン2からの動力が伝達される動力伝達装置としての変速機10が配設されている。
【0072】
変速機10は、エンジン2から駆動輪に至る動力伝達経路上に設けられた動力伝達機構としての変速機構11と、変速機構11を内部に収容するケース部材としての変速機ケース12とを備えた自動変速機である。
【0073】
自動変速機10の変速機構11は、エンジン2からの動力が入力される入力軸13と、エンジン2からの動力を駆動輪側に出力する出力軸14とを備え、入力軸13と出力軸14とが同一軸線上に配置された縦置き式の二輪駆動車の変速機の変速機構であり、入力軸13と出力軸14との間に動力伝達経路を形成して車両の運転状態に応じた所定の変速段を達成する。
【0074】
変速機構11の出力軸14は、変速機ケース12に支持されて車体前後方向に延び、エンジン2からの動力が伝達されて変速機ケース12の外部に回転可能に配置されている。出力軸14には、自在継手91を介して車体前後方向に延びる後輪用プロペラシャフト90が連結され、後輪用プロペラシャフト90は、自在継手92を介して後輪用デファレンシャル装置100に連結されている。
【0075】
後輪用デファレンシャル装置100は、後輪用プロペラシャフト90から伝達されるエンジン2からの動力を左右の後輪3Rに伝達するデファレンシャル機構102を有している。デファレンシャル機構102は、車体前後方向に延びると共に自在継手92を介して後輪用プロペラシャフト90に連結されてエンジン2からの動力が入力される入力軸としてのドライブピニオン101を有し、エンジン2からの動力を左右の後輪3Rにそれぞれ連結された車軸4に伝達するようになっている。
【0076】
このようにして、車両81では、エンジン2からの動力は、自動変速機10、後輪用プロペラシャフト90及び後輪用デファレンシャル装置100を介して後輪3Rに伝達される。
【0077】
車両81についても、自動変速機10の変速機ケース12は、内部に変速機構11に供給するオイルが収容されている。また、車両81の自動変速機10では、変速機ケース12の外部に、回転可能に配置されるシャフト部材として変速機構11の出力軸14が設けられている。変速機構11の出力軸14は、変速機ケース12の内部から変速機ケース12の外部に車体前後方向に延びている。
【0078】
本実施形態についても、自動変速機10ではまた、変速機構11の出力軸14の周囲に空間部を形成して出力軸14及び変速機ケース12の周囲を囲繞するカバー部材87が設けられている。カバー部材87は、変速機ケース12の周囲を車体前後方向全体に亘って覆うと共に変速機ケース12の外部に延びる出力軸14の周囲を覆っている。
【0079】
変速機ケース12とカバー部材87との間に形成される空間部88は、車体前後方向に延びるように設けられ、変速機ケース12の外部に延びる出力軸14の周囲に形成される空間部88aと、該空間部88aと連通して変速機ケース12の周囲に形成される空間部88bとを有している。
【0080】
カバー部材87はまた、図示されていないが、車体前方側に空間部88に外気を流入する外気流入口が設けられ、車体後方側に空間部88に外気流入口から流入した外気を流出する外気流出口が設けられ、走行時には、外気流入口から空間部88に外気が流入され、空間部88に流入した空気は空間部88内を車体後方側に流れ、外気流出口から流出されるようになっている。
【0081】
本実施形態についても、空間部88内の空気の流れを促進する気流促進部50が設けられている。車両81では、変速機ケース12の出力軸14は、断面円形状に形成されると共に、変速機ケース12の外部に延びる出力軸14に、出力軸14の回転に応じて空間部88内の空気の流れを促進する気流促進部50が設けられる。
【0082】
気流促進部50は、前述したフィン部材53と同様に形成されたフィン部材によって構成され、前記フィン部材は、出力軸14の外面に固定される円筒部から外方に突出する複数の羽根部を有している。前記フィン部材は、車両の走行時に、出力軸14と共に回転し、出力軸14の回転に応じて空間部88内の空気の流れを促進する。気流促進部50は、図6及び図7に示すフィン部材によって構成することも可能である。また、本実施形態についても、気流促進部を出力軸14の径方向内側に窪ませた斜めの溝等を設けることによって構成することも可能である。
【0083】
このように、本実施形態に係る車両の動力伝達装置10についても、駆動源2からの動力が伝達されてケース部材12の外部に回転可能に配置されるシャフト部材14と、シャフト部材14の周囲に空間部88を形成してシャフト部材14及びケース部材12の周囲を囲繞するカバー部材87とを備え、シャフト部材14に、回転に応じて空間部88内の空気の流れを促進する気流促進部50が設けられる。
【0084】
これにより、動力伝達機構11と、動力伝達機構11及びオイルを内部に収容するケース部材12とを備えた車両の動力伝達装置10において、オイルの昇温性及び保温性を向上させると共に、比較的簡単な構成によって低コストで走行時にオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0085】
また、動力伝達機構11は、縦置き式の変速機10の変速機構11であり、シャフト部材14は、ケース部材12の外部に車体前後方向に延びる変速機構11の出力軸14であることにより、縦置き式の変速機10の変速機構11を備えた車両81において、変速機構11に供給するオイルの昇温性及び保温性を向上させると共にオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0086】
第1実施形態及び第2実施形態では、動力伝達機構と、動力伝達機構及びオイルを内部に収容するケース部材とを備えた車両の動力伝達装置として変速機10について説明しているが、デファレンシャル装置などの他の動力伝達装置についても同様に適用することができる。
【0087】
図9は、本発明の第3実施形態に係る動力伝達装置が搭載された車両の概略構成図である。第3実施形態に係る動力伝達装置が搭載された車両は、第2実施形態に係る動力伝達装置が搭載された車両において、変速機にカバー部材及び気流促進部を設けることに代え、デファレンシャル装置にカバー部材及び気流促進部を設けたものであり、同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0088】
図9に示すように、本発明の第3実施形態に係る動力伝達装置が搭載された車両111は、フロントエンジン・リヤドライブの二輪駆動車であり、車体前部に駆動源としてのエンジン2とエンジン2からの動力が伝達される変速機10とが配設されている。
【0089】
変速機10は、変速機構11と、変速機構11を内部に収容する変速機ケース12とを備え、変速機構11は、エンジン2からの動力が入力される入力軸13とエンジン2からの動力を駆動輪側に出力する出力軸14とを備え、入力軸13と出力軸14との間に動力伝達経路を形成して車両の運転状態に応じた所定の変速段を達成する。
【0090】
変速機構11の出力軸14には、自在継手91を介して車体前後方向に延びる後輪用プロペラシャフト90が連結され、後輪用プロペラシャフト90は、自在継手92を介してエンジン2からの動力が伝達される動力伝達装置としての後輪用デファレンシャル装置100に連結されている。
【0091】
後輪用デファレンシャル装置100は、エンジン2から駆動輪に至る動力伝達経路上に設けられた動力伝達機構としてのデファレンシャル機構102を有している。デファレンシャル機構102は、車体前後方向に延びると共に自在継手92を介して後輪用プロペラシャフト90に連結されてエンジン2からの動力が入力される入力軸としてのドライブピニオン101を有し、後輪用プロペラシャフト90から伝達されるエンジン2からの動力を左右の後輪3Rにそれぞれ連結された車軸4に伝達するようになっている。
【0092】
このようにして、車両111についても、エンジン2からの動力は、自動変速機10、後輪用プロペラシャフト90及び後輪用デファレンシャル装置100を介して後輪3Rに伝達される。
【0093】
後輪用デファレンシャル装置100はまた、デファレンシャル機構102を内部に収容するケース部材としてのハウジング113を備えている。ハウジング113には、ドライブピニオン101とデファレンシャル機構102のリングギヤとのギヤ噛合部やデファレンシャル機構102のサイドギヤと車軸4とのスプライン嵌合部などの要潤滑部に供給するオイルが内部に収容されている。
【0094】
車両111の後輪用デファレンシャル装置100では、ハウジング113の外部に、回転可能に配置されるシャフト部材としてデファレンシャル機構102の入力軸101が設けられている。デファレンシャル機構102の入力軸101は、ハウジング113の内部からハウジング113の外部に車体前後方向に延びている。
【0095】
デファレンシャル装置100ではまた、デファレンシャル機構102の入力軸101の周囲に空間部を形成して入力軸101及びハウジング113の周囲を囲繞するカバー部材117が設けられている。カバー部材117は、ハウジング113の周囲を車体前後方向全体に亘って覆うと共にハウジング113の外部に延びる入力軸101の周囲を覆っている。
【0096】
ハウジング113とカバー部材117との間に形成される空間部118は、車体前後方向に延びるように設けられ、ハウジング113の外部に延びる入力軸101の周囲に形成される空間部118aと、該空間部118aと連通してハウジング113の周囲に形成される空間部118bとを有している。
【0097】
カバー部材117はまた、図示されていないが、車体前方側に空間部118に外気を流入する外気流入口が設けられ、車体後方側に空間部118に外気流入口から流入した外気を流出する外気流出口が設けられ、走行時には、外気流入口から空間部118に外気が流入され、空間部118に流入した空気は空間部118内を車体後方側に流れ、外気流出口から流出されるようになっている。
【0098】
本実施形態についても、空間部118内の空気の流れを促進する気流促進部50が設けられている。車両111では、入力軸101は、ハウジング113の外部に延びる部分が断面円形状に形成されると共に、ハウジング113の外部に延びる入力軸101に、入力軸101の回転に応じて空間部118内の空気の流れを促進する気流促進部50が設けられる。
【0099】
気流促進部50は、前述したフィン部材53と同様に形成されたフィン部材によって構成され、前記フィン部材は、入力軸101の外面に固定される円筒部から外方に突出する複数の羽根部を有している。前記フィン部材は、車両の走行時に、入力軸101と共に回転し、入力軸101の回転に応じて空間部118内の空気の流れを促進する。気流促進部50は、図6及び図7に示すフィン部材によって構成することも可能である。また、本実施形態についても、気流促進部50を入力軸101の径方向内側に窪ませた斜めの溝等を設けることによって構成することも可能である。
【0100】
このように、本実施形態に係る車両の動力伝達装置100についても、駆動源2からの動力が伝達されてケース部材113の外部に回転可能に配置されるシャフト部材101と、シャフト部材101の周囲に空間部118を形成してシャフト部材101及びケース部材113の周囲を囲繞するカバー部材117とを備え、シャフト部材101に、回転に応じて空間部118内の空気の流れを促進する気流促進部50が設けられる。
【0101】
これにより、動力伝達機構102と、動力伝達機構102及びオイルを内部に収容するケース部材113とを備えた車両の動力伝達装置100において、オイルの昇温性及び保温性を向上させると共に、比較的簡単な構成によって低コストで走行時にオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0102】
また、動力伝達機構102は、デファレンシャル機構であり、シャフト部材101は、ケース部材113の外部に車体前後方向に延びるデファレンシャル機構102の入力軸101であることにより、デファレンシャル機構102を備えた車両111において、デファレンシャル機構102に供給するオイルの昇温性及び保温性を向上させると共にオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0103】
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上のように、本発明によれば、動力伝達機構と、動力伝達機構及びオイルを内部に収容するケース部材とを備えた車両において、オイルの昇温性及び保温性を向上させると共にオイルの温度が過剰に上昇することを抑制することが可能となるから、変速機構やデファレンシャル機構などの動力伝達機構を備えた車両の製造分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0105】
1、81、111 車両
2 エンジン
3R 後輪
10 変速機
11 変速機構
12 変速機ケース
13 変速機構の入力軸
14 変速機構の出力軸
17、87、117 カバー部材
18、88、118 空間部
30、90 プロペラシャフト
50、60、70 気流促進部
100 デファレンシャル装置
102 デファレンシャル機構
113 ハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9