特開2019-206187(P2019-206187A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2019206187-造形用粉末 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-206187(P2019-206187A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】造形用粉末
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/314 20170101AFI20191108BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20191108BHJP
【FI】
   B29C64/314
   B29C64/153
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-146306(P2019-146306)
(22)【出願日】2019年8月8日
(62)【分割の表示】特願2019-84812(P2019-84812)の分割
【原出願日】2019年4月26日
(31)【優先権主張番号】特願2018-87406(P2018-87406)
(32)【優先日】2018年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】小森 洋和
(72)【発明者】
【氏名】寺田 純平
(72)【発明者】
【氏名】栴檀 博幸
(72)【発明者】
【氏名】籔 忠洋
(72)【発明者】
【氏名】深川 幸広
(72)【発明者】
【氏名】村山 健太
(72)【発明者】
【氏名】城丸 智洋
(72)【発明者】
【氏名】宮谷 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】濱田 博之
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA16
4F213AB17
4F213AB18
4F213AC04
4F213AR12
4F213AR15
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL23
4F213WL26
4F213WL29
4F213WL92
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フッ素樹脂の立体構造物の造形に用いられる粉末床溶融結合法用の造形材料の提供。
【解決手段】フッ素樹脂の粉体を含む粉末床溶融結合法用の造形材料であって、前記フッ素樹脂のD50は30μm以上200μm以下であり、前記フッ素樹脂のD10は12μm以上に制御することにより、造形材の流動性が向上して均一な薄膜を形成することができることから、立体造形物の表面が滑らかで、より精密な立体造形物を造形できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素樹脂の粉体を含む粉末床溶融結合法用の造形材料であって、
前記フッ素樹脂のD50は、30μm以上200μm以下であり、
前記フッ素樹脂のD10は、12μm以上である、
造形材料。
【請求項2】
前記フッ素樹脂のD50は、50μm以上70μm以下であり、
前記フッ素樹脂のD10は、17μm以上である、
請求項1に記載の造形材料。
【請求項3】
前記フッ素樹脂のD50は、50μm以上70μm以下であり、
前記フッ素樹脂のD10は、17μm以上であり、
前記フッ素樹脂のD90は、130μm以下である、
請求項1または2に記載の造形材用。
【請求項4】
前記フッ素樹脂の粉体の静嵩密度が、0.850g/ml以上1.500g/ml以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の造形材料。
【請求項5】
前記フッ素樹脂の粉体の静嵩密度が、0.950g/ml以上1.100g/ml以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の造形材料。
【請求項6】
前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の造形材料。
【請求項7】
さらにフッ素樹脂以外の他の材料を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の造形材料。
【請求項8】
前記他の材料は、シリカ、炭素繊維、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、酸化アルミニウム、クレー、モンモリロナイト、またはタルクである、請求項7に記載の造形材料。
【請求項9】
前記他の材料は、シリカ粒子である、請求項7に記載の造形材料。
【請求項10】
D50が30μm以上200μm以下であり、D10が12μm以上である、フッ素樹脂の粉体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体造形用粉末、特に粉末床溶融結合法において用いられる造形用粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、三次元の立体構造物を造形する技術として、立体造形装置、いわゆる3Dプリンタへの関心が高まっている。三次元立体造形に関する方式として、例えば、液槽中の光硬化性樹脂のモノマーに光を照射して造形を行う液層光重合法、流動性の材料をノズルから押出して積層することにより造形を行う材料押出法、粉体材料に結合剤を噴射して結合させることにより造形を行う結合剤噴射法、液状の樹脂を噴射し、これを硬化させることにより造形を行うインクジェット法、粉体材料にエネルギー線を照射して選択的に溶融硬化または焼結させることにより造形を行う粉末床溶融結合法等が知られている。中でも、近年、粉末床溶融結合法への関心が高まっている。
【0003】
上記の粉末床溶融結合法による造形は、一般的には、粉体材料収納容器に収納された粉体材料をリコータにより押し取って、造形台上に運び入れながら、粉体材料の薄層を形成し、この薄層にエネルギー線を照射して溶融結合して行われる。この操作を繰り返すことにより、三次元の立体構造物が造形される。このような粉末床溶融結合法を用いる製造方法および製造装置は、例えば、特許文献1および2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−007221号公報
【特許文献2】国際公開第2007/133912号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記粉末床溶融結合法では、造形材料として汎用プラスチック、金属等の種々の材料を使用することができるが、造形材料としてフッ素樹脂は用いる場合には、造形が難しい。特許文献2では、フッ素樹脂を粉末床溶融結合法により造形しているが、単にフッ素樹脂を造形するだけでは、良好な造形を行うことは困難である。
【0006】
従って、本開示は、粉末床溶融結合法に適した新規な造形材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、フッ素樹脂の紛体の体積累積粒径を制御することにより、粉末床溶融結合法での造形が良好となることを見出した。
【0008】
本開示は、以下の態様を含む。
[1] フッ素樹脂の粉体を含む粉末床溶融結合法用の造形材料であって、
前記フッ素樹脂のD50は、30μm以上200μm以下であり、
前記フッ素樹脂のD10は、12μm以上である、
造形材料。
[2] 前記フッ素樹脂のD50は、50μm以上70μm以下であり、
前記フッ素樹脂のD10は、17μm以上である、
上記1に記載の造形材料。
[3] 前記フッ素樹脂のD50は、50μm以上70μm以下であり、
前記フッ素樹脂のD10は、17μm以上であり、
前記フッ素樹脂のD90は、130μm以下である、
上記1または2に記載の造形材用。
[4] 前記フッ素樹脂の粉体の静嵩密度が、0.850g/ml以上1.500g/ml以下である、上記1〜3のいずれか1つに記載の造形材料。
[5] 前記フッ素樹脂の粉体の静嵩密度が、0.950g/ml以上1.100g/ml以下である、上記1〜4のいずれか1つに記載の造形材料。
[6] 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体である、上記1〜5のいずれか1つに記載の造形材料。
[7] さらにフッ素樹脂以外の他の材料を含む、上記1〜6のいずれか1つに記載の造形材料。
[8] 前記他の材料は、シリカ、炭素繊維、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、酸化アルミニウム、クレー、モンモリロナイト、またはタルクである、上記7に記載の造形材料。
[9] 前記他の材料は、シリカ粒子である、上記7に記載の造形材料。
[10] D50が30μm以上200μm以下であり、D10が12μm以上である、フッ素樹脂の粉体。
【発明の効果】
【0009】
本開示の造形材料を用いることにより、粉末床溶融結合法によりフッ素樹脂の立体構造物を好適に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例において作成した成形体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の造形材料について説明する。
【0012】
本開示の造形材料に含まれるフッ素樹脂は、粉末床溶融結合法において用いることができるフッ素樹脂、即ち、溶融可能なフッ素樹脂であれば特に限定されない。該フッ素樹脂は、好ましくは、エネルギー線、例えば各種レーザー、例えば、COレーザー、ファイバレーザー、YAGレーザー、好ましくはCOレーザーにより溶融し得る熱可塑性フッ素樹脂であり得る。
【0013】
上記フッ素樹脂としては、例えば、フッ素含有オレフィン単位として、テトラフルオロエチレン(TFE)単位、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)単位、フッ化ビニル(VF)単位、フッ化ビニリデン(VDF)単位、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位、トリフルオロエチレン(TrFE)単位、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)単位、フッ素含有ジオキソール類などの1種または2種以上が挙げられる。一の態様において、PAVE単位としては、パーフルオロメチルビニルエーテル単位、パーフルオロプロピルビニルエーテル単位等が挙げられる。また、フッ素非含有オレフィン単位として、上記フルオロオレフィンと反応性を有する炭化水素系単量体等が挙げられる。上記炭化水素系単量体としては、例えば、アルケン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルエステル類、アルキルアリルエーテル類、及び、アルキルアリルエステル類からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素非含有オレフィン単位であることが好ましい。
【0014】
一の態様において、上記フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ネオフロンEFEP(商標)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PAVE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、およびフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。これらのフッ素樹脂は、単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。
【0015】
好ましい態様において、上記フッ素樹脂は、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、またはエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)であり得る。これらのフッ素樹脂は、単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。好ましくは、これらのフッ素樹脂は、単独で用いられる。
【0016】
一の態様において、上記フッ素樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、例えば10万以上1000万以下、好ましくは50万以上500以下であり得る。好ましい態様において、本開示の造形材料は、粉末床溶融結合法において用いることができることから、フッ素樹脂は比較的低分子量、例えば300万以下、200万以下または100万以下であり得る。低分子量のフッ素樹脂を用いることにより、造形した立体構造物の機械的強度が向上する。
【0017】
上記フッ素樹脂の融点は、特に限定されないが、例えば100℃以上350℃以下、好ましくは150℃以上330℃以下であり得る。フッ素樹脂の融点を100℃以上にすることにより、造形した立体構造物の耐熱性が向上する。また、フッ素樹脂の融点を350℃以下にすることにより、造形温度を下げることができる。
【0018】
本開示において、上記のフッ素樹脂は、粉体として造形材料に含まれる。
【0019】
本発明者らは、上記のフッ素樹脂を含む造形材料について検討した結果、より造形性を高めるためには、リコータにより形成される薄層をより均一にすること、フッ素樹脂の粉体の造形台上でのリコート性を高めることが効果的であることに気付いた。造形材料のリコート性は、フッ素樹脂の粉体の特性、例えば流動性を変更することにより変更することができる。例えば、フッ素樹脂の粉体の流動性を高めることにより、造形材料のリコート性を高めることができる。
【0020】
本開示の造形材料において、上記フッ素樹脂の粉体は、D50が30μm以上200μm以下であり、D10が12μm以上である。
【0021】
一の態様において、上記フッ素樹脂の粉体のD50は、30μm以上200μm以下、好ましくは30μm以上100μm以下、より好ましくは40μm以上100μm以下、さらに好ましくは40μm以上80μm以下、特に好ましくは50μm以上70μm以下であり得る。フッ素樹脂のD50を30μm以上とすることにより、造形材料の流動性が向上し、均一な薄層の形成が容易になる。フッ素樹脂のD50をより大きくすることにより、造形材料の流動性をより高めることができる。また、フッ素樹脂のD50を200μm以下とすることにより、造形された立体構造物において滑らかな表面を得ることが容易になる。フッ素樹脂のD50をより小さくすることにより、立体構造物においてより滑らかな表面を得ることができる。
【0022】
一の態様において、上記フッ素樹脂の粉体のD10は、12μm以上、好ましくは13μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは17μm以上であり得る。フッ素樹脂の粉体のD10を12μm以上とすることにより、造形材料の流動性が向上し、均一な薄層の形成が容易になる。フッ素樹脂の粉体のD10をより大きくすることにより、造形材料の流動性をより高めることができる。また、フッ素樹脂の粉体のD10の上限は、D50に近いほど好ましく、特に限定されない。D10がD50に近いほど、造形材料の流動性が向上し、均一な薄層の形成が容易になる。例えば、フッ素樹脂の粉体のD10は、50μm以下、30μm以下、または20μm以下であり得る。
【0023】
好ましい態様において、上記フッ素樹脂の粉体は、D50が50μm以上70μm以下であり、D10が17μm以上である。
【0024】
一の態様において、上記フッ素樹脂の粉体のD90は、好ましくは50μm以上500μm以下、より好ましくは60μm以上200μm以下、さらに好ましくは80μm以上150μm以下、特に好ましくは90μm以上130μm以下であり得る。フッ素樹脂の粉体のD90を50μm以上とすることにより、造形材料の流動性が向上し、均一な薄層の形成が容易になる。フッ素樹脂の粉体のD90をより大きくすることにより、造形材料の流動性をより高めることができる。また、フッ素樹脂の粉体のD90を500μm以下とすることにより、造形された立体構造物において滑らかな表面を得ることが容易になる。フッ素樹脂の粉体のD90をより小さくすることにより、立体構造物においてより滑らかな表面を得ることができる。
【0025】
好ましい態様において、上記フッ素樹脂の粉体は、D50が50μm以上70μm以下であり、D10が17μm以上であり、D90が130μm以下である。
【0026】
ここに、上記「D10」、「D50」および「D90」とは、いわゆる体積累積粒径であり、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積曲線において、粒径の小さい方からの累積値がそれぞれ、10%、50%および90%となる点の粒径を意味する。本開示において、上記粒径は、レーザー回折法により測定される。
【0027】
一の態様において、上記フッ素樹脂の粉体の静嵩密度は、好ましくは0.850g/ml以上1.500g/ml以下、より好ましくは0.900g/ml以上1.300g/ml以下、さらに好ましくは0.950g/ml以上1.100g/ml以下であり得る。フッ素樹脂の粉体の静嵩密度を0.850g/ml以上とすることにより、フッ素樹脂を溶融して造形した際の体積変化を小さくすることができる。フッ素樹脂の静嵩密度をより大きくすることにより、造形時の体積変化をより小さくすることができる。また、フッ素樹脂の粉体の静嵩密度を1.500g/ml以下とすることにより、造形材料の流動性が向上し、均一な薄層の形成が容易になる。フッ素樹脂の静嵩密度をより小さくすることにより、造形材料の流動性をより高めることができる。尚、本開示において、上記静嵩密度は、JIS K 6891に記載の方法により測定される。
【0028】
一の態様において、上記フッ素樹脂の粉体のハウズナー比は、好ましくは1.10以上1.30以下、より好ましくは1.20以上1.25以下であり得る。フッ素樹脂の粉体のハウズナー比をかかる範囲とすることにより、造形材料の流動性が向上し、均一な薄層の形成が容易になる。ここに、「ハウズナー比」とは、タップ密度/静嵩密度で表される比を意味する。尚、本開示において、上記ハウズナー比は、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)により測定される。
【0029】
一の態様において、上記フッ素樹脂の粉体の真球度は、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.60以上0.98以下、さらに好ましくは0.70以上0.95以下、さらにより好ましくは0.80以上0.95以下であり得る。フッ素樹脂の粉体の真球度をかかる範囲とすることにより、造形材料の流動性が向上し、均一な薄層の形成が容易にな
る。ここに、「真球度」とは、粉体の真球からのずれを意味し、透過型電子顕微鏡により写真撮影して得られる写真投影図における任意の50個の粒子について、それぞれその最大径と、これと直交する短径との比(最大径/短径)の平均値を意味する。真球度が1に近づくほど真球に近づく。
【0030】
本開示で用いられるフッ素樹脂の粉体は、特に限定されないが、例えば下記の工程を含む方法により製造することができる。
【0031】
懸濁重合により含フッ素エチレン性単量体を重合して含フッ素重合体の重合上がりの粉末を得る工程、
所望により、重合上がりの粉末をロールにて真比重の90%以上の比重が得られる条件で高密度化して粉砕粉末を得る工程、
上記重合上がりの粉末又は粉砕粉末を、摩擦式ミルに投入する工程、
上記重合上がりの粉末又は粉砕粉末を、所望の形状に処理する工程、および、
上記摩擦式ミルから含フッ素重合体粉末を回収する工程。
【0032】
上記の製造方法により得られる含フッ素重合体粉末は、摩擦式ミルにより所望の形状に処理されたものであるため、球状であり、高い静嵩密度を有する。上記製造方法は、従来の方法よりも生産性に優れ、静嵩密度の高い粉末粒子を高効率で得ることができる。
【0033】
摩擦式ミル
ドラム内部にある回転軸の外周部に複数の羽根を配し、これを回転させることで遠心拡散及び渦流作用を生じさせてドラム内で粉末を流動させる装置。粉末は装置内壁に押し付けられることで機械的応力が付与される。粉末を回転軸方向に送りと戻しの機能を有する撹拌部材が稼動してもよい。含フッ素重合体粉末温度が50〜200℃の範囲で処理することが好ましい。
【0034】
さらに、摩擦式ミルは、複数のブレードを外周に備えた回転体と、前記ブレードの径方向先端部と近接した円筒状の内周面を備えたケーシングとを有し、前記回転体の軸心方向に沿って隣接した前記ブレードどうしが前記軸心から互いに異なる方向に延出され、かつ、前記軸心に沿って隣接した少なくとも一組の前記ブレードどうしが、前期軸心に対して互いに逆向きに傾斜している仕様のものが好ましい。このような装置としては、例えば、特開2010−180099号公報に記載の装置を使用することができる。
【0035】
このような仕様の装置では、粉末に対して、複数のブレードの径方向先端部とケーシングの内周面との間で大きな圧縮力と剪断力が加えられ、高い静嵩密度を有する粉末を効果的に製造することができる。
【0036】
このような装置としては、ホソカワミクロン社製のノビルタなどが挙げられる。
【0037】
本開示の造形材料は、上記フッ素樹脂の粉体以外に他の材料を含み得る。
【0038】
他の材料としては、例えば、造形補助剤、例えばシリカ(SiO)(例えば、シリカ粒子、シリカガラス繊維)、炭素繊維、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、酸化アルミニウム、クレー、モンモリロナイト、タルク等が挙げられる。本開示の造形材料に、造形補助剤、特にシリカを加えることにより、造形材料の流動性および造形性が向上する。
【0039】
好ましい態様において、本開示の造形材料は、フッ素樹脂材料とシリカの混合物であり得る。
【0040】
上記シリカの含有量は、造形材料全体に対して、好ましくは0.1重量%以上1.0重量%以下、より好ましくは0.1重量%以上0.5重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以上0.3重量%以下であり得る。シリカの含有量を0.1重量%以上とすることにより、造形材料の流動性および造形性が向上する。シリカの含有量をより多くすることにより、造形材料の流動性および造形性、および立体構造物の機械的強度がより向上する。また、シリカの含有量を1.0重量%以下とすることにより、フッ素樹脂の含有量を十分に確保することができ、立体構造物において十分にフッ素樹脂の特性を発現させることができる。
【0041】
上記シリカは、好ましくは、上記フッ素樹脂と同等の粒径を有する。
【0042】
別の他の材料としては、レーザー吸収着色材料が挙げられる。レーザー吸収着色材料は、波長1μm前後のレーザー光を吸収可能な材料であれば特に限定されず、カーボン、金属、顔料、染料などを用いることができる。好ましくは、カーボンが主成分として用いられる。上記レーザー吸収着色材料の平均粒径は約10μm、粒径範囲2μm以上40μm以下であることが好ましい。造形材料中のレーザー吸収着色材料の含有量は、例えば、0.05重量%以上0.20重量%以下の範囲が好ましい。
【0043】
一の態様において、上記シリカの粒子のD50は、30μm以上200μm以下、好ましくは30μm以上100μm以下、より好ましくは40μm以上100μm以下、さらに好ましくは40μm以上80μm以下、特に好ましくは50μm以上70μm以下であり得る。
【0044】
別の好ましい態様において、本開示の造形材料は、フッ素樹脂の粉体からなる。
【0045】
次に、粉末床溶融結合法を用いた本開示の造形材料の造形方法について説明する。
【0046】
粉末床溶融結合法を用いる造形装置は、一般的に、造形を行う造形台の両側に、造形材料を収納する粉体収納容器を備える。さらに、粉体収納容器中の造形材料を造形台に供給し、薄層を形成するリコータ、および薄層にレーザーを照射するレーザー部を備える。
【0047】
まず、粉体収納容器に、必要な量の造形材料を収納する。次いで、造形台の高さを薄層の厚みに相当する高さだけ降下させる。一方、粉体収納容器の底を上昇させ、粉体収納容器の上方に適量の造形材料を持ち上げる。この造形材料をリコータにより造形台上に運び入れ、表面をすり切るようにリコータを移動させることにより、造形台上に薄層を形成する。次いで、造形する立体構造物のスライスデータに基づき、レーザー光を走査して、薄層を溶融、結合させて、粉末を硬化させる。この操作を繰り返すことにより、順次スライスデータに対応する層が形成され、立体構造物が造形される。
【0048】
好ましくは、造形の際、供給エリアである粉体収納容器の粉体の温度、および造形エリアである造形台上の粉体の温度は、用いる造形材料に応じて適宜制御される。かかる温度を制御することにより、より均一な薄層を形成することができ、また、より精密な造形を行うことが可能になる。
【実施例】
【0049】
下記表1に示すように、フッ素樹脂として、PFA、FEP、ETFEおよびEFEPの粉体を準備した。各粉体について、粉末床溶融結合式の3Dプリンタを用いて、図1に示されるような、一辺60mmの中空立方体の内部に、一辺30mmの中空立方体を含む試料(壁の最小厚み0.8mm)を作製した。造形時の供給エリアと造形エリアの温度、およびリコート性と造形性に関する評価結果をあわせて表1に示す。
【0050】
リコート性の評価は、リコート時に紛体の凝集や造形エリア表面の荒れが発生することなく、紛体を敷き詰めることができた場合を○、凝集や表面荒れが発生しにくかった場合を△、凝集や表面荒れが発生した場合を×とした。
【0051】
造形性の評価は、反りが小さく表面状態が良好な造形物を得られた場合を○、反りが小さい造形物を得られたが表面にわずかな荒れがみられた場合を△、反りが大きく良好な造形物を得られなかった場合を×とした。
【0052】
【表1】
【0053】
上記の試験の結果、比較例1〜4および6では、リコート時に粉体が凝集し、造形物には反りが生じた。また、比較例5は、リコート時に凝集は生じにくかったが造形物に反りが生じ、また造形物の表面に荒れが観察された。実施例1については、リコート性が良好であり、造形物の反りも小さかったが、造形物の表面に少し荒れが観察された。実施例2および3については、リコート性が良好であり、造形物の反りも小さく、表面状態が良好な造形物を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本開示の造形材料は、種々多様な製品の造形、特に粉末床溶融結合法による造形に好適に利用され得る。
図1
【手続補正書】
【提出日】2019年8月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
D50が30μm以上200μm以下であり、D10が12μm以上である、フッ素樹脂の粉体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1