特開2019-206619(P2019-206619A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧
<>
  • 特開2019206619-粘着テープ及びその製造方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-206619(P2019-206619A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】粘着テープ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20191108BHJP
   C09J 7/40 20180101ALI20191108BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20191108BHJP
   C08J 7/00 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J7/40
   C09J201/00
   C08J7/00 303
   C08J7/00CEY
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-101650(P2018-101650)
(22)【出願日】2018年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】依田 真樹
(72)【発明者】
【氏名】南 秀樹
【テーマコード(参考)】
4F073
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F073AA01
4F073BA18
4F073BA52
4F073CA21
4J004AA10
4J004AB01
4J004BA02
4J004CE02
4J004DB02
4J004EA05
4J004EA06
4J004GA01
4J040DF012
4J040DF041
4J040JA09
4J040JB09
4J040MA02
4J040MA05
4J040MA10
4J040MB05
4J040PA15
4J040PA23
(57)【要約】
【課題】高い接着力を有する粘着面を備え、保管性及び取扱い性に優れた粘着テープを提供すること。
【解決手段】アクリル系粘着剤を含有し、一方の主面上にプラズマ処理された処理面を有する粘着剤層と、ポリオレフィンで構成された剥離面を有する剥離ライナーと、を備え、前記処理面と前記剥離面とが接するように前記粘着剤層及び前記剥離ライナーが積層されている、粘着テープ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系粘着剤を含有し、一方の主面上にプラズマ処理された処理面を有する粘着剤層と、
ポリオレフィンで構成された剥離面を有する剥離ライナーと、
を備え、
前記処理面と前記剥離面とが接するように前記粘着剤層及び前記剥離ライナーが積層されている、粘着テープ。
【請求項2】
前記剥離面の表面自由エネルギーが、37mN/m以下である、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記処理面が、前記プラズマ処理による前記アクリル系粘着剤の酸化物を含む、請求項1又は2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記プラズマ処理がコロナ処理である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記粘着剤層が、他方の主面上に、プラズマ処理された第二の処理面を更に有し、
ポリオレフィンで構成された第二の剥離面を有する第二の剥離ライナーを更に備え、
前記第二の処理面と前記第二の剥離面とが接するように前記粘着剤層及び前記第二の剥離ライナーが積層されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【請求項6】
アクリル系粘着剤を含有する粘着剤層の一方の主面に対してプラズマ処理を行い、プラズマ処理された処理面を形成するプラズマ処理工程と、
ポリオレフィンで構成された剥離面を有する剥離ライナーを、前記処理面と前記剥離面とが接するように前記粘着剤層上に配置する積層工程と、
を備える、粘着テープの製造方法。
【請求項7】
前記プラズマ処理工程が、前記粘着剤層の一方の主面に対して、単位放電長さ当たりの放電電力が1〜25W/cmのコロナを放電して、前記処理面を形成する工程である、請求項6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粘着剤(感圧接着剤)の性能改善を目的として、粘着剤層の表面にプラズマ処理を施す方法が知られている。例えば、特許文献1には、感圧接着剤層の接着力を高めるため、感圧接着剤層の表面にプラズマ処理等の物理的処理を施すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2014−522421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の方法では、被着体に貼付する直前に粘着剤層にプラズマ処理を行うため、プラズマ処理と被着体への貼付とを連続して実施するための作業負担が大きいという課題があった。一方、前もって(例えば工場出荷前に)プラズマ処理された粘着剤層は、ライナー等で仮着保護しようとすると、ライナーの剥離が困難となったり、ライナーに粘着剤層の一部が固着したりする場合があった。
【0005】
本開示は、高い接着力を有する粘着面を備え、保管性及び取扱い性に優れた粘着テープ並びにその製造方法を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面は、アクリル系粘着剤を含有し、一方の主面上にプラズマ処理された処理面を有する粘着剤層と、ポリオレフィンで構成された剥離面を有する剥離ライナーと、を備える、粘着テープに関する。この粘着テープにおいては、上記処理面と上記剥離面とが接するように上記粘着剤層及び上記剥離ライナーが積層されている。
【0007】
このような粘着テープは、粘着剤層がプラズマ処理された処理面を有するため、当該処理面により高い接着力が発現される。また、上記粘着テープは、プラズマ処理された処理面が剥離ライナーで仮着保護されているため、保管性及び取扱い性に優れている。更に、上記粘着テープは、粘着剤層がアクリル系粘着剤を含有する粘着剤層であり、剥離ライナーの剥離面がポリオレフィンで構成されているため、粘着テープを被着体に貼付する際に、処理面から剥離ライナーを容易に剥離することができる。
【0008】
一態様において、上記剥離面の表面自由エネルギーは、37mN/m以下であってよい。
【0009】
一態様において、上記処理面は、上記プラズマ処理による上記アクリル系粘着剤の酸化物を含むものであってよい。
【0010】
一態様において、上記プラズマ処理はコロナ処理であってよい。
【0011】
一態様において、上記粘着剤層は、他方の主面上に、プラズマ処理された第二の処理面を更に有していてよい。また、このとき、粘着テープは、ポリオレフィンで構成された第二の剥離面を有する第二の剥離ライナーを更に備えていてよく、上記第二の処理面と上記第二の剥離面とが接するように上記粘着剤層及び上記第二の剥離ライナーが積層されていてよい。
【0012】
本開示の他の一側面は、アクリル系粘着剤を含有する粘着剤層の一方の主面に対してプラズマ処理を行い、プラズマ処理された処理面を形成するプラズマ処理工程と、ポリオレフィンで構成された剥離面を有する剥離ライナーを、上記処理面と上記剥離面とが接するように上記粘着剤層上に配置する積層工程と、を備える、粘着テープの製造方法に関する。
【0013】
一態様において、上記プラズマ処理工程は、上記粘着剤層の一方の主面に対して、単位放電長さ当たりの放電電力が1〜25W/cmのコロナを放電して、上記処理面を形成する工程であってよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、高い接着力を有する粘着面を備え、保管性及び取扱い性に優れた粘着テープ並びにその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】粘着テープの好適な一態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本開示の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されるものではない。
【0017】
図1は、本実施形態に係る粘着テープの好適な一態様を示す断面図である。粘着テープ10は、プラズマ処理された第一の処理面A1を有する粘着剤層11と、第一の剥離面B1を有する第一の剥離ライナー12とを備えており、粘着剤層11と第一の剥離ライナー12とは、第一の処理面A1と第一の剥離面B1が対向して接するように積層されている。また、粘着テープ10において、粘着剤層11は、アクリル系粘着剤を含有しており、第一の剥離面B1はポリオレフィンで構成されている。
【0018】
粘着テープ10は、粘着剤層11がプラズマ処理された第一の処理面A1を有するため、当該第一の処理面A1により高い接着力が発現される。また、粘着テープ10では、第一の処理面A1が第一の剥離ライナー12で仮着保護されている。このため、粘着テープ10は、保管性及び取扱い性に優れる。更に、粘着テープ10では、粘着剤層11がアクリル系粘着剤を含有しており、第一の剥離面B1がポリオレフィンで構成されていることにより、被着体に貼付する際に第一の処理面A1から第一の剥離ライナー12を容易に剥離することができる。
【0019】
粘着剤層11は、アクリル系粘着剤から構成された層であってよい。アクリル系粘着剤は、アクリル系モノマーの重合体(アクリルポリマー)を含有する粘着剤を示す。
【0020】
アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、炭素数が12以下のアルキル基を有するものであってよい。アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸エステルと重合可能な他のモノマーを更に含有していてよい。他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。これらのモノマーは、アクリル系粘着剤に粘着性を付与するために十分な量で用いられればよく、その量は特に限定されない。上記他のモノマーの量は、(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して、例えば30質量部以下であってよく、好ましくは20質量部以下であり、例えば1質量部以上であってよく、好ましくは2質量部以上である。
【0022】
アクリル系モノマーの重合は、重合開始剤の存在下に、紫外線等を用いた放射線重合によって行うことができる。重合開始剤としては、例えば、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−クロロチオキサントン等が挙げられる。重合開始剤の市販の例としては、チバ・スペシャルティー・ケミカル社のイルガキュア、メルク・ジャパン社のダロキュア、ベルシコール社のベルシキュアの商標名で販売されているもの等が挙げられる。重合開始剤の量は特に限定されず、例えば、アクリル系モノマー100質量部に対して0.01〜5質量部であってよい。
【0023】
アクリル系粘着剤は、充填剤を更に含有していてもよい。充填剤としては、例えば、補強用糸、織布、不織布、ガラスビーズ、プラスチックビーズ、顔料、シリカ粒子等が挙げられる。充填剤の含有量は特に限定されず、アクリル系粘着剤の全量基準で、例えば30質量%以下であってよく、好ましくは20質量%以下であり、例えば0.1質量%以上であってよく、好ましくは0.5質量%以上である。
【0024】
好適な一態様において、アクリル系粘着剤は、充填剤として、中空微小球を含有していてよい。アクリル系粘着剤が中空微小球を含有することで、アクリル系粘着剤が発泡体に近い形態を有することとなり、クッション性、シール性及び密着性等の特性が向上する傾向がある。中空微小球としては、例えば、グラスバブルズ、プラスチックバルーン等が挙げられる。中空微小球の含有量は特に限定されず、アクリル系粘着剤の全量基準で、例えば15質量%以下であってよく、好ましくは12質量%以下であり、例えば0.1質量%以上であってよく、好ましくは0.5質量%以上である。
【0025】
アクリル系粘着剤に中空微小球を含有させることで、アクリル系粘着剤の低密度化を図ることもできる。本態様では、中空微小球の配合により、アクリル系粘着剤の密度を、例えば0.97g/cm以下にしてよく、0.93g/cm以下にすることが好ましい。アクリル系粘着剤の密度の下限は特に限定されないが、例えば0.60g/cm以上であってよく、好ましくは0.65g/cm以上である。
【0026】
アクリル系粘着剤は、アクリルポリマー及び充填剤以外の他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、例えば、界面活性剤、粘着付与剤、着色剤等が挙げられる。
【0027】
好適な一態様において、粘着剤層11は、アクリル系粘着剤を含む発泡体であってよい。このような粘着剤層11は、例えば、アクリル系粘着剤の調製時に、気泡形成用ガスを撹拌混合して形成することができる。粘着剤層11が発泡体であると、クッション性、シール性及び密着性等の特性が向上する傾向がある。
【0028】
粘着剤層11が発泡体であるとき、粘着剤層11の密度は、例えば0.97g/cm以下であってよく、好ましくは0.93g/cm以下である。また、粘着剤層11の密度の下限は特に限定されないが、例えば0.60g/cm以上であってよく、好ましくは0.65g/cm以上である。
【0029】
粘着剤層11の厚さ特に限定されないが、取り扱い性の観点からは、好ましくは0.005mm以上、より好ましくは0.010mm以上である。また、粘着剤層11の厚さは、取り扱い性の観点からは、好ましくは5.0mm以下、より好ましくは3.0mm以下である。
【0030】
粘着剤層11は、第一の処理面A1がプラズマ処理されている。
【0031】
プラズマ処理としては、例えばコロナ処理、大気圧プラズマ処理等が挙げられ、これらのうち経済性の観点からはコロナ処理が好ましい。プラズマ処理の条件は特に限定されず、粘着テープ10の用途及び所望の粘着特性に応じて適宜変更してよい。
【0032】
プラズマ処理としてコロナ処理を行う場合の好適な一態様を以下に示す。
【0033】
コロナ処理は、粘着剤層11の第一の処理面A1に対し、所定の放電電力でコロナ放電することにより実施することができる。コロナ処理において、単位放電幅当たりの放電電力は、例えば1W/cm以上であってよく、好ましくは2W/cm以上、より好ましくは3W/cm以上である。また、コロナ処理において、単位放電幅当たりの放電電力は、例えば25W/cm以下であってよく、好ましくは23W/cm以下、より好ましくは21W/cm以下である。単位放電幅あたりの放電電力とは、誘電体バリア放電により対電極間に非平衡プラズマを発生せしめる幅をL、放電により消費された電力をWとしたとき、W/Lで表される値である。
【0034】
コロナ処理を行うための処理装置は特に限定されず、公知の装置を用いることができる。例えば、コロナ処理は、市販のコロナ処理装置等を用いて実施することができる。
【0035】
プラズマ処理された第一の処理面A1は、プラズマ処理によって表面の少なくとも一部が改質されている。例えば、第一の処理面A1は、改質前と比べて、窒素酸化物の増加や、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基等の含酸素基の増加があってよい。
【0036】
プラズマ処理された第一の処理面A1は、第一の剥離ライナー12に仮着され、保護される。第一の処理面A1に第一の剥離ライナー12の第一の剥離面B1を仮着させることで、プラズマ処理による高い接着力を維持しつつ、保管性及び取扱い性が改善される。
【0037】
第一の剥離ライナー12は、ポリオレフィンで構成された第一の剥離面B1を有している。第一の剥離ライナー12は、第一の剥離面B1がポリオレフィンで構成されていればよく、例えば、ポリオレフィンで構成された表層を含む多層構造を有していてよく、ポリオレフィンで構成された単層フィルムであってもよい。
【0038】
第一の剥離面B1の表面自由エネルギーは、37mN/m以下であることが好ましく、36mN/m以下であることがより好ましく、35mN/m以下であることが更に好ましい。これにより、第一の剥離ライナー12の剥離時に、粘着剤層11からの剥離が一層容易となり、粘着剤層11の第一の処理面A1における高い接着力をより有効に活用することができる。第一の剥離面B1の表面自由エネルギーの下限は特に限定されないが、例えば、15mN/m以上であってよく、取り扱い性の観点からは15mN/m以上が好ましい。
【0039】
第一の剥離面B1を構成するポリオレフィンは、上述の表面自由エネルギーを達成できるポリオレフィンであればよい。第一の剥離面B1はシリコーン離型剤を含んでいないことが好ましい。なお、例えば、第一の剥離面B1がシリコーン離型剤を含んで構成されている場合、第一の処理面A1側にシリコーン離型剤が転写し、第一の処理面A1の接着力が低下する傾向がある。
【0040】
ポリオレフィンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン、無軸延伸ポリプロピレン、2軸延伸ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等が挙げられ、これらのうち、低表面自由エネルギーであること及び経済性に優れる観点からは、低密度ポリエチレン、直鎖状短鎖分岐ポリエチレンが好ましい。
【0041】
第一の剥離ライナー12の厚さは特に限定されず、例えば0.10mm以上であってよく、好ましくは0.12mm以上であり、例えば0.20mm以下であってよく、好ましくは0.18mm以下である。
【0042】
粘着テープ10は、粘着剤層11及び第一の剥離ライナー12以外の構成要素を更に備えていてもよい。
【0043】
好適な一態様において、粘着テープ10は、粘着剤層11の第一の処理面A1と反対側に基材フィルム(図示せず)を有していてよい。基材フィルムは、粘着剤層11の第一の処理面A1と反対側の面A2上に積層されていてよい。
【0044】
基材フィルムの材質及び形状は、粘着テープ10の用途に応じて適宜変更してよい。基材フィルムは、第一の剥離ライナー12が剥離された後、粘着剤層11を介して被着体に貼付される。
【0045】
好適な他の一態様において、粘着テープ10は、粘着剤層11の第一の処理面A1と反対側の面A2が、プラズマ処理されていてよい。また、プラズマ処理された第二の処理面A2は、第二の剥離ライナー(図示せず)によって仮着保護されていてよい。第二の処理面A2のプラズマ処理は、第一の処理面A1のプラズマ処理と同様の処理であってよい。
【0046】
第二の剥離ライナーは、ポリオレフィンで構成された剥離面(第二の剥離面)を有することが好ましく、この第二の剥離面で第二の処理面A2と接していることが好ましい。第二の剥離ライナー及び第二の剥離面としては、第一の剥離ライナー12及び第一の剥離面B1と同じものが例示できる。
【0047】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0048】
例えば、本発明の一側面は、粘着テープ10の製造方法に関するものであってよい。この製造方法は、アクリル系粘着剤を含有する粘着剤層11の一方の主面に対してプラズマ処理を行い、プラズマ処理された第一の処理面A1を形成するプラズマ処理工程と、ポリオレフィンで構成された第一の剥離面B1を有する第一の剥離ライナー12を、第一の処理面A1と第一の剥離面B1とが接するように粘着剤層11上に配置する積層工程と、を備えていてよい。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本開示をより具体的に説明するが、本開示は実施例に限定されるものではない。
【0050】
(実施例1−1)
<粘着剤層の形成>
以下の方法で、粘着剤層を形成した。具体的には、92質量部の2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、8質量部のアクリル酸(AA)、及び、0.04質量部のオムニラッドBDK(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、IGM社製)の混合物に、低圧水銀ランプを用いて、3mW/cmの強度の紫外線を5分間、窒素雰囲気下で照射することにより、粘度が2000〜4000mPa・sであるアクリル系モノマーの部分重合体を調製した。次いで、この部分重合体に、0.10質量部のオムニラッドBDK、1.5質量部のアエロジルA−200(微粉末シリカ、日本アエロジル社製)、及び、6.0質量部のガラスバブルK−15(3M社製)を添加し、よく撹拌後、真空脱泡機により脱気し、粘着剤前駆体を得た。この粘着剤前駆体を、シリコーン離型剤で表面処理された2枚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの間に挟み、硬化後の厚さが0.8mm厚となるように、カレンダー成形によってシート状に成形した。このシートの両面に対して、低圧水銀ランプを用いて1.0mW/cmの紫外光を3分間照射した後、更に7.0mW/cmの紫外光を3分間照射することによって硬化を行い、粘着剤層を得た。
【0051】
<粘着テープの作製>
上記の方法で形成された粘着剤層の一方面に、以下の方法でコロナ処理を施した。具体的には、粘着剤層の片側のPETフィルムを剥し、コロナ処理装置を用いて、単位放電長さ当たりの放電電力が14W/cmとなるようにコロナ処理を施した。コロナ処理後の処理面に、剥離ライナーとしてポリエチレンフィルム(宇部フィルム社製、厚み0.15mm、剥離面の表面自由エネルギー:34mN/m)を貼付し、粘着テープを得た。
【0052】
(比較例1−1)
剥離ライナーとして、シリコーン剥離面を有する剥離紙(住化加工紙社製、厚み0.13mm、剥離面の表面自由エネルギー:27mN/m)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして粘着テープを得た。
【0053】
(比較例1−2)
コロナ処理を行わず、剥離ライナーとしてシリコーン剥離面を有する剥離紙(住化加工紙社製、厚み0.13mm、剥離面の表面自由エネルギー:27mN/m)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして粘着テープを得た。
【0054】
実施例1−1及び比較例1−2のそれぞれの粘着剤層(すなわち、コロナ処理された粘着剤層とコロナ処理されていない粘着剤層)の表面状態を、FT−IR(Fourier transform infrared spectrometer)によって観察したところ、有意な差が観察された。例えば、アクリル酸由来のカルボキシル基を示す1704cm−1の吸収(吸収A)に対する、2−エチルヘキシルアクリレート由来のエステル基を示す1729cm−1の吸収(吸収B)の比(A/B)は、コロナ処理をしていない場合(平均0.417)より、コロナ処理をした場合(平均0.421)の方が大きいことが観察された。なお、FT−IRの測定深さは1ミクロン程度である。
【0055】
また、実施例1−1及び比較例1−2のそれぞれの粘着剤層(すなわち、コロナ処理された粘着剤層とコロナ処理されていな粘着剤層)の最表面から深さ方向の状態をTOF−SIMS(Time−of−Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)とイオンミリングを組み合わせることにより観察した。その結果、実施例1−1では、最表面から数ナノメートルの深さ方向において、2−エチルヘキシルアクリレート由来のエステル基の量が比較例1−2より減少しているのに対して、アクリル酸由来のカルボキシル基の量は比較例1−2と明瞭な差が見られなかった。これはコロナ処理により2−エチルヘキシルアクリレート由来のエステル基が改質されたことを意味する。この結果はFT−IRの結果とも符合する。また、空気成分由来の化合物と考えられる窒素酸化物、水酸基等も最表面のみに確認された。
【0056】
実施例1−1、比較例1−1及び比較例1−2の粘着テープについて、作製後、室温で1週間保管したサンプル及び70℃で72時間保管したサンプルを準備し、それぞれ、以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0057】
(A1)ステンレス鋼に対する90°剥離強度
0.13mm厚の陽極酸化処理されたアルミニウムフィルムに20mm×100mmの粘着テープをラミネートしたものを、ステンレス鋼基板に室温(23℃)で貼付した。ここで、実施例1−1及び比較例1−1では、コロナ処理された粘着剤面がステンレス鋼側になるように配置した。ステンレス鋼基板は、使用前にメチルエチルケトンとイソプロパノールで洗浄したものを用いた。ステンレス鋼に貼付後、10kgの金属ローラーを1回前後させて、試料を圧着した。このようにして得られた試料を23℃で24時間保存した。保存後の試料を張力試験機に配置し、90°方向に300mm/minの速度で粘着テープを基板から剥離し、そのときの剥離強度を測定した。
【0058】
(A2)ガラスに対する保持力
まず、12mm×25mmの粘着テープを30mm×60mm×0.13mm厚の陽極酸化処理されたアルミニウム基板にラミネートした。次に、アルミニウム基板と同じ大きさのガラス基板を、アルミニウム基板上の粘着テープと25mm重なるように粘着テープ上に配置した。ここで、コロナ処理された粘着剤面がガラス基板側になるように配置した(基板間における粘着テープの接着領域は12mm×25mm)。このとき、アルミニウム基板とガラス基板とは、端部が重ならないように配置された。このようにして得られた試料に対して、10kgの鋼鉄製のローラーを1回前後させて、試料を圧着した。なお、ガラス基板は、使用前にメチルエチルケトンとイソプロパノールで洗浄したものを用いた。続いて、試料を23℃で24時間静置した後、80℃×90%RHの恒温恒湿オーブン内で鉛直方向に配置してアルミニウム基板を固定し、ガラス基板の下端に0.5kgのおもりをぶら下げた。この状態でおもりが落下するまでの時間を記録した。なお、504時間(3週間に相当)以内におもりが落下しない場合には、その時点で試験を中止し、504時間として記録した。
【0059】
(A3)ライナー剥離力
粘着テープを25mm×150mmのサイズに切り出し、試験片を得た。得られた試験片の非コロナ処理面のPETフィルムを剥し、ステンレス鋼基板にラミネートし、測定用の試料とした。試料を張力試験機に配置し、180°方向に300mm/minの速度で、剥離ライナーを粘着テープから剥離し、そのときの剥離強度を測定した。
【0060】
【表1】
【0061】
(実施例2−1)
コロナ処理において、単位放電長さ当たりの放電電力を2W/cmに変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして、粘着テープを作製した。
【0062】
(実施例2−2)
コロナ処理において、単位放電長さ当たりの放電電力を3W/cmに変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして、粘着テープを作製した。
【0063】
(実施例2−3)
コロナ処理において、単位放電長さ当たりの放電電力を7W/cmに変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして、粘着テープを作製した。
【0064】
(実施例2−4)
コロナ処理において、単位放電長さ当たりの放電電力を10W/cmに変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして、粘着テープを作製した。
【0065】
(実施例2−5)
実施例1−1と同様にして(コロナ処理における単位放電長さ当たりの放電電力が14W/cm)、粘着テープを作製した。
【0066】
(実施例2−6)
コロナ処理において、単位放電長さ当たりの放電電力を17W/cmに変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして、粘着テープを作製した。
【0067】
(実施例2−7)
コロナ処理において、単位放電長さ当たりの放電電力を21W/cmに変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして、粘着テープを作製した。
【0068】
実施例2−1〜2−7及び比較例1−2で得られた粘着テープについて、コロナ処理後、室温で1週間保管したサンプルを準備し、以下の方法で評価した。結果を表2及び表3に示す。
【0069】
(B1)ステンレス鋼に対する低温での初期粘着力
0.025mm厚のコロナ処理PETフィルム(コロナ処理されたPET表面)に12mm×100mmの粘着テープをラミネートしたものと(コロナ処理されていない粘着剤面とPETフィルムをラミネート)、メチルエチルケトン及びイソプロパノールで洗浄したステンレス鋼基板と、2kgの金属ローラーとを5℃の低温室内に2時間保存した。そして、5℃の低温室内で、ステンレス鋼基板に、PETフィルムにラミネートされた粘着テープを貼付し、2kgの金属ローラーを1回前後させて、試料を圧着した。その直後に、試料を張力試験機に配置し、90°方向に300mm/minの速度で粘着テープを基板から剥離し、そのときの剥離強度を測定して初期粘着力とした。
【0070】
(B2)PMMA樹脂板に対する低温での初期粘着力
0.025mm厚のコロナ処理PETフィルム(コロナ処理されたPET表面)に12mm×100mmの粘着テープをラミネートしたものと(コロナ処理されていない粘着剤面とPETフィルムをラミネート)、イソプロパノールで洗浄したPMMA樹脂基板と、2kgの金属ローラーとを5℃の低温室内に2時間保存した。そして、5℃の低温室内で、PMMA樹脂基板に、PETフィルムにラミネートされた粘着テープを貼付し、2kgの金属ローラーを1回前後させて、試料を圧着した。その直後に、試料を張力試験機に配置し、90°方向に300mm/minの速度で粘着テープを基板から剥離し、そのときの剥離強度を測定して初期粘着強度とした。
【0071】
(B3)ステンレス鋼に対する保持力
まず、12mm×25mmの粘着テープを30mm×60mm×0.13mm厚の陽極酸化処理されたアルミニウム基板にラミネートした。次に、アルミニウム基板と同じ大きさのステンレス鋼基板を、アルミニウム基板上の粘着テープと25mm重なるように粘着テープ上に配置した。ここで、コロナ処理された粘着剤面がステンレス鋼側になるように配置した(基板間における粘着テープの接着領域は12mm×25mm)。このとき、アルミニウム基板とステンレス鋼基板とは、端部が重ならないように配置された。このようにして得られた試料に対して、10kgの鋼鉄製のローラーを1回前後させて、試料を圧着した。ステンレス鋼基板は、使用前にメチルエチルケトンとイソプロパノールで洗浄したものを用いた。続いて、試料を23℃で24時間静置した後、70℃のオーブン内で鉛直方向に配置してアルミニウム基板を固定し、ステンレス鋼基板の下端に0.5kgのおもりをぶら下げた。この状態でおもりが落下するまでの時間を記録した。なお、10000分(1週間に相当)以内におもりが落下しない場合には、その時点で試験を中止し、10000分として記録した。
【0072】
(B4)PMMA樹脂板に対する保持力
まず、12mm×25mmの粘着テープを30mm×60mm×0.13mm厚の陽極酸化処理されたアルミニウム基板にラミネートした。次に、アルミニウム基板と同じ大きさのPMMA樹脂基板を、アルミニウム基板上の粘着テープと25mm重なるように粘着テープ上に配置した。ここで、コロナ処理された粘着剤面がPMMA樹脂側になるように配置した。このとき、アルミニウム基板とPMMA樹脂基板とは、端部が重ならないように配置された(基板間における粘着テープの接着領域は12mm×25mm)。このようにして得られた試料に対して、10kgの鋼鉄製のローラーを1回前後させて、試料を圧着した。PMMA樹脂基板は、使用前にイソプロパノールで洗浄したものを用いた。続いて、試料を23℃で24時間静置した後、70℃のオーブン内で鉛直方向に配置してアルミニウム基板を固定し、PMMA樹脂基板の下端に0.5kgのおもりをぶら下げた。この状態でおもりが落下するまでの時間を記録した。なお、10000分以内におもりが落下しない場合には、その時点で試験を中止し、10000分として記録した。
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
表2及び表3に示すとおり、実施例と比較例とを比較すると、実施例では、特にPMMAに対する保持力が大きく向上した。また、実施例2−1〜2−6を比較すると、単位放電長さ当たりの放電電力を大きくすることで保持力を更に向上できることがわかった。
【0076】
なお、実施例2−6と実施例2−7とを比較すると、実施例2−7の方が初期粘着力が低い。これは、単位放電長さ当たりの放電電力を大きくすることで、粘着剤層の表面改質がより顕著に進行し、官能基等の形成によって表面硬度が上昇したためと考えられる。
【符号の説明】
【0077】
10…粘着テープ、11…粘着剤層、12…第一の剥離ライナー。
図1