特開2019-206926(P2019-206926A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤンマー株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2019206926-スターリングエンジン 図000003
  • 特開2019206926-スターリングエンジン 図000004
  • 特開2019206926-スターリングエンジン 図000005
  • 特開2019206926-スターリングエンジン 図000006
  • 特開2019206926-スターリングエンジン 図000007
  • 特開2019206926-スターリングエンジン 図000008
  • 特開2019206926-スターリングエンジン 図000009
  • 特開2019206926-スターリングエンジン 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-206926(P2019-206926A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】スターリングエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02G 1/047 20060101AFI20191108BHJP
   F02G 1/05 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   F02G1/047
   F02G1/05 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-102015(P2018-102015)
(22)【出願日】2018年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北崎 真人
(72)【発明者】
【氏名】湯▲崎▼ 啓一朗
(57)【要約】      (修正有)
【課題】廃熱を熱源として駆動させる際、加熱部の過熱を抑制することができるスターリングエンジンを提供する。
【解決手段】ディスプレーサピストン3及びパワーピストン4と連結されるクランク軸12を軸支するクランクケース13と、熱源部に暴露されるヒータ8と、ヒータ8の温度を検出する温度センサと、エンジンの出力を検出する出力センサと、圧縮空間6とクランクケース13とに連通する第1連通経路71と、第1連通経路71に設けられる第1開閉弁72と、第1開閉弁72の開閉を制御する制御部と、第1開閉弁72と並列に設けられ、クランクケース13から圧縮空間6に向かう方向を順方向とする逆止弁73と、を備え、制御部は、温度センサの検出温度に基づくヒータ温度が上限温度未満、かつ出力センサの検出出力に基づく出力が定格出力より大きい上限出力以上となった場合に、出力が定格出力より小さい下限出力以下となるまで第1開閉弁72を開く。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復動するディスプレーサピストン及びパワーピストンと、
前記ディスプレーサピストン及びパワーピストンと連結されるクランク軸と、
前記クランク軸を軸支するクランクケースと、
熱源部に暴露される加熱部と、
前記加熱部の温度を検出する温度センサと、
エンジンの出力を検出する出力センサと、
前記パワーピストンの圧縮空間と前記クランクケースの内部とに連通する第1連通経路と、
前記第1連通経路に設けられる第1開閉弁と、
前記第1開閉弁の開閉を制御する制御部と、
前記第1開閉弁と並列に設けられ、前記クランクケースの内部から前記圧縮空間に向かう方向を順方向とする逆止弁と、を備え、
前記制御部は、前記温度センサの検出温度に基づく加熱部温度が上限温度未満、かつ前記出力センサの検出出力に基づく出力が定格出力より大きい上限出力以上となった場合に、前記出力が前記定格出力より小さい下限出力以下となるまで前記第1開閉弁を開く、スターリングエンジン。
【請求項2】
往復動するディスプレーサピストン及びパワーピストンと、
前記ディスプレーサピストン及びパワーピストンと連結されるクランク軸と、
前記クランク軸を軸支するクランクケースと、
熱源部に暴露される加熱部と、
前記加熱部の温度を検出する温度センサと、
エンジンの出力を検出する出力センサと、
前記パワーピストンの圧縮空間と前記クランクケースの内部とに連通する第1連通経路と、
前記第1連通経路に設けられる比例弁と、
前記比例弁の開度を制御する制御部と、
前記比例弁と並列に設けられ、前記クランクケースの内部から前記圧縮空間に向かう方向を順方向とする逆止弁と、を備え、
前記制御部は、前記温度センサの検出温度に基づく加熱部温度が上限温度未満、かつ前記出力センサの検出出力に基づく出力が定格出力より大きい上限出力未満の場合、前記出力が前記定格出力となるように前記比例弁の開度を制御する、スターリングエンジン。
【請求項3】
往復動するディスプレーサピストン及びパワーピストンと、
熱源部に暴露される加熱部と、
前記加熱部の温度を検出する温度センサと、
前記ディスプレーサピストンの膨張空間と外部とに連通する第2連通経路と、
前記第2連通経路に設けられ、前記膨張空間に送風する送風機と、
前記送風機よりも前記膨張空間側の前記第2連通経路に設けられる第2開閉弁と、
前記パワーピストンの圧縮空間を外部に連通させるか否かを切り替える第3開閉弁と、
前記送風機の運転、前記第2開閉弁の開閉、及び前記第3開閉弁の開閉を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記温度センサの検出温度に基づく加熱部温度が上限温度以上の場合に、前記加熱部温度が所定温度以下となるまで前記第2開閉弁及び前記第3開閉弁を開くと共に前記送風機を運転する、スターリングエンジン。
【請求項4】
前記制御部は、前記温度センサの検出温度に基づく加熱部温度が上限温度以上の場合に、前記第3開閉弁を開き、前記圧縮空間内の圧力が所定圧以下となった後又は所定時間の経過後、前記第2開閉弁を開いて前記送風機を運転する、請求項3に記載のスターリングエンジン。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スターリングエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、焼却炉等の煙道にスターリングエンジンの加熱部を配置し、排ガスを熱源として駆動させるスターリングエンジンにおいて、煙道に暴露される加熱部としての加熱器チューブが異常に加熱し、破損するおそれがあるため、加熱器チューブの異常加熱対策の必要性を開示する。
【0003】
しかし、特許文献1は、加熱器チューブの異常加熱の対策として、圧力制御装置による作動媒体の圧力を変更すると開示するものの、その具体的な構成については何ら開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−45865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、廃熱を熱源として駆動させる際、加熱部の過熱を抑制することができるスターリングエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスターリングエンジンは、往復動するディスプレーサピストン及びパワーピストンと、
前記ディスプレーサピストン及びパワーピストンと連結されるクランク軸と、
前記クランク軸を軸支するクランクケースと、
熱源部に暴露される加熱部と、
前記加熱部の温度を検出する温度センサと、
エンジンの出力を検出する出力センサと、
前記パワーピストンの圧縮空間と前記クランクケースの内部とに連通する第1連通経路と、
前記第1連通経路に設けられる第1開閉弁と、
前記第1開閉弁の開閉を制御する制御部と、
前記第1開閉弁と並列に設けられ、前記クランクケースの内部から前記圧縮空間に向かう方向を順方向とする逆止弁と、を備え、
前記制御部は、前記温度センサの検出温度に基づく加熱部温度が上限温度未満、かつ前記出力センサの検出出力に基づく出力が定格出力より大きい上限出力以上となった場合に、前記出力が前記定格出力より小さい下限出力以下となるまで前記第1開閉弁を開くものである。
【0007】
本発明によれば、エンジンの出力を定格出力付近に調整することができる。常用最大出力である定格出力付近でエンジンを駆動させることで、加熱部から最大限の吸熱を行うことができるため、加熱部の冷却効果を最大限に維持できる。その結果、廃熱を熱源として駆動させる際、加熱部の過熱を抑制することができる。
【0008】
また、本発明のスターリングエンジンは、往復動するディスプレーサピストン及びパワーピストンと、
前記ディスプレーサピストン及びパワーピストンと連結されるクランク軸と、
前記クランク軸を軸支するクランクケースと、
熱源部に暴露される加熱部と、
前記加熱部の温度を検出する温度センサと、
エンジンの出力を検出する出力センサと、
前記パワーピストンの圧縮空間と前記クランクケースの内部とに連通する第1連通経路と、
前記第1連通経路に設けられる比例弁と、
前記比例弁の開度を制御する制御部と、
前記比例弁と並列に設けられ、前記クランクケースの内部から前記圧縮空間に向かう方向を順方向とする逆止弁と、を備え、
前記制御部は、前記温度センサの検出温度に基づく加熱部温度が上限温度未満、かつ前記出力センサの検出出力に基づく出力が定格出力より大きい上限出力未満の場合、前記出力が前記定格出力となるように前記比例弁の開度を制御するものである。
【0009】
本発明によれば、エンジンの出力を定格出力付近に調整することができる。常用最大出力である定格出力付近でエンジンを駆動させることで、加熱部から最大限の吸熱を行うことができるため、加熱部の冷却効果を最大限に維持できる。その結果、廃熱を熱源として駆動させる際、加熱部の過熱を抑制することができる。
【0010】
また、本発明のスターリングエンジンは、往復動するディスプレーサピストン及びパワーピストンと、
熱源部に暴露される加熱部と、
前記加熱部の温度を検出する温度センサと、
前記ディスプレーサピストンの膨張空間と外部とに連通する第2連通経路と、
前記第2連通経路に設けられ、前記膨張空間に送風する送風機と、
前記送風機よりも前記膨張空間側の前記第2連通経路に設けられる第2開閉弁と、
前記パワーピストンの圧縮空間を外部に連通させるか否かを切り替える第3開閉弁と、
前記送風機の運転、前記第2開閉弁の開閉、及び前記第3開閉弁の開閉を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記温度センサの検出温度に基づく加熱部温度が上限温度以上の場合に、前記加熱部温度が所定温度以下となるまで前記第2開閉弁及び前記第3開閉弁を開くと共に前記送風機を運転するものである。
【0011】
本発明のスターリングエンジンにおいて、前記制御部は、前記温度センサの検出温度に基づく加熱部温度が上限温度以上の場合に、前記第3開閉弁を開き、前記圧縮空間内の圧力が所定圧以下となった後又は所定時間の経過後、前記第2開閉弁を開いて前記送風機を運転することが好ましい。
【0012】
本発明によれば、第2開閉弁及び第3開閉弁を開くと共に送風機を運転することで、外気が膨張空間に供給され、膨張空間と連通する加熱部を冷却することができる。その結果、廃熱を熱源として駆動させる際、加熱部の過熱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るスターリングエンジンの側面断面を示す概略図ある。
図2】第1実施形態に係るスターリングエンジンの正面断面を示す概略図である。
図3】第1実施形態に係るエンジン出力の制御の手順を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態に係るエンジン出力の制御の一例を示すグラフである。
図5】第2実施形態に係るエンジン出力の制御の手順を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係るエンジン出力の制御の一例を示すグラフである。
図7】第3実施形態に係るスターリングエンジンの側面断面を示す概略図ある。
図8】第3実施形態に係るヒータ冷却処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、スターリングエンジン1の側面断面を示す概略図であり、図2は、スターリングエンジン1の正面断面を示す概略図である。なお、以下では、β型のスターリングエンジン1を例に挙げて説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、スターリングエンジン1は、空気、ヘリウムガス、水素等の作動ガスが封入されたシリンダ2の内部に、ディスプレーサピストン3及びパワーピストン4がそれぞれ往復動可能に収容されている。
【0017】
シリンダ2は、一端を開口する一方で他端を閉塞した構成で有り、閉塞端部側にディスプレーサピストン3を配置する一方、開口端部側にパワーピストン4を配置している。シリンダ2内には、閉塞端部とディスプレーサピストン3との間に膨張空間5が形成され、ディスプレーサピストン3とパワーピストン4との間に圧縮空間6が形成されている。なお、シリンダ2内の膨張空間5と圧縮空間6とを合わせて、作動空間と呼ぶ。
【0018】
スターリングエンジン1は、シリンダ2内の作動空間における作動ガスの温度を昇降させる熱交換器7が配設されている。熱交換器7は、膨張空間5と連通して外部からの入熱により作動ガスを加熱するヒータ8(加熱部に相当する)と、圧縮空間6と連通して外部への放熱により作動ガスを冷却するクーラ9と、ヒータ8とクーラ9とを連結する再生器10とを備えている。ディスプレーサピストン3がシリンダ2の開口端部側に向けて移動すると、ヒータ8で加熱された作動ガスが膨張空間5に流入することで、作動ガスの温度が上昇する。一方、ディスプレーサピストン3がシリンダ2の閉塞端部側に向けて移動すると、クーラ9で冷却された作動ガスが圧縮空間6に流入することで、作動ガスの温度が低下する。従って、熱交換器7とシリンダ2内の作動空間との間で作動ガスが順逆に流れることで、シリンダ2の作動空間における内圧が変化し、パワーピストン4の往復動を促す。
【0019】
ヒータ8は、一端部が膨張空間5に連通し、他端部が再生器10の一端部に連通している。ヒータ8は、焼却炉等で発生する排ガスの熱を受けることで、内部を通過する作動ガスを加熱する。図1及び図2では、管状のヒータ8を2個のみ示しているが、実際には多数(3個以上)のヒータ8が設けられている。ヒータ8には、不図示の温度センサが設けられており、温度センサによりヒータ8の温度を検出することができる。温度センサとしては、例えば熱電対が用いられる。温度センサで検出されたヒータ8の温度は、不図示の制御部に入力される。
【0020】
再生器10の他端部はクーラ9に連通している。また、クーラ9は圧縮空間6に連通している。クーラ9内には作動ガスと熱交換可能に冷却水が流れており、この熱交換によって作動ガスを冷却する。
【0021】
再生器10及びクーラ9は、シリンダ2の外周部に配置されている。なお、図1では再生器10及びクーラ9の一部が省略されている。再生器10は、例えば、金属繊維や金網を積層させたものや、作動ガスの流路をハニカム形状などで配列させたものや、綿状金属繊維を内包させたものなどで構成されており、蓄熱式熱交換器として機能する。すなわち、再生器10は、ヒータ8からクーラ9に高温の作動ガスが流れる際には、作動ガスの熱を蓄熱する一方で、クーラ9からヒータ8に低温の作動ガスが流れる際には、蓄熱した熱を作動ガスに放熱する。
【0022】
スターリングエンジン1は、シリンダ2の開口端部側に、パワーピストン4の往復動作を回転動作に変換して回転動力を出力する出力取り出し装置11を備える。出力取り出し装置11は、ディスプレーサピストン3及びパワーピストン4それぞれと連結したクランク軸12をクランクケース13内に軸支させている。そして、クランク軸12の一端側が出力軸となり、クランクケース13内で、フライホイール14を介して発電機15の入力軸16と連結されている。また、シリンダ2内におけるパワーピストン4より開口端部側の空間17aと、クランクケース13内の空間17bとにより、バッファ空間17を形成している。
【0023】
ディスプレーサピストン3及びパワーピストン4は、出力取り出し装置11のクランク軸12と接続することで、シリンダ2内を互いに所定の位相差で往復動する。なお、本実施形態では、ディスプレーサピストン3及びパワーピストン4の往復動作における位相差を90°としている。
【0024】
出力取り出し装置11は、ディスプレーサピストン3に合わせて往復動するディスプレーサピストンヨーク51のクランク軸案内溝(貫通溝)51aに固定されたプレート51cと、パワーピストン4に合わせて往復動するパワーピストンヨーク(往復動部)52,53のクランク軸案内溝(貫通溝)52a,53aに固定されたプレート52c,53cのそれぞれに、軸受57〜59を介してクランク軸12のクランクピン54〜56が嵌合わされたスコッチ・ヨーク機構で構成されている。
【0025】
図2に示すように、ディスプレーサピストンヨーク51は、その中央部分に、クランク軸12及びディスプレーサピストン3それぞれの軸方向に対して交差する方向(横方向)に長いクランク軸案内溝51aが設けられている。ディスプレーサピストンヨーク51におけるクランク軸案内溝51aを挟んだ両側部には、ディスプレーサピストン3の軸方向に沿う方向(縦方向)に、往復動案内穴(貫通穴)51bが穿設されている。そして、ディスプレーサピストンヨーク51の往復動案内穴51bには、ロータリブッシングなどの直動軸受63を介して、クランクケース13に固定されたガイド軸60が挿入されている。ディスプレーサピストンヨーク51は、一端がディスプレーサピストン3と連結したロッド66の他端と連結しており、ディスプレーサピストン3の往復動に合わせて、ディスプレーサピストン3と同一方向(縦方向)で往復動する。
【0026】
図2に示すように、パワーピストンヨーク52は、その中央部分に、横方向に長いクランク軸案内溝52aが設けられており、クランク軸案内溝52aを挟んだ両側部に、往復動案内穴(貫通穴)52bが縦方向に穿設されている。そして、パワーピストンヨーク52の往復動案内穴52bには、直動軸受64を介して、クランクケース13に固定されたガイド軸61が挿入されている。パワーピストンヨーク52は、一端がパワーピストン4と連結したブリッジ67の他端と連結しており、パワーピストン4の往復動に合わせて縦方向で往復動する。パワーピストンヨーク53は、パワーピストンヨーク52と同様の形状をしているため、詳細な説明は省略する。
【0027】
図1及び図2に示すように、パワーピストン4及びブリッジ67の中心には、パワーピストン4の軸方向に沿う方向(縦方向)に貫通穴4a,67aが設けられており、ディスプレーサピストン3と連結したロッド66が貫装されている。ロッド66は、パワーピストン4及びブリッジ67と相対的に移動可能であるとともに、パワーピストン4におけるロッド66の挿入部分にメカニカルシールなどによる動的シール機構(図示省略)が構成されている。
【0028】
図1に示すように、クランク軸12は、ブリッジ67とパワーピストンヨーク52,53を介して連結したクランクピン55,56の間に、ロッド66とディスプレーサピストンヨーク51を介して連結したクランクピン54を設けており、同位相のクランクピン55,56に対して所定の位相差(例えば、90°)でクランクピン54が取り付けられている。クランクケース13におけるシリンダ2との連結部分には、ブリッジ67が嵌挿されるブリッジ挿入穴68が設けられている。クランクケース13のブリッジ挿入穴68は、シリンダ2とクランクケース13との連結部分に構成されており、ブリッジ67のシリンダ2側部分がブリッジ挿入穴68に対して挿脱するようにして、ブリッジ67がパワーピストン4に合わせて往復動する。シリンダ2内におけるパワーピストン4より開口端部側のバッファ空間17aにおける、パワーピストン4の往復動に伴う容積変化による内圧の変動を低減する為に、シリンダ2内のバッファ空間17aとクランクケース13内のバッファ空間17bとの間に連通口17dを設けている。
【0029】
ディスプレーサピストン3は、クランク軸12の回転動力で往復動し、作動ガスが膨張空間5と圧縮空間6の間を行き来して、作動空間の内圧が変化する。この圧力変化によりパワーピストン4が往復動し、その往復動力がブリッジ67を介してパワーピストンヨーク52,53に伝達される。これにより、パワーピストンヨーク52,53がそれぞれ、ガイド軸61,62のそれぞれに沿って縦方向に往復動する。そして、パワーピストンヨーク52,53それぞれの往復動により、クランク軸案内溝52a,53aそれぞれをクランクピン55,56それぞれが回転しながら横方向に往復することで、クランク軸12が回転する。従って、パワーピストン4の往復動力を受けた出力取り出し装置11は、スコッチ・ヨーク機構により回転動力に変換してクランク軸12より出力し、フライホイール14及び入力軸16を介して発電機15を回転させる。
【0030】
スターリングエンジン1は、エンジンの出力を検出する不図示の出力センサを備えている。出力センサとしては、クランク軸12又は入力軸16の回転数を測定するセンサ、発電機15の発電量を測定するセンサなど、エンジンの出力に相当する物理量を測定可能なセンサであればよい。出力センサで検出されたスターリングエンジン1の出力は、不図示の制御部に入力される。
【0031】
スターリングエンジン1は、圧縮空間6とクランクケース13の内部とに連通する第1連通経路71を備えている。第1連通経路71は、一端がシリンダ2に接続され、他端がクランクケース13に接続されている。また、第1連絡経路71の他端は、クランクケース13内の潤滑油の液面よりも鉛直方向上部に接続される。第1連通経路71を設けることで、圧縮空間6とクランクケース13の内部との間で作動ガスが行き来することができる。
【0032】
第1連通経路71には、第1開閉弁72及び逆止弁73が設けられている。第1開閉弁72と逆止弁73は、並列に配設されている。第1開閉弁72は、第1連通経路71を連通又は遮断することができる。逆止弁73は、クランクケース13の内部から圧縮空間6に向かう方向が順方向となるように配置されている。
【0033】
第1開閉弁72及び逆止弁73を設けることで、第1開閉弁72を開くと、作動空間(膨張空間5と圧縮空間6)内の作動ガスが第1連通経路71を介してクランクケース13内へ移動するため、エンジンの出力を低下させることができる。一方、第1開閉弁72を閉じると、逆止弁73によってクランクケース13内から作動空間への作動ガスの移動のみが許可されるため、エンジンの出力を徐々に増加させることができる。このように、第1開閉弁72を開閉することで、エンジンの出力を調整することができる。
【0034】
次に、上記のスターリングエンジン1の制御方法について説明する。図3は、エンジン出力の制御の手順を示すフローチャートである。図4は、エンジン出力の制御の一例を示すグラフである。
【0035】
まず、ステップS11において、エンジンの出力Pとヒータ8の温度Thを検出する。エンジンの出力Pは、上記の出力センサで検出され、ヒータ8の温度Thは、上記の温度センサで検出される。出力センサで検出された出力P、及び温度センサで検出された温度Thは、制御部に入力される。
【0036】
次のステップS12において、制御部は、エンジンの出力Pが上限出力P1以上であるか否かを判定する。上限出力P1は、エンジンの定格出力P2に基づいて設定され、例えば定格出力P2の105〜110%に設定される。図4に示すように、熱源としての排ガス(熱源ガス)の温度が何らかの異常で過熱されて上昇すると、これに合わせてヒータ8の温度Th及びエンジンの出力Pも上昇する。そして、図4に示すように、エンジンの出力Pが上限出力P1以上となった場合(ステップS12のYes)、次のステップS13に進む。
【0037】
次のステップS13において、制御部は、ヒータ8の温度Thが許容温度T1以上となる期間がt2秒継続しているか否かを判定する。許容温度T1は、ヒータ8が熱劣化を起こす温度に基づいて設定される。本発明において、ヒータ8の温度Thが上限温度以上とは、ヒータ8の温度Thが許容温度T1以上となる期間がt2秒継続する状態を意味する。ヒータ8の温度Thが上限温度以上となると熱劣化のおそれがある。ステップS13において、ヒータ8の温度Thが許容温度T1以上となる期間がt2秒継続していると判定された場合(ステップS13のYes)、熱劣化を抑制するために後述するヒータ8を冷却する処理を行う。一方、ヒータ8の温度Thが許容温度T1以上となる期間がt2秒継続していないと判定された場合(ステップS13のNo)、次のステップS14に進む。
【0038】
次のステップS14において、制御部は、第1開閉弁72に開くように指示する。第1開閉弁72を開いた後、ステップS11に戻る。
【0039】
ステップS14で第1開閉弁72を開くと、図4に示すようにエンジンの出力Pは低下していき、エンジンの出力Pは上限出力P1未満となり(ステップS12のNo)、ステップS15に進む。
【0040】
次のステップS15において、制御部は、エンジンの出力Pが下限出力P3以下であるか否かを判定する。下限出力P3は、エンジンの定格出力P2に基づいて設定され、例えば定格出力P2の90〜95%に設定される。エンジンの出力Pが下限出力P3以下であれば(ステップS15のYes)、次のステップS16に進む。
【0041】
次のステップS16において、制御部は、第1開閉弁72に閉じるように指示する。第1開閉弁72を閉じると、逆止弁73によって図4に示すようにエンジンの出力Pは上昇する。ステップS16で第1開閉弁72を閉じた後、ステップS11に戻り、エンジンの出力Pとヒータ8の温度Thを検出する。
【0042】
一方、ステップS15でエンジンの出力Pが下限出力P3より大きい場合(ステップS15のNo)、ステップS11に戻り、エンジンの出力Pが下限出力P3以下となるまで第1開閉弁72の開状態を維持する。以上の制御により、エンジンの出力Pを安全な定格出力P2の付近に調整することができる。
【0043】
なお、ステップS12において、エンジンの出力Pが定格出力P2以上となる期間がt1秒継続しているか否かを判定するようにしてもよい。これにより、図4に示すように、エンジンの出力Pが定格出力P2を超えて上限出力P1に達する前に、第1開閉弁72を開いてエンジンの出力Pを低下させることができる。
【0044】
[第2実施形態]
第2実施形態のスターリングエンジン1は、第1実施形態のスターリングエンジン1の第1開閉弁72を比例弁に替えたものである。比例弁は、開度を連続的に変更可能な電磁弁である。
【0045】
第2実施形態のスターリングエンジン1の制御方法について説明する。図5は、エンジン出力の制御の手順を示すフローチャートである。図6は、エンジン出力の制御の一例を示すグラフである。
【0046】
まず、ステップS21において、エンジンの出力Pとヒータ8の温度Thを検出する。エンジンの出力Pは、上記の出力センサで検出され、ヒータ8の温度Thは、上記の温度センサで検出される。出力センサで検出された出力P、及び温度センサで検出された温度Thは、制御部に入力される。
【0047】
次のステップS22において、制御部は、エンジンの出力Pが上限出力P1以上であるか否かを判定する。上限出力P1は、エンジンの定格出力P2に基づいて設定され、例えば定格出力P2の105〜110%に設定される。エンジンの出力Pが上限出力P1未満の場合(ステップS22のNo)、次のステップS23に進む。
【0048】
一方、エンジンの出力Pが上限出力P1以上の場合(ステップS22のYes)、次のステップS25において、制御部は、比例弁に全開とするように指示する。これにより、エンジンの出力Pは大きく低下するため、スターリングエンジン1が破損することを防止できる。
【0049】
ステップS23において、制御部は、出力Pが定格出力P2となるように比例弁の開度の制御を開始する。図6に示すように比例弁の開度を大きくすると、エンジンの出力Pは低下していき、比例弁の開度を小さくすると、エンジンの出力Pは上昇する。比例弁の開閉により、エンジンの出力Pを調整することができる。比例弁を用いることで、エンジンの出力Pを精度よく定格出力P2付近に調整することができるため、ヒータ8の冷却効果を最大限に発揮できる。
【0050】
次のステップS24において、制御部は、ヒータ8の温度Thが許容温度T1以上となる期間がt2秒継続しているか否かを判定する。ステップS24において、ヒータ8の温度Thが許容温度T1以上となる期間がt2秒継続していると判定された場合(ステップS24のYes)、熱劣化を抑制するために後述するヒータ8を冷却する処理を行う。一方、ヒータ8の温度Thが許容温度T1以上となる期間がt2秒継続していないと判定された場合(ステップS24のNo)、ステップS21に戻る。
【0051】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態に係るスターリングエンジン1の側面断面を示す概略図である。このスターリングエンジン1は、ディスプレーサピストン3の膨張空間5と外部とに連通する第2連通経路81と、第2連通経路81に設けられ、膨張空間5に送風するブロア82(送風機に相当)と、ブロア82よりも膨張空間5側の第2連通経路81に設けられる第2開閉弁83と、パワーピストン4の圧縮空間6を外部に連通させるか否かを切り替える第3開閉弁84と、ブロア82の運転、第2開閉弁83の開閉、及び第3開閉弁84の開閉を制御する制御部(不図示)と、を備えている。
【0052】
制御部は、ヒータ8の温度Thが上限温度以上の場合に、ヒータ冷却処理を実行する。ヒータ8を冷却する方法を、図8を用いて説明する。
【0053】
まず、ステップS31において、制御部は、第3開閉弁84に開くように指示する。これにより、圧縮空間6から作動ガスが外部に排出され、エンジンは停止される。
【0054】
次のステップS32において、制御部は、圧縮空間6内の圧力がP0以下であるか否かを判定する。圧縮空間6内の圧力は、不図示の圧力センサで検出され、検出された圧力は制御部に入力される。ここでのP0は、大気圧よりも高い圧力に設定される。圧縮空間6内の圧力がP0以下であれば(ステップS32のYes)、次のステップS33に進む。一方、圧縮空間6内の圧力がP0より大きければ(ステップS32のNo)、ステップS31に戻る。
【0055】
次のステップS33において、制御部は、第2開閉弁83に開くように指示する。これにより、第2連通経路81は、外部と連通される。
【0056】
次のステップS34において、制御部は、ブロア82を起動して運転を開始する。これにより、外気が膨張空間5に供給され、膨張空間5と連通するヒータ8が冷却される。ヒータ8の冷却に使用されて温度が上昇したエアは、再生器10及びクーラ9を通って冷却された後、圧縮空間6に設けた第3開閉弁84を介して外部へ排出される。
【0057】
なお、ステップS32において、制御部は、第3開閉弁84を開いてから所定時間経過したか否かを判定するようにしてもよい。第3開閉弁84を開いてから所定時間経過していれば(ステップS32のYes)、次のステップS33に進み、第3開閉弁84を開いてから所定時間経過していなければ(ステップS32のNo)、ステップS31に戻る。
【0058】
[他の実施形態]
前述の第3実施形態において、第3開閉弁84の代わりに、再生器10を外部に連通させるか否かを切り替える第4開閉弁(不図示)を設けてもよい。第4開閉弁を開くことで、作動空間から作動ガスが外部に排出される。また、ヒータ8の冷却に使用されて温度が上昇したエアは、再生器10を通って第4開閉弁から外部へ排出される。これにより、エアがクーラ9を介さずに外部へ排出されるため、圧損が低減でき、ブロア82によって大量の外気を膨張空間5に供給してヒータ8の冷却を効率的に行うことができる。
【0059】
前述の実施形態では、β型のスターリングエンジン1に基づいて説明したが、α型やγ型等の他の形式のスターリングエンジンであっても構わない。
【0060】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1 スターリングエンジン
3 ディスプレーサピストン
4 パワーピストン
5 膨張空間
6 圧縮空間
8 ヒータ
9 クーラ
12 クランク軸
13 クランクケース
71 第1連通経路
72 第1開閉弁
73 逆止弁
81 第2連通経路
82 ブロア
83 第2開閉弁
84 第3開閉弁


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8