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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-206960(P2019-206960A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/04 20060101AFI20191108BHJP
   F02B 19/12 20060101ALI20191108BHJP
   F02D 41/02 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   F02D41/04 335Z
   F02B19/12 A
   F02D41/02 335
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-103805(P2018-103805)
(22)【出願日】2018年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植木 毅
(72)【発明者】
【氏名】青木 文明
(72)【発明者】
【氏名】葛原 浩司
【テーマコード(参考)】
3G023
3G301
【Fターム(参考)】
3G023AA01
3G023AB01
3G023AC01
3G023AC04
3G023AD21
3G301HA01
3G301HA04
3G301HA05
3G301LB02
3G301LB04
3G301MA19
(57)【要約】
【課題】着火性に優れた内燃機関を提供すること。
【解決手段】内燃機関1は、燃焼室11に先端部を露出させた点火プラグ2と、燃焼室11に直接燃料を噴射する燃料噴射弁3と、燃料噴射弁3の噴射を制御する噴射制御部4と、を有する。点火プラグ2は、火花放電ギャップ21を先端側から覆うと共に噴孔221が設けられたプラグキャップ22を備えている。噴射制御部4は、圧縮行程において、燃料噴射弁3から燃料を噴射させるよう構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室(11)に先端部を露出させた点火プラグ(2)と、
上記燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁(3)と、
上記燃料噴射弁の噴射を制御する噴射制御部(4)と、を有し、
上記点火プラグは、火花放電ギャップ(21)を先端側から覆うと共に噴孔(221)が設けられたプラグキャップ(22)を備え、
上記噴射制御部は、圧縮行程(CS)において、上記燃料噴射弁から燃料を噴射させるよう構成されている、内燃機関(1、100)。
【請求項2】
圧縮行程において、吸気弁(12)の閉弁時点(IC)から、上記プラグキャップ内の副室(220)へのガス流入速度(Vg)のピークの時点(Pc)までの間の期間(Tc)の少なくとも一部において、上記燃料噴射弁から燃料を噴射させるよう構成されている、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
燃焼室(11)に先端部を露出させた点火プラグ(2)と、
上記燃焼室へ空気を供給する吸気ポート(120)に燃料を噴射する燃料噴射弁(30)と、
上記燃料噴射弁の噴射を制御する噴射制御部(40)と、を有し、
上記点火プラグは、火花放電ギャップ(21)を先端側から覆うと共に噴孔(221)が設けられたプラグキャップ(22)を備え、
上記噴射制御部は、吸気行程(IS)において、上記燃料噴射弁から燃料を噴射させるよう構成されている、内燃機関(10)。
【請求項4】
吸気行程において、吸気弁(12)の開弁時点(IO)から、上記プラグキャップ内の副室(220)へのガス流入速度(Vg)のピークの時点(Pi)までの間の期間(Ti)の少なくとも一部において、上記燃料噴射弁から燃料を噴射させるよう構成されている、請求項3に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火プラグと燃料噴射弁とを有する内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジン等の内燃機関は、燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射弁と、燃焼室の混合気に点火するための点火プラグとを有する。そして、点火プラグとして、火花放電ギャップを先端側から覆うと共に噴孔を有するプラグキャップを備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−36904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プラグキャップを有する点火プラグにおいては、プラグキャップ内の副室における気流が遅くなりやすい。それゆえ、特にリーン燃焼場において、プラグキャップ内の火花放電ギャップに供給される混合気の濃度が低下しやすく、着火性の観点で不利となりやすい。着火性向上のために、点火エネルギを高めることも考えられるが、燃費や電極消耗の観点から、必ずしも望ましいとは言えない。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、着火性に優れた内燃機関を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、燃焼室(11)に先端部を露出させた点火プラグ(2)と、
上記燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁(3)と、
上記燃料噴射弁の噴射を制御する噴射制御部(4)と、を有し、
上記点火プラグは、火花放電ギャップ(21)を先端側から覆うと共に噴孔(221)が設けられたプラグキャップ(22)を備え、
上記噴射制御部は、圧縮行程(CS)において、上記燃料噴射弁から燃料を噴射させるよう構成されている、内燃機関(1、100)にある。
【0007】
本発明の第2の態様は、燃焼室(11)に先端部を露出させた点火プラグ(2)と、
上記燃焼室へ空気を供給する吸気ポート(120)に燃料を噴射する燃料噴射弁(30)と、
上記燃料噴射弁の噴射を制御する噴射制御部(40)と、を有し、
上記点火プラグは、火花放電ギャップ(21)を先端側から覆うと共に噴孔(221)が設けられたプラグキャップ(22)を備え、
上記噴射制御部は、吸気行程(IS)において、上記燃料噴射弁から燃料を噴射させるよう構成されている、内燃機関(10)にある。
【発明の効果】
【0008】
上記第1の態様の内燃機関は、燃焼室に直接燃料を噴射するものであって、噴射制御部が、圧縮行程において、燃料噴射弁から燃料を噴射させるよう構成されている。これにより、プラグキャップ内の火花放電ギャップに供給される混合気における燃料濃度を高くしやすい。つまり、圧縮行程において燃料噴射弁から燃料を噴射させることで、噴孔からプラグキャップ内に導入される混合気における燃料濃度を高くしやすい。その結果、混合気への着火性を向上させることができる。
【0009】
上記第2の態様の内燃機関は、燃焼室へ空気を供給する吸気ポートに燃料を噴射するものであって、噴射制御部が、吸気行程において、燃料噴射弁から燃料を噴射させるよう構成されている。これにより、プラグキャップ内の火花放電ギャップに供給される混合気における燃料濃度を高くしやすい。つまり、圧縮行程において燃料噴射弁から燃料を噴射させることで、噴孔からプラグキャップ内に導入される混合気における燃料濃度を高くしやすい。その結果、混合気への着火性を向上させることができる。
【0010】
以上のごとく、上記態様によれば、着火性に優れた内燃機関を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1における、内燃機関の断面説明図。
図2】実施形態1における、点火プラグの先端部の断面説明図。
図3】実施形態1における、燃料噴射の様子を示す断面説明図。
図4】実施形態1における、ガス流入速度の時間変化を示す線図。
図5】実施形態1における、噴射タイミングを説明する線図。
図6】実施形態2における、内燃機関の断面説明図。
図7】実施形態2における、燃料噴射の様子を示す断面説明図。
図8】実施形態2における、噴射タイミングを説明する線図。
図9】実施形態3における、内燃機関の断面説明図。
図10】実験例1における、着火遅れ角の測定結果を示す線図。
図11】実験例1における、着火遅れ角の変動率の測定結果を示す線図。
図12】実験例1における、燃焼変動率の測定結果を示す線図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
内燃機関に係る実施形態について、図1図5を参照して説明する。
本形態の内燃機関1は、図1に示すごとく、点火プラグ2と燃料噴射弁3と噴射制御部4とを有する。点火プラグ2は、燃焼室11に先端部を露出させている。燃料噴射弁3は、燃焼室11に直接燃料を噴射する。噴射制御部4は、燃料噴射弁3の噴射を制御する。
【0013】
点火プラグ2は、図2に示すごとく、火花放電ギャップ21を先端側から覆うプラグキャップ22を備えている。プラグキャップ22には、噴孔221が設けられている。
噴射制御部4は、圧縮行程において、図3に示すごとく、燃料噴射弁3から燃料Fを噴射させるよう構成されている。すなわち、後述する図4において、ISにて示す圧縮行程の期間の少なくとも一部において、燃料噴射を行う。
【0014】
図1に示すごとく、内燃機関1は、吸気ポート120を開閉する吸気弁12と、排気ポート130を開閉する排気弁13とを備えている。点火プラグ2は、エンジンヘッドにおける、吸気ポート120と排気ポート130との間の部分に配設されている。点火プラグ2は、先端部を燃焼室11へ突出させている。すなわち、プラグキャップ22を燃焼室11に露出させており、噴孔221を燃焼室11に露出させている。
【0015】
点火プラグ2は、図2に示すごとく、プラグキャップ22を有する。本形態においては、絶縁碍子から先端側へ突出した中心電極211と、プラグキャップ22に設けられた接地電極212との間に、火花放電ギャップ21が形成されている。プラグキャップ22は、複数の噴孔221を有する。噴孔221は、プラグ軸方向の先端側へ行くほど径方向の外側へ向かうように傾斜している。プラグキャップ22は、先端面222と側面223との間にテーパ面224を有し、該テーパ面224に、噴孔221が開口している。なお、プラグキャップ22の内側の空間を、適宜、副室220という。
【0016】
図1に示すごとく、燃料噴射弁3も、エンジンヘッドに取り付けてある。そして、燃料噴射弁3の噴射口を、燃焼室11に露出させている。これにより、燃料噴射弁3が、燃焼室11に直接燃料を噴射できるよう構成されている。
【0017】
燃焼室11を構成するシリンダ内に、ピストン14が摺動可能に配置されている。ピストン14の往復運動により、燃焼室11の容積が随時変動する。すなわち、ピストン14の往復運動によって、内燃機関1は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程を順次繰り返す。本形態の内燃機関1は、4ストロークエンジンである。
【0018】
図4は、吸気行程から圧縮行程までにおける、副室220へのガス流入速度Vgの変化を示す線図である。同図のグラフは、横軸をクランク角、縦軸をガス流入速度Vgとしたものである。横軸のクランク角は、圧縮行程の最終段階においてピストン14が上死点にある時点(すなわち圧縮TDC)からどの程度前の時点かをクランク角によって表したものである。つまり、「θdeg.BTDC」は、圧縮TDCよりもクランク角θdeg分、前の時点であることを示す。なお、360〜180deg.BTDCを、吸気行程、180〜0deg.BTDCを、圧縮行程というものとする。
【0019】
一方、図4の縦軸は、燃焼室11から副室220内へのガス流入速度Vgを表す。ガス流入速度Vgは、噴孔221を通過するガスの速度である。
同図に示すごとく、ガス流入速度Vgは、吸気行程ISと圧縮行程CSとにおいて、それぞれピークを有する。吸気行程ISにおいては、特に前半(すなわち360〜270deg.BTDC)でのガス流入速度Vgが高い。
【0020】
吸気行程IS前半においてガス流入速度Vgが高い理由は、吸気弁12の開弁時の吸気流が、プラグキャップ22の噴孔221に当たりやすいためであると考えられる。図1に示すごとく、特に、吸気弁12が開き始める際には、吸気弁12の一部によって吸気流がプラグキャップ22近傍へ導かれやすく、その結果、噴孔221におけるガス流入速度Vgが高くなりやすいと考えられる。
【0021】
圧縮行程CSにおいてガス流入速度Vgが高い理由は、圧縮による気体密度の高まりによるものと考えられる。
なお、図4に示すガス流入速度Vgの変化は、エンジン回転数2000rpm、吸気圧100kPaの条件のもとで計算したシミュレーションによるものである。
【0022】
そこで、本形態においては、燃料噴射弁3からの燃料噴射を、吸気行程ISと圧縮行程CSとの双方において行う。すなわち、吸気行程ISのみならず、圧縮行程CSにおいても、燃料噴射を行う。
【0023】
また、特に本形態においては、圧縮行程CSの中でも、以下のタイミングにて噴射する。すなわち、圧縮行程CSにおいて、図5に示すごとく、吸気弁12の閉弁時点ICから、プラグキャップ22内の副室220へのガス流入速度Vgのピークの時点Pcまでの間の期間Tcの少なくとも一部において、燃料噴射弁3から燃料を噴射する。
【0024】
また、吸気行程ISにおいても、特に以下のタイミングにて燃料噴射を行う。すなわち、吸気弁12の開弁時点IOから、その直後の副室220へのガス流入速度のピークの時点Piまでの間の期間Tiの少なくとも一部においても、燃料噴射を行う。
【0025】
なお、図4図5において、T1、T2にて示した期間は、ガス流入速度Vgが所定の速度V0以上となる期間である。それゆえ、燃料噴射弁3から燃焼室11に噴射された燃料が、これらの期間T1、T2において、混合気となって副室220へ流入するようにすることが望ましい。そのために、各期間T1、T2の前半又はそれよりも少し早いタイミングを、噴射タイミングとすることで、効果的に、燃料リッチな混合気を副室220へ供給することが、特に期待できる。それゆえ、上記のように、期間Ti及び期間Tcにて燃料噴射することで、着火性を向上させることができる。
【0026】
さらに言えば、上記のようにガス流入速度Vgの高い期間T1、T2に、燃料リッチの混合気を副室220へ導入するために、圧縮行程CSにおける、流入ピークの時点Pcよりも早い時点にて、燃料噴射することが望ましい。この噴射タイミングは、燃焼室11の形状や大きさ、燃料噴射弁3とプラグキャップ22との位置関係等によって適切な時点は異なり得るが、例えば、180〜120deg.BTDCの間とすることが好ましい。
【0027】
本形態の内燃機関1は、燃焼室11に直接燃料を噴射する、いわゆる直噴式の内燃機関である。かかる内燃機関1において、噴射制御部4は、圧縮行程において、燃料噴射弁3から燃料を噴射させるよう構成されている。これにより、上述したように、プラグキャップ22内の火花放電ギャップ21に供給される混合気における燃料濃度を高くしやすい。
【0028】
つまり、圧縮行程CSにおいて燃料噴射弁3から燃料を噴射することで、噴孔221からプラグキャップ22内に導入される混合気における燃料濃度を高くしやすい。その結果、混合気への着火性を向上させることができる。
【0029】
本形態においては、吸気行程ISと圧縮行程CSとの双方において、燃料噴射を行っているが、特に、圧縮行程CSにおいて燃料噴射を行うことで、副室220を有する点火プラグ2における着火性を効果的に向上させることができる。
【0030】
また、圧縮行程において、吸気弁12の閉弁時点ICから、ガス流入速度Vgのピークの時点Pcまでの間の期間Tcの少なくとも一部において、燃料噴射弁3から燃料を噴射する。これにより、燃料リッチの混合気をより効果的に副室220へ流入させることができる。その結果、より着火性を向上させることができる。
【0031】
以上のごとく、本実施形態によれば、着火性に優れた直噴式の内燃機関を提供することができる。
【0032】
(実施形態2)
本実施形態は、図6図7に示すごとく、ポート噴射式の内燃機関10の形態である。
すなわち、本形態の内燃機関10は、吸気ポート120に燃料を噴射する燃料噴射弁30を有する。
【0033】
実施形態1の内燃機関1が直噴式であるのに対し、本形態の内燃機関10はポート噴射式である。つまり、本形態の内燃機関10は、実施形態1の内燃機関1における、燃焼室11へ直接燃料を噴射する燃料噴射弁3の代わりに、吸気ポート120に燃料を噴射する燃料噴射弁30を設けている。
【0034】
噴射制御部40は、吸気行程において、図7に示すごとく、燃料噴射弁30から燃料Fを噴射させるよう構成されている。すなわち、図8において、ISにて示す吸気行程の期間の少なくとも一部において、燃料噴射を行う。
【0035】
特に、吸気行程ISにおいて、吸気弁12の開弁時点IOから、プラグキャップ22内の副室220へのガス流入速度Vgのピークの時点Piまでの間の期間Tiの少なくとも一部において、燃料噴射弁30から燃料を噴射させる。
【0036】
さらに言えば、ガス流入速度Vgの高い期間T1に、燃料リッチの混合気を副室220へ導入するために、吸気行程ISにおける、流入ピークの時点Pcよりも早い時点にて、燃料噴射することが望ましい。この噴射タイミングは、燃焼室11の形状や大きさ、燃料噴射弁3とプラグキャップ22との位置関係等によって適切な時点は異なり得るが、例えば、吸気弁12の開弁後、0〜90degの間とすることが好ましい。
【0037】
その他の構成は、実施形態1と同様である。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0038】
本形態のポート噴射式の内燃機関10において、噴射制御部40は、吸気行程において、燃料噴射弁30から燃料を噴射させるよう構成されている。これにより、プラグキャップ22内の火花放電ギャップ21に供給される混合気における燃料濃度を高くしやすい。つまり、圧縮行程において燃料噴射弁30から燃料を噴射させることで、噴孔221からプラグキャップ22内に導入される混合気における燃料濃度を高くしやすい。その結果、混合気への着火性を向上させることができる。
【0039】
特に、吸気行程において、吸気弁12の開弁時点IOからガス流入速度Vgのピークの時点Piまでの間の期間Tiの少なくとも一部において、燃料を噴射させる。これにより、燃料リッチの混合気をより効果的に副室220へ流入させることができる。その結果、より着火性を向上させることができる。
【0040】
また、図7に示すごとく、開弁した吸気弁12の一部によって、燃料噴射弁30から噴射した燃料Fの一部がプラグキャップ22側へ導かれやすくなる。これにより、噴孔221から燃料リッチな混合気が副室220へ流入しやすくなる。
【0041】
以上のごとく、本形態によれば、着火性に優れたポート噴射式の内燃機関を提供することができる。
【0042】
(実施形態3)
本形態は、図9に示すごとく、センター噴射による直噴式の内燃機関100の形態である。
すなわち、燃焼室11に直接燃料噴射を行う直噴式である点では、実施形態1と同様である。ただし、燃料噴射弁3の取り付け位置が、実施形態1と異なる。
【0043】
本形態においては、燃料噴射弁3を、吸気弁12と排気弁13との間の位置に設けている。すなわち、エンジンヘッドにおける、吸気ポート120と排気ポート130との間に、点火プラグ2とともに、燃料噴射弁3を配設してある。燃料噴射弁3は、点火プラグ2と隣接するように、配置されている。
【0044】
そして、燃料噴射弁3の先端部が、点火プラグ2のプラグキャップ22の近傍に配置される。
本形態においても、燃料噴射を、吸気行程のみならず、圧縮行程においても行う。そして、噴射タイミングを、実施形態1と同様のタイミングとすることができる。ただし、実施形態1の内燃機関1のように、燃焼室11の側面近傍からの噴射であるサイド噴射に比べて、センター噴射である本実施形態の内燃機関100においては、燃料噴射弁3の噴射口が、プラグキャップ22に近い。
【0045】
それゆえ、燃料噴射時点から、当該燃料を含む混合気が副室220へ流入するまでの時間が比較的短くなりやすい。したがって、噴射タイミングを、実施形態1の場合よりも若干遅めにすることも考えられる。すなわち、実施形態1の場合よりも、例えば、90deg以下程度遅らせることが考えられる。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0046】
本形態においても、上述のような適切な噴射タイミングにて燃料噴射を行うことにより、内燃機関100の着火性を向上させることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0047】
(実験例1)
本実験例においては、図10図12に示すごとく、実施形態1の内燃機関1を基本構成とし、燃料噴射タイミングの違いによる着火性能の変化を調べた。
【0048】
なお、試料として用いた内燃機関1は、プラグキャップ22の噴孔221が4個均等配置された点火プラグ2を用いたものである。以下において、この試料を、適宜、「副室付内燃機関」という。そして、エンジン回転数を2000rpm、BMEP(正味平均有効圧力)を0.6MPa、A/F(すなわち空燃比)を24.2とした。また、点火時期は、36deg.BTDCにて固定した。
【0049】
計測したパラメータは、図10に示す着火遅れ角、図11に示す着火遅れ角の変動率、及び図12に示す燃焼変動率である。
着火遅れ角は、点火プラグ2の点火時点から着火開始時点までのタイミングの遅れを、クランク角にて表したものである。なお、着火開始時点は、燃料質量割合10%時期とする。燃料質量割合10%時期とは、熱発生量が総熱発生量の10%に到達した時期である。
【0050】
着火遅れ角の変動率は、上述の着火遅れ角が、複数のサイクル間において変動する割合をいう。
燃焼変動率〔%〕は、{(図示平均有効圧力(標準偏差))/(図示平均有効圧力(平均値))}×100〔%〕にて得られる値である。
【0051】
そして、噴射開始時期を、種々変更して、各パラメータの測定を行った。燃料噴射期間は、噴射開始時期から約6deg分の期間である。
測定結果を、それぞれ図10図11図12に示す。
なお、各図には、比較として、副室を有しない点火プラグを用いた内燃機関(以下において、この試料を、適宜、「比較内燃機関」という。)によって、同様の試験を行った結果を併記してある。
【0052】
図10から分かるように、噴射開始時期tiを圧縮行程としたもの(すなわちtiを180deg.BTDC以降としたもの)については、着火遅れ角が小さい。着火遅れ角は、小さいほど、着火性に優れているといえる。それゆえ、圧縮行程において燃料噴射を行うことで、着火性を向上させることができることが確認できた。
これに対し、比較内燃機関による測定結果は、噴射開始時期tiを圧縮行程としたものについては、着火遅れ角がむしろ大きくなっている。
【0053】
なお、tiを120deg.BTDCよりも遅くした場合にも、原理的に、上記の傾向は維持されると考えられる。すなわち、比較内燃機関においては、着火遅れ角が徐々に大きくなり、副室付内燃機関においては、着火遅れ角が30deg前後を推移すると考えられる。
【0054】
また、図11から分かるように、噴射開始時期tiを圧縮行程にしたとき(すなわちtiを180deg.BTDC以降としたとき)、比較内燃機関においては、着火遅れ角の変動率が5%を超えて大きくなるのに対し、副室付内燃機関においては着火遅れ角の変動率が5%未満に収まっている。
【0055】
なお、tiを120deg.BTDCよりも遅くした場合には、副室付内燃機関においても、着火遅れ角の変動率が多少大きくなることは考えられるが、比較内燃機関に比べて、充分に着火遅れ角の変動率が小さい状態は維持されると考えられる。
【0056】
また、図12から分かるように、噴射開始時期tiを圧縮行程にしたとき(すなわちtiを180deg.BTDC以降としたとき)、比較内燃機関においては、燃焼変動率が5%を超えて大きくなるのに対し、副室付内燃機関においては燃焼変動率が5%未満に収まっている。
【0057】
なお、tiを120deg.BTDCよりも遅くした場合には、副室付内燃機関においても、燃焼変動率が多少大きくなることは考えられるが、比較内燃機関に比べて、充分に燃焼変動率が小さい状態は維持されると考えられる。
【0058】
以上の結果から、副室付内燃機関においては、燃料の噴射開始時期を圧縮行程とすることで、安定した燃焼を維持しつつ、着火性を向上させることができることが分かる。一方、比較内燃機関においては、燃料の噴射開始時期を圧縮行程とすると、着火性が低下すると共に、安定した燃焼も確保することが困難となる。
【0059】
このように、副室を備えた点火プラグを有する直噴式の内燃機関においては、圧縮行程において燃料噴射を行うことで、安定した燃焼を確保しつつ、着火性を向上させることができる。
【0060】
また、吸気弁の閉弁時点ICからガス流入速度Vgのピークの時点Pcまでの間の期間Tcにおいて、燃料噴射を行うことで、効果的に着火性を向上させることができることも、本実験例の結果から分かる。
【0061】
上記実施形態以外にも、種々の形態を採用することができる。例えば、実施形態1又は実施形態3において示した燃料噴射弁3と、実施形態2において示した燃料噴射弁30とを併用した内燃機関とすることもできる。この場合、噴射タイミングとしては、実施形態1に示したタイミングと実施形態2とに示したタイミングとの双方とすることも有効である。
【0062】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1、10、100 内燃機関
11 燃焼室
2 点火プラグ
21 火花放電ギャップ
22 プラグキャップ
221 噴孔
3、30 燃料噴射弁
4、40 噴射制御部
図1
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