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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-207040(P2019-207040A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】熱音響装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20191108BHJP
【FI】
   F25B9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-101256(P2018-101256)
(22)【出願日】2018年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】特許業務法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 孝一
(72)【発明者】
【氏名】大野 雄一
(72)【発明者】
【氏名】布施 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】萩原 康正
(57)【要約】
【課題】熱音響装置において、エネルギ変換部への入熱から熱音響自励振動が開始するまでの応答性を向上させる。
【解決手段】作動流体が封入された音響伝達管101、201、300と、音響伝達管内に設けられ、所定条件の成立により熱音響自励振動を発生させて熱エネルギを音響エネルギに変換するエネルギ変換部102aと、音響伝達管内に設けられ、音響エネルギを異なる種類のエネルギに変換するエネルギ消費部202aと、所定条件が成立した場合に、作動流体の一部で流速、圧力、温度の少なくともいずれかを変化させて熱音響自励振動を開始させる振動生成部301、320、321、331、340、503とを設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が封入された音響伝達管(101、201、300)と、
前記音響伝達管内に設けられ、所定条件の成立により熱音響自励振動を発生させて熱エネルギを音響エネルギに変換するエネルギ変換部(102a)と、
前記音響伝達管内に設けられ、前記音響エネルギを異なる種類のエネルギに変換するエネルギ消費部(202a)と、
前記所定条件が成立した場合に、前記作動流体の一部で流速、圧力、温度の少なくともいずれかを変化させて前記熱音響自励振動を開始させる振動生成部(301、320、321、331、340、503)とを備える熱音響装置。
【請求項2】
前記所定条件は、前記エネルギ変換部で一端側と他端側の絶対温度比が所定値を超えた場合に成立する請求項1に記載の熱音響装置。
【請求項3】
前記振動生成部は、前記音響伝達管の作動流体よりも高圧の前記作動流体が充填された高圧流体容器(310)を有し、前記所定条件が成立した場合に前記音響伝達管と前記高圧流体容器とを連通させる請求項1または2に記載の熱音響装置。
【請求項4】
前記振動生成部は、前記熱音響伝達管の内部と連通する連通管(320)と、前記連通管を開閉する開閉弁(321)とを有し、前記所定条件が成立した場合に前記開閉弁の開閉動作を行う請求項1または2に記載の熱音響装置。
【請求項5】
前記振動生成部は、前記音響伝達管の内部で気体放電する放電部(331)を有し、前記所定条件が成立した場合に前記放電部による気体放電を行う請求項1または2に記載の熱音響装置。
【請求項6】
前記振動生成部は、前記所定条件が成立した場合に、前記作動流体の一部で流速、圧力、温度の少なくともいずれかを、変化量が順番に大きくなるように複数回変化させる請求項1ないし5のいずれか1つに記載の熱音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エネルギと音響エネルギとの間でエネルギ変換を行う熱音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱音響現象を利用して熱エネルギと音響エネルギの間でエネルギ変換を行う熱音響装置が知られている。熱音響装置は、作動流体が充填された配管の内部に熱エネルギと音響エネルギに変換するエネルギ変換部が設けられており、エネルギ変換部の両端に温度勾配を形成することで、熱音響自励振動である音波が発生する。
【0003】
このような熱音響装置において、特許文献1では、エネルギ変換部で熱音響自励振動が開始していない場合に、内燃機関の排気ガスをエネルギ変換部に導入し、熱音響自励振動の早期発生を促すことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−170022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者等による鋭意研究の結果、熱音響自励振動の発振温度以上の排気熱をエネルギ変換部に導入しても、発振が直ちに開始しないことを見出した。このため、エネルギ変換部への排気熱の導入時から音響エネルギの生成が開始されるまでの応答性を高めることができず、熱音響装置を効率的に稼働させることができなかった。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、熱音響装置において、エネルギ変換部への入熱から熱音響自励振動が開始するまでの応答性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、作動流体が封入された音響伝達管(101、201、300)と、音響伝達管内に設けられ、所定条件の成立により熱音響自励振動を発生させて熱エネルギを音響エネルギに変換するエネルギ変換部(102a)と、音響伝達管内に設けられ、音響エネルギを異なる種類のエネルギに変換するエネルギ消費部(202a)と、所定条件が成立した場合に、作動流体の一部で流速、圧力、温度の少なくともいずれかを変化させて熱音響自励振動を開始させる振動生成部(301、320、321、331、340、503)とを備えることを特徴とする。
【0008】
本願発明によれば、所定条件が成立した場合に、作動流体の一部で流速、圧力、温度の少なくともいずれかを変化させることで、発振の契機となる初期の双方向の流速を与えることができる。これにより、熱音響装置の入熱から発振までの応答性を向上させることができる。
【0009】
なお、上記各構成要素の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の熱音響装置を示す概念図である。
図2】開閉弁の作動、配管内の音圧及び蓄熱部の端部温度の関係を示す図である。
図3】第2実施形態の熱音響装置を示す概念図である。
図4】第2実施形態の蓄熱部と温度センサの配置を示す図である。
図5】第2実施形態の熱音響装置の作動を示すフローチャートである。
図6】第3実施形態の熱音響装置を示す概念図である。
図7】第4実施形態の熱音響装置を示す概念図である。
図8】第4実施形態の電圧波形を示す図である。
図9】第4実施形態の電圧波形を示す図である。
図10】第5実施形態の電圧波形を示す図である。
図11】第5実施形態の電圧波形を示す図である。
図12】第6実施形態の熱音響装置を示す概念図である。
図13】第7実施形態の熱音響装置を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。図1に示すように、本第1実施形態の熱音響装置1は、熱エネルギを音響エネルギに変換する熱音響エンジン部100と、音響エネルギを消費する熱音響消費部200を備えている。
【0013】
熱音響エンジン部100は、入力ループ配管101および入力部102を備えている。熱音響消費部200は、出力ループ配管201および出力部202を備えている。
【0014】
ループ配管101、201は、連結配管300によって接続されている。これらの音響伝達管101、201、300は、中空状の筒状部材であり、密閉空間を構成している。音響伝達管101、201、300としては、例えば円筒形状のステンレス製配管を用いることができる。本実施形態の熱音響装置1は、2つのループ配管101、201を連結配管300で接続するダブルループ型となっている。
【0015】
音響伝達管101、201、300は、内部空間に作動流体が封入されている。音響伝達管101、201、300は、作動流体を介して音響エネルギを伝達可能な音響伝達管である。
【0016】
音響伝達管101、201、300内の作動流体は、例えばヘリウム、窒素、アルゴン等の低分子量の不活性ガス、空気、水素あるいはこれらの混合物を好適に用いることができるが、異なる種類の流体を用いてもよい。出力向上を図るために大気圧以上の圧力にすることもできる。
【0017】
作動流体には、非凝縮性流体と凝縮性流体の混合物も用いることができる。非凝縮性媒体は、熱音響装置1の作動温度範囲で気液相変化しない流体である。凝縮性媒体は、熱音響装置1の作動温度範囲で気液相変化する流体である。凝縮性流体は、主に液体の状態で入力部102に保持されている。
【0018】
非凝縮性流体としては、例えばヘリウム、窒素、アルゴン等の低分子量の不活性ガス、空気、水素あるいはこれらの混合物を好適に用いることができるが、異なる種類の非凝縮性流体を用いてもよい。凝縮性流体としては、例えば水、炭酸、フロンを好適に用いることができるが、異なる種類の凝縮性流体を用いてもよい。
【0019】
本実施形態では、特に記載のない場合には、作動流体として大気圧以上のヘリウムを用いている。
【0020】
入力ループ配管101は、熱音響原動機用のループ配管である。出力ループ配管201は、熱音響受動機用のループ配管である。
【0021】
入力ループ配管101には、外部から熱エネルギの入力が行われる入力部102が設けられている。入力部102は原動機であり、外部から入力された熱エネルギを音響エネルギに変換可能となっている。つまり、入力部102では、熱流から仕事流への変換が行われる。
【0022】
入力部102は、蓄熱器102a、高温熱交換部102b、低温熱交換部102cを備えている。これらは、入力ループ配管101の長手方向に沿って配置されている。
【0023】
蓄熱器102aは、熱エネルギを音響エネルギに変換するエネルギ変換部であり、多数の細孔が形成されたスタックとして構成されている。蓄熱器102aとしては、例えばセラミックスハニカムのような細かい流路が設けられた構造体、あるいはステンレス等の金属メッシュのような目の細かい金網が積層された構造体等を用いることができる。
【0024】
高温熱交換部102bは入熱装置であり、熱エネルギの入力によって蓄熱器102aの高温側端部を加熱する。高温熱交換部102bとして、例えば電気ヒータを用いることができる。あるいは高温熱交換部102bとして、図示しない内燃機関や二次電池の排熱を用いることもできる。
【0025】
低温熱交換部102cは、例えば冷却水あるいは外気と熱交換することで、蓄熱器102aの他端側を冷却する。なお、熱音響装置1の稼働が短時間であれば、冷却用熱交換器102bを省略することも可能であるが、熱音響装置1の稼働が長時間となる場合には、蓄熱器102aの高温側端部から低温側端部に次第に熱が輸送されるため、冷却用熱交換器102bを設けることが望ましい。
【0026】
高温熱交換部101bおよび低温熱交換部101cによって、蓄熱器101aの両端に温度差が生じ、作動流体の流通方向に温度勾配が形成される。蓄熱器101aの両端温度が所定の温度条件を満たしたときに、熱音響自励振動が発生可能となる所定条件が成立する。以下、「熱音響自励振動が発生可能となる所定条件」を発振可能条件ともいう。作動流体が理想気体で、非線形効果などを無視できるなどの理想的装置においては、蓄熱器101aの両端の絶対温度比が所定の値を上回った場合に、発振可能条件を満たす。本実施形態では、蓄熱器101aの両端の絶対温度比が所定の値を上回ることで発振可能となる熱音響装置1を用いて説明するが、ここに開示される技術は一般的な熱音響装置に適用可能である。
【0027】
蓄熱部101aでは、蓄熱器101aの両端の絶対温度比が所定値を上回った場合に、内部に存在する作動流体の加熱による加圧と冷却による減圧が行われ、熱音響自励振動である音波が発生する。つまり、入力部101の蓄熱部101aでは、熱エネルギから音響エネルギへの変換が行われる。
【0028】
出力ループ配管201には、外部にエネルギを出力する出力部202が設けられている。出力部202は受動機であり、音響エネルギから熱エネルギへの変換が行われる。つまり、出力部202では、仕事流から熱流への変換が行われる。出力部202は、音響エネルギを消費する音響エネルギ消費部である。
【0029】
出力部202は、蓄熱部202a、低温熱交換部202b、高温熱交換部202cを備えている。蓄熱部202aは、入力部102の蓄熱部102aと同じく、例えばセラミックスハニカムのような細かい流路が設けられた構造体、あるいはステンレス等の金属メッシュのような目の細かい金網が積層された構造体等を用いることができる。出力部202の蓄熱部202aは、音響エネルギを異なる種類のエネルギに変換するエネルギ消費部である。本実施形態では、蓄熱部202aに音響エネルギが伝達されることで、蓄熱部202aの両端に温度勾配が生じる。
【0030】
高温熱交換部202bまたは低温熱交換部202cの一方の熱交換部を常温の冷却水と熱交換することで、他方の熱交換部で冷熱または温熱を生成することができる。例えば、高温熱交換部202bで常温の冷却水と熱交換することで、低温熱交換部202cで冷熱を生成することができる。また、低温熱交換部202cで常温の冷却水と熱交換することで、高温熱交換部202bで温熱を生成することができる。
【0031】
熱音響装置1には、高圧流体容器310が設けられている。高圧流体容器310には、音響伝達管101、201、300内の作動流体より高圧の作動流体が充填されている。高圧流体容器310は、連通管311を介して連結配管300と接続されている。なお、高圧流体容器310が本発明の振動生成部に相当している。
【0032】
連通管311には、連通管311の流路を開閉する開閉弁312が設けられている。開閉弁312を開放することで、高圧流体容器310内と音響伝達管101、201、300内とが連通し、高圧流体容器310から音響伝達管101、201、300に作動流体が供給される。開閉弁312を閉鎖することで、高圧流体容器310内と音響伝達管101、201、300内との連通が遮断され、高圧流体容器310から音響伝達管101、201、300への作動流体の供給が停止される。
【0033】
上述したように、音響伝達管101、201、300内の作動流体は大気圧より高圧となっているため、音響伝達管101、201、300から作動流体が漏れることがある。音響伝達管101、201、300内の作動流体の圧力が所定圧力以下に低下した場合には、開閉弁312が開放され、高圧流体容器310内の作動流体が音響伝達管101、201、300内に供給される。
【0034】
また、本実施形態では、蓄熱器101aの両端の絶対温度比が所定値を上回り、発振可能条件が成立した場合に、開放弁312の開閉動作が行われる。
【0035】
次に、熱音響装置1の作動を図2を用いて説明する。入力部101では、高温熱交換部101bに外部から熱エネルギが入力されることで、蓄熱部101aの高温側端部が温度上昇し、蓄熱部101aに温度勾配が形成される。
【0036】
そして、蓄熱器101aの両端の絶対温度比が所定値を上回り、発振可能条件が成立した場合に、開閉弁312を開放し、すぐに閉鎖する。これにより、高圧流体容器310内と音響伝達管101、201、300内との差圧のため、音響伝達管101、201、300内の作動流体の一部で圧力が局所的に高くなる。
【0037】
この作動流体の局所的な圧力変化を契機として、蓄熱部101aでは、内部に存在する作動流体の圧縮、加熱、膨張、冷却が行われ、熱音響自励振動である音波が発生し、音響伝達管101、201、300内の音圧が高くなる。つまり、入力部101の蓄熱部101aでは、熱エネルギから音響エネルギへの変換が行われる。
【0038】
図2の破線は、音響伝達管101、201、300内で作動流体の局所的な圧力変動がない場合の音響伝達管101、201、300内の音圧変化を示している。作動流体の局所的な圧力変動がない場合には、発振可能条件が成立してから発振開始までにある程度の時間を要している。これに対し、本実施形態では、発振可能条件が成立した際に作動流体の一部で局所的な圧力変化を与えることで、早期に発振開始させることができている。
【0039】
出力部102で生成した音響エネルギの一部は入力ループ配管101を巡回して入力部102に再入力し、残りは連結配管300を通過して出力ループ配管201を巡回する。出力部202の蓄熱部202aでは、音響エネルギが伝達されることで、高温熱交換部202cが設けられた一端側が高温となり、低温熱交換部202bが設けられた他端側が低温になる。つまり、出力部202の蓄熱部202aでは、音響エネルギから熱エネルギの変換が行われ、蓄熱部202aの両端に温度差が生じる。この結果、出力部202では、高温熱交換部202cで温熱が生成し、低温熱交換部202bで冷熱が生成する。
【0040】
出力部202では、高温熱交換部202cで生成した温熱、または低温熱交換部202bで生成した冷熱を利用することができる。例えば、高温熱交換部202cで常温の冷却水と熱交換することで、低温熱交換部202bの冷熱生成能力を向上させ、熱音響装置1を冷凍機として用いることができる。あるいは、低温冷熱熱交換部202cに常温の冷却水と熱交換することで、高温熱交換部202cの温熱生成能力を向上させ、熱音響装置1を暖房機として用いることができる。
【0041】
ここで、蓄熱部101aの両端の温度比が所定値を超えた場合における熱音響自励振動の発振開始について説明する。
【0042】
音響は、作動流体の振動に対応する流速と、作動流体の膨張収縮に対応する変動圧力に分解できる。蓄熱部101aの両端に温度比が与えられた際に、蓄熱部101a内の低温側の作動流体が高温側に移動すると、蓄熱部101aの熱が作動流体に伝わり、作動流体が膨張する。作動流体が蓄熱部101a内の高温側の作動流体が低温側に移動すると、作動流体の熱が蓄熱部101aに伝わり、作動流体が収縮する。すなわち、作動流体の流速によって変動圧力が増大する。
【0043】
蓄熱部101aの両端に温度比が与えられ、部位毎の温度に応じて作動流体の膨張または収縮が生じても、蓄熱部101a内で作動流体の流速がなければ、固定点において周期的に変動圧力が上下するわけではない。また、蓄熱部101a内における作動流体の流速が一方向流れであっても、作動流体の膨張または収縮が一方的に起こるだけであり、やはり固定点において周期的に変動圧力が上下するわけではない。
【0044】
一方、蓄熱部101a内における作動流体の流速が双方向流れであれば、膨張収縮が双方向流れと同じ周期で生じるため、固定点の変動圧力も周期的に上下する。変動圧力と流速が同時に上下することで、平均的な作動流体の移動をさせることなく、仕事のみを伝播することができる。このため、作動流体に与えた熱の逃げを抑えることができ、蓄熱部101aの効率を向上させることができる。
【0045】
すなわち、双方向流れである流速によって作動流体への入排熱のタイミングが決定され、それが音響の増幅につながるため、双方向流れである流速がなければ、熱エネルギを音エネルギに変換することができない。
【0046】
音響が増幅されて一旦発振が開始すると、増幅された音響の流速によって作動流体への入排熱のタイミングが決定され、音響が再度増幅される。このため、発振を開始した熱音響装置1は持続的に発振を続ける。
【0047】
つまり、蓄熱部101aの両端の温度比が所定値を超えた状態で、初期の双方向流れが導入されれば、熱音響装置1は持続的に発振する。一方、発振の契機となる初期の双方向流れが不十分であれば、蓄熱部101aまで双方向流れが到達しないために音響が増幅されず、持続的に発振可能なだけの所定の温度比が蓄熱部101aに与えられた場合においても発振を開始しない。
【0048】
発振の契機となる初期の双方向の流速を与えるためには、作動流体の一部で流速、圧力、温度の少なくともいずれかを変化させればよい。本実施形態では、発振可能条件が成立した場合に、開閉弁312を開閉させることで高圧流体容器310と音響伝達管101、201、300を連通させ、音響伝達管101、201、300内の圧力を局所的に変化させている。
【0049】
このように、作動流体の圧力を局所的に大きくすることで、発振の契機となる初期の双方向の流速を与えることができる。この点について、作動流体を構成する流体要素を離散化して説明する。
【0050】
圧力が高くなった流体要素を第一の流体要素とし、第一の流体要素と隣接する流体要素を第二の流体要素とする。このとき、第一の流体要素は第二の流体要素よりも圧力が高いことになる。第一の流体要素よりも低い圧力を持つ第二の流体要素に第一の流体要素から力が伝わるため、第二の流体要素は第一の流体要素から離れる方向に進む。
【0051】
その後、第二の流体要素の流速が第一の流体要素よりも大きくなったことで、第一の流体要素は膨張するため、圧力が低くなる。また、第一の流体要素の圧力が低くなったことで、第二の流体要素との差圧により、第二の流体要素の流速が第一の流体要素に近づく方向に進む。このことから、第一の流体要素の圧力を高くしたときに、熱音響自励振動の発振を開始させる契機となる双方向の流速を発生させることができる。
【0052】
以上説明した本実施形態によれば、発振可能条件が成立した場合に、開閉弁312の開閉動作を行い、高圧流体容器310と音響伝達管101、201、300を短時間連通させている。これにより、音響伝達管101、201、300内の作動流体の一部で圧力を変化させ、発振の契機となる初期の双方向の流速を与えることができる。この結果、熱音響装置1の入熱から発振までの応答性を向上させることができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0054】
図3に示すように、本第2実施形態では、上記第1実施形態と同様の熱音響装置1に、制御部400および温度センサ401、402が設けられている。
【0055】
制御部400は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。制御部400は、ROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行う。制御部400の出力側には各種制御対象機器が接続されている。
【0056】
制御部400は、各種制御対象機器の作動を制御する。制御部400によって制御される制御対象機器は、開閉弁312等である。
【0057】
温度センサ401、402は、入力部102の蓄熱部102aの温度を測定する。第1温度センサ401は、蓄熱部102aの高温側端部の温度を測定し、第2温度センサ402は、蓄熱部102aの低温側端部の温度を測定する。
【0058】
図4(a)〜図4(f)は、温度センサ401、402による蓄熱部102aの温度測定部位の各種態様を示している。
【0059】
図4(a)は、温度センサ401、402で蓄熱部102aの両端部の温度を直接測定する例を示している。図4(a)に示す例では、温度センサ401、402で蓄熱部102aにおける横断面の中央付近の温度を測定している。なお、温度センサ401、402による測定部位を図4(b)〜図4(f)のように変更してもよい。
【0060】
熱交換部102b、102cが細い流路で構成されている場合には、熱交換部102b、102cが蓄熱部102aと同様の役割を果たすことがある。このため、図4(b)〜図4(d)に示すように、第1温度センサ401で高温熱交換部102bの温度を測定するようにしてもよく、第2温度センサ402で低温熱交換部102cの温度を測定するようにしてもよい。
【0061】
また、蓄熱部102aの横断面が等温的であると見込まれる場合は、図4(e)のように温度センサ402による測温箇所を横断面の中心部からずらしてもよい。
【0062】
また、熱交換部102b、102cの熱伝導率が良好である場合には、蓄熱部102aの端面から熱交換部102b、102cにかけて等温的であると判断できる。このため、図4(f)のように、蓄熱部102aの端面からずらした熱交換部102cの温度を測定してもよい。
【0063】
次に、本第2実施形態の熱音響装置1の発振開始処理を、図5のフローチャートを用いて説明する。熱音響装置1の発振開始処理は、制御部400による制御によって実行される。
【0064】
まず、温度センサ401、402によって蓄熱部102aの両端の温度を測定する(S10)。次に、蓄熱部102aの両端の温度比が所定値以上であるか否かを判定する(S11)。
【0065】
この結果、蓄熱部102aの両端の温度比が所定値以上ではないと判定された場合には(S11:NO)、発振開始処理を終了する。一方、蓄熱部102aの両端の温度比が所定値以上であると判定された場合には(S11:YES)、開閉弁312の開閉動作を実行する(S12)。
【0066】
これにより、音響伝達管101、201、300内の作動流体の一部で圧力を変動させ、発振の契機となる初期の双方向の流速を与えることができる。この結果、熱音響装置1の入熱から発振までの応答性を向上させることができる。
【0067】
以上説明した本第2実施形態では、温度センサ401、402で測定した蓄熱部102aの両端の温度に基づいて開閉弁312を開閉し、これを契機として熱音響装置1の発振開始を行っている。これにより、熱音響装置1の発振開始タイミングを正確に決定することができる。
【0068】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下、上記各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0069】
図6に示すように、本第3実施形態では、入力ループ配管101に外部連通管320が接続されている。入力ループ配管101は、外部連通管320を介して外部と連通する。外部連通管320には、入力ループ配管101に近い側に第1開閉弁321が設けられており、入力ループ配管101から遠い側に第2開閉弁322が設けられている。なお、第1開閉弁321が本発明の振動生成部に相当している。
【0070】
第1開閉弁321は開放された状態とし、第2開閉弁322は閉鎖された状態とする。そして、蓄熱部101aの両端の温度比が所定値を上回り、発振可能条件が成立した場合に、開放されていた第1開閉弁321を閉鎖する。
【0071】
このとき、第1開閉弁321の開閉動作に伴って第1開閉弁321が振動し、入力ループ配管101内の作動流体に振動が生じる。この作動流体の振動が蓄熱部102aに伝播され、熱音響装置1は発振を開始する。
【0072】
以上説明した本第3実施形態によれば、音響伝達管101、201、300に連通する連通管320に設けた開閉弁321を開閉することで、熱音響装置1を発振開始させることができる。また、外部連通管320を入力ループ配管101に連結することで、蓄熱部102aまで到達する作動流体の振動を抑制している。
【0073】
なお、第1開閉弁321を開放状態から閉鎖状態に変化させる場合に限らず、第1開閉弁321を閉鎖状態から開放状態に変化させることによっても、熱音響装置1の発振を開始させることができる。また、第1開閉弁321の開閉動作で発生した作動流体の振動が弱く、熱音響装置1が発振を開始しない場合は、第1開閉弁321の開閉動作を繰り返してもよい。
【0074】
また、作動流体の振動生成は、音響伝達管101、201、300内の圧力を低下させることによっても発生させることができる。例えば、音響伝達管101、201、300内の作動流体の圧力を大気圧以上にしておき、第1開閉弁321を開放し、第2開閉弁322を閉鎖しておく。そして、第2開閉弁322を開放し、すぐに閉鎖することにより、音響伝達管101、201、300内の作動流体の圧力が低下し、作動流体振動を引き起こすことができ、熱音響装置1は発振を開始する。
【0075】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以下、上記各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0076】
図7に示すように、本第4実施形態の熱音響装置1は、1つのループ配管330に入力部102および出力部202が設けられたシングルループ型となっている。
【0077】
ループ配管330には、放電部331が設けられている。放電部331は、ループ配管330の内部空間で気体放電する。本実施形態では、放電部331としてアーク放電装置を用いている。なお、放電部331が本発明の振動生成部に相当している。
【0078】
本実施形態では、ループ配管330における入力部102の高温側端部と出力部202との間に放電部331が設けられている。放電部331は、ループ配管330の任意の箇所に設けることができるが、放電によって高温を発生させることから、高温側熱交換部102b側に設けることが望ましい。
【0079】
放電部331は、蓄熱器102aの両端の絶対温度比が所定値を上回り、発振可能条件が成立した場合に放電する。放電部331による放電で作動流体が熱膨張し、作動流体の一部で温度が変化する。この作動流体の温度変化によって、作動流体の圧力を変化させることができ、発振の契機となる初期の双方向の流速を与えることができる。
【0080】
放電部331で気体放電を行う際の印加電圧は、蓄熱器102aで熱音響自励振動が開始しやすくなるように、複数パターンの中から適切なパターンを選択することができる。図8図9は、放電部331の印加電圧の波形を例示している。
【0081】
図8(a)〜図8(e)に示すように、電圧の高さや出力時間が異なる複数の印加電圧のパターンを用意しておき、これらのパターンの中から適切なパターンを選択することができる。また、図9(a)〜図9(f)に示すように、波形形状が異なる複数の印加電圧のパターンを用意しておき、これらのパターンの中から適切なパターンを選択することができる。
【0082】
以上説明した本第4実施形態によれば、放電部331の印加電圧の電圧の高さ、出力時間あるいは波形形状を適切に選択することで、蓄熱器102aにおける熱音響自励振動が開始しやすくすることができる。
【0083】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。以下、上記各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0084】
本第5実施形態の熱音響装置1は、図7を用いて説明した上記第4実施形態と同一の構成を備えている。本第5実施形態では、放電部331による気体放電が複数回連続して行われる。
【0085】
図10(a)〜図10(c)に示すように、出力間隔や電圧波形が異なる複数の印加電圧のパターンを用意しておき、これらのパターンの中から適切なパターンを選択することができる。放電部331による複数回の気体放電は、熱音響自励振動が開始するまで行えばよい。
【0086】
また、図11に示すように、放電部331によって複数回の放電を行う際に、電圧の高さを徐々に大きくするようにしてもよい。この場合には、放電部331の複数回の放電によって、作動流体の温度変化を段階的に大きくすることができる。
【0087】
以上説明した本第5実施形態によれば、1回の放電では熱音響自励振動が開始しない場合であっても、放電部331によって気体放電を複数回行うことで、熱音響自励振動を確実に開始させることができる。
【0088】
また、放電部331の印加電圧の大きさを徐々に大きくする場合には、低い電圧から順に熱音響自励振動が開始可能な出力を探ることができる。これにより、放電部331の印加電圧を必要以上に高くすることを防止でき、省エネルギを実現できる。
【0089】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。以下、上記各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0090】
図12に示すように、本第6実施形態の熱音響装置1は車両500に搭載されている。車両500は、車両走行用の駆動力を得るための内燃機関501を備えている。熱音響装置1は、2つのループ配管101、201を備えるダブルループ型となっている。
【0091】
入力部102の高温側熱交換部102bには、第1熱媒体配管103を流れる熱媒体が循環する。熱媒体は、例えば冷却水を用いることができる。第1熱媒体配管103には、内燃機関501の熱を熱媒体に伝える熱交換部104と、熱媒体を循環させるポンプ105が設けられている。熱交換部104で熱媒体を加熱する内燃機関501の熱は、例えば内燃機関501の排気ガスの熱を用いることができる。
【0092】
出力部202の熱交換部202b、202cには、第2熱媒体配管203を流れる熱媒体が循環する。熱媒体は、例えば冷却水を用いることができる。第2熱媒体配管203には、車両前席の温度調整を行う第1熱交換部204、車両後席の温度調整を行う第2熱交換部205、熱媒体を循環させるポンプ206が設けられている。
【0093】
第2熱媒体配管203を流れる熱媒体は、高温熱交換部202bまたは低温熱交換部202cのいずれかを通過可能となっている。高温熱交換部202b側に第1切替弁207が設けられ、低温熱交換部202c側に第2切替弁208が設けられている。
【0094】
第1切替弁207を開放し、第2切替弁208を閉鎖した場合には、熱媒体が高温熱交換部202bで加熱される。この場合には、第1熱交換部204および第2熱交換部205によって座席が暖められる。また、第1切替弁207を閉鎖し、第2切替弁208を開放した場合には、熱媒体が低温熱交換部202cで冷却される。この場合には、第1熱交換部204および第2熱交換部205によって座席が冷却される。
【0095】
第2熱媒体配管203を流れる熱媒体は、第2熱交換部205をバイパスすることが可能となっている。第2熱媒体配管203には、熱媒体を第2熱交換部205に流通させるかバイパスさせるかを切り替える2つの切替弁209、210が設けられている。
【0096】
第3切替弁209を開放し、第4切替弁210を閉鎖した場合には、熱媒体が第2熱交換部205を流れる。一方、第3切替弁209を閉鎖し、第4切替弁210を開放した場合には、熱媒体が第2熱交換部205をバイパスする。
【0097】
本第6実施形態では、車台502の上に緩衝ガス容器503が設けられている。緩衝ガス容器503は、弾性力を有する容器である。緩衝ガス容器503には、車両500の振動発生時に緩衝ガス容器503を安定させるための被保護装置504が設けられている。なお、緩衝ガス容器503が本発明の振動生成部に相当している。
【0098】
熱音響装置1等の車両設備は、緩衝ガス容器503の上に設けられている。緩衝ガス容器503は車両500の振動を吸収するため、被保護装置504等の車両設備を車両走行時の振動から保護することができる。
【0099】
緩衝ガス容器503には、音響伝達管101、201、300内の作動流体と同じ流体が緩衝ガスとして充填されている。緩衝ガス容器503は、連通管505によって音響伝達管101、201、300内と連通している。連通管505には、開閉弁506が設けられている。
【0100】
ここで、本第6実施形態の熱音響装置1の作動を説明する。内燃機関501が運転を開始することで、内燃機関501の熱によって入力部102の高温側熱交換部102bが加熱される。これにより、蓄熱部102aの両端に発振が可能な所定の温度比が与えられる。
【0101】
車両500が走行を開始すると、車両500の振動が発生する。これに伴い、緩衝ガス容器503内の緩衝ガスは、車両500の振動を吸収するために圧力が変動する。このとき、開閉弁506を開放することで、緩衝ガス容器503内の圧力変動が音響伝達管101、201、300内の作動流体に伝わり、これを契機として熱音響自励振動を開始させることができる。
【0102】
熱音響装置1で熱音響自励振動が開始すると、発振の契機となった初期の流速は成長を始める。蓄熱部102aの両端の温度比が充分高くなると、熱音響装置1内の作動流体の流速が緩衝ガス容器503から得られる振動より充分に大きくなるため、緩衝ガス容器503からの流体振動が熱音響装置1に影響を及ぼさなくなる。このため、緩衝ガス容器503からの音響伝達管101、201、300への流体振動の導入を継続してもよい。ただし、車両500の振動によって、緩衝ガス容器503で大きな流体振動が見込まれる場合などには、発振開始後に開閉弁506を閉鎖して、緩衝ガス容器503から音響伝達管101、201、300への流体振動の導入を停止することが望ましい。
【0103】
以上説明した本第6実施形態によれば、車両500に熱音響装置1を搭載することで、熱音響装置1で生成する温熱または冷熱によって、車両座席の温度調整を行うことができる。さらに、本第6実施形態では、内燃機関501の排熱を利用して、蓄熱器102aの両端に所定の温度比を与えることができ、発振可能条件を成立させることができる。
【0104】
また、本第6実施形態では、車両500の振動を吸収する緩衝ガス容器503を設け、車両走行による振動で発生する緩衝ガスの圧力変動が音響伝達管101、201、300の作動流体に導入されるようになっている。これにより、緩衝ガス容器503は、車両設備の保護だけでなく、車両走行に伴う振動を利用して熱音響自励振動を開始させる熱音響発振装置としても機能させることができる。
【0105】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。以下、上記各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0106】
図13に示すように、本第7実施形態の熱音響装置1では、連結配管300の一端側に入力ループ配管101が接続され、連結配管300の他端側にリニア発電機600が設けられている。リニア発電機600は、音響エネルギを電気エネルギに変換するエネルギ消費部である。
【0107】
リニア発電機600は、ダイヤフラム601を備えている。ダイヤフラム601は、入力部200で生成した音響エネルギによって変位する。リニア発電機600は、ダイヤフラム601が変位することで発電を行う。
【0108】
本第7実施形態の熱音響装置1には、外部の音響を集める集音部340が設けられている。本第7実施形態の集音部340は、内燃機関501の運転音を集めるようになっている。なお、集音部340が本発明の振動生成部に相当している。
【0109】
集音部340には、ダイヤフラム341が設けられている。ダイヤフラム341は、音響エネルギを運動エネルギに変換するようになっており、集音部340で集めた音響によって振動する。
【0110】
集音部340は、連通管342によって音響伝達管101、201、300と連通している。ダイヤフラム341の振動は、連通管342を通して、音響伝達管101、201、300の内部に伝わり、音響伝達管101、201、300内の作動流体を振動させることができる。
【0111】
蓄熱部102aの両端に発振が可能な温度比が生成した場合に、外部の音に基づいてダイヤフラム341で振動を発生させ、この振動を契機として蓄熱部102aで熱音響自励振動を開始させることができる。
【0112】
以上説明した本第7実施形態によれば、外部で発生した音響エネルギを利用して熱音響自励振動を開始させることができる。
【0113】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【0114】
(1)上記第1実施形態では、高圧流体容器310と音響伝達管101、201、300を連通させて音響伝達管101、201、300内の作動流体の一部で圧力を高くすることで、発振させるように構成したが、これに限らず、音響伝達管101、201、300内の作動流体の一部で圧力を低くしてもよい。このように、音響伝達管101、201、300内の作動流体の一部で圧力を低くすることによっても、発振の契機となる初期の双方向の流速を与えることができる。
【0115】
(2)上記第2実施形態では、放電部331による放電で音響伝達管101、201、300内の作動流体の一部で温度を高くすることで、発振させるように構成したが、これに限らず、音響伝達管101、201、300内の作動流体の一部で温度を局所的に低くしてもよい。このように、作動流体の一部で温度を低くすることによっても、発振の契機となる初期の双方向の流速を与えることができる。
【0116】
(3)音響伝達管101、201、300における作動流体の一部で流速、圧力、温度のいずれかを変化させることで、発振の契機となる双方向の流速が生じさせることができるが、流速、圧力、温度のうち複数種類の変化を組み合わせてもよい。
【0117】
(4)上記第5実施形態では、放電部331による放電を複数回行い、作動流体の温度変化を複数回行う例について説明したが、作動流体の流速や圧力を複数回変化させるようにしてもよい。また、作動流体の流速や圧力を複数回変化させ、これらの変化量を段階的に大きくするようにしてもよい。
【0118】
(5)上記各実施形態では、入力部102で熱音響自励振動によって音響エネルギを生成するようにしたが、これに限らず、スピーカ等によって蓄熱部102aの低温側から音響エネルギを入力するようにしてもよい。この場合、両端に温度差が形成された蓄熱部102aでは、入力した音響エネルギを増幅することができる。
【0119】
(6)作動流体として、例えば大気圧空気と水などの凝縮性流体と非凝縮性流体を用いた場合、含まれる凝縮性流体の沸騰開始あるいは沸騰停止によっても、発振の契機となる初期の双方向の流速を与えることができる。例えば、電気ヒータからなる高温側熱交換部102bで、ヒータオンによって凝縮性流体の沸騰を開始させることができ、ヒータオフによって凝縮性流体の沸騰を停止させることができる。
【符号の説明】
【0120】
101 入力ループ配管(音響伝達管)
102 入力部
102a 蓄熱部(エネルギ変換部)
102b 高温熱交換部
102c 低温熱交換部
201 出力ループ配管(音響伝達管)
202 出力部
202a 蓄熱部(エネルギ消費部)
202b 高温熱交換部
202c 低温熱交換部
300 連結配管(音響伝達管)
310 高圧流体容器(振動生成部)
320 外部連通管(振動生成部)
321 第1開閉弁(振動生成部)
331 放電部(振動生成部)
340 集音部(振動生成部)
503 緩衝ガス容器(振動生成部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13