特開2019-207112(P2019-207112A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SOKENの特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-207112(P2019-207112A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】熱流束センサおよび熱量計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 17/00 20060101AFI20191108BHJP
【FI】
   G01K17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-101307(P2018-101307)
(22)【出願日】2018年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細井 勉
(72)【発明者】
【氏名】松井 啓仁
(72)【発明者】
【氏名】朝柄 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】原田 敏一
(72)【発明者】
【氏名】白石 芳彦
(57)【要約】
【課題】放射放熱と対流放熱とのそれぞれの熱量を同じセンサで計測する。
【解決手段】
熱流束センサは、放射側表面2aを有する1つの連続する板状部材2を備える。センサ本体部2は、第1熱電変換部7が形成された第1センサ部4と、第2熱電変換部8が形成された第2センサ部5とを有する。放射側表面2aのうち第1センサ部4に対応する部分4aの放射率は、放射側表面2aのうち第2センサ部5に対応する部分5aの放射率と異なる。演算部3は、各部分5a、5bの放射率と、第1熱電変換部の出力値と、第2熱電変換部の出力値と、計測対象物の表面の放射率とを用いて、計測対象物からの対流放熱量と放射放熱量とを求める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象物から放出される熱量に応じた出力を発生する熱流束センサであって、
前記計測対象物側とされる対象物側表面(2b)と、前記対象物側表面の反対側の放射側表面(2a)とを有する1つの連続する板状部材(2)を備え、
前記板状部材は、第1熱電変換部(7)が形成された第1領域(4)と、前記板状部材のうち前記対象物側表面に沿う方向で前記第1領域の隣りに位置する、第2熱電変換部(8)が形成された第2領域(5)とを有し、
前記第1熱電変換部は、複数の熱電部材(21、22)のそれぞれが互いに電気的に接続されており、
前記第2熱電変換部は、複数の熱電部材(21、22)のそれぞれが互いに電気的に接続され、かつ、前記第1熱電変換部と電気的に接続されておらず、
同一の表面温度および同一の熱放射の波長で比較したとき、前記放射側表面のうち前記第1領域(4)に対応する部分(4a)の放射率は、前記放射側表面のうち前記第2領域(5)に対応する部分(5a)の放射率と異なる、熱流束センサ。
【請求項2】
前記第1領域は、前記放射側表面に沿う方向で一続きであり、
前記第2領域は、前記放射側表面に沿う方向で一続きであり、
前記放射側表面に沿う方向のうち一方向で、前記第1領域の一部(41)と、前記第2領域の一部(51)と、前記第1領域の他の一部(42)とが順に配置されている、請求項1に記載の熱流束センサ。
【請求項3】
前記放射側表面に沿う方向のうち前記一方向に直交する方向で、前記第1領域の一部(41)と、前記第2領域の一部(52)と、前記第1領域の他の一部(43)とが順に配置されている、請求項2に記載の熱流束センサ。
【請求項4】
前記第1領域は、渦巻き状に配置され、
前記第2領域は、前記第1領域に沿って渦巻き状に配置されている、請求項3に記載の熱流束センサ。
【請求項5】
前記板状部材には、前記第1領域が含まれる、前記第1熱電変換部が形成された複数の第1領域(4、401)と、前記第2領域が含まれる、前記第2熱電変換部が形成された複数の第2領域(5、501)とが存在し、
前記複数の第1領域のそれぞれに存在する前記第1熱電変換部同士は、電気的に接続されており、
前記複数の第2領域のそれぞれに存在する前記第2熱電変換部同士は、電気的に接続されており、
前記放射側表面に沿う方向のうち一方向で、前記複数の第1領域のうち1つの第1領域(4)と、前記複数の第2領域のうち1つの第2領域(5)と、前記複数の第1領域のうち他の1つの第1領域(401)とが順に配置されている、請求項1に記載の熱流束センサ。
【請求項6】
前記放射側表面に沿う方向のうち前記一方向に直交する方向で、前記複数の第1領域のうち1つの第1領域(4)と、前記複数の第2領域のうち1つの第2領域(5)と、前記複数の第1領域のうち他の1つの第1領域(401)とが順に配置されている、請求項5に記載の熱流束センサ。
【請求項7】
前記第1領域(4)は、前記放射側表面に沿う方向で一続きであり、
前記板状部材には、前記第2領域が含まれる、前記第2熱電変換部が形成された複数の第2領域(5、501、502)が存在し、
前記複数の第2領域のそれぞれに存在する前記第2熱電変換部同士は、電気的に接続されており、
前記放射側表面に沿う方向のうち一方向で、前記第1領域の一部(411)と、前記複数の第2領域のうち1つの第2領域(5)と、前記第1領域の他の一部(412)とが順に配置されている、請求項1に記載の熱流束センサ。
【請求項8】
前記板状部材には、前記第1領域が含まれる、前記第1熱電変換部が形成された複数の第1領域(4、401)が存在し、
前記複数の第1領域のそれぞれに存在する前記第1熱電変換部同士は、電気的に接続されており、
前記第2領域(5)は、前記放射側表面に沿う方向で一続きであり、
前記放射側表面に沿う方向のうち一方向で、前記複数の第1領域のうち1つの第1領域(4)と、前記第2領域の一部(511)と、前記複数の第1領域のうち他の1つの第1領域(401)とが順に配置されている、請求項1に記載の熱流束センサ。
【請求項9】
計測対象物から対流放熱によって放出される対流放熱量および前記計測対象物から放射放熱によって放出される放射放熱量を計測する熱量計測装置であって、
請求項1ないし8のいずれか1つに記載の熱流束センサ(2)と、
前記対流放熱量および前記放射放熱量を演算する演算部(3)とを備え、
前記演算部は、前記放射側表面のうち前記第1領域に対応する部分の放射率と、前記放射側表面のうち前記第2領域に対応する部分の放射率と、前記第1熱電変換部の出力値と、前記第2熱電変換部の出力値とから得られる前記対流放熱量および前記放射放熱量の全熱量と放射率との関係を用いるとともに、前記関係において、前記対流放熱量は放射率の大きさに関わらず一定であり、前記放射放熱量は放射率の大きさによって異なることを用いて、前記関係と前記計測対象物の表面の放射率とに基づいて、前記対流放熱量と前記放射放熱量とを演算する、熱量計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱流束センサおよび熱量計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、計測対象物からの放射放熱と対流放熱とのうち放射放熱のみの熱量を計測できる放射熱センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−34183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
計測対象物からの放射放熱と対流放熱とのそれぞれの熱量を計測する場合、上記した従来の放射熱センサを用いることで、放射放熱の熱量を計測することができる。しかしながら、対流放熱の熱量を計測できる対流熱センサを新たに開発しなければならない。
【0005】
また、仮に、対流放熱の熱量を計測できる対流熱センサが開発されたとしても、別体の放射熱センサと対流熱センサとを用いるよりも、1つのセンサ部材を用いて、放射放熱と対流放熱とのそれぞれの熱量を計測できることが望まれる。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、放射放熱と対流放熱とのそれぞれの熱量を1つのセンサ部材で計測することができる熱流束センサおよび熱量計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、
計測対象物から放出される熱量に応じた出力を発生する熱流束センサであって、
計測対象物側とされる対象物側表面(2b)と、対象物側表面の反対側の放射側表面(2a)とを有する1つの連続する板状部材(2)を備え、
板状部材は、第1熱電変換部(7)が形成された第1領域(4)と、板状部材のうち対象物側表面に沿う方向で第1領域の隣りに位置する、第2熱電変換部(8)が形成された第2領域(5)とを有し、
第1熱電変換部は、複数の熱電部材(21、22)のそれぞれが互いに電気的に接続されており、
第2熱電変換部は、複数の熱電部材(21、22)のそれぞれが互いに電気的に接続され、かつ、第1熱電変換部と電気的に接続されておらず、
同一の表面温度および同一の熱放射の波長で比較したとき、放射側表面のうち第1領域(4)に対応する部分(4a)の放射率は、放射側表面のうち第2領域(5)に対応する部分(5a)の放射率と異なる。
【0008】
これによれば、センサ部材としての1つの板状部材は、第1領域と第2領域とを有する。放射側表面のうち第1領域に対応する部分の放射率と、放射側表面のうち第2領域に対応する部分の放射率とが異なる。このため、放射側表面のうち第1領域に対応する部分の放射率と、放射側表面のうち第2領域に対応する部分の放射率と、第1熱電変換部の出力値と、第2熱電変換部の出力値とを用いて、対流放熱量および放射放熱量の全熱量と放射率との関係を求めることができる。この関係において、対流放熱量は放射率の大きさに関わらず一定であり、放射放熱量は放射率の大きさによって異なることを用いて、求めた関係と計測対象物の表面の放射率とに基づいて、計測対象物からの対流放熱量と放射放熱量とを求めることができる。よって、放射放熱と対流放熱とのそれぞれの熱量を1つのセンサ部材で計測することができる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態における熱量計測装置の構成を示す図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3図1のIII−III線断面図である。
図4】第1実施形態における複数の第1導体パターンのレイアウトを示す図である。
図5】第1実施形態における複数の第2導体パターンのレイアウトを示す図である。
図6】計測対象物の放熱面のうちセンサ本体部が配置されていない部位での計測対象物の放熱を示す模式図である。
図7】計測対象物の放熱面のうち第1センサ部が配置されている部位での計測対象物の放熱を示す模式図である。
図8】計測対象物の放熱面のうち第2センサ部が配置されている部位での計測対象物の放熱を示す模式図である。
図9】放射率と熱量との関係を示すグラフである。
図10】第2実施形態における演算部の演算内容を説明するための図である。
図11】第3実施形態におけるセンサ本体部の断面図である。
図12】第4実施形態におけるセンサ本体部の断面図である。
図13】第5実施形態におけるセンサ本体部の断面図である。
図14】第6実施形態におけるセンサ本体部の平面概念図である。
図15】第7実施形態におけるセンサ本体部の平面概念図である。
図16】第8実施形態におけるセンサ本体部の平面概念図である。
図17】第9実施形態におけるセンサ本体部の平面概念図である。
図18】第10実施形態におけるセンサ本体部の平面概念図である。
図19】第11実施形態におけるセンサ本体部の平面概念図である。
図20】第12実施形態におけるセンサ本体部の平面概念図である。
図21】第13実施形態におけるセンサ本体部の平面概念図である。
図22】第14実施形態におけるセンサ本体部の平面概念図である。
図23】第15実施形態におけるセンサ本体部の平面概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0012】
(第1実施形態)
図1に示す本実施形態の熱量計測装置1は、計測対象物からの対流放熱と放射放熱とのそれぞれの熱量を、1つのセンサ部材を用いて計測するものである。このため、熱量計測装置1は、局所の放熱内訳を求める用途、例えば、断熱材等の材料の開発に用いられる。
【0013】
熱量計測装置1は、センサ本体部2と、演算部3とを備える。センサ本体部2は、計測対象物から放出される熱の熱流束に応じた出力を発生する熱流束センサである。熱流束は、単位時間および単位面積当たりの熱量である。
【0014】
センサ本体部2は、1つの連続する板状部材である。センサ本体部2が、センサ部材に相当する。センサ本体部2は、放射側表面2aと、対象物側表面2bとを有する。放射側表面2aは、対象物側表面2bの反対側のセンサ本体部2の表面である。対象物側表面2bは、センサ本体部2が計測対象物に設置されるときに、計測対象物側とされるセンサ本体部2の表面である。図2、3に示すセンサ本体部2の上面が放射側表面2aである。図2、3に示すセンサ本体部2の下面が対象物側表面2bである。
【0015】
図1に示すように、センサ本体部2は、第1センサ部4と第2センサ部5とを1つずつ有する。第1センサ部4は、センサ本体部2のうち第1熱電変換部7が形成された第1領域である。第2センサ部5は、センサ本体部2のうち第2熱電変換部8が形成された第2領域である。第1領域および第2領域は、センサ本体部2において放射側表面2aおよび対象物側表面2bに沿う方向で特定される領域である。第2センサ部5は、センサ本体部2のうち対象物側表面2bに沿う方向で第1センサ部4の隣りに位置する。
【0016】
本実施形態では、センサ本体部2の平面形状は、長方形である。第1センサ部4と第2センサ部5とのそれぞれの平面形状は、センサ本体部2の長辺に平行な線で、センサ本体部2を2等分した一方と他方のそれぞれに近い長方形である。
【0017】
第1熱電変換部7は、第1配線7a、7bを介して、演算部3と電気的に接続されている。第2熱電変換部8は、第2配線8a、8bを介して、演算部3と電気的に接続されている。
【0018】
演算部3は、計測対象物から放出される熱量を演算する。演算部3は、プロセッサ、メモリを含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。メモリは、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。演算部3は、メモリに記憶されたプログラムに従って各種演算、処理を行う。
【0019】
図2、3に示すように、センサ本体部2は、絶縁基材20と、複数の熱電部材21、22と、複数の第1導体パターン23と、複数の第2導体パターン24と、第1保護部材25と、第2保護部材26とを備える。
【0020】
絶縁基材20は、フィルム状である。絶縁基材20は、第1面20aと、その反対側の第2面20bとを有する。図2、3では、第1面20aは、絶縁基材20の下面である。絶縁基材20は、熱可塑性樹脂で構成されている。
【0021】
複数の熱電部材21、22は、熱電変換材料で構成されている。複数の熱電部材21、22のそれぞれは、絶縁基材20の内部に配置されている。具体的には、複数の熱電部材21、22のそれぞれは、絶縁基材20に形成された複数の孔の内部に配置されている。
【0022】
複数の熱電部材21、22は、複数の第1熱電部材21と、複数の第2熱電部材22とを含む。複数の第2熱電部材22は、複数の第1熱電部材21を構成する材料とは異なる材料で構成されている。複数の第1熱電部材21を構成する材料として、例えば、P型半導体材料が挙げられる。複数の第2熱電部材22を構成する材料として、例えば、N型半導体材料が挙げられる。複数の熱電部材21、22は、複数の第1熱電部材21のそれぞれと、複数の第2熱電部材22のそれぞれとが交互に配置されている。
【0023】
複数の第1導体パターン23および複数の第2導体パターン24は、導体膜がパターニングされたものである。図2に示すように、複数の第1導体パターン23は、絶縁基材20の第1面20a側に配置されている。複数の第1導体パターン23は、複数の熱電部材21、22のうち隣り合う第1熱電部材21と第2熱電部材22とを接続する複数の第1接続部231を含む。
【0024】
複数の第2導体パターン24は、絶縁基材20の第2面20b側に配置されている。複数の第2導体パターン24は、複数の熱電部材21、22のうち隣り合う第1熱電部材21と第2熱電部材22とを接続する複数の第2接続部241を含む。複数の第1接続部231のそれぞれと複数の第2接続部241のそれぞれとは、複数の第1熱電部材21のそれぞれと複数の第2熱電部材22のそれぞれとを交互に電気的に接続している。
【0025】
第1保護部材25は、フィルム状である。第1保護部材25は、絶縁基材20の第1面20a側に積層されている。第1保護部材25は、複数の第1導体パターン23を覆っている。第1保護部材25は、熱可塑性樹脂で構成されている。
【0026】
第2保護部材26は、フィルム状である。第2保護部材26は、絶縁基材20の第2面20b側に積層されている。第2保護部材26は、複数の第2導体パターン24を覆っている。第2保護部材26は、熱可塑性樹脂で構成されている。具体的には、第2保護部材26は、熱可塑性のポリイミド樹脂で構成されている。
【0027】
複数の第1導体パターン23は、図4に示すように配置されている。図4は、図2、3に示される複数の第1導体パターン23を上から見た平面図である。図4では、図2、3の絶縁基材20の第2面20bおよび複数の第1導体パターン23が示されている。図4では、複数の熱電部材21、22のそれぞれの配置場所が示されている。図2は、図4のII−II線断面図に相当する。図3は、図4のIII−III線断面図に相当する。複数の第1導体パターン23は、外部と電気的に接続される4つの接続端子部232a、232b、232c、232dを含む。
【0028】
複数の第2導体パターン24は、図5に示すように配置されている。図5は、図2、3に示される複数の第2導体パターン24を上から見た平面図である。図5では、図2、3の第1保護部材25の上面および複数の第2導体パターン24が示されている。図5では、複数の熱電部材21、22のそれぞれの配置場所が示されている。
【0029】
図4、5に示すように、第1センサ部4では、複数の第1接続部231および複数の第2接続部241は、2つの接続端子部232a、232bの間において、複数の第1熱電部材21のそれぞれと、複数の第2熱電部材22のそれぞれとを交互に電気的に接続している。これにより、図1中の第1熱電変換部7が形成されている。
【0030】
第2センサ部5では、複数の第1接続部231および複数の第2接続部241は、2つの接続端子部232c、232dの間において、複数の第1熱電部材21のそれぞれと、複数の第2熱電部材22のそれぞれとを交互に電気的に接続している。これにより、第2熱電変換部8が形成されている。第2熱電変換部8は、第1熱電変換部7と直列に接続されていない。すなわち、第2熱電変換部8は、第1熱電変換部7と電気的に接続されていない。
【0031】
このように、本実施形態では、第1熱電変換部7と第2熱電変換部8とが1つの多層基板に形成されている。換言すると、第1熱電変換部7と第2熱電変換部8とがセンサ本体部2に内蔵されている。
【0032】
図3に示すように、センサ本体部2は、第2センサ部5の位置に表面処理層27を有している。表面処理層27は、図4、5に示すように、センサ本体部2のうち第2熱電変換部8と重なる位置に配置されている。換言すると、センサ本体部2のうち表面処理層27と重なる位置に、第2熱電変換部8が形成されている。
【0033】
表面処理層27は、第2保護部材26に対する表面処理法によって第2保護部材26の表面上に形成されている。表面処理層27は、アルミニウムによって構成されている。表面処理法としては、スパッタ蒸着法やめっき法が採用可能である。表面処理層27の表面は、光沢面である。
【0034】
このように、表面処理層27は、第2保護部材26を構成する材料とは異なる材料で構成されている。同一の表面温度および同一の熱放射の波長で比較したとき、表面処理層27の表面での放射率は、第2保護部材26の表面での放射率と異なる。第1センサ部4の位置での第2保護部材26の表面が、放射側表面2aのうち第1センサ部4に対応する部分4aに相当する。表面処理層27の表面が、放射側表面2aのうち第2センサ部5に対応する部分5aに相当する。このため、同一の表面温度および同一の熱放射の波長で比較したとき、放射側表面2aのうち第1センサ部4に対応する部分4aの放射率は、放射側表面2aのうち第2センサ部5に対応する部分5aの放射率と異なる。以下では、放射側表面2aのうち第1センサ部4に対応する部分4aを第1センサ部4の表面4aという。放射側表面2aのうち第2センサ部5に対応する部分5aを第2センサ部5の表面5aという。
【0035】
次に、本実施形態の熱量計測装置1による放射放熱と対流放熱とのそれぞれの熱量の計測について説明する。
【0036】
計測対象物から放出される熱量の計測では、センサ本体部2が計測対象物の放熱面に設置される。計測対象物の放熱面は、熱が放出される計測対象物の表面である。
【0037】
計測対象物の放熱面から第1センサ部4と第2センサ部5のそれぞれを通過して空間へ熱が放出される。このとき、第1熱電変換部7の第1接続部231側と第2接続部241側とに温度差が生じる。これにより、ゼーベック効果によって第1熱電変換部7に熱起電力が発生する。すなわち、第1熱電変換部7は、計測対象物から第1センサ部4を通過して放出される熱の熱流束に応じた電気的な出力を発生する。同様に、第2熱電変換部8の第1接続部231側と第2接続部241側とに温度差が生じる。これにより、ゼーベック効果によって第2熱電変換部8に熱起電力が発生する。すなわち、第2熱電変換部8は、計測対象物から第2センサ部5を通過して放出される熱の熱流束に応じた電気的な出力を発生する。熱流束は、単位時間および単位面積当たりの熱量である。熱流束の単位は、W/mである。
【0038】
演算部3は、第1熱電変換部7の出力値と第2熱電変換部8の出力値とに基づいて、放射率と計測対象物から放出される熱量との関係を求める。
【0039】
ここで、放射率と計測対象物から放出される熱量との関係について説明する。図6、7、8に示すように、物体の表面から空間への放熱には、放射放熱と対流放熱とがある。放射放熱は、熱が電磁波として放出される現象である。対流放熱は、流体の流れに熱が移動する現象である。
【0040】
図6に示すように、計測対象物M1の表面M1aのうちセンサ本体部2が設置されていない部位において、計測対象物M1の表面M1aから放出される放射放熱による、単位時間および単位面積当たりの熱量は、α・σ・Tsで表される。αは、計測対象物M1の表面M1aの放射率である。σは、ステファン・ボルツマン定数である。Tsは、放射放熱している計測対象物M1の表面M1aの温度である。
【0041】
また、計測対象物M1の表面M1aから放出される対流放熱による、単位時間および単位面積当たりの熱量は、h・(ts1−t2)で表される。hは、熱伝達率である。ts1は、対流放熱している計測対象物M1の表面M1aの温度である。t2は、流体の温度である。
【0042】
したがって、計測対象物M1の表面M1aから放出される、単位時間および単位面積当たりの熱量qは、下記の式で示される。熱量qの単位は、W/mである。
【0043】
=α・σ・Ts+h・(ts1−t2)
図7に示すように、第1センサ部4の表面4aから放出される放射放熱による、単位時間および単位面積当たりの熱量は、α・σ・Tsで表される。αは、第1センサ部4の表面4aの放射率である。Tsは、放射放熱している第1センサ部4の表面4aの温度である。
【0044】
また、第1センサ部4の表面4aから放出される対流放熱による、単位時間および単位面積当たりの熱量は、h・(ts2−t2)で表される。ts2は、対流放熱している第1センサ部4の表面4aの温度である。
【0045】
したがって、第1センサ部4の表面4aから放出される、単位時間および単位面積当たりの熱量qは、下記の式で示される。熱量qの単位は、W/mである。
【0046】
=α・σ・Ts+h・(ts2−t2)
図8に示すように、第2センサ部5の表面5aから放出される放射放熱による、単位時間および単位面積当たりの熱量は、α・σ・Tsで表される。αは、第2センサ部5の表面5aの放射率である。Tsは、放射放熱している第2センサ部5の表面5aの温度である。
【0047】
また、第2センサ部5の表面5aから放出される対流放熱による、単位時間および単位面積当たりの熱量は、h・(ts3−t2)で表される。ts3は、対流放熱している第2センサ部5の表面5aの温度である。
【0048】
したがって、第2センサ部5の表面5aから放出される、単位時間および単位面積当たりの熱量qは、下記の式で示される。熱量qの単位は、W/mである。
【0049】
=α・σ・Ts+h・(ts3−t2)
ここで、図6、7、8に示すように、放射放熱している物体の表面M1a、4a、5aの放射率が異なる。しかし、計測対象物M1の熱容量が充分大きければ、熱変化分をどんどん計測対象物M1が吸収する。このため、放射放熱している物体の表面M1a、4a、5aの温度Ts、Ts、Tsについては、Ts=Ts=Tsとみなすことができる。また、センサ本体部2は薄いため、対流放熱している物体の表面M1a、4a、5aの温度ts1、ts2、ts3については、ts1=ts2=ts3とみなすことができる。
【0050】
このため、第1センサ部4の表面4aから放出される、単位時間および単位面積当たりの熱量qおよび第2センサ部5の表面5aから放出される、単位時間および単位面積当たりの熱量qは、次のように表される。
【0051】
=α・σ・Ts+h・(ts1−t2)
=α・σ・Ts+h・(ts1−t2)
したがって、放射率αと計測対象物M1から放出される全熱量qとの関係は、図9に示すグラフの関係がある。グラフの縦軸は計測対象物M1から放出される全熱量qを示す。グラフの横軸は放射率αを示す。図9に示すグラフは、一次関数のグラフである。
【0052】
計測対象物M1から放出される全熱量qは、対流放熱によって放出される熱量である対流放熱量qfと、放射放熱によって放出される熱量である放射放熱量qeとの合計である。なお、全熱量q、対流放熱量qfおよび放射放熱量qeは、単位時間および単位面積当たりの熱量である。
【0053】
対流放熱量qfは、放射率αの大きさに関わらず、一定である。このため、対流放熱量qfは、図9に示すグラフの切片に相当する。放射放熱量qeは、放射率αが大きいほど、大きくなる。このため、計測対象物M1から放出される全熱量qは、放射率αが大きいほど、大きくなる。
【0054】
そこで、演算部3は、第1熱電変換部7の出力値から放射率αのときの全熱量qを求める。例えば、第1熱電変換部7の出力電圧値がv1、全熱量qを求めるための補正係数がk1のとき、全熱量qは、次式で表される。
=k1・v1
【0055】
同様に、演算部3は、第2熱電変換部8の出力値から放射率αのときの全熱量qを求める。例えば、第2熱電変換部8の出力電圧値がv2、全熱量qを求めるための補正係数がk2のとき、全熱量qは、次式で表される。
=k2・v2
【0056】
そして、演算部3は、第1センサ部4の表面4aの放射率αと、第2センサ部5の表面5aの放射率αと、放射率αのときの全熱量qと、放射率αのときの全熱量qとを用いて、図9のグラフに表される放射率αと全熱量qとの関係を求める。なお、第1熱電変換部7の出力値と第2熱電変換部8の出力値とから、直接、図9のグラフに表される放射率αと全熱量qとの関係を、演算部3が求めてもよい。
【0057】
そして、演算部3は、その関係に基づいて、対流放熱量qfを演算する。対流放熱量qfは、その関係において、放射率αが0のときの全熱量である。
【0058】
さらに、演算部3は、その関係と計測対象物M1の表面M1aの放射率αとに基づいて、放射率αのときの全熱量qを求める。このとき、計測対象物M1の表面M1aの放射率αは、ユーザによって予め調べられたものが用いられる。演算部3は、放射率αのときの全熱量qから対流放熱量qfを減算する。これにより、計測対象物M1の表面M1aからの放射放熱量qeが求められる。
【0059】
その後、演算部3は、計測対象物M1の表面M1aからの放射放熱量qeと対流放熱量qfとを図示しない表示部に表示させる。
【0060】
以上の説明の通り、本実施形態のセンサ本体部2では、放射側表面2aのうち第1センサ部4に対応する部分4aの放射率は、放射側表面2aのうち第2センサ部5に対応する部分5aの放射率と異なる。
【0061】
これによれば、放射側表面2aのうち第1センサ部4に対応する部分4aの放射率と、放射側表面2aのうち第2センサ部5に対応する部分5aの放射率と、第1熱電変換部7の出力値と、第2熱電変換部8の出力値とを用いて、対流放熱量および放射放熱量の全熱量と放射率との関係を求めることができる。この関係において、対流放熱量は放射率の大きさに関わらず一定であり、放射放熱量は放射率の大きさによって異なることを用いて、求めた関係と計測対象物M1の表面M1aの放射率αとに基づいて、計測対象物M1からの対流放熱量と放射放熱量とを求めることができる。よって、放射放熱と対流放熱とのそれぞれの熱量を同じセンサで計測することができる。
【0062】
また、本実施形態の熱量計測装置1は、センサ本体部2と、演算部3とを備える。演算部3は、放射側表面2aのうち第1センサ部4に対応する部分4aの放射率と、放射側表面2aのうち第2センサ部5に対応する部分5aの放射率と、第1熱電変換部7の出力値と、第2熱電変換部8の出力値とを用いて、対流放熱量および放射放熱量の全熱量と放射率との関係を求める。演算部3は、この関係において、対流放熱量は放射率の大きさに関わらず一定であり、放射放熱量は放射率の大きさによって異なることを用いる。そして、演算部3は、求めた関係と計測対象物M1の表面M1aの放射率αとに基づいて、計測対象物M1からの対流放熱量と放射放熱量とを求める。
【0063】
このように、演算部3は、第1熱電変換部7の出力値と、第2熱電変換部8の出力値とを用いて、対流放熱量と放射放熱量とを演算する。これにより、放射放熱と対流放熱とのそれぞれの熱量を1つのセンサ部材で計測することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、演算部3は、単位時間および単位面積あたりの熱量(すなわち、熱流束)を演算した。しかしながら、演算部3は、指定された面積から放出される単位時間あたりの熱量(すなわち、熱流量)を演算してもよい。また、演算部3は、指定された面積から指定された時間に放出される熱量(すなわち、総放熱量)を演算してもよい。
【0065】
また、本実施形態では、第1センサ部4と第2センサ部5のそれぞれの平面形状は、図1に示す長方形である。しかしながら、第1センサ部4と第2センサ部5のそれぞれの平面形状は、図1に示す形状よりも細長い形状であってもよい。
【0066】
また、本実施形態では、第1センサ部4と第2センサ部5のそれぞれの平面形状は、同じ大きさである。しかしながら、第1センサ部4と第2センサ部5のそれぞれの平面形状は、異なる大きさであってもよい。
【0067】
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して演算部3による演算方法の一部を変更したものである。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0068】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、演算部3は、第1熱電変換部7の出力値から放射率αのときの全熱量qを求める。演算部3は、第2熱電変換部8の出力値から放射率αのときの全熱量qを求める。演算部3は、図9に示すグラフの関係と、計測対象物M1の表面M1aの放射率αとに基づいて、計測対象物M1の表面M1aからの放射放熱量qeと対流放熱量qfとを演算する。
【0069】
ただし、本実施形態では、第1実施形態と異なり、演算部3は、計測対象物M1の表面M1aの放射率αと、第1センサ部4の表面4aの放射率αと、第2センサ部5の表面5aの放射率αと、放射率αのときの全熱量qと、放射率αのときの全熱量qとを用いて、放射率αのときの放射放熱量qeを求める。このとき、図10に示す点A、B、Cを直線で結んだ三角形と、図9に示す点D、E、Fを直線で結んだ三角形とが相似であるという関係を用いる。なお、図10中の線分ACは、図9中の線分ACと同じである。これにより、放射放熱量qeは式(1)で表される。
qe=(q−q)・α/(α−α) (1)
【0070】
同様に、演算部3は、放射率αと、放射率αと、放射率αと、放射率αのときの全熱量qと、放射率αのときの全熱量qとを用いて、放射率αのときの放射放熱量qeを求める。このとき、図10に示す点A、B、Cを直線で結んだ三角形と、図9に示す点C、H、Fを直線で結んだ三角形とが相似であるという関係を用いる。これにより、放射放熱量qeは式(2)で表される。
qe=(q−q)・α/(α−α) (2)
【0071】
さらに、演算部3は、式(3)に示すように、放射率αのときの全熱量qから放射率αのときの放射放熱量qeを減算する。これにより、対流放熱量qfが求められる。
qf=q−qe (3)
【0072】
なお、本実施形態では、放射率αのときの全熱量qから放射率αのときの放射放熱量qeを減算して対流放熱量qfを求めた。しかしながら、式(4)に示すように、放射率αのときの全熱量qから放射率αのときの放射放熱量qeを減算して対流放熱量qfを求めてもよい。
qf=q−qe (4)
【0073】
この場合、演算部3は、放射率αと、放射率αと、放射率αと、放射率αのときの全熱量qと、放射率αのときの全熱量qとを用いて、放射率αのときの放射放熱量qeを求める。このとき、図10に示す点A、B、Cを直線で結んだ三角形と、図9に示す点A、G、Fを直線で結んだ三角形とが相似であるという関係を用いる。これにより、放射放熱量qeは式(5)で表される。
qe=(q−q)・α/(α−α) (5)
【0074】
本実施形態では、上記の式(1)のように、演算部3は、第1熱電変換部7の出力値から求めた全熱量qと、第2熱電変換部8の出力値から求めた全熱量qとの差分に、放射率α、α、αを用いた係数を乗算する。このとき用いられる係数は、計測対象物M1の表面M1aからの放射放熱量qeを求めるための係数である。これにより、計測対象物M1の表面M1aからの放射放熱量qeを求めることができる。
【0075】
さらに、上記の式(2)、(5)のように、演算部3は、第1熱電変換部7の出力値から求めた全熱量qと、第2熱電変換部8の出力値から求めた全熱量qとの差分に、放射率α、α、αを用いた係数を乗算する。このとき用いられる係数は、第1センサ部4の表面4aまたは第2センサ部5の表面5aからの放射放熱量qe2、qeを求めるための係数である。これにより、第1センサ部4の表面4aまたは第2センサ部5の表面5aからの放射放熱量qe2、qeを求めることができる。
【0076】
さらに、演算部3は、第1センサ部4の表面4aからの全熱量pから第1センサ部4の表面4aからの放射放熱量qeを減算する。または、第2センサ部5の表面5aからの全熱量qから第2センサ部5の表面5aからの放射放熱量qeを減算する。これにより、計測対象物M1の表面M1aからの対流放熱量qfを求めることができる。
【0077】
(第3実施形態)
図11に示すように、本実施形態は、センサ本体部2が第1センサ部4の位置に表面処理層28を有する点で、第1実施形態と異なる。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0078】
表面処理層28は、表面処理層27と同様に、アルミニウムによって構成されている。表面処理層27の表面は光沢面である。これに対して、表面処理層28の表面は、表面処理層27の表面よりも粗い粗面である。このため、同一の表面温度および同一の熱放射の波長で比較したとき、表面処理層27の表面での放射率は、表面処理層28の表面での放射率と異なる。表面処理層28の表面が、放射側表面2aのうち第1センサ部4に対応する部分4aに相当する。表面処理層27の表面が、放射側表面2aのうち第2センサ部5に対応する部分5aに相当する。
【0079】
したがって、本実施形態においても、同一の表面温度および同一の熱放射の波長で比較したとき、放射側表面2aのうち第1センサ部4に対応する部分4aの放射率は、放射側表面2aのうち第2センサ部5に対応する部分5aの放射率と異なる。このため、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0080】
(第4実施形態)
図12に示すように、本実施形態は、第1センサ部4の位置と第2センサ部5の位置とで、第2保護部材26の材質が異なる点で、第1実施形態と異なる。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0081】
第2保護部材26のうち第1センサ部4の位置での保護部材261は、第2保護部材26のうち第2センサ部5の位置での保護部材262を構成する材料とは異なる材料で構成されている。このため、同一の表面温度および同一の熱放射の波長で比較したとき、保護部材261の表面での放射率は、保護部材262の表面での放射率と異なる。保護部材261の表面が、放射側表面2aのうち第1センサ部4に対応する部分4aに相当する。保護部材262の表面が、放射側表面2aのうち第2センサ部5に対応する部分5aに相当する。
【0082】
したがって、本実施形態においても、同一の表面温度および同一の熱放射の波長で比較したとき、放射側表面2aのうち第1センサ部4に対応する部分4aの放射率は、放射側表面2aのうち第2センサ部5に対応する部分5aの放射率と異なる。このため、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0083】
(第5実施形態)
図13に示すように、本実施形態は、第1センサ部4の位置と第2センサ部5の位置とで、第2保護部材26の材質が部分的に異なる点で、第1実施形態と異なる。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0084】
第1センサ部4の位置では、第2保護部材26は1種類の保護部材261で構成されている。第2センサ部5の位置では、第2保護部材26は、積層された2種類の保護部材261、262で構成されている。このため、同一の表面温度および同一の熱放射の波長で比較したとき、第2保護部材26の表面での放射率は、第1センサ部4の位置と第2センサ部5の位置とで異なる。第2保護部材26の表面のうち第1センサ部4に対応する部分が、放射側表面2aのうち第1センサ部4に対応する部分4aに相当する。第2保護部材26の表面のうち第2センサ部5に対応する部分が、放射側表面2aのうち第2センサ部5に対応する部分5aに相当する。
【0085】
したがって、本実施形態においても、同一の表面温度および同一の熱放射の波長で比較したとき、放射側表面2aのうち第1センサ部4に対応する部分4aの放射率は、放射側表面2aのうち第2センサ部5に対応する部分5aの放射率と異なる。このため、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0086】
(第6実施形態)
図14に示すように、本実施形態では、放射側表面2aおよび対象物側表面2bに沿う方向での第1センサ部4の平面形状および第2センサ部5の平面形状が第1実施形態と異なる。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0087】
第1実施形態と同様に、センサ本体部2には、第1センサ部4と第2センサ部5とが1つずつ存在する。第1センサ部4は、放射側表面2aおよび対象物側表面2bに沿う方向で一続きである。第2センサ部5は、放射側表面2aおよび対象物側表面2bに沿う方向で一続きである。
【0088】
本実施形態では、第1センサ部4は、渦巻き状に配置されている。第2センサ部5は、センサ本体部2のうち第1センサ部4を除く渦巻き状の領域に配置されている。すなわち、第2センサ部5も、渦巻き状に配置されている。
【0089】
このため、第1方向D1で、第1センサ部4の一部41と、第2センサ部5の一部51と、第1センサ部4の他の一部42とが順に配置されている。第2方向D2で、第1センサ部4の一部41と、第2センサ部5の一部52と、第1センサ部4の他の一部43とが順に配置されている。第2方向D2は、第1方向に直交する。本実施形態では、第1方向D1が放射側表面2aに沿う方向での一方向に相当する。第2方向D2が放射側表面2aに沿う方向のうち一方向に直交する方向に相当する。
【0090】
ここで、熱量計測装置1は、第1センサ部4の表面4aの放射率と第2センサ部5の表面5aの放射率とが異なることを利用して、対流放熱量および放射放熱量を計測する。計測対象物M1の表面M1aに温度分布があり、計測対象物M1の表面M1aに設置したセンサ本体部2の第1センサ部4と第2センサ部5とに温度差が生じる場合がある。この場合、この温度差の影響によって、対流放熱量および放射放熱量の計測に誤差が生じる。
【0091】
これに対して、本実施形態によれば、センサ本体部2において、放射側表面2aに沿う方向で、第1センサ部4と第2センサ部5とが混在している。このため、計測対象物M1の表面M1aに温度分布がある場合でも、表面M1aのうち表面温度が同じまたは近い領域に、第1センサ部4と第2センサ部5とを位置させることができる。これにより、第1センサ部4と第2センサ部5との温度差を小さくすることができる。放射率の違いで生じる温度差の影響を小さくすることができる。よって、対流放熱量および放射放熱量の計測の誤差を低減することができる。
【0092】
また、本実施形態と異なり、センサ本体部2に複数の第1センサ部4と複数の第2センサ部5が存在する場合を想定する。この場合、複数の第1センサ部4のそれぞれが放射側表面2aに沿う方向で間をあけて配置される。複数の第2センサ部5のそれぞれは、隣り合う第1センサ部4の間に配置される。
【0093】
この場合では、複数の第1センサ部4のそれぞれに存在する第1熱電変換部7同士を接続するための配線層を、センサ本体部2の厚さ方向で第1熱電変換部7が形成された層とは異なる位置に形成しなければならない。同様に、複数の第2センサ部5のそれぞれに存在する第2熱電変換部8同士を接続するための配線層を、センサ本体部2の厚さ方向で第1熱電変換部7が形成された層とは異なる位置に形成しなければならない。このように、センサ本体部2を多層化すると、センサ本体部2が厚くなってしまう。
【0094】
これに対して、本実施形態では、第1センサ部4は放射側表面2aに沿う方向で一続きである。このため、第1熱電変換部7同士を接続するための配線層をセンサ本体部2の厚さ方向で追加する必要がない。同様に、第2センサ部5は放射側表面2aに沿う方向で一続きである。このため、第2熱電変換部8同士を接続するための配線層をセンサ本体部2の厚さ方向で追加する必要がない。よって、センサ本体部2に複数の第1センサ部4と複数の第2センサ部5が存在する場合と比較して、センサ本体部2を薄くすることができる。
【0095】
(第7実施形態)
図15に示すように、本実施形態では、第1センサ部4の平面形状および第2センサ部5の平面形状が第1実施形態と異なる。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0096】
第1実施形態と同様に、センサ本体部2には、第1センサ部4と第2センサ部5とが1つずつ存在する。第1センサ部4は、放射側表面2aおよび対象物側表面2bに沿う方向で一続きである。第2センサ部5は、放射側表面2aおよび対象物側表面2bに沿う方向で一続きである。
【0097】
本実施形態では、第1センサ部4は、複数の第1延伸部44、45、46と1つの第2延伸部47とを有する形状である。複数の第1延伸部44、45、46は、第1方向D1に延伸している。複数の第1延伸部44、45、46のそれぞれは、互いに間をあけて第2方向D2に並んでいる。第2延伸部47は、第2方向D2に延伸している。第2延伸部47は、複数の第1延伸部44、45、46のそれぞれの第1方向D1の一方側の端部と連なっている。
【0098】
第2センサ部5は、複数の第3延伸部54、55、56と1つの第4延伸部57とを有する形状である。複数の第3延伸部54、55、56は、第1方向D1に延伸している。複数の第3延伸部54、55、56のそれぞれは、複数の第1延伸部44、45、46のそれぞれの隣りに配置されている。第4延伸部57は、第2方向D2に延伸している。第4延伸部57は、複数の第3延伸部54、55、56のそれぞれの第1方向D1の他方側の端部と連なっている。
【0099】
このため、第2方向D2で、第1センサ部4の一部44と、第2センサ部5の一部55と、第1センサ部4の一部45とが順に配置されている。よって、本実施形態によっても、第6実施形態と同様の効果が得られる。本実施形態では、第2方向D2が放射側表面2aに沿う方向での一方向に相当する。
【0100】
なお、計測の誤差を低減するという観点では、本実施形態よりも、第1方向D1と第2方向D2との両方向で、第1センサ部4の一部と、第2センサ部5の一部と、第1センサ部4の一部とが順に配置されていることが好ましい。
【0101】
(第8実施形態)
図16に示すように、本実施形態では、第1センサ部4の平面形状および第2センサ部5の平面形状が第1実施形態と異なる。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0102】
第1実施形態と同様に、センサ本体部2には、第1センサ部4と第2センサ部5とが1つずつ存在する。第1センサ部4は、放射側表面2aおよび対象物側表面2bに沿う方向で一続きである。第2センサ部5は、放射側表面2aおよび対象物側表面2bに沿う方向で一続きである。
【0103】
本実施形態では、第2センサ部5の周囲に第1センサ部4が環状に配置されている。このため、第1方向D1と第2方向D2の両方向で、第1センサ部4の一部と、第2センサ部5の全部と、第1センサ部4の一部とが順に配置されている。よって、本実施形態によっても、第6実施形態と同様の効果が得られる。本実施形態では、第1方向D1と第2方向D2の一方が放射側表面2aに沿う方向での一方向に相当する。第1方向D1と第2方向D2の他方が第2方向D2が放射側表面2aに沿う方向のうち一方向に直交する方向に相当する。
【0104】
(第9実施形態)
図17に示すように、本実施形態では、センサ本体部2には、複数の第1センサ部4、401、402と、複数の第2センサ部5、501、502とが存在する。複数の第1センサ部4、401、402のそれぞれは、第2方向D2に延伸している。複数の第2センサ部5、501、502のそれぞれは、第2方向D2に延伸している。複数の第1センサ部4、401、402のそれぞれと、複数の第2センサ部5、501、502のそれぞれとが、第1方向D1に交互に並んでいる。
【0105】
第1センサ部401、402は、第1実施形態の第1センサ部4と同じ構造である。第2センサ部501、502は、第1実施形態の第2センサ部5と同じ構造である。複数の第1センサ部4、401、402のそれぞれに存在する第1熱電変換部7同士は、図示しない配線層を介して、電気的に接続されている。この配線層は、センサ本体部2のうちセンサ本体部2の厚さ方向で第1熱電変換部7が形成された層とは異なる位置に形成される。同様に、複数の第2センサ部5、501、502のそれぞれに存在する第2熱電変換部8同士は、図示しない配線層を介して、電気的に接続されている。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0106】
本実施形態では、第1方向D1で、第1センサ部4、第2センサ部5、第1センサ部401が順に並んでいる。本実施形態では、第1方向D1が放射側表面2aに沿う方向での一方向に相当する。第1センサ部4が複数の第1センサ部のうち1つの第1センサ部に相当する。第2センサ部5が複数の第2センサ部のうち1つの第2センサ部に相当する。第1センサ部401が複数の第1センサ部のうち他の1つの第1センサ部に相当する。このため、本実施形態によっても、第6実施形態と同様に、対流放熱量および放射放熱量の計測の誤差を低減することができるという効果が得られる。
【0107】
(第10実施形態)
図18に示すように、本実施形態では、センサ本体部2には、複数の第1センサ部4、401と、複数の第2センサ部5、501とが存在する。複数の第1センサ部4、401のそれぞれは、L字状である。複数の第2センサ部5、501のそれぞれは、L字状である。複数の第1センサ部4、401のそれぞれと複数の第2センサ部5、501のそれぞれとが隣り合わせに配置されている。
【0108】
第1センサ部401は、第1実施形態の第1センサ部4と同じ構造である。第2センサ部501、502は、第1実施形態の第2センサ部5と同じ構造である。第9実施形態と同様に、複数の第1センサ部4、401のそれぞれに存在する第1熱電変換部7同士は、図示しない配線層を介して、電気的に接続されている。複数の第2センサ部5、501、502のそれぞれに存在する第2熱電変換部8同士は、図示しない配線層を介して、電気的に接続されている。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0109】
本実施形態では、例えば、図18中の線L1の位置において、第1方向D1で、第1センサ部4、第2センサ部5、第1センサ部401が順に並んでいる。さらに、図18中の線L2の位置において、第2方向D2で、第1センサ部4、第2センサ部5、第1センサ部401が順に並んでいる。本実施形態では、第1方向D1が放射側表面2aに沿う方向での一方向に相当する。第2方向D2が放射側表面2aに沿う方向のうち一方向に直交する方向に相当する。第1センサ部4が複数の第1センサ部のうち1つの第1センサ部に相当する。第2センサ部5が複数の第2センサ部のうち1つの第2センサ部に相当する。第1センサ部401が複数の第1センサ部のうち他の1つの第1センサ部に相当する。
【0110】
このため、本実施形態によっても、第6実施形態と同様に、対流放熱量および放射放熱量の計測の誤差を低減することができるという効果が得られる。
【0111】
(第11実施形態)
図19に示すように、本実施形態では、センサ本体部2には、複数の第1センサ部4、401、402、403と、複数の第2センサ部5、501、502、503、504とが存在する。
【0112】
複数の第1センサ部4、401、402、403のそれぞれは、四角形である。複数の第2センサ部5、501、502、503、504のそれぞれは、四角形である。複数の第1センサ部4、401、402、403と複数の第2センサ部5、501、502、503、504とは、第1方向D1と第2方向D2とで、第1センサ部と第2センサ部とが隣り合わせになるように配置されている。
【0113】
第1センサ部401、402、403は、第1実施形態の第1センサ部4と同じ構造である。第2センサ部501、502、503、504は、第1実施形態の第2センサ部5と同じ構造である。第9実施形態と同様に、複数の第1センサ部4、401、402、403のそれぞれに存在する第1熱電変換部7同士は、図示しない配線層を介して、電気的に接続されている。複数の第2センサ部5、501、502、503、504のそれぞれに存在する第2熱電変換部8同士は、図示しない配線層を介して、電気的に接続されている。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0114】
本実施形態では、第1方向D1で、第1センサ部4、第2センサ部5、第1センサ部401が順に並んでいる。第1センサ部4が複数の第1センサ部のうち1つの第1センサ部に相当する。第2センサ部5が複数の第2センサ部のうち1つの第2センサ部に相当する。第1センサ部401が複数の第1センサ部のうち他の1つの第1センサ部に相当する。
【0115】
さらに、第2方向D2で、第1センサ部402、第2センサ部5、第1センサ部403が順に並んでいる。第1センサ部402が複数の第1センサ部のうち1つの第1センサ部に相当する。第2センサ部5が複数の第2センサ部のうち1つの第2センサ部に相当する。第1センサ部403が複数の第1センサ部のうち他の1つの第1センサ部に相当する。
【0116】
本実施形態では、第1方向D1と第2方向D2の一方が放射側表面2aに沿う方向での一方向に相当する。第1方向D1と第2方向D2の他方が第2方向D2が放射側表面2aに沿う方向のうち一方向に直交する方向に相当する。
【0117】
このため、本実施形態によっても、第6実施形態と同様に、対流放熱量および放射放熱量の計測の誤差を低減することができるという効果が得られる。
【0118】
(第12実施形態)
図20に示すように、本実施形態では、センサ本体部2には、複数の第1センサ部4、401、402、403と、複数の第2センサ部5、501、502、503、504、505、506、507、508とが存在する。
【0119】
複数の第2センサ部5、501〜508のそれぞれは、四角形である。1つの第2センサ部5を基点として、この1つの第2センサ部5の対角線方向に、他の複数の第2センサ部501〜508が並んでいる。センサ本体部2のうち複数の第2センサ部5、501〜508を除く領域が、複数の第1センサ部4、401、402、403である。本実施形態においても、複数の第1センサ部4、401、402、403と、複数の第2センサ部5、501〜508とは、第1センサ部と第2センサ部とが隣り合わせになるように配置されている。
【0120】
第1センサ部401、402、403は、第1実施形態の第1センサ部4と同じ構造である。第2センサ部501〜508は、第1実施形態の第2センサ部5と同じ構造である。第9実施形態と同様に、複数の第1センサ部4、401、402、403のそれぞれに存在する第1熱電変換部7同士は、図示しない配線層を介して、電気的に接続されている。複数の第2センサ部5、501〜508のそれぞれに存在する第2熱電変換部8同士は、図示しない配線層を介して、電気的に接続されている。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0121】
本実施形態では、第1方向D1で、第1センサ部4、第2センサ部5、第1センサ部401が順に並んでいる。第1センサ部4が複数の第1センサ部のうち1つの第1センサ部に相当する。第2センサ部5が複数の第2センサ部のうち1つの第2センサ部に相当する。第1センサ部401が複数の第1センサ部のうち他の1つの第1センサ部に相当する。
【0122】
さらに、第2方向D2で、第1センサ部402、第2センサ部5、第1センサ部403が順に並んでいる。第1センサ部402が複数の第1センサ部のうち1つの第1センサ部に相当する。第2センサ部5が複数の第2センサ部のうち1つの第2センサ部に相当する。第1センサ部403が複数の第1センサ部のうち他の1つの第1センサ部に相当する。
【0123】
本実施形態では、第1方向D1と第2方向D2の一方が放射側表面2aに沿う方向での一方向に相当する。第1方向D1と第2方向D2の他方が第2方向D2が放射側表面2aに沿う方向のうち一方向に直交する方向に相当する。
【0124】
このため、本実施形態によっても、第6実施形態と同様に、対流放熱量および放射放熱量の計測の誤差を低減することができるという効果が得られる。
【0125】
(第13実施形態)
図21に示すように、本実施形態では、センサ本体部2には、1つの第1センサ部4と、複数の第2センサ部5、501、502、503、504とが存在する。複数の第2センサ部5、501、502、503、504のそれぞれは、四角形である。複数の第2センサ部5、501、502、503、504のそれぞれは、互いに間をあけて配置されている。第1センサ部4は、複数の第2センサ部5、501、502、503、504のそれぞれの間に配置されている。第1センサ部4は、放射側表面2aおよび対象物側表面2bに沿う方向で一続きである。
【0126】
第2センサ部501〜504は、第1実施形態の第2センサ部5と同じ構造である。第9実施形態と同様に、複数の第2センサ部5、501〜504のそれぞれに存在する第2熱電変換部8同士は、図示しない配線層を介して、電気的に接続されている。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0127】
本実施形態では、第1方向D1で、第1センサ部4の一部411、第2センサ部5、第1センサ部4の一部412が順に並んでいる。第2センサ部5が複数の第2センサ部のうち1つの第2センサ部に相当する。さらに、第2方向D2で、第1センサ部4の一部413、第2センサ部5、第1センサ部4の一部414が順に並んでいる。本実施形態では、第1方向D1と第2方向D2の一方が放射側表面2aに沿う方向での一方向に相当する。第1方向D1と第2方向D2の他方が放射側表面2aに沿う方向のうち一方向に直交する方向に相当する。
【0128】
このため、本実施形態によっても、第6実施形態と同様に、対流放熱量および放射放熱量の計測の誤差を低減することができるという効果が得られる。
【0129】
(第14実施形態)
図22に示すように、本実施形態では、センサ本体部2には、2つの第1センサ部4、401と、1つの第2センサ部5とが存在する。2つの第1センサ部4、401のうち1つの第1センサ部4は四角形である。第2センサ部5は、第1センサ部4の周囲に環状に配置されている。第2センサ部5は、放射側表面2aおよび対象物側表面2bに沿う方向で一続きである。2つの第1センサ部4、401のうち他の1つの第1センサ部401は、第2センサ部5の周囲に環状に配置されている。
【0130】
第1センサ部401は、第1実施形態の第1センサ部4と同じ構造である。第9実施形態と同様に、複数の第1センサ部4、401のそれぞれに存在する第1熱電変換部7同士は、図示しない配線層を介して、電気的に接続されている。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0131】
本実施形態では、第1方向D1で、第1センサ部4、第2センサ部5の一部511、第1センサ部401の一部が順に並んでいる。さらに、第2方向D2で、第1センサ部4、第2センサ部5の一部512、第1センサ部401の一部が順に並んでいる。第1センサ部4が複数の第1センサ部のうち1つの第1センサ部に相当する。第1センサ部401が複数の第1センサ部のうち他の1つの第1センサ部に相当する。本実施形態では、第1方向D1と第2方向D2の一方が放射側表面2aに沿う方向での一方向に相当する。第1方向D1と第2方向D2の他方が放射側表面2aに沿う方向のうち一方向に直交する方向に相当する。
【0132】
このため、本実施形態によっても、第6実施形態と同様に、対流放熱量および放射放熱量の計測の誤差を低減することができるという効果が得られる。
【0133】
(第15実施形態)
図23に示すように、本実施形態では、センサ本体部2には、2つの第1センサ部4、401と、1つの第2センサ部5が存在する。2つの第1センサ部4、401は、第1方向で間をあけて配置されている。第2センサ部5は、2つの第1センサ部4、401の間に配置されている。第2センサ部5は、放射側表面2aおよび対象物側表面2bに沿う方向で一続きである。
【0134】
第1センサ部401は、第1実施形態の第1センサ部4と同じ構造である。第9実施形態と同様に、複数の第1センサ部4、401のそれぞれに存在する第1熱電変換部7同士は、図示しない配線層を介して、電気的に接続されている。熱量計測装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0135】
本実施形態では、第1方向D1で、第1センサ部4、第2センサ部5の全部、第1センサ部401が順に並んでいる。第1センサ部4が複数の第1センサ部のうち1つの第1センサ部に相当する。第2センサ部5の全部には、第2センサ部5の一部が含まれる。第1センサ部401が複数の第1センサ部のうち他の1つの第1センサ部に相当する。第1方向D1が放射側表面2aに沿う方向での一方向に相当する。
【0136】
このため、本実施形態によっても、第6実施形態と同様に、対流放熱量および放射放熱量の計測の誤差を低減することができるという効果が得られる。
【0137】
(他の実施形態)
(1)上記した各実施形態では、センサ本体部2に、第1センサ部4と第2センサ部5との2種類のセンサ部が設けられていた。しかしながら、センサ本体部2に、3種以上のセンサ部が設けられてもよい。この場合、3種以上のセンサ部での放射側表面の放射率は異なる。そして、3種以上のセンサ部に形成された熱電変換部のそれぞれからの出力値を用いて、放射率αと全熱量qとの関係を求めることができる。
【0138】
(2)本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0139】
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、熱流束センサは、板状部材を備える。板状部材は、第1領域と、第2領域とを有する。同一の表面温度および同一の熱放射の波長で比較したとき、放射側表面のうち第1領域に対応する部分の放射率は、放射側表面のうち第2領域に対応する部分の放射率と異なる。
【0140】
また、第2の観点によれば、第1領域は、放射側表面に沿う方向で一続きである。第2領域は、放射側表面に沿う方向で一続きである。放射側表面に沿う方向のうち一方向で、第1領域の一部と、第2領域の一部と、第1領域の他の一部とが順に配置されている。
【0141】
これによれば、第1領域の一部と、第2領域の一部と、第1領域の他の一部とが順に配置されている。これにより、計測対象物の表面に温度分布がある場合に、第1領域と第2領域との温度差を低減することができる。第1領域と第2領域との温度差の影響による対流放熱量と放射放熱量との計測の誤差を低減することができる。
【0142】
さらに、これによれば、第1領域は、放射側表面に沿う方向で一続きである。第2領域は、放射側表面に沿う方向で一続きである。このため、第1熱電変換部同士を接続するための配線層および第2熱電変換部同士を接続するための配線層を板状部材の厚さ方向で追加する必要がない。よって、板状部材に複数の第1領域と複数の第2領域が存在する場合と比較して、板状部材を薄くすることができる。
【0143】
また、第3の観点によれば、放射側表面に沿う方向のうち一方向に直交する方向で、第1領域の一部と、第2領域の一部と、第1領域の他の一部とが順に配置されている。
【0144】
対流放熱量と放射放熱量との計測の誤差を低減するためには、第2の観点に加えて、一方向に直交する方向においても、第1領域の一部と、第2領域の一部と、第1領域の他の一部とが順に配置されていることが好ましい。
【0145】
また、第4の観点によれば、第1領域は、渦巻き状に配置されている。第2領域は、第1領域に沿って渦巻き状に配置されている。第3の観点の具体的な構成として、第4の観点の構成を採用することができる。
【0146】
また、第5の観点によれば、板状部材には、第1領域が含まれる、第1熱電変換部が形成された複数の第1領域と、第2領域が含まれる、第2熱電変換部が形成された複数の第2領域とが存在する。複数の第1領域のそれぞれに存在する第1熱電変換部同士は、電気的に接続されている。複数の第2領域のそれぞれに存在する第2熱電変換部同士は、電気的に接続されている。放射側表面に沿う方向のうち一方向で、複数の第1領域のうち1つの第1領域と、複数の第2領域のうち1つの第2領域と、複数の第1領域のうち他の1つの第1領域とが順に配置されている。
【0147】
これによれば、1つの第1領域と、1つの第2領域と、他の1つの第1領域とが順に配置されている。これにより、計測対象物の表面に温度分布がある場合に、第1領域と第2領域との温度差を低減することができる。第1領域と第2領域との温度差の影響による対流放熱量と放射放熱量との計測の誤差を低減することができる。
【0148】
また、第6の観点によれば、放射側表面に沿う方向のうち一方向に直交する方向で、複数の第1領域のうち1つの第1領域と、複数の第2領域のうち1つの第2領域と、複数の第1領域のうち他の1つの第1領域とが順に配置されている。
【0149】
対流放熱量と放射放熱量との計測の誤差を低減するためには、第5の観点に加えて、一方向に直交する方向においても、1つの第1領域と、1つの第2領域と、他の1つの第1領域とが順に配置されていることが好ましい。
【0150】
また、第7の観点によれば、第1領域は、放射側表面に沿う方向で一続きである。板状部材には、第2領域が含まれる、第2熱電変換部が形成された複数の第2領域が存在する。複数の第2領域のそれぞれに存在する第2熱電変換部同士は、電気的に接続されている。放射側表面に沿う方向のうち一方向で、第1領域の一部と、複数の第2領域のうち1つの第2領域と、第1領域の他の一部とが順に配置されている。
【0151】
これによれば、第1領域の一部と、1つの第2領域と、第1領域の他の一部とが順に配置されている。これにより、計測対象物の表面に温度分布がある場合に、第1領域と第2領域との温度差を低減することができる。第1領域と第2領域との温度差の影響による対流放熱量と放射放熱量との計測の誤差を低減することができる。
【0152】
また、第8の観点によれば、板状部材には、第1領域が含まれる、第1熱電変換部が形成された複数の第1領域が存在する。複数の第1領域のそれぞれに存在する第1熱電変換部同士は、電気的に接続されている。第2領域は、放射側表面に沿う方向で一続きである。放射側表面に沿う方向のうち一方向で、複数の第1領域のうち1つの第1領域と、第2領域の一部と、複数の第1領域のうち他の1つの第1領域とが順に配置されている。
【0153】
これによれば、1つの第1領域と、第2領域の一部と、他の1つの第1領域とが順に配置されている。これにより、計測対象物の表面に温度分布がある場合に、第1領域と第2領域との温度差を低減することができる。第1領域と第2領域との温度差の影響による対流放熱量と放射放熱量との計測の誤差を低減することができる。
【0154】
また、第9の観点によれば、熱量計測装置は、計測対象物から対流放熱によって放出される対流放熱量および計測対象物から放射放熱によって放出される放射放熱量を計測する。この熱量計測装置は、第1の観点ないし第8の観点のいずれか1つに記載の熱流束センサと、対流放熱量および放射放熱量を演算する演算部とを備える。演算部は、放射側表面のうち第1領域に対応する部分の放射率と、放射側表面のうち第2領域に対応する部分の放射率と、第1熱電変換部の出力値と、第2熱電変換部の出力値とから得られる対流放熱量および放射放熱量の全熱量と放射率との関係を用いるとともに、関係において、対流放熱量は放射率の大きさに関わらず一定であり、放射放熱量は放射率の大きさによって異なることを用いて、関係と計測対象物の表面の放射率とに基づいて、対流放熱量と放射放熱量とを演算する。
【0155】
このように、演算部は、第1熱電変換部の出力値と、第2熱電変換部の出力値とを用いて、対流放熱量と放射放熱量とを演算する。これにより、放射放熱と対流放熱とのそれぞれの熱量を同じセンサで計測することができる。
【符号の説明】
【0156】
2 センサ本体部
2a 放射側表面
3 演算部
4 第1センサ部
4a 第1センサ部の表面
5 第2センサ部
5a 第2センサ部の表面
7 第1熱電変換部
9 第2熱電変換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23