特開2019-207284(P2019-207284A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2019-207284地図情報生成システム、および作業支援システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-207284(P2019-207284A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】地図情報生成システム、および作業支援システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20191108BHJP
   A01D 41/02 20060101ALI20191108BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20191108BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   G09B29/00 Z
   A01D41/02 B
   A01B69/00 303M
   G01C21/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-101700(P2018-101700)
(22)【出願日】2018年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100086391
【弁理士】
【氏名又は名称】香山 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100110799
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 温道
(74)【代理人】
【識別番号】100206704
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 明洋
(72)【発明者】
【氏名】宮本 宗徳
【テーマコード(参考)】
2B043
2B074
2C032
2F129
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB20
2B043BA02
2B043BB14
2B043DA04
2B043DC01
2B043EA31
2B043EA40
2B043EB10
2B043EB30
2B043EC02
2B043ED03
2B043ED12
2B074AA01
2B074AB01
2B074AC02
2B074BA19
2B074CA01
2B074CE01
2B074DA01
2B074DA02
2B074DE03
2B074EA04
2B074EB03
2B074EB16
2B074FA10
2C032HB11
2C032HB22
2C032HC08
2C032HC22
2F129AA01
2F129BB03
2F129DD53
2F129EE52
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF12
2F129FF36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業支援の質を向上させる地図情報を生成することができる地図情報生成システム、および当該地図情報生成システムを利用した作業支援システムを提供する。
【解決手段】地図情報生成システムは、機体部19(第1機体部)と、機体部19に支持された刈刃17A(第1作業部)とを有するコンバイン(第1作業車両)の、圃場内の特定地点における位置情報を取得し、特定地点における機体部19の姿勢制御情報、および/または刈刃17Aの姿勢制御情報に基づいて、複数の耕盤深さ情報を特定し、特定地点におけるコンバインの位置情報と、複数の耕盤深さ情報とが対応付けられた地図情報を生成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1機体部と、前記第1機体部に支持された第1作業部とを有する第1作業車両の、圃場内の特定地点における位置情報を取得し、
前記特定地点における前記第1機体部の姿勢制御情報、および/または前記第1作業部の姿勢制御情報に基づいて、複数の耕盤深さ情報を特定し、
前記特定地点における前記第1作業車両の位置情報と、前記複数の耕盤深さ情報とが対応付けられた地図情報を生成する、地図情報生成システム。
【請求項2】
前記複数の耕盤深さ情報には、前記第1機体部および前記第1作業部を支持し、前記第1機体部の幅方向に所定間隔を隔てて配される一対の走行部が接地する箇所における耕盤深さ情報が含まれる、請求項1に記載の地図情報生成システム。
【請求項3】
前記第1作業車両の位置情報には高度情報が含まれ、
前記地図情報には、前記特定地点における前記複数の耕盤深さ情報が互いに識別可能に表示されるとともに、前記特定地点の高度情報と前記特定地点とは異なる他の地点の高度情報とが識別可能に表示される、請求項1または2に記載の地図情報生成システム。
【請求項4】
前記圃場内を走行する第2機体部と、前記第2機体部に対して昇降可能に前記第2機体部に支持され前記圃場内で作業を行う第2作業部とを有する第2作業車両を、請求項1〜3のいずれか一項に記載の地図情報生成システムによって生成された前記地図情報に基づいて、支援する作業支援システムであって、
前記地図情報に基づいて特定された報知対象位置と前記第2作業車両の位置情報とに基づいて、前記第2作業車両が前記報知対象位置に至る前に所定の報知を行う、作業支援システム。
【請求項5】
前記地図情報に基づいて、前記地図情報に基づいて特定された耕盤深さよりも前記第2作業部の高さ位置が高くなるように前記第2作業部の昇降範囲を制限する、請求項4に記載の作業支援システム。
【請求項6】
前記地図情報に基づいて、前記第2作業車両の走行が禁止される走行禁止領域を特定し、前記第2作業車両を走行させる走行経路を、前記走行禁止領域を通らないように生成する、請求項4または5に記載の作業支援システム。
【請求項7】
前記第2作業部は、前記第2機体部の前部に設けられ、かつ、前記圃場の表面に対する高さが一定となる目標位置に向けて昇降制御されるように構成されており、
前記地図情報に基づいて標準制御位置と鈍感制御位置とを特定し、前記第2作業車両が前記鈍感制御位置に達したときの前記目標位置に対する前記第2作業部の追従性を、前記第2作業車両が前記標準制御位置に達したときの前記目標位置に対する前記第2作業部の追従性よりも低くする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報生成システム、および当該地図情報生成システムを利用した作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、作業車の車幅方向の中央に設けられたGPS装置によって時間毎に検出された緯度経度情報および高度情報に基づいて圃場凹凸データマップ(地図情報)を生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−008187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、GPS装置によって、作業車の車幅方向の中央の高さは取得されるが、作業車が進行方向から見てどちらに傾いているかまでは検出されない。そのため、圃場において緯度経度情報が検出された地点の、詳細な凹凸データマップを生成することができない。
圃場は、表層の表面と表層の下方に位置する耕盤とによって構成されることがある。表層の表面と、耕盤の表面との間の距離である耕盤深さは、作物の生育や作業効率等に影響するため、圃場作業において重要である。しかし、特許文献1では、凹凸データを取得できるものの、耕盤の深さについての情報を取得することができない。
【0005】
そこで、この発明の主たる目的は、作業支援の質を向上させる地図情報を生成することができる地図情報生成システム、および当該地図情報生成システムを利用した作業支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一実施形態は、第1機体部と、前記第1機体部に支持された第1作業部とを有する第1作業車両の、圃場内の特定地点における位置情報を取得し、前記特定地点における前記第1機体部の姿勢制御情報、および/または前記第1作業部の姿勢制御情報に基づいて、複数の耕盤深さ情報を特定し、前記特定地点における前記第1作業車両の位置情報と、前記複数の耕盤深さ情報とが対応付けられた地図情報を生成する、地図情報生成システムを提供する。
【0007】
この構成によれば、特定地点において複数の耕盤深さ情報が特定される。したがって、特定地点における第1作業車両の位置情報と複数の耕盤深さ情報とを対応させることによって、特定地点における詳細な耕盤深さ情報を有する地図情報を生成することができる。これにより、作業支援の質の向上を図ることができる。
この発明の一実施形態では、前記複数の耕盤深さ情報には、前記第1機体部および前記第1作業部を支持し、前記第1機体部の幅方向に所定間隔を隔てて配される一対の走行部が接地する箇所における耕盤深さ情報が含まれる。
【0008】
つまり、第1機体部の幅方向の二箇所において耕盤深さ情報が取得される。したがって、特定地点において詳細な耕盤深さ情報を有する地図情報を生成することができる。
この発明の一実施形態では、前記第1作業車両の位置情報には高度情報が含まれる。そして、前記地図情報には、前記特定地点における前記複数の耕盤深さ情報が互いに識別可能に表示されるとともに、前記特定地点の高度情報と前記特定地点とは異なる他の地点の高度情報とが識別可能に表示される。そのため、地図情報を参照することによって、特定地点における耕盤の標高と他の地点における耕盤の標高を比較することができる。
【0009】
この発明の一実施形態は、前記圃場内を走行する第2機体部と、前記第2機体部に対して昇降可能に前記第2機体部に取り付けられ前記圃場内で作業を行う第2作業部とを有する第2作業車両を、前記地図情報生成システムによって生成された前記地図情報に基づいて、支援する作業支援システムを提供する。そして、前記作業支援システムが、前記地図情報に基づいて特定された報知対象位置と前記第2作業車両の位置情報とに基づいて、前記第2作業車両が前記報知対象位置に至る前に所定の報知を行う。
【0010】
この構成によれば、ユーザは、第2作業車両が報知対象位置に至る前に、報知対象位置に適した作業の準備をすることができる。これにより、作業支援の質の向上を図ることができる。
この発明の一実施形態では、前記作業支援システムが、前記地図情報に基づいて、前記地図情報に基づいて特定された耕盤深さよりも前記第2作業部の高さ位置が高くなるように前記第2作業部の昇降範囲を制限する。そのため、耕盤に対する第2作業部の接触を抑制できる。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記作業支援システムが、前記地図情報に基づいて、前記第2作業車両の走行が禁止される走行禁止領域を特定し、前記第2作業車両を走行させる走行経路を、前記走行禁止領域を通らないように生成する。これにより、走行禁止領域を避けることができるので、第2作業車両をスムーズに走行させることができる。その結果、作業支援の質の向上を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施形態では、前記第2作業部は、前記第2機体部の前部に設けられ、かつ、前記圃場の表面に対する高さが一定となる目標位置に向けて昇降制御されるように構成されている。そして、前記作業支援システムは、前記地図情報に基づいて標準制御位置と鈍感制御位置とを特定し、前記第2作業車両が前記鈍感制御位置に達したときの前記目標位置に対する前記第2作業部の追従性を、前記第2作業車両が前記標準制御位置に達したときの前記目標位置に対する前記第2作業部の追従性よりも低くする。
【0013】
第2作業車両の進行方向に沿って耕盤深さが変化する場合には、第2作業部は、圃場の表面に対する高さが一定となる目標位置に向けて昇降される。鈍感制御位置において目標位置に対する第2作業部の追従性を標準とした場合には、第2機体部に対する第2作業部の高さ位置の変化量が大きくなりすぎて、第2作業部が圃場の表面に接触するおそれがある。そこで、第2作業車両が鈍感制御位置に達したときの目標位置に対する第2作業部の追従性を、第2作業車両が標準制御位置に達したときの目標位置に対する第2作業部の追従性よりも低くすることによって、鈍感制御位置における第2機体部に対する第2作業部の高さ位置の変化量を抑制することができる。これにより、圃場の表面に対する第2作業部の接触を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る作業支援システムおよび地図情報生成システムの構成を示す模式図である。
図2図2は、前記地図情報生成システムに用いられる第1作業車両としてのコンバインの側面図である。
図3図3は、前記コンバインの平面図である。
図4図4は、前記コンバインの電気的構成を示すブロック図である。
図5図5は、圃場を走行中の前記コンバインを進行方向から見たときの模式図である。
図6図6は、前記地図情報生成システムによって生成される地図情報の一例を示している。
図7図7は、前記第1作業車両としてのトラクタの側面図である。
図8図8は、前記トラクタの平面図である。
図9図9は、前記トラクタの電気的構成を示すブロック図である。
図10図10は、圃場を走行中の前記トラクタを進行方向から見たときの模式図である。
図11図11は、前記第1作業車両としての田植機の側面図である。
図12図12は、前記田植機の平面図である。
図13図13は、前記田植機の電気的構成を示すブロック図である。
図14図14は、前記地図情報に特定された報知対象位置および報知位置を示す模式図である。
図15図15は、前記作業支援システムによる報知処理の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、前記作業支援システムによる昇降範囲制限処理の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、前記作業支援システムによって生成された走行経路の一例を示す模式図である。
図18A図18Aは、第2作業車両に備えられた第2作業部の標準制御位置における昇降制御を説明するための模式図である。
図18B図18Bは、前記第2作業部の鈍感制御位置における昇降制御を説明するための模式図である。
図18C図18Cは、前記第2作業部の鈍感制御位置における昇降制御を説明するための模式図である。
図19図19は、前記作業支援システムによる昇降制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、この発明の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る地図情報生成システム1および作業支援システム2の構成を示す模式図である。地図情報生成システム1は、情報取得機能を備えた第1作業車両3が取得した情報に基づいて地図情報を作成するシステムである。作業支援システム2は、地図情報生成システム1によって生成された地図情報に基づいて、圃場における第2作業車両4の各種作業を支援するシステムである。
【0016】
作業車両3,4は、情報通信網5を介して、管理サーバ6と通信可能である。また、作業車両3,4および管理サーバ6は、作業支援のための各種情報が表示される無線通信端末7と無線通信可能である。
作業車両3,4としては、たとえば、コンバイン、トラクタ、田植機等の農業用作業車両が用いられる。作業車両3,4は、共通する作業車両(たとえば、共にトラクタ)であってもよいし、互いに異なる作業車両(たとえば、一方がコンバインであり、他方がトラクタ)であってもよい。
【0017】
以下では、第1作業車両3が取得した情報に基づいて地図情報を生成し、当該地図情報を各種作業支援に活用する地図情報生成システム1および作業支援システム2について説明する。ここでは第1作業車両3がコンバインである場合を例に説明する。
図2は、第1作業車両3としてのコンバイン8の側面図である。図3は、コンバイン8の平面図である。
【0018】
コンバイン8は、機台11、エンジン12、脱穀装置13、グレンタンク14、搭乗運転部15、排出オーガ16、刈取部17および一対の走行部18を含む。エンジン12は、コンバイン8の各部に動力を供給する。刈取部17は、圃場Fで生育した穀稈を刈り取る。脱穀装置13は、刈取部17によって刈り取られた穀稈を脱穀処理する。グレンタンク14は、脱穀粒を貯留する。排出オーガ16は、グレンタンク14内の脱穀粒をコンバイン8の外部に排出するために脱穀粒を搬送する。
【0019】
搭乗運転部15には、ユーザが搭乗するための運転座席15Aと、コンバイン8の操舵を行うためのステアリングハンドル15Bと、コンバイン8を操縦するための様々な操作部34(図4参照)とが備えられている。機台11は、エンジン12、刈取部17、排出オーガ16、脱穀装置13、グレンタンク14および搭乗運転部15を支持するフレームである。
【0020】
刈取部17には、刈取部17を昇降させる昇降シリンダ43(図4参照)が連結されている。刈取部17は、機台11の前端付近に位置する。刈取部17は、圃場Fで生育した穀稈を刈り取る刈刃17Aと、刈刃17Aによって刈り取られた穀稈を脱穀装置13に搬送する搬送路(図示せず)とを含む。刈取部17は、昇降シリンダ43によって、所定の回転中心まわりに昇降される。
【0021】
一対の走行部18は、コンバイン8の車幅方向WDに互いに所定間隔を隔てて配されている。一対の走行部18は、機台11、エンジン12、刈取部17、排出オーガ16、脱穀装置13、グレンタンク14および搭乗運転部15を支持する。機台11、エンジン12、排出オーガ16、脱穀装置13、グレンタンク14および搭乗運転部15をまとめて機体部19という。刈取部17は、機体部19(第1機体部)に支持された第1作業部の一例である。車幅方向WDは、機体部19の幅方向でもある。
【0022】
図2には、一対の走行部18のうちの一方しか図示されていないが、各走行部18は、コンバイン8の前後方向に延びるクローラフレーム20と、クローラアーム(図示せず)を介してクローラフレーム20に支持された複数の転輪21と、エンジン12からの駆動力が伝達される駆動スプロケット22と、複数の転輪21および駆動スプロケット22に巻き掛けられたクローラ23とを含む。
【0023】
各走行部18には、車高シリンダ41(図4参照)が設けられている。各車高シリンダ41は、対応するクローラフレーム20を機台11に対して昇降させることによって対応するクローラ23を機体部19の高さ方向HD(車幅方向WDに対して直交する方向)に伸縮させる。
一対の車高シリンダ41は、一対のクローラフレーム20を別々に昇降させることによって、機体部19の高さおよび傾きを調整する。たとえば、圃場Fにおいて各クローラ23が接地する接地面の高さが互いに異なる場合であっても、車高シリンダ41を別々に昇降させることによって、機体部19がコンバイン8の進行方向から見て水平となるように機体部19の傾きを制御することができる。
【0024】
コンバイン8が、圃場を走行する際、圃場の表層の上面(田面)よりも下方に位置する耕盤の高さまでクローラ23の下端が沈み込む。耕盤とは、表層よりも固い土によって形成された層である。
図4は、コンバイン8の電気的構成を示すブロック図である。図4を参照して、コンバイン8は、コンバイン8に備えられた各部の動作を制御するための制御部30を備える。
【0025】
制御部30には、位置情報取得部31が電気的に接続されている。位置情報取得部31には、衛星信号受信用アンテナ32で受信された測位信号が入力される。衛星信号受信用アンテナ32は、衛星測位システム(GNSS: Global Navigation Satellite System)を構成する測位衛星からの信号を受信するものである。
位置情報取得部31は、コンバイン8(厳密には、衛星信号受信用アンテナ32)の位置情報を、たとえば緯度・経度・高度情報として算出する。衛星信号受信用アンテナ32は、車幅方向WDの略中央に位置している。位置情報取得部31は、コンバイン8の位置情報を、たとえば、1秒毎に取得する。
【0026】
制御部30には、通信部33が電気的に接続されている。通信部33は、一例として、無線LANルータ(Wi−Fiルータ)から構成されていてもよい。制御部30には、操作部34が電気的に接続されている。
制御部30には、コンバイン8の各部を制御するための複数のコントローラのそれぞれが電気的に接続されている。複数のコントローラは、エンジンコントローラ35、クローラ駆動機構コントローラ36、車高コントローラ37および昇降コントローラ38を含む。
【0027】
エンジンコントローラ35は、エンジン12に設けられる燃料噴射装置としてのコモンレール装置39と電気的に接続されている。コモンレール装置39は、エンジン12の各気筒に燃料を噴射するものである。エンジンコントローラ35は、コモンレール装置39を制御することで、エンジン12の回転数等を制御する。エンジンコントローラ35は、コモンレール装置39を制御することで、エンジン12への燃料の供給を停止させ、エンジン12の駆動を停止させることもできる。
【0028】
クローラ駆動機構コントローラ36には、エンジン12からの駆動力を一対の駆動スプロケット22に伝達するクローラ駆動機構40が電気的に接続されている。クローラ駆動機構40は、一対のクローラ23を別々に駆動することができる。一対のクローラ23が別々に駆動されることによって、コンバイン8は、旋回することができる。
車高コントローラ37には、一対の車高シリンダ41が電気的に連結されている。車高シリンダ41に関連して、制御部30には、対応するクローラ23の下端と機体部19に設けられた基準位置との間の鉛直方向の距離を検出するための車高センサ42が電気的に接続されている。車高センサ42は、たとえば、車高シリンダ41のシリンダロッドの位置を検出するポテンショメータである。
【0029】
昇降コントローラ38には、昇降シリンダ43が電気的に接続されている。昇降シリンダ43に関連して、制御部30には、機体部19に設けられた基準位置と刈刃17Aとの間の鉛直距離を検出するための刈取高さセンサ44が電気的に接続されている。刈取高さセンサ44は、たとえば、昇降シリンダ43のシリンダロッドの位置を検出するポテンショメータ等である。
【0030】
昇降コントローラ38は、刈取高さセンサ44の検出結果に基づいて、昇降シリンダ43を制御する。具体的には、昇降コントローラ38は、刈取部17の刈刃17Aが圃場Fの田面FSよりも所定距離だけ上方に位置するように昇降シリンダ43を制御する。
制御部30には、慣性計測装置45が電気的に接続されている。慣性計測装置45は、コンバイン8の姿勢(機台11の向き)や加速度等を特定することが可能なセンサユニットである。具体的には、慣性計測装置45は、互いに直交する第1軸、第2軸、および第3軸のそれぞれに対して、角速度センサと加速度センサとを取り付けたセンサ群を備える。
【0031】
詳述すると、慣性計測装置45は、第1軸方向の加速度を検出する第1加速度センサと、第2軸方向の加速度を検出する第2加速度センサと、第3軸方向の加速度を検出する第3加速度センサと、前記第1軸回りの角速度を検出する第1角速度センサと、前記第2軸回りの角速度を検出する第2角速度センサと、前記第3軸回りの角速度を検出する第3角速度センサとを備える。
【0032】
第1軸、第2軸、および第3軸回りの運動を、それぞれ、ピッチング、ヨーイング、ローリングという。
制御部30は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM等)を備えたマイクロコンピュータを含む。マイクロコンピュータは、メモリ(ROM)に記憶されている所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能する。機能処理部としては、耕盤距離取得部50と、表層距離取得部51と、耕盤深さ特定部52と、地図情報生成部53とが挙げられる。
【0033】
図5は、圃場Fを走行中のコンバイン8を進行方向から見たときの模式図である。コンバイン8が、圃場Fを走行する際、圃場Fの表層SLの上面(田面)よりも下方に位置する耕盤TLの高さまでクローラ23の下端が沈み込む。耕盤TLは、表層SLよりも固い土によって形成された層である。図5に示すように、車幅方向WDにおける一方側と他方側とで耕盤TLの高さが異なる場合がある。このような場合であっても、一対のクローラ23を伸縮させることで、機体部19の姿勢は水平姿勢に維持されている。
【0034】
耕盤距離取得部50は、各車高センサ42の検出結果に基づいて耕盤距離H1,H2を取得する。車幅方向WDの一方側の耕盤距離H1は、機体部19に設定された所定の基準位置Sを通る水平面HSと、車幅方向WDの一方側のクローラ23が耕盤TLに接地する接地点C1(接地面)との間の鉛直方向の距離である。車幅方向WDの他方側の耕盤距離H2は、水平面HSと、車幅方向WDの他方側のクローラ23が耕盤TLに接地する接地点C2(接地面)との間の鉛直方向の距離である。
【0035】
表層距離取得部51は、刈取高さセンサ44の検出結果に基づいて表層距離hを取得する。詳しくは、表層距離hは、刈取高さセンサ44によって検出される田面FSから刈刃17Aまでの所定距離A1と、ユーザによって設定された刈刃17Aと基準位置Sとの間の距離A2との和に相当する(h=A1+A2)。
耕盤深さ特定部52は、耕盤距離H1,H2および表層距離hに基づいて、車幅方向WDの一方側における圃場Fの耕盤の深さD1(一方側耕盤深さ)と、車幅方向WDの他方側における圃場Fの耕盤の深さD2(他方側耕盤深さ)とを特定する。一方側耕盤深さD1は、車幅方向WDの一方側の耕盤距離H1と、表層距離hとの差分に相当する(D1=H1−h)。他方側耕盤深さD2は、車幅方向WDの他方側の耕盤距離H2と、表層距離hとの差分に相当する(D2=H2−h)。
【0036】
コンバイン8が圃場Fの全域を走行し終えると、圃場F内の各特定地点における位置情報が位置情報取得部31によって取得され、圃場F内の各特定地点における複数の耕盤深さ情報(耕盤深さD1,D2)が耕盤深さ特定部52によって特定される。
なお、耕盤深さ特定部52によって取得される耕盤深さ情報のサンプリング間隔は、位置情報取得部31によって取得される位置情報のサンプリング間隔(たとえば、1秒間隔)と異なっていてもよい。特定地点は、耕盤深さ情報と位置情報との両方が取得される地点である。
【0037】
このように、耕盤深さ特定部52は、特定地点における機体部19の姿勢制御情報(車高センサ42の検出結果および慣性計測装置45の検出結果)と、特定地点における刈取部17の昇降制御情報(刈取高さセンサ44の検出結果)とに基づいて、耕盤深さD1,D2を特定する。
地図情報生成部53は、位置情報取得部31によって取得された圃場F内の各特定地点における緯度経度情報と、耕盤深さ特定部52によって特定された圃場F内の各特定地点における耕盤深さとが対応付けられた地図情報を生成する。
【0038】
図6は、地図情報生成部53によって生成される地図情報の一例を示している。図6では、説明の便宜上、圃場F内を走行したコンバイン8の進行方向を二点鎖線の矢印で示しているが、地図情報には、この矢印は含まれない。地図情報は、圃場F内において位置情報が取得された各特定地点Pを含む所定の領域R毎に圃場Fが区分され、各特定地点Pにおいて取得された耕盤深さ情報に応じて、各領域Rに識別情報(色または数値)が付されたマップである。図6に示す地図情報は、色の濃淡を識別情報とした例を示している。
【0039】
各領域Rは、コンバイン8の機体中心が特定地点Pを通過した場合に、地点Pを中心に、一対の走行部18のそれぞれの設置位置に対応して車幅方向WDに二分割される。各領域Rの車幅方向WDの一方側の部分R1は、一方側耕盤深さD1に応じた識別情報が付され、各領域Rの車幅方向WDの他方側の部分R2は、他方側耕盤深さD2に応じた識別情報が付される。このように、地図情報には、特定地点Pにおける複数の耕盤深さ情報が互いに識別可能に表示される。図6に示す地図情報では、耕盤深さが大きい部分R1,R2ほど色が濃くされている。
【0040】
図4を参照して、制御部30には、記憶部55が接続されている。記憶部55は、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成されている。記憶部55は、コンバイン8の位置情報を記憶する位置情報記憶部56と、耕盤深さ特定部52によって特定された圃場F内の各特定地点Pにおける耕盤深さD1,D2を記憶する耕盤深さ記憶部57と、地図情報生成部53によって生成された地図情報を記憶する地図情報記憶部58とを含む。
【0041】
第1作業車両3がコンバイン8である場合、特定地点Pにおける機体部19の姿勢制御情報および刈取部17の昇降制御情報に基づいて、複数の耕盤深さ情報(耕盤深さD1,D2)が特定される。つまり、詳細な耕盤深さを取得することができる。
したがって、特定地点Pにおけるコンバイン8の緯度経度情報と複数の耕盤深さ情報とを対応させることによって、特定地点Pにおける詳細な耕盤深さD1,D2を有する地図情報を生成することができる。これにより、作業支援の質の向上を図ることができる。
【0042】
また、複数の耕盤深さ情報には、車幅方向WDに所定間隔を隔てて配される一対の走行部18が接地する箇所(接地点C1,C2)における耕盤深さ情報が含まれる。つまり、車幅方向WDの二箇所において耕盤深さ情報が取得される。したがって、特定地点Pにおいて詳細な耕盤深さ情報を有する地図情報を生成することができる。
また、コンバイン8の一対の走行部18は、機体部19が水平姿勢を維持するように鉛直方向に伸縮可能である。そのため、コンバイン8が走行する圃場Fの表面の凹凸形状にかかわらず、耕盤深さD1,D2を正確に特定することができる。
【0043】
地図情報には、緯度経度情報および耕盤深さD1,D2に加えて、位置情報取得部31によって取得された圃場F内の各特定地点Pにおける高度情報が識別可能に表示されていてもよい。この場合、地図情報には、各特定地点Pにおいて取得された高度情報および耕盤深さD1,D2に応じて、各領域Rに識別情報(色または数値)が付される。たとえば、高度情報を数値で示し、耕盤深さD1,D2を色で示してもよい。これにより、位置情報を取得した各特定地点Pでの耕盤TLの標高を比較することができる。
【0044】
また、圃場Fの耕盤TLの標高は、標高が異なる複数の圃場Fを合筆する際の圃場F間での、田面FSの高さの調整に用いることができる。
次に、第1作業車両3がトラクタである場合を例に説明する。図7は、第1作業車両3としてのトラクタ9の側面図である。図8は、トラクタ9の平面図である。
トラクタ9は、圃場F内を走行する走行機体60と、走行機体60に装着された作業機としての耕耘機61とを含む。作業機としては、耕耘機61以外にも、たとえば、プラウ、施肥機、草刈機、播種機等を用いることができる。
【0045】
トラクタ9の走行機体60は、機体部62(第1機体部)と、機体部62を支持し車幅方向WD(機体部62の幅方向)に互いに間隔を隔てて設けられた一対の走行部63とを備えている。各走行部63は、前輪63Aおよび後輪63Bを含む。走行機体60は、エンジン64の駆動力によって走行可能である。耕耘機61等の作業機は、第1機体部に支持された第1作業部の一例である。
【0046】
走行機体60の機体部62は、ユーザが搭乗するための運転座席62Aと、走行機体60の操舵を行うためのステアリングハンドル62Bとを含む。ステアリングハンドル62Bの近傍には、ユーザが各種操作を行うための操作部78(図9参照)が設けられている。
機体部62の下部には、トラクタ9のシャーシ65が設けられている。当該シャーシ65は、機体フレーム65A、トランスミッション65B、フロントアクスル65Cおよびリアアクスル65D等を含んでいる。
【0047】
機体フレーム65Aは、トラクタ9の前部における支持部材であって、直接、または防振部材等を介してエンジン64を支持している。トランスミッション65Bは、エンジン64からの動力を変化させてフロントアクスル65Cおよびリアアクスル65Dに伝達する。フロントアクスル65Cは、トランスミッション65Bから入力された動力を各前輪63Aに伝達する。リアアクスル65Dは、トランスミッション65Bから入力された動力を各後輪63Bに伝達する。
【0048】
耕耘機61は、昇降リンク機構66を介して機体部62の後方に連結されている。機体部62の後部には、エンジン64の駆動力を耕耘機61に出力するためのPTO軸67と、耕耘機61を昇降駆動するための一対の昇降シリンダ88(図9参照)とが配置されている。PTO軸67には、トランスミッション65Bを介して、エンジン64の駆動力が伝達される。
【0049】
耕耘機61は、ロータリー69と、ロータリー69を上方から覆うロータリーカバー70と、ロータリー69を後方から覆うリアカバー71とを含む。ロータリー69は、PTO軸67の駆動力が伝達されることによって回転する。リアカバー71は、ロータリーカバー70にヒンジを介して連結されている。リアカバー71は、図7では圃場Fの表面(田面)よりも上方に位置しているが、トラクタ9の走行中において田面に接触しており、ロータリー69よりも進行方向の後側で田面を均平化する。
【0050】
昇降リンク機構66は、左右一対のトップリンク66Aおよび左右一対のロアリンク66Bからなる三点リンク構造により構成されている。一対のトップリンク66Aは、車幅方向WDに互いに間隔を隔てて設けられている。同様に、一対のロアリンク66Bは、車幅方向WDに互いに間隔を隔てて設けられている。
三点リンク機構には、昇降シリンダ88(図9参照)が連結されている。昇降シリンダ88を伸縮動作させることによって、耕耘機61の全体を昇降させることができる。
【0051】
また、各ロアリンク66Bには、水平制御シリンダ88A(図9参照)が設けられている。水平制御シリンダ88Aは、たとえば、油圧シリンダである。各水平制御シリンダ88Aを別々に伸縮動作させることによって、進行方向から見て機体部62に対して耕耘機61を傾斜させることができる。トラクタ9の走行中、リアカバー71は、ロータリーカバー70とロータリー69の昇降に応じてヒンジまわりに回動して、田面との接触を維持する。
【0052】
図9は、トラクタ9の電気的構成を示すブロック図である。図9を参照して、トラクタ9は、トラクタ9に備えられた各部の動作を制御するための制御部75を備える。
制御部75には、位置情報取得部76、通信部77、操作部78および慣性計測装置79が電気的に接続されている。位置情報取得部76には、車幅方向の略中央に位置する衛星信号受信用アンテナ80が受信した測位信号が入力される。位置情報取得部76、衛星信号受信用アンテナ80、通信部77および慣性計測装置79は、それぞれ、コンバイン8に設けられた位置情報取得部31、衛星信号受信用アンテナ32、通信部33および慣性計測装置45と同様の構成であるため、それらの説明を省略する。
【0053】
制御部75には、トラクタ9の各部を制御するための複数のコントローラのそれぞれが電気的に接続されている。複数のコントローラは、エンジンコントローラ81、車速コントローラ82、操向コントローラ83、昇降コントローラ84、姿勢コントローラ84AおよびPTOコントローラ85を含む。エンジンコントローラ81は、コンバイン8のエンジンコントローラ35と同様の構成であるため、その説明を省略する。エンジンコントローラ81は、コンバイン8のコモンレール装置39と同様の構成のコモンレール装置81Aと電気的に接続されている。
【0054】
車速コントローラ82は、トランスミッション65B(図7参照)を制御することによって、走行機体60の車速(トラクタ9の車速でもある)を制御するものである。トランスミッション65Bには、たとえば可動斜板式の油圧式無段変速装置である変速装置86が設けられている。
操向コントローラ83は、自動走行中に前輪63Aの転舵角を制御するものである。具体的には、ステアリングハンドル62Bの回転軸(ステアリングシャフト)の中途部に操向アクチュエータ87が設けられている。操向コントローラ83は、ステアリングハンドル62Bの回転角が目標転舵角となるように操向アクチュエータ87を制御する。これにより、走行機体60の一対の前輪63Aの転舵角が制御される。
【0055】
昇降コントローラ84には、昇降シリンダ88が電気的に接続されている。昇降コントローラ84に関連して、制御部75には、昇降センサ89およびリアカバーセンサ90が電気的に接続されている。姿勢コントローラ84Aには、水平制御シリンダ88Aが電気的に接続されている。
昇降センサ89は、機体部62に設けられた基準位置とロータリーカバー70の所定部(たとえば、リアカバーセンサ90が取り付けられている部分)との間の鉛直方向の距離を検出するためのセンサである。昇降センサ89は、たとえば、昇降シリンダ88の位置を検出するためのポテンショメータ等である。
【0056】
リアカバーセンサ90は、ロータリーカバー70の前記所定部と田面FSとの間の鉛直方向の距離を検出するためのセンサである。リアカバーセンサ90は、たとえば、ロータリー69と一体的に昇降するロータリーカバー70に対するリアカバー71の回動角度を検出するポテンショメータ等である。
トラクタ9の走行中、リアカバー71は、田面FSとの接触を維持した状態でロータリーカバー70およびロータリー69の昇降に応じて、ヒンジまわりに回動する。これによって、リアカバーセンサ90が検出する回動角度が変化する。そのため、リアカバーセンサ90でリアカバー71の回動角度を検出しながらロータリー69およびロータリーカバー70を昇降させることによって、田面FS(リアカバー71において田面FSと接触する部分)とロータリー69の下端部との間の鉛直方向の距離を所望の距離(ユーザが設定した距離)に調整することができる。
【0057】
昇降コントローラ84は、昇降センサ89およびリアカバーセンサ90の検出結果に基づいて、昇降シリンダ88を制御する。具体的には、昇降コントローラ84は、ロータリーカバー70の前記所定部(たとえば、リアカバーセンサ90が取り付けられている部分)が田面FSよりも所定距離だけ上方に位置するように昇降シリンダ88を制御する。
姿勢コントローラ84Aは、進行方向から見て走行機体60が傾いている場合であっても、一対の水平制御シリンダ88Aを別々に制御して車幅方向WDの一方側と他方側とで耕耘機61の昇降度合を変化させることによって、耕耘機61の姿勢を水平姿勢に維持する。姿勢コントローラ84Aは、慣性計測装置79の検出結果に基づいて走行機体60の姿勢を判定する。
【0058】
PTOコントローラ85は、PTO軸67の回転を制御するものである。具体的には、トラクタ9は、PTO軸67への動力の伝達/遮断を切り換えるためのPTOクラッチ91を備えている。PTOコントローラ85は、制御部75から入力された制御信号に基づいてPTOクラッチ91を切り換えて、PTO軸67を介して耕耘機61を回転駆動したり、この回転駆動を停止させたりできる。
【0059】
制御部75は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM等)を備えたマイクロコンピュータを含む。マイクロコンピュータは、メモリ(ROM)に記憶されている所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能する。機能処理部としては、耕盤距離取得部96と、表層距離取得部97と、耕盤深さ特定部98と、地図情報生成部99とが挙げられる。
【0060】
図10は、圃場Fを走行中のトラクタ9を進行方向から見たときの模式図である。図10に示すように車幅方向WDにおける一方側と他方側とで耕盤TLの高さが異なる場合には、進行方向から見てトラクタ9全体が傾いている。ここでは、車幅方向WDの一方側の走行部63が車幅方向WDの他方側の走行部63よりも下方に位置するように、トラクタ9が傾いているとする。
【0061】
耕盤距離取得部96は、慣性計測装置79の検出結果に基づいて耕盤距離H3,H4を取得する。車幅方向WDの一方側の耕盤距離H3は、機体部62に設定された所定の基準位置Sを通る水平面HSと、車幅方向WDの一方側の走行部63(たとえば後輪63B)が耕盤TLに接地する接地点C3との間の鉛直方向の距離である。車幅方向WDの他方側の耕盤距離H4は、水平面HSと、車幅方向WDの他方側の走行部63(たとえば後輪63B)が耕盤TLに接地する接地点C4との間の鉛直方向の距離である。
【0062】
具体的には、耕盤距離取得部96は、慣性計測装置79の検出結果に基づいて、トラクタ9の進行方向から見たときの水平方向に対する機体部62の傾斜角度θを取得する。そして、耕盤距離取得部96は、傾斜角度θと、予め設定されている基準高さTおよび基準幅Wとに基づいて、耕盤距離H3,H4を算出する。
基準高さTは、トラクタ9の高さ方向HDにおける接地点C3,C4と傾斜面ISとの間の距離である。傾斜面ISは、基準位置Sを通り、トラクタ9の進行方向から見て水平面HSに対して傾斜角度θだけ傾斜した面である。基準幅Wは、トラクタ9の車幅方向WDにおける各走行部63と基準位置Sとの間の距離である。
【0063】
この場合、車幅方向WDの一方側の耕盤距離H3は、基準高さTと基準幅Wにtanθを乗じた距離との和に、cosθを乗じた距離である(H3=(T+W・tanθ)cosθ)。車幅方向WDの他方側の耕盤距離H4は、基準高さTと基準幅Wにtanθを乗じた距離との差に、cosθを乗じた距離である(H4=(T−W・tanθ)cosθ)。
【0064】
表層距離取得部97は、昇降センサ89およびリアカバーセンサ90の検出結果に基づいて表層距離jを取得する。詳しくは、表層距離jは、田面FSからロータリーカバー70の所定部(たとえば、リアカバーセンサ90が取り付けられている部分)との間の鉛直距離B1と、当該所定部と基準位置Sとの間の鉛直距離B2との和である(j=B1+B2)。
【0065】
なお、前述したように、田面FSとロータリー69の下端部との間の鉛直方向の距離は、ユーザによって設定される。そのため、表層距離取得部97は、基準位置Sとロータリー69の下端部との間の鉛直方向の距離と、田面FSとロータリー69の下端部との間の鉛直方向の距離との差分から表層距離jを算出することもできる。
耕盤深さ特定部98は、耕盤距離H3,H4および表層距離jに基づいて、車幅方向WDの一方側における圃場Fの耕盤TLの深さ情報(一方側耕盤深さD3)と、車幅方向WDの他方側における圃場Fの耕盤TLの深さ情報(他方側耕盤深さD4)とを特定する。一方側耕盤深さD3は、車幅方向WDの一方側の耕盤距離H3と、表層距離jとの差分である(D3=H3−j)。他方側耕盤深さD4は、車幅方向WDの他方側の耕盤距離H4と、表層距離jとの差分である(D4=H4−j)。
【0066】
トラクタ9が圃場Fの全域を走行し終えると、圃場F内の各地点における位置情報が位置情報取得部76によって取得され、圃場F内の各特定地点Pにおける耕盤深さD3,D4が耕盤深さ特定部98によって特定される。
このように、耕盤深さ特定部98は、特定地点Pにおける機体部62の姿勢制御情報(慣性計測装置79の検出結果)と、特定地点Pにおける耕耘機61の姿勢制御情報(昇降センサ89およびリアカバーセンサ90の検出結果)とに基づいて、耕盤深さD3,D4を特定する。
【0067】
地図情報生成部99は、位置情報取得部76によって取得された圃場F内の各特定地点Pにおける位置情報と、耕盤深さ特定部98によって特定された圃場F内の各特定地点Pにおける耕盤深さD3,D4とが対応付けられた地図情報を生成する。生成される地図情報は、第1作業車両3としてコンバイン8を用いた場合と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0068】
図9を参照して、制御部75には、記憶部92が接続されている。記憶部92は、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成されている。記憶部92は、トラクタ9の位置情報を記憶する位置情報記憶部93と、耕盤深さ特定部98によって特定された圃場F内の各特定地点Pにおける耕盤深さD3,D4を記憶する耕盤深さ記憶部94と、地図情報生成部99によって生成された地図情報を記憶する地図情報記憶部95とを含む。
【0069】
第1作業車両3がトラクタ9である場合、第1作業車両3がコンバイン8である場合と同様の効果を奏する。
ただし、トラクタ9の一対の走行部63は伸縮可能ではない。その代わり、トラクタ9では、耕盤距離取得部96が、前記情報取得用車両の進行方向から見たときの機体部62の傾斜角度θと、予め設定されている基準高さTおよび基準幅Wとに基づいて耕盤距離H3,H4を特定するように構成されている。そのため、車幅方向WDにおいて耕盤深さが異なる地点を走行する際に機体部62が傾くように構成されたトラクタ9のような車両を第1作業車両3として用いる場合であっても、耕盤深さD3,D4を正確に特定することができる。
【0070】
次に、図1に示す第1作業車両3が田植機10である場合を例に説明する。図11は、第1作業車両3としての田植機10の側面図である。図12は、田植機10の平面図である。
図11および図12を参照して、田植機10は、圃場F内を走行しながら、圃場Fの地面に苗を植え付ける植付作業を行う。田植機10は、走行機体100と、走行機体100の後方に配置された植付部101とを備える。
【0071】
走行機体100は、機体部102(第1機体部)と、機体部102を支持し車幅方向WD(機体部102の幅方向)に互いに間隔を隔てて設けられた一対の走行部103とを備えている。各走行部103は、前輪103Aおよび後輪103Bを含む。走行機体100は、エンジン104の駆動力によって走行可能である。植付部101は、第1機体部に支持された第1作業部の一例である。
【0072】
走行機体100の機体部102は、ユーザが搭乗するための運転座席102Aと、走行機体100の操舵を行うためのステアリングハンドル102Bとを含む。ステアリングハンドル102Bの近傍には、ユーザが各種操作を行うための操作部123(図13参照)が設けられている。
機体部102は、トランスミッション105B、フロントアクスル105Cおよびリアアクスル105Dを含んでいる。トランスミッション105Bは、エンジン104からの動力を変化させてフロントアクスル105Cおよびリアアクスル105Dに伝達する。フロントアクスル105Cは、トランスミッション27から入力された動力を各前輪103Aに伝達する。リアアクスル105Dは、トランスミッション105Bから入力された動力を各後輪103Bに伝達する。
【0073】
植付部101は、昇降リンク機構106を介して機体部102の後方に連結されている。機体部102の後部には、エンジン104の駆動力を植付部101に出力するためのPTO軸107と、植付部101を昇降駆動するための昇降シリンダ108とが配置されている。PTO軸107には、トランスミッション105Bを介して、エンジン104の駆動力が伝達される。
【0074】
昇降リンク機構106は、左右一対のトップリンク106Aおよび左右一対のロアリンク106Bからなる平行リンク構造により構成されている。図11には、一対のトップリンク106Aのうちの一方しか図示されていないが、一対のトップリンク106Aは、車幅方向WDに互いに間隔を隔てて設けられている。同様に、図11には、一対のロアリンク106Bのうちの一方しか図示されていないが、一対のロアリンク106Bは、車幅方向WDに互いに間隔を隔てて設けられている。
【0075】
平行リンク機構には、昇降シリンダ108が連結されている。この昇降シリンダ108を伸縮動作させることによって、植付部101の全体を昇降させることができる。
植付部101は、地面に苗を植え付ける複数(本実施形態では4つ)の植付ユニット110と、植付ユニット110を駆動する植付入力ケース111と、苗マット(図示せず)が載置される苗載台112と、所定の回転中心(フロート支持軸)まわりに回転可能な複数のフロート113とを主に備えている。
【0076】
植付入力ケース111には、一対の昇降リンク機構106が連結されており、複数の植付ユニット110が取り付けられている。
各植付ユニット110は、植付伝動ケース115と、回転ケース116と、植付アーム117とを有するロータリ式植付装置である。各植付ユニット110の植付伝動ケース115には、回転ケース116が2つずつ取り付けられており、それぞれの回転ケース116には、植付アーム117が2つずつ取り付けられている。
【0077】
植付入力ケース111は、PTO軸107からの駆動力が入力されることによって、植付ユニット110を駆動する。植付伝動ケース115には、植付入力ケース111から動力が伝動される。回転ケース116は、植付伝動ケース115からの動力で回転駆動される。これにより、植付アーム117の先端部は、ループ状の回転軌跡を描いて作動する。植付アーム117の先端部には、植付爪117Aが設けられている。植付爪117Aは、植付アーム117の先端部が上から下へ向かって動くときに、苗載台112に載せられた苗マット(図示せず)から苗を掻き取って、苗を田面に植え込む。
【0078】
フロート113は、植付部101の下部に設けられている。フロート113が田面に接触することにより、苗を植え付ける前の田面が整地される。フロート113は、図11では圃場Fの表面(田面)よりも上方に位置しているが、田植機10の走行中、フロート113の下面と田面FSとの接触を維持する。
また、苗載台112を支持する支持フレーム(図示せず)には、ローリングシリンダ108A(図13参照)のシリンダロッド(図示せず)が連結されている。ローリングシリンダ108Aは、シリンダロッドを伸縮動作させることによって、所定の回動中心まわりに支持フレームを回動させる。これにより、進行方向から見て、機体部102に対して植付部101の全体を傾斜させることができる。
【0079】
図13は、田植機10の電気的構成を示すブロック図である。図13を参照して、田植機10は、田植機10に備えられた各部の動作を制御するための制御部120を備える。
制御部120には、位置情報取得部121、通信部122、操作部123、慣性計測装置124、および複数のコントローラが電気的に接続されている。位置情報取得部121には、車幅方向WDの略中央に位置する衛星信号受信用アンテナ135が受信した測位信号が入力される。
【0080】
位置情報取得部121、衛星信号受信用アンテナ135、通信部122および慣性計測装置124は、それぞれ、コンバイン8に設けられた位置情報取得部31、衛星信号受信用アンテナ32、通信部33および慣性計測装置45と同様の構成であるため、それらの説明を省略する。
複数のコントローラは、田植機10の各部を制御するためのものである。複数のコントローラは、エンジンコントローラ125、車速コントローラ126、操向コントローラ127、昇降コントローラ128、姿勢コントローラ128AおよびPTOコントローラ129を含む。エンジンコントローラ125、車速コントローラ126、操向コントローラ127およびPTOコントローラ129には、それぞれ、コモンレール装置130、変速装置131、操向アクチュエータ132およびPTOクラッチ129Aが電気的に接続されている。
【0081】
エンジンコントローラ125、車速コントローラ126、操向コントローラ127、PTOコントローラ129、コモンレール装置130、変速装置131、操向アクチュエータ132およびPTOクラッチ129Aは、それぞれ、トラクタ9に設けられたエンジンコントローラ81、車速コントローラ82、操向コントローラ83、PTOコントローラ85、コモンレール装置81A、変速装置86、操向アクチュエータ87およびPTOクラッチ91と同様の構成であるため、それらの説明を省略する。
【0082】
昇降コントローラ128には、昇降シリンダ108が電気的に接続されている。昇降コントローラ128に関連して、制御部120には、昇降センサ133およびフロート角検出センサ134が電気的に接続されている。姿勢コントローラ128Aには、ローリングシリンダ108Aが電気的に接続されている。
昇降センサ133は、機体部102に設けられた基準位置とフロート113の回転中心との間の鉛直距離を検出するためのセンサである。昇降センサ133は、たとえば、昇降シリンダ108の位置を検出するポテンショメータ等である。
【0083】
フロート角検出センサ134は、フロート113の回転中心と田面FSとの鉛直方向の距離を検出するためのセンサである。フロート角検出センサ134は、たとえば、フロート113の回動角度を検出するポテンショメータ等である。
フロート113の回転中心は、植付部101の昇降に応じて昇降する。田植機10の走行中、田面FSとフロート113の回転中心との鉛直距離が変化する。そのため、田植機10の走行中、フロート113と田面FSとの接触を維持するために、植付部101の昇降に応じてフロート113が回転中心まわりに回動する。これによって、フロート角検出センサ134が検出する回動角度が変化する。
【0084】
そのため、フロート角検出センサ134でフロート113の回動角度を検出しながら植付部101を昇降させることによって、田面FS(フロート113において田面FSと接触する部分)と植付爪117Aの回転軌跡の下端(植付位置)との間の鉛直方向の距離を所望の距離(ユーザが設定した距離)に調整することができる。田面FSと植付爪117Aの回転軌跡の下端との間の鉛直方向の距離を、植付深さという。
【0085】
昇降コントローラ128は、昇降センサ133およびフロート角検出センサ134の検出結果に基づいて、昇降シリンダ108を制御する。具体的には、昇降コントローラ128は、フロート113に対する植付爪117Aの高さが所定の位置に位置するように昇降シリンダ108を制御する。
姿勢コントローラ128Aは、進行方向から見て走行機体100が傾いている場合であっても、ローリングシリンダ108Aを回動させることによって、植付部101の姿勢を水平姿勢に維持する。姿勢コントローラ128Aは、慣性計測装置124の検出結果に基づいて走行機体100の姿勢を判定する。
【0086】
制御部120は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM等)を備えたマイクロコンピュータを含む。マイクロコンピュータは、メモリ(ROM)に記憶されている所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能する。機能処理部としては、耕盤距離取得部136、表層距離取得部137、耕盤深さ特定部138および地図情報生成部139が挙げられる。
【0087】
耕盤距離取得部136、表層距離取得部137、耕盤深さ特定部138および地図情報生成部139は、それぞれ、トラクタ9の制御部75に設けられた耕盤距離取得部96、表層距離取得部97、耕盤深さ特定部98および地図情報生成部99と同様の機能を果たす。
ただし、表層距離取得部137は、昇降センサ133およびフロート角検出センサ134に基づいて表層距離jを特定する。表層距離jは、田面FSとフロート113の回転中心との間の距離と、フロート113の回転中心と基準位置Sとの間の距離との和である。
【0088】
前述したように、田植機10では、植付深さ(田面FSと植付爪117Aの回転軌跡の下端との間の鉛直距離)は、ユーザによって設定される。そのため、表層距離取得部137は、基準位置Sと植付爪117Aとの間の鉛直距離と植付深さとの差分から表層距離jを取得してもよい。
第1作業車両3が田植機10である場合、耕盤深さ特定部138は、特定地点Pにおける機体部102の姿勢制御情報(慣性計測装置124の検出結果)と、特定地点Pにおける植付部101の姿勢制御情報(昇降センサ132の検出結果およびフロート角検出センサ134の検出結果)とに基づいて、耕盤深さD3,D4を特定する。
【0089】
制御部120には、記憶部140が接続されている。記憶部140は、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成されている。記憶部140は、田植機10の位置情報を記憶する位置情報記憶部141と、耕盤深さ特定部138によって特定された圃場F内の各地点における耕盤深さを記憶する耕盤深さ記憶部142と、地図情報生成部139によって生成された地図情報を記憶する地図情報記憶部143とを含む。
【0090】
第1作業車両3が田植機10である場合、第1作業車両3がトラクタ9である場合と同様の効果を奏する。
地図情報生成システム1において、第1作業車両3がトラクタ9である場合、昇降コントローラ84は、慣性計測装置79の検出結果に基づいて耕耘機61の姿勢を水平に制御するとしたが、慣性計測装置79の検出結果を用いずに、耕耘機61に設けられた角速度センサ(水平制御装置)によって耕耘機61の姿勢を水平に制御してもよい。第1作業車両3が田植機10である場合でも同様に、植付部101に設けられた角速度センサ(水平制御装置)によって植付部101の姿勢が水平に制御されてもよい。
【0091】
地図情報生成システム1によって生成された地図情報は、たとえば、地図情報を取得した圃場で次に農作業を行うまでに行う圃場改善作業や肥培管理支援に利用される。圃場改善作業の一例としては、圃場において耕盤深さが大きい部分に砂利等の土壌改良資材を投入する作業が挙げられる。肥培管理支援とは、圃場において耕盤深さが大きい部分を減肥する作業が挙げられる。耕盤深さが大きい部分を減肥することによって、倒伏を抑制することができる。
【0092】
また、地図情報生成システム1によって生成された地図情報は、以下に説明するような作業支援システム2による作業支援に利用される。作業支援システム2の第2作業車両4としては、コンバイン、トラクタ、および田植機等を用いることができる。
第2作業車両4として用いられるコンバイン、トラクタ、および田植機の構成は、それぞれ、第1作業車両3として用いられるコンバイン8、トラクタ9、および田植機10とほぼ同様である。コンバイン8、トラクタ9、および田植機10は、第2機体部(機体部19,62,102)と、第2機体部に対して昇降可能に支持され圃場Fで作業を行う第2作業部(刈取部17、耕耘機61、植付部101)とを有する。
【0093】
たとえば、作業支援システム2は、地図情報に基づいて特定された報知対象位置と第2作業車両4の位置情報とに基づいて、第2作業車両4が報知対象位置に至る前に所定の報知を行う報知処理を実行することができる。図14は、地図情報に特定された報知対象位置NTおよび報知位置NPを示す模式図である。
第2作業車両4がトラクタ9である場合には、報知対象位置NTは、たとえば、耕盤深さが急激に変化する位置である。第2作業車両4が報知対象位置NTに近づいたか否かは、第2作業車両4の進行方向において報知対象位置NTから所定距離手前の報知位置NPに第2作業車両4が至ったか否かに基づいて判定される。所定の報知とは、たとえば、第2作業車両4に搭載されたモニターや無線通信端末7(図1参照)に表示される警告表示や、第2作業車両4または無線通信端末7から発せられる警告音声等である。
【0094】
図15は、このような報知処理の一例を示すフローチャートである。まず、第2作業車両4は、第2作業車両4の現在位置を取得する(ステップS1)。そして、第2作業車両4は、第2作業車両4の現在位置が報知位置NPであるか否かを判定する(ステップS2)。第2作業車両4の現在位置が報知位置NPである場合には(ステップS2:YES)、第2作業車両4は、ユーザへの報知を開始する(ステップS3)。ユーザへの報知が開始されると、第2作業車両4は、ステップS1に戻る。
【0095】
第2作業車両4の現在位置が報知位置NPでない場合には(ステップS2:NO)、第2作業車両4は、現在報知中である否かを判定する(ステップS4)。現在報知中でない場合には(ステップS4:NO)、第2作業車両4は、ステップS1に戻る。
現在報知中である場合には(ステップS4:YES)、第2作業車両4は、報知対象位置NTを通過したか否かを判定する(ステップS5)。第2作業車両4が報知対象位置NTを通過していない場合には(ステップS5:NO)、第2作業車両4は、ステップS1に戻る。第2作業車両4が報知対象位置NTを通過した場合には(ステップS5:YES)、第2作業車両4は、ユーザへの報知を終了し(ステップS6)、ステップS1に戻る。
【0096】
報知対象位置NTに近づいたことがユーザに報知されることで、ユーザは、第2作業車両4が報知対象位置NTに至る前に、報知対象位置NTに適した作業の準備をすることができる。たとえば、第2作業車両4がトラクタ9である場合には、耕耘機61の高さ位置を変化させて、耕盤TLと耕耘機61との接触を回避することができる。これにより、作業支援の質の向上を図ることができる。
【0097】
報知対象位置NTは、特定(単一)の座標ではなく、特定の範囲(二つの座標間の領域)であってもよい。この場合、ステップS5において当該特定の範囲を通過した場合に(ステップS5:YES)には、第2作業車両4は、ステップS6に移行する。
報知対象位置NTが特定の範囲である場合、第2作業車両4が報知位置NPを通過してから報知対象位置NTに至るまでの間の報知内容と、第2作業車両4が報知対象位置NTを走行しているときの報知内容とが異なっていてもよい。
【0098】
具体的には、第2作業車両4が報知位置NPを通過してから報知対象位置NTに至るまでの間に第2作業車両4または無線通信端末7から発せられる警告音声と、第2作業車両4が報知対象位置NTを走行しているときの第2作業車両4または無線通信端末7から発せられる警告音声とが互いに異なっていてもよい。
これにより、ユーザは、第2作業車両4が報知対象位置NTに至る前に、報知対象位置NTに適した作業の準備をすることができる上に、第2作業車両4が報知対象位置NTに至ったことを報知によって知ることができる。
【0099】
また、ユーザへの報知は、無線通信端末7に表示された報知終了ボタンを操作することによって、終了されてもよい。この場合、報知終了ボタンの操作または報知対象位置NTの通過によってユーザへの報知が終了する。
また、作業支援システム2は、地図情報に基づいて特定された耕盤深さよりも第2作業部(刈取部17、耕耘機61、植付部101)の高さ位置が高くなるように第2作業部の昇降範囲を制限することができる。そのため、耕盤TLに対する第2作業部の接触を抑制できる。また、事前に暗渠の位置を登録しておけば、第2作業部(特に耕耘機61)が暗渠に接触することを避けることができる。
【0100】
図16は、このような昇降範囲制限処理の一例を示すフローチャートである。まず、第2作業車両4は、第2作業車両4の現在位置を取得する(ステップS11)。そして、第2作業車両4は、現在位置における耕盤深さを地図情報から取得する(ステップS12)。
そして、第2作業車両4は、現在位置が制限必要位置であるか否かを判定する(ステップS13)。制限必要位置は、たとえば、平面視で暗渠と重なる位置である。第2作業車両4の現在位置が制限必要位置である場合には(ステップS13:YES)、第2作業部の昇降範囲を制限する(ステップS14)。第2作業部の昇降範囲が制限されると、第2作業車両4は、ステップS11に戻る。
【0101】
第2作業車両4の現在位置が制御必要位置でない場合には(ステップS13:NO)、第2作業車両4は、第2作業部の昇降範囲が現在制限されているか否かを判定する(ステップS15)。
作業部の昇降範囲が現在制限されている場合には(ステップS15:YES)、第2作業車両4は、作業部の昇降範囲の制限を解除する(ステップS16)。作業部の昇降範囲が制限されると、第2作業車両4は、ステップS11に戻る。ステップS15において第2作業部の昇降範囲が現在制限されていない場合には(ステップS15:NO)、第2作業車両4は、ステップS11に戻る。
【0102】
また、作業支援システム2は第2作業車両4を走行させる走行経路を生成することができる。図17は、作業支援システム2によって生成された走行経路RTの一例を示す模式図である。作業支援システム2は、第2作業車両4の走行が禁止される走行禁止領域PAを特定し、走行禁止領域PAを通らないように走行経路RTを生成する。
図17に示す走行経路RTは、圃場Fの周縁から中心に向かう略らせん状である。図17には、走行禁止領域PAを二点鎖線で示している。走行禁止領域PAとは、圃場F内において障害物で存在する領域や、第2作業車両4が嵌り込むほど耕盤が窪んでいる領域のことである。
【0103】
走行経路RTは、たとえば、無線通信端末7(図1参照)等、走行経路を生成可能な端末によって生成され、無線通信端末7から第2作業車両4に送信される。走行禁止領域PAを通らないように走行経路RTを形成することで、走行禁止領域PAを避けることができる。これにより、第2作業車両4をスムーズに走行させることができる。その結果、作業支援の質の向上を図ることができる。
【0104】
また、走行経路RTには、走行禁止領域PAの他に、走行注意領域を設けることができる。走行注意領域とは、たとえば、車速が高い場合や、第2作業車両4が進行方向を変更した(旋回した)場合に、第2作業車両4が嵌り込んでしまう領域のことである。このような走行注意領域を走行する際には、第2作業車両4は、嵌り込みを防止するために、車速を低減にしたり、デフロックをONにしたり、ステアリングハンドル15B,62B,102Bの位置を固定したりする。
【0105】
また、第2作業車両4がコンバイン8である場合、作業支援システム2は、地図情報を用いて、田面FSと刈刃17Aとの接触を回避させることができる。詳しくは、コンバイン8は、圃場Fを走行する際、刈刃17Aと田面FSとの間の距離を一定に維持するために、刈取部17を目標位置に向けて昇降制御する。
たとえば、図18Aに示すように、コンバイン8の進行方向の下流側に向かうにしたがって耕盤深さDが大きくなる場合には、機体部19(第2機体部)に対して刈取部17(第2作業部)を上昇させることで作業部は目標位置に維持される。
【0106】
図18Bに示すように、コンバイン8の進行方向の下流側に向かうにしたがって耕盤深さDが小さくなる場合には、機体部19が斜面に差し掛かって傾いた直後に機体部19に対して刈取部17を下降させることによって、刈刃17Aが表層SLに接触するおそれがある。
そこで、作業支援システム2は、地図情報に基づいて、コンバイン8の進行方向の下流側に向かうにしたがって耕盤深さDが急激に小さくなる領域において刈取部17の下降を開始する位置152を鈍感制御位置として特定する。
【0107】
また、図18Cに示すように、コンバイン8の進行方向の下流側に向かうにしたがって、耕盤深さDが小さくなった直後に耕盤深さDが大きくなる場合には、機体部19に対して刈取部17を下降させた直後に機体部19に対して刈取部17を上昇させる必要がある。そのため、目標位置に対する刈取部17の追従性が高い場合には、耕盤深さDが大きくなり始めるときには機体部19に対して刈取部17が下降し過ぎているおそれがある。このような場合にも、刈刃17Aが表層SLに接触するおそれがある。
【0108】
この場合であっても、作業支援システム2は、地図情報に基づいて、コンバイン8の進行方向の下流側に向かうにしたがって耕盤深さDが小さくなった直後に耕盤深さDが大きくなる領域において刈取部17の下降を開始する位置150および上昇を開始する位置151を鈍感制御位置として特定する。
作業支援システム2は、地図情報に基づいて、鈍感制御位置以外で刈取部17の昇降を開始する位置(図18Aに示す位置153)を標準制御位置として特定する。
【0109】
そして、作業支援システム2は、コンバイン8が鈍感制御位置に達したときの目標位置に対する刈取部17の追従性を、コンバイン8が標準制御位置に達したときの目標位置に対する刈取部17の追従性よりも低くする。
これにより、鈍感制御位置における機体部19に対する刈取部17の高さ位置の変化量を抑制することができる。これにより、表層SLに対する刈刃17Aの接触を抑制できる。
【0110】
図18Cに示すように、耕盤深さDが小さくなる場合や耕盤深さDが小さくなった直後に大きくなる場合において作業支援システム2が現在のコンバイン8の位置を鈍感制御位置とするか否かの判断は、単位時間当たりにコンバイン8の傾斜角度の変化量が基準量よりも大きくなるか否かによって判定される。基準量は、コンバイン8の車速が大きいほど低く設定され、耕盤TLの傾斜部分の距離が長いほど低く設定される。
【0111】
図19は、このような昇降制御処理の一例を示すフローチャートである。まず、第2作業車両4は、コンバイン8の現在位置を取得する(ステップS21)。そして、コンバイン8が標準制御位置または鈍感制御位置のいずれかに位置するか否かを判定する(ステップS22)。
コンバイン8の現在位置が標準制御位置および鈍感制御位置のいずれでもない場合には(ステップS22:NO)、コンバイン8は、ステップS21に戻る。コンバイン8の現在位置が標準制御位置および鈍感制御位置のいずれかである場合には(ステップS22:YES)、コンバイン8は、コンバイン8の現在位置が標準制御位置および鈍感制御位置のいずれであるかを判定する(ステップS23)。
【0112】
コンバイン8の現在位置が標準制御位置である場合には(ステップS23:YES)、コンバイン8は、昇降感度を標準として(追従性を標準として)刈取部17を上昇または下降させる(ステップS24)。そして、ステップS24の後、第2作業車両4は、ステップS21に戻る。コンバイン8の現在位置が鈍感制御位置である場合には(ステップS23:NO)、コンバイン8は、昇降感度を鈍感として(追従性を鈍感として)刈取部17を上昇または下降させる(ステップS25)。そして、ステップS25の後、コンバイン8は、ステップS21に戻る。
【0113】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、上述の実施形態では、耕盤距離取得部50,96,136、表層距離取得部51,97,137、耕盤深さ特定部52,98,138、および、地図情報生成部53,99,139は、第1作業車両3の制御部30,75,120に含まれる機能処理部である。しかしながら、上述の実施形態とは異なり、管理サーバ6に備えられた制御装置が、これらの機能処理部として機能してもよい。
【0114】
また、上述の実施形態では、耕盤深さ情報は、第1機体部(機体部19,62,102)の姿勢制御情報と、第1作業部(刈取部17、耕耘機61、植付部101)の姿勢制御情報とに基づいて特定される。しかしながら、耕盤深さ情報は、第1機体部の姿勢制御情報のみに基づいて特定されてもよいし、第1作業部の姿勢制御情報のみに基づいて特定されてもよい。
【0115】
また、上述の実施形態では、慣性計測装置45,79,124の検出結果のうち、第3角速度センサの検出結果のみを第1機体部の姿勢制御情報に用いた。しかしながら、上述の実施形態とは異なり、第1角速度センサの検出結果および第2角速度センサの検出結果を、第1機体部の姿勢制御情報に用いてもよい。たとえば、第1角速度センサの検出結果を用いることで、第1作業車両3の進行方向に所定間隔を隔てた地点の耕盤深さを取得することができる。また、各角速度センサの検出結果を組み合わせてもよい。
【0116】
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0117】
1 :地図情報生成システム
2 :作業支援システム
3 :第1作業車両
4 :第2作業車両
8 :コンバイン
9 :トラクタ
10 :田植機
17 :刈取部(第1作業部、第2作業部)
18、63、103 :走行部
19、62、102 :機体部(第1機体部、第2機体部)
61 :耕耘機(第1作業部、第2作業部)
101 :植付部(第1作業部、第2作業部)
150 :鈍感制御位置
151 :鈍感制御位置
152 :鈍感制御位置
153 :標準制御位置
NT :報知対象位置
PA :走行禁止領域
RT :走行経路
WD :車幅方向(第1機体部の幅方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19