特開2019-207810(P2019-207810A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-207810(P2019-207810A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】圧着端子付き電線
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/18 20060101AFI20191108BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   H01R4/18 A
   H01B7/00 306
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-103039(P2018-103039)
(22)【出願日】2018年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 祥
(72)【発明者】
【氏名】江口 立彦
【テーマコード(参考)】
5E085
5G309
【Fターム(参考)】
5E085BB02
5E085BB03
5E085BB12
5E085CC03
5E085CC09
5E085DD16
5E085EE40
5E085HH06
5E085HH22
5E085JJ03
5E085JJ06
5E085JJ21
5E085JJ36
5G309FA04
5G309FA06
(57)【要約】
【課題】本発明は、導体線及び端子にアルミニウムやアルミニウム合金を使用し、また、複数の導体線を備えた電線でも、電線の内部に配置された導体線間における電気抵抗の上昇を防止して、端子の昇温を抑制できる端子付き電線を提供することを目的とする。
【解決手段】アルミニウム線及び/またはアルミニウム合金線を含む複数の導体線に、アルミニウムまたはアルミニウム合金の端子が圧着された端子付き電線であって、前記複数の導体線と前記端子との圧着部において、前記複数の導体線のうち、前記端子と接していない導体線の周面に介在物が存在する端子付き電線。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム線及び/またはアルミニウム合金線を含む複数の導体線に、アルミニウムまたはアルミニウム合金の端子が圧着された端子付き電線であって、
前記複数の導体線と前記端子との圧着部において、前記複数の導体線のうち、前記端子と接していない導体線の周面に介在物が存在する端子付き電線。
【請求項2】
前記介在物の平均直径が、1μm以上500μm以下である請求項1に記載の端子付き電線。
【請求項3】
前記介在物が、Si及び/またはZnを含む請求項1または2に記載の端子付き電線。
【請求項4】
前記複数の導体線が、撚り線である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の端子付き電線。
【請求項5】
前記端子と接していない導体線の長手方向に対して直交方向の断面において、少なくとも1つの導体線が、周方向の長さ1mmあたり、前記介在物を1個以上有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の端子付き電線。
【請求項6】
直径が1mm以上3mm以下の前記導体線が7本以上100本以下束ねられて複数の導体線が形成されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の端子付き電線。
【請求項7】
前記複数の導体線の非圧着部における、該複数の導体線の長手方向に対して直交方向の断面積(A1)に対する、前記複数の導体線の非圧着部における該複数の導体線の長手方向に対して直交方向の断面積(A1)から前記複数の導体線の前記圧着部における該複数の導体線の長手方向に対して直交方向の断面積(A2)を引いた値(A1−A2)の割合(R)(R(%)=100×(A1−A2)/(A1))のうち、もっとも大きいRが、30%以上80%以下である減面部位を、前記圧着部が有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の端子付き電線。
【請求項8】
前記複数の導体線の長手方向におけるRが30%以上80%以下である減面部位の長さが、前記非圧着部における前記複数の導体線の直径以上である請求項7に記載の端子付き電線。
【請求項9】
前記端子表面の少なくとも一部領域が、平均厚さ0.1μm以上のSnを含む膜で被覆されている請求項1乃至8のいずれか1項に記載の端子付き電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム線及び/またはアルミニウム合金線を含む複数の導体線が束ねられた導体部でも、導体部内部に配置された導体線間における電気抵抗を低減できる端子付き電線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムやアルミニウム合金は銅よりも電気伝導度が低下するものの、軽量化の点から、銅電線に代えて、アルミニウム電線やアルミニウム合金電線が使用されることがある。アルミニウム電線やアルミニウム合金電線の表面には、経年劣化により、電気抵抗が大きい酸化被膜が形成されるので、アルミニウム電線やアルミニウム合金電線の電気抵抗が上昇して、通電の際に電線が発熱して、端子や電線の温度が上昇してしまうことがあった。特に、アルミニウム電線やアルミニウム合金電線からなる導体線が異種金属である銅端子に接続されると、銅とアルミニウムの熱膨張差から端子と導体線間で剥離が生じ、端子と導体線間の電気的接続性が低下してしまうことがあった。また、使用条件によっては、銅とアルミニウムとの間で電解腐食に至る可能性もあった。
【0003】
そこで、アルミニウム電線やアルミニウム合金電線からなる導体線を使用する場合には、銅端子に代えて、同種金属、すなわち、アルミニウム端子やアルミニウム合金端子が使用されることも行われている。また、アルミニウム端子やアルミニウム合金端子は、銅端子と比較して軽量なので、電線設置の作業性にも優れている。
【0004】
しかし、銅端子に代えて、アルミニウム端子やアルミニウム合金端子を使用しても、上記の通り、アルミニウム電線やアルミニウム合金電線の表面には、電気抵抗の大きな酸化被膜が形成されてしまうので、アルミニウム電線やアルミニウム合金電線の電気抵抗の上昇を防止することが求められている。
【0005】
そこで、アルミニウム端子のうち、圧着しようとする部分の内面に、圧着によってアルミニウム導体の表面に食い付きを起こす凹部または凸部を形成したアルミニウム端子を使用することが提案されている(特許文献1)。特許文献1は、圧着しようとする部分の内面に凹部または凸部を形成したアルミニウム端子を使用することにより、アルミニウム導体の表面の酸化被膜を破壊しながらアルミニウム導体をアルミニウム端子に圧着して、アルミニウム導体とアルミニウム端子間の電気抵抗の上昇を防止するものである。
【0006】
しかし、特許文献1では、端子内面の凹部または凸部でアルミニウム導体の表面の酸化被膜を破壊するので、端子と接していないアルミニウム導体、例えば、複数のアルミニウム導体が束ねられた電線の内部に配置されたアルミニウム導体では、表面の酸化被膜を破壊することが難しい。従って、特許文献1では、電線の内部に配置されたアルミニウム導体間においては、電気抵抗の上昇を防止して、端子の昇温を抑制することが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−86848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、導体線及び端子にアルミニウムやアルミニウム合金を使用し、また、複数の導体線を備えた電線でも、電線の内部に配置された導体線間における電気抵抗の上昇を防止して、端子の昇温を抑制できる端子付き電線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の構成の要旨は、以下の通りである。
[1]アルミニウム線及び/またはアルミニウム合金線を含む複数の導体線に、アルミニウムまたはアルミニウム合金の端子が圧着された端子付き電線であって、
前記複数の導体線と前記端子との圧着部において、前記複数の導体線のうち、前記端子と接していない導体線の周面に介在物が存在する端子付き電線。
[2]前記介在物の平均直径が、1μm以上500μm以下である[1]に記載の端子付き電線。
[3]前記介在物が、Si及び/またはZnを含む[1]または[2]に記載の端子付き電線。
[4]前記複数の導体線が、撚り線である[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の端子付き電線。
[5]前記端子と接していない導体線の長手方向に対して直交方向の断面において、少なくとも1つの導体線が、周方向の長さ1mmあたり、前記介在物を1個以上有する[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の端子付き電線。
[6]直径が1mm以上3mm以下の前記導体線が7本以上100本以下束ねられて複数の導体線が形成されている[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の端子付き電線。
[7]前記複数の導体線の非圧着部における、該複数の導体線の長手方向に対して直交方向の断面積(A1)に対する、前記複数の導体線の非圧着部における、該複数の導体線の長手方向に対して直交方向の断面積(A1)から前記複数の導体線の前記圧着部における該複数の導体線の長手方向に対して直交方向の断面積(A2)を引いた値(A1−A2)の割合(R)(R(%)=100×(A1−A2)/(A1))のうち、もっとも大きいRが、30%以上80%以下である減面部位を、前記圧着部が有する[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の端子付き電線。
[8]前記複数の導体線の長手方向におけるRが30%以上80%以下である減面部位の長さが、前記非圧着部における前記複数の導体線の直径以上である[7]に記載の端子付き電線。
[9]前記端子表面の少なくとも一部領域が、平均厚さ0.1μm以上のSnを含む膜で被覆されている[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の端子付き電線。
【発明の効果】
【0010】
本発明の端子付き電線の態様によれば、複数のアルミニウム線及び/またはアルミニウム合金線を含む導体線とアルミニウムまたはアルミニウム合金の端子との圧着部において、端子と接していない導体線の周面に介在物が存在することにより、介在物によって端子と接していない導体線の表面に形成された酸化被膜を破壊できる。従って、端子と接していない導体線間の導通性が維持されるので、端子と接していない導体線間であっても電気抵抗の上昇を防止できる。このように、端子と接していない導体線間における電気抵抗の上昇を防止できるので、端子の昇温を抑制できる。
【0011】
本発明の端子付き電線の態様によれば、介在物の平均直径が、1μm以上500μm以下であることにより、酸化被膜を確実に破壊しつつ、端子と接していない導体線間の導通性を確実に維持することができる。
【0012】
本発明の端子付き電線の態様によれば、介在物がSiを含むことにより、酸化被膜を確実に破壊して導体線間における電気抵抗の上昇を確実に防止でき、また、介在物がZnを含むことにより、酸化被膜を破壊しつつ導体線間の電気的接続が円滑化されて、電気抵抗の上昇を確実に防止できる。
【0013】
本発明の端子付き電線の態様によれば、複数の導体線が撚り線であることにより、電線の曲げ加工性等が向上して、長手方向の形状の自由度が向上する。
【0014】
本発明の端子付き電線の態様によれば、導体線の周方向の長さ1mmあたり介在物が1個以上存在することにより、酸化被膜を確実に破壊して、端子と接していない導体線間の導通性を確実に維持することができる。
【0015】
本発明の端子付き電線の態様によれば、直径1mm以上3mm以下の導体線であることにより、内部の導体線間の電気抵抗の上昇を防止しつつ、電線の曲げ加工性等を得ることできる。また、直径1mm以上3mm以下の導体線が7本以上100本以下束ねられていることにより、電線の導体部として所定の直径を確保することができる。
【0016】
本発明の端子付き電線の態様によれば、複数の導体線の非圧着部における、複数の導体線の長手方向に対して直交方向の断面積(A1)に対する、複数の導体線の非圧着部における、複数の導体線の長手方向に対して直交方向の断面積(A1)から複数の導体線の圧着部における断面積(A2)を引いた値(A1−A2)の割合(R)のうちもっとも大きいRが30%以上80%以下である減面部位を、圧着部が有することにより、圧着部において、酸化被膜を確実に破壊しつつ、導体線の引っ張り破断を確実に防止することができる。
【0017】
本発明の端子付き電線の態様によれば、導体線の長手方向におけるRが30%以上80%以下である減面部位の長さが、非圧着部における複数の導体線の直径以上であることにより、導体線と端子間の電気的接続性が向上して、導体線と端子間の電気抵抗による端子の昇温を確実に抑制できる。
【0018】
本発明の端子付き電線の態様によれば、端子表面が平均厚さ0.1μm以上のSnを含む膜で被覆されていることにより、端子表面の腐食を防止しつつ、導体線と端子間の電気的接続性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態例に係る端子付き電線の概要を説明する斜視図である。
図2】本発明の実施形態例に係る端子付き電線の概要を説明する平面図である。
図3】本発明の実施形態例に係る端子付き電線に従う圧着部の断面写真である。
図4】本発明の実施形態例に係る端子付き電線の圧着部の断面である。
図5】圧着部におけるアルミニウム系導体線の周方向の長さの測定方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態に係る端子付き電線について、図面を用いながら説明する。図1は、本発明の実施形態例に係る端子付き電線の概要を説明する斜視図である。図2は、本発明の実施形態例に係る端子付き電線の概要を説明する平面図である。図3は、本発明の実施形態例に係る端子付き電線に従う圧着部の断面写真である。図4は、本発明の実施形態例に係る端子付き電線の圧着部の断面である。図5は、圧着部におけるアルミニウム系導体線の周方向の長さの測定方法を示す説明図である。
【0021】
図1、2に示すように、本発明の実施形態に係る端子付き電線1は、アルミニウム線及び/またはアルミニウム合金線であるアルミニウム系導体線21に、アルミニウムまたはアルミニウム合金であるアルミニウム系端子10が圧着されたものである。アルミニウム系導体線21が複数束ねられてアルミニウム系導体部20が形成されている。アルミニウム系導体部20は、絶縁被覆30で被覆されてアルミニウム系導体部被覆電線31となっている。
【0022】
アルミニウム系端子10は、アルミニウム系導体部20の一方端が、圧着されて固定される導体圧着部位11と、相手接続先(図示せず)との接続部分となる相手接続部位12とを有している。相手接続部位12は、平板状の部位であり、その中央部に円形状の貫通孔13が形成されている。貫通孔13にボルト等の固定部材が挿通されて相手接続先に固定される。
【0023】
アルミニウム系導体部被覆電線31の一方端では、絶縁被覆30が剥がされてアルミニウム系導体部20が露出しており、露出したアルミニウム系導体部20が、導体圧着部位11に挿入された状態で圧着されている。圧着前の導体圧着部位11は、筒状であり、圧着されるアルミニウム系導体部20の挿入側は開放され、圧着されるアルミニウム系導体部20の先端側(すなわち、相手接続部位12側)は、閉塞面で閉塞された状態となっている。筒状の導体圧着部11に露出したアルミニウム系導体部20を閉塞面に当接するまで差し込んだ後、導体圧着部位11をかしめ等で所定量潰すことで、アルミニウム系導体部20が、その外周に沿ってアルミニウム系端子10に圧着、固定される。
【0024】
アルミニウム系端子10の材料は、純アルミニウムまたはアルミニウム合金であり、アルミニウム合金としては、アルミニウム−マンガン系合金、アルミニウム−マグネシウム系合金、アルミニウム−マグネシウム−ケイ素系合金、アルミニウム−亜鉛−マグネシウム系合金、アルミニウム−銅−マグネシウム系合金等が挙げられる。アルミニウム系導体線21の材料は、純アルミニウムまたはアルミニウム合金であり、アルミニウム合金としては、アルミニウム系端子10の材料と同じアルミニウム合金、すなわち、アルミニウム−マンガン系合金、アルミニウム−マグネシウム系合金、アルミニウム−マグネシウム−ケイ素系合金、アルミニウム−亜鉛−マグネシウム系合金、アルミニウム−銅−マグネシウム系合金等が挙げられる。
【0025】
絶縁被覆30は、絶縁性を有する材料であれば、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、架橋ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム等を主成分とするハロゲン系樹脂、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、ケイ素系ゴム、ポリエステル等を主成分とするハロゲンフリー樹脂等が挙げられる。これらのうち、ポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。なお、必要に応じて、上記樹脂材料に、可塑剤や難燃剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0026】
図3、4に示すように、アルミニウム系端子10の導体圧着部位11では、アルミニウム系導体線21が複数束ねられて形成されたアルミニウム系導体部20が圧着されて、圧着部23が形成されている。複数のアルミニウム系導体線21には、圧着部23において、アルミニウム系端子10の導体圧着部位11の内面に接していない第1のアルミニウム系導体線21−1と、アルミニウム系端子10の導体圧着部位11の内面に接している第2のアルミニウム系導体線21−2とがある。
【0027】
このうち、図4に示すように、少なくとも、第1のアルミニウム系導体線21−1の周面には、複数の介在物40、40・・・が存在している。それぞれの介在物40、40・・・は、第1のアルミニウム系導体線21−1の周面に接した状態で存在している。また、それぞれの介在物40、40・・・は、所定の第1のアルミニウム系導体線21−1と該所定の第1のアルミニウム系導体線21−1に隣接した他の第1のアルミニウム系導体線21−1との間、所定の第1のアルミニウム系導体線21−1と該所定の第1のアルミニウム系導体線21−1に隣接した第2のアルミニウム系導体線21−2との間に配置されている。すなわち、介在物40は、相互に隣接する第1のアルミニウム系導体線21−1間、第1のアルミニウム系導体線21−1と該所定の第1のアルミニウム系導体線21−1に隣接した第2のアルミニウム系導体線21−2との間に配置されている。従って、アルミニウム系導体線21の間に配置されている介在物40は、少なくとも2つのアルミニウム系導体線21の周面と接している。介在物40は、粒子状の物質である。
【0028】
なお、図3では、介在物40は、黒い点状に映っている物質であり、アルミニウム系導体線21間及びアルミニウム導体線21とアルミニウム系端子10間に、散在して配置されている。
【0029】
導体圧着部位11の内面と接していない第1のアルミニウム系導体線21−1の表面に形成された酸化被膜は導電性に劣るところ、この酸化被膜は、介在物40によって破壊される。従って、導体圧着部位11の内面と接していない第1のアルミニウム系導体線21−1間の導通性が維持されるので、導体圧着部位11の内面と接していない第1のアルミニウム系導体線21−1間であっても電気抵抗の上昇を防止できる。このように、導体圧着部位11の内面と接していない第1のアルミニウム系導体線21−1間における電気抵抗の上昇を防止できるので、アルミニウム系導体部20全体の電気抵抗の上昇を防止できる。従って、端子付き電線1では、アルミニウム系導体部20とアルミニウム系端子10間の導通性に優れるので、アルミニウム系導体部20の圧着されたアルミニウム系端子10の昇温を抑制できる。
【0030】
介在物40の平均直径は、特に限定されないが、その下限値は、酸化被膜を確実に破壊する点から、1μmが好ましく、2μmがより好ましく、5μmが特に好ましい。一方で、介在物40の平均直径の上限値は、第1のアルミニウム系導体線21−1間における導通性を確実に維持する点から、500μmが好ましく、200μmがより好ましく、100μmが特に好ましい。介在物40の平均直径は、走査型電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡を用いて、圧着部23の3つの横断面(アルミニウム系導体部被覆電線31の長手方向(延び方向)に対して直交方向の断面)について、1つの横断面あたり任意に10個の介在物40を選定し、選定した合計30個の各介在物40の最長直径をそれぞれ測定して、その測定値を平均して求めたものである。
【0031】
介在物40の材料は、特に限定されないが、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)を主成分として含む材料が挙げられる。このうち、ケイ素(Si)及び/または亜鉛(Zn)を主成分として含む介在物40が好ましい。Siは、アルミニウム系の酸化物と比較して硬い特性を有する。従って、介在物40が主成分としてSiを含むことにより、第1のアルミニウム系導体線21−1の表面に形成された酸化被膜を確実に破壊して、第1のアルミニウム系導体線21−1間における電気抵抗の上昇を確実に防止できる。Siを主成分として含む材料として、例えば、Si単体、SiC等を挙げることができる。
【0032】
また、Znは、優れた延性を有し、導電性にも優れる。従って、介在物40がZnを主成分として含むことにより、第1のアルミニウム系導体線21−1の表面に形成された酸化被膜を破壊しつつ、第1のアルミニウム系導体線21−1間の電気的接続性が向上して、第1のアルミニウム系導体線21−1間における電気抵抗の上昇を確実に防止できる。Znを主成分として含む材料として、例えば、Zn単体を挙げることができる。
【0033】
介在物40の存在頻度は、特に限定されないが、その下限値は、アルミニウム系導体部20の長手方向に対して直交方向の断面において、少なくとも1本の第1のアルミニウム系導体線21−1について、その周方向の長さ1mmあたり1.0個が好ましく、前記周方向の長さ1mmあたり1.5個がより好ましい。上記存在頻度の下限値により、第1のアルミニウム系導体線21−1の酸化被膜を確実に破壊して、導体圧着部位11の内面と接していない第1のアルミニウム系導体線21−1間の導通性を確実に維持することができる。一方で、介在物40の存在頻度の上限値は、導体圧着部位11の内面と接していない第1のアルミニウム系導体線21−1間の相互の導通性低下を確実に防止する点から、前記周方向の長さ1mmあたり50個が好ましく、20個がより好ましく、10個が特に好ましい。
【0034】
上記周方向の長さは、走査型電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡を用いて、圧着部23の横断面を撮影し、撮影した圧着部23の画像または写真から、介在物40の外縁形状を極力近似する方法で測定する。介在物40の外縁形状を極力近似する方法とは、具体的には、図5に示すように、長さが介在物40の平均直径の10%以下の直線Lを介在物40の外縁形状41に沿って折れ線グラフ状に結ぶ方法である。
【0035】
介在物40は、所定の第1のアルミニウム系導体線21−1と該所定の第1のアルミニウム系導体線21−1に隣接した他の第1のアルミニウム系導体線21−1及び該所定の第1のアルミニウム系導体線21−1に隣接した第2のアルミニウム系導体線21−2との間に配置されているだけではなく、図3、4に示すように、隣接する第2のアルミニウム系導体線21−2間や第2のアルミニウム系導体線21−2とアルミニウム系端子10の導体圧着部位11との間にも配置されていてもよい。隣接する第2のアルミニウム系導体線21−2間に介在物40が配置されていることで、アルミニウム系導体線21−2間の導通性も向上し、第2のアルミニウム系導体線21−2と導体圧着部位11との間に介在物40が配置されていることで、アルミニウム系端子10とアルミニウム系導体部20間の導通性も向上する。
【0036】
図1〜4に示すように、アルミニウム系導体部20はアルミニウム系端子10の導体圧着部位11に圧着されているので、圧着部23には、アルミニウム系導体部20の横断面が減面された減面部24が形成されている。減面部24におけるアルミニウム系導体部20の減面の程度は、例えば、アルミニウム系導体部20の非圧着部における横断面の断面積(A1)に対する、アルミニウム系導体部20の非圧着部における横断面の断面積(A1)からアルミニウム系導体部20の圧着部23における前記横断面の断面積(A2)を引いた値(A1−A2)の割合(R)(以下、「減面率」ということがある。)で表すことができる。従って、減面率R(%)=100×(A1−A2)/(A1)にて算出できる。減面部24におけるアルミニウム系導体部20の減面率は、特に限定されないが、減面部24のうち、最も減面率の大きい減面部位Cの領域における減面率の上限値は、アルミニウム系導体部20の引っ張り破断を確実に防止する点から、80%が好ましく、70%が特に好ましい。一方で、減面部24のうち、最も減面率の大きい減面部位Cにおける減面率の下限値は、酸化被膜を確実に破壊する点から30%が好ましく、50%が特に好ましい。
【0037】
減面部24のうち、最も減面率の大きい減面部位Cの範囲は、特に限定されないが、図2に示すように、アルミニウム系導体部20の長手方向における減面部位Cの領域の長さMが、アルミニウム系導体部20の非圧着部(アルミニウム系導体部20がアルミニウム系端子10と接していない部分)におけるアルミニウム系導体部20の直径以上であることが好ましく、非圧着部におけるアルミニウム系導体部20の直径の1.5倍以上が特に好ましい。減面部位Cの領域の長さMが上記長さを有することで、アルミニウム系導体部20と導体圧着部位11間の電気的接続性が向上して、アルミニウム系導体部20と導体圧着部位11間の電気抵抗によるアルミニウム系端子10の昇温を、確実に抑制できる。
【0038】
端子付き電線1では、アルミニウム系導体部20は、複数のアルミニウム系導体線21が撚られた撚り線の形態となっている。アルミニウム系導体部20が撚り線であることで、アルミニウム系導体部被覆電線31の曲げ加工性等が向上して、アルミニウム系導体部被覆電線31の長手方向の形状の自由度が向上する。なお、アルミニウム系導体部20は、撚り線の形態に代えて、アルミニウム系導体線21を撚らずに束ねた形態でもよい。
【0039】
アルミニウム系導体線21の直径は、特に限定されないが、その下限値は、細線化によるアルミニウム系導体線21自体の本数増加を防止することで第1のアルミニウム系導体線21−1の本数増加を防止して、第1のアルミニウム系導体線21−1間の電気抵抗の上昇を防止する点から、1.0mmが好ましく、1.5mmが特に好ましい。一方で、アルミニウム系導体線21の直径の上限値は、アルミニウム系導体部被覆電線31の曲げ加工性等の点から3.0mmが好ましく、2.5mmが特に好ましい。上記直径は、非圧着部におけるアルミニウム系導体線21の直径を意味する。
【0040】
アルミニウム系導体部20を構成するアルミニウム系導体線21の本数は、複数本であれば、特に限定されないが、アルミニウム系導体線21の直径が1.0mm以上3.0mm以下の場合には、アルミニウム系導体部被覆電線31のアルミニウム系導体部20として所定の直径を確保して大電流の通電を可能とする点から、7本以上100本以下が好ましい。
【0041】
なお、アルミニウム系端子10の表面は、必要に応じて、スズ(Sn)を含む膜で被覆されていてもよい。アルミニウム系端子10の表面がSnを含む膜で被覆されていることで、アルミニウム系端子10表面の腐食を防止できる。また、アルミニウム系端子10の表面がSnを含む膜で被覆され、アルミニウム系導体部20がSnを含む膜と接することで、アルミニウム系導体部20とアルミニウム系端子10との電気的接続性が向上する。
【0042】
一方で、Snを含む膜の表面には、Snの酸化膜層が形成される。しかし、Snを含む膜の表面に形成されるSnの酸化膜層は脆く、アルミニウム系導体部20を導体圧着部位11に圧着する際に適度に破壊されて、Snを含む膜が露出する。よって、圧着部23において、アルミニウム系導体部20はSnを含む膜と十分に接することができ、また、Snを含む膜の表面の一部に残ったSnの酸化膜層によって、アルミニウム系導体部20がアルミニウム系端子10に安定的に固定される。従って、Snを含む膜は、アルミニウム系導体部20とアルミニウム系端子10間の固定性を向上させることもできる。
【0043】
アルミニウム系端子10の表面のうち、内面または外面のみがSnを含む膜で被覆されていてもよく、両面がSnを含む膜で被覆されていてもよい。また、必要に応じて、Snを含む膜とアルミニウム系端子10の表面との間にNiを含む層を形成してもよい。
【0044】
Snを含む膜の平均厚さは、特に限定されないが、その下限値は、アルミニウム端子10表面の耐腐食性と電気接続性の点から0.1μmが好ましく、0.5μmが特に好ましい。一方で、Snを含む膜の平均厚さの上限値は、Snの体積抵抗率が低く、抵抗値の上昇を防ぐ観点から20μmが好ましく、10μmが特に好ましい。Snを含む膜の形成方法としては、例えば、めっき処理を挙げることができる。従って、Snを含む膜の形態としては、めっき膜を挙げることができる。
【0045】
Snを含む膜の成分としては、純スズを挙げることができる。
【0046】
次に、本発明の実施形態に係る端子付き電線1の製造方法例について説明する。本発明の実施形態に係る端子付き電線1の製造方法は、例えば、主に、アルミニウム系導体部被覆電線31を準備する工程と、アルミニウム系導体部被覆電線31からアルミニウム系導体部20を露出させる工程と、露出させたアルミニウム系導体部20の相互に隣接する第1のアルミニウム系導体線21−1間に介在物40を配置させる工程と、介在物40を配置させたアルミニウム系導体部20をアルミニウム系端子10に圧着させる工程と、を含む。
【0047】
まず、アルミニウム系導体部被覆電線31を準備する。アルミニウム系導体部被覆電線31を構成するアルミニウム系導体線21−1及び絶縁被覆30の材料としては、それぞれ、上記した材料を使用することができる。アルミニウム系導体部20としては、例えば、直径1.0mm程度のアルミニウム系導体線21−1が37本束ねられて構成されたサイズ(太さ)のアルミニウム系導体部20を挙げることができる。
【0048】
次に、アルミニウム系導体部被覆電線31の一方端について、絶縁被覆30の一部を所定の長さだけ剥いで、アルミニウム系導体部20を露出させる。アルミニウム系導体部被覆電線31から絶縁被覆30を剥ぐ手段は、特に限定されず、例えば、ワイヤーストリッパーなどの工具または機器を使用して絶縁被覆30を剥ぐことができる。絶縁被覆30を剥ぐ長さは、圧着部23の寸法等に応じて適宜選択可能であり、例えば、20〜100mmが好ましく、30〜50mmが特に好ましい。
【0049】
次に、アルミニウム系導体部被覆電線31の一方端において露出させたアルミニウム系導体部20の、相互に隣接する第1のアルミニウム系導体線21−1間に、介在物40を配置させる。第1のアルミニウム系導体線21−1間に介在物40を配置させる手段としては、例えば、分散媒中に介在物40を添加後、撹拌して介在物40の分散相を調製し、得られた介在物40の分散相に、露出させたアルミニウム系導体部20を浸漬させる方法が挙げられる。分散媒と介在物40の質量比を調整することで、介在物40の存在頻度を調整することができる。また、介在物40の平均直径及び材料としては、上記した平均直径及び材料のものを使用することができる。
【0050】
次に、必要に応じて、介在物40を配置させたアルミニウム系導体部20を構成する複数のアルミニウム系導体線21−1を撚り合わせて束ねて、アルミニウム系導体部20を撚り線の形態とする。
【0051】
次に、介在物40を配置させたアルミニウム系導体部20をアルミニウム系端子10に圧着させる。アルミニウム系端子10の材料としては、上記した材料を使用することができる。介在物40を配置させたアルミニウム系導体部20をアルミニウム系端子10に圧着させる手段は、公知の手段を使用することができ、例えば、介在物40を配置させたアルミニウム系導体部20をアルミニウム系端子10の導体圧着部11に挿入した後、導体圧着部位11をかしめ治具を用いたかしめ等で所定量潰すことで、アルミニウム系導体部20を、その外周に沿ってアルミニウム系端子10に圧着、固定する。導体圧着部位11をかしめ等で所定量潰す際に、減面部24におけるアルミニウム系導体部20の減面率R及び減面部位Cの長さとしては、上記した範囲を挙げることができる。アルミニウム系導体部20をアルミニウム系端子10に圧着、固定することで、アルミニウム系導体部20がアルミニウム系端子10と電気的に接続された端子付き電線1を製造することができる。
【実施例】
【0052】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
【0053】
実施例1〜8
介在物が配置されたアルミニウム系導体部の調製方法
分散媒として潤滑油が主成分のグリースを用い、該分散媒に介在物を添加、攪拌して介在物の分散相を調製した。介在物の存在頻度は、分散媒と介在物の質量比率を調整することで制御した。介在物の平均直径と成分及び存在頻度を、下記表1に示す。なお、実施例5では亜鉛粉末45質量%、SiC粉末10質量%、残部が分散媒からなる介在物の分散相を用いた。アルミニウム系導体部被覆電線の一方端について、絶縁被覆の一部を所定の長さだけ剥いで、直径1mmの材質A1070の純アルミニウム導体線が37本束ねられた状態で露出させた。介在物の分散相を撹拌しながら、露出させた37本の純アルミニウム導体線を在物の分散相に浸漬させた。その後、37本の純アルミニウム導体線を撚り合わせて、介在物が配置されたアルミニウム系導体部(撚り線の形態)を調製した。
【0054】
端子付き電線の製造方法
アルミニウム系端子として、純アルミニウム端子の内表面と外表面に、それぞれ、3μmのニッケル層と10μmのスズ層を上記順序で積層させた被覆層を形成させたアルミニウム系端子を用意した。このアルミニウム系端子の導体圧着部位に、上記のようにして得られた介在物の配置されたアルミニウム系導体部を差し込み、下記表1に示す減面率と減面部位Cの長さ/非圧着部におけるアルミニウム系導体部の直径の圧着条件にて、かしめにより、アルミニウム系導体部をアルミニウム系端子に圧着した。
【0055】
比較例1では、露出させた37本の純アルミニウム導体線に介在物の分散相を浸漬させなかったこと以外は、実施例1〜8と同様にして端子付き電線を製造した。
【0056】
(1)介在物の平均直径の測定方法
下記表1における介在物の平均直径は、走査型電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡を用いて、アルミニウム系端子との圧着部の3箇所の横断面(アルミニウム系導体部の長手方向に対して直交方向の断面)について、1箇所の横断面あたり任意に10個の介在物を選定し、選定した合計30個の各介在物の最長直径をそれぞれ測定し、その測定値の平均から算出した。
【0057】
(2)介在物の存在頻度の測定方法
下記表1における介在物の存在頻度は、アルミニウム系導体部の圧着部における横断面において、任意に選択した1本の第1のアルミニウム系導体線について、その周方向の長さ1mmあたりに存在する介在物の個数を測定することで評価した。周方向の長さは、走査型電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡を用いて、アルミニウム系端子との圧着部の横断面を撮影し、撮影した圧着部の画像または写真から、介在物の外縁形状を極力近似する方法で測定した。介在物の外縁形状を極力近似する方法としては、上記の通り、図5に示すように、長さが介在物の平均直径の10%以下の直線を介在物の外縁形状に沿って折れ線グラフ状に結ぶ方法を用いた。
【0058】
(3)温度上昇試験の評価方法
JIS C 2810に準拠して、規定電流を端子付き電線に印加し、アルミニウム系端子表面とアルミニウム系導体部表面の上昇温度を測定し、下記基準で評価した。
◎:アルミニウム系端子表面の上昇温度が30K以下、且つアルミニウム系端子表面の上昇温度がアルミニウム系導体部表面の上昇温度以下
○:アルミニウム系端子表面の上昇温度が30K超50K以下、またはアルミニウム系端子表面の上昇温度が30K以下だが、アルミニウム系端子表面の上昇温度がアルミニウム系導体部表面の上昇温度以上
×:アルミニウム系端子表面の上昇温度が50K超
【0059】
(4)ヒートサイクル試験の評価方法
JIS C 2810に準拠して、規定電流を規定時間、端子付き電線に印加し、その後、規定時間、印加を休止した。通電から休止までを1回として下記基準で評価した。
◎:25回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度が75K以下、500回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度が25回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度に8Kを加えた温度以下、かつ、25回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度がアルミニウム系導体部表面の上昇温度以下
〇:25回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度が75K超100K以下であり、500回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度が25回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度に8K超20K以下を加えた温度、または、25回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度が75K以下、500回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度が25回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度に8Kを加えた温度以下だが、25回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度がアルミニウム系導体部表面の上昇温度以上
×:25回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度が100K超、または500回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度が25回目のアルミニウム系端子表面の上昇温度に20K超を加えた温度
【0060】
(5)素線間抵抗試験の評価方法
各純アルミニウム導体線(素線)とアルミニウム系端子間の電気抵抗値を4端子抵抗測定法にて測定し、測定した電気抵抗値の平均値と標準偏差を算出して、下記基準で評価した。
◎:全ての素線とアルミニウム系端子間の電気抵抗値の標準偏差が平均値の10%以内
〇:全ての素線とアルミニウム系端子間の電気抵抗値の標準偏差が平均値の10%超25%以内
×:全ての素線とアルミニウム系端子間の電気抵抗値の標準偏差が平均値の25%超
【0061】
(6)総合判定評価方法
総合判定は、以下のように評価した。
◎:温度上昇試験、ヒートサイクル試験、素線間抵抗試験のいずれも「○」評価以上、且つ2つ以上の試験で「◎」評価
〇:温度上昇試験、ヒートサイクル試験、素線間抵抗試験のいずれも「○」評価以上、且つ、1つ以下の試験で「◎」評価
×:温度上昇試験、ヒートサイクル試験、素線間抵抗試験のいずれかで「×」評価
【0062】
【表1】
【0063】
上記表1に示すように、介在物が配置されたアルミニウム系導体部を用いた実施例1〜8では、素線間抵抗試験が「○」評価以上であり、アルミニウム系端子と接していないアルミニウム導体線間を含めてアルミニウム導体線間の電気抵抗の上昇を防止して、導通性が維持された。また、アルミニウム導体線間の導通性が維持された実施例1〜8では、アルミニウム系端子とアルミニウム導体線との間における電気的接続性が向上し、温度上昇試験とヒートサイクル試験がいずれも「○」評価以上となり、アルミニウム系端子の昇温を抑制できた。特に、介在物の存在頻度が1.5〜10個/mm、介在物の平均直径が2〜100μmである実施例2、4、5では、総合判定が「◎」評価と、アルミニウム導体線間の導通性とアルミニウム系端子の昇温抑制に、特に優れていた。なお、実施例2、4、5の圧着条件は、減面率が70〜80%、減面部位Cの長さ/非圧着部におけるアルミニウム系導体部の直径の比率は1.5以上であった。
【0064】
一方で、介在物が配置されなかったアルミニウム系導体部を用いた比較例1では、温度上昇試験とヒートサイクル試験がいずれも「×」評価となり、アルミニウム系端子の昇温を抑制できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の端子付き電線は、導体線及び端子にアルミニウムやアルミニウム合金を使用し、また、複数の導体線を備えた電線でも、電線の内部に配置された導体線間における電気抵抗の上昇を防止して、端子の昇温を抑制できるので、広汎な分野の電力ケーブルとして利用可能であり、例えば、外部環境から建築物の内部への配線に使用する低圧屋内配線用の電力ケーブルの分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 端子付き電線
10 アルミニウム系端子
21 アルミニウム系導体線
23 圧着部
40 介在物
図1
図2
図3
図4
図5