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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-208004(P2019-208004A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】垂直共振器型発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/20 20060101AFI20191108BHJP
   H01S 5/183 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   H01S5/20 610
   H01S5/183
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-238075(P2018-238075)
(22)【出願日】2018年12月20日
(31)【優先権主張番号】特願2018-99677(P2018-99677)
(32)【優先日】2018年5月24日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599002043
【氏名又は名称】学校法人 名城大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉本 大
(72)【発明者】
【氏名】小林 静一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 哲也
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AC03
5F173AC14
5F173AC26
5F173AC35
5F173AC42
5F173AC46
5F173AC53
5F173AC61
5F173AF52
5F173AF54
5F173AF55
5F173AF58
5F173AF92
5F173AF96
5F173AF98
5F173AH22
5F173AJ15
5F173AR23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低閾値及び高出力な垂直共振器型発光素子を提供する。
【解決手段】基板11と、基板11上に形成された第1の多層膜反射鏡12と、第1の多層膜反射鏡12上に形成され、発光層14を含む半導体構造層EMと、半導体構造層EM上に形成され、第1の多層膜反射鏡12との間で共振器を構成する第2の多層膜反射鏡19と、第1及び第2の多層膜反射鏡間において基板に垂直な方向に延びかつ発光層14の発光中心を含む中心領域R1と、中心領域R1の周囲に設けられかつ中心領域R1よりも第1及び第2の多層膜反射鏡間の光学距離が小さい周辺領域R2と、を含む光ガイド構造LGを形成する光ガイド層と、を有し、第2の多層膜反射鏡19は、中心領域及び周辺領域に亘る平坦性を有する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1の多層膜反射鏡と、
前記第1の多層膜反射鏡上に形成され、発光層を含む半導体構造層と、
前記半導体構造層上に形成され、前記第1の多層膜反射鏡との間で共振器を構成する第2の多層膜反射鏡と、
前記第1及び第2の多層膜反射鏡間において前記基板に垂直な方向に延びかつ前記発光層の発光中心を含む中心領域と、前記中心領域の周囲に設けられかつ前記中心領域よりも前記第1及び第2の多層膜反射鏡間の光学距離が小さい周辺領域と、を含む光ガイド構造を形成する光ガイド層と、を有し、
前記第2の多層膜反射鏡は、前記中心領域及び前記周辺領域に亘る平坦性を有することを特徴とする垂直共振器型発光素子。
【請求項2】
前記光ガイド層は、前記中心領域において前記周辺領域よりも高い等価屈折率を有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の垂直共振器型発光素子。
【請求項3】
前記光ガイド層は、前記半導体構造層と前記第2の多層膜反射鏡との間に設けられ、前記中心領域に凸部を有する第1の透光絶縁層と、前記周辺領域の前記第1の透光絶縁層上に前記光ガイド層の上面を平坦化するように形成され、前記第1の透光絶縁層よりも小さな屈折率を有する第2の透光絶縁層と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の垂直共振器型発光素子。
【請求項4】
前記半導体構造層は、前記第1の多層膜反射鏡上に形成された第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に形成された前記発光層と、前記発光層上に形成され、前記中心領域に凸部を有する第2の半導体層と、を有し、
前記光ガイド層は、前記第2の半導体層と、前記周辺領域の前記第2の半導体層上に前記光ガイド層の上面を平坦化するように形成され、前記第2の半導体層よりも小さな屈折率を有する透光絶縁層と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の垂直共振器型発光素子。
【請求項5】
前記半導体構造層は、前記第1の多層膜反射鏡上に形成された第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に形成された前記発光層と、前記発光層上に形成された第2の半導体層と、を有し、
前記第1の多層膜反射鏡は、第1の半導体膜と、前記第1の半導体膜及び前記半導体構造層の前記第1の半導体層よりも小さな屈折率を有する第2の半導体膜とが複数回交互に積層された構造を有し、
前記第1の多層膜反射鏡における最も前記半導体構造層側の前記第2の半導体膜は、前記中心領域に開口部を有し、
前記半導体構造層における前記第1の半導体層は、前記第1の多層膜反射鏡における前記第2の半導体膜の前記開口部を埋め込む埋込部を有し、
前記光ガイド層は、前記第1の多層膜反射鏡の最も前記半導体構造層側の前記第2の半導体膜と、前記半導体構造層の前記第1の半導体層とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の垂直共振器型発光素子。
【請求項6】
前記半導体構造層は、前記第1の多層膜反射鏡上に形成された第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に形成された前記発光層と、前記発光層上に形成された第2の半導体層と、を有し、
前記光ガイド層は、前記半導体構造層と前記第2の多層膜反射鏡との間における前記中心領域に形成された第3の半導体層と、前記光ガイド層の上面を平坦化するように前記周辺領域に形成され、不純物を有することによって前記中心領域の平均屈折率よりも小さな屈折率を有する第4の半導体層と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の垂直共振器型発光素子。
【請求項7】
前記第1及び第2の多層膜反射鏡間に設けられ、前記半導体構造層内の電流路を狭窄し、前記発光層の前記発光中心を画定する電流狭窄層を有し、
前記電流狭窄層は、前記電流路の開口部を形成し、5.5μm以下の開口径を有する電流狭窄部を有し、
前記中心領域における前記第1及び第2の多層膜反射鏡間の距離は、前記発光層から放出された光の前記中心領域の媒質内における波長の4倍以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の垂直共振器型発光素子。
【請求項8】
前記半導体構造層内の電流路を狭窄し、前記発光層の前記発光中心を画定する電流狭窄層を有し、
前記電流狭窄層は、トンネル接合層を有することを特徴とする請求項1乃至7に記載の垂直共振器型発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直共振器型面発光レーザなどの垂直共振器型発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
垂直共振器型面発光レーザ(以下、単に面発光レーザと称する)は、基板上に積層された多層膜からなる反射鏡を有し、当該基板の表面に垂直な方向に沿って光を出射する半導体レーザである。例えば、特許文献1には、窒化物半導体を用いた面発光レーザが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5707742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、面発光レーザなどの垂直共振器型発光素子においては、閾値電圧が低いこと、及び高出力であることなどが好ましい。また、面発光レーザにおいては、出力が安定していること、例えばスロープ効率が高いことが好ましい。
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、低閾値及び高出力な垂直共振器型発光素子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による垂直共振器型発光素子は、基板と、基板上に形成された第1の多層膜反射鏡と、第1の多層膜反射鏡上に形成され、発光層を含む半導体構造層と、半導体構造層上に形成され、第1の多層膜反射鏡との間で共振器を構成する第2の多層膜反射鏡と、第1及び第2の多層膜反射鏡間において基板に垂直な方向に延びかつ発光層の発光中心を含む中心領域と、中心領域の周囲に設けられかつ中心領域よりも第1及び第2の多層膜反射鏡間の光学距離が小さい周辺領域と、を含む光ガイド構造を形成する光ガイド層と、を有し、第2の多層膜反射鏡は、中心領域及び周辺領域に亘る平坦性を有することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】実施例1に係る面発光レーザの断面図である。
図1B】実施例1に係る面発光レーザの模式的な上面図である。
図2A】実施例1に係る面発光レーザの模式的な断面図である。
図2B】実施例1に係る面発光レーザから出射される光を模式的に示す図である。
図3】実施例1に係る面発光レーザの共振器長、半導体構造層内の電流路の幅及び光出力の関係を示す図である。
図4】実施例2に係る面発光レーザの断面図である。
図5】実施例3に係る面発光レーザの断面図である。
図6】実施例4に係る面発光レーザの断面図である。
図7】実施例5に係る面発光レーザの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。また、以下の実施例においては、本発明が面発光レーザ(半導体レーザ)として実施される場合について説明する。しかし、本発明は、面発光レーザに限定されず、垂直共振器型発光ダイオードなど、種々の垂直共振器型発光素子に適用することができる。
【実施例1】
【0009】
図1Aは、実施例1に係る垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser、以下、面発光レーザと称する)の断面図である。また、図1Bは、面発光レーザ10の模式的な上面図である。図1Aは、図1BのV−V線に沿った断面図である。図1A及び図1Bを用いて、面発光レーザ10の構成について説明する。
【0010】
まず、面発光レーザ10の構成の概略について説明する。面発光レーザ10は、基板11と、基板11上に形成され、発光層14を含む半導体構造層(発光構造層)EMと、半導体構造層EMを介して互いに対向して配置された第1及び第2の多層膜反射鏡(以下、単にそれぞれ第1及び第2の反射鏡と称する)12及び19と、を有する。
【0011】
また、面発光レーザ10は、半導体構造層EMに電圧を印加するための第1及び第2の電極E1及びE2を有する。また、本実施例においては、面発光レーザ10は、第2の反射鏡19が実装用基板(図示せず)に向かって接合された構造を有する。また、面発光レーザ10は、第1及び第2の電極E1及びE2から基板11とは反対側に延びて当該実装用基板の端子又は配線にそれぞれ接続される接続電極(図示せず)を有する。本実施例においては、面発光レーザ10は、フリップチップ実装によって実装されている。
【0012】
次に、面発光レーザ10の動作の概略について説明する。第1及び第2の反射鏡12及び19は、半導体構造層EMに垂直な方向を共振器長方向とする共振器を構成する。第1及び第2の電極E1及びE2間に電圧が印加されると、半導体構造層EMの発光層14から光が放出される。発光層14から放出された光は、第1及び第2の反射鏡12及び19間において反射を繰り返し、共振状態に至る(レーザ発振を行う)。
【0013】
また、本実施例においては、第1の反射鏡12は、第2の反射鏡19よりもわずかに低い反射率を有する。従って、第1及び第2の反射鏡12及び19間で共振した光は、その一部が第1の反射鏡12及び基板11を透過し、外部に取出される。このようにして、面発光レーザ10は、基板11に及び半導体構造層EMに垂直な方向に光を出射する。
【0014】
次に、面発光レーザ10の詳細な構成について説明する。本実施例においては、第1の反射鏡12は、基板11上に形成され、第1の半導体膜(以下、高屈折率半導体膜と称する)H1と高屈折率半導体膜H1よりも低い屈折率を有する第2の半導体膜(以下、低屈折率半導体膜と称する)L1とが交互に積層された構造を有する。すなわち、本実施例においては、第1の反射鏡12は、半導体多層膜反射鏡であり、半導体材料からなる分布ブラッグ反射器(DBR:Distributed Bragg Reflector)を構成する。
【0015】
本実施例においては、基板11は、GaNの組成を有する。また、基板11は、第1の反射鏡12及び半導体構造層EMの結晶成長に用いられる成長用基板である。また、第1の反射鏡12における高屈折率半導体層H1はGaNの組成を有し、低屈折率半導体層L1はAlInNの組成を有する。
【0016】
なお、本実施例においては、第1の反射鏡12の最も基板11側の層は高屈折率半導体層H1であり、第1の反射鏡12の最も半導体構造層EM側の層は低屈折率半導体層L1である。また、本実施例においては、基板11と第1の反射鏡12との間にはバッファ層(図示せず)が設けられている。
【0017】
半導体構造層EMは、発光層14がn型半導体層(第1の半導体層)13及びp型半導体層(第2の半導体層)15に挟まれた構造を有する。本実施例においては、半導体構造層EMは、第1の反射鏡12上に形成されたn型半導体層13と、n型半導体層13上に形成された発光層14と、発光層14上に形成されたp型半導体層15と、を有する。n型半導体層13は第1の電極E1に接続され、p型半導体層15は第2の電極E2に接続されている。
【0018】
本実施例においては、半導体構造層EMは、窒化物系半導体からなる。本実施例においては、n型半導体層13は、GaNの組成を有し、Siをn型不純物として含む。発光層14は、InGaNの組成を有する。また、p型半導体層15は、GaNの組成を有し、Mgをp型不純物として含む。
【0019】
なお、半導体構造層EMの構成はこれに限定されない。例えば、n型半導体層13は、互いに組成が異なる複数のn型の半導体層を有していてもよい。また、発光層14は、InGaNの組成を有する井戸層及びGaNの組成を有する障壁層からなる多重量子井戸構造を有していてもよい。また、p型半導体層15は、互いに組成が異なる複数のp型の半導体層を有していてもよい。
【0020】
例えば、p型半導体層15は、発光層14との界面に、発光層14に注入された電子のp型半導体層15へのオーバーフローを防止する電子ブロック層(図示せず)として、例えばAlGaN層を有していてもよい。また、p型半導体層15は、第2の反射鏡19側の表面に、第2の電極E2とのオーミックコンタクトを形成するためのコンタクト層(図示せず)を有していてもよい。この場合、p型半導体層15は、当該電子ブロック層及びコンタクト層間に、中間層として、例えばGaN層を有していればよい。
【0021】
面発光レーザ10は、半導体構造層EM内の電流路を狭窄し、発光層14の発光領域及びその中心を画定する電流狭窄層15Aを有する。本実施例においては、電流狭窄層15Aは、p型半導体層15としてのGaN層の表面における他の領域よりも高い電気抵抗を有する部分である。例えば、本実施例においては、電流狭窄層15Aは、イオンが注入されて高抵抗化処理が施されたGaN層の表面領域である。
【0022】
電流狭窄層15Aは、半導体構造層EM内の電流路を狭窄する電流狭窄部CCを有し、半導体構造層EMへの電流の注入領域を形成する。電流狭窄部CCは、本実施例においては、電流狭窄層15Aにおける開口径Dの開口部である。また、本実施例においては、当該電流路の開口部は、p型半導体層15としてのGaN層におけるイオン注入が行われていない表面領域である。
【0023】
また、本実施例においては、電流狭窄部CCとしての電流狭窄層15Aの開口部は、円形状を有する。第2の電極E2からの注入された電流は、電流狭窄部CCを通って半導体構造層EM(発光層14)に注入される。なお、電流狭窄部CCは、円形状(円柱形状)を有する場合に限定されない。例えば、電流狭窄部CCは、角柱形状、楕円形状など、種々の形状を有することができる。
【0024】
面発光レーザ10は、電流狭窄層15A上に形成された透光電極膜16を有する。透光電極膜16は、発光層14から放出された光に対して透光性を有する導電膜である。透光電極膜16は、電流狭窄層15Aの開口部からp型半導体層15に接触している。すなわち、透光電極膜16は、電流狭窄層15A上に形成され、電流狭窄部CCを介してp型半導体層15に接続されている。例えば、透光電極膜16は、ITO又はIZOなどの金属酸化膜からなる。また、透光電極膜16は、第2の電極E2に接続されている。
【0025】
面発光レーザ10は、第1及び第2の反射鏡12及び19間に、基板11に垂直な方向に延びかつ発光層14の発光中心を含む領域である中心領域R1と、中心領域R1の周囲に設けられかつ中心領域R1よりも第1及び第2の反射鏡12及び19間の光学距離(物理的距離と媒質内の等価屈折率との積)が小さい周辺領域R2と、含む光ガイド構造GDを形成する光ガイド層LGを有する。
【0026】
なお、発光層14の発光領域とは、例えば、発光層14内における所定の強度以上の光が放出される所定の幅の領域であり、その中心が発光中心である。また、例えば、発光層14の発光領域とは、発光層14内において所定の密度以上の電流が注入される領域であり、その中心が発光中心である。また、当該発光中心を通る基板11に垂直な直線が発光中心軸CAである。発光中心軸CAは、第1及び第2の反射鏡12及び19によって構成される共振器の共振器長方向に沿って延びる直線である。
【0027】
本実施例においては、発光層14の発光中心は、例えば、基板11に垂直な方向から見たとき、電流狭窄層15Aの電流狭窄部CC(開口部)の中心と重なる位置に配置された発光層14の部分である。また、発光中心軸CAは、面発光レーザ10から出射されるレーザ光の光軸に対応する。
【0028】
また、図1Bに模式的に示すように、中心領域R1は、発光中心軸CAに沿って円柱状に延びる領域である。また、周辺領域R2は、中心領域R1を取り囲むように発光中心軸CAに沿って円筒状に延びる領域である。なお、中心領域R1及び周辺領域R2は、それぞれ、所定の幅を有している。また、中心領域R1と周辺領域R2との間に明確な境界が存在する必要はない。第1及び第2の反射鏡12及び19間の光学距離、例えば等価的な共振波長が中心領域R1では相対的に大きく、その周辺では相対的に小さくなっていればよい。
【0029】
本実施例においては、光ガイド層LGは、透光電極膜16上において中心領域R1及び周辺領域R2に亘って設けられ、発光中心軸CA上に凸部17Pを有する第1の透光絶縁層17と、周辺領域R2内の第1の透光絶縁層17上に設けられ、第1の透光絶縁層17よりも小さな屈折率を有する第2の透光絶縁層18と、を含む。凸部17Pは、例えば円柱形状を有し、発光中心軸CAと同軸に設けられている。
【0030】
換言すれば、第1及び第2の反射鏡12及び19間における第1の透光絶縁層17の凸部17Pが設けられた領域が中心領域R1であり、凸部17Pが設けられていない領域が周辺領域R2である。また、凸部17Pの幅(例えば直径)が中心領域R1の幅に対応する。また、凸部17Pの端部から第2の反射鏡19の端部までの長さが周辺領域R2の幅に対応する。
【0031】
本実施例においては、中心領域R1には第1の透光絶縁層17のみが設けられており、周辺領域R2には第1及び第2の透光絶縁層17及び18の両方が設けられている。また、第2の透光絶縁層18は、第2の透光絶縁層18の上面が第1の透光絶縁層17の凸部17Pの上面と同一の位置に配置されるように構成されている。従って、本実施例においては、光ガイド層LGの上面は、中心領域R1及び周辺領域R2に亘って平坦性を有する平坦面S1である。
【0032】
例えば、第1の透光絶縁層17は、Ta25、Nb25、ZrO2、TiO2、HfO2などの金属酸化物からなる。また、例えば、第2の透光絶縁層18は、SiO2などの金属酸化物からなる。本実施例においては、第1の透光絶縁層17は、Ta25からなる。
【0033】
第2の反射鏡19は、光ガイド層LG(第1及び第2の透光絶縁層17及び18)上に形成され、第1の誘電体膜(以下、高屈折率誘電体膜と称する)H2と高屈折率誘電体膜H2よりも低い屈折率を有する第2の誘電体膜(以下、低屈折率誘電体膜と称する)L2とが交互に積層された構造を有する。
【0034】
すなわち、本実施例においては、第2の反射鏡19は、誘電体多層膜反射鏡であり、誘電体材料からなる分布ブラッグ反射器(DBR:Distributed Bragg Reflector)を構成する。本実施例においては、高屈折率誘電体膜H2はTa25層からなり、低屈折率誘電体膜L2はAl23層からなる。
【0035】
また、本実施例においては、第2の反射鏡19は、光ガイド層LGの上面である平坦面S1上に形成されている。従って、第2の反射鏡19における高屈折率誘電体膜H2及び低屈折率誘電体層L2の各々は、中心領域R1及び周辺領域R2に亘って平坦性を有する。例えば、第2の反射鏡19には、中心領域R1と周辺領域R2と間に段差となる傾斜部及び屈曲部が存在しない。
【0036】
なお、本明細書においては、平坦性とは、発光層14からの放出光、すなわち第1及び第2の反射鏡12及び19間に生成される定在波(レーザ光)にとって不感となる範囲内の凹凸を含む平面形状をいう。
【0037】
例えば、中心領域R1における第1及び第2の反射鏡12及び19間(すなわち共振器内)の等価屈折率(n型半導体層13、発光層14、p型半導体層15、透光電極膜16及び第1の透光絶縁層17の各々の屈折率と定在波の光分布の加重平均)をn1、発光層14からの放出光のピーク波長(真空中の波長)をλ1とした場合、高屈折率誘電体膜H2及び低屈折率誘電体膜L2の各々の表面及び両者の界面に設けられた凹凸の高さHCがHC<λ1/(n1・20)の範囲内である場合、高屈折率誘電体膜H2及び低屈折率誘電体膜L2の各々は平坦性を有するものとする。なお、より好ましくは、凹凸高さHCは、HC<λ1/(n1・50)の範囲内であることが好ましい。
【0038】
例えば、本実施例においては、発光層14がInGaNの組成を有し、発光層14から放出される光のピーク波長は約445nm(λ1=445nm)である。また、本実施例においては、中心領域R1における第1及び第2の反射鏡12及び19間の等価屈折率は約2.43となる。この場合、例えば高屈折率誘電体膜H2の光ガイド層LGとの界面における凹凸の高さHCは、約9.2nm(=445/(2.43・20))以下であればよく、約4.7nm(=445/(2.43・50))以下であることが好ましい。
【0039】
ここで、面発光レーザ10における各層の例示的な構成について説明する。本実施例においては、第1の反射鏡12は、44ペアのGaN層及びAlInN層からなる。n型半導体層13は、650nmの層厚を有する。発光層14は、4nmのInGaN層及び5nmのGaN層が3回積層された多重量子井戸構造の活性層からなる。p型半導体層15は、50nmの層厚を有する。電流狭窄層15Aにおける電流狭窄部CCは、10μmの開口径を有する。第1の透光絶縁層17の凸部17Aは、6μmの直径を有する。また、第2の反射鏡19は、10ペアのTa25層及びAl23層からなる。なお、これらは一例に過ぎない。
【0040】
図2Aは、中心領域R1及び周辺領域R2における第1及び第2の反射鏡12及び19間の光学距離を模式的に示す図である。また、図2Bは、面発光レーザ10から出射される光を模式的に示す図である。
【0041】
まず、図2Aに示すように、本実施例においては、光ガイド層LGは、全体としては中心領域R1及び周辺領域R2の両方で同一の層厚を有する。一方、光ガイド層LGは、中心領域R1では第1の透光絶縁層17のみからなり、周辺領域R2では第1及び第2の透光絶縁層17及び18からなる。
【0042】
従って、本実施例においては、第1及び第2の反射鏡12及び19間の光学距離は、光ガイド層LGにおける中心領域R1及び周辺領域R2間での層構成の差によって互いに異なることとなる。また、第2の透光絶縁層18の屈折率は、第1の透光絶縁層17の屈折率よりも小さい。従って、周辺領域R2における光ガイド層LGの(平均)屈折率は、中心領域R1における光ガイド層LGの(平均)屈折率よりも小さい。
【0043】
従って、中心領域R1における第1及び第2の反射鏡12及び19間の光学距離を光学距離OL1とし、周辺領域R2における第1及び第2の反射鏡12及び19間の光学距離を光学距離OL2とすると、光学距離OL2は、光学距離OL1よりも小さい。換言すれば、周辺領域R2における等価的な共振器長(共振波長)は、中心領域R1における等価的な共振器長よりも小さい。
【0044】
図2Bは、面発光レーザ10から出射される光を模式的に示す図である。本実施例においては、面発光レーザ10内の定在波は、第1の反射鏡12から外部に取り出される。ここで、当該面発光レーザ10内で共振した光は、図2Bに示すように、中心領域R1に収束しつつ外部に取り出される。なお、図2Bには、面発光レーザ10から出射されるレーザ光LBのビーム外縁を破線で模式的に示している。
【0045】
具体的には、本実施例においては、光ガイド層LG(光ガイド構造GD)を設けることによって、周辺領域R2における反射鏡間の光学距離OL2は、中心領域R1における反射鏡間の光学距離OL1よりも小さい。従って、周辺領域R2における反射鏡間の媒質の等価屈折率は、中心領域R1における反射鏡間の等価屈折率よりも小さい。
【0046】
これによって、共振器内の定在波が中心領域R1から外側に発散(放射)することによる光損失が抑制される。すなわち、中心領域R1に多くの光が留まり、またその状態でレーザ光LBが外部に取り出される。従って、多くの光が発光中心軸CAの近傍に集中し、安定して単峰性又は多峰性の強度分布を有するレーザ光LBを生成及び出射することができる。
【0047】
また、単峰性又は多峰性のレーザ光LBを生成することを考慮すると、例えば周辺領域R2に光を吸収する層又は部分などを設けることが考えられる。しかし、本実施例においては、中心領域R1及び周辺領域R2間で屈折率の差を設けることで光ガイド構造GDが形成されている。従って、強度の低下を伴うことなくほぼ全ての光を用いて単峰性のレーザ光LBを生成することができる。
【0048】
また、本実施例においては、第2の反射鏡19は、中心領域R1及び周辺領域R2に亘って平坦な誘電体膜によって形成されている。従って、第1及び第2の反射鏡12及び19間における光の散乱損失が抑制される。仮に、第2の反射鏡19が中心領域R1及び周辺領域R2間に段差を有する場合、当該段差部分で光が散乱し、安定した反射が起きにくくなる。本実施例においては、中心領域R1及び周辺領域R2の全体で第1及び第2の反射鏡12及び19が平坦性を有する。従って、散乱損失が大幅に低減された共振器となる。
【0049】
従って、面発光レーザ10は、閾値電圧を低減しつつ高出力なレーザ光LBを安定して出射する半導体レーザとなる。また、上記した種々の損失を抑制することで、動作電流に対する出力強度の関係、すなわちスロープ効率も大幅に改善する。従って、低閾値及び高出力であり、安定したレーザ光LBを生成することが可能な面発光レーザ10を提供することができる。
【0050】
図3は、面発光レーザ10における共振器長及び電流狭窄径と、光出力との関係を示す図である。図の横軸は、面発光レーザ10の共振器長、本実施例においては中心領域R1における第1及び第2の反射鏡12及び19間の距離(物理的な距離、以下、共振器長と称する)Lを発光層14から放出される光の中心領域R1の媒質内における波長(発光波長λ1を等価屈折率n1で割ったもの、以下、媒質内波長と称する)λで割ったものを示している。
【0051】
なお、中心領域R1の媒質とは、本実施例においては、中心領域R1に設けられた要素であるn型半導体層13、発光層14、p型半導体層15、透光電極膜16及び第1の透光絶縁層17の全体をいう。また、図の縦軸は、面発光レーザ10から出射されるレーザ光LBのうち、シングルモードの光成分の出力を示している。
【0052】
なお、図3には、電流狭窄径である電流狭窄部CCの開口径D(図1を参照)を種々調節した面発光レーザ10からの光出力のうち、代表的なものとして、開口径Dをそれぞれ5.5μm及び8.0μmに設定した上で共振器長Lを種々調節した場合の光出力を示している。また、本実施例においては、共振器長Lを調節するために、n型半導体層13の層厚を調節した。
【0053】
まず、本願の発明者らは、面発光レーザ10における電流狭窄部CCの開口径D及び共振器長Lを適切に設定することで、レーザ光LBの発振モードにおける横モードを安定させることができることを見出した。これによって、例えば、高出力な単峰性のレーザ光LBを安定して生成することが可能となる。
【0054】
具体的には、共振器長Lは発光層14から放出される光の媒質内波長λの4倍以上であること、及び、電流狭窄径は5.5μm以下であることが好ましい。これによって、図3に示すように、共振器長Lに比例してシングルモードで発振するレーザ光LBの光出力が増大することがわかる。
【0055】
これは、まず、共振器長Lが長いほど、中心領域R1及び周辺領域R2間の媒質(レーザ媒質)内の等価屈折率の差が小さくなることに起因する。中心領域R1及び周辺領域R2間での等価屈折率の差が小さいと、全反射の条件を満たすモードの数が制限され、中心領域R1内に存在できる高次モードの数を減らすことができる。また、共振器長Lが長いほど、高次モードの光成分と基本モードであるシングルモードの光成分との間の回折損失の差が増大する。従って、共振器長が長いほど、レーザ光LB内のシングルモードの光成分の比率が大きくなる。
【0056】
また、本願の発明者らは、共振器長Lが長くなるほど、発光領域の発熱(温度上昇)が抑制されることを見出した。また、本願の発明者らは、当該発光領域の発熱を抑制することで、レーザ媒質内における意図しない熱レンズ効果の発生を抑制することができ、高次モードの増大を抑制することができることを見出した。これらは、本願の発明者らが実験を行うことで確認できた。
【0057】
例えば、中心領域R1の等価屈折率を屈折率n1とし、周辺領域R2の等価屈折率を屈折率n2とした場合、屈折率n1及びn2の比屈折率差Δnは、(n1−n2)/n1として定義されることができる。そして、比屈折率差Δnは、Δn≦1.0×10-2の関係を満たすことが好ましい。例えば、本実施例においては、共振器長Lを媒質内波長λの10倍に設定した面発光レーザ10を作製した。この面発光レーザ10においては、当該比屈折率差Δnは、約1.5×10-3であった。
【0058】
次に、本願の発明者らは、共振器長Lを媒質内波長λの4波長分以上とし、電流狭窄径を5.5μm以下とすることで、シングルモードの光成分が支配的とったレーザ光LBが出射されることを確認した。従って、この条件を満たすことで、シングルモードの光出力が共振器長を長くすることで増大し、安定した単峰性であり高出力なレーザ光LBが出射される。なお、電流狭窄部CCの開口径Dが5.5μmよりも大きい場合、例えば開口径Dが8.0μmの場合、図3に示すように、シングルモードでのレーザ発振が安定せず、共振器長Lを長くしてもシングルモードの光出力としては増大しなかった。
【0059】
このように、高出力な単峰性のレーザ光LBを得ることを考慮した場合、第1及び第2の反射鏡12及び19間には、半導体構造層EM内の電流路を狭窄しかつ発光中心軸CA(発光層14の発光中心)を画定する電流狭窄層15Aが設けられており、電流狭窄層15Aは、電流路の開口部を形成し、5.5μm以下の開口径Dを有する電流狭窄部CCを有することが好ましい。そして、共振器長L、すなわち、本実施例においては、中心領域R1における第1及び第2の反射鏡12及び19間の距離は、発光層14から放出される光の媒質内波長λの4倍以上であることが好ましい。
【0060】
なお、本実施例においては、第1の反射鏡12から基板11を介してレーザ光LBを出射する場合について説明した。この場合、基板11の第1の反射鏡12とは反対側の表面に、反射防止膜(ARコーティング)を設けることが好ましい。しかし、面発光レーザ10は、第1の反射鏡12側からレーザ光LBを出射する場合に限定されない。面発光レーザ10は、第2の反射鏡19側からレーザ光LBを出射するように構成されていてもよい。この場合、例えば、第2の反射鏡19の光反射率が第1の反射鏡12の光反射率よりも小さくなるように第1及び第2の反射鏡12及び19を構成すればよい。
【0061】
また、本実施例においては、電流狭窄層15AがGaN層の表面の一部の高抵抗領域として形成される場合について説明した。しかし、電流狭窄層15Aの構成はこれに限定されない。例えば、電流狭窄層15Aは、半導体構造層EM上に設けられた絶縁層として構成されていてもよい。この場合、当該絶縁層が電流狭窄部CCとして機能する開口部を有していればよい。
【0062】
また、本実施例においては、第1の反射鏡12が半導体多層膜反射鏡であり、第2の反射鏡19が誘電体多層膜反射鏡である場合について説明した。しかし、第1及び第2の反射鏡12及び19の構成はこれに限定されない。例えば、第2の反射鏡19は半導体多層膜反射鏡であってもよいし、第1及び第2の反射鏡12及び19の両方が誘電体多層膜反射鏡であってもよい。第1及び第2の反射鏡12及び19の各々は、屈折率が互いに異なる複数の膜が積層された多層膜反射鏡であればよい。
【0063】
また、本実施例においては、光ガイド層LGが透光電極膜16と第2の反射鏡19との間に形成された第1及び第2の透光絶縁層17及び18からなる場合について説明した。また、第1の透光絶縁層17が凸部17Pを有し、第2の透光絶縁層18がこの凸部17Pと同一の高さの上面を有するように第1の透光絶縁層17上に形成される場合について説明した。しかし、光ガイド層LGの構成はこれに限定されない。光ガイド層LGは、例えば、中心領域R1において周辺領域R2よりも高い等価屈折率を有するように構成されていればよい。
【0064】
例えば、第2の透光絶縁層18は、凸部17P上に形成されていてもよい。すなわち、第2の透光絶縁層18は、少なくとも周辺領域R2における第1の透光絶縁層17上に形成されていればよい。また、第2の透光絶縁層18は、光ガイド層LGの上面を平坦化するように構成されていればよい。例えば、第2の透光絶縁層18は、光ガイド層LGの上面を平坦化するように周辺領域R2の第1の透光絶縁層17上に形成されていればよい。
【0065】
また、例えば、第1及び第2の透光絶縁層17及び18間に他の透光絶縁層が設けられていてもよい。また、例えば、光ガイド層LGは、光ガイド構造GDとして、中心領域R1及び周辺領域R2間に両者の中間の光学距離となる中間領域を形成するように構成されていてもよい。
【0066】
また、本実施例においては、光ガイド層LGが平坦な上面を有する場合について説明した。しかし、第2の反射鏡19が中心領域R1及び周辺領域R2に亘る平坦性を有していれば、光ガイド層LGの構成はこれに限定されない。光ガイド層LGは、第1及び第2の反射鏡12及び19間に中心領域R1及び周辺領域R2を含む光ガイド構造GDを形成していればよい。
【0067】
このように、面発光レーザ10は、基板11と、基板11上に形成された第1の多層膜反射鏡12と、第1の多層膜反射鏡12上に形成され、発光層14を含む半導体構造層EMと、半導体構造層EM上に形成され、第1の多層膜反射鏡12との間で共振器を構成する第2の多層膜反射鏡19と、を有する。
【0068】
また、面発光レーザ10は、第1及び第2の多層膜反射鏡12及び19間に、基板11に垂直な方向に延びかつ発光層14の発光領域(発光中心を通る発光中心軸CAを含む領域)上に設けられた中心領域R1と、中心領域R1の周囲に設けられかつ中心領域R1よりも第1及び第2の多層膜反射鏡12及び19間の光学距離が小さい周辺領域R2と、含む光ガイド構造GDを形成する光ガイド層LGを有する。また、第2の多層膜反射鏡19は、中心領域R1及び周辺領域R2に亘る平坦性を有する。従って、低閾値及び高出力な面発光レーザ10(及び垂直共振器型発光素子)を提供することができる。
【実施例2】
【0069】
図4は、実施例2に係る面発光レーザ20の断面図である。面発光レーザ20は、トンネル接合による電流狭窄構造を有する点を除いては、面発光レーザ10と同様の構成を有する。
【0070】
図4に示すように、面発光レーザ10は、p型半導体層15上に設けられたトンネル接合層21と、トンネル接合層21上を埋め込んでトンネル接合層21及びp型半導体層15上に設けられたn型半導体層(第2のn型半導体層又は第3の半導体層)22と、を有する。
【0071】
本実施例においては、トンネル接合層21は、p型半導体層15上に形成され、p型半導体層(第2の半導体層)15よりも高い不純物濃度を有するハイドープp型半導体層(図示せず)と、当該ハイドープp型半導体層上に形成され、n型半導体層(第1のn型半導体層又は第1の半導体層)13よりも高い不純物濃度を有するハイドープn型半導体層(図示せず)と、を含む。
【0072】
また、本実施例においては、第2の電極E2は、n型半導体層22上に形成されている。また、光ガイド層LGは、n型半導体層22上に形成され、中心領域R1上に凸部17APを有する第1の透光絶縁層17Aと、周辺領域R2における第1の透光絶縁層17上に形成された第2の透光絶縁層18Aと、を有する。第1及び第2の透光絶縁層17A及び18A並びに凸部17APは、面発光レーザ10における第1及び第2の透光絶縁層17及び18並びに凸部17Pとそれぞれ同様の構成を有する。
【0073】
本実施例においては、トンネル接合層21が電流狭窄層として機能し、トンネル接合層21の領域が電流狭窄部CCとして機能する。また、トンネル接合層21の中心が発光層14の発光中心の位置に対応し、この中心を通る基板11に垂直な直線が発光中心軸CAである。すなわち、本実施例においては、半導体構造層EM内の電流路を狭窄し、発光層14の発光中心及び発光領域を画定する電流狭窄層がトンネル接合層21を有する。
【0074】
また、n型半導体層22上には、トンネル接合層21の形状を引き継ぐ凸部が設けられる。第1の透光絶縁層17Aの凸部17APは、当該トンネル接合層21の領域に対応する他の領域よりも突出した部分である。第2の透光絶縁層18Aは、この凸部17APの高さに対応する上面を有するように、周辺領域R2における第1の透光絶縁層17A上に形成されている。
【0075】
換言すれば、本実施例においては、トンネル接合層21の領域は、電流狭窄部CCであり、これに対応する第1の透光絶縁層17Aの凸部17APによって中心領域R1及び周辺領域R2が画定される。従って、トンネル接合層21の幅が中心領域R1の幅に対応する。
【0076】
本実施例のように、トンネル接合を用いて電流狭窄構造を形成する場合、第1及び第2の反射鏡12及び19間には、光ガイド層LGを除く全てのレーザ媒質が半導体層となる。従って、各層の位置精度が安定し、また設計した特性に近い光学特性の面発光レーザ20となりやすい。
【0077】
また、本実施例のように、トンネル接合を用いた電流狭窄構造を有する面発光レーザ20においても、光ガイド層LGによって互いに第1及び第2の反射鏡12及び19間の光学距離が異なる中心領域R1及び周辺領域R2を含む光ガイド構造GDが形成されることができる。また、光ガイド層LGの上面を平坦面S1とすることで、光ガイド層LG上の第2の反射鏡19は中心領域R1及び周辺領域R2に亘って平坦性を有する。従って、低閾値及び高出力な面発光レーザ20を提供することができる。
【実施例3】
【0078】
図5は、実施例3に係る面発光レーザ30の断面図である。面発光レーザ30は、半導体構造層EM内のp型半導体層(第2の半導体層)31が光ガイド層LGを構成することを除いては、面発光レーザ10と同様の構成を有する。
【0079】
具体的には、半導体構造層EMは、発光層14上に形成され、中心領域R1内に凸部31Aを有するp型半導体層31を有する。また、面発光レーザ30は、周辺領域R2におけるp型半導体層31上に形成され、p型半導体層31よりも小さな屈折率を有する透光絶縁層32を有する。本実施例においては、光ガイド層LGは、このp型半導体層31及び透光絶縁層32を含む。透光絶縁層32は、例えばSiO2からなる。
【0080】
また、透光絶縁層32は、p型半導体層31の凸部31Aの側面を覆うように周辺領域R2におけるp型半導体層31上に形成されている。また、透光絶縁層32は、p型半導体層31の凸部31Aの上面と透光絶縁層32の上面が同一平面となるようにp型半導体層31上に形成されている。すなわち、透光絶縁層32は、光ガイド層LGの上面を平坦化するように周辺領域R2のp型半導体層31上に形成されている。従って、光ガイド層LGの上面は中心領域R1及び周辺領域R2に亘って平坦性を有する平坦面S2となる。
【0081】
本実施例においては、光ガイド層LGの透光絶縁層32は、電流狭窄層として機能する。また、p型半導体層31の凸部31Aの側面を覆う透光絶縁層32の部分は、電流狭窄部CCとしての開口部を形成する。従って、本実施例においては、光ガイド層LGは、光ガイド構造GDを形成するのみならず、電流狭窄構造を有する。
【0082】
p型半導体層31上には、凸部31Aの上面に接触しつつ透光電極層32上に形成された透光電極膜16が設けられており、透光電極膜16には第2の電極E2が接続されている。
【0083】
また、本実施例においては、透光電極膜16上には、絶縁層33が形成され、絶縁層33上に第2の反射鏡34が形成されている。絶縁層33は、共振器長を画定するためのスペーサ層(位相調整層)として設けられている。本実施例においては、絶縁層33は、Nb25層からなる。また、第2の反射鏡34は、高屈折率誘電体膜H21としてのNb25層と、低屈折率誘電体膜L21としてのSiO2層が複数回積層された構造を有する。本実施例においては、第2の反射鏡34は、誘電体多層膜反射鏡である。
【0084】
本実施例のように、光ガイド層LGを半導体層によって形成することで、光ガイド層LGに電流狭窄機能を持たせることもできる。従って、構成が単純化されつつ、低閾値及び高出力な面発光レーザ30を提供することができる。
【0085】
なお、例えば面発光レーザ30においても、実施例1において図3を用いて説明した電流狭窄径(開口径D)及び共振器長Lを適切に調節することで、発振モードを安定させることができる(例えばシングルモードで発振させることができる)。
【0086】
すなわち、面発光レーザ30においては、透光絶縁層32が半導体構造層EM内の電流路を狭窄しかつ発光中心軸CA(発光層14の発光中心)を画定する電流狭窄層として機能する。そして、例えば、この電流狭窄層としての透光絶縁層32は、電流路の開口部を形成し、5.5μm以下の開口径Dを有する電流狭窄部CCを有することが好ましい。
【0087】
また、中心領域R1における第1及び第2の反射鏡12及び19間の距離Lは、発光層14から放出される光の中心領域R1の媒質内における波長λの4倍以上であることが好ましい。本実施例においては、中心領域R1の媒質とは、n型半導体層13、発光層14、p型半導体層31、透光電極膜16及び絶縁層33の全体をいう。
【0088】
なお、面発光レーザ30における当該共振器長Lの調節例として、面発光レーザ30の各層は、例えば以下の構成を有する。n型半導体層13は、1570nmの層厚を有するn−GaN層からなる。発光層14は、3つの4nmのInGaN層(井戸層)及び5nmのGaN層(障壁層)が交互に積層された多重量子井戸構造の活性層からなる。
【0089】
また、p型半導体層31は、中心領域R1に5.5μmの直径の凸部31Aを有し、中心領域R1おいて50nmの層厚を有し、周辺領域R2において30nmの層厚を有するp−GaN層を有する。透光絶縁層32は、p型半導体層31の凸部31Aの上面を除くp型半導体層31の表面上に、20nmの層厚で形成されたSiO2層からなる。透光電極膜16は、20nmの層厚を有するITO膜からなる。また、絶縁層33は、40nmの層厚を有するNb25層からなる。
【0090】
例えばこのように各層の層厚を調節することで、発光層14から放出される光における媒質内波長λの10倍分に対応する共振器長Lの共振器を構成することができる。この面発光レーザ30からの光出力を測定したところ、約5mWの出力のシングルモードのレーザ光LBを得ることができた。また、レーザ光LBの放射角は、約5.1°であった。
【0091】
このように、電流狭窄径及び共振器長を調節することで、高出力で安定した単峰性のレーザ光LBを得ることができる。また、本明細書中の他の実施例においても、同様の調節を行うことで、例えば図3に示すような効果を得ることができる。
【実施例4】
【0092】
図6は、実施例4に係る面発光レーザ40の断面図である。面発光レーザ40は、光ガイド層LGが第1の反射鏡41の一部及びn型半導体層42によって構成されている点を除いては、面発光レーザ30と同様の構成を有する。
【0093】
面発光レーザ40においては、第1の反射鏡41が中心領域R1に凹部41Aを有する。本実施例においては、第1の反射鏡41における最もn型半導体層42側の半導体膜である低屈折率半導体膜L1Aは、中心領域R1に凹部41Aとしての開口部を有する。
【0094】
より具体的には、第1の反射鏡41は、高屈折率半導体膜(第1の半導体膜)H1と高屈折率半導体膜H1及び半導体構造層EMのn型半導体層(第1の半導体層)13よりも小さな屈折率を有する低屈折率半導体膜(第2の半導体膜)L1とが複数回交互に積層された構造を有する。また、第1の反射鏡41は、最もn型半導体層13側に設けられ、中心領域R1に開口部を有する低屈折率半導体膜L1Aを有する。
【0095】
また、n型半導体層42は、第1の反射鏡41の凹部41Aを埋め込む埋込部42Aを有する。n型半導体層42は、平坦な上面を有する。発光層14から絶縁層33までの各層は、この平坦なn型半導体層42上に形成されている。また、第2の反射鏡34は、絶縁層33の上面である平坦面S2上に形成されている。
【0096】
本実施例においては、この第1の反射鏡41の低屈折率半導体膜L1Aとn型半導体層42は、光ガイド層LGを構成する。また、本実施例における光ガイド層LGにおいては、n型半導体層42のみからなる中心領域R1と、n型半導体層42及び低屈折率半導体膜L1Aからなる周辺領域R2とが形成される。また、周辺領域R2は、中心領域R1よりも第1及び第2の反射鏡41及び34間の光学距離が小さい。従って、他の実施例と同様に、低閾値及び高出力な面発光レーザ40を提供することができる。
【実施例5】
【0097】
図7は、実施例5に係る面発光レーザ50の断面図である。面発光レーザ50は、光ガイド構造LGを除いては、面発光レーザ30と同様の構成を有する。本実施例においては、半導体層のみによって光ガイド層LGが構成されている。
【0098】
面発光レーザ50は、半導体構造層EMのp型半導体層15上の一部の領域上に設けられたトンネル接合層21を有する。トンネル接合層21は、面発光レーザ20におけるトンネル接合層21と同様の構成を有する。トンネル接合層21は、第1及び第2の反射鏡12及び34間における中心領域R1を画定する。
【0099】
面発光レーザ50は、トンネル接合層21上に設けられたn型半導体層(第2のn型半導体層又は第3の半導体層)51と、n型半導体層51の側面を取り囲み、n型半導体層51よりも小さな屈折率を有するn型半導体層(第3のn型半導体層又は第4の半導体層)52と、を有する。n型半導体層52は、第1及び第2の反射鏡12及び34間における周辺領域R2を画定する。本実施例においては、n型半導体層51、トンネル接合層21、p型半導体層15の一部及びn型半導体層52が光ガイド層LGを構成する。
【0100】
n型半導体層52は、Geをn型不純物として含む。これによって、n型半導体層52は、n型半導体層51、トンネル接合層21及びp型半導体層15の一部(すなわち中心領域R1)の平均屈折率よりも小さな屈折率を有する。また、n型半導体層52は、n型半導体層51の上面と同一平面をなす上面を有する。すなわち、n型半導体層52は、光ガイド層LGの上面を平坦化するようにn型半導体層51の周囲(すなわち周辺領域R2)に形成されている。従って、光ガイド層LGは、平坦な上面を有する。
【0101】
n型半導体層51及び52上には、スペーサ層としての絶縁層33及び第2の反射鏡34が形成されている。光ガイド層LGは平坦な上面を有するため、絶縁層33及び第2の反射鏡34の各々は、中心領域R1及びR2に亘って平坦性を有する。従って、低閾値及び高出力な面発光レーザ50を提供することができる。
【0102】
なお、上記に示した実施例は、一例に過ぎない。例えば、上記した種々の実施例は組み合わせることができる。例えば、面発光レーザ10が面発光レーザ40の光ガイド構造GDを有していてもよい。また、面発光レーザ40がトンネル接合層21による電流狭窄構造を有していてもよい。
【符号の説明】
【0103】
10、20、30、40、50 面発光レーザ(垂直共振器型発光素子)
11 基板
12 第1の多層膜反射鏡
EM 半導体構造層
14 発光層
19、34 第2の多層膜反射鏡
LG 光ガイド層
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7