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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-209447(P2019-209447A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】外径ボーリング工具および工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23B 3/24 20060101AFI20191115BHJP
   B23B 5/12 20060101ALI20191115BHJP
   B23B 29/16 20060101ALI20191115BHJP
   B23B 23/00 20060101ALI20191115BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
   B23B3/24
   B23B5/12
   B23B29/16
   B23B23/00 Z
   B23Q11/10 D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-109388(P2018-109388)
(22)【出願日】2018年6月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秀田 守弘
(72)【発明者】
【氏名】霜田 直史
【テーマコード(参考)】
3C011
3C045
3C046
【Fターム(参考)】
3C011EE05
3C011EE06
3C045BA33
3C045CA05
3C045DA07
3C045FE09
3C045FE12
3C046MM09
(57)【要約】
【課題】びびり振動の発生が抑制される外径ボーリング工具と、そのような外径ボーリング工具を備えた工作機械と、を提供する。
【解決手段】外径ボーリング工具は、中心軸101を中心とする円筒形状を有する円筒部22と、円筒部22の先端側に設けられる刃部23とを含み、中心軸101を中心に回転される工具本体21と、円筒部22の内部に配置され、円筒部22の基端側から切削油の圧力を受ける受圧部42と、受圧部42から円筒部22の先端側に向けて中心軸101の軸上に沿って延び、その先端44にて先細りのテーパ形状をなすセンターピン43とを含み、中心軸101の軸方向に移動可能に構成される移動部材41とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定軸を中心とする円筒形状を有する円筒部と、前記円筒部の先端側に設けられる刃部とを含み、前記所定軸を中心に回転される工具本体と、
前記円筒部の内部に配置され、前記円筒部の基端側から切削油の圧力を受ける受圧部と、前記受圧部から前記円筒部の先端側に向けて前記所定軸の軸上に沿って延び、その先端にて先細りのテーパ形状をなすセンターピンとを含み、前記所定軸の軸方向に移動可能に構成される移動部材とを備える、外径ボーリング工具。
【請求項2】
前記円筒部の内部には、前記円筒部の先端側に位置する先端側空間と、前記先端側空間と前記受圧部を隔てて前記円筒部の基端側に位置し、切削油が供給される基端側空間とが形成され、
前記受圧部には、前記先端側空間に開口する開口面を有し、前記先端側空間および前記基端側空間の間を連通させる孔が設けられる、請求項1に記載の外径ボーリング工具。
【請求項3】
前記開口面は、前記センターピンの先端よりも前記円筒部の基端側に配置される、請求項2に記載の外径ボーリング工具。
【請求項4】
前記開口面は、前記所定軸の軸方向において、前記刃部と対向して配置される、請求項2または3に記載の外径ボーリング工具。
【請求項5】
前記孔は、前記開口面に近づくほど前記所定軸の半径方向における前記所定軸からの距離が小さくなるように、前記所定軸に対して傾斜する傾斜部を有する、請求項2から4のいずれか1項に記載の外径ボーリング工具。
【請求項6】
前記孔は、前記所定軸に直交する平面により切断された場合に、前記開口面の開口面積よりも小さい開口面積を有する断面位置を有する、請求項2から5のいずれか1項に記載の外径ボーリング工具。
【請求項7】
前記孔を規定する前記受圧部の内周面には、雌ねじが設けられ、さらに、
前記孔に螺合されるネジ部材を備え、
前記ネジ部材には、前記先端側空間および前記基端側空間の間を連通させる連通孔が設けられる、請求項2から6のいずれか1項に記載の外径ボーリング工具。
【請求項8】
前記孔に、前記孔に対して嵌合可能に構成された嵌合部材をさらに備え、
前記嵌合部材には、前記先端側空間および前記基端側空間の間を連通させる連通孔が設けられる、請求項2から6のいずれか1項に記載の外径ボーリング工具。
【請求項9】
前記工具本体は、前記円筒部の内壁から前記所定軸の径方向内側に向けて突出し、前記円筒部の先端側に向けた前記移動部材の移動を規制するストッパーをさらに含み、
前記移動部材の移動が前記ストッパーにより規制された状態において、前記センターピンの先端が、前記刃部よりも前記円筒部の先端側に突出している、請求項1から8のいずれか1項に記載の外径ボーリング工具。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の外径ボーリング工具と、
前記外径ボーリング工具が装着され、前記工具本体を回転させる工具主軸と、
前記外径ボーリング工具に対して切削油を供給する切削油供給部と、
前記切削油供給部から前記外径ボーリング工具に供給される切削油の圧力を調整する圧力調整部と、
前記圧力調整部を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、単一のワークに対する外径ボーリング加工の間に、
切削油の圧力を第1圧力に調整するステップと、
前記切削油の圧力を第1圧力に調整するステップの後、切削油の圧力を前記第1圧力と異なる第2圧力に調整するステップとを含む圧力調整を実行するように、前記圧力調整部を制御する、工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外径ボーリング工具および工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2013−107150号公報(特許文献1)には、厚肉部品に対して大径の穴あけを行なう場合に、内部にコア(芯材)を残しつつ、くり抜くようにして穴あけ加工するトレパニング工具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−107150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワークの外径を高精度に加工するために外径ボーリング工具が用いられている。外径ボーリング工具には、円筒形状を有し、その中心軸を中心に回転する円筒部と、円筒部の先端側に設けられ、円筒部の回転に伴って周方向に旋回する刃部とが備わっている。円筒部をその中心軸の軸方向に移動させつつ、刃部をワークの外周上で旋回させることによって、ワークの外径をボーリング加工する。
【0005】
しかしながら、このような外径ボーリング工具を用いたワーク加工では、ワークの支持端から、ワークと刃部との接点までの距離が大きいことを理由に、びびり振動が発生し易い。
【0006】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、びびり振動の発生が抑制される外径ボーリング工具と、そのような外径ボーリング工具を備えた工作機械とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従った外径ボーリング工具は、所定軸を中心とする円筒形状を有する円筒部と、円筒部の先端側に設けられる刃部とを含み、所定軸を中心に回転される工具本体と、円筒部の内部に配置され、円筒部の基端側から切削油の圧力を受ける受圧部と、受圧部から円筒部の先端側に向けて所定軸の軸上に沿って延び、その先端にて先細りのテーパ形状をなすセンターピンとを含み、所定軸の軸方向に移動可能に構成される移動部材とを備える。
【0008】
このように構成された外径ボーリング工具によれば、ワークの加工時、受圧部が円筒部の基端側から切削油の圧力を受けることによって、センターピンの先端がワークに押し当てられる。これにより、ワークが芯押しされた状態で加工が進行するため、びびり振動の発生を抑制することができる。
【0009】
また好ましくは、円筒部の内部には、円筒部の先端側に位置する先端側空間と、先端側空間と受圧部を隔てて円筒部の基端側に位置し、切削油が供給される基端側空間とが形成される。受圧部には、先端側空間に開口する開口面を有し、先端側空間および基端側空間の間を連通させる孔が設けられる。
【0010】
このように構成された外径ボーリング工具によれば、基端側空間に供給された切削油を、孔を通じて先端側空間に導くことができる。これにより、刃部により加工されるワークに向けて切削油を吐出させることができる。
【0011】
また好ましくは、孔の開口面は、センターピンの先端よりも円筒部の基端側に配置される。
【0012】
このように構成された外径ボーリング工具によれば、切削油を、センターピンの先端が押し付けられるワークの端面よりも手前側から吐出させることができる。これにより、切削油をより確実にワークに供給することができる。
【0013】
また好ましくは、孔の開口面は、所定軸の軸方向において、刃部と対向して配置される。
【0014】
このように構成された外径ボーリング工具によれば、切削油をより確実にワークと刃部との接点に供給することができる。
【0015】
また好ましくは、孔は、開口面に近づくほど所定軸の半径方向における所定軸からの距離が小さくなるように、所定軸に対して傾斜する傾斜部を有する。
【0016】
このように構成された外径ボーリング工具によれば、切削油を、センターピンの先端が押し付けられるワークの端面に向けて吐出させることができる。これにより、切削油をより確実にワークと刃部との接点に供給することができる。
【0017】
また好ましくは、孔は、所定軸に直交する平面により切断された場合に、開口面の開口面積よりも小さい開口面積を有する断面位置を有する。
【0018】
このように構成された外径ボーリング工具によれば、切削油を拡散させながらワークに向けて吐出させることができる。これにより、切削油をより確実にワークに供給することができる。
【0019】
また好ましくは、孔を規定する受圧部の内周面には、雌ねじが設けられる。外径ボーリング工具は、孔に螺合されるネジ部材をさらに備える。ネジ部材には、先端側空間および基端側空間の間を連通させる連通孔が設けられる。
【0020】
また好ましくは、外径ボーリング工具は、孔に、孔に対して嵌合可能に構成された嵌合部材をさらに備える。嵌合部材には、先端側空間および基端側空間の間を連通させる連通孔が設けられる。
【0021】
このように構成された外形ボーリング工具によれば、基端側空間に供給された切削油を、連通孔を通じて先端側空間に導くことができる。この際、ネジ部材または嵌合部材に設けられた連通孔の開口面積を適切に設定することによって、ワークに向けて吐出される切削油の流量を調整することができる。
【0022】
また好ましくは、工具本体は、円筒部の内壁から所定軸の径方向内側に向けて突出し、円筒部の先端側に向けた移動部材の移動を規制するストッパーをさらに含む。移動部材の移動がストッパーにより規制された状態において、センターピンの先端が、刃部よりも円筒部の先端側に突出している。
【0023】
このように構成された外径ボーリング工具によれば、センターピンの先端をワークに押し当てた後に、刃部によるワークの加工を開始することができる。
【0024】
この発明に従った工作機械は、上述のいずれかに記載の外径ボーリング工具と、外径ボーリング工具が装着され、工具本体を回転させる工具主軸と、外径ボーリング工具に対して切削油を供給する切削油供給部と、切削油供給部から外径ボーリング工具に供給される切削油の圧力を調整する圧力調整部と、圧力調整部を制御する制御装置とを備える。制御装置は、単一のワークに対する外径ボーリング加工の間に、切削油の圧力を第1圧力に調整するステップと、切削油の圧力を第1圧力に調整するステップの後、切削油の圧力を第1圧力と異なる第2圧力に調整するステップとを含む圧力調整を実行するように、圧力調整部を制御する。
【0025】
このように構成された工作機械によれば、びびり振動の発生し易いタイミングおよび発生し難いタイミングに合わせて、受圧部が円筒部の基端側から受ける切削油の圧力の大きさを変化させることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上に説明したように、この発明に従えば、びびり振動の発生が抑制される外径ボーリング工具と、そのような外径ボーリング工具を備えた工作機械とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】この発明の実施の形態1における外径ボーリング工具を示す分解組み立て図である。
図2】この発明の実施の形態1における外径ボーリング工具を示す断面図である。
図3図2中の外径ボーリング工具を示す底面図である。
図4図2中の外径ボーリング工具を搭載する工作機械を模式的に示す図である。
図5図2中の外径ボーリング工具を用いてワークの外径を加工する第1工程を示す図である。
図6図2中の外径ボーリング工具を用いてワークの外径を加工する第2工程を示す図である。
図7】外径ボーリング工具に供給される切削油の圧力変化を示すグラフである。
図8】外径ボーリング工具に供給される切削油の圧力変化の変形例を示すグラフである。
図9図2中の矢印IXに示す方向から見た移動部材および刃部を示す上面図である。
図10】受圧部に孔が設けられる形態の第1変形例を示す断面図である。
図11】受圧部に孔が設けられる形態の第2変形例を示す断面図である。
図12】受圧部に孔が設けられる形態の第3変形例を示す断面図である。
図13】受圧部に孔が設けられる形態の第4変形例を示す断面図である。
図14】受圧部に孔が設けられる形態の第5変形例を示す断面図である。
図15図14中に示される孔と、その孔に配置されるネジ部材との組み合わせを示す断面図である。
図16】受圧部に孔が設けられる形態の第5変形例の別の形態を示す断面図である。
図17】受圧部に孔が設けられる形態の第6変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における外径ボーリング工具を示す分解組み立て図である。図2は、この発明の実施の形態1における外径ボーリング工具を示す断面図である。図3は、図2中の外径ボーリング工具を示す底面図である。
【0030】
図1から図3を参照して、本実施の形態における外径ボーリング工具10は、ワークの外径を加工(ボーリング加工)するための工具である。外径ボーリング工具10は、工具本体21と、移動部材41とを有する。
【0031】
工具本体21は、円筒部22と、刃部23とを有する。円筒部22は、全体として、中心軸101を中心とする円筒形状を有する。円筒部22には、貫通孔24が設けられている。貫通孔24は、中心軸101を中心にその軸方向に沿って延び、円筒部22を貫通している。貫通孔24は、中心軸101に直交する平面により切断された場合に、中心軸101を中心とする円形の断面を有する。
【0032】
中心軸101の軸方向における円筒部22の一方端側を、「先端側」といい、中心軸101の軸方向における円筒部22の他方端側を、「基端側」という。円筒部22の先端側は、ワークの加工開始時に、中心軸101の軸方向においてワークと相対する側であり、円筒部22の基端部は、中心軸101の軸方向において円筒部22の先端部の反対側である。
【0033】
刃部23は、ワークの外径を切削する刃の部分である。刃部23は、円筒部22の先端側に設けられている。刃部23は、たとえば、円筒部22に対して着脱可能なチップから構成されている。
【0034】
工具本体21は、複数の刃部23を有する。複数の刃部23は、中心軸101を中心とする周方向において互いに間隔を隔てて設けられている。複数の刃部23は、中心軸101を中心とする周方向において等間隔に設けられている。たとえば、図3(A)に示されるように、2つの刃部23が、180°の間隔で設けられてもよいし、図3(B)に示されるように、3つの刃部23が、120°間隔で設けられてもよい。
【0035】
工具本体21は、中心軸101を中心に回転される。より具体的には、工具本体21は、工具ホルダ110を介して、工作機械の工具主軸210(後出の図4を参照のこと)に装着される。工具ホルダ110は、チャッキング部120を有する。円筒部22は、装着部25を有する。装着部25は、円筒部22の基端側に設けられている。装着部25がチャッキング部120によりクランプされることによって、工具本体21が工具ホルダ110に保持される。工具本体21は、工作機械の工具主軸210からの回転力を受けることにより、中心軸101を中心に回転される。
【0036】
工具本体21は、ストッパー26をさらに有する。ストッパー26は、円筒部22と一体に設けられている。ストッパー26は、円筒部22の内壁から中心軸101の径方向内側に向けて突出している。ストッパー26は、貫通孔24を規定する円筒部22の内壁から突出し、中心軸101の外周上に配置される鍔形状を有する。ストッパー26は、中心軸101の軸方向において、刃部23よりも円筒部22の基端側に設けられている。ストッパー26は、中心軸101の軸方向において、円筒部22の先端側における貫通孔24の端部と、円筒部22の基端側における貫通孔24の端部との間に設けられている。
【0037】
移動部材41は、円筒部22の内部において、中心軸101の軸方向に沿って移動可能なように構成されている。
【0038】
移動部材41は、受圧部42と、センターピン43とを有する。受圧部42は、円筒部22の内部に配置されている。受圧部42は、中心軸101を中心とする円盤形状を有する。受圧部42は、中心軸101の軸方向に沿って移動可能なように貫通孔24に嵌合されている。
【0039】
受圧部42は、先端側端面42aと、基端側端面42bとを有する。先端側端面42aおよび基端側端面42bは、互いに平行な平面である。先端側端面42aおよび基端側端面42bは、中心軸101と直交する平面である。先端側端面42aおよび基端側端面42bは、中心軸101の軸方向から見た場合に、中心軸101を中心とする円形状を有する。先端側端面42aは、中心軸101の軸方向において円筒部22の先端側を向いて設けられている。基端側端面42bは、中心軸101の軸方向において円筒部22の基端側を向けて設けられている。
【0040】
センターピン43は、受圧部42と一体に設けられている。センターピン43は、受圧部42から円筒部22の先端側に向けて中心軸101の軸上に沿って延びている。センターピン43は、受圧部42の先端側端面42aから突出している。センターピン43は、受圧部42(先端側端面42a)よりも小さい直径を有する。センターピン43は、ストッパー26の内径よりも小さい直径を有する。
【0041】
センターピン43は、円筒部22の先端側に向けて延びる先端44において、先細りのテーパ形状をなしている。センターピン43の先端44は、先鋭形状を有する。
【0042】
受圧部42は、中心軸101の軸方向において、ストッパー26よりも円筒部22の基端側に設けられている。受圧部42が、中心軸101の軸方向においてストッパー26と当接することによって、円筒部22の先端側に向けた移動部材41の移動が規制されている。図2に示されるように、移動部材41の移動がストッパー26により規制された状態において、センターピン43の先端44は、刃部23よりも円筒部22の先端側に突出している。
【0043】
外部から外径ボーリング工具10に対して切削油が供給されることによって、受圧部42は、円筒部22の基端側から切削油の圧力を受ける。
【0044】
円筒部22の内部には、先端側空間51と、基端側空間52とが規定されている。先端側空間51および基端側空間52は、円筒部22の内部において、中心軸101の軸方向に並んでいる。先端側空間51は、円筒部22の先端側に位置している。受圧部42の先端側端面42aは、先端側空間51を区画している。基端側空間52は、先端側空間51と受圧部42を隔てて円筒部22の基端側に位置している。受圧部42の基端側端面42bは、基端側空間52を区画している。
【0045】
刃部23、ストッパー26およびセンターピン43は、先端側空間51に配置されている。移動部材41が中心軸101の軸方向に沿って移動することにより、先端側空間51および基端側空間52の容積が変化する。外径ボーリング工具10に対して供給された切削油は、基端側空間52に進入する。基端側空間52を満たす切削油が、受圧部42に対して、円筒部22の基端側から先端側に向けた切削油の圧力を作用させる。
【0046】
受圧部42には、孔46が設けられている。孔46は、先端側空間51および基端側空間52の間を連通させるように設けられている。受圧部42には、複数の孔46が設けられている。
【0047】
孔46は、開口面46pを有する。開口面46pは、先端側空間51に開口する孔46の開口面である。開口面46pは、センターピン43の先端44よりも円筒部22の基端側に配置されている。開口面46pは、受圧部42の先端側端面42aの平面上に規定されている。
【0048】
続いて、外径ボーリング工具10を搭載する工作機械の構成について説明する。図4は、図2中の外径ボーリング工具を搭載する工作機械を模式的に示す図である。
【0049】
図1から図4を参照して、工作機械200は、立形マシニングセンタである。本発明における工作機械は、これに限られず、たとえば、横形マシニングセンタであってもよいし、5軸加工機や複合加工機であってもよい。
【0050】
工作機械200は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたNC(Numerically Control)工作機械である。
【0051】
工作機械200は、上記の外径ボーリング工具10と、工具主軸210と、切削油供給部220と、圧力調整部230と、制御装置240とを有する。
【0052】
外径ボーリング工具10は、工具ホルダ110を介して、工具主軸210に装着されている。工具主軸210には、モータが内蔵されている。工具主軸210は、モータ駆動により、外径ボーリング工具10を中心軸101を中心に回転させることが可能なように構成されている。工具主軸210の回転中心(主軸中心)は、中心軸101と一致している。
【0053】
工具主軸210には、クーラント流路215が設けられている。クーラント流路215は、工具主軸210の主軸中心に沿って設けられている。クーラント流路215は、工具ホルダ110に設けられたクーラント流路116(図1を参照のこと)を介して、外径ボーリング工具10の貫通孔24に連通している。
【0054】
切削油供給部220は、外径ボーリング工具10に対して切削油を供給可能なように構成されている。切削油供給部220は、たとえば、切削油ポンプである。切削油供給部220から圧送された切削油は、工具主軸210内のクーラント流路215と、工具ホルダ110内のクーラント流路116とを順に通って、外径ボーリング工具10に供給される。
【0055】
圧力調整部230は、切削油供給部220から外径ボーリング工具10に供給される切削油の圧力を調整可能なように構成されている。圧力調整部230は、たとえば、圧力調整弁であり、切削油供給部220から工具主軸210に向けて供給される切削油の経路上に設けられている。
【0056】
制御装置240は、工作機械200に備え付けられ、工作機械200における各種動作を制御するための制御盤である。制御装置240は、圧力調整部230を制御する。制御装置240は、圧力調整部230における弁の開閉動作を制御する。
【0057】
図5および図6は、図2中の外径ボーリング工具を用いてワークの外径を加工する工程を示す図である。
【0058】
図5および図6を参照して、ワークWは、長尺の棒形状を有する。ワークWを、図示しない治具によりテーブル130上で支持する。外径ボーリング工具10を搭載した工作機械200が、立形マシニングセンタである場合において、ワークWの下端が支持端となる。
【0059】
工作機械200から外径ボーリング工具10への切削油の供給により、基端側空間52に切削油を導入する。工具主軸210を駆動させることにより、工具本体21を中心軸101を中心に回転させる。
【0060】
外径ボーリング工具10を、ワークWの直上からワークWに向けて下降させつつ、中心軸101の周方向に旋回する刃部23によって、ワークWの外径を加工する。外径ボーリング工具10の下降に伴って、ワークWの加工位置がワークWの上端側から下端側に移っていく。この間、センターピン43の先端44と、ワークWの端面とが当接することにより、移動部材41が、円筒部22の内部を通りながら中心軸101の軸方向に沿って上方に移動する。
【0061】
本実施の形態では、受圧部42が、基端側空間52を満たす切削油の圧力を受けることによって、センターピン43の先端44がワークWの端面に対して押し付けられる。これにより、ワークWの加工が常時、ワークWが芯押しされた状態で進行するため、びびり振動の発生を抑制することができる。
【0062】
また、受圧部42には、基端側空間52および先端側空間51の間を連通させる孔46が設けられている。このような構成により、切削油を、基端側空間52から孔46を通じて先端側空間51に導き、ワークWに向けて吐出させることができる。また、受圧部42に加わる切削油の圧力(背圧)が大きくなりすぎることを防ぐこともできる。
【0063】
また、孔46の開口面46pは、センターピン43の先端44よりも円筒部22の基端側に配置される。このような構成により、切削油を、センターピン43の先端44が押し付けられるワークWの端面よりも手前側から吐出させることができる。これにより、切削油をより確実にワークWに向けて吐出させることができる。
【0064】
また、図5に示されるように、移動部材41の移動がストッパー26により規制された状態において、センターピン43の先端44が、刃部23よりも円筒部22の先端側に突出している。このような構成により、センターピン43の先端44をワークWに押し当てて、ワークWが芯押しされた状態を得た後に、刃部23によるワークWの加工を開始することができる。
【0065】
図7は、外径ボーリング工具に供給される切削油の圧力変化を示すグラフである。図8は、外径ボーリング工具に供給される切削油の圧力変化の変形例を示すグラフである。図中には、ワークWの加工開始時(時間t1)から加工終了時(時間t3)までの間の切削油の圧力変化が示されている。
【0066】
図4図7および図8を参照して、制御装置240は、単一のワークWに対する外径ボーリング加工の間に、切削油の圧力を第1圧力P1に調整するステップと、切削油の圧力を第1圧力P1に調整するステップの後、切削油の圧力を第1圧力P1と異なる第2圧力P2に調整するステップとを含む圧力調整を実行するように、圧力調整部230を制御してもよい。
【0067】
このような構成によれば、びびり振動が発生し難いワークWの部分を加工するタイミングと、びびり振動が発生し易いワークWの部分を加工するタイミングとの間で、切削油の圧力に差を設けるなどして、切削油の消費量を節約しつつ、びびり振動の発生を抑制することができる。
【0068】
図7および図8に示す例では、第2圧力P2が、第1圧力P1よりも小さい。このような構成において、ワークWの支持端(下端)から、ワークWと刃部23との接点までの距離は、ワークWの加工が進行するのに伴って徐々に小さくなるため、びびり振動も、ワークWの加工を開始した当初に起こり易く、ワークWの加工が進行するのに伴って起こり難くなる。このため、切削油の圧力を相対的に大きい第1圧力P1に調整するステップと、その後、切削油の圧力を相対的に小さい第2圧力P2に調整するステップとを含む圧力調整を実行することによって、びびり振動の効果的な抑制が可能となる。
【0069】
圧力調整は、図7に示されるように、外径ボーリング工具10に供給される切削油の圧力が、第1圧力P1(時間t1から時間t2まで)と、第2圧力P2(時間t2から時間t3まで)とを段階的に経るように実行されてもよいし、図8に示されるように、外径ボーリング工具10に供給される切削油の圧力が、第1圧力P1から第2圧力P2に至るまで(時間t1から時間t3まで)連続的に減少するように実行されてもよい。また、外径ボーリング工具10に供給される切削油の圧力が、3以上の複数段階に渡って徐々に減少するように圧力調整が実行されてもよい。
【0070】
図9は、図2中の矢印IXに示す方向から見た移動部材および刃部を示す上面図である。図2および図9を参照して、孔46は、中心軸101の軸方向に沿って直線状に延びている。開口面46pは、中心軸101の軸方向において、刃部23と対向して配置されている。
【0071】
このような構成によれば、開口面46pから吐出される切削油の延長上に刃部23が配置されるため、切削油をより確実にワークと刃部23との接点に供給することができる。
【0072】
以上に説明した、この発明の実施の形態1における外径ボーリング工具10の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における外径ボーリング工具10は、所定軸としての中心軸101を中心とする円筒形状を有する円筒部22と、円筒部22の先端側に設けられる刃部23とを含み、中心軸101を中心に回転される工具本体21と、円筒部22の内部に配置され、円筒部22の基端側から切削油の圧力を受ける受圧部42と、受圧部42から円筒部22の先端側に向けて中心軸101の軸上に沿って延び、その先端44にて先細りのテーパ形状をなすセンターピン43とを含み、中心軸101の軸方向に移動可能に構成される移動部材41とを備える。
【0073】
このように構成された、この発明の実施の形態1における外径ボーリング工具10によれば、ワークの加工時、外径ボーリング工具10に供給された切削油の圧力によりセンターピン43の先端44がワークに押し当てられる。これにより、ワークが芯押しされた状態で加工が進行するため、びびり振動の発生を抑制することができる。
【0074】
(実施の形態2)
本実施の形態では、受圧部42に孔46が設けられる形態の各種の変形例について説明する。
【0075】
図10は、受圧部に孔が設けられる形態の第1変形例を示す断面図である。図11は、受圧部に孔が設けられる形態の第2変形例を示す断面図である。図11中には、図10中の2点鎖線XIに示す範囲のみが示されている。
【0076】
図10および図11を参照して、孔46は、傾斜部47を有する。傾斜部47は、開口面46pに近づくほど中心軸101の半径方向における中心軸101からの距離Lが小さくなるように、中心軸101に対して傾斜している。
【0077】
図10に示される変形例では、傾斜部47は、孔46の全体である。図11に示される変形例では、孔46は、直線部48と、傾斜部47とを有する。直線部48は、基端側空間52に開口し、基端側端面42bから所定の深さに渡って設けられている。直線部48は、中心軸101の軸方向に沿って直線状に延びている。傾斜部47は、直線部48から連なり、先端側空間51に開口している。
【0078】
これらの変形例によれば、切削油を、センターピン43の先端44が押し付けられるワークの端面に向けて吐出させることができる。これにより、切削油をワークの表面を伝わせて、ワークと刃部23との接点に供給することができる。
【0079】
図12は、受圧部に孔が設けられる形態の第3変形例を示す断面図である。図13は、受圧部に孔が設けられる形態の第4変形例を示す断面図である。図13中には、図12中の2点鎖線XIIIに示す範囲のみが示されている。
【0080】
図12および図13を参照して、孔46は、中心軸101に直交する平面により切断された場合に、開口面46pの開口面積よりも小さい開口面積を有する断面位置を有する。
【0081】
図12に示される変形例では、孔46は、その開口面積が、中心軸101の軸方向において開口面46pに向かうに従って徐々に大きくなるように構成されている。図13に示される変形例では、孔46が、小径部49と、大径部50とを有する。小径部49は、基端側空間52に開口し、基端側端面42bから所定の深さに渡って設けられている。小径部49は、開口面46pの開口面積よりも小さい開口面積を有する。大径部50は、小径部49から連なり、先端側空間51に開口している。大径部50が先端側空間51に開口する部分が、開口面46pに対応している。
【0082】
これらの変形例によれば、切削油を拡散させながらワークに向けて吐出させることができる。これにより、切削油をより確実にワークに供給することができる。
【0083】
なお、第1変形例および第2変形例における孔の構成と、第3変形例および第4変形例における孔の構成とを組み合わせて、新たな孔の形態を構成してもよい。たとえば、図12中に示す末広がりの孔46を、図10に示す傾斜部47のように、中心軸101に対して傾斜して設けてもよい。
【0084】
図14は、受圧部に孔が設けられる形態の第5変形例を示す断面図である。図14には、上記の図11および図13と同様の範囲が示されている。図15は、図14中に示される孔と、その孔に配置されるネジ部材との組み合わせを示す断面図である。図16は、受圧部に孔が設けられる形態の第5変形例の別の形態を示す断面図である。
【0085】
図14および図15を参照して、孔46を規定する受圧部41の内周面には、雌ねじが設けられている。
【0086】
外径ボーリング工具は、ネジ部材61をさらに有する。ネジ部材61は、孔46に螺合されている。ネジ部材61には、連通孔62が設けられている。連通孔62は、先端側空間51および基端側空間52の間を連通させるように設けられている。連通孔62は、ネジ部材61をその軸方向に貫通するように設けられている。連通孔62は、先端側空間51に開口する開口面62pを有する。ネジ部材61としては、たとえば、貫通孔付きのホロセットが用いられる。
【0087】
図15中には、連通孔62の開口面62pの開口面積が互いに異なる複数種類のネジ部材61A,61B,61Cが示されている。ネジ部材61Aでは、開口面62pの開口面積がSaであり、ネジ部材61Bでは、開口面62pの開口面積が、Saよりも大きいSbであり、ネジ部材61Cでは、開口面62pの開口面積が、Sbよりもさらに大きいScである(Sa<Sb<Sc)。
【0088】
本変形例においては、基端側空間52に供給された切削油を、連通孔62を通じて先端側空間51に導くことができる。この際、複数種類のネジ部材61A,61B,61Cから、孔46に配置するネジ部材61を適当に選択することによって、ワークに向けて吐出される切削油の流量を調整することができる。
【0089】
なお、図15中では、ネジ部材61のその軸方向における両端面の位置が、受圧部42の先端側端面42aおよび基端側端面42bの位置と揃っているが、このような構成に限られるものではない。たとえば、図16中に示されるように、ネジ部材61のその軸方向における両端面の位置が、受圧部42の先端側端面42aおよび基端側端面42bの位置よりも孔46の内側に配置される構成であってもよい。また、ネジ部材61のその軸方向における片側の端面の位置が、受圧部42の先端側端面42aまたは基端側端面42bの位置よりも孔46の内側に配置される構成であってもよい。
【0090】
図17は、受圧部に孔が設けられる形態の第6変形例を示す断面図である。図17を参照して、本変形例では、外径ボーリング工具が、嵌合部材71をさらに有する。嵌合部材71は、孔46に嵌合されている。嵌合部材71には、連通孔72が設けられている。連通孔72は、先端側空間51および基端側空間52の間を連通させるように設けられている。連通孔72は、先端側空間51に開口する開口面72pを有する。
【0091】
本変形例においても、先に説明した第5変形例と同様に、孔46に配置する嵌合部材71を適当に選択することによって、ワークに向けて吐出される切削油の流量を調整することができる。
【0092】
このように構成された、この発明の実施の形態2における外径ボーリング工具によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0093】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
この発明は、ワークの外径をボーリング加工するための外径ボーリング工具に適用される。
【符号の説明】
【0095】
10 外径ボーリング工具、21 工具本体、22 円筒部、23 刃部、24 貫通孔、25 装着部、26 ストッパー、41 移動部材、42 受圧部、42a 先端側端面、42b 基端側端面、43 センターピン、44 先端、46 孔、46p,62p,72p 開口面、47 傾斜部、48 直線部、49 小径部、50 大径部、51 先端側空間、52 基端側空間、61,61A,61B,61C ネジ部材、62,72 連通孔、71 嵌合部材、101 中心軸、110 工具ホルダ、116,215 クーラント流路、120 チャッキング部、130 テーブル、200 工作機械、210 工具主軸、220 切削油供給部、230 圧力調整部、240 制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17