特開2019-217683(P2019-217683A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2019-217683可逆熱変色性固形筆記体及びそれを用いた可逆熱変色性固形筆記体セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217683(P2019-217683A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】可逆熱変色性固形筆記体及びそれを用いた可逆熱変色性固形筆記体セット
(51)【国際特許分類】
   B43K 19/00 20060101AFI20191129BHJP
   C09D 13/00 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   B43K19/00 D
   C09D13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2018-116176(P2018-116176)
(22)【出願日】2018年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】中村 尚嗣
【テーマコード(参考)】
4J039
【Fターム(参考)】
4J039AD06
4J039BA23
4J039BE01
4J039CA09
4J039EA29
4J039GA29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】明度の高い筆記面であっても、優れた光輝性を奏する熱変色性の筆跡を形成可能な可逆熱変色性固形筆記体を提供する。
【解決手段】可逆熱変色性固形筆記体は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、第1光輝性顔料と、賦形材と、フィラーと、バインダー樹脂とを含み、第1光輝性顔料が、樹脂被覆された薄片状金属顔料または透明性を有する基材を金属で被覆してなる顔料である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、第1光輝性顔料と、賦形材と、フィラーと、バインダー樹脂とを含み、前記第1光輝性顔料は、樹脂被覆された薄片状金属顔料または透明性を有する基材を金属で被覆してなる顔料である、可逆熱変色性固形筆記体。
【請求項2】
前記第1光輝性顔料の含有率が、前記固形筆記体の総質量を基準として、0.5質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載の可逆熱変色性固形筆記体。
【請求項3】
透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる第2光輝性顔料を更に含む、請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の可逆熱変色性固形筆記体。
【請求項4】
前記第1光輝性顔料と第2光輝性顔料の総含有率が、前記固形筆記体の総質量を基準として、1質量%以上40質量%以下である、請求項3に記載の可逆熱変色性固形筆記体。
【請求項5】
前記第1光輝性顔料に対する前記第2光輝性顔料の含有比が質量基準で、0.1以上30以下である、請求項3又は請求項4に記載の可逆熱変色性固形筆記体。
【請求項6】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有率が、前記固形筆記体の総質量を基準として、5質量%以上60質量%以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の可逆熱変色性固形筆記体。
【請求項7】
前記第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有量に対する前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の含有量の比が、質量基準で、0.1以上20以下である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の可逆熱変色性固形筆記体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の固形筆記体を内芯とし、前記内芯の外周面を被覆する外殻を具備してなることを特徴とする、可逆熱変色性固形筆記体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の固形筆記体と、摩擦部材とからなることを特徴とする、可逆熱変色性固形筆記体セット。
【請求項10】
前記摩擦部材は、粘弾性体である、請求項9に記載の可逆熱変色性固形筆記体セット。
【請求項11】
前記粘弾性体は、ショアA硬度(JIS K 7215に準拠)の押針接触開始直後の値が55以上90以下である請求項10に記載の可逆熱変色性固形筆記体セット。







【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆熱変色性固形筆記体及びそれを用いた可逆熱変色性固形筆記体セットに関する。
【背景技術】
【0002】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、透明性金属光沢顔料、賦形材、フィラー、バインダー樹脂を含む固形筆記体が知られており、筆跡に金属光沢性と変色性とを備え、装飾性の高い筆跡が実現できるとされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016―121344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の固形筆記体に含まれる透明性金属光沢顔料の光輝性は黒紙上において引き立つものの、白紙のような明度の高い筆記面に形成された筆跡においては、光輝感が不充分になる場合があった。本発明の一態様は、明度の高い筆記面であっても、優れた光輝性を奏する熱変色性の筆跡を形成可能な固形筆記体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による可逆熱変色性固形筆記体は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、第1光輝性顔料と、賦形材と、フィラーと、バインダー樹脂とを含み、第1光輝性顔料は、樹脂被覆された薄片状金属顔料または透明性を有する基材を金属で被覆してなる顔料であることを要件とする。
【0006】
固形筆記体は、第1光輝性顔料の含有率が、固形筆記体の総質量を基準として、0.5質量%以上30質量%以下であることを要件としてもよい。固形筆記体は、透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる第2光輝性顔料を更に含むことを要件としてもよい。固形筆記体は、第1光輝性顔料と第2光輝性顔料の総含有率が、固形筆記体の総質量を基準として、1質量%以上40質量%以下であることを要件としてもよい。固形筆記体は、第1光輝性顔料に対する第2光輝性顔料の含有比が、質量基準で、0.1以上30以下であることを要件としてもよい。固形筆記体は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有率が、固形筆記体の総質量を基準として、5質量%以上60質量%以下であることを要件としてもよい。固形筆記体は第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有量に対する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の含有量の比が、質量基準で、0.1以上20以下であることを要件としてもよい。さらに、固形筆記体は、外周面を被覆する外殻を具備してなることを要件としてもよい。
【0007】
固形筆記体セットは、固形筆記体と摩擦部材とからなることを要件とする。固形筆記体セットは、摩擦部材が粘弾性体であることを要件としてもよい。固形筆記体セットは、粘弾性体がショアA硬度(JIS K7215に準拠)の押針接触開始直後の値が55以上90以下であることを要件としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、明度の高い筆記面であっても、優れた光輝性を奏する熱変色性の筆跡を形成可能な固形筆記体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。
図2】色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において固形筆記体中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、固形筆記体中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、固形筆記体等を例示するものであって、本発明は、以下に示す固形筆記体等に限定されない。
【0011】
<可逆熱変色性固形筆記体>
本発明の可逆熱変色性固形筆記体(以下、単に「固形筆記体」ともいう)は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、第1光輝性顔料と、賦形材と、フィラーと、バインダー樹脂と、を含み、第1光輝性顔料が、樹脂被覆された薄片状金属顔料または透明性を有する基材を金属で被覆してなる顔料である。
【0012】
固形筆記体が第1光輝性顔料として、樹脂被覆された薄片状金属顔料または透明性を有する基材を金属で被覆してなる顔料を含むことで、黒紙上はもちろんのこと、明度の高い筆記面においても、優れた光輝性を奏する熱変色性の筆跡を形成することが可能になる。また、固形筆記体が、樹脂被覆された薄片状金属顔料または透明性を有する基材を金属で被覆してなる顔料に加えて、賦形材と、フィラーと、バインダー樹脂とを含んで構成されることで、実用可能な強度を有しながら、発色性と光輝性に優れた筆跡および筆記体を形成することが可能になる。
【0013】
第1光輝性顔料は、樹脂被覆された薄片状金属顔料または透明性を有する基材を金属で被覆してなる顔料であり、得られる筆跡に優れた光輝性を付与できるものである。第1光輝性顔料を用いることは、白紙などの明度の高い筆記面においても、優れた光輝性を有する筆跡をもたらすことができる。
また、第1光輝性顔料を用いることにより、筆記時に適度な抵抗が付与されるため、書き味が良好となり、さらに、紙面への転写量が増える傾向にあることから、発色性が良好となる。
【0014】
本発明において、第1光輝性顔料は、樹脂被覆された薄片状金属顔料または透明性を有する基材を金属で被覆してなる顔料であるが、樹脂被覆された薄片状金属顔料は、金属箔上に樹脂層を設けて形成されるものである。樹脂層は、例えば、金属箔の両面に形成される。また、樹脂層は着色剤を含んでいてもよい。金属としては、例えば、アルミニウムが用いられ、その表面は鏡面加工されていてもよい。
また、透明性を有する基材を金属で被覆してなる顔料は、天然雲母、KMg(AlSi10)F等の合成雲母、ガラスフレーク、シリカフレーク、薄片状酸化アルミニウム等の透明性を有する基材に、金や銀などの金属、またはそれらの合金などを被覆して形成されるものである。
【0015】
第1光輝性顔料の形状としては偏平形状、鱗片形状等を挙げることができる。
第1光輝性顔料の平均厚みは、例えば、0.5μm以上5μm以下であり、好ましくは1μm以上3μm以下である。
また、第1光輝性顔料の平均粒径は、例えば、5μm以上500μm以下であり、好ましくは10μm以上200μm以下であり、より好ましくは10μm以上150μm以下である。第1光輝性顔料の平均粒子径が上記数値範囲内であれば、筆跡中に光輝性顔料が埋もれ、所望の光輝性が得られ難くなることを抑制できるとともに、製造時の混練で粉砕され、所望の光輝性が得られ難くなることを抑制することができる。
さらに、筆跡を擦過した際、光輝性顔料の除去性の向上を考慮すると、10μm以上110μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上60μm以下であることが特に好ましい。
【0016】
ここで、第1光輝性顔料の平均厚み及び平均粒径は、JIS Z 8827−1:2008に準じて、デジタルマイクロスコープによる観察画像を画像解析して計測されるそれぞれの粒子の最大厚みの算術平均値及び最大粒径の算術平均値である。画像解析には、例えば、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー(Mac−View)」を用いることができる。
【0017】
第1光輝性顔料の平均厚みに対する平均粒径の比であるアスペクト比は、例えば2以上50以下であり、好ましくは10以上30以下である。アスペクト比が上記範囲内であると、より優れた光輝性を有する筆跡が形成できる。
【0018】
樹脂被覆された薄片状金属顔料としては、例えば、ポリエステル等の樹脂フィルムの片面にアルミニウム等を真空蒸着し、所望の着色コーティングした後に細かく切断することで得られる。
【0019】
樹脂被覆された薄片状金属顔料はラメ顔料とも呼ばれ、その具体例としては、エルジーneo SILVER #35、エルジーneo R−GOLD #35、エルジーneo B−GOLD #35、エルジーneo S−GOLD #35、エルジーneo SILVER #100、エルジーneo R−GOLD #100、エルジーneo B−GOLD#100、エルジーneo S−GOLD #100、エルジーneo RED #100、エルジーneo BLUE #100、エルジーneo GREEN #100、エルジーneo VIOLET #100、エルジーneo BLACK #100、エルジーneo COPPER #100、エルジーneo PINK #100、エルジーneo YELLOW #100、エルジーneo SILVER #150、エルジーneo R−GOLD #150、エルジーneo B−GOLD #150、エルジーneo S−GOLD #150、エルジーneo RED #150、エルジーneo BLUE #150、エルジーneo GREEN #150、エルジーneo VIOLET #150、エルジーneo BLACK #150、エルジーneo COPPER #150、エルジーneo PINK #150、エルジーneo YELLOW #150、エルジーneo SILVER #200、エルジーneo R−GOLD #200、エルジーneo B−GOLD #200、エルジーneo S−GOLD #200、エルジーneo RED #200、エルジーneo BLUE #200、エルジーneo GREEN #200、エルジーneo VIOLET #200、エルジーneo BLACK #200、エルジーneo COPPER #200、エルジーneo PINK #200、エルジーneo YELLOW #200、エルジーneo SILVER #325、エルジーneo R−GOLD #325、エルジーneo B−GOLD #325、エルジーneo S−GOLD #325、エルジーneo RED #325、エルジーneo BLUE #325、エルジーneo GREEN #325、エルジーneo VIOLET #325、エルジーneo BLACK #325、エルジーneo COPPER #325、エルジーneo PINK #325、エルジーneo YELLOW #325、エルジーneo SILVER #500、エルジーneo R−GOLD #500、エルジーneo B−GOLD #500、エルジーneo S−G OLD #500(以上、尾池イメージング株式会社製)、ダイヤモンドピース LGGold No.55、ダイヤモンドピース DG Gold No.55、ダイヤモンドピース Green No.55、ダイヤモンドピース Blue No.55、ダイヤモンドピース Red No.55、ダイヤモンドピース Maroon No.55、ダイヤモンドピース Ocean Green No.55、ダイヤモンドピース Sky Blue No.55、ダイヤモンドピース Black No.55、ダイヤモンドピース Pink No.55、ダイヤモンドピース Violet No.55、ダイヤモンドピース Emerald No.55、ダイヤモンドピース Copper No.55、ダイヤモンドピース LG Gold H25、ダイヤモンドピース DG Gold H25、ダイヤモンドピース Green H25、ダイヤモンドピースBlue H25、ダイヤモンドピース Red H25、ダイヤモンドピース Maroon H25、ダイヤモンドピース Ocean Green H25、ダイヤモンドピース Sky Blue H25、ダイヤモンドピース Black H25、ダイヤモンドピース Pink H25、ダイヤモンドピース Violet H25、ダイヤモンドピース Emerald H25、ダイヤモンドピース Copper H25、ダイヤモンドピース LG Gold H55、ダイヤモンドピース DG Gold H55、ダイヤモンドピース Green H55、ダイヤモンドピース Blue H55、ダイヤモンドピース Red H55、ダイヤモンドピース Maroon H55、ダイヤモンドピース Ocean Green H55、ダイヤモンドピース Sky Blue H55、ダイヤモンドピース Black H55、ダイヤモンドピース Pink H55、ダイヤモンドピース Violet H55、ダイヤモンドピース Emerald H55、ダイヤモンドピース Copper H55、ダイヤモンドピース LG Gold CO−40UC、ダイヤモンドピース DG Gold CO−40UC、ダイヤモンドピース Green CO−40UC、ダイヤモンドピース Blue CO−40UC、ダイヤモンドピース Red CO−40UC、ダイヤモンドピース Pink CO−40UC、ダイヤモンドピース Lavender CO−40UC(以上、ダイヤ工業株式会社製)等が挙げられる。
【0020】
透明性を有する基材を金属で被覆してなる顔料は、例えば、フレーク状ガラスに無電解メッキ法やスパッタリング法などにより金属をコーティングさせることで得られる。
【0021】
透明性を有する基材を金属で被覆してなる顔料としては、例えば、フレーク状ガラスが銀で被覆されたもの、フレーク状ガラスが金で被覆されたもの、フレーク状ガラスがニッケル・クロム・モリブデンで被覆されたもの、フレーク状ガラスが真鍮で被覆されたもの、フレーク状ガラスが銀合金で被覆されたもの、フレーク状ガラスがチタンで被覆されたものなどが挙げられる。
透明性を有する基材を金属で被覆してなる顔料の具体例としては、メタシャインREFSX−2015PS、メタシャインREFSX−2025PS、及びメタシャインREFSX−2040PS、メタシャインRCFSX−5480PS、メタシャインRCFSX−5230PS、メタシャインRCFSX−5150PS、メタシャインRCFSX−5090PS(以上、日本板硝子社製)等が挙げられる。
また、クリスタルカラーGF2125、クリスタルカラーGF2125−M、クリスタルカラーGF2140、クリスタルカラーGF2140−M、クリスタルカラーGF2525、クリスタルカラーGF2525−M、クリスタルカラーGF2540、クリスタルカラーGF2540−M、クリスタルカラーGF250、クリスタルカラーGF1345、クリスタルカラーGF1445(以上、東洋アルミニウム社製)等が挙げられる。
【0022】
本発明において、第1光輝性顔料は、1種単独でも、2種以上混合して使用してもよいが、本発明の固形筆記体は、第1光輝性顔料が、樹脂被覆された薄片状金属顔料を含んでなることが好ましい。
樹脂被覆された薄片状金属顔料を用いることは、筆跡の光輝性をさらに向上し、また筆記体表面の光輝性も向上させることができる。このため、筆記体表面により、他色との識別性を向上することができる。固形筆記体が木軸などの不透明性の軸内に収納される場合、固形筆記体の先端部表面で他色との識別することが必要となるが、樹脂被覆された薄片状金属顔料を用いることにより、それが容易可能となる。
また、樹脂被覆された薄片状金属顔料は、耐腐食、耐薬品性に優れ、酸、アルカリに対し強い抵抗性を有していることから、経時的に安定した優れた光輝性を、筆記体および得られる筆跡に付与することができる。さらに、樹脂被覆された薄片状金属顔料は耐熱性にも優れていることから、高温条件下で成形されても、筆記体および筆跡に優れた光輝性を付与することができる。
さらに、樹脂被覆された薄片状金属顔料は、樹脂で被覆されていることから、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に悪影響を与えにくく、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の変色機能を安定して発現させることができる。また、樹脂被覆された薄片状金属顔料は、耐冷熱衝撃性にも優れているため、高温条件と低温条件の変化が起こる状況下においても、筆記体および得られる筆跡は、優れた光輝性を維持することができる。よって、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を用いた本発明の固形筆記体において、第1光輝性顔料として、樹脂被覆された薄片状金属顔料を用いることは、効果的である。
【0023】
固形筆記体中の第1光輝性顔料の含有率は、固形筆記体の総質量を基準として、例えば、0.5質量%以上30質量%以下であり、好ましくは1質量%以上20質量%以下である。第1光輝性顔料の含有率が上記範囲内であると、筆記体の強度を損なうことなく、優れた光輝性を有する筆跡および筆記体を得ることができる。
また、筆跡および筆記体の光輝性を維持しながらも、筆跡を擦過した際の筆跡の変色性の向上を考慮すると、1質量%以上18質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上15質量%以下であることが特に好ましい。
【0024】
固形筆記体は、第1光輝性顔料に加えて、透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる第2光輝性顔料を更に含んでいてもよい。第2光輝性顔料を含むことで、より優れた光輝性を有する筆跡の形成が可能になる。
また、固形筆記体が、光輝性顔料として第1光輝性顔料のみを含む場合、第1光輝性顔料の含有量を増加させると、筆跡や筆記体の光輝性をさらに向上させることができる反面、筆記体の強度が低下してしまう恐れがある。しかしながら、第1光輝性顔料と第2光輝性顔料を併用することにより、筆記体の強度を損なうことなく、筆記体および筆跡に優れた光輝性を付与することができる。よって、本発明において、第2光輝性顔料をさらに含ませることは、特に効果的である。
【0025】
透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる第2光輝性顔料の透明性を有する基材としては、例えば、天然雲母、KMg(AlSi10)F等の合成雲母、偏平ガラス、シリカフレーク、薄片状酸化アルミニウム等を挙げることができる。基材を被覆する金属酸化物としては、チタン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、鉄等の酸化物を挙げることができ、好適には酸化チタンを主成分とする金属酸化物である。第2光輝性顔料は、基材の表面を被覆する金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色又はメタリック色の金属光沢を呈する。第2光輝性顔料は、酸化チタン等の金属酸化物層の上に酸化鉄、非熱変色性染顔料をさらに被覆したものであってもよい。
【0026】
第2光輝性顔料の形状としては偏平形状、鱗片形状等を挙げることができる。
第2光輝性顔料は、平均厚みが、例えば、0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。
また、第2光輝性顔料の平均粒径は、例えば、0.2μm以上200μm以下、好ましくは2μm以上100μm以下である。第2光輝性顔料の平均粒径が上記範囲内であると、筆跡中に光輝性顔料が埋もれ、所望の光輝性が得られ難くなることを抑制できるとともに、製造時の混練で粉砕され、所望の光輝性が得られ難くなることを抑制することができる。
【0027】
第2光輝性顔料は、パール顔料とも呼ばれ、その具体例としては以下が挙げられる。天然雲母の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した第2光輝性顔料として、メルク社製の商品名「イリオジン」品番:100(粒度分布10μmから60μm:シルバーパール)、103(粒度分布10μmから60μm)、120(粒度分布5μmから25μm:ラスターサテン)、123(粒度分布5μmから25μm)、163(粒度分布20μから180μ)、201(粒度分布5μmから25μm:ルチルファインゴールド)、205(粒度分布10μmから60μm:ルチルプラチナゴールド)、221(粒度分布5μmから25μm:ルチルファインブルー)、225(粒度分布10μmから60μm:ルチルブルーパール)、231(粒度分布5μmから25μm:ルチルファインレッド)、235(粒度分布10μmから60μm:ルチルグリーンパール)、エンゲルハード社製の商品名「ルミナカラーズ」品番:ルミナゴールド(粒度分布10μmから48μm:金色)、ルミナレッド(粒度分布10μmから48μm:メタリックレッド)、ルミナレッドブルー(粒度分布10μmから48μm:メタリックブルー)、ルミナアクアブルー(粒度分布10μmから48μm:メタリックブルー)、ルミナグリーン(粒度分布10μmから48μm:メタリックグリーン)、ルミナターコイズ(粒度分布10μmから48μm:メタリックグリーン)等を例示できる。
【0028】
合成雲母の表面を金属酸化物で被覆した顔料として、日本光研工業(株)製の商品名「アルティミカ」品番:SB−100(粒度分布5μmから30μm:銀色)、SD−100(粒度分布10μmから60μm:銀色)、SE−100(粒度分布15μmから100μm:銀色)、SF−100(粒度分布44μmから150μm:銀色)、SH−100(粒度分布150μmから600μm:銀色)、YB−100(粒度分布5μmから30μm:金色)、YD−100(粒度分布10μmから60μm:金色)、YE−100(粒度分布15μmから100μm:金色)、YF−100(粒度分布44μmから150μm:金色)、RB−100(粒度分布5μmから300μm:メタリックレッド)、RD−100(粒度分布10μmから60μm:メタリックレッド)、RE−100(粒度分布15μmから100μm:メタリックレッド)、RF−100(粒度分布44μmから150μm:メタリックレッド)、RBB−100(粒度分布5μmから30μm:メタリックパープル)、RBD−100(粒度分布10μmから60μm:メタリックパープル)、RBE−100(粒度分布15μmから100μm:メタリックパープル)、RBF−100(粒度分布44μmから150μm:メタリックパープル)、VB−100(粒度分布5μmから30μm:メタリックバイオレット)、VD−100(粒度分布10μmから60μm:メタリックバイオレット)、VE−100(粒度分布15μmから100μm:メタリックバイオレット)、VF−100(粒度分布44μmから150μm:メタリックバイオレット)、BB−100(粒度分布5μmから30μm:メタリックブルー)、BD−100(粒度分布10μmから60μm:メタリックブルー)、BE−100(粒度分布15μmから100μm:メタリックブルー)、BF−100(粒度分布44μmから150μm:メタリックブルー)、GB−100(粒度分布5μmから30μm:メタリックグリーン)、GD−100(粒度分布10μmから60μm:メタリックグリーン)、GE−100(粒度分布15μmから100μm:メタリックグリーン)、GF−100(粒度分布44μmから150μm:メタリックグリーン)等を例示できる。
また、合成雲母の表面を金属酸化物で被覆した顔料として、メルク社製の商品名「イリオジン」品番:6103(粒度分布5μmから40μm:銀色)、6123(粒度分布5μmから25μm:銀色)、6153(粒度分布20μmから100μm:銀色)、6163(粒度分布20μmから180μm:銀色)等を例示できる。
【0029】
偏平ガラス片の表面を金属酸化物で被覆した顔料として、鱗片状のガラス片を酸化チタンで被覆した日本板硝子(株)製の商品名「メタシャイン」MC5090RS(平均粒径90μm:銀色)、MC5090RY(平均粒径90μm:金色)、MC5090RR(平均粒径90μm:赤色)、MC5090RV(平均粒径90μm:紫色)、MC5090RB(平均粒径90μm:青色)、MC5090RG(平均粒径90μm:緑色)、MC1080RS(平均粒径80μm:銀色)、MC1080RY(平均粒径80μm:金色)、MC1080RR(平均粒径80μm:赤色)、MC1080RB(平均粒径80μm:青色)、MC1080RG(平均粒径80μm:緑色)、MC1040RS(平均粒径40μm:銀色)、MC1040RY(平均粒径40μm:金色)、MC1040RR(平均粒径40μm:赤色)、MC1040RB(平均粒径40μm:青色)、MC1040RG(平均粒径40μm:緑色)、MC1020RS(平均粒径20μm:銀色)、MC1020RY(平均粒径20μm:金色)、MC1020RR(平均粒径20μm:赤色)、MC1020RB(平均粒径20μm:青色)、MC1020RG(平均粒径20μm:緑色)、MC1080RSS1(平均粒径80μm:銀色)、MC1080RYS1(平均粒径80μm:金色)等を例示できる。
【0030】
シリカフレークの表面を金属酸化物で被覆した顔料として、メルク社製の商品名「カラーストリーム」品番:F20−00WNT AutumnMystery(粒度分布5μmから40μm)、T20−01WNT ViolaFantasy(粒度分布5μmから40μm)等を例示できる。
【0031】
薄片状酸化アルミニウムの表面を金属酸化物で被覆した顔料として、メルク社製の商品名「シラリック」品番:T50−10(粒度分布10μmから30μm:銀色)、T60−10WNT(粒度分布10μmから30μm:銀色)、T60−20WNT(粒度分布10μmから30μm:金色)、T60−24WNT(粒度分布10μmから30μm:メタリックグリーン)、T60−23WNT(粒度分布10μmから30μm:メタリックブルー)等を例示できる。第2光輝性顔料は、1種単独でも、2種以上混合して使用してもよい。
【0032】
固形筆記体中の第2光輝性顔料の含有率は、固形筆記体の総質量を基準として、例えば、0.5質量%以上30質量%以下であり、好ましくは1質量%以上20質量%以下、より好ましくは1質量%以上15質量%以下である。第2光輝性顔料の含有率が上記範囲内であると、筆記体の強度を損なうことなく、優れた光輝性を有する筆跡および筆記体を得ることができる。
【0033】
固形筆記体中の第1光輝性顔料と第2光輝性顔料の総含有率は、固形筆記体の総質量を基準として、例えば、1質量%以上40質量%以下であり、好ましくは5質量%以上30質量%以下、より好ましくは5質量%以上15質量%以下である。光輝性顔料の総含有率が上記範囲内であると、筆記体および筆跡により良好な光輝性を付与することができる。また、筆記体の強度を損なうことなく、所望の光輝性を得ることができる。
【0034】
固形筆記体中における第1光輝性顔料に対する第2光輝性顔料の含有比(第2光輝性顔料/第1光輝性顔料)は、質量基準で、例えば、0.1以上30以下であり、好ましくは0.1以上20以下、より好ましくは0.1以上10以下である。含有比が上記範囲内であると、固形筆記体および得られる筆跡の光輝性と、筆跡を擦過した際の筆跡の変色性とのバランスがより良好になる。
特に、本発明の固形筆記体の筆跡が、有色から無色への変化(筆跡の消色)を示す場合、筆跡の光輝性と筆跡の消色性とのバランスを考慮すると、第1光輝性顔料に対する第2光輝性顔料の含有比は、1以上10以下であることが好ましく、2以上8以下であることがより好ましい。
また、後述するように、粘弾性体を含んで構成される摩擦部材を用いることにより、光輝性顔料を除去させることが可能となるが、この光輝性顔料の除去性の向上を考慮すると、第1光輝性顔料に対する第2光輝性顔料の含有比は、0.1以上10以下であることが好ましく、0.1以上8以下であることがより好ましい。
さらに、本発明の固形筆記体の筆跡が有色から無色への変化(筆跡の消色)を示す場合には、粘弾性体を含んで構成される摩擦部材を用いることで、筆跡は消色し、光輝性顔料が除去され、筆跡を消去することが可能となる。この筆跡消去性の向上を考慮すると、第1光輝性顔料に対する第2光輝性顔料の含有比は、1以上10以下であることが好ましく、2以上8以下であることがより好ましい。
【0035】
固形筆記体は、必要に応じて第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料以外のその他の光輝性顔料をさらに含んでいてもよい。その他の光輝性顔料としては、コレステリック液晶型金属光沢顔料;アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼、錫、亜鉛、ブロンズ、ニッケル、銅、金、銀等の金属粉顔料等を挙げることができる。コレステリック液晶型金属光沢顔料として具体的には、ワッカーケミー社製の商品名「ヘリコーンHC」、品番:Sapphire(SLM90020)、Scarabeus(SLM90120)、Jade(SLM90220)、Maple(SLM90320)等を例示できる。コレステリック液晶型金属光沢顔料は平均厚みが、例えば、3μm以上15μm以下、好ましくは5μm以上10μm以下の範囲であり、平均粒径が1μm以上100μm以下の範囲のものが好適に用いられる。
【0036】
アルミニウム粉顔料としては、フレンドカラーF−700シリーズ、F−500シリーズ、F−350シリーズ、F−100シリーズ、アルミペーストWB0230、WXM0630、EMRD5660、WJCU75C(以上、東洋アルミニウム(株)製);スーパーファインNo.22000、同No.18000、ファインNo.900、同800、スーパーファインNo.22000WN、同No.1800WN(以上、大和金属粉工業(株)製)、AA12、AA8、No.900、No.1800(以上、福田金属箔粉工業(株)製)、アルミ粉1000、同2700(以上、中塚金属箔粉工業(株)製)等を例示できる。また、銅及び銅合金粉顔料としては、PaleGold E5、同2L5、RichGold L7、同3L7、ECopper(以上、福田金属箔粉工業(株)
製)等を例示できる。
【0037】
固形筆記体中の金属粉顔料の含有率は、固形筆記体の総質量を基準として、筆跡の変色性の観点から、例えば、5質量%未満であり、好ましくは0.1質量%未満であり、より好ましくは0.01質量%未満である。
【0038】
固形筆記体は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の少なくとも1種を含有する。可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、単に「マイクロカプセル顔料」ともいう)は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する。
【0039】
マイクロカプセル顔料としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−447
07号公報、特公平1−29398号公報等に記載されている、所定の温度(変色点)を
境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1℃から7℃)を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を用いることができる(図1参照)。
【0040】
また、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている、大きなヒステリシス特性を示す可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料を用いることもできる。即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t4)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t2からt3の間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料を用いることもできる(図2参照)。
【0041】
色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。図2では、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t4(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t2(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記tとt4間の温度域であり、着色状態と消色状態の両状態が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるt2とt3の間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0042】
前記完全消色温度t4は、摩擦部材と筆記面との擦過によって生じる摩擦熱等により消色する温度であり、例えば、50℃以上90℃以下であり、好ましくは55℃以上85℃以下、より好ましくは60℃以上80℃以下の範囲にあり、完全発色温度tは冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度とすることができ、例えば、0℃以下であり、好ましくは−50℃以上−5℃以下、より好ましくは−50℃以上−10℃以下の範囲にある。
【0043】
以下に電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び反応媒体について説明する。電子供与性呈色性有機化合物は、色調を決める成分であって、電子受容性化合物に電子を供与して、発色する化合物である。電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらのうちフタリド化合物及びフルオラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0044】
前記フタリド化合物としては、例えばジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、ならびにそれらの誘導体が好ましい。また、前記フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0045】
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル
インドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−
メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2
−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−プロピルインド
ール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、
3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジペンチルアミノフルオラン、
2−(ジベンジルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ[2,3−d]ピリミジン−5,1’(3’H)イ
ソベンゾフラン〕−3’−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4
−メチル、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ[2,3−d]ピリミジン−5,1’(3’H)イ
ソベンゾフラン〕−3’−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチル
アミノ)−4−メチル、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ[2,3−d]ピリミジン−5,1’(3’H)イ
ソベンゾフラン〕−3’−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ
)−4−メチル、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ[2,3−d]ピリミジン−5,1’(3’H)イ
ソベンゾフラン〕−3’−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N
−i−アミルアミノ)−4−メチル、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ[2,3−d]ピリミジン−5,1’(3’H)イ
ソベンゾフラン〕−3’−オン,2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−
4−メチル、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−〔4−(ジメチルアミノ)−2−メトキシフェニ
ル〕−3−(1−ブチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イ
ソベンゾフラノン、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−〔4−(ジエチルアミノ)−2−エトキシフェニ
ル〕−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イ
ソベンゾフラノン、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−〔4−(ジエチルアミノ)−2−エトキシフェニ
ル〕−3−(1−ペンチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−
イソベンゾフラノン、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル]
−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベ
ンゾフラノン、
3’,6’−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフ
ラン−1(3H),9’−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3’,6’−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフ
ラン−1(3H),9’−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3’,6’−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフ
ラン−1(3H),9’−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
2,6−ビス(2’−エチルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル
)ピリジン、
2,6−ビス(2’,4’−ジエチルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノ
フェニル)ピリジン、
2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−4−メトキシ−キナゾリン、
4,4’−(エチレンジオキシ)−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾ
リン〕
等を挙げることができる。
【0046】
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する前記化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
【0047】
電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して電子供与性呈色性有機化合物を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類、ポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有する化合物、及びビス型、トリス型フェノール等のフェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。また、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
【0048】
電子受容性化合物の具体例としては、
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n
−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロ
ロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香
酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド
、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−4
−イソプロポキシフェニルスルホン、4−ベンジルオキシフェニル−4−ヒドロキシフェ
ニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、1
,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(
4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2
−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−2,3−ジメチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−2−エチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,7−ジメチルオクタン、1,1−ビス(
4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(
4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ペ
ンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)n−へプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)n−デカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−
メチルヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2
,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、9,9−ビス(4−ヒド
ロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−
トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン、4−t−ブチル−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン等を挙げ
ることができる。
【0049】
フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2から5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1,2,3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0050】
電子供与性呈色性有機化合物及び電子受容性化合物による呈色反応の生起温度を決める反応媒体について説明する。反応媒体としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類等の化合物が挙げられる。これらの化合物を用いてマイクロカプセル化及び二次加工に応用する場合は、低分子量の化合物では高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
【0051】
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効である。具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
【0052】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられる。具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、ptert−ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジステアレート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
【0053】
飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、及び不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステルから選ばれるエステル化合物も有効である。具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1,1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、パルミチン酸2−メチルヘキシル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7−ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7−ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7−ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7−ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が挙げられる。
【0054】
更に、色濃度−温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4−17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
【0055】
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10から16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17から23の脂肪酸エステル化合物も有効である。具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデルシ、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタ
デシル等が挙げられる。
【0056】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効である。具体的には、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナデカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
【0057】
ケトン類として更には、総炭素数が12から24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
【0058】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効である。具体的には、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0059】
酸アミド類としては、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N−メチルアミド、カプリル酸N−メチルアミド、カプリン酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−メチルアミド、ミリスチン酸N−メチルアミド、パルミチン酸N−メチルアミド、ステアリン酸N−メチルアミド、ベヘニン酸N−メチルアミド、オレイン酸N−メチルアミド、エルカ酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−エチルアミド、ミリスチン酸N−エチルアミド、パルミチン酸N−エチルアミド、ステアリン酸N−エチルアミド、オレイン酸N−エチルアミド、ラウリン酸N−ブチルアミド、ミリスチン酸N−ブチルアミド、パルミチン酸N−ブチルアミド、ステアリン酸N−ブチルアミド、オレイン酸N−ブチルアミド、ラウリン酸N−オクチルアミド、ミリスチン酸N−オクチルアミド、パルミチン酸N−オクチルアミド、ステアリン酸N−オクチルアミド、オレイン酸N−オクチルアミド、ラウリン酸N−ドデシルアミド、ミリスチン酸N−ドデシルアミド、パルミチン酸N−ドデシルアミド、ステアリン酸N−ドデシルアミド、オレイン酸N−ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N−メチルアミド、アジピン酸N−メチルアミド、グルタル酸N−メチルアミド、マロン酸N−メチルアミド、アゼライン酸N−メチルアミド、コハク酸N−エチルアミド、アジピン酸N−エチルアミド、グルタル酸N−エチルアミド、マロン酸N−エチルアミド、アゼライン酸N−エチルアミド、コハク酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−ブチルアミド、グルタル酸N−ブチルアミド、マロン酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−オクチルアミド、アジピン酸N−ドデシルアミド等が挙げられる。
【0060】
また、反応媒体として、下記式(1)で示される化合物を用いることもできる。
【0061】
【化1】
【0062】
式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0から2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CH)nOCOR又は−(CH)nCOOR、他方は水素原子を示し、nは0から2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y1及びYは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、メトキシ基又はハロゲン原子を示し、r及びpは1から3の整数を示す。
【0063】
前記式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記式(2)で示される化合物が用いられる。
【0064】
【化2】
【0065】
式(2)中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10から24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12から22のアルキル基である。
【0066】
式(2)で示される化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
【0067】
更に、反応媒体として、下記式(3)で示される化合物を用いることもできる。
【0068】
【化3】
【0069】
式(3)中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1から3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基又はハロゲン原子を示す。
【0070】
式(3)で示される化合物として具体的には、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
【0071】
更に、反応媒体として下記式(4)で示される化合物を用いることもできる。
【0072】
【化4】
【0073】
式(4)中、Xは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、メトキシ基又はハロゲン原
子のいずれかを示し、mは1から3の整数を示し、nは1から20の整数を示す。
【0074】
式(4)で示される化合物としては、マロン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10−デカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−〔4−(2−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
【0075】
更に、反応媒体として下記式(5)で示される化合物を用いることもできる。
【0076】
【化5】
【0077】
式(5)中、Rは炭素数1から21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1から
3の整数を示す。
【0078】
式(5)で示される化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0079】
更に、反応媒体として下記式(6)で示される化合物を用いることもできる。
【0080】
【化6】
【0081】
式(6)中、Xは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基又はハロゲン原子のいずれかを示し、mは1から3の整数を示し、nは1から20の整数を示す。
【0082】
式(6)で示される化合物としては、こはく酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステルを例示できる。
【0083】
更に、反応媒体として下記式(7)で示される化合物を用いることもできる。
【0084】
【化7】
【0085】
式(7)中、Rは炭素数4から22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基又は炭素数4から22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基又はハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。
【0086】
式(7)で示される化合物としては、4−フェニル安息香酸デシル、4−フェニル安息香酸ラウリル、4−フェニル安息香酸ミリスチル、4−フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4−ビフェニル酢酸オクチル、4−ビフェニル酢酸ノニル、4−ビフェニル酢酸デシル、4−ビフェニル酢酸ラウリル、4−ビフェニル酢酸ミリスチル、4−ビフェニル酢酸トリデシル、4−ビフェニル酢酸ペンタデシル、4−ビフェニル酢酸セチル、4−ビフェニル酢酸シクロペンチル、4−ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4−ビフェニル酢酸ヘキシル、4−ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチルを例示できる。
【0087】
更に、反応媒体として下記式(8)で示される化合物を用いることもできる。
【0088】
【化8】
【0089】
式(8)中、Rは炭素数3から18のアルキル基又は炭素数3から18の脂肪族アシル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1から3のアルキル基、炭素数1若しくは2のアルコキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子又はメチル基のいずれかを示し、Zは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1若しくは2のアルコキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示す。
【0090】
式(8)で示される化合物としては、4−ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4−ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4−テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテルを例示できる。
【0091】
更に、反応媒体として下記式(9)で示される化合物を用いることもできる。
【0092】
【化9】
【0093】
式(9)中、Rは炭素数4から22のアルキル基、炭素数4から22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、又はシクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。
【0094】
式(9)で示される化合物としては、p−ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸ヘプチルのp−メトキシ安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸ドデシルのo-メトキシ安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステルを例示できる。
【0095】
更に、反応媒体として下記式(10)で示される化合物を用いることもできる。
【0096】
【化10】
【0097】
式(10)中、Rは炭素数3から18のアルキル基、炭素数6から11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5から7のシクロアルキル基、又は炭素数3から18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から3のアルコキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示す。
【0098】
式(10)で示される化合物としては、p−ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、p−ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、p−ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテルを例示できる。
【0099】
更に、反応媒体として下記式(11)で示される化合物を用いることもできる。
【0100】
【化11】
【0101】
式(11)中、Rは炭素数3から8のシクロアルキル基又は炭素数4から9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1から3の整数を示す。
【0102】
式(11)で示される化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステルを例示できる。
【0103】
更に、反応媒体として下記式(12)で示される化合物を用いることもできる。
【0104】
【化12】
【0105】
式(12)中、Rは炭素数3から17のアルキル基、炭素数3から8のシクロアルキル基、又は炭素数5から8のシクロアルキルアルキル基を示し、Xは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、又はハロゲン原子を示し、nは1から3の整数を示す。
【0106】
式(12)で示される化合物としては、4−フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4−フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4−フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4−フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4−フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4−フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4−フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0107】
可逆熱変色性組成物は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び反応媒体を必須成分とする相溶体である。各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類等に応じて適宜選択すればよい。一般的に所望の特性が得られる成分比は、電子供与性呈色性有機化合物1質量部に対して、電子受容性化合物が0.1から100質量部、好ましくは0.1から50質量部、より好ましくは0.5から20質量部であり、反応媒体が5から200質量部、好ましくは5から100質量部、より好ましくは10から100質量部の範囲である。
【0108】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、必要に応じて各種光安定剤を更に含んでいてもよい。光安定剤は、可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、電子供与性呈色性有機化合物1質量部に対して0.3質量部以上24質量部以下、好ましくは0.3質量部以上16質量部以下の割合で含有される。又、光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、電子受容性化合物の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。又、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は光による酸化反応を抑制する。光安定剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0109】
可逆熱変色性組成物は、マイクロカプセルに内包することによって可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として用いられる。尚、マイクロカプセル化の方法には、従来より公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させたりして実用に供することもできる。
【0110】
マイクロカプセル顔料は、内包物/壁膜=7/1から1/1(質量比)の範囲であることが好ましく、壁膜の比率が前記範囲内にあることにより、発色時の色濃度及び鮮明性の低下を防止することができ、より好適には、内包物/壁膜=6/1から1/1(質量比)である。
【0111】
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成できる。マイクロカプセルの平均粒径は、例えば、0.01μm以上50μm以下、好ましくは0.1μm以上30μm以下、より好ましくは0.5μm以上20μm以下の範囲が実用性を満たす。
【0112】
なお、平均粒径の測定は、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合は、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、製品名:Multisizer 4e)を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することも可能である。
【0113】
マイクロカプセル顔料の形態は円形断面の形態の他、非円形断面の形態であってもよい。
【0114】
また、マイクロカプセル顔料中に非熱変色性の染料、顔料等の着色剤を配合して、有色から有色への互変的色変化を呈することもできる。また、固形筆記体中にマイクロカプセル顔料とともに、非熱変色性の染料、顔料等の着色剤を配合して有色から有色への互変的色変化を呈することもできる。
【0115】
本発明において、マイクロカプセル顔料は、1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。固形筆記体中のマイクロカプセル顔料の含有率は、固形筆記体の総質量を基準として、例えば、1質量%以上70質量%以下であり、好ましくは5質量%以上50質量%以下、より好ましくは5質量%以上40質量%以下である。マイクロカプセル顔料の含有率が上記範囲であると、筆跡におけるマイクロカプセル顔料の発色性と光輝性顔料の光輝性とのバランスがより良好になり、また固形筆記体の強度と筆跡濃度を両立させることができる。
【0116】
固形筆記体中のマイクロカプセル顔料、第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有率は、固形筆記体の総質量を基準として、例えば5質量%以上60質量%以下であり、好ましくは10質量%以上50質量%以下、より好ましくは10質量%以上45質量%以下である。マイクロカプセル顔料、第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有率が上記範囲であると、より良好な発色性および光輝性と、より良好な変色性とが達成できる。
【0117】
固形筆記体中の第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有量に対するマイクロカプセル顔料の含有量の比は、質量基準で、例えば、0.1以上20以下であり、好ましくは0.2以上10以下、より好ましくは0.5以上5以下、更に好ましくは0.5以上2以下である。
光輝性顔料の総含有量に対するマイクロカプセル顔料の含有量の比が上記範囲であると、筆跡状態でマイクロカプセル顔料の下層や隙間に位置して隠蔽されることなく、光輝性顔料の反射面が視認されるため、高い反射率で優れた光輝性を発現でき、筆跡におけるマイクロカプセル顔料の発色性と光輝性顔料の光輝性とのバランスがより良好になる。
【0118】
本発明の固形筆記体に用いる賦形材としては、例えばワックス、ゲル化剤、粘土などを用いることが出来る。ワックスとしては、従来公知のものであればいずれを用いてもよく、具体的にはカルナバワックス、木ろう、蜜ろう、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、キャンデリラワックス、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、ポリオレフィンワックス、スチレン変性ポリオレフィンワックス、パラフィンワックスなどが挙げられる。ゲル化剤としては従来公知のものを用いることができ、例えば12ヒドロキシステアリン酸、ジベンジリデンソルビトール類、トリベンジリデンソルビトール類、アミノ酸系油、高級脂肪酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイトなどが挙げられる。
賦形材としては、ポリオレフィンワックス、ショ糖脂肪酸エステルまたはデキストリン脂肪酸エステルの少なくとも一種を含有していることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、αオレフィン重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体等のワックスなどが挙げられる。
【0119】
特に、前記ポリオレフィンワックスのうち、軟化点が100℃〜130℃の範囲にあり、かつ針入度が10以下であるものは、筆記感が高いために、好ましく用いられる。針入度が10を越えると、固形筆記体が柔らかすぎて筆記し難くなる傾向が見られ、しかも、擦過変色時に筆跡が紙面上で伸びてしまう(ワックスが薄層化される)ために筆記面の空白部分を汚染したり、他の紙への色移りや汚れを生じる。
【0120】
尚、前記ポリオレフィンワックスの軟化点、針入度の測定方法は、JIS K2207に規格化されており、針入度の値は、0.1mmを針入度1と表す。従って、数字が小さいほど硬く、大きいほど柔らかい固形筆記体である。
【0121】
具体的には、ネオワックスシリーズ(ヤスハラケミカル(株)製 ポリエチレン)、サンワックスシリーズ(三洋化成工業(株)製 ポリエチレン)、ハイワックスシリーズ(三井化学(株)製 ポリオレフィン)、A−Cポリエチレン(Honeywell社製 ポリエチレン)等が挙げられる。
【0122】
本発明による固形筆記体の賦形材として、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、側鎖結晶性ポリオレフィンの少なくとも一種を含有していると、筆跡濃度の向上を図ることが出来るため好ましく用いられる。
【0123】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、特にC12〜C22の脂肪酸を構成脂肪酸とするエステルが好ましく、より好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸が有用である。具体的には、三菱化学フーズ(株)製:リョートーシュガーエステルシリーズ、第一工業製薬(株)製:シュガーワックスシリーズ等が挙げられる。
【0124】
また、本発明による固形筆記体に用いるデキストリン脂肪酸エステルとしては、特にC14〜C18の脂肪酸を構成脂肪酸とするエステルが好適であり、より好ましくは、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸が有用である。具体的には、千葉製粉(株)製:レオパールシリーズ等が挙げられる。
【0125】
側鎖結晶性ポリオレフィンとしては、側鎖に長いアルキル基を有するものが適用され、具体的には、C12〜C28の長鎖アルキル基を有しているものが好ましい。また、側鎖の長鎖アルキル基は、直鎖型であっても分岐型でも特に限定されないが、結晶性の観点から直鎖型がより好ましい。また、側鎖結晶性ポリオレフィンのひとつとして、高度に分岐構造を有するポリオレフィン(高分岐ポリオレフィンという)を挙げることができる。
尚、固形筆記体の機械的強度や変色特性、製造時の取り扱い性の観点から、側鎖結晶性ポリオレフィンの重量平均分子量Mwが2,000〜50,000であるものが好ましく、10,000〜30,000であることが好ましい。また、側鎖結晶性ポリオレフィンの数平均分子量Mnが1,000〜10,000であるものが好ましい。ここで、重量平均分子量、および数平均分子量はポリスチレンを基準としてゲル浸透クロマトグラフィ
ーにより測定されたものである。
具体的には、豊国製油(株)製:HSクリスタ4100、HSクリスタ6100、出光興産(株)製:エルクリスタ4100、エルクリスタ6100等が挙げられ、高分岐ポリオレフィンとしては、ベイカーヒューズ社製:VYBAR103、VYBAR260、VYBAR343、VYBAR852等が挙げられる。
【0126】
固形筆記体中の賦形材の含有率は、固形筆記体の総質量を基準として、0.2〜70質量%であることが好ましい。この範囲より小さいと固形筆記体の筆記可能な内芯としての形状を得られ難くなる傾向が見られ、この範囲より大きいと十分な筆記濃度が得られにくくなる傾向が見られる。好ましくは、0.5〜40質量%であり、この範囲にあると、優れた固形筆記体の成形性と優れた筆跡の発色性を両立することができる。
【0127】
本発明による固形筆記体に用いるフィラーは、固形筆記体の強度の向上や書き味を調整する目的で配合される。本発明において用いることができるフィラーとしては、例えばタルク、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、窒化硼素、チタン酸カリウム、およびガラスフレークなどが挙げられ、特に成形性、マイクロカプセル顔料に対する変色性能への影響などの点からタルク、炭酸カルシウムが好ましい。
【0128】
固形筆記体中のフィラーの含有率は、固形筆記体の総質量を基準として、10〜65質量%が好ましい。この範囲より小さいと強度が低下する傾向がみられ、この範囲より大きいと、発色性が低下したり、書き味が劣る傾向がみられる。
【0129】
前記フィラーと、前記賦形材と、前記マイクロカプセル顔料との配合比は、特に限定されないが、質量基準で、一般にマイクロカプセル顔料1に対して、賦形材が0.1〜5、好ましくは0.5〜2であり、フィラーが0.1〜15、好ましくは0.5〜10である。
【0130】
本発明による固形筆記体に用いるバインダー樹脂は、固形筆記体の強度を向上する目的で配合されるが、天然樹脂、合成樹脂を用いることができる。具体的には、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ピロリドン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン樹脂、アミド系樹脂、塩基性基含有樹脂などが挙げられる。特に、ポリエステルポリオール樹脂との併用によって成形安定性が向上することから、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、ポリビニルアルコール樹脂が好適である。
前記バインダー樹脂の含有率としては、固形筆記体の総質量を基準として、0.5〜5質量%の範囲であることが好ましい。
【0131】
また、本発明による固形筆記体には、光安定剤を添加することができ、光安定剤としては、ヒンダードアミン化合物が挙げられる。ヒンダードアミン化合物を添加することにより、筆跡を消色した箇所の残像がいっそう視認され難くなるという特徴がある。このため筆記面の見栄えを損なうことなく、しかも、再筆記性を満足させることができ、商品性を高めることができるので好ましい。
【0132】
前記ヒンダードアミン化合物の分子量が1000以下であることにより賦形材との相溶性に富み、ブリードアウトし難くなるため、経時後も明瞭な筆跡を形成することができる。
尚、前記ヒンダードアミン化合物の融点が120℃以下であると製造時に過度の熱を加えることなく固形筆記体を製造することができるため、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料や光輝性顔料、さらには各種添加剤が劣化することを防止できる。
前記ヒンダードアミン化合物の含有率としては、固形筆記体の総質量を基準として、0.1〜5質量%であることが好ましい。前記範囲内で添加することにより、マイクロカプセル顔料中からブリードアウトした成分を効果的に中和でき、筆跡を消色した箇所の残像がいっそう視認され難くなるため、筆記面の見栄えを損なうことなく、しかも、再筆記性を満足させることができ、商品性を高めることができる。
【0133】
更に、必要に応じて、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、粘度調整剤、防かび剤、防腐剤、抗菌剤、紫外線防止剤、香料などが挙げられる。
【0134】
また、前記組成からなる光輝性を有する熱変色性固形筆記体は、従来の光輝性を有しない熱変色性固形筆記体に比べ、変色した筆跡が設定温度に満たない(設定温度よりも高い)低温度領域で再び復色してしまうなど、低温時変色特性不良を生じ易い傾向にある。これは、組成物を固形状態に成形する際、光輝性顔料が可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に作用して、マイクロカプセル顔料の組成変化を起してしまうためと推測される。しかし、本発明において、スチレン系樹脂を用いることで、このマイクロカプセル顔料の組成変化を長期に亘って確実に抑制できるため、低温時変色特性不良を抑制できる。よって、本発明の固形筆記体は、スチレン系樹脂を含んでなることが好ましい。
【0135】
前記スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレンアクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、スチレンアクリロニトリル樹脂、スチレンブタジエン樹脂、スチレンエチレンブタジエンスチレン樹脂などが挙げられる。
【0136】
特に、前記スチレン系樹脂のうち、少量の添加で高い効果が発現できることから、スチレンアクリル樹脂が好適である。
具体的には、三洋化成工業(株)製のハイマーSB305、ハイマーSBM73F、ハイマーSB317などが挙げられる。
【0137】
固形筆記体のスチレン系樹脂の含有率としては、固形筆記体の総質量を基準にして0.1〜10質量%、好ましくは、0.5%〜5質量%である。0.1質量%未満では低温時変色特性が劣ることがあり、10質量%を超えても前記効果の向上は見られないためこれより多くの添加は必要としない。
【0138】
本発明による固形筆記体は、単独で筆記体として使用する他、内芯として用いてその外周面を被覆する外殻を設けた芯鞘構造(二重芯)とすることもできる。このような外殻は、内部にある固形筆記体が物理的接触によって損傷を受けることを防ぐほか、固形筆記体全体の機械的強度の向上に寄与することもできる。このような外殻は筆跡形成に寄与する着色剤を含んでいても含んでいなくてもよいが、一般に固形筆記体の先端は錐状に削られることが多いため、外殻は筆跡には影響を与えないことが多い。このため、外殻に着色剤を添加しないのが一般的である。
【0139】
前記外殻は、汎用の樹脂等により形成することが可能であるが、安定した被覆状態を維持できる点から、賦形材を用いることが好ましい。
前記賦形材としては、例えばワックス、ゲル化剤などを用いることができる。ワックスとしては、従来公知のものであればいずれを用いてもよく、具体的にはカルナバワックス、木ろう、蜜ろう、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、キャンデリラワックス、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、ポリオレフィンワックス、スチレン変性ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、ステアリン酸などが挙げられる。ゲル化剤としては従来公知のものを用いることができ、例えば12ヒドロキシステアリン酸、ジベンジリデンソルビトール類、トリベンジリデンソルビトール類、アミノ酸系油、高級脂肪酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。賦形材としては、ポリオレフィンワックス、ショ糖脂肪酸エステルまたはデキストリン脂肪酸エステルの少なくとも一種を含有していることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、αオレフィン重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体等のワックスなどが挙げられ、内芯に用いることができる賦形材を用いることができる。更に、内芯に用いた賦形材と同じ材料を用いると、内芯と外殻の界面が適度に融合し、無用な界面剥離を起こさないため好ましい。外殻に用いる賦形材の含有率としては、外殻総質量を基準として、10質量%〜90質量%であることが好ましい。この範囲にあると、成形性が良くなるため好ましい。賦形材の含有率は、より好ましくは10質量%〜90質量%であり、更に好ましくは20質量%〜70質量%であり、この範囲にあると、固形筆記体の成形性、固形筆記体の耐光性が更に向上する。
【0140】
本発明による固形筆記体の外殻に、賦形材と共にフィラーを配合することができる。フィラーとしては、体質剤などに用いられる炭酸カルシウム、粘土、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー、マグネシウムオキシサルフェートウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、ワラストナイト、アタパルジャイト、セピオライト、シリカなど、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化ホウ素、アルミナ、ジルコニアなどのセラミックス類、天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛などの黒鉛類、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラックなどのカーボンブラック類などが挙げられる。
【0141】
前記フィラーの含有率としては、外殻総質量を基準として、10質量%以上が好ましく、90質量%以下であることが好ましい。固形筆記体の耐光性や成形性、固形筆記体の強度を改良するという観点からはフィラーの含有率が多いことが好ましい。一方、外芯の成形性を改良するという観点からはフィラーの含有率が少ないことが好ましい。より好ましくは、フィラーの含有率が10質量%〜80質量%であり、更に好ましくは、30質量%〜80質量%である。この範囲にあると、固形筆記体の耐光性、成形性、および固形筆記体の強度の全てが向上するのでより好ましい。
【0142】
更に前記外殻には、弾性体樹脂を配合することもできる。外殻に弾性体樹脂を用いると、固形筆記体の内芯と外殻との親和性が改良され、製造時に形成される欠陥が減少して、耐衝撃性などの強度を向上させることができる。また、製造時における成形性も改良される。
ここで弾性体樹脂とは、固体状態である時に弾性を有する樹脂をいう。
弾性体樹脂の含有率として、前記したような効果を得るためには、外殻総質量を基準として、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。一方で、成形性などを良好に保つために、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0143】
本発明による固形筆記体に用いる外殻は、各種機能を付与する目的などで、必要に応じて、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、前述のヒンダードアミン化合物や着色剤、防黴剤、防腐剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、滑剤、香料などが挙げられる。これらの添加剤は、任意のものを用いることができる。また、単一の添加剤が複数の機能を有していてもよい。例えば、ステアリン酸のように滑り剤として機能すると同時に、賦形材としても機能するものもある。このように滑剤の機能を有する添加剤を添加した場合には、成形性を向上することができるなど、更なる効果が得られる。また、紫外線吸収剤は単に紫外線を吸収するにとどまらず、外殻に含まれる各種材料が紫外線によって退色することを防ぐので、光安定性や保存性を改良する機能を併せ持つことがある。
更に必要に応じて、前述の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を添加することも可能である。その場合、内芯で用いるマイクロカプセル顔料と同じ色相のものを適用することが好ましいが、別の色相のマイクロカプセル顔料を用いることもできる。
更に必要に応じて、前述の光輝性顔料を添加することも可能である。この場合、内芯で用いる光輝性顔料と同種類のものを適用することが好ましいが、別の種類の光輝性顔料を用いることもできる。
【0144】
本発明による固形筆記体の製造方法としては、例えば、上記各成分を混合して、ニーダー、三本ロールなどで混練し、得られた混練物を押出成形や、圧縮成形を用いて製造することができる。芯鞘構造の具体例を挙げると、内芯の塊状物の外周面に外殻を配設しプレスにて圧縮成形をするなどして、内芯の外周面を被覆する外殻を設けた固形筆記体を得ることができる。
尚、前記成形を高温下で行った場合、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を発色させることを目的として、低温冷却することによって固形筆記体は製造される。
【0145】
本発明による固形筆記体の太さや長さは、目的に応じて任意に選択することができる。例えば本発明による固形筆記体を鉛筆の芯として利用する場合を考えると、太さは一般的には2.0〜5.0mmであり、2.5〜4.0mmであることが好ましく、長さは一般に60〜300mmであり、80〜200mmであることが好ましい。
また、芯鞘構造とする場合には、内芯の太さおよび外殻の厚さも任意に選択することができるが、外殻の厚さが厚いと耐衝撃性が優れる傾向にあり、一方で外殻の厚さが薄いと内芯の露出量が多くなるため、使い勝手に優れる傾向にある。内芯の半径長さに対する外殻の厚さが10〜100%であることが好ましく、20〜50%であることがより好ましい。尚、本発明による固形筆記体は、鉛筆以外の用途、例えばメカニカルペンシルの芯、クレヨンなどにも利用可能であり、太さや長さは用途に応じて適切に調整できる。
【0146】
本発明による固形筆記体は、各種筆記面に対して、筆記することが可能である。更に、その筆跡は、指による擦過や加熱具又は冷熱具の適用により変色させることができる。
【0147】
前記加熱具としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げられるが、好ましくは、簡便な方法により変色可能な手段として摩擦部材が用いられる。
【0148】
前記摩擦部材は、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好ましく用いられる。前記摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂などを用いることができる。
【0149】
また、摩擦部材は、筆跡の変色性及び光輝性顔料の除去性の観点から、粘弾性体を含んで構成されることが好ましい。粘弾性体は、ショアA硬度(JIS K 7215に準拠)の押針接触開始直後の値が、例えば、55以上90以下であり、好ましくは70以上、より好ましくは80以上である。また、粘弾性体は、JIS K 7215に準拠したショアA硬度において、ΔHS=(押針接触開始直後のショアA硬度値−押針接触開始から15秒後のショアA硬度値)で定義される値(ΔHS)が、例えば5以上40以下であり、好ましくは10以上30以下、より好ましくは15以上25以下である。前記上限値以下であると、紙面上の筆跡を擦過した際に、摩擦熱をより効率的に発生させることができる。また前記下限値以上であると、光輝性顔料をより容易に吸着剥離できるものとなる。
【0150】
上述したショアA硬度を有する粘弾性体は、例えば、αオレフィン系コポリマーを含む樹脂組成物で構成される。なお、αオレフィン系コポリマーを含む樹脂組成物の詳細については例えば、国際公開第2011/055803号の記載を参照して、所望のショアA硬度、ΔHSを有する樹脂組成物を構成することができる。
【0151】
前記摩擦部材は固形筆記体と別体の任意形状の部材である摩擦体とを組み合わせて固形筆記体セットを得ることもできるが、固形筆記体または、固形筆記体を外装収容物に収容した固形筆記具の外装に摩擦部材を設けることにより、携帯性に優れたものとなる。具体的には、外装が木や紙などの鉛筆や、クレヨンなどの形状に、摩擦部材を設けた形態などが挙げられる。
【0152】
前記冷却具としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、冷蔵庫や冷凍庫の適用が挙げられる。
【実施例】
【0153】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0154】
(マイクロカプセル顔料Aの製造)
電子供与性呈色性有機化合物として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン5質量部、電子受容性化合物として2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5質量部、4,4’−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3.0質量部、反応媒体としてラウリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50質量部からなるからなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0質量部、助溶剤40.0質量部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5質量部を加え、更に攪拌を続けて可逆熱変色性マイクロカプセル懸濁液を得た。前記懸濁液を遠心分離して可逆熱変色性マイクロカプセルを単離した。なお、前記マイクロカプセルの平均粒子径は2.3μmであり、t:−8℃、t:−1℃、t:52℃、t:65℃のヒステリシス特性を有する挙動を示し、黒色から無色、無色から黒色へ可逆的に色変化した。
【0155】
(マイクロカプセル顔料Bの製造)
電子供与性呈色性有機化合物として9−エチル(3−メチルブチル)アミノ−スピロ[12H−ベンゾ(α)キサンテン−12,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3′−オン5.0質量部、電子受容性化合物として4,4′−(2−エチルヘキサン−1、1−ジイル)ジフェノール3.0質量部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、反応媒体としてカプリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0質量部からなる感温変色性色彩記憶組成物を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0質量部、助溶剤40.0質量部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5質量部を加え、更に攪拌を続けて熱変色マイクロカプセル懸濁液を得た。前記懸濁液を遠心分離して熱変色マイクロカプセルを単離した。
尚、前記マイクロカプセルの平均粒子径は2.3μmであり、t:−20℃、t:−10℃、t:48℃、t:58℃のヒステリシス特性を有する挙動を示し、ピンク色から無色、無色からピンク色へ可逆的に色変化した。
【0156】
(マイクロカプセル顔料Cの製造)
電子供与性呈色性有機化合物として3−(4−ジエチルアミノ−2−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1)−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド2.0質量部、電子受容性化合物として1,1−ビス(4‘―ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン4.0質量部、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−デカン4.0質量部、反応媒体としてカプリル酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル(融点57℃)50.0質量部からなる感温変色性色彩記憶組成物とした以外は、マイクロカプセル顔料Aと同じ方法で、マイクロカプセル顔料を得た。尚、前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は3.0μmであり、t:−24℃、t:−10℃、t:42℃、t:55℃のヒステリシス特性を有する挙動を示し、青色から無色、無色から青色へ可逆的に色変化した。
【0157】
以下の表に実施例及び比較例の固形筆記体の組成を示す。尚、表中の組成の数値は質量部を示す。
【0158】
【表1】
【0159】
【表2】
【0160】
以下に表中の各成分について、注番号に沿って説明する。
(1)大日精化工業(株)製、商品名HS−4、青色顔料
(2)尾池イメージング(株)製、商品名:エルジーneo SILVER#325、(蒸着金属としてアルミニウムを含む、平均粒径:44μm、平均厚み:2μm)
(3)尾池イメージング(株)製、商品名:エルジーneo SILVER#150、(蒸着金属としてアルミニウムを含む、平均粒径:105μm、平均厚み:2μm)
(4)メルク社製、商品名:イリオジン6103、(粒度分布:5μmから40μm、合成雲母の表面を金属酸化物で被覆した顔料)
(5)メルク社製、商品名:イリオジン163、(粒度分布:20μmから180μm、天然雲母の表面を金属酸化物で被覆した顔料)
(6)三洋化成工業(株)製、商品名:サンワックス171−P、ポリエチレンワックス
(7)三井化学(株)製、商品名:ハイワックス2203A、酸変性ポリエチレンワッククス
(8)第一工業製薬(株)製、商品名:シュガーワックスF−10、ショ糖脂肪酸エステル
(9)豊国製油(株)製、商品名:HSクリスタ4100(Mw:16,000)、α-オレフィンワックス
(10)富士タルク工業(株)製、商品名:FH105
(11)ポリビニルアルコール樹脂
(12)ヒンダードアミン化合物
(13)三洋化成工業(株)製、商品名:ハイマーSB305、スチレンアクリル系共重合樹脂
【0161】
(固形筆記体Aの製造)
前記各配合物をニーダーにて混練し、得られた混練物をプレスにて外径φ3mm、長さ60mmに設定して圧縮成形を行い、−20℃まで冷却し、常温に戻すことで固形筆記体(単芯)を得た。
【0162】
(固形筆記体Bの製造)
前記各配合物をニーダーにて混練し、得られた混練物が内芯となるように、その外周面に、タルク69質量部、ショ糖脂肪酸エステル10質量部、ポリオレフィンワックス10質量部、エチレン酢酸ビニル共重合体(弾性体樹脂)10質量部からなる混練物を外殻となるように巻き付け、プレスにて圧縮成形を行い、外径φ3mm、長さ60mm(内芯がφ2mmであり、外殻の被覆厚が0.5mm)に成形することで、芯鞘構造の固形筆記体を得た。
尚、前記寸法は設定値であり、圧縮成形後に−20℃まで冷却し、常温に戻すことで固形筆記体を製造している。
【0163】
(筆跡光輝性の評価)
前記実施例及び比較例で得られた各固形筆記体A、Bを用いて、室温にて筆記試験用紙に手書きで円形状に塗りつぶした。その際の筆跡における光輝性を目視観察し、以下の評価基準で評価した。なお、筆記試験用紙として、白紙(JIS P3210に準拠した筆記用紙A)を用いた。
評価基準
A+:筆跡全体に金属光沢調の非常に強い輝きが確認された。
A:筆跡全体に金属光沢調の強い輝きが確認された。
B:筆跡全体に金属光沢調の輝きが確認された。
C:筆跡は、穏やかな金属光沢調の輝きが確認された。
D:筆跡は、金属光沢調の輝きが弱かった。
E:筆跡は、金属光沢調の輝きが確認されなかった。
【0164】
(筆跡発色変色性の評価)
上記評価で得られた筆跡の発色性及び、筆跡(円)の半分をSEBS樹脂からなる摩擦部材で擦過した際の筆跡の変色性を目視にて観察し、以下の評価基準で評価した。
なお、筆跡の変色性は、実施例1〜7、9、10、および比較例1〜5は、有色から無色への消色性を、実施例8は有色から有色への変色性を確認した。
評価基準
A+:発色明瞭であり、また、筆跡の変色(消色)の視認が非常に良好であった。
A:発色明瞭であり、また、筆跡の変色(消色)の視認が良好であった。
B:発色明瞭であったが、変色(消色)の視認がやや困難であった。
C:発色が不明瞭であり、また、変色(消色)の視認が困難であり、実用上問題があった。
【0165】
前記評価の結果を以下の表に示す。
【0166】
【表3】
【0167】
【表4】
【0168】
また、実施例1〜実施例10で得られた各固形筆記体Aは、比較例4および比較例5で得られた各固形筆記体Aに比べて、筆記する際、適度な抵抗が感じられ良好な書き味を有していた。
また、実施例1、実施例2、実施例5〜7、実施例9で得られた固形筆記体Aの表面は、比較例4および比較例5で得られた固形筆記体Aの表面に比べて、金属光沢調の強い輝きを有し、光輝性顔料を含んでいない黒色の固形筆記体との識別性に優れていた。
【0169】
よって、固形筆記体が、第1光輝性顔料を含むことで、明度の高い白紙上でも充分な光輝性を有する筆跡を形成することができること、書き味に優れること、また固形筆記体表面の光輝性に優れ、他色との識別性に優れることがわかった。
【0170】
また、実施例1、実施例4、実施例9、実施例10で得られた固形筆記体A、Bを用いて、室温にて筆記試験用紙に手書きで円形状に塗りつぶし、筆跡(円)の半分をSEBS樹脂からなる摩擦部材にて擦過して有色から無色への変色(消色)を確認し、これを消色跡とした。得られた消色跡を5℃にて24h放置し、24h後の消色跡を目視にて確認したところ、実施例9、実施例10の消色跡は再発色が見られたが、実施例1、実施例4の消色跡は再発色が見られず、スチレン系樹脂を含んでなる実施例1および実施例4で得られた固形筆記体は、スチレン系樹脂を含んでいない実施例9、実施例10で得られた固形筆記体に比べて低温時変色特性に優れていることがわかった。
なお、筆記試験用紙として、白紙(JIS P3210に準拠した筆記用紙A)を用いた。
【0171】
また、実施例1〜実施例7、実施例9、実施例10で得られた固形筆記体A、Bを用いて、室温にて筆記試験用紙に手書きで円形状に塗りつぶした後、筆跡(円)の半分を、αオレフィン系共重合体を含み、ショアA硬度(JIS K 7215に準拠)の押針接触開始直後の値が55以上90以下であり、ΔHSが5以上40以下である粘弾性体を用いた摩擦部材で、擦過したところ、筆跡は、有色から無色へと消色されるとともに、光輝性顔料が除去され、筆跡の消去が確認された。特に、実施例3および実施例4で得られた固形筆記体A、Bの筆跡は、実施例1、2、5、6、7、9、10で得られた固形筆記体の筆跡に比べて、消色性および、光輝性顔料の除去性に優れており、筆跡消去性に優れていた。
なお、筆記試験用紙として、白紙(JIS P3210に準拠した筆記用紙A)を用いた。
【0172】
鉛筆の作製
実施例1〜7、実施例9、10を用いて得られた固形筆記体A、Bを用いて、丸形外軸(木軸)内に収納成形することで18本の鉛筆を得た。
前記鉛筆を用いて紙面上に筆記すると、黒色、ピンク色又は青色の筆跡が得られた。前記鉛筆により得られた筆跡は、SEBS樹脂からなる摩擦部材を用いて擦過することにより消色された。
また、実施例8を用いて得られた固形筆記体A、Bを用いて、丸形外軸(木軸)内に収納成形することで2本の鉛筆を得た。
前記鉛筆を用いて紙面上に筆記すると、紫色の筆跡が得られた。
前記鉛筆により得られた筆跡は、SEBS樹脂からなる摩擦部材を用いて擦過することにより青色へと変色された。
【0173】
摩擦部材付鉛筆の作製
前記鉛筆の後端に、金属製の連結部材を介してSEBS樹脂からなる円柱状摩擦部材を固着して摩擦部材付鉛筆を得た。
前記摩擦部材付鉛筆を用いて紙面上に形成される筆跡は、後端に設けた摩擦部材を用いて摩擦することにより変色し、携帯性に優れた利便性に富む摩擦部材付鉛筆を得ることができた。
【0174】
固形筆記体セットの作製
前記固形筆記体Bを用いた10本の鉛筆と、SEBS樹脂からなる直方体形状の摩擦部材とを組み合わせて固形筆記体セットを得た。
前記鉛筆を用いて紙面上に形成される筆跡は、摩擦部材を用いて擦過することにより変色し、筆記と筆跡の変色が簡単にできるより利便性の高いセットを得ることができた。
























図1
図2