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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218929(P2019-218929A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】排気管構造
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20191129BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   F01N13/08 Z
   B60K13/04 A
   F01N13/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-118575(P2018-118575)
(22)【出願日】2018年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】303002158
【氏名又は名称】三菱ふそうトラック・バス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】大賀 英明
(72)【発明者】
【氏名】片渕 雅之
【テーマコード(参考)】
3D038
3G004
【Fターム(参考)】
3D038BA03
3D038BA13
3D038BC22
3G004AA01
3G004BA03
3G004DA23
3G004FA04
(57)【要約】
【課題】シンプルな構成で排気管への水の浸入と排気圧の増加とを抑える。
【解決手段】排気管構造1は、互いのフランジ3f,4fをボルト締めされることで連結される二つのパイプ3,4を有する円筒状の排気管2と、フランジ3f,4fに挟持される板部材7と一体で設けられた遮壁6とを備えている。排気管2は、車両に搭載されたエンジンの排気を車両の外部に排出する。遮壁6は、排気管2の内壁面2cから内側かつ下流側へ向けて突設されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いのフランジをボルト締めされることで連結される二つのパイプを有し、車両に搭載されたエンジンの排気を前記車両の外部に排出する円筒状の排気管と、
前記フランジに挟持される板部材と一体で設けられ、前記排気管の内壁面から内側かつ下流側へ向けて突設された遮壁と、を備えている
ことを特徴とする、排気管構造。
【請求項2】
前記排気管には、前記内壁面よりも内側に突出した先端部を有するセンサが取り付けられ、
前記遮壁が、前記センサの下流に配置され、前記排気管の延在方向に見て前記先端部と重なる
ことを特徴とする、請求項1に記載の排気管構造。
【請求項3】
前記遮壁が、前記先端部よりも前記排気管の内側に突出している
ことを特徴とする、請求項2に記載の排気管構造。
【請求項4】
前記遮壁が、前記内壁面の周方向に沿って延びる円弧状に形成されている
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気管構造。
【請求項5】
前記遮壁が、前記内壁面の周方向に沿って延びる円環状に形成されている
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気管構造。
【請求項6】
前記排気管が、下流側へ向けて下降傾斜するように延設され、
前記遮壁は、下部が下流側へ向けて下降傾斜している
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の排気管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた排気管への水の浸入を抑制するための排気管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両においてエンジンの排気を外部に排出する排気管には、排気の成分を検出する種々のセンサが取り付けられる。従来、このようなセンサの被水を防止するために、排気管への水の浸入を抑制することが課題とされている。
【0003】
この課題に対し、特許文献1には、テールパイプ(排気管)の湾曲部位の曲がり方向外側の内周面と、この内周面から下流側に向けて徐々に離間するように設けられた隔壁との間に、袋小路部を画成した構造が記載されている。この構造によれば、車体の高圧洗浄時に洗浄水がテールパイプの出口から入り込んでも、上述した袋小路部に突き当たって堰き止められ、その水しぶきも隔壁に跳ね返されるため、テールパイプの奥まった位置まで洗浄水が浸入することを阻止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−138457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された構造は、排気の流路面積を確保しつつ上述した袋小路部を形成するために、排気管を曲がり方向外側に膨出した形状としている。このため、排気管の形状が複雑になり、レイアウト性の低下や製造コストの増加を招くおそれがある。一方で、膨出していない一般的な円筒状の排気管を採用し、この排気管の内部に水の浸入を抑制する何らかの構成を追加する場合には、排気の流れを阻害しないようにして、排気圧の増加を抑えることが求められる。
【0006】
本件の排気管構造は、前述したような課題に鑑み創案されたものであり、シンプルな構成で排気管への水の浸入と排気圧の増加とを抑えることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)ここで開示する排気管構造は、互いのフランジをボルト締めされることで連結される二つのパイプを有し、車両に搭載されたエンジンの排気を前記車両の外部に排出する円筒状の排気管と、前記フランジに挟持される板部材と一体で設けられ、前記排気管の内壁面から内側かつ下流側へ向けて突設された遮壁と、を備えている。なお、ここでいう「内側」は、前記排気管の径方向の中心に向かう側であり、ここでいう「下流側」は、前記排気の流れ方向を基準としている。
【0008】
(2)前記排気管には、前記内壁面よりも内側に突出した先端部を有するセンサが取り付けられ、前記遮壁が、前記センサの下流に配置され、前記排気管の延在方向に見て前記先端部と重なることが好ましい。
(3)前記遮壁が、前記先端部よりも前記排気管の内側に突出していることが好ましい。
【0009】
(4)前記遮壁が、前記内壁面の周方向に沿って延びる円弧状に形成されていることが好ましい。
(5)前記遮壁が、前記内壁面の周方向に沿って延びる円環状に形成されていることが好ましい。
(6)前記排気管が、下流側へ向けて下降傾斜するように延設されることが好ましい。この場合、前記遮壁は、下部が下流側へ向けて下降傾斜していることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
開示の排気管構造によれば、円筒状の排気管の内壁面から内側かつ下流側へ向けて遮壁を突設させるというシンプルな構成で、排気管への水の浸入と排気圧の増加とを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一実施形態に係る排気管構造が適用された車両の概略構成図である。
図2図1の排気管構造及びその周辺の上面図(図1のX部を拡大した図)である。
図3図2の排気管構造及びその周辺の鉛直断面図(図2のA−A矢視断面図)である。
図4図3の排気管構造に適用された遮壁の斜視図である。
図5図3の排気管構造の遮壁及びその周辺を排気管の延在方向に見た図(図3のB−B矢視断面図)である。
図6】第二実施形態に係る排気管構造及びその周辺の鉛直断面図(図3に対応する図)である。
図7図6の排気管構造に適用された遮壁の斜視図(図4に対応する図)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、実施形態としての排気管構造について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。各実施形態の構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0013】
[1.第一実施形態]
[1−1.構成]
図1に示すように、排気管構造1は、エンジン11を搭載した車両10に適用される。ここでは、車両10がトラックやバスといった大型車両であって、エンジン11がディーゼルエンジンである場合を例示する。以下、車両10を基準として前後方向及び左右方向を定める。また、重力の作用方向を下方とし、この反対方向を上方とする。以下の説明において、車両10は水平な路面上にあるものとする。
【0014】
車両10には、エンジン11を含む各種装置を支持するための骨格構造として、前後方向に延びる左右一対のサイドレール12が設けられている。また、車両10には、エンジン11の排気(燃焼ガス)を浄化するための構成として、前段酸化触媒及びフィルタを収容したDPFマフラ13と、選択還元触媒及び後段酸化触媒を収容したSCRマフラ14とが配置されている。ここでは、DPFマフラ13が右のサイドレール12よりもやや左側(左右方向の内側)に配置され、SCRマフラ14が右のサイドレール12よりも右側(左右方向の外側)に配置される場合を例示する。
【0015】
図1中に太矢印で示すように、エンジン11の排気は、エキゾーストマニホールド15で集められた後、DPFマフラ13及びSCRマフラ14を順に通って車両10の外部に排出される。以下、この排気の流れ方向を基準として上流及び下流を定める。
【0016】
排気管構造1は、SCRマフラ14の下流に配置された排気管2を備えている。排気管2は、車両10に設けられる排気通路の最も下流側の部位をなし、エンジン11の排気を車両10の外部に排出する。ここでは排気管2がC字状に緩やかに湾曲した形状である場合を例示する。排気管2は、円筒状に形成されており、その内径が排気管2の延在方向(排気の流れ方向)において略一様とされる。すなわち、排気管2がなす排気通路の横断面(排気の流れ方向に対して直交する断面)は、排気の流れ方向におけるいずれの位置でも略一様な円形状とされる。
【0017】
図2に示すように、本実施形態の排気管2は、互いに連結された二つのパイプ3,4を有する。以下、二つのパイプ3,4のうち、SCRマフラ14に接続された一方のパイプ3を「SCR出口パイプ3」ともいい、他方のパイプ4を「テールパイプ4」ともいう。
【0018】
SCR出口パイプ3は、SCRマフラ14の前端部14aに形成された出口から前方へ延びた後、右方へ緩やかに湾曲した形状である。SCR出口パイプ3の下流端3aには、径方向の外側へ延出したフランジ3fが形成される。一方、テールパイプ4は、SCR出口パイプ3の下流端3aから右側へ延びた後、後方へ緩やかに湾曲した形状である。テールパイプ4の上流端4bには、径方向の外側へ延出したフランジ4fが形成される。また、テールパイプ4の下流端4aは、SCRマフラ14の右斜め前方において外気へ開放される。
【0019】
図3に示すように、パイプ3,4は、互いのフランジ3f,4fが後述する板部材7を挟んで対向するように配置される。そして、パイプ3,4は、各フランジ3f,4fに形成された図示しない貫通孔にボルト16が挿通されてナット17と締結されることにより、互いに連結される。このように、二つのパイプ3,4は、互いのフランジ3f,4fが板部材7を挟持した状態でボルト締めされることにより、板部材7を介して連結される。ここでは各フランジ3f,4fが略正方形状であって、その四隅に配置された四つのボルト16によりパイプ3,4が連結される場合を例示する。
【0020】
以下、排気管2の径方向の中心に向かう側を「内側」とし、この反対側を「外側」とする。なお、上述した各パイプ3,4は排気管2の一部であることから、SCR出口パイプ3の内壁面3cとテールパイプ4の内壁面4cとのそれぞれは、排気管2の内壁面2cの一部である。SCR出口パイプ3の内壁面3cとテールパイプ4の内壁面4cとは、上述したようにパイプ3,4が連結された状態では、板部材7を介して滑らかに連続する。
【0021】
本実施形態の排気管2は、下流側へ向けて下降傾斜するように延設されている。言い換えると、排気管2は、下流側へいくほど高さ位置が低くなる。したがって、排気管2では、SCR出口パイプ3の上流端3bの高さ位置が最も高く、テールパイプ4の下流端4aの高さ位置が最も低い。このため、例えば車両10の高圧洗浄時に、テールパイプ4の下流端4aから排気管2内に水が入り込んだとしても、この水は重力により排気管2内を下流側へと流れて排気管2から排水される。
【0022】
SCR出口パイプ3には、排気の成分を検出するセンサ5が取り付けられる。本実施形態では、排気に含まれるPM(Particulate Matter;粒子状物質)の濃度を検出するセンサ5を例示する。センサ5は、略円柱状に形成され、SCR出口パイプ3に穿設された図示しない取り付け孔に対し、SCR出口パイプ3の外側から差し込まれて固定される。
【0023】
センサ5は、SCR出口パイプ3の内壁面3cよりも内側に突出した先端部5aを有する。先端部5aには、耐熱性の高い材料(例えばセラミックス)で形成された図示しないセンサ素子が設けられる。なお、センサ5のうち、先端部5aと反対側の端部である接続端部5bには、図示しない配線が接続される。
【0024】
本実施形態のセンサ5は、センサ素子に付着したPMを燃焼(除去)させることで定期的に再生する機能をもつ。センサ5は、再生により高温化した先端部5aが被水することで急激に冷やされると、故障するおそれがある。このため、センサ5は、その軸心Cが接続端部5b側から先端部5a側へ向かって下降傾斜する姿勢で、SCR出口パイプ3に取り付けられている。言い換えると、センサ5は、先端部5aがSCR出口パイプ3の横断面(SCR出口パイプ3の延在方向と直交する断面)における上半部に取り付けられる。これにより、水が重力によりSCR出口パイプ3内を下流側へ流れるときに、センサ5の先端部5aが被水しにくくなる。
【0025】
排気管構造1は、排気管2への水の浸入を抑制するための構成として、遮壁6を備えている。遮壁6は、テールパイプ4の下流端4aから上流側へ向けて入り込んだ水を受け止めるための薄い板状の壁体である。遮壁6は、排気管2の内壁面2cから内側かつ下流側へ向けて突設される。すなわち、遮壁6は、その突出端(内端)6aが下流側を向くように、排気管2の径方向に対して傾斜して設けられている。遮壁6は、センサ5の下流に配置される。本実施形態の遮壁6は、排気管2内において、センサ5の先端部5aよりも下方かつ右方に位置する。
【0026】
遮壁6は、板部材7と一体で設けられている。すなわち、遮壁6は、板部材7の一部であって、板部材7がパイプ3,4のフランジ3f,4fに挟持されることにより排気管2に組み付けられる。
【0027】
板部材7は、上述したようにパイプ3,4の連結部分に挟み込まれるガスケットのような部材である。図4に示すように、板部材7は、フランジ3f,4fに挟持される平板状の外側部7aと、外側部7aの中央に設けられた円形状の中央孔7bと、中央孔7bの一部を覆うように外側部7aの内周縁から突設された壁部7cとを有する。
【0028】
外側部7aは、略正方形状であって、その四隅にボルト16を挿通するための貫通孔7hが形成されている。中央孔7bは、その直径が排気管2の内径と同一となるように形成される。壁部7cは、上述した遮壁6として機能する部位であり、中央孔7bを底面とする仮想的な円錐面に沿って設けられる。上述したように板部材7が排気管2に組み付けられた状態では、外側部7aの内周縁が各パイプ3,4の内壁面3c,4cと連続して設けられ、中央孔7bが排気管2の内部(中空部分)に配置される。板部材7は、例えば鋼板をプレス加工することにより形成される。
【0029】
以下、排気管2に組み付けられた板部材7の壁部7c(すなわち遮壁6)について詳述する。図5は、排気管構造1の遮壁6及びその周辺を下流側から上流側に向かって(排気管2の延在方向に)見た図である。図5に示すように、本実施形態の遮壁6は、排気管2の内壁面2cの周方向に沿って延びる円弧状に形成されている。ここでは遮壁6が半円弧状であって、排気管2の横断面(排気管2の延在方向と直交する断面)における内壁面2cの上半部に沿って設けられている場合を例示する。
【0030】
本実施形態の遮壁6は、センサ5の先端部5aよりも排気管2の内側に突出している。言い換えると、排気管2の内壁面2cを基準として、遮壁6の内側への突出量P1は、センサ5の先端部5aの内側への突出量P2よりも大きい(P2<P1)。また、本実施形態の遮壁6は、排気管2の延在方向に見て、センサ5の先端部5aの全体と重なる。すなわち、排気管2を下流側から上流側に向かって見た場合に、遮壁6は先端部5aの全体を遮蔽する。
【0031】
[1−2.作用及び効果]
排気管構造1では、円筒状の排気管2の内壁面2cから内側かつ下流側へ向けて遮壁6が突設されている。このため、例えば車両10の高圧洗浄時に、テールパイプ4の下流端4aから排気管2に水が入り込んだとしても、遮壁6がこの水を受け止めることにより、遮壁6よりも上流側への水の浸入を抑制することができる。また、遮壁6が排気管2の内壁面2cから内側かつ下流側へ向けて斜めに突設されているため、排気の流れを阻害しにくくすることができる。これにより、遮壁6を追加することによる排気圧の増加を抑えることができる。
【0032】
このように、排気管構造1によれば、円筒状の排気管2に遮壁6を追加するというシンプルな構成で、排気管2への水の浸入と排気圧の増加とを抑制することができる。したがって、排気管を膨出した形状にするといった設計変更が不要であることから、レイアウト性の低下や製造コストの増加を抑えることができる。
【0033】
また、排気管2が互いのフランジ3f,4fをボルト締めされることで連結される二つのパイプ3,4を有し、遮壁6がフランジ3f,4fに挟持される板部材7と一体で設けられているため、排気管2に遮壁6を容易に組み付けることができる。より具体的には、二つのパイプ3,4を連結させるときに板部材7をフランジ3f,4f間に挟持させるだけで、排気管2に対する遮壁6の位置決めと取り付けとを完了することができる。よって、遮壁6の組み付け性を向上させることができる。
【0034】
このように遮壁6が一体化された板部材7を二つのパイプ3,4の連結部分に配置する構成とすれば、既存のパイプ3,4に対して遮壁6を容易に後付けすることができるとともに、遮壁6を設ける場合とそうでない場合とでパイプ3,4を共用化できる。よって、製造コストの削減に寄与することができる。
【0035】
遮壁6が、センサ5の下流に配置されるとともに、図5に示すように排気管2の延在方向に見てセンサ5の先端部5aと重なるため、センサ5の先端部5aを被水しにくくすることができる。すなわち、排気管2の上流側へ向けて水が入り込んだとしても、遮壁6がセンサ5の先端部5aの手前でこの水を受け止めることにより、センサ5の先端部5aに水がかかりにくくなる。よって、センサ5の保護に寄与することができる。
【0036】
遮壁6がセンサ5の先端部5aよりも排気管2の内側に突出している(P2<P1である)ため、センサ5の先端部5aに対して下流側から向かってくる水を遮壁6で受け止めやすくすることができる。よって、センサ5の先端部5aをより被水しにくくすることができる。
【0037】
遮壁6が排気管2の内壁面2cの周方向に沿って延びる円弧状に形成されているため、遮壁6が設けられた位置における排気通路の横断面積を確保しやすくすることができる。言い換えると、遮壁6を上述した円弧状とすることで、排気管2の内壁面2cの周方向における一部には遮壁6が設けられないことから、排気の流れを阻害しにくくすることができる。よって、排気圧の増加をより抑えることができる。
【0038】
[2.第二実施形態]
[2−1.構成]
図6及び図7を参照して、第二実施形態に係る排気管構造1′について説明する。ここでは第一実施形態で説明した要素と同一又は対応する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0039】
本実施形態に係る排気管構造1′は、上述した排気管構造1に対して遮壁6′の形状が異なる。すなわち図7に示すように、本実施形態の板部材7′は、上述した第一実施形態の壁部7cとは異なる形状の壁部7c′を有する。なお、本実施形態の壁部7c′も、遮壁6′として機能する部位であって、中央孔7bを底面とする仮想的な円錐面に沿って設けられている。また、本実施形態の板部材7′も、例えば鋼板をプレス加工することにより形成される。
【0040】
以下、排気管2に組み付けられた板部材7′の壁部7c′(すなわち遮壁6′)について詳述する。図6に示すように、本実施形態の遮壁6′は、排気管2の内壁面2cの周方向に沿って延びる円環状に形成されている。すなわち、遮壁6′は、排気管2の横断面における内壁面2cの全周に沿って設けられている。なお、本実施形態においても、遮壁6′は、排気管2の内壁面2cから内側かつ下流側へ向けて突設され、センサ5の下流に配置されている。また、遮壁6′は、センサ5の先端部5aよりも排気管2の内側に突出しているとともに、排気管2の延在方向に見てセンサ5の先端部5aの全体と重なる。
【0041】
本実施形態の遮壁6′は、その下部6bが下流側へ向けて下降傾斜している。言い換えると、遮壁6′の下部6bは、図6中に二点鎖線で示す水平線Lに対して、下流側が低くなるように傾斜して設けられている。ここでいう下部6bとは、遮壁6′のうちの最も下側に配置される部位(高さ位置が最も低い部位)である。より具体的には、下部6bは、遮壁6′の軸心を通る鉛直断面(図6に示す断面)において、ハの字状に現れる上下二つの断面のうちの下側の断面をなす部位である。
【0042】
[2−2.作用及び効果]
本実施形態の排気管構造1′によれば、遮壁6′が排気管2の内壁面2cの周方向に沿って延びる円環状に形成されているため、円弧状の遮壁6が適用される場合と比べて、排気管2の上流側へ向かう水を受け止めやすくすることができる。よって、遮壁6′よりも上流側への水の浸入をより確実に抑えることができる。このため、遮壁6′がセンサ5の下流に配置される場合に、センサ5をより被水しにくくすることができる。
【0043】
また、本実施形態では、排気管2が下流側へ向けて下降傾斜するように延設されたうえで、遮壁6′の下部6bが下流側へ向けて下降傾斜しているため、たとえ水が遮壁6′よりも上流側まで入り込んだとしても、この水を重力により下流側へと円滑に流すことができる。すなわち、遮壁6′の下部6bが下流側へ向けて下降傾斜していることで、遮壁6′よりも上流側から下流側へと重力により流れる水が遮壁6′の下部6bで堰き止められることを防止できる。よって、排気管2の排水性を高めることができる。
【0044】
さらに、本実施形態の排気管構造1′によれば、上述した第一実施形態のものと同様の構成からは、同様の作用及び効果を得ることができる。
【0045】
[3.変形例]
遮壁6,6′は、少なくとも排気管2の内壁面2cから内側かつ下流側へ向けて突設されていればよく、その形状は上述した円弧状や円環状に限定されない。また、遮壁6,6′は、センサ5の先端部5aよりも排気管2の内側に突出していなくてもよい。すなわち、排気管2の内壁面2cを基準として、遮壁6,6′の内側への突出量は、センサ5の先端部5aの内側への突出量以下であってもよい。
【0046】
上述した遮壁6,6′の配置は一例である。遮壁6,6′は、パイプ3,4の連結部分以外の位置に設けられてもよいし、排気管2の延在方向に見てセンサ5の先端部5aと重なっていなくてもよい。ただし、遮壁がセンサ5の下流に配置され、排気管2の延在方向に見てセンサ5の先端部5aの少なくとも一部と重なっていれば、上述したように排気管2の上流側へ向けて入り込んだ水が遮壁によりセンサ5の先端部5aの手前で受け止められやすくなる。このため、センサ5の先端部5aを被水しにくくすることができる。また、上述した各実施形態のように、遮壁6,6′が排気管2の延在方向に見てセンサ5の先端部5aの全体と重なっていれば、センサ5の先端部5aをより被水しにくくすることができる。
【0047】
第一実施形態で示した半円弧状の遮壁6は、上述した位置から排気管2の周方向にずれて設けられてもよい。仮に、このような半円弧状の遮壁を排気管2の横断面における内壁面2cの下半部に沿って設ける場合には、上述した第二実施形態と同様に、その遮壁の下部を下流側へ向けて下降傾斜させることが好ましい。このようにすれば、第二実施形態と同様に、遮壁よりも上流側から下流側へと重力により流れる水が遮壁の下部で堰き止められることを防止できるため、排気管2の排水性を高めることができる。
【0048】
遮壁6,6′が一体で設けられる板部材7,7′は、排気管2を構成する二つのパイプ3,4のフランジ3f,4fに挟持されるものであればよく、その形状は上述した形状に限定されない。また、上述した板部材7,7′の材料及び成形方法はいずれも一例である。
【0049】
排気管2は、上述したパイプ3,4以外のパイプを更に有していてもよい。また、上述したパイプ3,4は、互いのフランジ3f,4fをボルト締めされることで連結されればよく、各フランジ3f,4fの形状やボルト16の本数は特に限定されない。さらに、排気管2は、下流側へ向かって下降傾斜していなくてもよい。遮壁6′の下部6bも、下流側へ向けて下降傾斜していなくてもよい。なお、たとえ排気管2内に水が残留したとしても、エンジン11が作動して排気が排気管2を流れれば、排気管2内の水は排気の熱により温められて蒸発するため、排気と共に車両10の外部へと排出される。
【0050】
上述したセンサ5の取り付け角度(排気管2に対する軸心Cの向き)や取り付け位置はいずれも一例である。また、上述した各実施形態ではPMの濃度を検出するセンサ5を例示したが、排気管2に取り付けられるセンサ5の種類は特に限定されない。さらに、センサ5は排気管構造1,1′から省略されてもよい。センサ5が設けられない場合であっても、排気管構造1,1′によれば、上述したように排気管2の内壁面2cから遮壁6,6′を突設させるというシンプルな構成で、排気管2への水の浸入と排気圧の増加とを抑制することができる。
【0051】
車両10は上述した大型車両に限定されず、エンジン11はディーゼルエンジンに限定されない。また、DPFマフラ13及びSCRマフラ14は、エンジン11の種類に応じて適宜設けられればよく、上述した触媒及びフィルタの一部が省略されてもよいし、上述した触媒及びフィルタ以外の構成を更に備えていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1,1′ 排気管構造
2 排気管
2c 内壁面
3 SCR出口パイプ(パイプ)
3c 内壁面
3f フランジ
4 テールパイプ(パイプ)
4c 内壁面
4f フランジ
5 センサ
5a 先端部
6,6′ 遮壁
6b 下部
7,7′ 板部材
10 車両
11 エンジン
16 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7