特開2019-219390(P2019-219390A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッドの特許一覧
特開2019-219390電気機械式装置によって動作を調節する機械式ムーブメントを備えた計時器
<>
  • 特開2019219390-電気機械式装置によって動作を調節する機械式ムーブメントを備えた計時器 図000003
  • 特開2019219390-電気機械式装置によって動作を調節する機械式ムーブメントを備えた計時器 図000004
  • 特開2019219390-電気機械式装置によって動作を調節する機械式ムーブメントを備えた計時器 図000005
  • 特開2019219390-電気機械式装置によって動作を調節する機械式ムーブメントを備えた計時器 図000006
  • 特開2019219390-電気機械式装置によって動作を調節する機械式ムーブメントを備えた計時器 図000007
  • 特開2019219390-電気機械式装置によって動作を調節する機械式ムーブメントを備えた計時器 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-219390(P2019-219390A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】電気機械式装置によって動作を調節する機械式ムーブメントを備えた計時器
(51)【国際特許分類】
   G04C 3/04 20060101AFI20191129BHJP
   G04B 18/02 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   G04C3/04 B
   G04B18/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-109234(P2019-109234)
(22)【出願日】2019年6月12日
(31)【優先権主張番号】18178547.8
(32)【優先日】2018年6月19日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】リオネル・トンベ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機械式ムーブメントの時間ずれを補正する装置を提供する。
【解決手段】計時器2は、機械式共振器6および機械式発振器の振動数を調節する装置から形成される機械式発振器を備える。調節装置22は、補助発振器26、機械式共振器を停止させるのに好適な電気機械式装置28、その中立位置を介して機械式共振器の通過を検出するために配置されるセンサ32、および機械式発振器の時間ずれを測定するために配置される測定装置を備える。調節装置は、所与の交番の間、機械式共振器の固有振動ムーブメントを、測定された時間ずれが少なくとも特定のゲインに相当するときに、その中立位置を介した機械式共振器の通過前に発生する第1の半交番中に瞬間的に、または、測定された時間ずれが少なくとも特定の損失に相当するときに、その中立位置を介した機械式共振器の通過後に発生する第2の半交番中に早期に、いずれか選択的に停止させるために配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
−時間的データ項目を示すための機構と、
−機械式共振器(6)であって、その最小の位置エネルギー状態に相当する中立位置のあたりで所与の振動軸に沿って振動ムーブメントを有するのに好適な機械式共振器と、
−上記機構の動作を整調するために配置される機械式発振器をこの機械式共振器で形成する前記機械式共振器の維持装置(18)であって、前記振動軸に、前記機械式共振器の各振動部は2つの最大位置間の2つの連続した交番(A1、A2)を有し、前記中立位置から前記機械式発振器の発振振幅を振動部が画定し、各交番は前記中立位置を介して前記機械式共振器の通過の前後でそれぞれ発生する第1の半交番および第2の半交番を有する維持装置と、
−前記機械式発振器の中心振動数を調節する装置(22)であって、この調節装置は補助発振器(26)、交番中のこの交番方向に前記機械式共振器の前記振動ムーブメントを少なくとも瞬間的に停止させるのに好適な電気機械式装置(28)、および、調節回路(24)であり、前記電気機械式装置がそれを起動させることを目的とする制御信号の生成を可能にするために配置される調節回路を備える装置(22)と:
を備える計時器(2)において;
前記調節装置は、前記振動軸に少なくとも特定の所与の位置を介して前記機械式共振器の前記通過を検出することが可能なように配置されるセンサ(32)、および、前記センサによって出力される検出信号(SP)に基づいて、前記補助発振器と関連する前記機械式発振器の潜在的な時間ずれの測定を可能にするために配置される測定装置(34)を備えることを特徴とし;前記測定装置および前記調節回路は、少なくとも特定のゲインまたは少なくとも特定の損失に相当する前記時間ずれを問わずに確定することを可能にするために配置されることを特徴とし;前記調節回路および前記電気機械式装置は、前記機械式共振器が有効な動作範囲内の振幅によって振動するときに、
a)測定された前記時間ずれが少なくとも特定の前記ゲインに相当する場合、所与の交番の前記第1の半交番の間に、各固有の半交番に想定される公称持続時間(T0/4)と関連するこの第1の半交番を延長するように、この交番の前記方向に前記機械式共振器の前記振動ムーブメントを瞬間的に停止することと、
b)測定された前記時間ずれが少なくとも特定の前記損失に相当する場合、少なくとも所与の交番の前記第2の半交番の間に、前記公称持続時間と関連するこの第2の半交番を早期に終わらせるように、前記機械式共振器の前記振動ムーブメントを停止させること、および、最終的な前記機械式共振器の前記通過以降にその前記中立位置を介してこの公称持続時間に達する前に続けて次の交番を開始することと、を可能にするために配置されることを特徴とする計時器(2)。
【請求項2】
前記電気機械式装置は、前記機械式共振器の突出部(20)に対する可動式ドテを画定する停止部材(30)を備える駆動部によって形成され、前記停止部材は、前記機械式共振器が前記有効な動作範囲内の振幅で振動するときに、前記停止部材が前記突出部によって掃引される領域の外側にある非相互作用位置と、前記停止部材が前記突出部によって掃引されるこの領域に部分的に位置している相互作用位置との間に可動的に配置されることを特徴とし;前記停止部材はコマンドで作動して、前記停止部材に対向して当接し、続いてその前記相互作用位置に据えられる前記突出部を介し、それぞれ少なくとも特定のゲインまたは少なくとも特定の損失が検出されたかどうかによって、前記所与の交番の前記方向におよびこの交番の前記第1の半交番または前記第2の半交番において選択的に前記機械式共振器の前記振動ムーブメントを停止し得ることを特徴とする、請求項1に記載の計時器。
【請求項3】
前記電気機械装置は、前記停止部材(30)を作動させて第1の半交番に前記機械式共振器を停止させるときに、この停止部材が前記機械式共振器(6)を瞬間的に係止するように、前記第1の半交番中の前記振動ムーブメントを瞬間的に中断した後、前記振動ムーブメントが前記停止部材を解除後に継続されるように、および、前記停止部材が作動して第2の半交番で前記機械式共振器を停止させるときに、この停止部材が、前記機械式共振器の前記振動ムーブメントの前記方向を逆にすることによって、前記機械式共振器を係止することなしに、この第2の半交番を早期に終わらせ、そのため、前記停止部材に対向した前記突出部の衝撃によって誘導されたこの機械式共振器の瞬間的または準瞬間的な停止の後に、前記機械式共振器が続いて次の交番を直ちに開始するのように配置されることを特徴とする、請求項2に記載の計時器。
【請求項4】
前記停止部材が第2の半交番を終わらせるときに、前記次の交番をほぼゼロの速度で開始するように、この停止部材は前記機械式共振器の運動エネルギーを実質的に吸収することを特徴とする、請求項3に記載の計時器。
【請求項5】
前記機械式共振器の前記停止部材および前記突出部は、前記停止部材をコマンドでその前記相互作用位置に据えるとき、前記所与の交番の前記方向に前記機械式共振器の前記振動ムーブメントを実質的に停止させる弾性的衝撃をそれらの間で呈するように配置され、したがって、引き起こされた前記停止は瞬間的または準瞬間的であり、前記振動ムーブメントの前記方向の反転は、この機械式共振器の瞬間的または準瞬間的な前記停止後の前記停止部材によって前記機械式共振器に戻される特定の運動エネルギーにて発生することを特徴とする、請求項2に記載の計時器。
【請求項6】
前記駆動部は、その前記相互作用および非相互作用位置の間にコマンドで前記停止部材(30)を移動可能に配置される圧電素子または電磁気システムを備えることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一項に記載の計時器。
【請求項7】
前記センサ(32)は、少なくとも前記機械式共振器の前記通過をその前記中立位置を介して検出するように配置されること;および、前記調節回路(24)は、少なくとも特定のゲインが検出されるときに、この調節回路が、制御信号(SC)を前記電気機械式装置に、前記機械式共振器(6)の通過の検出後にその前記中立位置を介して送信し、そのため、前記電気機械式装置が、固有の半交番の前記公称持続時間(T0/4)と実質的に同じ持続時間の間に、この停止部材をその前記相互作用位置に据えることによって前記停止部材(30)を作動させるように配置されることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一項に記載の計時器。
【請求項8】
前記調節回路(24)は時間計(C1)を備え、少なくとも特定のゲインが検出されるときに、前記制御信号(SC)を前記電気機械式装置に送信する前に時間遅延期間を測定するために、前記機械式共振器の前記中立位置を介した前記機械式共振器の通過の検出後に前記時間計を再設定し、そのため、所定または確定した持続時間の間に、前記機械式共振器の前記相互作用位置にこの停止部材を据えることによって、この電気機械式装置が前記機械式共振器の前記停止部材を作動させることが可能なように配置されることを特徴とする、請求項7に記載の計時器。
【請求項9】
前記機械式共振器は、テンプ(8)およびヒゲゼンマイ(10)によって形成され、前記テンプは、前記突出部(20)を支持する計時器において;前記停止部材(30)は、前記テンプの前記振動軸(9)と関連して、角度をつけて位置付けられ、そのため、前記停止部材は、その前記相互作用位置にあるときに、前記機械式共振器がその前記中立位置にある場合の前記突出部とのゼロとは異なる角度遅延(θB)を有し、この角度遅延は、前記有効な動作範囲の最小振幅未満であると想定されていることを特徴とする、請求項2〜8のいずれか一項に記載の計時器。
【請求項10】
前記センサは、前記機械式共振器の方へ光ビームを送信することが可能であるように配置される光源、および、光信号を帰還させる際に前記振動軸に沿った前記機械式共振器の前記位置に応じて変化する強度を受信するように配置される光検出器を備える光センサ(32)、または、前記振動軸に沿った前記機械式共振器の前記位置に応じて、静電容量およびインダクタンスの変動をそれぞれ検出することが可能なように配置される容量センサもしくは誘導センサのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の計時器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は:
−時間的データ項目を示すための機構と、
−振動軸に沿ってその最小の位置エネルギー状態に対応する中立位置のあたりで振動するのに適した機械式共振器と、
−それとともに、機構の動作を整調するように配置された機械式発振器を形成する機械式共振器の維持装置であって、振動軸上で、機械式共振器の各振動部が2つの最大位置間に2つの連続した交番を有し、機械式発振器の発振振幅を交番が定め、各交番が機械式共振器の通過前にその中立位置を介して発生する第1の半交番を有して、第2の半交番が機械式共振器の通過後にその中立位置を介して発生する維持装置と、
−機械式発振器の中心振動数を調節するための装置であって、この調節装置が補助発振器およびコマンドで調節インパルスを機械式共振器に印加するように配置した装置を備える装置とを備える計時器に関する。
【0002】
「機構の動作を整調する」とは、作動時に、特にその歯車の回転速度を測定するときに、本機構の可動式構成要素のうちムーブメントを整調することを意味する。
【0003】
特に、機械式共振器はばね付きテンプであり、維持装置は従来の脱進機、例えばスイスレバー脱進機を備える。補助発振器は、特に水晶振動子によって、または電子回路の一体型共振器によって形成される。
【背景技術】
【0004】
当業者には、機械電気型であるばね付きテンプの振動数を調節するための装置が関連した計時器の機械式ムーブメントは周知である。より具体的には、調節は、ばね付きテンプと調節装置との間の機械的相互作用を介して行われ、後者は、テンプの外縁に接触することはないが、テンプに配置されるドテ、およびドテの方向に制動振動数で作動する可動式アンクルを備え付けた駆動部から形成されるシステムによって、発振用テンプに作用するように配置される。このような計時器は、仏国特許出願公開第2162404号(特許文献1)に記載されている。当明細書で提案される概念によると、それは、機械式発振器が設定振動数と比較して時間ずれを呈するときに、アンクルとドテとの間の相互作用によって、機械式発振器の振動数を水晶振動子の振動数と同期させようとしており、アンクルは、瞬間的にテンプを係止して、次にそれを特定の時間間隔の間、そのムーブメント内で停止するか(ドテは、その方向に移動するアンクルに対向して、その中立位置に向けたテンプの戻りに応じて支持する)、または、テンプがその(その振幅を定める)2つの最大角度位置のうちの1つの方向に回転する一方で、アンクルがドテに対向して到達するときに振動振幅を制限するかのどちらかが可能であると想定され、続いてアンクルは振動を止めて、テンプが直ちに反対方向に再始動する。
【0005】
このような調節システムは多数の欠点を有し、それが機能的なシステムを形成できるかどうか深刻に疑問視できる。ドテの振動ムーブメントに関連するアンクルの周期的な作動、更には潜在的に大きい初期の位相変位は、このドテに向かうアンクルの周期的ムーブメントに対するドテの振動部に対して、いくつかの問題を提起する。アンクルとドテ間との相互作用は、テンプの単一角度位置に制限され、この角度位置は、ばね付きテンプの軸に関連する駆動部の角度位置、および停止部(その中立位置を定める)でのテンプ上のドテの角度位置によって定められることに留意することになる。実際には、アンクルのムーブメントは、ドテとの接触によってテンプを停止させるように想定されているが、テンプの外縁と接触しないようにアンクルを配置している。さらに、アンクルとドテとの間の相互作用のモーメントは、ばね付きテンプの振動部の振幅にも依存することに留意することになる。
【0006】
望まれる同期は見込みのないように思われる点に留意することになる。実際には、特にばね付きテンプに対して、振動数は、アンクルの往復運動を整調する設定振動数を超えて、その2つの最大角度位置のうちの1つから戻るテンプを瞬間的に保持する(誤差を低減する補正)アンクルとドテとの間の第1の相互作用を伴っており、第2の相互作用は、その交番ムーブメントを通じてアンクルに接触させているドテのない多数の振動の後、テンプが上記最大角度位置の方へ回転する一方で(誤差を増加させる補正)、ドテがアンクルに対向して当接する点で、その振動方向の即時反転を伴うアンクルによるテンプの停止が確実になる。したがって、例えば数百の振動周期の長期であり得る時間間隔の間に補正されていない時間ずれがあるだけでなく、アンクルとドテとの間のいくつかの相互作用は、それを減らす代わりに時間ずれを増加させる。上述の第2の相互作用の間のドテの振動部の位相変位、したがって、ばね付きテンプの振動部の位相変位は、アンクルとドテとの間の相対的な角度位置(その中立位置のテンプ)によっては重要であり得る点にさらに留意することになる。
【0007】
したがって、望まれる同期の達成が疑問視され得る。さらに、特にばね付きテンプの固有振動数が類似するが設定振動数に等しくない場合、この時点でアンクルに向かって位置するドテによってテンプの方へそのムーブメントにアンクルを係止する展開は、予見できる。このような寄生的相互作用は、機械式発振器および/または駆動部に損傷を与え得る。さらに、これは実際にアンクルの接線方向に動く範囲を制限する。最終的に、ドテによる相互作用位置でのアンクルの保持時間を相対的に短くし、それゆえに、損失を誘発する補正を制限しなければならない。
【0008】
結論として、仏国特許出願第2162404号(特許文献1)で提唱される計時器の動作は、非常に見込みがないと当業者には明らかであり、彼らにこのような教示を思いとどまらせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2162404号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、背景技術に記載した従来技術の技術的問題および欠点に対し解決策を見出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の範囲内において、概して、機械式計時器ムーブメントの動作精度を高めること、すなわちこの機械式ムーブメントの1日の時間ずれを低減する試みが行われている。特に、本発明は、機械式計時器ムーブメントのこのような目的を達成しよう試みており、動作をまず最適に設定する。実際には、全般的な本発明の目的は、機械式ムーブメントの時間ずれを補正する装置、すなわちその動作を補正してその精度を高めるための装置を見出すことにあるが、それでも、機械式ムーブメントがその固有の特性により有することができる最高精度で独立して動作する能力、すなわち補正装置がない場合、または、後者が作動していないときに作動する能力を放棄しないことにある。
【0012】
このために、本発明は技術分野に記載の計時器に関し、調節装置は、交番中に少なくとも瞬間的に機械式共振器の振動ムーブメントをこの交番の方向に停止させるのに好適な電気機械式装置を備えて、調節回路は、電気機械式装置がそれを起動させることを目的とする制御信号の生成を可能なように配置される。調節装置は、さらに少なくとも振動軸上の特定の所与の位置を介して機械式共振器の通過を検出することが可能なように配置されるセンサ、および、センサによって供給される検出信号に基づいて、補助発振器と関連する機械式発振器の潜在的な時間ずれを測定することが可能なように配置される測定装置を備える。測定装置および調節回路は、時間ずれが少なくとも特定のゲインまたは少なくとも特定の損失に相当するかどうか確定が可能なように配置される。調節回路および電気機械式装置は、機械式共振器が有効な動作範囲内の振幅によって振動するときに、
a)測定された時間ずれが少なくとも上記の特定のゲインに相当するときに、固有の半交番ごとに想定される公称持続時間T0/4と関連してこの第1の半交番を延長するように、所与の交番のうち第1の半交番の間、この交番の方向に機械式共振器の振動ムーブメントを瞬間的に停止すること、および、
b)測定された時間ずれが少なくとも上記の特定の損失に相当するときに、特に複数の所与の交番のうち、少なくとも所与の交番の第2の半交番の間に機械式共振器の振動ムーブメントを停止させて、そのため、公称持続時間T0/4と関連して、各所与の交番のうち第2の半交番を早期に終わらせ、その中立位置を介した最終的な機械式共振器の通過以降、この公称持続時間に到達する前に、続けて発生する次の交番が開始されることが可能なように配置される。
【0013】
本発明の特徴により、後者は、特定の損失または特定のゲインに相当する時間ずれを呈するかを問わず、機械式ムーブメントの動作を確実かつ効果的に調節することが可能である。
【0014】
主な実施形態では、電気機械式装置は、可動式ドテを機械式共振器の突出部として画定する停止部材を備えた駆動部によって形成され、停止部材は、機械式共振器が有効な動作範囲における振幅によって振動するとき、それが突出部によって掃引される領域の外側にある非相互作用位置と、それが突出部によって掃引されるこの領域に部分的に位置している相互作用位置との間に可動式に配置される。停止部材はコマンドで作動して、停止部材に対向して当接し、続いてその相互作用位置に据えられる突出部を介し、それぞれ少なくとも特定のゲインまたは少なくとも特定の損失が検出されたかどうかによって、所与の交番の方向におよびこの交番の第1の半交番または第2の半交番において選択的に機械式共振器の振動ムーブメントを停止し得る。
【0015】
したがって、主な実施形態では、第1に、電気機械式装置は、停止部材が作動して第1の半交番で機械式共振器を停止させるときに、突出部がこの停止部材に対向して当接した後、停止部材によって機械式共振器がこの第1の半交番に内在する固有振動ムーブメントを持続するのを瞬間的に阻止するように配置され、このようにして、第1の半交番の間のこの固有振動ムーブメントが瞬間的に妨害された後、停止部材の解除後、一定時間の位相変位を伴って、固有振動ムーブメントを持続していく。さらに、電気機械式装置は、停止部材が作動して第2の半交番で機械式共振器を停止させるときに、したがって、停止部材が機械式共振器の振動ムーブメントの方向を逆にすることによって、機械式共振器を係止することなしに、この第2半交番を早期に終わらせるように配置され、このようにして、この機械式共振器が、停止部材による突出部の衝突によって引き起こされる瞬間的または準瞬間的な停止後に、直ちに次の交番を開始する。
【0016】
本発明は、非限定的実施例として提示され、添付の図面を参照して以下にさらに詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による計時器の主な実施形態の部分概略図である。
図2図1における計時器の機械式共振器および概略的に調節装置の構成要素を示す。
図3図2の調節装置に組み込まれる調節回路の電気回路図を示す。
図4図4Aおよび4Bは、図3における機械式共振器の振動ムーブメントを視覚的に表しており、機械式共振器と調節装置の駆動部との間に想定される第1の相互作用モードの場合において、特定の損失の補正に対する、特定のゲインの補正が、計時器の動作でそれぞれ検出される。
図5図5Aおよび5Bは、機械式共振器と調節装置の駆動部との間に想定される第2の相互作用モードの場合の図4Aおよび4Bにおけるそれらに対する類似のグラフである。
図6】主な実施形態の調節装置の動作モードを記載しているフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面の参照によって、本発明による計時器2の主な実施形態が記載されている。それは、計時器ムーブメント4および計時器4の動作を整調するように配置される機械式共振器6の振動ムーブメントにおける位相変位を引き起こすことが可能なように配置される調節装置22を備える。
【0019】
機械式ムーブメント4は時間的データ項目のうち少なくとも1つの表示機構12を含み、この機構は香箱14によって作動する連なり部16を備える。機械式共振器6は、テンプ8およびヒゲゼンマイ10によって形成される。表示機構12は機械式共振器の維持装置を備え、この維持装置は脱進機18によって形成されている。脱進機および機械式共振器は、機械式発振器を形成する。脱進機は慣習的にパレットフォークおよびガンギ車を備え、後者は連なり部16を用いて香箱に運動学的に連結されている。機械式共振器は、その最小の位置エネルギー状態に相当し、円形の幾何学的な軸に沿った、すなわちテンプの回転軸9のまわりの角振動ムーブメントを呈する中立位置(安静位/ゼロ角度位置)あたりで振動するのに好適である。テンプの位置はその角度位置によって与えられるように、円形の幾何学的な軸の半径は重要でないものと理解される。概して、振動軸は、機械式共振器のムーブメントの性質を示す振動方向を画定し、さらなる特定の実施形態において直線状であり得る。機械式共振器の各振動部は、振動軸上の2つの最大位置の間に2つの連続した交番を有し、これらの最大位置は、中立位置から機械式発振器の発振振幅を画定する。
【0020】
計時器は、機械式発振器の振動数を調節するシステムを備え、この調節システムは、一方では、テンプ8の外縁に配置される突出部20によって、他方では:
−水晶振動子によって形成される補助発振器26と、
−駆動部28によって形成され、交番の間に、少なくとも瞬間的に、機械式共振器6の振動ムーブメントを、この交番の間のその固有の方向に停止させるのに好適である電気機械式装置と、
−補助発振器26を伴って、駆動部がそれを起動させることを目的とする制御信号SCを生成することが可能なように配置される調節回路24と、
−少なくともある所与の角度位置を介して機械式共振器の通過を検出することが可能なように配置されたセンサ32とを備える調節装置22によって形成される。
【0021】
駆動部28は電気作動回路29および可動式ドテによって形成される機械式共振器の停止部材30を備え、圧電材でできている棒31の終端に配置されるアンクルによって、図2における代替的実施形態で画定される。この棒は、電圧がその側面の2つの対面に配置される2つの電極間に電気回路29によって印加されるときに曲がる。回路29は、調節回路24に接続しており、そこへ制御信号SCを出力して、しかしテンプに接触させることなしに、テンプの外縁の方へ可動式ドテ30を作動させる。さらなる実施形態では、駆動部は、突出部20を備えた相互作用位置と非相互作用位置との間に、コマンドで停止部材を移動可能なように配置される電磁気システムを備える。この電磁気システムは、ドテを画定しアンクルを支えるたわむ棒上の固定コイルおよび磁石のある箇所によって形成され得て、または逆もあり得る。あるいは、可動式ドテを、コイル内部に入力する強磁性体コードによって形成し得えて、それは、電力を供給されるときに(例えば戻しばねはコアを伴う)、その中心軸を移動する。
【0022】
示される代替的実施形態では、センサ32は、テンプの外縁の方へ光ビームを送ることが可能であるように配列される光源を備える光センサであり、外側面48は反射性(特に研磨された)で、光検出器は外側面によって反射した光信号33を代わりに受信するように配置される。光センサは、本願明細書において、その中立位置を介して機械式共振器の通過を検出し、さらに、振動部の交番を確定するように振動ムーブメントの方向を検出することが想定され、各振動周期を画定する2つの交番の中で、この検出が生じる。本目的のために、機械式共振器の角度位置により検出された光信号SLの強度を変化させることが想定される。より具体的には、外側面48は、異なる幅の2つの吸収区域からなるマーキング50(図2において検出部の開示のために外縁に示される)を備える。例えば、ゼロを介した通過は、最も広い区域の内側線(2つの吸収区域から形成されるパターンと比較して)によって画定される。2つの吸収区域の異なる幅は、テンプ8の回転方向を容易に確定することを可能にすると理解されている。調節回路24に配置される検出回路36は、一方では、センサの前方でマーキングの通過を検出して、測定装置34のレバー38に対する信号SPを出力し、他方では、センサの反対側のマーキングの通過の検出後に、テンプの振動部の方向を検出して、目下の交番に関して制御論理回路42に信号SNを出力する。
【0023】
信号SNは、振動周期当たりの所定の交番が進行中であるときに、マーキングの検出毎に論理回路42に振動方向を指示するか、またはそこへただ単に指示し得る点に留意することになり、本願明細書において、駆動部とテンプとの間の相互作用が、所定の交番の中立位置を介してテンプの通過の間にだけ単に想定されるならば、本発明の明細書で以下に明らかに理解されるように、振動周期の第1の交番および第2の交番から、ならびに以降の交番の中立位置を介したこのテンプの通過から選択される。したがって、1つの代替的実施形態では、検出回路が信号SPを介して振動周期当たりに単一の衝撃を容易に送信できるように、レバー38を解除し得る点に留意することになる。さらなる代替的実施形態では、静電容量の変動を検出することが可能な配置をした容量センサ、または誘導センサのいずれも想定され、機械式共振器の角度位置によるインダクタンスもそれぞれ想定される。調節装置の電源供給源に関しては、電源によって発生する電気エネルギーを保存するための装置を伴う電源が想定される。例えば電源は光電池または熱電装置によって形成され、これらの実施例は限定されない。電池の場合では、電源および記憶装置は、共に単一の電気部品を形成する。
【0024】
次に、調節装置は、センサ32によって出力される検出信号SLに基づいて、補助発振器26と関連する機械式発振器の時間ずれを測定することが可能なように配置される測定装置34を備える。測定装置は、すでに記載されている検出回路36から形成され、レバー38および信号SPをその2つの入力のうち1つで受信する両方向計数器C2は、センサを使用して検出した振動周期当たりの衝撃、および、他のその入力における補助発振器26によって生成されたクロック信号Shorを出力し、クロック回路40は2つのステージDIV1およびDIV2を有する除数に基準信号を出力する。除数の第1のステージは、時間計C1およびタイマー44に振動信号を出力する。したがって、カウンタC2の状態は、調節装置の起動から、絶対値における機構12の時間ずれを与える。カウンタC2の状態は、図6に示すように、基準値N1およびN2との比較によって、時間ずれが少なくとも特定のゲインまたは少なくとも特定の損失に相当するかどうか確定することが可能なように配置される制御論理回路42に出力される。
【0025】
本発明によれば、調節回路24および駆動部28は、機械式共振器が有効な動作範囲内の振幅によって振動するときに、少なくとも所与の交番の間に、この所与の交番の方向に機械式共振器の振動ムーブメントを停止すること、および、所与の交番の第1の半交番の間に、測定された時間ずれが少なくとも特定のゲインに相当するときに、この所与の交番においてその中立位置を介して機械式共振器の通過前か;または、少なくとも所与の交番の第2の半交番の間に、測定された時間ずれが少なくとも特定の損失に相当するときに、この所与の交番においてその中立位置を介して機械式共振器の通過後かのいずれかに起こる選択的な停止が可能なように配置される。後者の場合には、固有の半交番の公称持続時間に対して、各第2の半交番を早期に終わらせて、その中立位置による機械式共振器の最終的な通過以後、この公称持続時間に達する前に、続けて生じる次の交番を開始するような方法で振動ムーブメントを停止する。これを行うために、本明細書に記載された実施形態では、駆動部28の停止部材30は、機械式共振器の突出部20に対する可動式ドテを画定する。好ましくは、テンプは均衡が保たれるように設計される点に留意することになる。
【0026】
停止部材は、機械式共振器が有効な動作範囲の振幅によって振動するときに、突出部によって掃引される領域の外側である非相互作用位置と、突出部20は停止部材に対向して当接するときに、突出部によって掃引されるこの領域に部分的に位置して、したがって、その振動ムーブメントの方向にテンプ8を停止させることが可能である相互作用位置との間に可動的に配置される。停止部材30(実質的に半径方向のムーブメント軸に沿った可動性あるもの)は、テンプの振動軸に対して、角度をつけて位置付けられ、そのため、停止部材は、その相互作用位置にあるとき、テンプの突出部20によるゼロとは異なる遅延角度θBを有し、機械式共振器がその中立位置にあるとき、図2における角度位置「0」での突出部20の位置決めと一致する。この角度位置は、マーキング50を介してセンサ32によって検出されて、このセンサの反対側で提示され、その場合、突出部は角度ゼロに位置付けられる。遅延角度θBは、この有効な動作範囲の全体にわたって時間ずれの補正を可能にするように、機械式発振器の有効な動作範囲の最小振幅未満で想定される。例えば、遅延角度の値は、60°〜150°、好ましくは90°〜120°に位置している。
【0027】
本発明によれば、前述のように、それぞれ、少なくとも特定のゲインまたは少なくとも特定の損失が検出されたかどうかによって、コマンドで停止部材30を作動させて、第1の半交番または少なくとも第2の半交番の間に、テンプ8を停止させることが想定される。以下に記載する図4A〜6を参照すると、テンプの振動部において特定の損失(図4A、5A)を補正する正の位相変位、および特定のゲイン(図4B、5B)を補正する負の位相変移を選択的に生成することによって、2つの相互作用モード(図4A、4B;図5A、5B)が、停止部材(可動式ドテ)とテンプの突出部との間に想定され、機械式発振器の振動数、したがって計時器ムーブメントの動作を調節する。
【0028】
図4A〜5Bにおいて、時間の関数としてテンプ8の角度位置θが示される。図6に示すように、センサがその中立位置を介したテンプの通過および振動ムーブメントの逆時計方向への通過を検出するときに(本願明細書において、停止部材と突出部との間の相互作用が、逆時計方向における角度「0」を介してこの突出部の通過後のみに発生する可能性があるとすれば、逆時計方向を代替的実施形態として描いている)、論理回路42は時間計C1を再設定し、両方向計数器C2は、少なくとも特定のゲイン、すなわちC2>N1、または少なくとも特定の損失、すなわちC2<―N2を呈するどうか検出する;ここで、N1およびN2はゼロより大きい自然数である。
【0029】
機械式発振器の各固有振動周期T0は、公称持続時間T0/2の第1の固有交番A1(機械式共振器の2つの最大角度位置間の第1の方向における振動ムーブメント)、および同じ公称持続時間T0/2の第2の固有交番A2(2つの最大角度位置間の第1の方向の反対方向の振動ムーブメント)を含む。第1の固有交番A1は、公称持続時間T0/4の第1の半交番D11、および、その中立位置(角度位置「0」)を介した機械式共振器の通過前の発生、ならびに、同じ公称持続時間T0/4の第2の半交番D21、および、その中立位置を介した機械式共振器の通過後の発生からなる。同様に、第2の固有交番A2は、公称持続時間T0/4の第1の半交番D12、および、その中立位置を介した機械式共振器の通過前の発生、ならびに、同じ公称持続時間T0/4の第2の半交番D22、および、その中立位置を介した機械式共振器の通過後の発生からなる。
【0030】
図4Aでは、調節装置は、特定の損失の検出後に補正を行う。このために、第2の交番A2*の間、停止部材は、その中立位置(信号SC)を介してテンプの通過の検出の後、直接作動し、半交番の持続時間に相当する持続時間T0/4に対する第2の交番A2*の第2の半交番D22*の間に、すなわち、中立位置を介した通過後、および、固有振動(そのままの振動部)の最大角度位置に到達する前に、機械式共振器を停止させる。これを行うために、信号SNを介して、制御論理回路42が検出回路36から受信した後、逆時計方向の交番における第2の半交番が開始する情報は、この論理回路42が、起動信号の受信後に、制御回路SCを駆動部28の電気回路29に出力するように配置されるタイマー44を起動させるための信号SDを生成して、本明細書で記載される代替的実施形態においてT0/4に相当する時間間隔TRの間、後者を起動させる。したがって、停止部材30は作動して、時間間隔TRの間にその相互作用位置に据えられる。それは、テンプの突出部が角度位置θBに到達するときに、テンプの突出部20が問題の第2の半交番の間に停止部材に対向して当接するこのような動きに起因する。この事象は、この機械式共振器が続いて直ちに次の交番A1Fを開始するように、振動ムーブメントを係止することなしに機械式共振器の振動ムーブメントの方向を逆にすることによって、早期にこの第2の半交番を終わらせる。したがって、図4Aのグラフに示すように、正の位相変位DPが得られ、交番A2*の持続時間はT3に等しく、この値は公称値T0/2未満である。この正の位相変位は、特定の損失を補正することを可能にする。この補正処置は、概して、検出される損失にしたがって複数の振動周期または交番にて逐次実行される点に留意することになる。
【0031】
図4Bでは、調節装置は、特定のゲインの検出後に補正を行う。このために、第1の交番A1*の間に、停止部材は、中立位置を介したテンプの検出以降のT0/4の時間遅延後に作動し、したがって、半交番の持続時間に相当する持続時間T0/4に対して、第1の交番A1*の第1の半交番D11*の間に、すなわち、先行する固有交番A2を終える固有振動の最大角度位置と第1の交番A1*の間の機械式共振器の中立位置を介した通過との間に機械式共振器を停止させる。これを行うために、信号SNを介して、制御論理回路42が検出回路36から受信した後、交番(逆時計方向)の第2の半交番が開始する情報は、この論理回路42が時間計C1を再設定して、後者がT0/4に相当する時間間隔を測定するまで待機する。その次に、それは、続いて駆動部28の電気回路29に制御信号SCを出力するタイマー44を起動するために信号SDを生成して、本明細書に記載される代替的実施形態におけるT0/4に相当する時間間隔TRの間に後者を起動させる。さらなる代替的実施形態では、この時間間隔は、より大きな補正を行うために非常に長い時間を想定され得る点に留意することになる。特定の代替的実施形態では、この時間間隔の持続時間は、機械式発振器のゲインに対して検出される異なる値によって変化し得る。
【0032】
したがって、目下の固有交番A2が終えることを可能にする時間遅延の終わりに、停止部材30は、交番A1*の開始時に実質的に作動し、時間間隔TRに対してその相互作用位置に据えられる。それは、テンプの突出部が中立位置の方の角度位置θBに達するとき、テンプの突出部20が問題の第1の半交番の間に停止部材に対向して当接するこのような動きに起因する。第1の半交番D11*が瞬間的に中断された後、それを継続するように、この事象はテンプを停止させ、停止部材が機械式共振器を瞬間的に係止する。したがって、図4Bのグラフに示すように、負の位相変位DNが得られ、交番A1*の持続時間はT4に等しく、この値は公称値T0/2より大きい。この負の位相変位は、特定のゲインを補正することを可能にする。この補正処置は、検出される損失にしたがって複数の振動周期にて連続して実行され得る。
【0033】
図4Aおよび4Bにおける第1の相互作用モードでは、停止部材が第2の半交番を終わらせて損失を補正するときに、次の第1の半交番D11Fがほぼゼロの速度から始まり、実質的に公称持続時間T0/4を有するように、相互作用モードはばね付きテンプの運動エネルギーを実質的に吸収する。したがって、交番A1Fは、実質的に公称持続時間T0/2およびより小さな振幅を有し、それは遅延角度θBに依存する。ゲイン補正の場合には、中断された交番は、より小さい振幅および実質的に公称持続時間T0/2を有する再開した交番によって、停止部材の解除後に継続される。この再開した交番の振幅は、交番A1Fのそれに実質的に等しい。
【0034】
図5Aおよび5Bでは、計時器ムーブメントの動作における損失およびゲインをそれぞれ補正するための、第2の相互作用モードの場合における、停止部材と相互作用中のテンプの角度位置を表している。第1の相互作用モードでは、機械式共振器の運動エネルギーは駆動部によって吸収されるのに対して、停止部材およびテンプの突出部は、停止部材がコマンドでその相互作用位置に据えられるとき、問題の交番の固有方向において機械式共振器の振動ムーブメントを停止させる弾性的衝撃をその間に呈するように第2の相互作用モードにて配置され、したがって、引き起こされた停止は瞬間的または準瞬間的であり、振動ムーブメントの方向の反転は、この機械式共振器の瞬間的または準瞬間的な停止後、停止部材によって機械式共振器に戻される特定の運動エネルギーで生じる。言及した「準瞬間的な」代替案は、特定の部材がテンプを係止しない場合であっても、停止の際には非常に短い持続時間を有し得ることを示す点に留意することになる。したがって、テンプが反対方向で再び始動する前に、停止(ゼロ速度)には、2、3ミリ秒有し得る。
【0035】
図5Aでは、図4Aのような正の位相変位を発生させ、少なくとも部分的に損失を補正し、テンプの弾性的な停止後の第1の半交番D11Fは、著しく減少した持続時間を有することが理解され、その値は、第2の半交番D22*のそれに実質的に等しく、その間にテンプの停止が生じる。それは、機械式共振器の振動部で発生する正の位相変位が、図4Aの場合に得られたものより本明細書では大きくなるように、交番A1Fの持続時間T6は、交番A2*の減少した持続時間T5に実質的に相当するこのような状況に起因する。
【0036】
図5Bでは、図4Bのように負の位相変位を発生させてゲインを補正し、機械式共振器の停止期間が生じる第1の半交番D11*は、弾性的衝撃が角度復元ムーブメントを誘導するという点で大いに妨げられることが理解され、第1の固有交番A1の方向の反対方向において、交番A1*が弾性的衝撃の後、固有交番より大きい角度経路を有するようにしており、したがって、総持続時間T7は、公称持続時間T0/2より相当長く、持続時間T4(図4B)を超える。したがって、本明細書で得られた負の位相変位は、図4Bの場合に得られたものより大きい。
【0037】
最終的に、テンプの突出部は、さらなる代替的実施形態とは異なって配置され得る点に留意することになる。したがって、特定の代替的実施形態では、突出部は外縁下の軸方向に配置される、停止部材は、テンプの平面下に位置し、突出部によって横断される幾何学的な平面内で可動である。さらに代替実施形態は、本発明の範囲内にとどまると共に、当業者によって想定され得る。特に、さらなる機械式共振器は想定され得る。様々な代替実施形態では、第1の半交番および第2の半交番の間の機械式共振器を停止させるのに好適なさらなる電気機械式装置は、計時器内に配置され得る。
【符号の説明】
【0038】
2 計時器
4 計時器ムーブメント/機械式ムーブメント
6 機械式共振器
8 テンプ
9 回転軸/振動軸
10 ヒゲゼンマイ
12 表示機構
14 香箱
16 連なり部
18 脱進機/維持装置
20 突出部
22 調節装置
24 調節回路
26 補助発振器
28 電気機械式装置/駆動部
29 電気作動回路
30 停止部材
31 棒
32 センサ
33 光信号
34 測定装置
36 検出回路
38 レバー
40 クロック回路
42 制御論理回路
44 タイマー
48 外側面
50 マーキング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2019年10月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
−時間的データ項目を示すための機構と、
−機械式共振器(6)であって、その最小の位置エネルギー状態に相当する中立位置のあたりで所与の振動軸に沿って振動ムーブメントを有するのに好適な機械式共振器と、
−上記機構の動作を整調するために配置される機械式発振器をこの機械式共振器で形成する前記機械式共振器の維持装置(18)であって、前記振動軸に、前記機械式共振器の各振動部は2つの最大位置間の2つの連続した交番(A1、A2)を有し、前記中立位置から前記機械式発振器の発振振幅を振動部が画定し、各交番は前記中立位置を介して前記機械式共振器の通過の前後でそれぞれ発生する第1の半交番および第2の半交番を有する維持装置と、
−前記機械式発振器の中心振動数を調節する装置(22)であって、この調節装置は補助発振器(26)、交番中のこの交番方向に前記機械式共振器の前記振動ムーブメントを少なくとも瞬間的に停止させるのに好適な電気機械式装置(28)、および、調節回路(24)であり、前記電気機械式装置がそれを起動させることを目的とする制御信号の生成を可能にするために配置される調節回路を備える装置(22)と:
を備える計時器(2)において;
前記調節装置は、前記振動軸に少なくとも特定の所与の位置を介して前記機械式共振器の前記通過を検出することが可能なように配置されるセンサ(32)、および、前記センサによって出力される検出信号(SP)に基づいて、前記補助発振器と関連する前記機械式発振器の潜在的な時間ずれの測定を可能にするために配置される測定装置(34)を備えることを特徴とし;前記測定装置および前記調節回路は、少なくとも特定のゲインまたは少なくとも特定の損失に相当する前記時間ずれを問わずに確定することを可能にするために配置されることを特徴とし;前記調節回路および前記電気機械式装置は、前記機械式共振器が有効な動作範囲内の振幅によって振動するときに、
a)測定された前記時間ずれが少なくとも特定の前記ゲインに相当する場合、所与の交番の前記第1の半交番の間に、各固有の半交番に想定される公称持続時間(T0/4)と関連するこの第1の半交番を延長するように、この交番の前記方向に前記機械式共振器の前記振動ムーブメントを瞬間的に停止することと、
b)測定された前記時間ずれが少なくとも特定の前記損失に相当する場合、少なくとも所与の交番の前記第2の半交番の間に、前記公称持続時間と関連するこの第2の半交番を早期に終わらせるように、前記機械式共振器の前記振動ムーブメントを停止させること、および、最終的な前記機械式共振器の前記通過以降にその前記中立位置を介してこの公称持続時間に達する前に続けて次の交番を開始することと、を可能にするために配置されることを特徴とする計時器(2)。
【請求項2】
前記電気機械式装置は、前記機械式共振器の突出部(20)に対する可動式ドテを画定する停止部材(30)を備える駆動部によって形成され、前記停止部材は、前記機械式共振器が前記有効な動作範囲内の振幅で振動するときに、前記停止部材が前記突出部によって掃引される領域の外側にある非相互作用位置と、前記停止部材が前記突出部によって掃引されるこの領域に部分的に位置している相互作用位置との間に可動的に配置されることを特徴とし;前記停止部材はコマンドで作動して、前記停止部材に対向して当接し、続いてその前記相互作用位置に据えられる前記突出部を介し、それぞれ少なくとも特定のゲインまたは少なくとも特定の損失が検出されたかどうかによって、前記所与の交番の前記方向におよびこの交番の前記第1の半交番または前記第2の半交番において選択的に前記機械式共振器の前記振動ムーブメントを停止し得ることを特徴とする、請求項1に記載の計時器。
【請求項3】
前記電気機械装置は、前記停止部材(30)を作動させて第1の半交番に前記機械式共振器を停止させるときに、この停止部材が前記機械式共振器(6)を瞬間的に係止するように、前記第1の半交番中の前記振動ムーブメントを瞬間的に中断した後、前記振動ムーブメントが前記停止部材を解除後に継続されるように、および、前記停止部材が作動して第2の半交番で前記機械式共振器を停止させるときに、この停止部材が、前記機械式共振器の前記振動ムーブメントの前記方向を逆にすることによって、前記機械式共振器を係止することなしに、この第2の半交番を早期に終わらせ、そのため、前記停止部材に対向した前記突出部の衝撃によって誘導されたこの機械式共振器の瞬間的または準瞬間的な停止の後に、前記機械式共振器が続いて次の交番を直ちに開始するのように配置されることを特徴とする、請求項2に記載の計時器。
【請求項4】
前記停止部材が第2の半交番を終わらせるときに、前記次の交番をほぼゼロの速度で開始するように、この停止部材は前記機械式共振器の運動エネルギーを実質的に吸収することを特徴とする、請求項3に記載の計時器。
【請求項5】
前記機械式共振器の前記停止部材および前記突出部は、前記停止部材をコマンドでその前記相互作用位置に据えるとき、前記所与の交番の前記方向に前記機械式共振器の前記振動ムーブメントを実質的に停止させる弾性的衝撃をそれらの間で呈するように配置され、したがって、引き起こされた前記停止は瞬間的または準瞬間的であり、前記振動ムーブメントの前記方向の反転は、この機械式共振器の瞬間的または準瞬間的な前記停止後の前記停止部材によって前記機械式共振器に戻される特定の運動エネルギーにて発生することを特徴とする、請求項2に記載の計時器。
【請求項6】
前記駆動部は、その前記相互作用および非相互作用位置の間にコマンドで前記停止部材(30)を移動可能に配置される圧電素子または電磁気システムを備えることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一項に記載の計時器。
【請求項7】
前記センサ(32)は、少なくとも前記機械式共振器の前記通過をその前記中立位置を介して検出するように配置されること;および、前記調節回路(24)は、少なくとも特定の損失が検出されるときに、この調節回路が、制御信号(SC)を前記電気機械式装置に、前記機械式共振器(6)の通過の検出後にその前記中立位置を介して送信し、そのため、前記電気機械式装置が、固有の半交番の前記公称持続時間(T0/4)と実質的に同じ持続時間の間に、この停止部材をその前記相互作用位置に据えることによって前記停止部材(30)を作動させるように配置されることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一項に記載の計時器。
【請求項8】
前記調節回路(24)は時間計(C1)を備え、少なくとも特定のゲインが検出されるときに、前記制御信号(SC)を前記電気機械式装置に送信する前に時間遅延期間を測定するために、前記機械式共振器の前記中立位置を介した前記機械式共振器の通過の検出後に前記時間計を再設定し、そのため、所定または確定した持続時間の間に、前記機械式共振器の前記相互作用位置にこの停止部材を据えることによって、この電気機械式装置が前記機械式共振器の前記停止部材を作動させることが可能なように配置されることを特徴とする、請求項7に記載の計時器。
【請求項9】
前記機械式共振器は、テンプ(8)およびヒゲゼンマイ(10)によって形成され、前記テンプは、前記突出部(20)を支持する計時器において;前記停止部材(30)は、前記テンプの前記振動軸(9)と関連して、角度をつけて位置付けられ、そのため、前記停止部材は、その前記相互作用位置にあるときに、前記機械式共振器がその前記中立位置にある場合の前記突出部とのゼロとは異なる角度遅延(θB)を有し、この角度遅延は、前記有効な動作範囲の最小振幅未満であると想定されていることを特徴とする、請求項2〜8のいずれか一項に記載の計時器。
【請求項10】
前記センサは、前記機械式共振器の方へ光ビームを送信することが可能であるように配置される光源、および、光信号を帰還させる際に前記振動軸に沿った前記機械式共振器の前記位置に応じて変化する強度を受信するように配置される光検出器を備える光センサ(32)、または、前記振動軸に沿った前記機械式共振器の前記位置に応じて、静電容量およびインダクタンスの変動をそれぞれ検出することが可能なように配置される容量センサもしくは誘導センサのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の計時器。
【外国語明細書】
2019219390000001.pdf