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特開2019-220901通信用ケーブルモジュールおよびその校正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-220901(P2019-220901A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】通信用ケーブルモジュールおよびその校正方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/02 20060101AFI20191129BHJP
   H04L 25/02 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   H04B3/02
   H04L25/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-118365(P2018-118365)
(22)【出願日】2018年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】前田 功治
(72)【発明者】
【氏名】深作 泉
【テーマコード(参考)】
5K029
5K046
【Fターム(参考)】
5K029AA03
5K029DD24
5K029GG05
5K029LL14
5K046AA01
5K046BA01
5K046BA06
5K046BB05
5K046EE12
5K046EE23
5K046EE32
5K046EE42
5K046EE46
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ACテストの必要がなく、より低コストの手法で通信用ケーブルモジュールの信号品質を調節する技術を提供する。
【解決手段】銅線ケーブル104a、104bと、CTLE IC114とを備える通信用ケーブルモジュール115である。CTLE ICは、銅線ケーブルに接続される周波数特性が可変であるCTLEアンプ105a〜105dと、ダミー素子113とを内蔵している。また、通信用ケーブルモジュールは、ダミー素子の特性を外部から測定するためのテスト端子112と、測定されたダミー素子の特性に対応する情報を記憶するメモリ110と、メモリに対して情報を外部から書き込むための入力端子109と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅線ケーブルと、CTLE ICを備える通信用ケーブルモジュールであって、
前記CTLE ICは、
前記銅線ケーブルに接続される周波数特性が可変であるCTLEアンプと、
ダミー素子と、を内蔵しており、
前記ダミー素子の特性を外部から測定するためのテスト端子と、
測定された前記ダミー素子の特性に対応する情報を記憶するメモリと、
前記メモリに対して前記情報を外部から書き込むための入力端子と、
を備える通信用ケーブルモジュール。
【請求項2】
前記CTLEアンプの周波数特性を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記メモリから前記情報を読み出し、前記情報に基づいて、前記CTLEアンプの周波数特性を制御する、
請求項1記載の通信用ケーブルモジュール。
【請求項3】
前記情報は前記ダミー素子の特性そのものであり、
通信用ケーブルモジュールは、前記ダミー素子の特性に対応する設定情報を格納したテーブルを格納しており、
前記コントローラは、
前記メモリから前記ダミー素子の特性を読み出し、前記テーブルを参照し、前記設定情報に基づいて、前記CTLEアンプの周波数特性を制御する、
請求項2記載の通信用ケーブルモジュール。
【請求項4】
前記情報は前記ダミー素子の特性に対応する設定情報であり、
前記コントローラは、
前記メモリから前記設定情報を読み出し、前記設定情報に基づいて、前記CTLEアンプの周波数特性を制御する、
請求項2記載の通信用ケーブルモジュール。
【請求項5】
前記ダミー素子は、前記CTLEアンプで使用している素子と同じ形状かつ同じ材料の構造を含む、
請求項1記載の通信用ケーブルモジュール。
【請求項6】
前記ダミー素子は、抵抗素子および容量素子の少なくとも一つである、
請求項5記載の通信用ケーブルモジュール。
【請求項7】
前記ダミー素子は、前記CTLEアンプで並列に接続して使用されている単位抵抗素子と同じ形状かつ同じ材料のダミー単位抵抗素子を、直列に接続して構成されている、
請求項6記載の通信用ケーブルモジュール。
【請求項8】
前記ダミー素子として、抵抗素子および容量素子の両者を備え、
前記テスト端子に、前記抵抗素子または容量素子を択一的に接続するスイッチを備える、
請求項6記載の通信用ケーブルモジュール。
【請求項9】
銅線ケーブルと、CTLE ICを備える通信用ケーブルモジュールの校正方法であって、
前記CTLE ICは、
前記銅線ケーブルに接続される周波数特性が可変であるCTLEアンプと、
ダミー素子と、を内蔵しており、
前記ダミー素子の特性を外部から測定するためのテスト端子と、
測定された前記ダミー素子の特性に対応する情報を記憶するメモリと、
前記メモリに対して前記情報を外部から書き込むための入力端子と、
を備え、
前記テスト端子から前記ダミー素子の特性を測定する第1のステップと、
前記入力端子から前記ダミー素子の特性に応じた情報を前記メモリに書き込む第2のステップを有する、
通信用ケーブルモジュールの校正方法。
【請求項10】
前記ダミー素子は抵抗素子であって、
前記第1のステップでは、
前記テスト端子に直流電流を印可して得られる電圧を測定し、
前記電圧から前記ダミー素子の抵抗値を算出し、
前記第2のステップでは、
前記ダミー素子の抵抗値を前記メモリに書き込む、
請求項9記載の通信用ケーブルモジュールの校正方法。
【請求項11】
前記通信用ケーブルモジュールは、コントローラを備え、また、前記ダミー素子の抵抗値に対応する設定情報を格納したテーブルを記憶しており、
前記コントローラは、前記メモリから前記ダミー素子の抵抗値を読み出し、前記テーブルを参照し、前記設定情報に基づいて、前記CTLEアンプの周波数特性を制御する、
請求項10記載の通信用ケーブルモジュールの校正方法。
【請求項12】
前記ダミー素子は抵抗素子であって、
前記第1のステップでは、
前記テスト端子に直流電流を印可して得られる電圧を測定し、
前記電圧から前記ダミー素子の抵抗値を算出し、
前記ダミー素子の抵抗値に対応する設定情報を格納したテーブルを参照して、対応する設定情報を読み出し、
前記第2のステップでは、
前記設定情報を前記メモリに書き込む、
請求項9記載の通信用ケーブルモジュールの校正方法。
【請求項13】
前記通信用ケーブルモジュールは、コントローラを備え、
前記コントローラは、前記メモリから前記設定情報を読み出し、前記設定情報に基づいて、前記CTLEアンプの周波数特性を制御する、
請求項12記載の通信用ケーブルモジュールの校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信用ケーブル、特に導電性のケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
データセンタ内で使用されるCu(銅)ケーブルモジュールは伝送損失を有する為、5m程度のラック内接続に使用される。5m以上のラック間接続はAOCケーブル(Active Optical Cables)が使用されるが、コストが高い。伝送損失を補償するCTLE IC(Continuous Time Linear Equalization Integrated Circuit)を内蔵したACC(Active Copper Cable)モジュールは、10m以上の伝送が可能で、データセンタ内のインターコネクトのコスト低減を実現出来る。
【0003】
しかし、半導体プロセスで製造されるCTLE ICは、素子ばらつきにより、周波数特性がばらつく。この結果、通信品質にばらつきが生じるが、ばらつきが信号を受信するホスト側の等化量の限界を超えると、最悪の場合、通信ができない場合もある。
【0004】
特許文献1には、増幅回路であって、入力電圧を出力電流に変換する電圧電流変換増幅器と、出力電流を出力電圧に変換する電流電圧変換増幅器と、電圧電流変換増幅器における出力電流を出力する第1のノードおよび電流電圧変換増幅器における出力電圧を出力する第2のノードの少なくともいずれかと接地線との間に接続され、外部からの制御に基づいて抵抗値が変化する可変抵抗回路とを有するものが開示されている。この増幅回路によれば、DC利得およびピーク角周波数を変化させることなく、所定の周波数範囲における信号の利得を一定にすることができると述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−96500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の手法を用いると、外部からの制御に基づいて抵抗値が変化する可変抵抗回路を用いて増幅回路の内部抵抗を調整することができ、所定の周波数範囲における信号の利得を一定にすることができる。
【0007】
このため、特許文献1では、可変抵抗回路VR1,VR2を変化させると、出力信号の周波数特性が変化することを利用する。そして、最適な設定を行う為に、出力端子Voからの出力信号をモニタしながら、外部から可変抵抗回路VR1,VR2の値を設定する(特許文献1の図1参照)。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の手法では、出力信号の周波数特性を評価する必要があるため、いわゆるACテストを行なう必要がある。ACテストには、例えばネットワークアナライザー等の高価な測定器が必要になり、また複数の周波数を測定するためにテスト時間も掛かるため、テストのためのコストが高くなる。
【0009】
コスト削減のためには、ACテストの必要の無い、より低コストの手法で通信用ケーブルモジュールの信号品質を調節する技術が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の好ましい一側面は、銅線ケーブルと、CTLE ICとを備える通信用ケーブルモジュールである。CTLE ICは、銅線ケーブルに接続される周波数特性が可変であるCTLEアンプと、ダミー素子とを内蔵している。また、通信用ケーブルモジュールは、ダミー素子の特性を外部から測定するためのテスト端子と、測定されたダミー素子の特性に対応する情報を記憶するメモリと、メモリに対して情報を外部から書き込むための入力端子と、を備える。
【0011】
本発明の他の好ましい一側面は、銅線ケーブルと、CTLE ICを備える通信用ケーブルモジュールの校正方法である。CTLE ICは、銅線ケーブルに接続される周波数特性が可変であるCTLEアンプと、ダミー素子とを内蔵している。また、通信用ケーブルモジュールは、ダミー素子の特性を外部から測定するためのテスト端子と、測定されたダミー素子の特性に対応する情報を記憶するメモリと、メモリに対して情報を外部から書き込むための入力端子と、を備える。校正においては、テスト端子からダミー素子の特性を測定する第1のステップと、入力端子からダミー素子の特性に応じた情報をメモリに書き込む第2のステップを実行する。
【発明の効果】
【0012】
ACテストを用いる必要がなく、より低コストの手法で通信用ケーブルモジュールの信号品質を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1の通信用ケーブルモジュールを示す回路ブロック図。
図2】周波数特性校正用の外部回路を含んだ回路ブロック図。
図3】通信用ケーブルモジュールの周波数特性校正時の処理シーケンスの流れ図。
図4】テーブルに格納されるデータの一例を示す表図。
図5】通信用ケーブルモジュールの動作時の処理シーケンスの流れ図。
図6A】CTLEアンプの抵抗の回路図。
図6B】ダミー抵抗の回路図。
図7】実施例2の通信用ケーブルモジュールを示す回路ブロック図。
図8】実施例3の通信用ケーブルモジュールを示す回路ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0015】
以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
【0016】
同一あるいは同様な機能を有する要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、複数の要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0017】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0018】
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0019】
本明細書で引用した刊行物、特許および特許出願は、そのまま本明細書の説明の一部を構成する。
【0020】
本明細書において単数形で表される構成要素は、特段文脈で明らかに示されない限り、複数形を含むものとする。
【実施例1】
【0021】
<1.通信用ケーブルモジュールの構成>
図1は、本発明の実施例1の通信用ケーブルモジュールを示す回路ブロック図である。本実施例では、送信側装置である送信ホストIC101から、受信側装置である受信ホストIC108へ、銅線ケーブル104a,104bで電気信号を伝送する例を示している。伝送される信号の周波数は、例えば50Gbpsである。
【0022】
信号は、送信ホストIC101から、通信用ケーブルモジュール115の入力端子102a,102bに入力される。本実施例では、差動信号の伝送を例にしているが、差動信号に限る必要はない。通信用ケーブルモジュール115は、周波数特性が可変であるCTLE IC114を内蔵している。
【0023】
送信ホストIC101から送信された差動信号は、入力端子102a,102bから通信用ケーブルモジュール115に入力される。通信用ケーブルモジュール115では、差動信号は、送信ホストIC101とCTLE IC114の動作電圧を切り分ける為のACカップル容量103a,103bを介して銅線ケーブル104a,104bに入力される。
【0024】
銅線ケーブル104a,104bは送信ホストIC101とインピーダンス整合が取られており、反射による損失は十分小さい。銅線ケーブル104a,104bから出力された差動信号は、ケーブル損失により、高周波成分の振幅が小さくなっている。銅線ケーブル104a,104bから出力された差動信号は、CTLE IC114に入力される。
【0025】
CTLE IC114はケーブル損失の逆特性を有する増幅器であり、高周波成分の振幅を増幅することで、差動信号は送信ホストIC210の出力と近い波形となるように波形等化される。本実施例では、CTLE IC114は、例えば4つの周波数帯域に対してそれぞれ利得を調整できる4つのCTLEアンプ105a,105b,105c,105d内蔵している。もちろん、CTLEアンプ105の数は任意であって、4以上でも以下でもよい。
【0026】
CTLE IC114から出力された差動信号は、出力端子106a,106bから出力される。受信側では、CTLE IC114と受信ホストIC108の動作電圧を切り分ける為のACカップル容量107a,107bを介して受信ホストIC108に入力される。
【0027】
なお、CTLE IC114のCTLEアンプ105の後段には、必要に応じて、他の可変利得アンプやバッファアンプ等を備えても良い。
【0028】
また、コントローラ(CTR)116は、マイコンなどの処理装置で構成され、通信用ケーブルモジュール115全体の動作を制御する。
【0029】
以上のように通信用ケーブルモジュール115は、銅線ケーブル104a,104bのケーブル損失をCTLE IC114で等化する事で、送信ホストIC101と受信ホストIC106の間での長距離伝送を可能とする。
【0030】
ところで、先に述べたように、半導体プロセスで製造されるCTLE IC114は、素子ばらつきにより、周波数特性がばらつく場合がある。具体例としては、CTLE IC114の個体ごとに、周波数帯ごとの利得が異なる場合がある。本実施例では、素子ばらつきに対応して周波数特性を調整する際に、高コストなACテストを用いず、DCテストで対応が可能な構成を提案する。
【0031】
CTLE IC114は、ダミー素子として、CTLEアンプ105と同一の半導体プロセスにより作成されたダミー抵抗113を内蔵している。ダミー抵抗113の値は、テスト端子112を介して外部から測定可能になっている。
【0032】
また、通信用ケーブルモジュール115は、外部からインタフェース用パッド109を介して書き込み可能なメモリ(MEM)110と、メモリ110の内容に応じてデータが読み出されるテーブル(TBL)111を備えている。これらの全部または一部は、コントローラ116等に内蔵してもよい。コントローラ116は例えばマイコン等で構成することができる。メモリ110とテーブル111の機能については、後に説明する。
【0033】
<2.通信用ケーブルモジュールの校正時の処理>
図2に、素子ばらつきによる周波数特性校正用の外部回路を含んだ回路ブロック図を示す。
図3に、素子ばらつきによる周波数特性校正時の処理シーケンスの流れ図を示す。
【0034】
図2図3を用いて、通信用ケーブルモジュール115の、素子ばらつきによる周波数特性変動を校正する処理の詳細を説明する。この処理は、例えば通信用ケーブルモジュール115の出荷時に行なわれる。
【0035】
図3には、通信用ケーブルモジュール115の校正のために用いられる、外部回路が示されている。外部回路は、電流源201、電圧計(V)202、コンピュータ(PC)203、インタフェース(IF)204を備えている。図3のその他の部分は図1と同様である。実施例1において、電流源201は定電流源でよい。
【0036】
校正時には、電流源201でテスト端子112からダミー抵抗113に直流電流を流す(S301)。得られた電圧を電圧計202で測定する(S302)。測定した電圧値はコンピュータ203に入力される。コンピュータ203では、例えば電圧値を直流電流値で除して、電圧値から抵抗値を計算する(S303)。得られた抵抗値はインタフェース204を介して、インタフェース用パッド109からメモリ110に書き込まれる(S304)。
【0037】
コンピュータ203は、通常のパーソナルコンピュータで十分である。メモリ110は例えば、フラッシュメモリのような不揮発性のメモリが好ましい。インタフェース204、インタフェース用パッド109は、例えばフラッシュメモリをアクセス可能な構成とする。
【0038】
<3.通信用ケーブルモジュールのテーブル>
通信用ケーブルモジュール115のテーブル111には、校正用のデータとして、抵抗値と設定値の対応表が格納されている。抵抗値は、ダミー素子の特性に対応する情報の一例である。設定値は、例えばCTLEアンプ105の利得を制御するための、容量値であるが、これに限る必要はない。
【0039】
図4に、テーブル111に格納されるデータの一例を示す。図2の例では、CTLEアンプ105は、105a,105b,105c,105dの4つあるので、それぞれの利得を制御するための4つの値CTL1,CTL2,CTL3,CTL4が、一つの抵抗値に対応している。
【0040】
このようなデータは、予めシミュレーションあるいは実験的に求めておき、ROM(Read Only Memory)等にテーブル111として格納し、通信用ケーブルモジュール115に実装しておく。なお、通信用ケーブルモジュール115に空きメモリを実装後に、外部からテーブルを書き込んでも良い。その場合には、テーブル111を格納するためのメモリに対する書き込みインタフェースが必要になる。
【0041】
実験的にデータを求める場合には、テーブルに格納するデータ取得用に通信用ケーブルモジュール115を複数サンプル準備しておき(ただし、この段階ではテーブル111は未実装である)、特許文献1に記載の方法等で出力の周波数特性を測定する。そして、テスト端子112で測定したダミー抵抗113の抵抗値と周波数特性を対応付け、校正用のデータを計算する。
【0042】
このように作成されたテーブル111は、同一のテーブルが製品となる多数の通信用ケーブルモジュール115に実装され、出荷される。
【0043】
<4.通信用ケーブルモジュールの動作時の処理>
図5に、通信用ケーブルモジュールの動作時の処理シーケンスの流れ図を示す。出荷後の動作時においては、既にテーブル111の内容は書き込まれている。図1図5を参照して、通信用ケーブルモジュールの動作時の処理を説明する。
【0044】
例えば、通信用ケーブルモジュール115を送信ホストIC101に接続することで、電源が供給され、通信用ケーブルモジュール115は電源オンとなる(S501)。電源がオンとなった直後には、通信用ケーブルモジュール115は初期設定モードに入る。この制御は、コントローラ116により行なうものとする。コントローラ116の制御により、メモリ110から抵抗値が読み出される(S502)。コントローラ116は、読み出した抵抗値に対応する設定値をテーブル111から選択して読み出す(S503)。読み出された設定値は、例えばコントローラ116、CTLE IC114、あるいはこれらに付随したメモリ(図示せず)に設定される(S504)。通信が開始されると、CTLE IC114のCTLEアンプ105は、設定値に従って動作し、例えば周波数帯域ごとに利得が制御されることになる(S505)。
【0045】
以上のように、本実施例ではダミー抵抗113の抵抗値を測定し、その結果をメモリ110に書き込む。起動時にメモリ110から抵抗値を読み出し、最適な設定をテーブル111から選ぶ。動作時は、ばらつきを補正された状態で通信が出来る為、信号品質が一定に保たれる。
【0046】
この構成では、通信用ケーブルモジュール115の校正の処理では、ダミー抵抗113の値を測定するだけでよく、そのための構成は直流電流原、電流計と電圧計など安価なDCテスト用の設備のみで対応可能である。
【0047】
<5.ダミー抵抗の構成例>
図6Aおよび図6Bに、CTLE IC114の内部抵抗の具体的な構成例を示す。28Gbps〜56Gbpsの信号を伝送する為に、CTLEアンプ105は広帯域である必要がある。寄生容量により帯域が低減する為、CTLEアンプ105の負荷抵抗は50〜200オーム程度とすることが望ましい。
【0048】
図6Aに示すように、CTLEアンプ105の抵抗は、1kオーム程度のポリ抵抗601aをアルミ配線602aで並列接続して作られる。一方、抵抗ばらつきを測定する為のダミー抵抗113は精度よく測定される必要がある。このため、ダミー抵抗113は、ダミー抵抗からテスト端子112までの配線抵抗を無視できるように、10kオーム程度の大きい抵抗とするのがよい。
【0049】
図6Bにダミー抵抗113の構成例を示す。1kオーム程度のポリ抵抗601bをアルミ配線602bで直列接続して作られる。ここで、CTLEアンプ105とダミー抵抗113のポリ抵抗601は、同じ形状かつ同じ材料で作成され、プロセスが許容する範囲内で同じ特性を有する。
【0050】
このようにCTLEアンプ105の抵抗とダミー抵抗113を構成することにより、単位抵抗素子のレイアウトを共通として、配線によって適切な抵抗値とすることができので、プロセス上のメリットがある。また、単位抵抗素子が同じ構成なので、CTLEアンプ105の抵抗とダミー抵抗113の値には相関関係が維持される。
【実施例2】
【0051】
実施例1では、通信用ケーブルモジュール115が設定用のテーブル111を内蔵しており、校正時にメモリ110に抵抗値が書き込まれ、動作時にメモリに書かれた抵抗値によりテーブルから最適な設定を選んでいた。しかし、校正時に抵抗値をメモリに書き込まず、外部で最適な設定を決定してから通信用ケーブルモジュール115のメモリ110に書き込んでも良い。この場合は、メモリ110には最適な設定のみが書かれている。
【0052】
図7は、実施例2の構成を説明する図である。通信用ケーブルモジュール115では、全体を制御するマイコン(MCU:Micro Computing Unit)701を備え、マイコン701がメモリ110を読み書きする構成とした。
【0053】
外部装置側の校正時の動作においては、電圧計202が電圧値を測定するまでは実施例1と同様である。ただし実施例2では、電圧値を入力とするコンピュータ203がテーブル111を格納している。テーブル111の内容は実施例1と同様である。コンピュータ203は、電圧値を受け取ると抵抗値を計算し、テーブル111を参照して抵抗値に対応した設定値を選択し、選択した設定値をインタフェース204を介してマイコン701に送信する。すなわち、この実施例では通信用ケーブルモジュールは、ダミー素子の特性に対応する情報として、設定情報だけを持つことになる。
【0054】
通信用ケーブルモジュール115では、マイコン701が受信した設定値をメモリ110に格納しておく。動作時においては、電源投入後、マイコン701はメモリ110から設定値を読み出し、設定値に従ってCTLEアンプ105の動作を制御する。
【実施例3】
【0055】
実施例1および実施例2では、CTLE IC114の抵抗値のばらつきに対応して、周波数特性を校正する例を説明した。しかし、抵抗値のばらつきだけでなく、容量値等他のパラメータのばらつきに対しても同様に対応することができる。
【0056】
図8は実施例3の構成を説明する図である。実施例3では、抵抗だけでなく、容量値も測定することができる。すなわちダミー抵抗113の他に、ダミー容量801を備えている。すなわち、ダミー素子として、抵抗素子および容量素子を備えている。あるいは容量値のみの測定のために、容量素子のみを備えていてもよい。ダミー抵抗113とダミー容量801は、コントロール信号Vctrlによってスイッチ802を切り替えて、テスト端子112に選択的に接続できるようになっている。コントロール信号Vctrlは外部から入力あるいは、通信用ケーブルモジュール115内のコントローラ(図示せず)から入力するものとする。
【0057】
ダミー容量801の測定時は、スイッチ802をダミー容量801側に切替えて、電流源201からテスト端子112に例えばステップ信号(例えば方形波)を入力する。電圧計202は電圧の変化を測定し、立ち上がりの時間(時定数)を観測することでダミー容量を評価する。
【0058】
測定した抵抗値と容量値の組み合わせに対して、CTLEアンプ105の設定値を対応付けるテーブル111を作成する。実施例3では、抵抗値と容量値の2次元テーブルを持つことになるが、より高精度に校正が可能となる。
【0059】
以上説明したように、本実施例によれば、CTLE ICアンプで使用している抵抗や容量と同種類、同形状の素子をモジュールの外部端子に接続しておく。そして、電流源と電圧計で抵抗値や容量値を測定し、結果をメモリに書き込む。メモリに記憶された測定結果から、CTLEアンプ105の最適設定を選択することができる。
【0060】
このように出荷前にばらつきの原因となる素子値をDCテストし、その結果からCTLE ICを最適な周波数特性に設定することができる。その結果、低コストの校正処理で、ばらつきの小さいケーブルモジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0061】
銅線ケーブル104a,104b、CTLEアンプ105、インタフェース用パッド109、メモリ110、テーブル111、テスト端子112、ダミー抵抗113、CTLE IC114、通信用ケーブルモジュール115
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8