【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)/次世代パワーエレクトロニクス/次世代パワーモジュールの応用に関する基盤研究開発/次世代パワーモジュールを使用したパワーエレクトロニクス機器とその統合システムの包括的研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【解決手段】電力変換装置は、外部電源4からの電力を光に変換して発光する発光素子6と、発光素子6に対して離間して配置され、発光素子6が発光した光を受光して電力に変換し、当該電力を、セル変換器100の制御装置9およびゲート駆動装置3に供給する受光素子7とを有する、光給電装置200を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて、本発明に係る電力変換装置の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する構成については、同一符号を付して示し、重複する説明については省略することとする。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置の構成を示す図である。電力変換装置は、セル変換器100a,100b,100c,・・・を備えたカスケード接続変換器から構成されている。セル変換器100a,100b,100c,・・・は、互いに直列にカスケード接続されている。これらのセル変換器100a,100b,100c,・・・は、カスケード接続電力変換部を構成している。
【0012】
なお、
図1では、図の簡略化のために、セル変換器100aの内部構成のみを図示しているが、セル変換器100bおよびセル変換器100cは、セル変換器100aと同様の構成を有している。以下では、代表して、セル変換器100aを、セル変換器100として、その構成について説明する。
【0013】
また、以下の説明において、複数個のセル変換器100a,100b,100c,・・・を示す場合は、代表として、セル変換器100a,100b,100cの3つを示して説明する。但し、セル変換器100の個数は、3個に限定されることなく、任意の個数であってよい。セル変換器100の個数については、特に指定しない限り、後述する実施の形態2以降に関しても同様である。
【0014】
実施の形態1では、セル変換器100の構成がチョッパセルであると仮定する。ただし、本発明は、チョッパセル以外の回路構成を有するセル変換器においても同様に適用可能である。
【0015】
図1に示すように、セル変換器100は、主回路20と、ゲート駆動装置3と、制御装置9とを備えて構成されている。
【0016】
主回路20は、2つのスイッチング素子1P,1Nとコンデンサ2とを備えて構成されている。スイッチング素子1P,1Nは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのオンオフ制御可能なスイッチング素子から構成されている。スイッチング素子1P,1Nは、互いに直列に接続され、直列体を形成している。コンデンサ2は、当該直列体に対して並列に接続されている。また、各スイッチング素子1P,1Nには、それぞれ、ダイオードが逆並列に接続されている。
【0017】
主回路20には、一対の外部端子X1,X2が設けられている。主回路20は、外部端子X1,X2を介して、他のセル変換器100b,100cの主回路20と直列に接続されている。外部端子X1の一端は、スイッチング素子1Pとスイッチング素子1Nとの接続点に接続されている。外部端子X1の他端は、他のセル変換器100bの外部端子X2に接続されている。また、外部端子X2の一端は、コンデンサ2の一端に接続されている。外部端子X2の他端は、他のセル変換器100cの外部端子X1に接続されている。
【0018】
さらに、セル変換器100aには、光給電装置200aが接続されている。
図1では、図の簡略化のために、セル変換器100aに接続された光給電装置200aのみが図示されているが、セル変換器100bには光給電装置200bが接続され、セル変換器100cには光給電装置200cが接続されている。光給電装置200bおよび光給電装置200cは、光給電装置200aと同様の構成を有している。以下の説明においては、代表して、光給電装置200aの構成について説明する。
【0019】
光給電装置200aは、外部電源4に接続されている。光給電装置200aは、外部電源4を電力供給源としている。光給電装置200aは、外部電源4からの電力を用いて、ゲート駆動装置3および制御装置9などのセル変換器100内に設けられた各機器に対して給電を行う。
【0020】
光給電装置200aは、
図1に示すように、発光素子6と受光素子7とを備えて構成されている。発光素子6は、外部電源4から第一給電線5を介して電力が供給される。発光素子6は、供給された電力を光に変換して、受光素子7に向けて発光する。受光素子7は、発光素子6に対向し、且つ、発光素子6から離間して配置されている。受光素子7は、発光素子6から発光される光を受光し、受光した光を、再び、電力へ変換する。受光素子7は、当該電力を、第二給電線8を介して、セル変換器100aの制御装置9およびゲート駆動装置3に供給する。
【0021】
上述したように、制御装置9には、光給電装置200aから第二給電線8を介して電力が供給される。制御装置9は、供給された電力を用いて、電力変換装置が必要とされる電力を外部に対して出力できるように、スイッチング素子1P,1Nをオンオフ制御するためのゲート信号を生成し、ゲート信号線10を介して、ゲート駆動装置3へ送信する。
【0022】
ゲート駆動装置3は、制御装置9からゲート信号線10を介してゲート信号を受け取る。また、ゲート駆動装置3には、光給電装置200aから第二給電線8を介して電力が供給される。ゲート駆動装置3は、供給された電力を用いて、受信したゲート信号に基づいて、スイッチング素子1P,1Nをオンオフ駆動する。これにより、一対の外部端子X1,X2とコンデンサ2との間で電力変換が行われ、外部端子X1,X2の間に、コンデンサ2の電圧または零電圧が出力される。
【0023】
本実施の形態1においては、以上の構成により、高電圧が印加される主回路20に高電圧を印加することなく、接地電位にある外部電源4から、ゲート駆動装置3および制御装置9へ電力を供給することができる。なお、この場合、高電圧とは、例えば、100kV以上の電圧をいう。
【0024】
図2は、
図1で示した電力変換装置に設けられた複数のセル変換器のうちの1つのセル変換器100と、受光素子7および外部端子X1,X2との配置を示す斜視図である。なお、
図2および後述する
図3を用いて説明する以下の構成は、実施の形態1だけでなく、実施の形態2以降でも基本的に同じであるため、実施の形態2以降では、当該構成の説明については省略する。
【0025】
図2に示すように、セル変換器100は、筐体101を有している。筐体101は、例えば、直方体の形状を有している。
図1に示したセル変換器100の各構成、すなわち、主回路20、ゲート駆動装置3、および、制御装置9は、筐体101内に収納されている。以下では、筐体101と筐体101内に収納された各構成とを含めて、セル変換器100とする。なお、
図2では、セル変換器100の筐体101として、直方体の筐体を用いているが、本発明はこれに限るものではなく、他の形状の筐体でも同様に適用することができる。
【0026】
外部端子X1,X2は、セル変換器100の筐体101の一つの面102に設けられている。また、受光素子7は、外部端子X1,X2が設けられている面102以外の他方の面103に配置されている。受光素子7は、発光素子6から光を受光するための受光面107を有している。受光素子7の受光面107は、筐体101側と反対側の外側に向けて配置される。なお、
図2においては、面102と面103とが互いに対向する位置に配置されているが、これに限定されない。すなわち、外部端子X1,X2が配置されている面102と、受光素子7が配置されている面103とが、互いに異なる面であれば、いずれの面でもよい。これにより、外部端子X1,X2ならびに受光素子7の受光面107の配置が自由になり、当該配置の自由度が向上する。
【0027】
ただし、受光素子7は、セル変換器100の筐体101が設置されている平坦な設置面104に対して、受光面107が垂直になるように配置される。なお、設置面104は、必ずしも、平坦でなくてもよい。
【0028】
このように配置することにより、受光素子7の受光面107に塵または埃が溜まることを防ぎ、受光面107の受光量の減少を抑制できる。
【0029】
図3は、セル変換器100と光給電装置200aとの配置を示す斜視図である。
図3に示すように、光給電装置200aにおいては、受光素子7の受光面107に対し、発光素子6の発光面106が対向するように配置される。
【0030】
ここで、セル変換器100の最大対地電圧をVdc(kV)、発光素子6と受光素子7との間の距離をR(cm)とする。このとき、気中放電は距離R(cm)に比例して絶縁破壊電圧が決定されるため、距離R(cm)は、最大対地電圧Vdc(kV)に対して、下式(1)の条件を満たすように決定することが望ましい。
【0032】
このように、発光素子6と受光素子7との間の距離Rが上式(1)を満たすように、発光素子6と受光素子7とを配置することにより、発光素子6と受光素子7とは絶縁距離が保持される。
【0033】
なお、ここで、本実施の形態1に係る電力変換装置の用途を考慮すると、光の強度が保てなくなる程、距離Rが大きくなることはないため、上記(1)式では、距離Rの上限値については特に限定していない。例を挙げて説明すると、例えば、本実施の形態1に係る電力変換装置の使用が考えられるHVDCプロジェクトのバルブホールの長手方向の距離は200m以下が一般的である。ゆえに発光素子6と受光素子7とが200mを超える距離だけ離れるとバルブホールに入らないので、距離Rは、200m以下とすることが望ましい。その場合、上記(1)式は、20,000≧R≧0.3×Vdcとなる。
【0034】
以上のように、本実施の形態1に係る電力変換装置は、複数のセル変換器100を有するカスケード接続電力変換部と、カスケード接続電力変換部に給電する光給電装置200とを備えている。また、光給電装置200aは、電力を光に変換して発する発光素子6と、発光素子6の光を受光して電力に変換する受光素子7とを備えている。
【0035】
このように、本実施の形態1においては、発光素子6と受光素子7とを離間して設けることにより、発光素子6と受光素子7との間は絶縁が確保される。そのため、主回路20の動作時に、セル変換器100に設けられた制御装置9およびゲート駆動装置3へ外部電源4からの給電を可能にすることができる。その結果、主回路20に高電圧を印加することなく、接地電位にある外部電源4から、ゲート駆動装置3および制御装置9に給電することが可能になる。
【0036】
また、本実施の形態1においては、セル変換器100において、一方の面102に主電流を流す外部端子X1,X2を設け、他方の面103に受光素子7を設けている。これにより、外部端子X1,X2ならびに受光素子7の受光面107の配置が自由になる。
【0037】
また、本実施の形態1においては、受光素子7は、セル変換器100の設置面104に対して垂直に配置される。これにより、受光素子7に塵または埃が溜まることなく、常に最大限受光することを可能にする。
【0038】
また、本実施の形態1においては、セル変換器100の最大対地電位をVdc(kV)としたとき、発光素子6と受光素子7との間の距離R(cm)が、R≧0.3×Vdcを満たすように、発光素子6および受光素子7を配置することが望ましい。それにより、発光素子6と受光素子7との間は、給電距離を保ちつつ、絶縁距離も確保することができる。
【0039】
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2に係る電力変換装置の構成を示す図である。実施の形態2では、
図4に示すように、複数のセル変換器100a,100b,100cに対して、共通の1つの光給電装置200Aが接続されている。
【0040】
すなわち、実施の形態2では、セル変換器100bおよび100cに対して給電する光給電装置200bおよび200cが、光給電装置200A内に設けられた受光素子7b,7cおよび第二給電線8b,8cのみで構成されている。従って、受光素子7a,7b,7cに対して、共通の1つの発光素子6が設けられている。
【0041】
以下、光給電装置200Aの構成について説明する。
【0042】
本実施の形態2においては、
図4に示すように、光給電装置200Aは、1つの発光素子6と、3つの受光素子7a,7b,7cとを備えて構成されている。発光素子6は、外部電源4から第一給電線5を介して供給された電力を光に変換する。各受光素子7a,7b,7cは、それぞれ、発光素子6から発光された光を受光し、受光した光を、再び、電力へ変換する。各受光素子7a,7b,7cは、それぞれの第二給電線8a,8b,8cを介して、セル変換器100a,100b,100cへと給電する。
【0043】
他の構成および動作については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0044】
以上の構成および動作によって、本実施の形態2においては、各セル変換器100a,100b,100cに対して、光給電装置200a,200b,200cを設ける代わりに、1つの光給電装置200Aを設けるようにした。これにより、1つの外部電源4、1つの第一給電線5、および、1つの発光素子6で、セル変換器100a,100b,100cに対する給電動作が可能となるため、システムを小型化かつ簡略化することができる。
【0045】
以上のように、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、発光素子6と受光素子7との間の絶縁を確保するようにしたので、接地電位にある外部電源4を用いて、主回路20の動作時に、セル変換器100に設けられた制御装置9およびゲート駆動装置3への給電を可能にすることができる。その結果、主回路20に高電圧を印加することなく、外部電源4から制御装置9およびゲート駆動装置3に給電を行うことができる。
【0046】
さらに、本実施の形態2においては、各セル変換器100a,100b,100cに対して、共通の1つの光給電装置200Aだけを設ける構成にした。これにより、セル変換器100a,100b,100cに対して、1つの外部電源4、1つの第一給電線5、および、1つの発光素子6での動作が可能となるため、システムを小型化かつ簡略化することができる。
【0047】
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3に係る電力変換装置の構成を示す図である。実施の形態3では、
図5に示すように、複数のセル変換器100a,100b,100cに対し、1つの光給電装置200aが接続されている。本実施の形態3においては、
図5に示すように、共通の1つの光給電装置200aが、3方向に分岐した第二給電線8を介して、3つのセル変換器100a,100b,100cに接続されている。
【0048】
光給電装置200aの構成については、実施の形態1で説明した通りである。すなわち、光給電装置200aは、実施の形態1で説明したように、1つの発光素子6と、1つの受光素子7とを備えて構成されている。発光素子6は、外部電源4から第一給電線5を介して供給された電力を光に変換する。受光素子7は、発光素子6から発光された光を受光し、受光した光を、再び、電力へ変換する。受光素子7は、当該電力を、第二給電線8を介して、セル変換器100a,100b,100cの制御装置9およびゲート駆動装置3にそれぞれ供給する。
【0049】
このように、本実施の形態3においては、複数のセル変換器100a,100b,100cに対し、1つの外部電源4、1つの第一給電線5、1つの発光素子6、1つの受光素子7で、給電動作が可能である。
【0050】
このように、本実施の形態3では、1つの受光素子7から、第二給電線8によって、複数のセル変換器100a,100b,100cのそれぞれへの給電が行われる。
【0051】
以上のように、本実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、光給電装置200a内に設置した発光素子6と受光素子7との間の絶縁を確保するようにしたので、接地電位にある外部電源4を用いて、主回路20の動作時に、セル変換器100に設けられた制御装置9およびゲート駆動装置3への給電を可能にすることができる。その結果、主回路20に高電圧を印加することなく、外部電源4から制御装置9およびゲート駆動装置3に給電を行うことができる。
【0052】
さらに、本実施の形態3においては、複数のセル変換器100a,100b,100cに対し、1つの光給電装置200aのみで動作できる構成にしたため、システムを小型化かつ簡略化することができる。
【0053】
ただし、本実施の形態3においては、受光素子7から第二給電線8を介して複数のセル変換器100a,100b,100cに給電するため、セル変換器間の電位は等しくなければならない。
【0054】
なお、実施の形態3は実施の形態2と組み合わせることができる。すなわち、複数のセル変換器をいくつかのグループに分け、或るグループには、実施の形態2で示した光給電装置200Aを接続し、他の或るグループには、実施の形態3で示した光給電装置200aを接続するようにしてもよい。
【0055】
実施の形態4.
図6は、本発明の実施の形態4に係る電力変換装置の構成を示す図である。実施の形態4に係る電力変換装置では、セル変換器100aAにおいて、上述した実施の形態1で示したセル変換器100aの構成に対し、自己給電装置11が追加されている点が、実施の形態1と異なる。他の構成および動作については、実施の形態1と同様であるため、ここでは、その説明を省略する。
【0056】
なお、
図6では、図の簡略化のために、セル変換器100aAの内部構成のみを図示しているが、セル変換器100bAおよびセル変換器100cAは、セル変換器100aAと同様の構成を有している。以下では、代表して、セル変換器100aAを、セル変換器100Aとして、その構成について説明する。
【0057】
また、
図6では、図の簡略化のために、セル変換器100aAに接続された光給電装置200aのみが図示されているが、セル変換器100bAには光給電装置200bが接続され、セル変換器100cAには光給電装置200cが接続されている。光給電装置200bおよび光給電装置200cは、光給電装置200aと同様の構成を有している。以下の説明においては、代表して、光給電装置200aの構成について説明する。
【0058】
図6に示すように、セル変換器100Aにおいて、コンデンサ2に対して、自己給電装置11が並列に接続されている。自己給電装置11は、コンデンサ2を電力供給源としている。自己給電装置11は、第三給電線18を介して、第二給電線8に接続されている。
【0059】
自己給電装置11は、コンデンサ2に蓄積されたエネルギーに基づいて、予め設定された適当な電圧および電流を有する電力を生成し、第三給電線18を介して第二給電線8へ供給する。
【0060】
なお、自己給電装置11は、主回路20の動作によって変動するコンデンサ2の高電圧を、安定した一定の低電圧に変換するための、DC/DCコンバータを備えて構成されている。しかしながら、本実施の形態4は、DC/DCコンバータに限定されるものではなく、一定の低電圧を保ちつつ電力を供給できるシステムであれば、自己給電装置11として、いずれのシステムを用いるようにしてもよい。
【0061】
以上の構成により、制御装置9およびゲート駆動装置3への給電として、光給電装置200aによる給電と、自己給電装置11による給電とを、併用または選択することができる。
【0062】
すなわち、光給電装置200aまたは自己給電装置11の一方が故障した場合にも、他方の装置によって給電することが可能となり、セル変換器100Aの運転を継続することができる。
【0063】
具体的には、例えば、通常時は光給電装置200aから給電を行い、光給電装置200aが故障した場合にのみ、自己給電装置11から給電を行うようにしてもよい。あるいは、その逆でもよい。
【0064】
あるいは、光給電装置200aによる給電と自己給電装置11による給電とを常に併用するようにしてもよい。
【0065】
あるいは、第三給電線18にスイッチを設けておき、制御装置9からの制御信号により、当該スイッチのオンオフ制御を行って、選択的に、自己給電装置11から給電を行うようにしてもよい。なお、この場合、光給電装置200aから供給される電力量を検出するセンサを第二給電線8に設けておき、当該センサで検出した電力量が閾値より低い場合に、スイッチをオンにして、自己給電装置11からも給電するようにすればよい。
【0066】
以上のように、各セル変換器100aA,100bA,100cAが、自己給電装置11を備えるようにしたので、光給電装置200aによる給電と、自己給電装置11による給電とを併用または選択することができる。
【0067】
このように、本実施の形態4においては、光給電装置200aの他に、コンデンサ2を電力供給源とする自己給電装置11を設けるようにしたので、セル変換器100Aが、2つの給電方法を有することが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態4において、第三給電線18にスイッチを設けておき、選択的に、自己給電装置11からの給電を行うようにしてもよい。その場合には、光給電装置200aまたは自己給電装置11の一方が故障した場合にも、他方の装置によって給電することが可能となり、セル変換器100Aの運転を継続することができる。
【0069】
以上のように、本実施の形態4においても、実施の形態1と同様に、発光素子6と受光素子7との間の絶縁を確保するようにしたので、接地電位にある外部電源4を用いて、主回路20の動作時に、セル変換器100Aに設けられた制御装置9およびゲート駆動装置3への給電を可能にすることができる。その結果、主回路20に高電圧を印加することなく、外部電源4から制御装置9およびゲート駆動装置3に給電を行うことができる。
【0070】
さらに、本実施の形態4においては、各セル変換器100aA,100bA,100cAが、自己給電装置11を備えるようにしたので、光給電装置200aによる給電と、自己給電装置11による給電とを併用または選択することができる。
【0071】
なお、実施の形態4は、実施の形態2乃至3のいずれかと組み合わせることができる。
【0072】
実施の形態5.
図7は、本発明の実施の形態5に係る電力変換装置の構成を示す図である。実施の形態5に係る電力変換装置では、セル変換器100aBにおいて、上述した実施の形態1で示したセル変換器100aの構成に対し、バイパス12とエネルギー蓄積装置13とが追加されている点が、実施の形態1と異なる。他の構成および動作については、実施の形態1と同様であるため、ここでは、その説明を省略する。
【0073】
なお、
図7では、図の簡略化のために、セル変換器100aBの内部構成のみを図示しているが、セル変換器100bBおよびセル変換器100cBは、セル変換器100aBと同様の構成を有している。以下では、代表して、セル変換器100aBを、セル変換器100Bとして、その構成について説明する。
【0074】
また、
図7では、図の簡略化のために、セル変換器100aBに接続された光給電装置200aのみが図示されているが、セル変換器100bBには光給電装置200bが接続され、セル変換器100cBには光給電装置200cが接続されている。光給電装置200bおよび光給電装置200cは、光給電装置200aと同様の構成を有している。以下の説明においては、代表して、光給電装置200aの構成について説明する。
【0075】
バイパス12は、外部端子X1と外部端子X2との間に配置されている。また、エネルギー蓄積装置13は、バイパス12に接続され、バイパス12を駆動するエネルギーの供給源となっている。
【0076】
エネルギー蓄積装置13には、第二給電線8が接続されており、光給電装置200aから電力が供給される。
【0077】
セル変換器100Bが正常である時、バイパス12は開放状態である。セル変換器100Bの故障または直流短絡事故が起きた時、制御装置9が、それらを検出して、バイパス12を閉成させることで、外部端子X1と外部端子X2との間を短絡させる。このとき、バイパス12は、エネルギー蓄積装置13から駆動電力が供給されて動作する。
【0078】
本実施の形態5では、セル変換器100Bの動作前に、外部電源4から光給電装置200aと第二給電線8を介して、エネルギー蓄積装置13に対して、バイパス12の駆動が可能なエネルギー量を供給および蓄積し、その後、セル変換器100Bを動作する。
【0079】
以上の構成および動作により、本実施の形態5においては、セル変換器100Bの故障または直流短絡事故が起きた時に、外部端子X1と外部端子X2との間を短絡させるためのバイパス12を設けるようにした。これにより、セル変換器100Bの動作時に、セル変換器100Bが故障または直流短絡事故が発生した場合には、バイパス12を閉成させることで、主回路20の保護動作が可能となる。
【0080】
以上のように、本実施の形態5においても、実施の形態1と同様に、発光素子6と受光素子7との間の絶縁を確保するようにしたので、接地電位にある外部電源4を用いて、主回路20の動作時に、セル変換器100Bに設けられた制御装置9およびゲート駆動装置3への給電を可能にすることができる。その結果、主回路20に高電圧を印加することなく、外部電源4から制御装置9およびゲート駆動装置3に給電を行うことができる。
【0081】
さらに、本実施の形態5においては、外部端子X1と外部端子X2との間を短絡させるためのバイパス12を設けるようにしたので、セル変換器100Bの動作時に、セル変換器100Bの故障または直流短絡事故が発生した場合には、バイパス12を閉成させることで、主回路20の保護動作が可能となる。また、セル変換器100Bの復旧後に、バイパス12を開放することで、通常動作が可能になるので、セル変換器100Bの不具合に対して迅速かつ適切な対応を行うことを可能にする。
【0082】
なお、実施の形態5は、実施の形態2乃至4のいずれかと組み合わせることができる。
【0083】
実施の形態6.
図8は、本発明の実施の形態6に係る電力変換装置の光給電装置200の構成を示す側断面図である。実施の形態6に係る電力変換装置は、
図8に示すように、光給電装置200の受光素子7の周囲に、反射板14を設けた点が、実施の形態1に係る電力変換装置と異なる。他の構成および動作については、実施の形態1と同じである。
【0084】
反射板14は、受光素子7の受光面107に対して垂直に配置される。反射板14は、例えば、角筒型の形状を有している。なお、反射板14の反射面114は内側を向くように配置される。
【0085】
反射板14は、鏡または蛍光灯反射板などの反射率の高い板を用いて構成される。
【0086】
発光素子6の発した光を受光素子7の受光面107へと照射すると、発光素子6の発する光は距離を増すごとに徐々に拡散する。
【0087】
発光素子6と受光素子7と間の距離が、予め設定された閾値よりも大きく離れている場合、発光素子6の発する光は、受光素子7の受光面107に届く前に拡散され、全ての光が受光面107で受光されない。
【0088】
また、発光素子6の発光面106の形状と受光素子7の受光面107の形状とが同じであっても、光の形状は光の拡散とともに変化する。そのため、発光素子6と受光素子7との間の距離を調整したとしても、光が受光面107に達するときには、受光面107の形状と実際に照射された光の形状とが等しくならない。
【0089】
そのため、本実施の形態6では、受光素子7の受光面107の周りに反射板14を配置することによって、拡散される光を反射板14で反射して、受光素子7の受光面107へと受光させる。これにより、本来は受光素子7の受光面107の外に拡散してしまう光を反射板14で反射させて、受光素子7の受光面107へと集約できるので、外部電源4からの給電効率を向上させることができる。
【0090】
以上のように、反射板14の作用により、発光素子6の発光した光を、漏れなく、受光素子7に受光させることができるので、受光の効率が向上する。これにより、外部電源4からの電力を無駄なく効率よく用いて、制御装置9およびゲート駆動装置3へ給電することができる。
【0091】
以上のように、本実施の形態6においても、実施の形態1と同様に、光給電装置200内に設置された発光素子6と受光素子7との間の絶縁を確保するようにしたので、接地電位にある外部電源4を用いて、主回路20の動作時に、セル変換器100に設けられた制御装置9およびゲート駆動装置3への給電を可能にすることができる。その結果、主回路20に高電圧を印加することなく、外部電源4から制御装置9およびゲート駆動装置3に給電を行うことができる。
【0092】
さらに、本実施の形態6においては、受光素子7の周囲に反射板14を配置するようにしたので、発光素子6の発光した光を、漏れなく、受光素子7に受光させることができるので、受光の効率が向上する。これにより、外部電源4からの電力を無駄なく効率よく用いて、制御装置9およびゲート駆動装置3へ給電することができる。
【0093】
なお、実施の形態6は実施の形態2乃至5のいずれかと組み合わせることができる。
【0094】
実施の形態7.
図9は、本発明の実施の形態7に係る電力変換装置の光給電装置200の構成を示す図である。実施の形態7に係る電力変換装置は、
図9に示すように、光給電装置200の発光素子6と受光素子7との間にレンズ15を配置した点が、実施の形態1と異なる。他の構成および動作は、実施の形態1と同じである。
【0095】
レンズ15は、凸レンズから構成されている。
【0096】
実施の形態1において、発光素子6と受光素子7との距離が、予め設定された閾値より短い場合、発光素子6の発する光は拡散しきらずに、全ての光が受光素子7の受光面107に照射される。
【0097】
しかしながら、受光素子7の受光面107の一部には光が当たらないため、出力特性が制限され、効率が悪くなる。
【0098】
そのため、実施の形態7では、発光素子6と受光素子7との間にレンズ15を挿入する構成とした。それにより、発光素子6の発光面106からの光を、レンズ15を通すことで、受光素子7の受光面107に対し拡大投影することができる。
【0099】
すなわち、発光素子6の発光面106の形状を、受光素子7の受光面107と同じ形状にすることで、発光面106から発光された光の形状が、レンズ15により拡大投影され、さらに、拡散する分の光については、レンズ15を通ることにより並行光化するため、発光素子6の発光面の形がぼやけず、結果として、受光素子7の受光面107に満遍なく光が照射される。
【0100】
また、レンズ15の焦点距離、および、発光素子6とレンズ15との間の距離を変更することによって、発光素子6と受光素子7との距離がいかなる時にも発光素子6の発する光を受光素子7の受光面107に満遍なく照射できる。
【0101】
これにより、受光素子7の出力特性が制限されることなく、また、発光した光が受光素子7の受光面107に全て照射され、受光効率が向上する。
【0102】
さらに、
図10に示すように、発光素子6の軸と受光素子7の軸とがずれていた場合、レンズ15の中心を発光素子6の中心に対してずらすことによって、受光素子7の受光面107に照射される光の位置を調整できる。
【0103】
これにより、発光素子6の軸と受光素子7の軸とがずれていても、受光素子7の受光面107に照射される光の漏れを抑制でき、効率が向上する。
【0104】
以上のように、本実施の形態7においても、実施の形態1と同様に、発光素子6と受光素子7との間の絶縁を確保するようにしたので、接地電位にある外部電源4を用いて、主回路20の動作時に、セル変換器100に設けられた制御装置9およびゲート駆動装置3への給電を可能にすることができる。その結果、主回路20に高電圧を印加することなく、外部電源4から制御装置9およびゲート駆動装置3に給電を行うことができる。
【0105】
さらに、本実施の形態7においては、発光素子6と受光素子7との間にレンズ15を配置するようにしたので、発光素子6から発光された光を、漏れなく、受光素子7に受光させることができるので、受光の効率が向上する。これにより、外部電源4からの電力を無駄なく効率よく用いて、制御装置9およびゲート駆動装置3へ給電することができる。このように、本実施の形態7においては、レンズ15による発光面106からの光の拡大投影により、光の形状を変化させずに、受光面107と同じ形状および同じ大きさで受光面107に受光させることができるので、給電効率を向上させることができる。
【0106】
なお、実施の形態7は実施の形態2乃至6のいずれかと組み合わせることができる。
【0107】
実施の形態8.
図11は、本発明の実施の形態8に係る電力変換装置の構成を示す図である。実施の形態8における電力変換装置は、上述の実施の形態1におけるセル変換器100内に設けられた制御装置9を、セル変換器100内ではなく、外部に設け、接地電位に配置した点が実施の形態1と異なる。また、発光素子6と制御装置9との間にはゲート信号線10Kが接続され、受光素子7とゲート駆動装置3との間にはゲート信号線10Lが接続される。ゲート信号線10K,10Lは、制御装置9からのゲート信号をゲート駆動装置3に伝える。
【0108】
なお、
図11では、図の簡略化のために、セル変換器100aCの内部構成のみを図示しているが、セル変換器100bCおよびセル変換器100cCは、セル変換器100aCと同様の構成を有している。以下では、代表して、セル変換器100aCを、セル変換器100Cとして、その構成について説明する。
【0109】
また、
図11では、図の簡略化のために、セル変換器100aCに接続された光給電装置200aのみが図示されているが、セル変換器100bCには光給電装置200bが接続され、セル変換器100cCには光給電装置200cが接続されている。光給電装置200bおよび光給電装置200cは、光給電装置200aと同様の構成を有している。以下の説明においては、代表して、光給電装置200aの構成について説明する。
【0110】
実施の形態8においては、
図11に示すように、セル変換器100Cは、主回路20と、ゲート駆動装置3とを備えて構成されている。
【0111】
本実施の形態8では、発光素子6は、第一給電線5を介した外部電源4による電力だけでなく、ゲート信号線10Kを介した制御装置9のゲート信号も受け取る。発光素子6は、受信した電力およびゲート信号をそれぞれ光へと変換する。そして、受光素子7によってその光が受光される。受光素子7は、受光した光を、電力とゲート信号それぞれに再び変換し、第二給電線8とゲート信号線10Lとを介して、ゲート駆動装置3にそれぞれ送信する。
【0112】
以上の構成および動作により、制御装置9を接地電位に配置することができ、外部から制御をおこなうことが可能になる。
【0113】
以上のように、本実施の形態8においても、実施の形態1と同様に、発光素子6と受光素子7との間の絶縁を確保するようにしたので、接地電位にある外部電源4を用いて、主回路20の動作時に、セル変換器100Cに設けられた制御装置9およびゲート駆動装置3への給電を可能にすることができる。その結果、主回路20に高電圧を印加することなく、外部電源4から制御装置9およびゲート駆動装置3に給電を行うことができる。
【0114】
さらに、本実施の形態8においては、制御装置9を接地電位に配置するようにして、光給電装置200aを介して、電力とともに制御信号も同時に送信するようにしたので、制御信号を送信するシステムを別途設ける必要がなく、システムを小型化することが可能である。
【0115】
なお、実施の形態8は実施の形態2乃至7のいずれかと組み合わせることができる。
【0116】
実施の形態9.
図12は、本発明の実施の形態9に係る電力変換装置の構成を示す図である。実施の形態9に係る電力変換装置は、
図12に示すように、上述した実施の形態1における電力変換装置の構成に対して、生体検知部16と発光停止部17とを追加した点が、実施の形態1と異なる。他の構成および動作については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0117】
なお、
図12では、図の簡略化のために、セル変換器100aの内部構成のみを図示しているが、セル変換器100bおよびセル変換器100cは、セル変換器100aと同様の構成を有している。以下では、代表して、セル変換器100aを、セル変換器100として、その構成について説明する。
【0118】
また、
図12では、図の簡略化のために、セル変換器100aに接続された光給電装置200aのみが図示されているが、セル変換器100bには光給電装置200bが接続され、セル変換器100cには光給電装置200cが接続されている。光給電装置200bおよび光給電装置200cは、光給電装置200aと同様の構成を有している。以下の説明においては、代表して、光給電装置200aの構成について説明する。
【0119】
なお、生体検知部16と発光停止部17とは、それぞれ、1つのセル変換器100ごとに、1つずつ設けるようにしてもよいが、あるいは、複数のセル変換器100に対して、1つの生体検知部16および1つの発光停止部17を設けるようにしてもよい。
【0120】
生体検知部16は、電力変換装置の周囲に生体が存在した場合に、当該生体を検知して、検知信号を出力する。生体検知部16は、例えば、赤外線センサなどの生体が検知できる生体センサを備えて構成される。発光停止部17は、生体検知部16から検知信号を受信した場合に、発光素子6に対して停止信号を送信することで、発光素子6の発光を停止させる。
【0121】
本実施の形態9においては、電力変換装置の動作時、生体検知部16が、電力変換装置の周囲で生体を検知したとき、発光停止部17に検知信号を送信し、ただちに、発光素子6の発光を停止させることで、ゲート駆動装置3および制御装置9への電力供給を停止させる。電力供給が停止することで、スイッチング素子1P,1Nのスイッチがオフされ、セル変換器100の動作が停止する。
【0122】
以上の構成および動作により、接地電位が100kV以上の高電圧のセル変換器100を備える電力変換装置に対して、生体が近づいた状態で、電力変換装置が動作することを防ぎ、事故を防止する。
【0123】
以上のように、本実施の形態9においても、実施の形態1と同様に、発光素子6と受光素子7との間の絶縁を確保するようにしたので、接地電位にある外部電源4を用いて、主回路20の動作時に、セル変換器100に設けられた制御装置9およびゲート駆動装置3への給電を可能にすることができる。その結果、主回路20に高電圧を印加することなく、外部電源4から制御装置9およびゲート駆動装置3に給電を行うことができる。
【0124】
さらに、本実施の形態9においては、生体を検知する生体検知部16を設けて、電力変換装置の周囲に存在する生体を検知した場合に、ただちに、発光素子6の発光を停止させることで、ゲート駆動装置3および制御装置9への電力供給を停止させ、セル変換器100の動作を停止させるようにしたので、生体が近づいた状態で、電力変換装置が動作することを防ぎ、事故を防止する。
【0125】
なお、実施の形態9は実施の形態2乃至8のいずれかと組み合わせることができる。
【0126】
なお、実施の形態1〜9において、制御装置9は、コントローラを備えて構成されている。コントローラは、プロセッサとメモリとを備えている。制御装置9を構成する各部の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、または、それらの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリに格納される。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置9の各部の機能を実現する。また、ゲート駆動装置3は、スイッチング素子1P,1Nのゲートに適切な電圧を印加することを可能にする専用のハードウェアから構成されている。