特開2019-52429(P2019-52429A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-52429(P2019-52429A)
(43)【公開日】2019年4月4日
(54)【発明の名称】サッシ
(51)【国際特許分類】
   E05F 5/02 20060101AFI20190308BHJP
   E06B 7/36 20060101ALI20190308BHJP
【FI】
   E05F5/02 E
   E06B7/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-175524(P2017-175524)
(22)【出願日】2017年9月13日
(71)【出願人】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
【住所又は居所】東京都江東区大島2丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 優一
(72)【発明者】
【氏名】恐田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】今村 悠大
(57)【要約】
【課題】本発明は、障子が開口部を閉鎖する際に、障子と枠体との間に指が挟まれることを抑制できるとともに、障子が枠体に衝突して跳ね返ることを抑制できるサッシを提供する。
【解決手段】建物の壁部11に形成された開口部12に取り付けられた枠体2と、枠体2の内部に設けられスライドして開口部12を開閉可能な障子3と、障子3が開口部12を閉鎖する際の閉鎖速度を所定の区間において減速させる閉鎖速度減速機構4と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁部に形成された開口部に取り付けられた枠体と、
前記枠体の内部に設けられスライドして前記開口部を開閉可能な障子と、
前記障子が前記開口部を閉鎖する際の閉鎖速度を所定の区間において減速させる閉鎖速度減速機構と、を有することを特徴とするサッシ。
【請求項2】
前記閉鎖速度減速機構は、前記障子が前記開口部を完全に閉鎖する前の所定の位置における前記障子の閉鎖速度が所定の速度以上の場合に、前記障子の閉鎖速度を減速させるように構成されている請求項1に記載のサッシ。
【請求項3】
前記閉鎖速度減速機構は、前記枠体および前記障子のいずれか一方に固定された流体ダンパーと、
前記枠体および前記障子のいずれか他方に固定されて前記流体ダンパーを作用させる流体ダンパー作用部と、を有し、
前記流体ダンパーは、作動流体が封入され前記枠体および前記障子のいずれか一方に固定されたシリンダーと、
前記シリンダー内に前記障子の開閉方向に進退可能に挿入されたピストンと、を有し、
前記障子が前記開口部を閉鎖する際の所定の区間において、前記流体ダンパー作用部が前記ピストンと連結するように構成されている請求項1または2に記載のサッシ。
【請求項4】
前記ピストンには、前記作動流体が通過可能なオリフィスが形成され、
前記作動流体が前記オリフィスを通過することによる減衰力は、前記障子が所定の速度以上で前記開口部を閉鎖する場合には前記障子の閉鎖速度を減速させるように作用し、前記障子が所定の速度未満で前記開口部を閉鎖する場合、および前記障子が前記開口部を開放する場合には前記障子の閉鎖速度および開放速度に対して作用しないように構成されている請求項3に記載のサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
開口部に設けられた引き違いサッシの障子をスライドさせて開口部を閉鎖する際に、障子の戸先框と枠体の縦枠との間に指が挟まれることを防止する指挟み防止装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
指挟み防止装置は、縦枠または戸先框に着脱可能に取り付けられていて、縦枠または戸先框に取り付けられた状態で開口部を閉鎖するように障子をスライドさせると、縦枠と戸先框との間に挟まれて、縦枠と戸先框との間に所定の間隔を設けるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−124462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、障子が開口部を閉鎖する際の閉鎖速度が速い場合、縦枠に取り付けられた指挟み防止装置に戸先框があたる、または戸先框に取り付けられた指挟み防止装置が縦枠にあたると、その衝撃で障子が跳ね返ってしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、障子が開口部を閉鎖する際に、障子と枠体との間に指が挟まれることを抑制できるとともに、障子が枠体に衝突して跳ね返ることを抑制できるサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るサッシは、建物の壁部に形成された開口部に取り付けられた枠体と、前記枠体の内部に設けられスライドして前記開口部を開閉可能な障子と、前記障子が前記開口部を閉鎖する際の閉鎖速度を所定の区間において減速させる閉鎖速度減速機構と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明では、障子の閉鎖速度を所定の区間において減速する閉鎖速度減速機構を有することにより、開口部を閉鎖する障子を枠体と近接するときに減速させることができる。これにより、開口部を閉鎖する障子と枠体との間に指が挟まれることを抑制できるとともに、開口部を閉鎖する障子が枠体と当たって跳ね返ることを抑制できる。
【0008】
また、本発明に係るサッシでは、前記閉鎖速度減速機構は、前記障子が前記開口部を完全に閉鎖する前の所定の位置における前記障子の閉鎖速度が所定の速度以上の場合に、前記障子の閉鎖速度を減速させるように構成されていてもよい。
このような構成とすることにより、障子の閉鎖速度が所定の速度以上の場合に開口部を閉鎖する障子と枠体との間に指が挟まれることを抑制できるとともに、開口部を閉鎖する障子が枠体と当たって跳ね返ることを抑制できる。
【0009】
また、本発明に係るサッシでは、前記閉鎖速度減速機構は、前記枠体および前記障子のいずれか一方に固定された流体ダンパーと、前記枠体および前記障子のいずれか他方に固定されて前流体ダンパーを作用させる流体ダンパー作用部と、を有し、前記流体ダンパーは、作動流体が封入され前記枠体および前記障子のいずれか一方に固定されたシリンダーと、前記シリンダー内に前記障子の開閉方向に進退可能に挿入されたピストンと、を有し、前記障子が前記開口部を閉鎖する際の所定の区間において、前記流体ダンパー作用部が前記ピストンと連結するように構成されていてもよい。
このような構成とすることにより、障子が開口部を閉鎖する際の所定の区間において、障子と枠とが流体ダンパーおよび流体ダンパー作用部を介して連結された状態となるため、流体ダンパーの減衰力によって開口部を閉鎖する障子の閉鎖速度を確実に減速させることができる。
【0010】
また、本発明に係るサッシでは、前記ピストンには、前記作動流体が通過可能なオリフィスが形成され、前記作動流体が前記オリフィスを通過することによる減衰力は、前記障子が所定の速度以上で前記開口部を閉鎖する場合には前記障子の閉鎖速度を減速させるように作用し、前記障子が所定の速度未満で前記開口部を閉鎖する場合、および前記障子が前記開口部を開放する場合には前記障子の閉鎖速度および開放速度に対して作用しないように構成されていてもよい。
このような構成とすることにより、障子の閉鎖速度が所定の速度以上の場合のみに障子を減速させることができ、これ以外の場合では、流体ダンパーの減衰力が障子の開閉に影響しないため、使い勝手を良くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、障子が開口部をゆっくり閉鎖するため、障子と枠体との間に指が挟まれることを抑制できるとともに、障子が枠体に衝突して跳ね返ることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態によるサッシの一例を示す室外側から見た正面図である。
図2図1のA−A線断面における内障子および内障子閉鎖速度減速機構と、図1のB−B線断面における外障子および外障子閉鎖速度減速機構を合せて示した図である。
図3】本発明の第1実施形態による閉鎖速度減速機構の分解斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態による閉鎖速度減速機構の模式図である。
図5】本発明の第1実施形態による開放状態の内障子および内障子閉鎖速度減速機構の動作を説明する図である。
図6】本発明の第1実施形態による閉鎖移動状態の内障子および内障子閉鎖速度減速機構の動作を説明する図である。
図7】本発明の第1実施形態による閉鎖状態の内障子および内障子閉鎖速度減速機構の動作を説明する図である。
図8】本発明の第2実施形態による開放状態の内障子および内障子閉鎖速度減速機構の動作を説明する図である。
図9】本発明の第2実施形態による閉鎖移動状態の内障子および内障子閉鎖速度減速機構の動作を説明する図である。
図10】本発明の第2実施形態による閉鎖状態の内障子および内障子閉鎖速度減速機構の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態によるサッシ1について、図1図7に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の第1実施形態によるサッシ1は、建物の壁部11に形成された開口部12に設けられた引違サッシで、開口部12を開閉可能に構成されている。
サッシ1は、開口部12に沿って設けられた四方枠状の枠体2と、枠体2の内側に見付け方向(開閉方向)にスライド可能に設けられた一対の障子3,3と、一対の障子3,3それぞれの開口部12を閉鎖する際の閉鎖速度を減速させる閉鎖速度減速機構4,4と、を有している。
以下の説明において、室外側と室内側とを結ぶ方向を見込み方向とし、障子3の上下方向と交差して障子3に沿う左右方向を見付け方向とする。見付け方向のうち、室外側から見て左側となる側を一方側とし、右側となる側を他方側とする。
また、障子3が開口部12を閉鎖している(閉めている)状態を閉鎖状態とし、障子3が開口部12を開放している(開けている)状態を開放状態とする。障子3およびその障子3に対して設けられる閉鎖速度減速機構4の説明では、見付け方向のうち、障子3が閉鎖状態のときに配置されている側に対して開放状態のときに配置されている側を開放側とし、障子3が開放状態のときに配置されている側に対して閉鎖状態のときに配置されている側を閉鎖側とする。また、障子3およびその障子3に対して設けられる閉鎖速度減速機構4の動作の説明では、見付け方向のうち、閉鎖側から開放側に向かう方向を開方向、開放側から閉鎖側に向かう方向を閉方向とする。
【0014】
枠体2は、見付け方向に延びる上枠21および下枠22と、上下方向に延びて上枠21および下枠22と連結された一対の縦枠23,23と、を有している。
一対の障子3,3は、室内側に配置される内障子31と、室外側に配置される外障子32と、から構成されている。開口部12を閉鎖した状態の内障子31および外障子32は、内障子31が見付け方向の一方側(室外側から見た左側)に配置され、外障子32が見付け方向の他方側(室外側から見た右側)に配置されている。
内障子31および外障子32は、それぞれ四方枠状に形成された框体33と、框体33内に配置されて支持された複層ガラス34と、を有している。框体33は、見付け方向に延びる上框35および下框36と、上下方向に延びて上框35の両端部と下框36の両端部と連結された戸先框37および召合せ框38と、を有している。
本実施形態では、下框36に戸車(不図示)が設けられていて、戸車が下枠22に沿って見付け方向に走行することで障子3が見付け方向に移動するように構成されている。
【0015】
閉鎖速度減速機構4は、オイルダンパー(流体ダンパー)41と、オイルダンパー41を上枠21に固定するオイルダンパー固定部42と、内障子31の上框35に取り付けられてオイルダンパー41と連結可能なオイルダンパー作用部(流体ダンパー作用部)43と、を有している。
オイルダンパー41は、上枠21と内障子31の上框35との間に形成された空部に配置されている。オイルダンパー41が配置された空部を説明するために、まず上枠21について説明する。なお、閉鎖速度減速機構4は、上枠21に露出しないように配置されているが、図1および図5図7では、説明のため実線で示している。
【0016】
図2に示すように、上枠21は、開口部12の内周面に沿って配置される板状の本体部211と、本体部211の室内側の縁部211aから下側に延びる内板部212と、本体部211の室外側の縁部211bから下側に延びる外板部213と、それぞれ本体部211の見込み方向の中間部から下側に延びる内障子用レール214および外障子用レール215と、を有している。
内板部212、外板部213、内障子用レール214および外障子用レール215は、内板部212、内障子用レール214、外障子用レール215、外板部213の順で室内側から室外側に向かって互いに間隔をあけて配置されている。内障子用レール214は、下部側が内障子31の上框35に形成された溝部351に挿入されるように構成されている。外障子用レール215は、下部側が外障子32の上框35に形成された溝部352に挿入されるように構成されている。
【0017】
内障子31の閉鎖速度を減速させる閉鎖速度減速機構4を内障子閉鎖速度減速機構45とし、外障子32の閉鎖速度を減速させる閉鎖速度減速機構4を外障子閉鎖速度減速機構46とする。図2では、2点鎖線よりも右側の部分が図1のA−A線断面における内障子31および内障子閉鎖速度減速機構45を示しており、2点鎖線よりも左側の部分が図1のB−B線断面における外障子32および外障子閉鎖速度減速機構46を示している。
【0018】
内障子閉鎖速度減速機構45は、内障子用レール214と外障子用レール215との間における上枠21の本体部211の下面211cと内障子31の上框35の上端面との間に配置されている。内障子閉鎖速度減速機構45は、上枠21における見付け方向の一方側の端部21a(図1参照)の近傍に配置されている。
外障子閉鎖速度減速機構46は、外障子用レール215と外板部213の間における上枠21の本体部211の下面211cと外障子32の上框35の上端面との間に配置されている。外障子閉鎖速度減速機構46は、上枠21における見付け方向の他方側の端部21b(図1参照)の近傍に配置されている。
【0019】
内障子閉鎖速度減速機構45と、外障子閉鎖速度減速機構46とは、取り付けられる位置および向き以外は、同じ構成となっている。以下では、内障子閉鎖速度減速機構45について詳細を説明する。
【0020】
図1図3および図4に示すように、オイルダンパー41は、例えば、作動油(作動流体)414が封入された有底筒状のシリンダー411と、シリンダー411内にシリンダー411の軸線方向に進退可能に挿入されたピストン415と、ピストン415に連結されたピストンロッド412と、を有している。ピストン415には、作動油414が追加可能なオリフィス412b(図4参照)が形成されているとともに、チェックバルブ412c(図4参照)が設けられている。
オイルダンパー41は、外部から作用する力によってピストン415がオイルダンパー41の内部で軸線方向に進退すると、作動油414の抵抗によってピストン415に作用する力を減衰させる構造となっている。
【0021】
閉鎖状態の内障子31を開けて開放状態とする工程では、シリンダー411の内部に挿し込まれたピストン415がシリンダー411から抜け出る方向に移動することになる。これにより、シリンダー411内では、ピストン415に形成されたオリフィス412bを介して作動油414が比較的自由に流れるため、ピストン415に作用する圧力が小さいもしくは発生せず、内障子31を開ける速度が制限されない。
これに対し、開放状態の内障子31を閉めて閉鎖状態とする工程では、シリンダー411に対して抜け出る方向に移動していたピストン415がシリンダー411の内部に挿し込まれる方向(作動油414を圧縮する方向)に移動する。このとき、内障子31が所定の速度よりも速い速度でスライド移動しようとしても、ピストン415に形成されたオリフィス412bは一定量の作動油414しか通過できないため、内障子31は所定の速度よりも速い速度とはならず、内障子31を閉める速度が制限される。
【0022】
なお、本実施形態では、オイルダンパー41の減衰力は、ピストン415が所定の速度以上でシリンダー411の内部に挿入された場合に作用するように構成されている。このため、ピストン415が所定の速度よりも遅い速度でシリンダー411の内部に挿入されると、オイルダンパー41の減衰力が十分に小さい、もしくは作用しない。つまり、オイルダンパー31の減衰力は、障子3を開くときに障子3のスライド移動の抵抗とならない程度のものであればよい。
また、オイルダンパー41の減衰力は、ピストン415がシリンダー411から引き出される場合には、ほとんど作用しないように構成されている。
【0023】
本実施形態では、チェックバルブ412cは、ピストン415の伸び側(シリンダー411から抜け出る側)における作動油414の移動力が、ピストン415の圧縮側(シリンダー4に押し込まれる側)における作動油414の移動力よりも大きくなるように設けられている。これにより、閉鎖状態の内障子31を開けて開放状態とする工程では、作動油414の抵抗がより小さくなるように構成されている。
【0024】
ピストンロッド412におけるピストン415が連結されている側(シリンダー411に挿入される側)とは反対側の端部412a(図3参照)には、オイルダンパー作用部43に吸着可能なマグネット413が取り付けられている。
オイルダンパー41は、取付けられた状態では軸線方向が見付け方向となり、ピストン415およびピストンロッド412がシリンダー411に見付け方向の開放側から挿入される向きで上枠21に固定されている。
【0025】
図3に示すように、オイルダンパー固定部42は、例えばシリンダー411に装着されるシリンダー装着部421と、シリンダー装着部421と連結され上枠21に固定される上枠固定部422と、を有している。
シリンダー装着部421は、シリンダー411が挿通可能な筒状に形成されている。
上枠固定部422は、板面が長方形となる平板状に形成されている。上枠固定部422の板面の短辺に沿った方向を短辺方向とし、長辺に沿った方向を長辺方向とすると、上枠固定部422は、例えば短辺方向がシリンダー装着部421の軸線方向と平行となる向きで、板面の長辺方向の中央部がシリンダー装着部421の外周面と連結されている。
オイルダンパー固定部42は、上枠固定部422がシリンダー装着部421の上側となる向きで、上枠固定部422の上面422aが上枠21の本体部211の下面211cと当接するようにして上枠21に固定されている。上枠固定部422は、例えば、ネジなどの固定具や両面テープなどで上枠21に固定されている。
【0026】
本実施形態では、オイルダンパー固定部42は、1つのオイルダンパー41に対してシリンダー411の軸線方向の両端部の近傍それぞれに取り付けられている。シリンダー411は、オイルダンパー固定部42によって、上枠21に対して見付け方向に移動しないように固定されている。図2に示すように、オイルダンパー41およびオイルダンパー固定部42は、内障子31および外障子32と干渉しないように配置されている。
【0027】
図3に戻り、オイルダンパー作用部43は、内障子31の上框35に固定される上框固定部431と、上框固定部431と連結されオイルダンパー41におけるピストンロッド412の端部412aに設けられたマグネット413と当接して吸着可能なピストンロッド当接部432と、を有している。
上框固定部431は、平板状に形成されている。上框固定部431は、上框35の室外側の面35aに固定されている。
【0028】
ピストンロッド当接部432は、例えばマグネット413に吸着可能な鉄などの磁性体で、上框固定部431の厚さ寸法よりも厚いブロック状に形成されている。ピストンロッド当接部432は、上框固定部431の厚さ方向の一方側に突出するように上框固定部431と連結されている。ピストンロッド当接部432は、オイルダンパー41のマグネット413と吸着可能に構成されている。ピストンロッド当接部432におけるマグネット413との吸着面432aと、マグネット413におけるピストンロッド当接部432との吸着面413aとは、それぞれ平坦面に形成されていて、面接触した状態で吸着可能に構成されている。
【0029】
オイルダンパー作用部43は、ピストンロッド当接部432が上框固定部431の上側となり、ピストンロッド当接部432が上框固定部431よりも室内側に突出する向きで、上框固定部431の室内側の面431aが上框35の室外側の面35aと当接するように上框固定部431に固定されている。ピストンロッド当接部432は、上框固定部431よりも室内側に突出している部分が上框35の上側に載るように配置されている。
オイルダンパー作用部43は、内障子31が開閉動作しても、常にオイルダンパー41よりも見付け方向の開放側に配置されるように上框35における見付け方向の中間部に固定されている。
【0030】
続いて、内障子閉鎖速度減速機構45の動作について説明する。
図5に示すように、まず、内障子31が枠体2の内部において開方向に移動し開口部12を開放している開放状態では、内障子31の上框35に取り付けられたオイルダンパー作用部43は、オイルダンパー41よりも見付け方向の開放側に配置され、マグネット413と離間している。図5では、外障子32を省略している。
このとき、オイルダンパー41は、ピストン415がシリンダー411に対して開方向に最大に移動した状態(シリンダー411から離間する方向に最大に移動した状態)となっている。
【0031】
内障子31を閉方向に押したり引いたりして、内障子31を閉方向に移動させると、図6に示すように、内障子31に取り付けられたオイルダンパー作用部43のピストンロッド当接部432がピストンロッド412のマグネット413と当接し、ピストンロッド当接部432とマグネット413とが吸着する。これにより、内障子31と枠体2とがオイルダンパー41およびオイルダンパー作用部43を介して連結された状態となる。
【0032】
この状態で、さらに内障子31が閉方向に移動すると、内障子31は、オイルダンパー作用部43を介してピストン415を閉方向に押しながら移動することになる。
このとき、内障子31の閉鎖速度が所定の速度以上であると、ピストン415がシリンダー411に押し込まれることによって、オイルダンパー41に減衰力が生じ、内障子31の閉鎖速度(閉方向に向かう速度)が減速される。
閉鎖速度が減速された状態の内障子31がさらに閉方向に移動して、図7に示すように、内障子31の戸先框37と枠体2の縦枠23とが当接し内障子31が開口部12を閉鎖した閉鎖状態となると、オイルダンパー41のピストン415がシリンダー411に最大に押し込まれた状態となる。
【0033】
本実施形態によるオイルダンパー41は、見付け方向の閉鎖側に押し込まれたピストン415を開方向に移動させる復元力を有しておらず、開方向に向かう力が内障子31に作用しないように構成されている。また、本実施形態では、内障子31と枠体2とがオイルダンパー41およびオイルダンパー作用部43を介して連結された状態において、内障子31を閉方向に引き込まないように構成されている。
【0034】
内障子31の閉鎖速度が所定の速度以上の場合における、内障子31と枠体2とがオイルダンパー41およびオイルダンパー作用部43を介して連結した際に、オイルダンパー41の減衰力によって、内障子31の閉鎖速度がゼロとなり、内障子31が閉鎖状態となる前に停止することもある。このような場合は、内障子31を閉方向に押したり引いたりして、内障子31を閉方向に移動させて内障子31を閉鎖状態とする。
【0035】
上述したように、オイルダンパー41の減衰力は、ピストン415が所定の速度以上でシリンダー411の内部に挿入された場合に作用するように構成されている。すなわち、オイルダンパー41の減衰力は、ピストン415と連結した内障子31が所定の速度以上で移動している場合、例えば、内障子31が勢いよく閉められた場合に作用するように構成されている。
このため、内障子31が所定の速度よりも遅い速度で閉方向に移動している場合は、内障子31にはオイルダンパー41の減衰力が十分に小さい、もしくは作用せず、オイルダンパー41が設けられていない場合とほとんど変わらない力で内障子31を閉鎖状態まで移動させることができる。これにより、使用者が内障子31を所定の速度よりも遅い速度で、手で引いたり押したりして閉方向に移動させる場合は、使用者は、オイルダンパー41の減衰力による抵抗を感じることなく内障子31を閉鎖状態にすることができる。
【0036】
閉鎖状態の内障子31を開放状態とするために開方向に移動させると、オイルダンパー作用部43のピストンロッド当接部432とピストンロッド412のマグネット413とが吸着しているため、内障子31の移動に合わせてピストンロッド412がシリンダー411から引き出されるように開方向に移動する。
上述したように、本実施形態では、ピストン415がシリンダー411から引き出されることによる抵抗力がほとんど生じないように構成されている。このため、閉鎖状態の内障子31を開放状態とする際には、オイルダンパー41が設けられていないサッシを操作する場合とほとんど変わらない力で内障子31を開方向に移動させることができる。
【0037】
内障子31が開方向に移動し、ピストン415がシリンダー411に対して最大限引き出された状態となると、ピストンロッド412のマグネット413からオイルダンパー作用部43が離間する。ピストン415は、マグネット413とオイルダンパー作用部43とが離間しても、閉方向に向かう外力が作用しなければ、閉方向に移動しないように構成されている。
ピストンロッド412のマグネット413とオイルダンパー作用部43とが離間してから、さらに内障子31を開方向に移動させると、内障子31が開放状態となる。
【0038】
外障子閉鎖速度減速機構46は、内障子閉鎖速度減速機構45と見付け方向に対称となる向きで外障子32および上枠21に取り付けられている。つまり、外障子閉鎖速度減速機構46のオイルダンパー41は、取付けられた状態では軸線方向が見付け方向となり、ピストン415およびピストンロッド412がシリンダー411に見付け方向の外障子32における開放側から挿入される向きで上枠21に固定されている。
外障子閉鎖速度減速機構46は、内障子閉鎖速度減速機構45と見付け方向に対称となる状態で同様に動作する。
【0039】
次に、上述した第1実施形態によるサッシ1の作用・効果について図面を用いて説明する。
第1実施形態によるサッシ1では、障子3が開口部12を閉鎖する際の所定の区間において、障子3と枠体2とがオイルダンパー41およびオイルダンパー作用部43を介して連結された状態となるため、勢いよく障子3を閉めようとしてもオイルダンパー41の減衰力によって開口部12を閉鎖する障子3の閉鎖速度を確実に減速させることができる。
これにより、障子3が完全に閉鎖されるまで速い速度で閉鎖されることがないため、障子3の戸先框37と枠体2の縦枠23との間に指が挟まれることを抑制することができるとともに、障子3が縦枠23と当たって跳ね返ることを抑制することができる。
また、本実施形態によるサッシ1では、閉鎖速度減速機構4は上枠21と障子3の上框35との間に配置されるため、外部の露出を抑えることができて、意匠性を損ねることがない。
【0040】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図8に示すように、第2実施形態によるサッシ1Bは、所定の区間において障子3の閉鎖速度を減速させる閉鎖速度減速機構4Bの形態が第1実施形態による閉鎖速度減速機構4と設置される位置と向きとが異なっている。このため、閉鎖速度減速機構4Bの各部材の名称および符号は、それぞれ対応する第1実施形態による閉鎖速度減速機構4の部材と同じ名称および符号を記載している。
第2実施形態では、オイルダンパー41が上框35に内蔵され、オイルダンパー作用部43Bが上枠21に取り付けられている。オイルダンパー41およびオイルダンパー作用部43Bは、上框35の内部に配置されているが、図8図10では、説明のため、オイルダンパー41およびオイルダンパー作用部43Bを実線で示している。
第2実施形態では、オイルダンパー41は、第1実施形態のオイルダンパー固定部42に代わってオイルダンパー固定部42Bによって上框35に固定されている。
【0041】
第2実施形態による閉鎖速度減速機構4Bにおいても、内障子31の閉鎖速度を減速させる閉鎖速度減速機構4B(内障子閉鎖速度減速機構45Bとする)と外障子32の閉鎖速度を減速させる閉鎖速度減速機構4B(図10参照、外障子閉鎖速度減速機構46Bとする)とは見付け方向に対称となるように構成されている。
【0042】
内障子閉鎖速度減速機構45Bのオイルダンパー41は、ピストン415およびピストンロッド412がシリンダー411に対して見付け方向の閉鎖側となる向きで配置されている。ピストンロッド412のマグネット413は、ピストン415がシリンダー411から引き出された状態で上框35の見付け方向の閉鎖側の端部35a近傍に配置されている。
オイルダンパー作用部43Bは、上枠21に固定されピストンロッド412のマグネット413と見付け方向に対向する位置にピストンロッド当接部432が設けられている。オイルダンパー作用部43Bは、常にオイルダンパー41の見付け方向の閉鎖側に配置されている。
【0043】
続いて、第2実施形態による、内障子31の閉鎖速度減速機構4Bの動作について説明する。
図8に示すような、内障子31が枠体2の内部における見付け方向の開放側に移動し開口部12を開放している開放状態では、上枠21に取り付けられたオイルダンパー作用部43Bは、上框35に内蔵されたオイルダンパー41と離間している。
このとき、オイルダンパー41は、ピストン415がシリンダー411に対して閉方向に最大に移動した状態(シリンダー411から離間する方向に最大に移動した状態)となっている。
【0044】
内障子31を閉方向に押したり引いたりして、内障子31を閉方向に移動させると、図9に示すように、上枠21に取り付けられたオイルダンパー作用部43Bのピストンロッド当接部432がピストンロッド412のマグネット413と当接し、ピストンロッド当接部432とマグネット413とが吸着する。これにより、内障子31と枠体2とがオイルダンパー41およびオイルダンパー作用部43Bを介して連結された状態となる。
本実施形態では、オイルダンパー作用部43Bがマグネット413と当接できるように、上框35にオイルダンパー作用部43Bが入り込むことが可能な溝部353が形成されている。
【0045】
この状態で、さらに内障子31が閉方向に移動すると、オイルダンパー作用部43Bと当接したピストンロッド412は、閉方向に移動しないため、内障子31とともに閉方向に移動するシリンダー411に押し込まれた状態となる。このとき、内障子31の閉鎖速度が所定の速度以上であると、ピストン415がシリンダー411に押し込まれることによって、オイルダンパー41に減衰力が生じ、内障子31の閉鎖速度が減速される。
閉鎖速度が減速された状態の内障子31がさらに閉方向に移動して、図10に示すように、内障子31の戸先框37と枠体2の縦枠23とが当接し内障子31が開口部12を閉鎖した閉鎖状態となると、オイルダンパー41のピストン415がシリンダー411に最大に押し込まれた状態となる。
【0046】
閉鎖状態の内障子31を開放状態とするために、内障子31を開方向に移動させると、オイルダンパー作用部43Bのピストンロッド当接部432とピストンロッド412のマグネット413とが吸着しているため、内障子31の移動に合わせてピストン415がシリンダー411から引き出されるように開方向に移動する。
【0047】
内障子31を開方向にさらに移動させると、ピストン415がシリンダー411に対して最大限引き出された状態となる。この状態から、さらに内障子31を開方向に移動させると、オイルダンパー作用部43Bがピストンロッド412のマグネット413から離間する。第1実施形態と同様に、ピストン415は、マグネット413とオイルダンパー作用部43Bとが離間しても、シリンダー411に対して開方向に向かう外力が作用しなければ、シリンダー411に対して開方向に移動しないように構成されている。
ピストンロッド412のマグネット413とオイルダンパー作用部43Bとが離間してから、さらに内障子31を開方向に移動させると、内障子31が外障子32と重なり開口部12を開口した開放状態となる。
【0048】
外障子閉鎖速度減速機構46Bは、内障子閉鎖速度減速機構45Bと見付け方向に対称となる向きで外障子32および上枠21に取り付けられている。つまり、外障子閉鎖速度減速機構46Bのオイルダンパー41は、ピストン415およびピストンロッド412がシリンダー411に対して見付け方向の外障子32における閉鎖側となる向きで配置されている。 外障子閉鎖速度減速機構46Bは、内障子閉鎖速度減速機構45Bと同様に動作する。
【0049】
第2実施形態によるサッシ1では、第1実施形態と同様に障子3の戸先框37と枠体2の縦枠23との間に指が挟まれることを抑制することができるとともに、障子3が縦枠23と当たって跳ね返ることを抑制することができる。また、第2実施形態では、閉鎖速度減速機構4Bのオイルダンパー41が上框35に内蔵され露出しないため、意匠性を向上させることができるとともに、閉鎖速度減速機構4が露出することによって汚れたり損傷したりすることを防止することができる。
【0050】
以上、本発明によるサッシの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、サッシ1,1Bは引き違いサッシ1であるが、障子がスライドして開口部を開閉する構成であれば、片引戸や上げ下げ窓であってもよい。
また、上記の実施形態では、閉鎖速度減速機構4,4Bは、上枠21および上框35に取り付けられているが、下枠22および下框36に取り付けられていてもよい。
また、上記の第2実施形態では、オイルダンパー41は上框35に内蔵されているが、取付けスペースを確保できるようであれば、上框35の外側に取り付けられていてもよい。
【0051】
また、上記の実施形態では、内障子31および外障子32の両方に対して閉鎖速度減速機構4,4Bが設けられているが、いずれか一方のみに設けられていてもよい。
また、上記の実施形態では、内障子31と枠体2とがオイルダンパー41およびオイルダンパー作用部43を介して連結された状態において、内障子31が閉方向に引き込まれないように構成されている。これに対し、内障子31と枠体2とがオイルダンパー41およびオイルダンパー作用部43を介して連結された状態において、内障子31閉方向に引き込む機構が設けられていてもよい。なお、この機構は、内障子31を閉鎖速度減速機構4によって減速した速度以下の速度で引き込むように構成されていることが好ましい。
【0052】
また、上記の実施形態では、オイルダンパー作用部43とピストンロッド412とは、マグネット413によって連結するように構成されているが、オイルダンパー作用部43とピストンロッド412(ピストン415)を着脱可能にする機構はマグネット413以外であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1,1B サッシ
2 枠体
3 障子
4,4B 閉鎖速度減速機構
11 壁部
12 開口部
31 内障子(障子)
32 外障子(障子)
41 オイルダンパー(流体ダンパー)
45,45B 内障子閉鎖速度減速機構
46,46B 外障子閉鎖速度減速機構
43,43B オイルダンパー作用部(流体ダンパー作用部)
411 シリンダー
412 ピストンロッド
412b オリフィス
414 作動油(作動流体)
415 ピストン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10