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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-59132(P2019-59132A)
(43)【公開日】2019年4月18日
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20190322BHJP
   B41J 2/015 20060101ALI20190322BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20190322BHJP
【FI】
   B41J2/14 611
   B41J2/015 101
   B41J2/01 401
   B41J2/01 451
   B41J2/14 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-185866(P2017-185866)
(22)【出願日】2017年9月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区新宿四丁目1番6号
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】上柳 雅史
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EB08
2C056EB39
2C056EC08
2C056EC28
2C056EC37
2C056FA04
2C056FA10
2C056HA09
2C057AF67
2C057AG44
2C057AL13
2C057AL40
2C057AN01
2C057AR06
2C057AR08
2C057AR16
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】液体吐出装置の圧電素子におけるリーク電流を検出する。
【解決手段】第1、第2圧電素子を各々有する第1、第2吐出部と、
第1、第2配線に各々供給される第1、第2駆動信号を生成する信号生成部と、検出部と、
第1配線と第1圧電素子の第1電極、第2配線と第2圧電素子の第2電極の接続を各々切替る第1、第2スイッチ、検出配線と第1電極、検出配線と第2電極の接続を各々切替る第1、第2検出スイッチを有する切替部と、を備え、第1期間に、駆動信号生成部は第1駆動信号を第1電位に設定し切替部は第1スイッチをオンし、第2期間に、切替部は第1検出スイッチをオンし、第1、第2期間を含む印刷期間に、駆動信号生成部は第2駆動信号に液体を吐出させる第1駆動波形を設定し切替部は第2スイッチをオンし、検出部は、第2期間における検出配線の電位により第1圧電素子の蓄電能力を検査する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、第1圧電体及び第1対向電極を有し前記第1電極の電位変化に応じて変位する第1圧電素子、を具備し、前記第1圧電素子の変位に応じて液体を吐出可能な第1吐出部、並びに、
第2電極、第2圧電体及び第2対向電極を有し前記第2電極の電位変化に応じて変位する第2圧電素子、を具備し、前記第2圧電素子の変位に応じて液体を吐出可能な第2吐出部、
を含む300個以上の吐出部が、300dpi以上の密度で配列された記録ヘッドと、
第1供給配線に供給される第1駆動信号、及び、
第2供給配線に供給される第2駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
検出配線の電位を検出する検出部と、
前記第1供給配線と前記第1電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第1スイッチ、
前記第2供給配線と前記第2電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第2スイッチ、
前記検出配線と前記第1電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第1検出スイッチ、及び、
前記検出配線と前記第2電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第2検出スイッチ、
を具備する切替部と、
を備え、
第1期間において、
前記駆動信号生成部は、
前記第1駆動信号の電位を第1電位に設定し、
前記切替部は、
前記第1スイッチをオンし、前記第1検出スイッチをオフし、
前記第1期間の後の第2期間において、
前記切替部は、
前記第1スイッチをオフし、前記第1検出スイッチをオンし、
前記第1期間及び前記第2期間を含む印刷期間のうち少なくとも一部の期間において、
前記駆動信号生成部は、
前記第2駆動信号に、前記吐出部から液体を吐出させるための第1駆動波形を設定し、
前記切替部は、
前記第2スイッチをオンし、前記第2検出スイッチをオフし、
前記検出部は、
前記第2期間における前記検出配線の電位に基づいて、前記第1圧電素子が所定の蓄電能力を有するか否かを検査する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記切替部は、
前記検査の結果が、前記第1圧電素子が前記所定の蓄電能力を有さないことを示す場合、前記第1スイッチをオフする状態を維持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1対向電極の電位は、接地電位と異なる第2電位に設定される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記検出部により検出された前記検出配線の電位に応じて、前記吐出部における液体の吐出状態を判定する判定部、
を備え、
前記300個以上の吐出部には、
第3電極、第3圧電体及び第3対向電極を有し前記第3電極の電位変化に応じて変位する第3圧電素子、を具備し、前記第3圧電素子の変位に応じて液体を吐出可能な第3吐出部、
が含まれ、
前記切替部は、
前記第1供給配線と前記第3電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第3スイッチ、及び、
前記検出配線と前記第3電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第3検出スイッチ、
を備え、
前記印刷期間のうち第3期間において、
前記駆動信号生成部は、
前記第1駆動信号に前記第3圧電素子を変位させるための第2駆動波形を設定し、
前記切替部は、
前記第3スイッチをオンし、前記第3検出スイッチをオフし、
前記印刷期間のうち前記第3期間の後の第4期間において、
前記切替部は、
前記第3スイッチをオフし、前記第3検出スイッチをオンし、
前記判定部は、
前記第4期間において前記検出部が検出した前記検出配線の電位に応じて、前記第3吐出部における液体の吐出状態を判定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
第1電極、第1圧電体及び第1対向電極を有し前記第1電極の電位変化に応じて変位する第1圧電素子、を具備し、前記第1圧電素子の変位に応じて液体を吐出可能な第1吐出部、
を含む300個以上の吐出部が、300dpi以上の密度で配列された記録ヘッドと、
第1供給配線に供給される第1駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
検出配線の電位を検出する検出部と、
前記第1供給配線と前記第1電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第1スイッチ、及び、
前記検出配線と前記第1電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第1検出スイッチ、
を具備する切替部と、
を備え、
第1期間において、
前記駆動信号生成部は、
前記第1駆動信号の電位を第1電位に設定し、
前記切替部は、
前記第1スイッチをオンし、前記第1検出スイッチをオフし、
前記第1期間の後の第2期間において、
前記切替部は、
前記第1スイッチをオフし、前記第1検出スイッチをオンし、
前記検出部は、
前記第2期間における前記検出配線の電位に基づいて、前記第1圧電素子が所定の蓄電能力を有するか否かを検査する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等の液体吐出装置は、記録ヘッドの吐出部に設けられた圧電素子を駆動することで、当該吐出部のキャビティに充填されたインクを吐出し、記録媒体に画像を形成する印刷を実行する。
そして、このような液体吐出装置に対しては、従来から、例えば、600dpi(dots per inch)以上での解像度での印刷のような、高解像度印刷の要望が存在していた。
なお、600dpi以上での解像度の印刷は、例えば、300dpi以上の密度で配列された複数の吐出部を具備する記録ヘッドを、複数回走査することにより、実現可能である。
【0003】
近年、上述した高解像度印刷の要望に応えるため、高密度での配列、例えば、300dpi以上での配列が可能な薄膜の圧電素子を具備する液体吐出装置が普及しつつある。
300dpi以上での配列が可能な薄膜の圧電素子は、例えば、微小電気機械システム(MEMS)技術を用いて製造することができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4078629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、薄膜の圧電素子は、薄膜の圧電体が一対の電極間に設けられた構造を有するため、当該圧電素子が備える一対の電極間が短絡し当該電極間にリーク電流が生じやすい。
そして、液体吐出装置に設けられた圧電素子の電極間においてリーク電流が生じた状態で印刷を行う場合、印刷において形成される画像の品質が劣化するという問題が存在した。
【0006】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、液体吐出装置が備える圧電素子におけるリーク電流の発生を検出することができる技術の提供を、解決課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明に係る液体吐出装置は、第1電極、第1圧電体及び第1対向電極を有し前記第1電極の電位変化に応じて変位する第1圧電素子、を具備し、前記第1圧電素子の変位に応じて液体を吐出可能な第1吐出部、並びに、第2電極、第2圧電体及び第2対向電極を有し前記第2電極の電位変化に応じて変位する第2圧電素子、を具備し、前記第2圧電素子の変位に応じて液体を吐出可能な第2吐出部、を含む300個以上の吐出部が、300dpi以上の密度で配列された記録ヘッドと、第1供給配線に供給される第1駆動信号、及び、第2供給配線に供給される第2駆動信号を生成する駆動信号生成部と、検出配線の電位を検出する検出部と、前記第1供給配線と前記第1電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第1スイッチ、前記第2供給配線と前記第2電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第2スイッチ、前記検出配線と前記第1電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第1検出スイッチ、及び、前記検出配線と前記第2電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第2検出スイッチ、を具備する切替部と、を備え、第1期間において、前記駆動信号生成部は、前記第1駆動信号の電位を第1電位に設定し、前記切替部は、前記第1スイッチをオンし、前記第1検出スイッチをオフし、前記第1期間の後の第2期間において、前記切替部は、前記第1スイッチをオフし、前記第1検出スイッチをオンし、前記第1期間及び前記第2期間を含む印刷期間のうち少なくとも一部の期間において、前記駆動信号生成部は、前記第2駆動信号に、前記吐出部から液体を吐出させるための第1駆動波形を設定し、前記切替部は、前記第2スイッチをオンし、前記第2検出スイッチをオフし、前記検出部は、前記第2期間における前記検出配線の電位に基づいて、前記第1圧電素子が所定の蓄電能力を有するか否かを検査する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第2吐出部における液体の吐出を行うことと並列して、第1吐出部におけるリーク電流の有無を検査することが可能である。
【0009】
上述した液体吐出装置において、前記切替部は、前記検査の結果が、前記第1圧電素子が前記所定の蓄電能力を有さないことを示す場合、前記第1スイッチをオフする状態を維持する、ことを特徴としてもよい。
【0010】
この態様によれば、第1電極と第1対向電極との間のリーク電流に起因する第1対向電極の電位の変動を、抑制することが可能である。
【0011】
上述した液体吐出装置において、前記第1対向電極の電位は、接地電位と異なる第2電位に設定される、ことを特徴としてもよい。
【0012】
この態様によれば、第1対向電極の電位が第2電位に設定されることに起因して第1吐出部に分極処理時と逆極性の電界が印加されやすい場合に、第1吐出部のリーク電流の有無を検査することが可能である。
【0013】
上述した液体吐出装置において、前記検出部により検出された前記検出配線の電位に応じて、前記吐出部における液体の吐出状態を判定する判定部、を備え、前記300個以上の吐出部には、第3電極、第3圧電体及び第3対向電極を有し前記第3電極の電位変化に応じて変位する第3圧電素子、を具備し、前記第3圧電素子の変位に応じて液体を吐出可能な第3吐出部、が含まれ、前記切替部は、前記第1供給配線と前記第3電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第3スイッチ、及び、前記検出配線と前記第3電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第3検出スイッチ、を備え、前記印刷期間のうち第3期間において、前記駆動信号生成部は、前記第1駆動信号に前記第3圧電素子を変位させるための第2駆動波形を設定し、前記切替部は、前記第3スイッチをオンし、前記第3検出スイッチをオフし、前記印刷期間のうち前記第3期間の後の第4期間において、前記切替部は、前記第3スイッチをオフし、前記第3検出スイッチをオンし、前記判定部は、前記第4期間において前記検出部が検出した前記検出配線の電位に応じて、前記第3吐出部における液体の吐出状態を判定する、ことを特徴としてもよい。
【0014】
この態様によれば、第2吐出部における液体の吐出を行うことと並列して、第1吐出部におけるリーク電流の有無を検査することが可能であるとともに、第3吐出部における液体の吐出状態を判定することが可能である。
【0015】
以上の課題を解決するために、本発明に係る液体吐出装置は、第1電極、第1圧電体及び第1対向電極を有し前記第1電極の電位変化に応じて変位する第1圧電素子、を具備し、前記第1圧電素子の変位に応じて液体を吐出可能な第1吐出部、を含む300個以上の吐出部が、300dpi以上の密度で配列された記録ヘッドと、第1供給配線に供給される第1駆動信号を生成する駆動信号生成部と、検出配線の電位を検出する検出部と、前記第1供給配線と前記第1電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第1スイッチ、及び、前記検出配線と前記第1電極とを電気的に接続するか否かを切替可能な第1検出スイッチ、を具備する切替部と、を備え、第1期間において、前記駆動信号生成部は、前記第1駆動信号の電位を第1電位に設定し、前記切替部は、前記第1スイッチをオンし、前記第1検出スイッチをオフし、前記第1期間の後の第2期間において、前記切替部は、前記第1スイッチをオフし、前記第1検出スイッチをオンし、前記検出部は、前記第2期間における前記検出配線の電位に基づいて、前記第1圧電素子が所定の蓄電能力を有するか否かを検査する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、第1吐出部のリーク電流の有無を検査することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例を示すブロック図である。
図2】インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
図3】吐出部Dの構造の一例を説明するための説明図である。
図4】吐出部Dにおけるインクの吐出動作の一例を説明するための説明図である。
図5】ヘッドモジュールHMにおけるノズルN配置の一例を示す平面図である。
図6】ヘッドユニットHUの構成の一例を示すブロック図である。
図7】印刷処理、吐出状態診断処理、及び、蓄電能力診断処理の一例を説明するためのタイミングチャートである。
図8】印刷処理、吐出状態診断処理、及び、蓄電能力診断処理における個別指定信号と接続状態指定信号の関係の一例を示す説明図である。
図9】印刷処理、及び、吐出状態診断処理を説明するための説明図である。
図10】印刷処理、及び、吐出状態診断処理を説明するための説明図である。
図11】印刷処理、及び、蓄電能力診断処理の第1例を説明するための説明図である。
図12】印刷処理、及び、蓄電能力診断処理の第1例を説明するための説明図である。
図13】印刷処理、及び、蓄電能力診断処理の第2例を説明するための説明図である。
図14】印刷処理、及び、蓄電能力診断処理の第2例を説明するための説明図である。
図15】接続状態指定回路11の構成の一例を示すブロック図である。
図16】判定情報Sttの一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0019】
<<A.実施形態>>
本実施形態では、インク(「液体」の一例)を吐出して記録用紙P(「媒体」の一例)に画像を形成するインクジェットプリンターを例示して、液体吐出装置を説明する。
【0020】
<<1.インクジェットプリンターの概要>>
図1及び図2を参照しつつ、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成について説明する。ここで、図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例を示す機能ブロック図である。また、図2は、インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
【0021】
インクジェットプリンター1には、パーソナルコンピューターやデジタルカメラ等のホストコンピューターから、インクジェットプリンター1が形成すべき画像を示す印刷データImgと、インクジェットプリンター1が形成すべき画像の印刷部数を示す部数情報CPとが供給される。インクジェットプリンター1は、ホストコンピューターから供給される印刷データImgの示す画像を記録用紙Pに形成するための印刷処理を実行する。
【0022】
図1に例示するように、インクジェットプリンター1は、インクを吐出する吐出部Dが設けられたヘッドユニットHUを具備するヘッドモジュールHMと、インクジェットプリンター1の各部を制御する制御部6と、吐出部Dを駆動するための駆動信号Comを生成する駆動信号生成回路2(「駆動信号生成部」の一例)と、ヘッドモジュールHMに対する記録用紙Pの相対位置を変化させるための搬送機構7と、吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定する処理(以下、「吐出状態判定処理」と称する)を実行して当該吐出状態判定処理における判定の結果を示す判定情報Sttを出力する吐出状態判定回路9(「判定部」の一例)を具備する判定モジュールCMと、インクジェットプリンター1の制御プログラム及びその他の情報を記憶する記憶部5と、を備える。
本実施形態では、図1に例示するように、ヘッドモジュールHMが、4個のヘッドユニットHUを備え、判定モジュールCMが、4個のヘッドユニットHUと1対1に対応する4個の吐出状態判定回路9を備える場合を想定する。
【0023】
本実施形態において、各ヘッドユニットHUは、M個の吐出部Dを具備する記録ヘッドHDと、切替回路10(「切替部」の一例)と、検出回路20(「検出部」の一例)と、を備える(本実施形態において、Mは、2≦Mを満たす自然数)。
以下では、各記録ヘッドHDに設けられたM個の吐出部Dの各々を区別するために、順番に、1段、2段、…、M段と称することがある。また、m段の吐出部Dを、吐出部D[m]と称する場合がある(変数mは、1≦m≦Mを満たす自然数)。また、インクジェットプリンター1の構成要素や信号等が、吐出部D[m]の段数mに対応するものである場合には、当該構成要素や信号等を表わすための符号に、段数mに対応していることをを示す添え字[m]を付して表現することがある。
【0024】
インクジェットプリンター1は、印刷データImgに応じて所定の吐出部Dからインクを吐出することで、印刷処理を実行する。
以下では、印刷処理においてインクを吐出するように駆動される吐出部Dを、駆動吐出部D-Pと称し、印刷処理における駆動吐出部D-P以外の吐出部Dを、非駆動吐出部D-Oと称する場合がある。
【0025】
切替回路10は、駆動信号生成回路2から出力される駆動信号Comを各吐出部Dに供給するか否かを切り替える。また、切替回路10は、各吐出部Dと検出回路20とを電気的に接続するか否かを切り替える。
検出回路20は、蓄電能力検査回路21(「検査部」の一例)と、波形整形回路22と、を備える。
【0026】
蓄電能力検査回路21は、吐出部D[m]から検出した検出信号Vout[m]に基づいて、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m](圧電素子PZについては、図3を参照)が所定の蓄電能力を有するか否かを検査する処理である、蓄電能力検査処理を実行する。ここで、圧電素子PZ[m]が所定の蓄電能力を有さない場合とは、例えば、吐出部D[m]の有する圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]と下部電極Zd[m]との間が短絡している場合である。
以下では、蓄電能力検査処理における検査対象とされる吐出部Dを、検査対象吐出部D-Rと称する場合がある。
また、蓄電能力検査回路21において実行される蓄電能力検査処理と、当該蓄電能力検査処理を行うための各種準備処理と、を含む、インクジェットプリンター1において実施される一連の処理を、蓄電能力診断処理と称する。
【0027】
波形整形回路22は、吐出部D[m]から検出した検出信号Vout[m]に基づいて、駆動信号Comにより吐出部D[m]が駆動された後に当該吐出部D[m]において残留している振動(以下、「残留振動」と称する)を示す残留振動信号RVS[m]を生成する。
【0028】
吐出状態判定回路9は、残留振動信号RVS[m]に基づいて吐出部D[m]の吐出状態を判定し、当該判定の結果を示す判定情報Stt[m]を生成する処理である、吐出状態判定処理を実行する。
以下では、吐出状態判定回路9による吐出状態判定処理の対象とされる吐出部Dを、判定対象吐出部D-Hと称する場合がある。
また、吐出状態判定回路9が実行する吐出状態判定処理と、吐出状態判定回路9が吐出状態判定処理を実行するために判定対象吐出部D-Hを駆動して判定対象吐出部D-Hに残留振動を生じさせたうえで当該残留振動を示す残留振動信号RVSを生成する処理である残留振動信号生成処理と、を含む、インクジェットプリンター1において実行される一連の処理を、吐出状態診断処理と称する。
【0029】
本実施形態では、一例として、インクジェットプリンター1が、シリアルプリンターである場合を想定する。具体的には、インクジェットプリンター1は、副走査方向に記録用紙Pを搬送し主走査方向にヘッドモジュールHMを移動させつつ、吐出部Dからインクを吐出することで、印刷処理を実行する。本実施形態では、図2に示すように、+Y方向及びその反対の−Y方向(以下、+Y方向及び−Y方向を「Y軸方向」と総称する)が主走査方向であり、+X方向(以下、+X方向及びその反対の−X方向を「X軸方向」と総称する)が副走査方向であることとする。
【0030】
図2に例示するように、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、筐体200と、筐体200内をY軸方向に往復動可能でありヘッドモジュールHMを搭載するキャリッジ100と、を備える。
【0031】
搬送機構7は、印刷処理が実行される場合に、キャリッジ100をY軸方向に往復動させるとともに、記録用紙Pを+X方向に搬送することで、記録用紙PのヘッドモジュールHMに対する相対位置を変化させ、記録用紙Pの全体に対してインクが着弾することを可能とする。
搬送機構7は、図1に示すように、キャリッジ100をY軸方向に往復動するための駆動源となる搬送モーター71と、搬送モーター71を駆動するためのモータードライバー72と、記録用紙Pを搬送するための駆動源となる給紙モーター73と、給紙モーター73を駆動するためのモータードライバー74と、を具備する。また、搬送機構7は、図2に示すように、Y軸方向に延在するキャリッジガイド軸76と、搬送モーター71により回転駆動されるプーリー711と回転自在なプーリー712との間に掛け渡されY軸方向に延在するタイミングベルト710と、を具備する。キャリッジ100は、キャリッジガイド軸76によりY軸方向に往復自在に支持されるとともに、固定具101を介してタイミングベルト710の所定箇所に固定されている。このため、搬送機構7は、搬送モーター71によりプーリー711を回転駆動させることで、キャリッジ100に搭載されたヘッドモジュールHMを、キャリッジガイド軸76に沿ってY軸方向に移動させることができる。
また、図2に示すように、搬送機構7は、キャリッジ100の下側すなわち−Z方向(以下、−Z方向及びその反対の+Z方向を「Z軸方向」と総称する)に設けられたプラテン75と、給紙モーター73の駆動に応じて回転し記録用紙Pを1枚ずつプラテン75上に供給するための給紙ローラー(図示省略)と、給紙モーター73の駆動に応じて回転しプラテン75上の記録用紙Pを排紙口へと搬送する排紙ローラー730と、を備える。このため、搬送機構7は、プラテン75上において記録用紙Pを−X方向(上流側)から+X方向(下流側)へと搬送することができる。
【0032】
本実施形態では、図2に例示するように、シアン(CY)、マゼンタ(MG)、イエロー(YL)、及び、ブラック(BK)の、4色(CMYK)のインクと1対1に対応する4個のインクカートリッジ31がキャリッジ100に格納されている場合を想定する。なお、図2は一例に過ぎず、インクカートリッジ31は、キャリッジ100の外部に設けられるものであってもよい。
また、本実施形態では、4個のヘッドユニットHUと、4個のインクカートリッジ31とが、1対1に対応して設けられる。そして、各吐出部Dは、当該吐出部Dが設けられたヘッドユニットHUに対応するインクカートリッジ31からインクの供給を受ける。これにより、各吐出部Dは、供給されたインクを内部に充填し、充填したインクをノズルNから吐出することができる。つまり、ヘッドモジュールHMが具備する合計4M個の吐出部Dは、全体としてCMYKの4色のインクを吐出することができる。
【0033】
記憶部5は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリーと、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、または、PROM(Programmable ROM)等の不揮発性メモリーと、を含んで構成され、ホストコンピューターから供給される印刷データImg、及び、インクジェットプリンター1の制御プログラム等の各種情報を記憶する。
【0034】
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。但し、制御部6は、CPUの代わりに、または、CPUに加えて、FPGA(field-programmable gate array)等のプログラマブルロジックデバイスを備えていてもよい。
【0035】
制御部6は、制御部6に設けられたCPUが、記憶部5に記憶されている制御プログラムを実行して当該制御プログラムに従って動作することにより、インクジェットプリンター1の各部を制御する。
具体的には、制御部6は、ヘッドモジュールHMを制御するための印刷信号SIと、駆動信号生成回路2を制御するための波形指定信号dComと、搬送機構7を制御するための信号と、を生成する。
ここで、波形指定信号dComとは、駆動信号Comの波形を規定するデジタルの信号である。また、駆動信号Comとは、吐出部Dを駆動するためのアナログの信号である。駆動信号生成回路2は、DA変換回路を含み、波形指定信号dComが規定する波形を有する駆動信号Comを生成する。なお、本実施形態では、駆動信号Comが、駆動信号Com-Aと駆動信号Com-Bとを含む場合を想定する。
また、印刷信号SIとは、吐出部Dの動作の種類を指定するためのデジタルの信号である。具体的には、印刷信号SIは、吐出部Dに対して駆動信号Comを供給するか否かを指定することで、吐出部Dの動作の種類を指定する。ここで、吐出部Dの動作の種類の指定とは、例えば、吐出部Dを駆動するか否かを指定したり、吐出部Dを駆動した際に当該吐出部Dからインクが吐出されるか否かを指定したり、また、吐出部Dを駆動した際に当該吐出部Dから吐出されるインク量を指定したりすることである。
【0036】
より具体的には、印刷信号SIは、各ヘッドユニットHUに設けられたM個の吐出部Dのうち、インクを吐出するように駆動される吐出部D、つまり、印刷処理における駆動吐出部D-Pを指定する。また、印刷信号SIは、当該M個の吐出部Dのうち印刷処理における非駆動吐出部D-Oの中から、吐出状態診断処理における判定対象吐出部D-Hを指定し、蓄電能力診断処理における検査対象吐出部D-Rを指定する。
なお、当該M個の吐出部Dのうち、駆動吐出部D-Pとして指定される吐出部Dは、印刷データImgに応じて、単位印刷期間Tuごとに異なり得る(単位印刷期間Tuについては、図7を参照)。判定対象吐出部D-Hは、異なる単位印刷期間Tuに対して異なる吐出部Dであるように指定されてよく、検査対象吐出部D-Rは、異なる単位印刷期間Tuに対して異なる吐出部Dであるように指定されてよい。
【0037】
印刷処理が実行される場合、制御部6は、まず、ホストコンピューターから供給される印刷データImgを、記憶部5に記憶させる。次に、制御部6は、記憶部5に記憶されている印刷データImg等の各種データに基づいて、印刷信号SI、波形指定信号dCom、及び、搬送機構7を制御するための信号等の各種制御信号を生成する。そして、制御部6は、各種制御信号と、記憶部5に記憶されている各種データに基づいて、ヘッドモジュールHMに対する記録用紙Pの相対位置を変化させるように搬送機構7を制御しつつ、吐出部Dが駆動されるようにヘッドモジュールHMを制御する。これにより、制御部6は、吐出部Dからのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を調整し、印刷データImgに対応する画像を記録用紙Pに形成する印刷処理の実行を制御する。
【0038】
なお、印刷データImgの示す1枚の画像を形成するために実行される、1または複数回の印刷処理を、印刷タスクと称する。また、印刷データImgの示す画像を、部数情報CPに対応する部数だけ形成するために実行される、1または複数回の印刷タスクを、印刷ジョブと称する。
【0039】
上述のとおり、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、各吐出部Dからのインクの吐出状態が正常であるか否か、すなわち、各吐出部Dにおいて吐出異常が生じていないか否か、を判定する吐出状態判定処理を含む吐出状態診断処理を実行する。
ここで、吐出異常とは、駆動信号Comにより吐出部Dを駆動して吐出部Dからインクを吐出させようとしても、駆動信号Comが規定する態様によりインクを吐出できない状態である。ここで、駆動信号Comが規定するインクの吐出態様とは、吐出部Dが駆動信号Comの波形により規定される量のインクを吐出し、吐出部Dが駆動信号Comの波形により規定される吐出速度でインクを吐出することである。すなわち、駆動信号Comが規定するインクの吐出態様によりインクを吐出できない状態とは、吐出部Dからインクを吐出できない状態の他に、駆動信号Comにより規定されるインクの吐出量とは異なる量のインクが吐出部Dから吐出される状態、及び、駆動信号Comにより規定されるインクの吐出速度と異なる速度でインクが吐出されるために記録用紙P上の所望の着弾位置にインクを着弾させることができない状態、等を含む。
【0040】
吐出状態診断処理において、インクジェットプリンター1は、第1に、制御部6により、各ヘッドユニットHUに設けられたM個の吐出部Dのうち印刷処理における非駆動吐出部D-Oの中から判定対象吐出部D-Hを選択し、第2に、制御部6による制御の下で、判定対象吐出部D-Hを駆動させることで、判定対象吐出部D-Hに残留振動を生じさせ、第3に、波形整形回路22により、判定対象吐出部D-Hから検出された検出信号Voutに基づいて残留振動信号RVSを生成し、第4に、吐出状態判定回路9により、残留振動信号RVSに基づいて判定対象吐出部D-Hを対象とする吐出状態判定処理を行い、当該判定の結果を示す判定情報Sttを生成し、第5に、制御部6により、判定情報Sttを記憶部5に記憶させる、という一連の処理を実行する。ここで、吐出状態診断処理を構成する第1〜第6の処理のうち、第1〜第3の処理が残留振動信号生成処理に該当する。
【0041】
蓄電能力診断処理において、インクジェットプリンター1は、第1に、制御部6により、各ヘッドユニットHUに設けられたM個の吐出部Dのうち印刷処理における非駆動吐出部D-Oの中から検査対象吐出部D-Rを選択し、第2に、制御部6による制御の下で、検査対象吐出部D-Rの圧電素子PZに対して駆動信号Comを供給し、第3に、蓄電能力検査回路21により、検査対象吐出部D-Rから検出される検出信号Voutに基づいて蓄電能力検査処理を行い、当該検査の結果を検査結果情報RJ(図6参照)として出力し、第4に、制御部6により、検査結果情報RJを記憶部5に記憶させる、という一連の処理を実行する。
吐出状態診断処理における判定対象吐出部D-Hと、蓄電能力診断処理における検査対象吐出部D-Rとは、同じ単位印刷期間Tuにおいて、互いに異なる吐出部Dが選択される。
【0042】
<<2.記録ヘッド及び吐出部の概要>>
図3乃至図5を参照しつつ、記録ヘッドHDと、記録ヘッドHDに設けられる吐出部Dについて説明する。
【0043】
図3は、吐出部Dを含むように記録ヘッドHDを切断した、記録ヘッドHDの概略的な一部断面図である。
図3に示すように、吐出部Dは、圧電素子PZと、内部にインクが充填されたキャビティ320(「圧力室」の一例)と、キャビティ320に連通するノズルNと、振動板310と、を備える。
キャビティ320は、キャビティプレート340と、ノズルNが形成されたノズルプレート330と、振動板310と、により区画される空間である。キャビティ320は、インク供給口360を介してリザーバ350と連通している。リザーバ350は、インク取入口370を介して、当該吐出部Dに対応するインクカートリッジ31と連通している。
圧電素子PZは、上部電極Zuと、下部電極Zdと、上部電極Zu及び下部電極Zdの間に設けられた圧電体Zmと、を有する。そして、下部電極Zdが接地電位と異なる電位VBSに設定された給電線LHd(図6参照)に電気的に接続され、上部電極Zuに駆動信号Comが供給されることで、上部電極Zu及び下部電極Zdの間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子PZが+Z方向または−Z方向に変位し、その結果、圧電素子PZが振動する。なお、本実施形態では、圧電素子PZとして、図3に示すような、圧電体Zmが一対の上部電極Zuと下部電極Zdとの間に設けられた構造を有するユニモルフ(モノモルフ)型を採用する。
キャビティプレート340の上面開口部には、振動板310が設置される。振動板310には、下部電極Zdが接合されている。このため、圧電素子PZが駆動信号Comにより駆動されて振動すると、振動板310も振動する。そして、振動板310の振動によりキャビティ320の容積が変化し、キャビティ320内に充填されたインクがノズルNより吐出される。インクの吐出によりキャビティ320内のインクが減少した場合、リザーバ350からインクが供給される。
【0044】
図4は、吐出部Dにおけるインクの吐出動作の一例を説明するための説明図である。図4に例示するように、制御部6は、Phase-1の状態において、吐出部Dが備える圧電素子PZに対して供給される駆動信号Comの電位を変化させることで、当該圧電素子PZが+Z方向に変位するような歪を発生させ、当該吐出部Dの振動板310を+Z方向に撓ませる。これにより、図4に示すPhase-2の状態のように、Phase-1の状態と比較して、当該吐出部Dのキャビティ320の容積が拡大する。次に、制御部6は、駆動信号Comの示す電位を変化させることで、当該圧電素子PZが−Z方向に変位するような歪を発生させ、当該吐出部Dの振動板310を−Z方向に撓ませる。これにより、図4に示すPhase-3の状態のように、キャビティ320の容積が急激に収縮し、キャビティ320を満たすインクの一部が、このキャビティ320に連通しているノズルNからインク滴として吐出される。圧電素子PZ及び振動板310が駆動信号Comにより駆動されてZ軸方向に変位した後、振動板310を含む吐出部Dには残留振動が生じる。
【0045】
図5は、+Z方向または−Z方向からインクジェットプリンター1を平面視した場合の、ヘッドモジュールHMが具備する4個の記録ヘッドHDと、当該4個の記録ヘッドHDに設けられた合計4M個のノズルNの配置の一例を説明するための説明図である。
図5に示すように、ヘッドモジュールHMに設けられた各記録ヘッドHDには、ノズル列Lnが設けられる。ここで、ノズル列Lnとは、所定方向に列状に延在するように設けられた複数のノズルNである。本実施形態では、各ノズル列Lnが、M個のノズルNをX軸方向に列状に延在するように配置して構成される場合を想定する。
以下では、図5に示すように、ヘッドモジュールHMに設けられる4列のノズル列Lnを、ノズル列Ln-BK、Ln-CY、Ln-MG、Ln-YLと称する。ここで、ノズル列Ln-BKは、ブラックのインクを吐出する吐出部DのノズルNを配列したノズル列Lnであり、ノズル列Ln-CYは、シアンのインクを吐出する吐出部DのノズルNを配列したノズル列Lnであり、ノズル列Ln-MGは、マゼンタのインクを吐出する吐出部DのノズルNを配列したノズル列Lnであり、ノズル列Ln-YLは、イエローのインクを吐出する吐出部DのノズルNを配列したノズル列Lnである。
なお、図5は一例であり、各ノズル列Lnに属するM個のノズルNは、ノズル列Lnの延在する方向と交差する方向に所定の幅を有して配置されていてもよい。つまり、各ノズル列Lnにおいて、+X側から偶数番目のノズルNと奇数番目のノズルNのY軸方向の位置が相違するように、各ノズル列Lnに属するM個のノズルNが例えば千鳥状に配置されてもよい。また、各ノズル列LnはX軸方向とは異なる方向に延在してもよい。また、本実施形態では、各記録ヘッドHDに設けられるノズル列Lnの列数が「1」である場合を例示しているが、各記録ヘッドHDには、2列以上のノズル列Lnが設けられてもよい。
【0046】
吐出部Dが備える圧電素子PZに用いられる圧電体Zmは、厚さが例えば5μm以下(より具体的には例えば1.0μm以上1.5μm以下)の薄膜であることが好ましい。圧電体Zmを薄くすることで、所定の印加電圧に対する圧電素子PZの変位量を大きくすることができるからである。薄膜の圧電体Zmを用いた圧電素子PZは、小型化するとともに量産性を高める観点から、微小電気機械システム(MEMS)技術により製造されることが多い。MEMS技術により、高密度(300dpi以上)で多く(300個以上)の吐出部Dが配列された記録ヘッドHDを製造することができる。
なお、高密度とは、1インチ当たりに吐出部Dが300個以上並べられた状態を示す。高密度に吐出部Dを並べたうえで、吐出するための変位量を確保するためには、圧電素子PZを薄くする必要がある。
【0047】
MEMS技術により製造された、薄膜の圧電体Zmを用いた圧電素子PZは、微細であるために破壊されやすい懸念がある。具体的には例えば、圧電素子PZの上部電極Zuと下部電極Zdとの間が短絡しリーク電流が発生して、焼損が生じやすい懸念がある。
上部電極Zuと下部電極Zdとの間の短絡の要因としては、例えば、圧電体Zmが破壊されることや、また例えば、上部電極Zuと下部電極Zdとにまたがってゴミが付着すること等が考えられる。
【0048】
圧電体Zmの破壊を引き起こす要因としては、以下に説明するように、例えば、分極処理時と逆極性の電界の印加が考えられる。
圧電体Zmは、単結晶体として形成することが困難であるため、強誘電体の微結晶の集合である多結晶体として形成される。製造時においては、個々の微結晶の自発分極の方向が自然発生的にばらばらな方向を向いているため、圧電体Zmの圧電特性は発現しない。そこで、圧電体Zmがインクジェットプリンター1に組み込まれる前に、圧電体Zmに所定の直流電界を印加して分極方向を揃える分極処理(poling)が行われる。分極処理により、圧電体Zmの圧電特性が発現する。
【0049】
圧電体Zmは、多結晶体であるため、製造過程や分極処理の過程において部分的な応力集中等が生じ、潜在的な微少クラックを有する。圧電素子PZの駆動時において、分極処理時と逆極性の電界が圧電体Zmに印加されることで、分極処理によって揃えられた分極方向が乱れるおそれがある。また、さらに、分極方向の変化の仕方が微結晶ごとに異なることに起因し微少クラックが成長して、圧電体Zmの破壊が引き起こされるおそれがある。
特に、薄膜の圧電体Zmにおいては、成長したクラックが厚さ方向に貫通しやすい。クラックが厚さ方向に貫通すると、上部電極Zuと下部電極Zdとの間の電気的な短絡が生じる。
【0050】
圧電素子PZの下部電極Zdの電位は、上述のように、電位VBSに設定されている(下部電極Zdに、電位VBSが印加されている)。下部電極Zdへの電位VBSの印加は、上部電極Zuと下部電極Zdとの間でのリーク電流を抑制するための技術として有効であり、リーク電流が生じやすい薄膜の圧電体Zmを用いた圧電素子PZにおいて、特に有効である。また、下部電極Zdへの電位VBSの印加は、圧電素子PZの動電変換特性にて動電変換関係がリニアに近い領域である最適変位領域において動作させるための技術としても有効である。
【0051】
ただし、下部電極Zdへの電位VBSの印加は、下部電極Zdの電位が接地電位に設定されている場合と比べて、下部電極Zdの電位が上部電極Zuの電位に近づいた状態を生じさせやすい。このため、圧電素子PZの駆動時において、下部電極Zdの電位と上部電極Zuの電位との高低が分極処理時と逆転して分極処理時と逆極性の電界が圧電体Zmに印加される状態を生じさせやすく、圧電体Zmの破壊を引き起こしやすい。
【0052】
このように、吐出部Dとして薄膜の圧電体Zmを備える圧電素子PZを用いたインクジェットプリンター1において、また特に、圧電素子PZの下部電極Zdに電位VBS(「第2電位」の一例)が印加されたインクジェットプリンター1において、圧電体Zmの破壊が引き起こされやすい。よって、吐出部Dとして薄膜の圧電体Zmを備える圧電素子PZが用いられ、圧電素子PZの下部電極Zdに電位VBSが印加されたインクジェットプリンター1においては、吐出部Dにおける短絡が生じやすい。このため、吐出部Dにおけるリーク電流の発生を検査できることが好ましい。
【0053】
<<3.ヘッドユニットの構成>>
以下、図6を参照しつつ、各ヘッドユニットHUの構成について説明する。
【0054】
図6は、ヘッドユニットHUの構成の一例を示すブロック図である。上述のように、ヘッドユニットHUは、記録ヘッドHDと、切替回路10と、検出回路20と、を備える。また、ヘッドユニットHUは、駆動信号生成回路2から駆動信号Com-Aが供給される内部配線LHaと、駆動信号生成回路2から駆動信号Com-Bが供給される内部配線LHbと、吐出部Dから検出される検出信号Voutを検出回路20に供給するための内部配線LHsと、を備える。
【0055】
図6に示すように、切替回路10は、M個のスイッチSWa(SWa[1]〜SWa[M])と、M個のスイッチSWb(SWb[1]〜SWb[M])と、M個のスイッチSWs(SWs[1]〜SWs[M])と、各スイッチの接続状態を指定する接続状態指定回路11と、を備える。なお、各スイッチとしては、例えば、トランスミッションゲートを採用することができる。
接続状態指定回路11は、制御部6から供給される印刷信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、期間指定信号Tsigの少なくとも一部の信号に基づいて、スイッチSWa[1]〜SWa[M]のオンオフを指定する接続状態指定信号SLa[1]〜SLa[M]と、スイッチSWb[1]〜SWb[M]のオンオフを指定する接続状態指定信号SLb[1]〜SLb[M]と、スイッチSWs[1]〜SWs[M]のオンオフを指定する接続状態指定信号SLs[1]〜SLs[M]と、を生成する。
スイッチSWa[m]は、接続状態指定信号SLa[m]に応じて、内部配線LHaと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]と、の導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチSWa[m]は、接続状態指定信号SLa[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。
スイッチSWb[m]は、接続状態指定信号SLb[m]に応じて、内部配線LHbと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチSWb[m]は、接続状態指定信号SLb[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。
スイッチSWs[m]は、接続状態指定信号SLs[m]に応じて、内部配線LHsと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]と、の導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチSWs[m]は、接続状態指定信号SLs[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。
なお、駆動信号Com-A及びCom-Bのうち、スイッチSWa[m]またはSWb[m]を介して、吐出部D[m]の圧電素子PZ[m]に供給される信号を、供給駆動信号Vin[m]と称する場合がある。
【0056】
検出回路20は、上述のように、蓄電能力検査回路21と、波形整形回路22と、を備える。検出回路20は、また、スイッチ23を備える。スイッチ23としては、例えば、トランスミッションゲートを採用することができる。
検出回路20には、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]が具備する上部電極Zu[m]の電位を示す検出信号Vout[m]と、検出回路20を用いて実行される処理の種別を示す種別信号PTと、電位V1に設定された参照信号Refと、が供給される。ここで、電位V1は、圧電素子PZ[m]が具備する下部電極Zd[m]に設定される電位VBSとは異なる電位である。
スイッチ23は、種別信号PTに制御されて、検出信号Vout[m]が、蓄電能力検査回路21に供給される状態と、波形整形回路22に供給される状態と、を切り替える。
種別信号PTの示す処理の種別が蓄電能力診断処理である場合、スイッチ23は、検出信号Vout[m]を蓄電能力検査回路21に供給する。そして、蓄電能力検査回路21は、参照信号Refと、検査対象吐出部D-Rとして選択された吐出部D[m]から検出される検出信号Vout[m]と、に基づいて、当該吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]が所定の蓄電能力を有するか否かを示す検査結果情報RJを生成する蓄電能力検査処理を実行する。
【0057】
種別信号PTの示す処理の種別が吐出状態診断処理である場合、スイッチ23は、検出信号Vout[m]を波形整形回路22に供給する。そして、波形整形回路22は、判定対象吐出部D-Hとして選択された吐出部D[m]から検出される検出信号Vout[m]に基づいて、当該吐出部D[m]において生じている残留振動を示す残留振動信号RVS[m]を出力する。
ここで、残留振動信号RVSとは、検出信号Voutの振幅を増幅し、また、検出信号Voutからノイズ成分を除去する等することで、検出信号Voutを吐出状態判定回路9における処理に適した波形に整形した信号である。なお、波形整形回路22は、例えば、検出信号Voutを増幅させるための負帰還型のアンプと、検出信号Voutの高域周波数成分を減衰させるためのローパスフィルターと、インピーダンスを変換してローインピーダンスの残留振動信号RVSを出力するボルテージフォロアと、を含む構成等であってもよい。
【0058】
<<4.ヘッドユニットの動作>>
以下、図7図14を参照しつつ、各ヘッドユニットHUの動作について説明する。まず、ヘッドユニットHUの動作の概要を説明する。
【0059】
本実施形態において、インクジェットプリンター1の動作期間は、1または複数の単位印刷期間Tuを含む。
本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、各単位印刷期間Tuにおいて、印刷処理における駆動吐出部D-Pの駆動を実行する。つまり、各単位印刷期間Tuにおいて、駆動吐出部D-Pに駆動信号Comを供給して、駆動吐出部D-Pからインクを吐出させる。そして、連続的または間欠的な複数の単位印刷期間Tuに亘り、駆動吐出部D-Pの駆動を繰り返し実行することで、印刷データImgの示す画像を形成する印刷タスクを実行する。
【0060】
また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、各単位印刷期間Tuにおいて、印刷処理における駆動吐出部D-Pの駆動と並列して、吐出状態診断処理における判定対象吐出部D-Hへの駆動信号Comの供給及び判定対象吐出部D-Hからの検出信号Voutの検出と、蓄電能力診断処理における検査対象吐出部D-Rへの駆動信号Comの供給及び検査対象吐出部D-Rからの検出信号Voutの検出と、を実行可能である。
【0061】
吐出状態診断処理が実行される単位期間、より正確には、判定対象吐出部D-Hに駆動信号Comを供給して判定対象吐出部D-Hから検出信号Voutを検出する単位期間を、単位判定期間Tu-Hと称する。
本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、各単位判定期間Tu-Hにおいて、各ヘッドユニットHUに設けられたM個の吐出部D[1]〜D[M]のうち、印刷処理における非駆動吐出部D-Oの中から、(検査対象吐出部D-Rとは異なる)1個の吐出部Dを、判定対象吐出部D-Hとして選択して、吐出状態診断処理を実行する。
【0062】
蓄電能力診断処理が実行される単位期間、より正確には、検査対象吐出部D-Rに駆動信号Comを供給して検査対象吐出部D-Rから検出信号Voutを検出する単位期間を、単位検査期間Tu-Rと称する。
本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、各単位検査期間Tu-Rにおいて、各ヘッドユニットHUに設けられたM個の吐出部D[1]〜D[M]のうち、印刷処理における非駆動吐出部D-Oの中から、(判定対象吐出部D-Hとは異なる)1個の吐出部Dを、検査対象吐出部D-Rとして選択して、蓄電能力診断処理を実行する。
【0063】
制御部6は、単位印刷期間Tuが、単位印刷期間Tuの一部として単位判定期間Tu-Hを含み、また、単位印刷期間Tuが、単位印刷期間Tuの他の一部として単位検査期間Tu-Rを含むように、単位印刷期間Tu、単位判定期間Tu-H、及び、単位検査期間Tu-Rを規定する。
これにより、印刷処理における駆動吐出部D-Pの駆動と並列して、吐出状態診断処理における判定対象吐出部D-Hへの駆動信号Comの供給及び判定対象吐出部D-Hからの検出信号Voutの検出と、蓄電能力診断処理における検査対象吐出部D-Rへの駆動信号Comの供給及び検査対象吐出部D-Rからの検出信号Voutの検出と、が実行可能である。
以下、ヘッドユニットHUの動作について、例を挙げてより具体的に説明する。
【0064】
図7は、単位印刷期間Tuにおけるインクジェットプリンター1の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図7に示すように、制御部6は、パルスPlsLを有するラッチ信号LATを出力する。これにより、制御部6は、パルスPlsLの立ち上がりから次のパルスPlsLの立ち上がりまでの期間として、単位印刷期間Tuを規定する。
また、制御部6は、パルスPlsCを有するチェンジ信号CHを出力する。そして、制御部6は、単位印刷期間Tuを、パルスPlsLの立ち上がりからパルスPlsCの立ち上がりまでの制御期間TP1と、パルスPlsCの立ち上がりからパルスPlsLの立ち上がりまでの制御期間TP2と、に区分する。
【0065】
また、制御部6は、パルスPlsH1、パルスPlsH2、パルスPlsR1及びパルスPlsR2を有する期間指定信号Tsigを出力する。そして、制御部6は、単位印刷期間Tuを、パルスPlsLの立ち上がりからパルスPlsR1の立ち上がりまでの単位判定期間Tu-Hと、パルスPlsR1の立ち上がりからパルスPlsLの立ち上がりまでの単位検査期間Tu-Rと、に区分する。
また、制御部6は、単位判定期間Tu-Hを、パルスPlsLの立ち上がりからパルスPlsH1の立ち上がりまでの制御期間TH1と、パルスPlsH1の立ち上がりからパルスPlsH2の立ち上がりまでの制御期間TH2と、パルスPlsH2の立ち上がりからパルスPlsR1の立ち上がりまでの制御期間TH3と、に区分する。
また、制御部6は、単位検査期間Tu-Rを、パルスPlsR1の立ち上がりからパルスPlsR2の立ち上がりまでの制御期間TR1と、パルスPlsR2の立ち上がりからパルスPlsLの立ち上がりまでの制御期間TR2と、に区分する。
【0066】
なお、種別信号PTは、検出回路20を用いて実行される処理の種別が、単位判定期間Tu-Hにおいては吐出状態診断処理であることを示し、単位検査期間Tu-Rにおいては蓄電能力診断処理であることを示す。
【0067】
図7に示すように、制御部6が出力する印刷信号SIは、各単位印刷期間Tuにおける吐出部D[1]〜D[M]の駆動の態様を指定する個別指定信号Sd[1]〜Sd[M]を含む。そして、制御部6は、単位印刷期間Tuにおいて印刷処理、吐出状態診断処理、または、蓄電能力診断処理が実行される場合、当該単位印刷期間Tuに先立って、個別指定信号Sd[1]〜Sd[M]を、クロック信号CLに同期させて接続状態指定回路11に供給する。この場合、接続状態指定回路11は、当該単位印刷期間Tuにおいて、個別指定信号Sd[m]に基づいて、接続状態指定信号SLa[m]、SLb[m]、SLs[m]を生成する。
【0068】
なお、本実施形態に係る個別指定信号Sd[m]は、各単位印刷期間Tuにおいて、吐出部D[m]に対して、大ドットに相当する量(大程度の量)のインクの吐出(「大ドットの形成」と称する場合がある)、中ドットに相当する量(中程度の量)のインクの吐出(「中ドットの形成」と称する場合がある)、小ドットに相当する量(小程度の量)のインクの吐出(「小ドットの形成」と称する場合がある)、インクの非吐出、吐出状態診断処理における判定対象としての駆動(「判定対象吐出部D-Hとしての駆動」と称する場合がある)、及び、蓄電能力診断処理における検査対象としての駆動(「検査対象吐出部D-Rとしての駆動」と称する場合がある)、の6つの駆動態様のうち、何れか1つの駆動態様を指定する。
なお、本実施形態では、個別指定信号Sd[m]が、3ビットのデジタル信号である場合を想定する(図8参照)。
【0069】
図7に示すように、駆動信号Com-Aは、制御期間TP1に設けられた波形PXと、制御期間TP2に設けられた波形PYとを有する。本実施形態では、波形PXの最高電位VHXと最低電位VLXとの電位差が、波形PYの最高電位VHYと最低電位VLYとの電位差よりも大きくなるように、波形PX及び波形PYが定められる。具体的には、波形PXを有する駆動信号Com-Aにより吐出部D[m]を駆動する場合、吐出部D[m]から中程度の量のインクが吐出されるように、波形PXが定められる。また、波形PYを有する駆動信号Com-Aにより吐出部D[m]を駆動する場合、吐出部D[m]から小程度の量のインクが吐出されるように、波形PYが定められる。なお、波形PX及び波形PYは、開始時及び終了時の電位が基準電位V0に設定されている。
【0070】
図7に示すように、単位判定期間Tu-Hにおける駆動信号Com-Bは、制御期間TH1に設けられた波形PSを有する。波形PSは、制御期間TH2において判定対象吐出部D-Hに残留振動が生じるように判定対象吐出部D-Hを駆動するための波形であり、例えば、基準電位V0から、基準電位V0よりも低電位の電位VLsに変化し、その後、電位VLsよりも高電位の電位VHsに変化する波形である。また、単位判定期間Tu-Hにおける駆動信号Com-Bは、制御期間TH2において、電位VHsに維持される。また、単位判定期間Tu-Hにおける駆動信号Com-Bは、開始時及び終了時における電位が、基準電位V0に設定される。
【0071】
図7に示すように、単位検査期間Tu-Rにおける駆動信号Com-Bは、制御期間TR1において電位が電位V1に維持され、制御期間TR2において電位が基準電位V0に維持される。本実施形態では、電位V1は基準電位V0よりも高電位であることとする。なお、図7に示す単位検査期間Tu-Rにおける駆動信号Com-Bは一例であり、単位検査期間Tu-Rにおける駆動信号Com-Bは、少なくとも制御期間TR1において電位が電位V1に維持されていればよい。例えば、単位検査期間Tu-Rにおける駆動信号Com-Bは、制御期間TR1及び制御期間TR2の両方において電位V1に維持されていてもよい。
【0072】
図8は、単位印刷期間Tuにおける、個別指定信号Sd[m]と、接続状態指定信号SLa[m]、SLb[m]、及び、SLs[m]との関係を説明するための説明図である。図8に示すように、本実施形態では、個別指定信号Sd[m]は、単位印刷期間Tuにおいて、大ドットの形成を指定する値(1,1,0)、中ドットの形成を指定する値(1,0,0)、小ドットの形成を指定する値(0,1,0)、インクの非吐出を指定する値(0,0,0)、判定対象吐出部D-Hとしての駆動を指定する値(1,0,1)、及び、検査対象吐出部D-Rとしての駆動を指定する値(0,1,1)、の6値のうち何れかの値に設定される。
【0073】
接続状態指定回路11は、個別指定信号Sd[m]が大ドットの形成を指定する値(1,1,0)を示す場合、接続状態指定信号SLa[m]を、単位印刷期間Tu(制御期間TP1及びTP2)においてハイレベルに設定し、接続状態指定信号SLb[m]及びSLs[m]を、単位印刷期間Tuにおいてローレベルに設定する。この場合、吐出部D[m]は、制御期間TP1において波形PXの駆動信号Com-Aにより駆動されて中程度の量のインクを吐出し、また、制御期間TP2において波形PYの駆動信号Com-Aにより駆動されて小程度の量のインクを吐出する。これにより、吐出部D[m]は、単位印刷期間Tuにおいて、合計で大程度の量のインクを吐出し、記録用紙Pには大ドットが形成される。
【0074】
また、接続状態指定回路11は、個別指定信号Sd[m]が中ドットの形成を指定する値(1,0,0)を示す場合、接続状態指定信号SLa[m]を、制御期間TP1においてハイレベルに、制御期間TP2においてローレベルにそれぞれ設定し、接続状態指定信号SLb[m]及びSLs[m]を、単位印刷期間Tuにおいてローレベルに設定する。この場合、吐出部D[m]は、単位印刷期間Tuにおいて中程度の量のインクを吐出し、記録用紙Pには中ドットが形成される。
【0075】
また、接続状態指定回路11は、個別指定信号Sd[m]が小ドットの形成を指定する値(0,1,0)を示す場合、接続状態指定信号SLa[m]を、制御期間TP1においてローレベルに、制御期間TP2においてハイレベルにそれぞれ設定し、接続状態指定信号SLb[m]及びSLs[m]を、単位印刷期間Tuにおいてローレベルに設定する。この場合、吐出部D[m]は、単位印刷期間Tuにおいて小程度の量のインクを吐出し、記録用紙Pには小ドットが形成される。
【0076】
また、接続状態指定回路11は、個別指定信号Sd[m]がインクの非吐出を指定する値(0,0,0)を示す場合、接続状態指定信号SLa[m]、SLb[m]及びSLs[m]を、単位印刷期間Tuにおいてローレベルに設定する。この場合、吐出部D[m]は、単位印刷期間Tuにおいて、インクを吐出せず、記録用紙Pにドットを形成しない。
【0077】
また、接続状態指定回路11は、個別指定信号Sd[m]が判定対象吐出部D-Hとしての駆動を指定する値(1,0,1)を示す場合、接続状態指定信号SLa[m]を、単位印刷期間Tuにおいてローレベルに設定し、接続状態指定信号SLb[m]を、制御期間TH1及びTH3においてハイレベルに、制御期間TH2、TR1及びTR2においてローレベルにそれぞれ設定し、接続状態指定信号SLs[m]を、制御期間TH2においてハイレベルに、制御期間TH1、TH3、TR1及びTR2においてローレベルにそれぞれ設定する。
判定対象吐出部D-Hとして指定された吐出部D[m]は、制御期間TH1において波形PSの駆動信号Com-Bにより駆動される。この結果、判定対象吐出部D-Hとして指定された吐出部D[m]には、制御期間TH1において振動が生じ、この振動は、制御期間TH2においても残留する。つまり、判定対象吐出部D-Hとして指定された吐出部D[m]が有する圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]は、制御期間TH2において、当該吐出部D[m]に生じている残留振動に起因する圧電素子PZ[m]の起電力に応じた電位を示す。そして、検出回路20は、制御期間TH2において、判定対象吐出部D-Hとして指定された吐出部D[m]の有する上部電極Zu[m]の電位を、検出信号Vout[m]として検出する。
【0078】
また、接続状態指定回路11は、個別指定信号Sd[m]が検査対象吐出部D-Rとしての駆動を指定する値(0,1,1)を示す場合、接続状態指定信号SLa[m]を、単位印刷期間Tuにおいてローレベルに設定し、接続状態指定信号SLb[m]を、制御期間TR1においてハイレベルに、制御期間TH1、TH2、TH3及びTR2においてローレベルにそれぞれ設定し、接続状態指定信号SLs[m]を、制御期間TH1、TH2、TH3及びTR1においてローレベルに、制御期間TR2においてハイレベルにそれぞれ設定する。
検査対象吐出部D-Rとして指定された吐出部D[m]には、制御期間TR1において電位V1の駆動信号Com-Bが供給駆動信号Vin[m]として供給され、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]の電位が、電位V1に設定される。そして、検出回路20の蓄電能力検査回路21は、制御期間TR2において、内部配線LHsを介して、上部電極Zu[m]の電位を、検出信号Vout[m]として検出することができる。
【0079】
図9乃至図14は、単位印刷期間TuにおけるヘッドユニットHUの動作の例を説明するための説明図である。以下の説明において、ヘッドユニットHUの動作を、単に「動作」と称することがある。
図9及び図10は、単位判定期間Tu-Hにおける動作の例を示し、それぞれ、制御期間TH1及びTH2における動作の例を示す。
図11及び図12は、単位検査期間Tu-Rにおける動作の第1例を示し、図13及び図14は、単位検査期間Tu-Rにおける動作の第2例を示す。図11及び図13は、制御期間TR1における動作の例を示し、図12及び図14は、制御期間TR2における動作の例を示す。
【0080】
図9乃至図14は、単位印刷期間Tuにおいて、各ヘッドユニットHUに設けられたM個の吐出部Dのうち、吐出部D[1]が、印刷処理における駆動吐出部D-Pとして指定され、吐出部D[2]が、吐出状態診断処理における判定対象吐出部D-Hとして指定され、吐出部D[M]が、蓄電能力診断処理における検査対象吐出部D-Rとして指定される場合を例示する。
【0081】
単位判定期間Tu-Hにおける動作について説明する。
図9に示すように、吐出部D[2](判定対象吐出部D-H)に関し、制御期間TH1において、接続状態指定信号SLb[2]はハイレベルに設定され、接続状態指定信号SLs[2]はローレベルに設定される。これにより、スイッチSWb[2]はオンし、スイッチSWs[2]はオフする。
制御期間TH1において、スイッチSWb[2]がオンすることで、上部電極Zu[2]には、波形PSを有する駆動信号Com-Bが供給駆動信号Vin[2]として供給される。
【0082】
図10に示すように、吐出部D[2](判定対象吐出部D-H)に関し、制御期間TH2において、接続状態指定信号SLb[2]はローレベルに設定され、接続状態指定信号SLs[2]はハイレベルに設定される。これにより、スイッチSWb[2]はオフし、スイッチSWs[2]はオンする。
制御期間TH2において、スイッチSWs[2]がオンすることで、吐出部D[2]に生じている残留振動に応じた上部電極Zu[2]の電位を示す検出信号Vout[2]が、検出回路20に供給される。検出信号Vout[2]は、検出回路20のスイッチ23を介して、波形整形回路22に供給される。波形整形回路22は、検出信号Vout[2]に基づいて、残留振動信号RVS[2]を生成する。
【0083】
図9及び図10に示すように、吐出部D[1](駆動吐出部D-P)に関し、制御期間TH1及びTH2において、接続状態指定信号SLa[1]はハイレベルに設定される。これにより、スイッチSWa[1]はオンし、上部電極Zu[1]には、波形PXを有する駆動信号Com-Aが供給駆動信号Vin[1]として供給される。なお、接続状態指定信号SLb[1]及びSLs[1]はローレベルに設定されており、スイッチSWb[1]及びSWs[1]はオフする。
吐出部D[1]は、波形PXを有する駆動信号Com-Aにより駆動されることで、インクを吐出する。
【0084】
なお、図9及び図10に示すように、吐出部D[M](検査対象吐出部D-R)に関し、制御期間TH1及びTH2において、接続状態指定信号SLa[M]、SLb[M]及びSLs[M]はいずれもローレベルに設定されて、スイッチSWa[M]、SWb[M]及びSWs[M]はいずれもオフする。
【0085】
単位検査期間Tu-Rにおける動作について説明する。
図11(または図13)に示すように、吐出部D[M]に関し、制御期間TR1において、接続状態指定信号SLb[M]はハイレベルに設定され、接続状態指定信号SLs[M]はローレベルに設定される。これにより、スイッチSWb[M]はオンし、スイッチSWs[M]はオフする。
制御期間TR1において、スイッチSWb[M]がオンすることで、上部電極Zu[M]には、電位V1に設定された駆動信号Com-Bが供給駆動信号Vin[M]として供給される。
【0086】
図12(または図14)に示すように、吐出部D[M]に関し、制御期間TR2において、接続状態指定信号SLb[M]はローレベルに設定され、接続状態指定信号SLs[M]はハイレベルに設定される。これにより、スイッチSWb[M]はオフし、スイッチSWs[M]はオンする。
制御期間TR2において、スイッチSWs[M]がオンすることで、上部電極Zu[M]の電位を示す検出信号Vout[M]が、検出回路20に供給される。検出信号Vout[M]は、検出回路20のスイッチ23を介して、蓄電能力検査回路21に供給される。蓄電能力検査回路21は、検出信号Vout[M]に基づいて、検査結果情報RJ[M]を生成する。
【0087】
図11及び図12(または、図13及び図14)に示すように、吐出部D[1](駆動吐出部D-P)に関し、制御期間TR1及びTR2において、接続状態指定信号SLa[1]はハイレベルに設定される。これにより、スイッチSWa[1]はオンし、上部電極Zu[1]には、波形PYを有する駆動信号Com-Aが供給駆動信号Vin[1]として供給される。なお、接続状態指定信号SLb[1]及びSLs[1]はローレベルに設定されており、スイッチSWb[1]及びSWs[1]はオフする。
吐出部D[1]は、波形PYを有する駆動信号Com-Aにより駆動されることで、インクを吐出する。
【0088】
なお、図11及び図12(または、図13及び図14)に示すように、吐出部D[2](判定対象吐出部D-H)に関し、制御期間TR1及びTR2において、接続状態指定信号SLa[2]、SLb[2]及びSLs[2]はいずれもローレベルに設定されて、スイッチSWa[2]、SWb[2]及びSWs[2]はいずれもオフする。
【0089】
図11及び図12は、単位検査期間Tu-RにおけるヘッドユニットHUの動作の第1例を示し、当該第1例は、検査対象吐出部D-Rとして指定された吐出部D[M]の備える圧電素子PZ[M]が、所定の蓄電能力を有する場合の例である。
図13及び図14は、単位検査期間Tu-RにおけるヘッドユニットHUの動作の第2例を示し、当該第2例は、検査対象吐出部D-Rとして指定された吐出部D[M]の備える圧電素子PZ[M]が、所定の蓄電能力を有さない場合の例である。
【0090】
単位判定期間Tu-Hにおける、各吐出部Dへの供給駆動信号Vinの供給動作、及び、各吐出部Dからの検出信号Voutの検出動作は、第1例及び第2例とも、図9及び図10を参照して説明した動作である。
単位検査期間Tu-Rにおける、各吐出部Dへの供給駆動信号Vinの供給動作、及び、各吐出部Dからの検出信号Voutの検出動作は、第1例及び第2例とも同様である。
【0091】
第1例及び第2例とも同様に、制御期間TR1(図11及び図13参照)において、圧電素子PZ[M]の上部電極Zu[M]の電位は、駆動信号Com-Bの供給により電位V1に設定される。
【0092】
第1例のように、圧電素子PZ[M]が所定の蓄電能力を有する場合、制御期間TR2(図12参照)においても、上部電極Zu[M]の電位は、電位V1に維持される。このため、蓄電能力検査回路21は、制御期間TR2において、電位V1を有する検出信号Vout[M]を検出する。
【0093】
第2例のように、圧電素子PZ[M]が所定の蓄電能力を有さない場合、つまり、吐出部D[M]の有する圧電素子PZ[M]の上部電極Zu[M]と下部電極Zd[M]との間が短絡している場合、上部電極Zu[M]と下部電極Zd[M]との間にリーク電流が生じるため、制御期間TR2(図14参照)において、上部電極Zu[M]の電位は、電位V1を維持することができず、下部電極Zd[M]の電位すなわち電位VBSに近づくように変化する。このため、蓄電能力検査回路21は、制御期間TR2において、電位V1とは異なる電位、具体的には電位V1及び電位VBSの間の電位を有する検出信号Vout[M]を検出する。なお、検出信号Vout[M]として検出される電位は、電位VBSと等しい場合もあり得る。
【0094】
蓄電能力検査回路21は、検出信号Vout[M]の電位と、参照信号Refの電位V1との差分の絶対値が、所定の閾値以下であるか否かを判定する。
第1例において、当該判定の結果は肯定となり、蓄電能力検査回路21は、圧電素子PZ[M]が所定の蓄電能力を有することを示す値を検査結果情報RJ[M]に設定する。
第2例において、当該判定の結果は否定となり、蓄電能力検査回路21は、圧電素子PZ[M]が所定の蓄電能力を有さないことを示す値を検査結果情報RJ[M]に設定する。
このようにして、蓄電能力検査回路21は、検出信号Vout[M]と参照信号Refとに基づいて、蓄電能力検査処理を実行する。
【0095】
なお、図9乃至図14には、駆動吐出部D-P、判定対象吐出部D-H、及び、検査対象吐出部D-Rとして、それぞれ、吐出部D[1]、D[2]、及び、D[M]が指定される場合を例示したが、駆動吐出部D-P、判定対象吐出部D-H、及び、検査対象吐出部D-Rの指定のされ方は、これらに限定されない。
なお、図9乃至図14には、駆動吐出部D-Pにおけるインクの吐出が、単位印刷期間Tuの制御期間TP1及びTP2の両方で行われる場合を例示したが、駆動吐出部D-Pにおけるインクの吐出は、制御期間TP1及びTP2の一方のみで行われてもよい。
【0096】
以上のように、蓄電能力検査回路21は、検査結果情報RJを生成する。そして、制御部6は、蓄電能力検査回路21が生成する検査結果情報RJを、当該検査結果情報RJに対応する検査対象吐出部D-Rの段数mと対応付けて、記憶部5に記憶させる。これにより、制御部6は、吐出部D[1]〜D[M]に対応する検査結果情報RJ [1]〜RJ [M]を管理する。
【0097】
制御部6は、検査結果情報RJに基づいて、各種の処理を行うことができる。
例えば、圧電素子PZ[m]に対応する検査結果情報RJ[m]が所定の蓄電能力を有さないことを示す場合、検査結果情報RJ[m]が得られた後は当該圧電素子PZ[m]を備える吐出部D[m]に対する接続状態指定信号SLa[m]及びSWb[m]がローレベルに設定され続けるように、つまり、切替回路10がスイッチSWa[m]及びSWb[m]をオフ状態に維持するように、制御部6は、印刷信号SIを生成することができる。
これにより、所定の蓄電能力を有さない圧電素子PZ[m]を備える吐出部D[m](以下、所定の蓄電能力を有さない吐出部D[m]ともいう)の上部電極Zu[m]に、駆動信号Com-A及びCom-Bが供給されないようにできる。つまり、当該上部電極Zu[m]と短絡した下部電極Zd[m]に、駆動信号Com-A及びCom-Bが供給されないようにできる。
【0098】
所定の蓄電能力を有さない吐出部D[m]の下部電極Zd[m]に、駆動信号Com-AまたはCom-Bが供給されると、当該下部電極Zd[m]の電位が、設定された電位VBSから変動する。
また、所定の蓄電能力を有さない一の吐出部D[m]の下部電極Zd[m]が、所定の蓄電能力を有する圧電素子PZを備える他の吐出部Dの下部電極Zdと電気的に接続されていることで(図13参照)、他の吐出部Dの下部電極Zdの電位が、電位VBSから変動して、他の吐出部Dの駆動に悪影響が生じ得る。
さらに、所定の蓄電能力を有さない吐出部D[m]の下部電極Zd[m]に電位VBSを供給する給電線LHdを介して、電位VBSを生成する電位生成回路に、駆動信号Com-AまたはCom-Bが供給されることで、当該電位生成回路が破壊される可能性がある。
【0099】
検査結果情報RJ[m]に基づいて、所定の蓄電能力を有さない吐出部D[m]に駆動信号Com-A及びCom-Bが供給されないようにすることで、所定の蓄電能力を有する圧電素子PZを備える吐出部D(以下、所定の蓄電能力を有する吐出部Dともいう)の駆動への悪影響を抑制したり、電位VBSを生成する電位生成回路の破壊を抑制したりすることができる。
【0100】
所定の蓄電能力を有さない吐出部D[m]が発生した場合、以下に説明するように、補完印刷処理を実行してもよい。なお、所定の蓄電能力を有さない吐出部D[m]が発生した場合、印刷処理を中止してもよい。
【0101】
補完印刷処理では、所定の蓄電能力を有さない吐出部D[m]の代わりに、所定の蓄電能力を有する吐出部Dからインクを吐出させることで、印刷データImgに応じた画像を記録用紙Pに形成する。
より具体的には、補完印刷処理とは、所定の蓄電能力を有さない吐出部D[m]が印刷データImgに応じ駆動吐出部D-Pとして指定される場合に、所定の蓄電能力を有する吐出部Dからのインクの吐出量を増加させることで、所定の蓄電能力を有する吐出部Dにより、所定の蓄電能力を有さない吐出部D[m]の役割を代替(補完)させる印刷処理である。
【0102】
補完印刷処理において、制御部6は、第1に、所定の蓄電能力を有さない吐出部D[m]を補完することが可能な所定の蓄電能力を有する吐出部Dを選択し、第2に、選択された所定の蓄電能力を有する吐出部Dからのインクの吐出量を増加させて、所定の蓄電能力を有さない吐出部D[m]が所定の蓄電能力を有する吐出部Dにより補完されるように切替回路10を制御する。
【0103】
図15は、本実施形態に係る接続状態指定回路11の構成の一例を示す図である。図15に示すように、接続状態指定回路11は、接続状態指定信号SLa[1]〜SLa[M]、SLb[1]〜SLb[M]、及び、SLs[1]〜SLs[M]を生成する。
具体的には、接続状態指定回路11は、吐出部D[1]〜D[M]と1対1に対応するように、転送回路SR[1]〜SR[M]と、ラッチ回路LT[1]〜LT[M]と、デコーダーDC[1]〜DC[M]と、を有する。このうち、転送回路SR[m]には、個別指定信号Sd[m]が供給される。なお、この図では、個別指定信号Sd[1]〜Sd[M]がシリアルで供給され、例えば、m段に対応する個別指定信号Sd[m]が、転送回路SR[1]から転送回路SR[m]へと、クロック信号CLに同期して順番に転送される場合を例示している。また、ラッチ回路LT[m]は、ラッチ信号LATのパルスPlsLがハイレベルに立ち上がるタイミングにおいて、転送回路SR[m]に供給された個別指定信号Sd[m]をラッチする。また、デコーダーDC[m]は、図8において説明したように、個別指定信号Sd[m]に基づいて、接続状態指定信号SLa[m]、SLb[m]、及び、SLs[m]を生成する。
【0104】
<<5.吐出状態判定回路>>
次に、吐出状態判定回路9について説明する。
【0105】
一般的に、吐出部Dに生じる残留振動は、ノズルNの形状、キャビティ320に充填されたインクの重量、及び、キャビティ320に充填されたインクの粘度等により決定される固有振動周波数を有する。
また、一般的に、吐出部Dのキャビティ320に気泡が混入しているために吐出部Dにおいて吐出異常が生じている場合には、キャビティ320に気泡が混入していない場合と比較して、残留振動の周波数が高くなる。また、一般的に、吐出部DのノズルN付近に紙粉等の異物が付着しているために吐出部Dにおいて吐出異常が生じている場合には、異物が付着していない場合と比較して、残留振動の周波数が低くなる。また、一般的に、吐出部Dのキャビティ320に充填されたインクが増粘しているために吐出部Dにおいて吐出異常が生じている場合には、インクが増粘していない場合と比較して、残留振動の周波数が低くなる。また、一般的に、吐出部Dのキャビティ320に充填されたインクの粘度が、吐出部Dにおいて吐出異常が生じる程度にまで増粘している場合には、吐出部DのノズルN付近に紙粉等の異物が付着している場合と比較して、残留振動の周波数が低くなる場合が多い。また、一般的に、吐出部Dのキャビティ320にインクが充填されていないために吐出部Dにおいて吐出異常が生じている場合や、圧電素子PZが故障して変位できないために吐出部Dにおいて吐出異常が生じている場合には、残留振動の振幅が小さくなる。
【0106】
上述のとおり、残留振動信号RVSは、判定対象吐出部D-Hにおいて生じている残留振動に応じた波形を示す。具体的には、残留振動信号RVSは、判定対象吐出部D-Hにおいて生じている残留振動の周波数に応じた周波数を示し、判定対象吐出部D-Hにおいて生じている残留振動の振幅に応じた振幅を示す。このため、吐出状態判定回路9は、残留振動信号RVSに基づいて、判定対象吐出部D-Hにおけるインクの吐出状態を判定する吐出状態判定処理を行うことができる。
【0107】
吐出状態判定回路9は、吐出状態判定処理において、残留振動信号RVSの1周期の時間長NTcを測定し、当該測定結果を示す周期情報Info-Tを生成する。
また、吐出状態判定回路9は、吐出状態判定処理において、残留振動信号RVSが所定の振幅を有しているか否かを示す振幅情報Info-Sを生成する。具体的には、吐出状態判定回路9は、残留振動信号RVSの1周期の時間長NTcを測定している期間において、残留振動信号RVSの電位が、残留振動信号RVSの振幅中心レベルの電位Vth-Cよりも高電位の閾値電位Vth-O以上となり、且つ、電位Vth-Cよりも低電位の閾値電位Vth-U以下となるか否かを判定する。そして、当該判定の結果が肯定の場合には、振幅情報Info-Sに、残留振動信号RVSが所定の振幅を有していることを示す値、例えば「1」を設定し、当該判定の結果が否定の場合には、振幅情報Info-Sに、残留振動信号RVSが所定の振幅を有していないことを示す値、例えば「0」を設定する。
そして、吐出状態判定回路9は、周期情報Info-T及び振幅情報Info-Sに基づいて、判定対象吐出部D-Hにおけるインクの吐出状態の判定結果を示す判定情報Sttを生成する。
【0108】
図16は、吐出状態判定回路9における、判定情報Sttの生成を説明するための説明図である。
図16に示すように、吐出状態判定回路9は、周期情報Info-Tの示す時間長NTcを、閾値Tth1、閾値Tth2、閾値Tth3の一部または全部と比較することで、判定対象吐出部D-Hにおける吐出状態を判定し、当該判定の結果を示す判定情報Sttを生成する。ここで、閾値Tth1は、判定対象吐出部D-Hの吐出状態が正常である場合における残留振動の1周期の時間長と、当該判定対象吐出部D-Hのキャビティ320に気泡が混入した場合における残留振動の1周期の時間長と、の境界を示すための値である。また、閾値Tth2は、判定対象吐出部D-Hの吐出状態が正常である場合における残留振動の1周期の時間長と、当該判定対象吐出部D-HのノズルN付近に異物が付着した場合における残留振動の1周期の時間長と、の境界を示すための値である。また、閾値Tth3は、判定対象吐出部D-HのノズルN付近に異物が付着した場合における残留振動の1周期の時間長と、当該判定対象吐出部D-Hのキャビティ320内のインクが増粘した場合における残留振動の1周期の時間長と、の境界を示すための値である。なお、閾値Tth1〜閾値Tth3は、「Tth1<Tth2<Tth3」を満たすこととする。
【0109】
図16に示すように、本実施形態では、振幅情報Info-Sの値が「1」であり、且つ、周期情報Info-Tの示す時間長NTcが「Tth1≦NTc≦Tth2」を満たす場合には、判定対象吐出部D-Hにおけるインクの吐出状態が正常であると看做す。そして、この場合、吐出状態判定回路9は、判定情報Sttに、判定対象吐出部D-Hの吐出状態が正常であることを示す値「1」を設定する。
また、振幅情報Info-Sの値が「1」であり、且つ、周期情報Info-Tの示す時間長NTcが「NTc<Tth1」を満たす場合には、判定対象吐出部D-Hにおいて気泡による吐出異常が生じていると看做す。そして、この場合、吐出状態判定回路9は、判定情報Sttに、判定対象吐出部D-Hにおいて気泡による吐出異常が発生していることを示す値「2」を設定する。
また、振幅情報Info-Sの値が「1」であり、且つ、周期情報Info-Tの示す時間長NTcが「Tth2<NTc≦Tth3」を満たす場合には、判定対象吐出部D-Hにおいて異物付着による吐出異常が生じていると看做す。そして、この場合、吐出状態判定回路9は、判定情報Sttに、判定対象吐出部D-Hにおいて異物付着による吐出異常が発生していることを示す値「3」を設定する。
また、振幅情報Info-Sの値が「1」であり、且つ、周期情報Info-Tの示す時間長NTcが「Tth3<NTc」を満たす場合には、判定対象吐出部D-Hにおいて増粘による吐出異常が生じていると看做す。そして、この場合、吐出状態判定回路9は、判定情報Sttに、判定対象吐出部D-Hにおいて増粘による吐出異常が発生していることを示す値「4」を設定する。
また、振幅情報Info-Sの値が「0」の場合においても、判定対象吐出部D-Hにおいて吐出異常が生じていると看做す。そして、この場合、吐出状態判定回路9は、判定情報Sttに、判定対象吐出部D-Hにおいて吐出異常が発生していることを示す値「5」を設定する。
【0110】
以上のように、吐出状態判定回路9は、周期情報Info-Tと振幅情報Info-Sとに基づいて、判定情報Sttを生成する。そして、制御部6は、吐出状態判定回路9が生成する判定情報Sttを、当該判定情報Sttに対応する判定対象吐出部D-Hの段数mと対応付けて、記憶部5に記憶させる。これにより、制御部6は、吐出部D[1]〜D[M]に対応する判定情報Stt[1]〜Stt[M]を管理する。
なお、本実施形態では、判定情報Sttが「1」から「5」までの5値の情報である場合を例示しているが、判定情報Sttは、時間長NTcが「Tth1≦NTc≦Tth2」を満たすか否かを示す2値の情報であってもよい。少なくとも、判定情報Sttは、判定対象吐出部D-Hにおけるインクの吐出状態が正常であるか否かを示す情報を含めばよい。
【0111】
なお、インクジェットプリンター1は、吐出部Dにおけるインクの吐出状態が異常となった場合に、当該吐出部Dにおけるインクの吐出状態を正常に回復させるためのメンテナンス処理を実行するメンテナンスユニットを具備してもよい。
メンテナンスユニットは、例えば、吐出部DのノズルN近傍に付着した紙粉等の異物をふき取るためのワイパーと、吐出部D内のインクや気泡等を吸引するためのチューブポンプと、吐出部D内のインクを排出する場合に当該排出されたインクを受領するための排出インク受領部と、の一部または全部を備えるものであってもよい。
また、メンテナンスユニットが実行するメンテナンス処理は、吐出部Dのインクの吐出状態を正常に戻すための処理であり、例えば、吐出部Dからインクを排出させるフラッシング処理、吐出部DのノズルN近傍に付着した紙粉等の異物をワイパーにより拭き取るワイピング処理、及び、吐出部D内のインクや気泡等をチューブポンプにより吸引するポンピング処理の、一部または全部の処理を含んでもよい。
制御部6は、判定情報Stt[1]〜Stt[M]に基づいて、メンテナンス処理の実行を決定してもよい。例えば、吐出異常となった吐出部Dの個数が所定数以上である場合に、メンテナンス処理を実行してもよい。
また、制御部6は、メンテナンス処理がフラッシング処理を含む場合、所定の蓄電能力を有さない圧電素子PZ[m]を具備する吐出部D[m]については、当該吐出部D[m]をフラッシング処理の対象から除外してもよい。これにより、インクの消費量を節約することができる。
【0112】
<<6.実施形態の結論>>
以上において説明したように、本実施形態では、単位検査期間Tu-Rの制御期間TR1において、検査対象吐出部D-Rの備える圧電素子PZの上部電極Zuに対し、電位V1に設定された駆動信号Comを供給し、単位検査期間Tu-Rの制御期間TR2において、検査対象吐出部D-Rに対する駆動信号Comの供給を停止し、検査対象吐出部D-Rの上部電極Zuの電位を検出信号Voutとして検出する。そして、検出信号Voutに基づき、蓄電能力検査回路21により、検査対象吐出部D-Rが所定の蓄電能力を有するか否かについての検査を行う。
また、単位印刷期間Tuにおいて、駆動吐出部D-Pの備える圧電素子PZの上部電極Zuに対し、当該駆動吐出部D-Pからインクを吐出させる駆動を行うための波形PXまたはPYが設定された駆動信号Comを供給することで、インクの吐出を行う。
そして、単位検査期間Tu-Rの制御期間TR1及びTR2は、単位印刷期間Tuに含まれる。
これにより、駆動吐出部D-Pにおけるインクの吐出を行うことと並列して、検査対象吐出部D-Rにおけるリーク電流の有無を検査することが可能である。
【0113】
また、本実施形態では、蓄電能力検査回路21により生成された検査対象吐出部D-Rに関する検査結果情報RJが、所定の蓄電能力を有さないことを示す場合、当該検査結果情報RJが得られた後は、当該検査対象吐出部D-Rに対する駆動信号Comが供給されない状態を維持する。
これにより、所定の蓄電能力を有さない圧電素子PZを備えることがわかった吐出部Dには駆動信号Comが供給されないため、当該圧電素子PZの上部電極Zuと下部電極Zdとの間のリーク電流に起因する当該下部電極Zdの電位の変動を、抑制することが可能である。
【0114】
また、本実施形態では、単位判定期間Tu-Hの制御期間TH1において、判定対象吐出部D-Hの備える圧電素子PZの上部電極Zuに対し、当該圧電素子PZを変位させるための駆動波形PSが設定された駆動信号Comを供給し、単位判定期間Tu-Hの制御期間TH2において、判定対象吐出部D-Hに対する駆動信号Comの供給を停止し、判定対象吐出部D-Hの上部電極Zuの電位を検出信号Voutとして検出する。そして、検出信号Voutに基づき、吐出状態判定回路9により、判定対象吐出部D-Hにおけるインクの吐出状態を判定する。
そして、単位判定期間Tu-Hの制御期間TH1及びTH2は、単位印刷期間Tuに含まれる。
これにより、駆動吐出部D-Pにおけるインクの吐出を行うことと並列して、検査対象吐出部D-Rにおけるリーク電流の有無を検査することが可能であるとともに、判定対象吐出部D-Hにおけるインクの吐出状態を判定することが可能である。
このような検査及び判定に、共通の内部配線LHbを介して供給される駆動信号Comを用いることができ、共通の内部配線LHsを介して検出される検出信号Voutを用いることができる。
【0115】
なお、本実施形態において、単位検査期間Tu-Rにおいて検査対象吐出部D-Rとして選択される吐出部Dは「第1吐出部」の一例であり、第1吐出部に設けられた圧電素子PZは「第1圧電素子」の一例であり、第1圧電素子が有する上部電極Zu、圧電体Zm及び下部電極Zdは、それぞれ、「第1電極」、「第1圧電体」及び「第1対向電極」の一例である。
単位検査期間Tu-Rに含まれる制御期間TR1及びTR2は、それぞれ、「第1期間」及び「第2期間」の一例である。
【0116】
単位印刷期間Tuにおいて駆動吐出部D-Pとして選択される吐出部Dは「第2吐出部」の一例であり、第2吐出部に設けられた圧電素子PZは「第2圧電素子」の一例であり、第2圧電素子が有する上部電極Zu、圧電体Zm及び下部電極Zdは、それぞれ、「第2電極」、「第2圧電体」及び「第2対向電極」の一例である。
【0117】
単位判定期間Tu-Hにおいて判定対象吐出部D-Hとして選択される吐出部Dは、「第3吐出部」の一例であり、第3吐出部に設けられた圧電素子PZは、「第3圧電素子」の一例であり、第3圧電素子が有する上部電極Zu、圧電体Zm及び下部電極Zdは、それぞれ、「第3電極」、「第3圧電体」及び「第3対向電極」の一例である。
単位判定期間Tu-Hに含まれる制御期間TH1及びTH2は、それぞれ、「第3期間」及び「第4期間」の一例である。
【0118】
第1期間(制御期間TR1)において第1吐出部(検査対象吐出部D-R)に供給され、第3期間(制御期間TH1)において第3吐出部(判定対象吐出部D-H)に供給される供給駆動信号Vin、すなわち、本実施形態における駆動信号Com-Bは、「第1駆動信号」の一例である。
第1期間(制御期間TR1)において第1駆動信号(駆動信号Com-B)に設定される電位V1は、「第1電位」の一例であり、第3期間(制御期間TH1)において第1駆動信号(駆動信号Com-B)に設定される波形PSは、「第2駆動波形」の一例である。
【0119】
単位印刷期間Tuにおいて第2吐出部(駆動吐出部D-P)に供給される供給駆動信号Vin、すなわち、本実施形態における駆動信号Com-Aは、「第2駆動信号」の一例である。
単位印刷期間Tuにおいて第2駆動信号(駆動信号Com-A)に設定される波形PXまたはPYは、「第1駆動波形」の一例である。
【0120】
第1駆動信号(駆動信号Com-B)が供給される内部配線LHbは、「第1供給配線」の一例であり、第2駆動信号(駆動信号Com-A)が供給される内部配線LHaは、「第2供給配線」の一例であり、検出部(検出回路20)により電位が検出される内部配線LHsは、「検出配線」の一例である。
【0121】
第1吐出部(検査対象吐出部D-R)に対応して設けられ、第1供給配線(内部配線LHb)と、第1電極(第1吐出部の上部電極Zu)とを電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチSWbは、「第1スイッチ」の一例である。
第1吐出部(検査対象吐出部D-R)に対応して設けられ、検出配線(内部配線LHs)と、第1電極(第1吐出部の上部電極Zu)とを電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチSWsは、「第1検出スイッチ」の一例である。
【0122】
第2吐出部(駆動吐出部D-P)に対応して設けられ、第2供給配線(内部配線LHa)と、第2電極(第2吐出部の上部電極Zu)とを電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチSWaは、「第2スイッチ」の一例である。
第2吐出部(駆動吐出部D-P)に対応して設けられ、検出配線(内部配線LHs)と、第2電極(第2吐出部の上部電極Zu)とを電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチSWsは、「第2検出スイッチ」の一例である。
【0123】
第3吐出部(判定対象吐出部D-H)に対応して設けられ、第1供給配線(内部配線LHb)と、第3電極(第3吐出部の上部電極Zu)とを電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチSWbは、「第3スイッチ」の一例である。
第3吐出部(判定対象吐出部D-H)に対応して設けられ、検出配線(内部配線LHs)と、第3電極(第3吐出部の上部電極Zu)とを電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチSWsは、「第3検出スイッチ」の一例である。
【0124】
<<B.変形例>>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0125】
例えば、上述した実施形態では、単位印刷期間Tuにおいて、単位判定期間Tu-Hが先に配置され、単位検査期間Tu-Rが後に配置される態様を例示したが、単位印刷期間Tuにおいて、単位検査期間Tu-Rが先に配置され、単位判定期間Tu-Hが後に配置される態様としてもよい。
なお、単位印刷期間Tuにおける単位判定期間Tu-Hの時間長と、単位検査期間Tu-Rの時間長との配分は、適宜調整されてよい。また、単位判定期間Tu-Hにおける制御期間TH1の時間長と、制御期間TH2の時間長と、制御期間TH3の時間長との配分は、適宜調整されてよい。また、単位検査期間Tu-Rにおける制御期間TR1の時間長と、制御期間TR2の時間長との配分は、適宜調整されてよい。
なお、単位印刷期間Tuにおける制御期間TP1の時間長と、制御期間TP2の時間長との配分は、適宜調整されてよい。
なお、駆動信号Com-Aに関し、制御期間TP1に設けられた波形PXに対応するインクの吐出量が、制御期間TP2に設けられた波形PYに対応するインクの吐出量よりも多い態様を例示したが、制御期間TP1に設けられた波形PXに対応するインクの吐出量が、制御期間TP2に設けられた波形PYに対応するインクの吐出量よりも少ない態様としてもよい。
【0126】
また例えば、上述した実施形態では、駆動信号Comが駆動信号Com-Aと駆動信号Com-Bとの2つの信号を含む態様を例示したが、駆動信号Comは、1つの信号(例えば、駆動信号Com-A)のみを含む信号でもよいし、3つ以上の信号(例えば、駆動信号Com-A、駆動信号Com-B、駆動信号Com-C)を含んでもよい。
駆動信号Comが駆動信号Com-Aのみを含む場合、単位印刷期間Tuが、制御期間TP1、制御期間TP2、単位判定期間Tu-H、単位検査期間Tu-Rに区分されてもよい。この場合、駆動信号Com-Aには、単位印刷期間Tuにおいて波形PX及び波形PYが設定され、単位判定期間Tu-Hにおいて波形PSが設定され、単位検査期間Tu-Rの少なくとも一部の期間において電位V1に設定されてもよい。
駆動信号Comが駆動信号Com-A、Com-B、Com-Cを含む場合、駆動信号Com-Aに波形PX及び波形PYが設定され、駆動信号Com-Bに波形PSが設定され、駆動信号Com-Cに電位V1が設定されてもよい。
いずれにしても、駆動信号Comは、各単位印刷期間Tuにおいて、吐出部D[m]に対して、波形PX及び波形PYの少なくとも一方と、波形PSと、電位V1とのうち何れか1つを、選択的に供給可能な信号であればよい。
【0127】
また例えば、上述した実施形態では、蓄電能力検査回路21がヘッドユニットHUに設けられた態様を例示したが、蓄電能力検査回路21は、ヘッドユニットHUの外部に設けられていてもよい。
【0128】
また例えば、上述した実施形態では、4個のヘッドユニットHUに1対1に対応して4個の吐出状態判定回路9が設けられた態様を例示したが、複数のヘッドユニットHUに対して1個の吐出状態判定回路9が設けられてもよく、1個のヘッドユニットHUに対して複数の吐出状態判定回路9が設けられてもよい。
【0129】
また例えば、上述した実施形態では、吐出状態判定回路9が制御部6とは別個の回路として設けられた態様を例示したが、吐出状態判定回路9のうちの一部または全部は、制御部6のCPU等が制御プログラムに従って動作することにより実現される機能ブロックとして実装されてもよい。
【0130】
また例えば、上述した実施形態では、インクジェットプリンター1において、4個のヘッドユニットHUと、4個のインクカートリッジ31と、が1対1に対応するように設けられた態様を例示したが、インクジェットプリンター1は、1個以上のヘッドユニットHUと、1個以上のインクカートリッジ31と、を備えていればよい。
【0131】
また例えば、上述した実施形態では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである態様を例示したが、インクジェットプリンター1は、ヘッドモジュールHMにおいて、複数のノズルNが記録用紙Pの幅よりも広く延在するように設けられた、所謂ラインプリンターであってもよい。
【0132】
また例えば、上述した実施形態では、圧電素子PZの上部電極Zuには駆動信号Comが供給され、下部電極Zdには電位VBSが供給される態様を例示したが、圧電素子PZの上部電極Zuには電位VBSが供給され、下部電極Zdには駆動信号Comが供給される態様としてもよい。
【符号の説明】
【0133】
1…インクジェットプリンター、2…駆動信号生成回路、5…記憶部、6…制御部、7…搬送機構、9…吐出状態判定回路、10…切替回路、20…検出回路、21…蓄電能力検査回路、22…波形整形回路、CM…判定モジュール、D…吐出部、HD…記録ヘッド、HM…ヘッドモジュール、HU…ヘッドユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16