特開2019-74330(P2019-74330A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-74330(P2019-74330A)
(43)【公開日】2019年5月16日
(54)【発明の名称】電波時計
(51)【国際特許分類】
   G04R 60/12 20130101AFI20190419BHJP
   G04G 19/00 20060101ALI20190419BHJP
   G04G 21/04 20130101ALI20190419BHJP
【FI】
   G04R60/12
   G04G19/00 B
   G04G21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-198496(P2017-198496)
(22)【出願日】2017年10月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100161089
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 良一
(72)【発明者】
【氏名】仲 秀治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明
(72)【発明者】
【氏名】北村 健
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 吉康
【テーマコード(参考)】
2F002
【Fターム(参考)】
2F002AB06
2F002AC01
2F002BB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】感度が高く小型化に適したアンテナを有する電波時計を提供する。
【解決手段】電波時計1は、透光性の風防部材2と、風防部材2の内側表面に配置された面状のアンテナ電極3と、アンテナ電極3の下方にアンテナ電極3から離間して配置されたソーラセル5と、風防部材2の周囲および下方に配置され、ソーラセル5を収納する外装ケース7、7aと、ソーラセル5よりも下方における外装ケース7の内部または底面に設けられたGND電極6とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の風防部材と、
前記風防部材の内側表面に配置された面状のアンテナ電極と、
前記アンテナ電極の下方に前記アンテナ電極から離間して配置されたソーラセルと、
前記風防部材の周囲および下方に配置され、前記ソーラセルを収納する外装ケースと、
前記ソーラセルよりも下方における前記外装ケースの内部または底面に設けられたGND電極と、
を有することを特徴とする電波時計。
【請求項2】
前記外装ケースの内部における前記ソーラセルよりも下方に配置され時刻を計時するムーブメントをさらに有し、
前記GND電極は前記ソーラセルと前記ムーブメントの間に配置されている、請求項1に記載の電波時計。
【請求項3】
前記アンテナ電極は、互いに抵抗率が異なる第1領域および第2領域を有する、請求項1または2に記載の電波時計。
【請求項4】
前記第1領域は前記第2領域よりも前記アンテナ電極の外周側に配置され、前記第1領域の抵抗率は前記第2領域の抵抗率よりも低い、請求項3に記載の電波時計。
【請求項5】
前記第1領域は導電性材料のベタパターンで構成され、前記第2領域は導電性材料の所定パターンで構成される、請求項4に記載の電波時計。
【請求項6】
前記第1領域および前記第2領域は導電性材料の所定パターンで構成され、
前記第1領域よりも前記第2領域の方が、単位面積当たりの電極面積の割合が小さい、請求項4に記載の電波時計。
【請求項7】
前記所定パターンは網目模様である、請求項5または6に記載の電波時計。
【請求項8】
前記第1領域と前記第2領域とは互いに異なる導電性材料で構成されている、請求項4に記載の電波時計。
【請求項9】
前記第2領域の光透過率は前記第1領域の光透過率よりも高い、請求項8に記載の電波時計。
【請求項10】
前記第1領域と前記第2領域とは同じ導電性材料で構成され、前記第1領域の膜厚は前記第2領域の膜厚よりも大きい、請求項4に記載の電波時計。
【請求項11】
前記第1領域に前記アンテナ電極と受信回路との接続配線が接続されている、請求項4〜10のいずれか一項に記載の電波時計。
【請求項12】
前記ソーラセルの上面に配置された文字板と、
前記文字板の上面における外周端部に配置された環状部材と、をさらに有し、
前記第1領域は、前記環状部材の上方において、平面視で前記環状部材に重なる位置に配置されている、請求項4〜11のいずれか一項に記載の電波時計。
【請求項13】
前記外装ケースは導電性材料で構成され、
前記アンテナ電極と前記外装ケースとの間を隔てるように配置された誘電体部材をさらに有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電波時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、腕時計用のアンテナ付風防ガラスであって、透明な絶縁体を備える第1の絶縁体層と、第1の絶縁体層に接合され第1の透明電極(放射素子、すなわちアンテナ電極)を備える第1の電極層と、第1の電極層に接合され透明な絶縁体を備える第2の絶縁体層と、第1の透明電極に対向する第2の透明電極(GND電極)を備え第2の絶縁体層に接合される第2の電極層とを備えるものが記載されている。
【0003】
特許文献2には、電波を受信するリング型パッチアンテナを有する電子時計であって、カバーガラスの下面の周縁部よりやや内側にリング状にアンテナパターンが形成され、金属ケースがGNDプレーンとして機能するものが記載されている。
【0004】
特許文献3には、腕時計などの電子機器の風防部材であって、電波を受信するアンテナとなる透明導電膜が透明基材の表面に形成され、GNDとなる別の透明導電膜がその透明基材の裏面に形成されたものが記載されている。
【0005】
特許文献4には、時刻表示用のムーブメントと、ムーブメントを収容する導電性のケースと、ケースの表面側に設けられムーブメントの表面側を覆うカバーガラスと、ムーブメントおよびカバーガラスの間に配置され電波を反射する導電性の導体板と、略環状の導電性のアンテナ電極を有するアンテナとを備え、アンテナが導体板およびカバーガラスの間で導体板の外周縁に沿って配置される無線機能付き時計が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017−026360号公報
【特許文献2】特開2017−032506号公報
【特許文献3】特開2016−090457号公報
【特許文献4】特開2011−021929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のアンテナのように、風防部材(風防ガラス)にアンテナ電極とGND電極を設けると、風防部材が非常に厚くなり、透過率も大きく低下して視認性が悪くなる。特許文献1の構成では、風防部材を薄く形成したとても、加工が複雑になるし、アンテナ電極とGND電極の間の距離が近過ぎて感度低下の要因となり、小型化の妨げにもなる。特許文献2,3のアンテナでも、アンテナ電極とGND電極の間の距離が近いため、同様に感度が不十分になるおそれがある。また、特許文献2,4のアンテナのようにアンテナ電極が環状であると、必ずしも所望の電気力線が得られず、面状アンテナと比較して感度が低くなる。
【0008】
そこで、本発明は、感度が高く小型化に適したアンテナを有する電波時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
透光性の風防部材と、風防部材の内側表面に配置された面状のアンテナ電極と、アンテナ電極の下方にアンテナ電極から離間して配置されたソーラセルと、風防部材の周囲および下方に配置され、ソーラセルを収納する外装ケースと、ソーラセルよりも下方における外装ケースの内部または底面に設けられたGND電極とを有することを特徴とする電波時計が提供される。
【0010】
上記の電波時計は、外装ケースの内部におけるソーラセルよりも下方に配置され時刻を計時するムーブメントをさらに有し、GND電極はソーラセルとムーブメントの間に配置されていることが好ましい。
【0011】
アンテナ電極は、互いに抵抗率が異なる第1領域および第2領域を有することが好ましい。さらに、第1領域は第2領域よりもアンテナ電極の外周側に配置され、第1領域の抵抗率は第2領域の抵抗率よりも低いことが好ましい。
【0012】
さらに、第1領域は導電性材料のベタパターンで構成され、第2領域は導電性材料の所定パターンで構成されるか、あるいは、第1領域および第2領域は導電性材料の所定パターンで構成され、第1領域よりも第2領域の方が単位面積当たりの電極面積の割合が小さいことが好ましい。さらに、所定パターンは網目模様であることが好ましい。
【0013】
あるいは、第1領域と第2領域とは互いに異なる導電性材料で構成されていることが好ましい。さらに、第2領域の光透過率は第1領域の光透過率よりも高いことが好ましい。
【0014】
あるいは、第1領域と第2領域とは同じ導電性材料で構成され、第1領域の膜厚は第2領域の膜厚よりも大きいことが好ましい。
【0015】
第1領域にアンテナ電極と受信回路との接続配線が接続されていることが好ましい。
【0016】
上記の電波時計は、ソーラセルの上面に配置された文字板と、文字板の上面における外周端部に配置された環状部材とをさらに有し、第1領域は、環状部材の上方において、平面視で環状部材に重なる位置に配置されていることが好ましい。また、外装ケースは導電性材料で構成され、上記の電波時計はアンテナ電極とケースとの間を隔てるように配置された誘電体部材をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
上記の電波時計によれば、本構成を有しない場合と比べて、感度が高く小型化に適したアンテナが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】電波時計1の断面図である。
図2】アンテナ電極3およびGND板6の概略構成図である。
図3】別のアンテナ電極3A〜3Cを説明するための上面図および部分断面図である。
図4】さらに別のアンテナ電極3D〜3Gを説明するための上面図である。
図5】高誘電体部材を有する別の電波時計の部分断面図および上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、電波時計について詳細に説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0020】
図1は、電波時計1の断面図である。電波時計1は、風防ガラス2、アンテナ電極3、文字板4、ソーラセル5、GND板6、ケース7、指針8、見返しリング9およびムーブメント10などを有する。電波時計1は、例えばGPS(全地球測位システム)衛星からの電波または標準電波、その他の無線電波などを受信し、その電波に含まれる時刻情報を取得して、内部で計時している時刻を修正する。以下では、電波時計1は腕時計であるとして説明するが、電波時計は腕時計には限定されず、例えば置時計であってもよい。
【0021】
風防ガラス2は、透光性(透明)の風防部材の一例であり、サファイアガラス、石英ガラスまたはプラスチック材料などで構成され、電波時計1の最上層を覆う。アンテナ電極(パッチ電極)3は、例えば、風防ガラス2の内側(図1における下側)表面を面状に覆うように配置されて、GPS信号または標準電波、その他の無線電波などを受信する。アンテナ電極3は、下方の文字板4を視認できるように、アルミニウムや銀、銅などの金属材料もしくはこれらの合金材料によるメタルメッシュ、またはITO(酸化インジウムスズ)などの透明導電膜で構成される。文字板4は、アンテナ電極3の下方において、ソーラセル5の上面にアンテナ電極3とは間隔を空けて配置された部材であり、例えば非導電性の合成樹脂材料やセラミックなどで構成され、透光性を有する。文字板4の上面の外周部には、時刻の表示用に、複数の指標4aが例えば円周上に配置されている。
【0022】
ソーラセル(ソーラパネル)5は、文字板4の下面近傍または下面に接触して配置された部材であり、電波時計1の上方から風防ガラス2、アンテナ電極3および文字板4を透過して入射した光を受光して発電する。GND板6は、GND電極の一例であり、ステンレス鋼、真鍮またはチタン合金などの導電性材料(金属材料)で構成され、ソーラセル5のさらに下方であってソーラセル5とムーブメント10の間に配置されている。ソーラセル5とGND板6は、文字板4の下側にあるため、文字板4と同様に、アンテナ電極3とは間隔を空けて配置されている。
【0023】
ケース7は、例えば円筒形の内部空間を有する部材であり、裏蓋7aはその内部空間の底部を塞ぐ部材である。ケース7と裏蓋7aは、ソーラセル5やムーブメント10などを収納する外装ケースを構成する。なお、ケース7を、ベゼルとその下方に配置される胴部との2つの部材で構成してもよい。ケース7と裏蓋7aは、例えば、ステンレス鋼、真鍮またはチタン合金などの導電性材料(金属材料)で構成される。ただし、ケース7の一部をセラミックなどの非導電性材料で構成してもよく、ケース7がベゼルと胴部を有する場合には、ベゼルを非導電性材料で構成してもよい。ケース7の内部空間が円筒形であることにより、ケース7の内側に配置される風防ガラス2、アンテナ電極3、文字板4、ソーラセル5およびGND板6は、いずれも円盤状の形状を有する。ただし、円盤形状は一例であり、電波時計のデザインによっては、例えば四角形などの他の形状であってもよい。
【0024】
指針8は、例えば時針、分針および秒針の3本で構成され、アンテナ電極3と文字板4の間において、文字板4の中央を通る回転軸の周りに回転して、時刻を表示する。見返しリング9は、文字板4の上面における外周端部に配置された環状部材であり、非導電性材料で構成されることが好ましい。
【0025】
ムーブメント10は、ソーラセル5の下方に配置された回路基板11,12、ステップモータ13、輪列(歯車)14および電池15で構成され、時刻を計時するとともに、指針8を回転させて時刻を表示する。回路基板11は、ケース7内の下端付近に配置され、受信回路11aおよび制御回路11bを有する。受信回路11aは、アンテナ電極3で受信された信号の処理を行い、制御回路11bは、受信回路11aの動作制御、ステップモータ13の駆動制御および電池15の管理などを行う。回路基板12は、ステップモータ13が搭載された基板であり、回路基板11よりも高い位置に配置されている。なお、回路基板は必ずしも回路基板11,12の2枚に分かれていなくてもよい。
【0026】
ステップモータ13と輪列14は、指針8の駆動機構である。ステップモータ13は、輪列14を介して指針8に連結しており、制御回路11bによって駆動されることで指針8を回転させる。電池15は、回路基板11上に配置され、受信回路11a、制御回路11bおよびステップモータ13などに電力を供給する。
【0027】
電波時計1は、さらに、給電線16、導通部17,18、基板押さえ19および絶縁部材20を有する。給電線16は、アンテナ電極3と回路基板11とを電気的に接続する接続配線(給電ピン)である。なお、給電線16をFPC(フレキシブルプリント配線基板)で構成してもよい。導通部17はソーラセル5と回路基板12の間および回路基板11と回路基板12の間を、導通部18はGND板6と回路基板11の間を、それぞれ電気的に接続する。導通部17,18は、例えばバネやFPCなどで構成される。基板押さえ19は、回路基板11を保持するための部材であり、その下面には裏蓋7aとの接続用のアースバネ19aが形成されている。絶縁部材20は、例えば絶縁ゴムで構成され、風防ガラス2とケース7の間およびケース7と裏蓋7aの間に配置されて、これらを電気的に絶縁する。
【0028】
以上の配置により、電波時計1では、GND板6は、導通部18、回路基板11およびアースバネ19aを介して裏蓋7aに電気的に接続されている。なお、図示した例とは異なり、GND板6をケース7に電気的に接続してもよい。
【0029】
図2(A)〜図2(C)は、アンテナ電極3およびGND板6の概略構成図である。具体的には、図2(A)はケース7に組み込まれたアンテナ電極3の上面図であり、図2(B)はアンテナ電極3とGND板6の外形を示す上面図であり、図2(C)はアンテナ電極3とGND板6を重ねた状態の上面図である。アンテナ電極3とGND板6とが対向することで、電波受信用のアンテナが構成される。なお、図2(A)および後述する各上面図では、簡単のため、図1の文字板4などの説明に必要のない部材については、図示を省略している。
【0030】
一般に、高周波アンテナでは、アンテナ電極のエッジ部分(外周端部)の電流密度が高くなるため、エッジ部分の導電性を高める必要がある。このため、アンテナ電極3は、環状ではなく円盤状の電極であり、かつ、電流密度が高くなる外周部の抵抗値が中央部の抵抗値よりも低くなるように構成される。図2(A)に示すように、アンテナ電極3は、外周側の円環状の第1領域31と、第1領域31よりも内側の第2領域32とを有する。第1領域31と第2領域32の材質は、例えばアルミニウムや銀、銅などの金属材料、またはこれらの合金からなる導電性材料であり、第1領域31はベタパターンで構成され、第2領域32はメタルメッシュ(網目模様)で構成される。2つの領域の材質が同じで、かつ第2領域32のパターンの密度が第1領域31よりも低いので、第1領域31の単位面積当たりの抵抗率(以下、面抵抗率という)は、第2領域32の面抵抗率よりも低い。
【0031】
第2領域32もベタパターンで構成すればアンテナの感度はさらに高くなるが、それではアンテナ電極3の光透過率が低くなり、文字板4が見え難くなるとともにソーラセル5の発電量も低下する。視認性を高めるためには、アンテナ電極3の中央部である第2領域32をメッシュパターンで構成することが好ましい。
【0032】
また、例えばメッシュパターンの一部に穴が形成されていると、その部分が目立ってしまい、時計の装飾品としての価値が損なわれる。このため、審美性の観点から、アンテナ電極3のパターンは、第1領域31および第2領域32のそれぞれにおいて一様に形成されていることが好ましい。また、同様に審美性の観点から、図1に示すように、第1領域31は、見返しリング9の上方において、平面視で(すなわち、風防ガラス2の上面から視認したときに)見返しリング9に重なる位置に配置されていることが好ましい。なお、第2領域32のメッシュパターンをより目立ち難くするためには、文字板4の色をアンテナ電極3と同系色にすることが好ましい。
【0033】
アンテナ電極3に低抵抗の材料を用いると、メタルメッシュの線幅を10〜数μm程度まで細くすることができる。ただし、ここまで細くしなくても、線幅を100μm以下にすれば、メッシュパターンは視覚的にはほとんど認識されない。また、時計を腕に付けて時刻を確認するときの目と時計の間の距離は、概ね15〜20cmである。例えば、対象物から20cmの距離で見た場合には、視力1.0の人は対象物上の60μmの隙間を認識でき、一般的に視力が良いとされている視力1.5の人は、40μmの隙間を認識できる。また、人間の目のピント調整の限界は概ね8cmであり、対象物から8cmの距離で見た場合には、視力1.5の人は16μmの隙間を認識できる。以上を踏まえると、メッシュパターンを視覚的に認識されないようにするためには、その線幅を、100μm以下、好ましくは40μm以下、より好ましくは16μmまたは10μm以下にするとよい。
【0034】
アンテナ電極3は、図1に示す給電線16を介して回路基板11上の受信回路11aに電気的に接続されている。給電線16が使用者に視認されると美観を損ねること、および、アンテナ電極3では電流が第1領域31に集中することから、文字板4の外周側である第1領域31に給電線16とアンテナ電極3との接続位置(給電位置)を設けることが好ましい。
【0035】
アンテナ電極3では、図2(A)〜図2(C)に示すように、第1領域31における6時位置に同一平面内で突出する給電部31aが設けられ、その下面に給電線16が接続されている。給電部31aは、第1領域31から突出することなく、第1領域31内の一部分に形成されていてもよい。また、給電部31aの位置は、6時位置に限らず他の位置でもよい。ただし、図2(A)に示すように、ケース7の3時位置にはリューズ21が、2時位置および4時位置には操作ボタン22がそれぞれ設けられているので、アンテナ電極3上の給電部31aの位置は、これらから離れた6時位置〜12時位置の間であることが好ましい。
【0036】
図2(B)および図2(C)に示すように、GND板6の外径は、アンテナの感度を向上させるためにアンテナ電極3の外径よりも大きく、アンテナ電極3は、平面視でGND板6の内側に配置されている。GND板6には、給電線16を通すための貫通孔6aが6時位置に設けられており、ケース7内において、アンテナ電極3とGND板6は、図2(C)に示すように、給電部31aと貫通孔6aの位置が重なるように配置されている。なお、GND板6は、給電線16用に貫通孔6aではなく切り欠きを有してもよい。また、給電線16を同軸線路とする場合には、その外皮部とGND板6とを接続して導通を取ってもよい。
【0037】
電波時計1では、アンテナ電極3が面状のアンテナ電極であり、線状アンテナよりも電極面積が大きいため、所望の電気力線が得られる。また、風防ガラス2の内側(ムーブメント10側)の表面にアンテナ電極3を配置し、ソーラセル5の下にGND板6を配置することにより、アンテナ電極とGND電極との間が比較的遠くなる。例えば腕時計では、風防ガラスの厚みは高々2mm程度だが、風防ガラスと文字板の間の距離は、それよりも長い3〜4mm程度ある。このため、電波時計1では、アンテナ電極3とGND板6の間の距離を空けた分だけアンテナの感度が高くなり、感度の確保のためにアンテナのサイズを大きくする必要がないため、小型化にも有利になる。
【0038】
さらに、アンテナ電極3では、外周部(第1領域31)の抵抗値が中央部(第2領域32)の抵抗値よりも低いため、エッジ部分の導電性が高くなり、伝送ロスが抑えられる。また、アンテナ電極3では、外周部が見返しリング9と重なる位置のベタパターンであり、かつ中央部が一様なメッシュパターンであるため、審美性と視認性も確保される。
【0039】
ソーラセル5の上にGND板6を配置するとソーラセル5が発電しなくなってしまうので、GND板6はケース7内でソーラセル5よりも下方に配置する必要がある。ソーラセル5よりも下方であれば、ソーラセル5とムーブメント10の間にGND板6を配置する代わりに、例えば、ムーブメント10の回路基板11にGND電極の機能を持たせてもよく、あるいは、裏蓋7a(ケース7の底面)をGND電極として使用してもよい。ただし、GND電極がムーブメント10内にあると、ムーブメント10内の受信回路11a、制御回路11b、ステップモータ13および電池15などの影響によって電界が乱されるため、アンテナの感度が低下するおそれがある。このため、GND板6の位置は、ソーラセル5とムーブメント10の間であって、ソーラセル5の直下とすることが好ましい。
【0040】
図3(A)〜図3(C)は、別のアンテナ電極3A〜3Cを説明するための上面図および部分断面図である。これらの図では、図2(A)と同様に、ケース7に組み込まれたアンテナ電極3A〜3Cの上面図を示しており、図3(B)と図3(C)では、風防ガラス2とアンテナ電極3B,3Cの部分断面図も示している。電波時計1は、図2(A)のアンテナ電極3に代えて、図3(A)〜図3(C)のアンテナ電極3A〜3Cのいずれかを有してもよい。
【0041】
図3(A)に示すアンテナ電極3Aでは、外周部の第1領域31Aと中央部の第2領域32Aとが、両方ともアルミニウムや銀、銅などの金属材料またはこれらの合金などの導電性材料のメタルメッシュで構成される。ただし、第1領域31Aのメッシュは細かく(隙間が少なく)、第2領域32Aのメッシュは荒い(隙間が多い)ので、第1領域31Aよりも第2領域32Aの方が、単位面積当たりの電極面積の割合が小さい。図3(B)に示すアンテナ電極3Bでは、第1領域31Bと第2領域32Bとが、ITOなどの同じ導電性材料で構成される。ただし、アンテナ電極3Bでは、図3(B)の下側の部分断面図に示すように、第1領域31Bの膜厚は第2領域32Bの膜厚よりも大きい。
【0042】
図3(C)に示すアンテナ電極3Cでは、第1領域31Cと第2領域32Cはともにベタパターンであり、第1領域31Cをアルミニウム、第2領域32CをITOとするなど、第1領域31Cと第2領域32Cとは互いに異なる導電性材料で構成される。各領域の材質および厚さは、第1領域31Cの抵抗値(面抵抗率)が第2領域32Cの抵抗値(面抵抗率)よりも低く、かつ第2領域32Cの光透過率が第1領域31Cの光透過率よりも高くなるように選択される。
【0043】
アンテナ電極3A〜3Cでも、アンテナ電極3と同様に、外周部の抵抗値(面抵抗率)が中央部の抵抗値(面抵抗率)よりも低いため、エッジ部分の導電性が高くなり、伝送ロスが抑えられる。また、中央部の光透過率が外周部よりも高いため、視認性が確保され、パターンの一様性により審美性も確保される。なお、第1領域と第2領域のパターンはベタまたはメッシュ(網目模様)に限らず、ストライプ(縞模様)などの他のパターンでもよい。また、第1領域と第2領域をメタルメッシュとする場合でも、メッシュの細かさを場所に応じて段階的に(グラデーションで)変化させてもよい。
【0044】
図4(D)〜図4(G)は、さらに別のアンテナ電極3D〜3Gを説明するための上面図である。アンテナが受信した電波信号を受信回路11aに損失なく伝送するためには、インピーダンスマッチングを行う必要がある。図4(D)は、回路基板11(アンテナの外部)でインピーダンスマッチングを行う例を示し、図4(E)〜図4(G)は、アンテナの内部でインピーダンスマッチングを行う例を示す。電波時計1は、図2(A)のアンテナ電極3に代えて、図4(D)〜図4(G)のアンテナ電極3D〜3Gのいずれかを有してもよい。
【0045】
図4(D)に示すアンテナ電極3Dは、アンテナ電極3のものと同じ第1領域31Dおよび第2領域32Dを有するが、第1領域31Dの給電部31aにLC回路40が接続されている点がアンテナ電極3とは異なる。LC回路40は、実際には回路基板11上に形成される。図4(E)に示すアンテナ電極3Eは、アンテナ電極3のものと同様の第1領域31Eおよび第2領域32Eを有するが、6時位置において給電部31a’が第2領域32Eの中央側に直線状に延びている点がアンテナ電極3とは異なる。
【0046】
図4(F)および図4(G)に示すアンテナ電極3F,3Gは、アンテナ電極3Bまたはアンテナ電極3Cと同様の第1領域31Fおよび第2領域32Fならびに第1領域31Gおよび第2領域32Gを有する。アンテナ電極3F,3Gは、アンテナ電極3F,3Gを構成するITOの膜厚が6時位置付近の領域33,33’においてグラデーション状に変化している点がアンテナ電極3とは異なる。領域33,33’では、ITOの膜厚が、アンテナ電極3F,3Gの中央側から外周側に向けて、段階的に大きくなる。なお、第2領域をメタルメッシュで構成する場合には、メッシュの密度を同様にグラデーション状に変化させてもよい。この場合、領域33,33’において、アンテナ電極3F,3Gの中央側から外周側に向けて、メッシュの密度を段階的に大きくすればよい。
【0047】
ケース7(ベゼル)が導電性材料で構成されている場合には、アンテナ電極3に入ってきた電波がアンテナ電極3の端部からケース7側に抜けてしまう可能性がある。そこで、アンテナ電極3の端部からケース7までの見かけの距離(波長短縮を考慮した電気的な距離)を長くするために、アンテナ電極3とケース7の間に、例えば比誘電率が10以上の高誘電体部材を配置してもよい。
【0048】
図5(A)〜図5(D)は、高誘電体部材を有する別の電波時計の部分断面図および上面図である。図5(A)および図5(B)は、アンテナ電極3の第1領域31とケース7の間を隔てるように高誘電体部材30が配置された電波時計の部分断面図および上面図である。高誘電体部材30は、セラミック(アルミナやジルコニア、酸化チタン)または高誘電プラスチックなどで構成され、円環状の形状を有し、見返しリング9の上面に配置されている。
【0049】
図5(C)および図5(D)は、図1の見返しリング9をセラミックまたはプラスチックなどの高誘電体部材30’で構成した電波時計の部分断面図および上面図である。高誘電体部材30’は、環状部材の一例であり、アンテナ電極3の第1領域31の下方を覆うとともに、上端部に第1領域31とケース7の間を隔てる円環状の突起部30a’を有する。特に、セラミックは細く成形されると割れ易いので、強度を確保するためには、図5(C)および図5(D)の例のように、高誘電体部材30’はある程度の太さを有することが好ましい。また、見返しリングを高誘電体部材30’で構成する場合にも、第1領域31は平面視で高誘電体部材30’に重なる位置に配置されていることが好ましい。
【0050】
特に、アンテナ電極3とGND板6との電界結合が最も密となる領域は、第1領域31と対向するGND板6上の領域であるため、第1領域31と重なる高誘電体部材の厚さをアンテナ電極3と文字板4との間の距離と略同一にすることが好ましい。これにより、アンテナ電極3とGND板6とをより電気的に離間でき、アンテナの感度を向上させることができる。また、文字板4の材質をセラミックなどの高誘電体としてもよく、これにより、アンテナ電極3とGND板6とをさらに電気的に離間できるため、感度を向上させることができる。
【0051】
なお、電波時計1ではソーラセル5とGND板6は別部材であるが、ソーラセル5自体にGND電極の機能を持たせてもよい。例えば、ソーラセル5をソーラパネルとパネル支持板とで構成し、このパネル支持板を金属部材で構成してGND板6としてもよい。あるいは、ソーラセル5が集光効率を高める金属部材の反射板を有する場合には、この反射板をGND板6としてもよい。
【0052】
また、風防ガラス2の外周部でアンテナ電極3の端部が目立たないように、アンテナ電極3の第1領域31と給電部31aを目隠しで覆ってもよい。また、アンテナ電極3の形状は、2次元状に広がるものであれば、円盤状に限らず、四角形などの他の形状でもよい。例えば、電波時計が四角いデザインのモデルであれば、アンテナ電極も四角い形状を有してもよく、アンテナ電極は文字板の外形とおおよそ同形状であるとよい。
【符号の説明】
【0053】
1 電波時計
2 風防ガラス
3,3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G アンテナ電極
31,31A,31B,31C,31D,31E,31F,31G 第1領域
31a,31a’ 給電部
32,32A,32B,32C,32D,32E,32F,32G 第2領域
4 文字板
5 ソーラセル
6 GND板
7 ケース
10 ムーブメント
16 給電線
30,30’ 高誘電体部材
図1
図2
図3
図4
図5