特開2019-86380(P2019-86380A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-86380(P2019-86380A)
(43)【公開日】2019年6月6日
(54)【発明の名称】熱式流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/684 20060101AFI20190517BHJP
【FI】
   G01F1/684 A
   G01F1/684 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-214379(P2017-214379)
(22)【出願日】2017年11月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】池 信一
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035EA01
2F035EA04
2F035EA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】センサやヒータのリードとの干渉を避けながら、薄く形成されることにより強度が低くなる測定部を補強管によって補強でき、検出性能と耐圧性とが両立する熱式流量計を提供する。
【解決手段】被測定用の液体が流れる内管11と、内管11の外周面に密着して周方向に延びる状態で内管11に設けられた第1および第2のセンサ14とを備える。第1および第2のセンサ14を含めて内管11を覆う補強管12を備える。補強管12は、内管11の径方向に分割された第1および第2の管壁部材24,25によって構成されている。第1および第2の管壁部材24,25は、内管11および第1、第2のセンサ14を径方向の外側から挟む状態で互いに接着されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定用の液体が流れる内管と、
前記内管の外周面に密着して周方向に延びる状態で前記内管に設けられ、発熱体を含む流量検出用のセンサと、
前記センサを含めて前記内管を覆う補強管とを備え、
前記補強管は、前記内管の径方向に分割された複数の管壁部材によって構成され、
前記複数の管壁部材は、前記内管およびセンサを前記径方向の外側から挟む状態で互いに接着されていることを特徴とする熱式流量計。
【請求項2】
請求項1記載の熱式流量計において、
前記補強管は、合成樹脂材料によって形成され、
前記補強管における前記センサを覆う部分は、断熱部となる空間を有していることを特徴とする熱式流量計。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の熱式流量計において、
前記内管および補強管は、耐食性が高い合成樹脂材料によって形成され、
前記内管と前記補強管との間が液密にシールされていることを特徴とする熱式流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定管の薄い測定部を補強する補強管を備えた熱式流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体の流量を測定可能な熱式流量計としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。この特許文献1に開示された熱式流量計は、被測定流体が流れる測定管と、この測定管に取付けられたヒータおよび温度センサとを備えている。この熱式流量計は、測定管内を被測定流体が流れている状態で生じるヒータ周りの温度分布の変化を被測定流体の流速に換算する装置である。
【0003】
特許文献1に示す熱式流量計の測定管は、フッ素樹脂によって形成されている。ヒータと温度センサは、この測定管の長手方向の中央部に設けられた薄肉部に取付けられている。ヒータと温度センサのリードは、測定管の径方向の外側に向けて延びている。薄肉部は、測定管の長手方向の両端部に較べて外径が小さくなるように形成されている。
【0004】
フッ素樹脂は、熱伝導率が低い材料である。このため、センサで測定管内の液体の温度を精度良く検出するためには、薄肉部の厚みが可及的に薄いことが望ましい。しかし、フッ素樹脂は、比較的柔らかい材料であるために、このようにセンサの感度を確保できるように薄肉部を薄く形成すると、耐圧性が低くなってしまうという別の不具合が生じる。特許文献1に示す熱式流量計においては、このような不具合を解消するために、薄肉部をチューブ状の補強部材で覆って補強している。
この補強部材は、熱収縮チューブによって形成されており、センサやヒータとともに薄肉部に被せられた状態で加熱されて収縮し、薄肉部に密着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−202971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
熱収縮チューブからなる補強部材では、測定管に被せるときにセンサおよびヒータのリードが邪魔になるから、熱収縮チューブにリードを通す切れ目を形成したり、リードを測定管に沿うように曲げなければならない。熱収縮チューブに切れ目が形成されると、切れ目の部分の剛性が低くなり、補強の性能が損なわれてしまう。また、リードは細く脆弱であるから、折り曲げると切断し易く、導通の信頼性が低くなる。
【0007】
本発明の目的は、センサやヒータのリードとの干渉を避けながら、薄く形成されることにより強度が低くなる測定部を補強管によって補強でき、検出性能と耐圧性とが両立する熱式流量計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る熱式流量計は、被測定用の液体が流れる内管と、前記内管の外周面に密着して周方向に延びる状態で前記内管に設けられ、発熱体を含む流量検出用のセンサと、前記センサを含めて前記内管を覆う補強管とを備え、前記補強管は、前記内管の径方向に分割された複数の管壁部材によって構成され、前記複数の管壁部材は、前記内管およびセンサを前記径方向の外側から挟む状態で互いに接着されているものである。
【0009】
本発明は、前記熱式流量計において、前記補強管は、合成樹脂材料によって形成され、前記補強管における前記センサを覆う部分は、断熱部となる空間を有していてもよい。
【0010】
本発明は、前記熱式流量計において、前記内管および補強管は、耐食性が高い合成樹脂材料によって形成され、前記内管と前記補強管との間が液密にシールされていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明において、内管は、複数の管壁部材によって補強される。このため、内管として、センサによって被測定流体の温度を精度よく検出できるように厚みが薄いものを使用することができる。また、センサのリードは、管壁部材どうしの間を通して内管側から径方向の外側に導出することができる。このため、補強管とリードとの干渉を避けるために耐圧性が損なわれたり、導通の信頼性が低くなることはない。
【0012】
したがって、本発明によれば、センサのリードとの干渉を避けながら、薄く形成されることにより強度が低くなる内管を補強管によって補強でき、検出性能と耐圧性とが両立する熱式流量計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る熱式流量計の構成を示す正面図である。
図2図1における測定管とセンサのII-II線断面図である。図2においては、図4の破断位置をIV-IV線によって示す。
図3図1における測定管のIII-III線断面図である。
図4】測定管とセンサの断面図である。
図5】測定管とセンサの分解斜視図である。
図6】補強管の他の実施の形態を示す正面図である。
図7図6におけるVII-VII線断面図である。
図8】センサの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る熱式流量計の一実施の形態を図1図5を参照して詳細に説明する。
図1に示す熱式流量計1は、筐体2と、この筐体2の中に収容された測定管3とプリント基板4などを備えている。測定管3には、被測定流体としての液体(図示せず)が図1において左側の上流端から右側の下流端へ流される。
【0015】
筐体2は、測定管3の両端部を保持する一対の継手部材5を備えている。測定管3は、詳細は後述するが、図2に示すように、内管11と外側の補強管12とからなる二重管構造の断面円形の管で、第1および第2のセンサ13,14(図1参照)を有している。この実施の形態による第1および第2のセンサ13,14は、図4および図5に示すように、内管11に密着するコイル状の検出部15,16を有し、被測定流体に接触する内管11の温度を検出する。
【0016】
すなわち、第1および第2のセンサ13,14は、内管11を介して被測定流体の温度を間接的に検出する。第1および第2のセンサ13,14のうち、下流側に位置する第2のセンサ14は、温度を検出する機能の他に発熱する機能を有している。この実施の形態においては、第1および第2のセンサ13,14が本発明でいう「発熱体を含む流量検出用のセンサ」に相当する。
【0017】
筐体2の継手部材5は、測定管3の外周面に全周にわたって密着し、測定管3との接続部分が液密にシールされる状態で測定管3を保持している。二つの継手部材5のうち、図1において左側に位置する上流側の継手部材5には、測定管3に被測定用流体を送るための流体用チューブ17が接続される。他方の下流側の継手部材5には、測定管3内を通った流体を下流側に流すための流体用チューブ18が接続される。
【0018】
プリント基板4には、図示してはいないが流量検出回路や通信回路、電源回路などが設けられている。流量検出回路は、第1および第2のセンサ13,14に接続され、これらの第1および第2のセンサ13,14の検出値を用いて測定管3内の液体の流量を検出する。この実施の形態による流量検出回路は、第2のセンサ14によって被測定流体を所定の温度に加熱するために必要な電力量を求め、この電力量に基づいて被測定流体の流量を演算によって求める。所定の温度とは、第1のセンサ13によって検出された温度に予め定めた温度を加算した温度である。
【0019】
通信回路は、流量検出回路によって検出された流量のデータを外部の装置(図示せず)に信号として送る機能を有している。電源回路は、外部の電源(図示せず)に接続され、この熱式流量計1の各種の電子部品に給電する。
【0020】
測定管3は、図2図4に示すように、内管11と、この内管11を覆う補強管12とによって構成されている。この実施の形態による内管11と補強管12は、耐食性を有する合成樹脂材料によって形成されている。耐食性を有する合成樹脂材料としては、フッ素樹脂、PVC(Polyvinyl chloride:ポリ塩化ビニル)、PEEK(Polyether ether ketone)材などがある。
内管11は、上流端から下流端まで内径と外径とが一定になる断面円形の管である。内管11の厚みは、内管11内を流れる被測定流体の温度を第1および第2のセンサ13,14で精度よく検出できる厚みである。この厚みは、100μm以下にすることが望ましい。
【0021】
この内管11の長手方向の中央部に第1および第2のセンサ13,14が設けられている。第1のセンサ13と第2のセンサ14とは、内管11の長手方向において所定の長さだけ互いに離間している。第1および第2のセンサ13,14は、内管11の外周面に密着して周方向に延びる状態で内管11に設けられている。詳述すると、第1および第2のセンサ13,14は、内管11に巻付けられた導体21によって構成されたコイル状の検出部15,16と、この検出部15,16から内管11の径方向において内管11から離間する方向に延びるリード部22,23とによって構成されている。このリード部22,23の先端部分は、上述したプリント基板4に接続されている。
【0022】
補強管12は、図2および図3に示すように、内管11の径方向に2分割された第1の管壁部材24と第2の管壁部材25とによって構成されている。第1および第2の管壁部材24,25は、それぞれ所定の厚みを有し、図4に示すように、内管11と同じ長さとなるように形成されている。これらの第1および第2の管壁部材24,25は、内管11および第1および第2のセンサ13,14を径方向の外側から挟む状態で接着剤26によって互いに接着されている。第1および第2のセンサ13,14のリード部22,23は、図2に示すように、第1の管壁部材24と第2の管壁部材25との間を通って測定管12の外に導出されている。
【0023】
第1の管壁部材24と第2の管壁部材25とが互いに接着されることによって、1本の補強管12が形成される。第1および第2の管壁部材24,25の厚みは、内管11内を流れる被測定流体の圧力に応じて決められる。被測定流体の圧力が高い場合には相対的に第1、第2の管壁部材24,25の厚みが厚くなる。
接着剤26は、図2および図3に示すように、第1の管壁部材24と第2の管壁部材25との間と、第1および第2の管壁部材24,25と内管11との間と、第1および第2の管壁部材24,25と第1および第2のセンサ13,14との間とに充填されている。この接着剤26は、固化することによって、接着部を液密にシールするシール材として機能するものが用いられている。
【0024】
第1および第2の管壁部材24,25の長手方向の両端は、内管11の長手方向の両端に溶着によって接合されている。この溶着は、第1および第2の管壁部材24,25の両端と内管11の両端との境界部分が溶融物27(図4参照)によって液密にシールされるように実施されている。この溶着部からなる第1のシール部28と、固化した接着剤26からなる第2のシール部29とによって、第1および第2のセンサ13,14の検出部15,16と、リード部22,23の一部とが補強管12の内部に封入されることになる。
【0025】
このように構成された熱式流量計1においては、内管11が第1および第2の管壁部材24,25によって補強される。このため、内管11として、第1および第2のセンサ13,14によって被測定流体の温度を精度よく検出できるように厚みが薄いものを使用することができる。また、第1および第2のセンサ13,14のリード部22,23は、第1の管壁部材24と第2の管壁部材25との間を通して内管11側から径方向の外側に折り曲げることなく導出することができる。このため、補強管12とリード部22,23との干渉を避けるために耐圧性が損なわれたり、導通の信頼性が低くなることはない。
【0026】
したがって、この実施の形態によれば、第1および第2のセンサ13,14のリード部22,23との干渉を避けながら、薄く形成されることにより強度が低くなる内管11(測定部)を補強管12によって補強でき、検出性能と耐圧性とが両立する熱式流量計1を提供することができる。
【0027】
この実施の形態による内管11および補強管12は、耐食性が高い合成樹脂材料によって形成されている。これらの内管11と補強管12との間は、溶着部27を有する第1のシール部28と、接着剤26を有する第2のシール部29とによって液密にシールされている。このように内管11に補強管12が密着することによって、1本の測定管3が形成される。この測定管3は、内部に第1および第2のセンサ13,14が封入された、耐食性が高い管である。
このため、この実施の形態によれば、腐食性を有する液体の流量を測定することが可能な熱式流量計を提供することができる。
【0028】
(第2の実施の形態)
第1および第2の管壁部材は、図6および図7に示すように構成することができる。これらの図において、図1図5によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図6および図7に示す第1および第2の管壁部材24,25は、第1および第2のセンサ13,14の検出部15,16を覆う部分にそれぞれ断熱部31が設けられている。この実施の形態による断熱部31は、多数の空間32の中の空気を実質的な断熱材として構成されている。
【0029】
これらの空間32は、この実施の形態においては多数の小孔33によって形成されている。この実施の形態による小孔33は、第1の管壁部材24と第2の管壁部材25との合わせ面24a,25aとは直交する方向に延びており、第1および第2の管壁部材24,25を貫通している。
【0030】
このように補強管12における第1および第2のセンサ13,14を覆う部分にそれぞれ断熱部31が設けられることにより、第1および第2のセンサ13,14から補強管12内に拡がる熱伝達経路が断熱部31によって遮断される。第1のセンサ13は、専ら被測定流体の温度を検出するものである。このため、上述した熱伝達経路が遮断されることにより、第1のセンサ13に補強管12側から熱が伝達され難くなり、被測定流体の温度を検出するうえで第1のセンサ13の感度が高くなる。
【0031】
第2のセンサ14は、測定時に発熱するものである。このため、上述した熱伝達経路が遮断されることにより、第2のセンサ14の熱が補強管12内に拡がり難くなる。この結果、内管11に加えられる熱を増やすことができ、第2のセンサ14で被測定流体の温度を検出する際の感度が高くなる。
したがって、この実施の形態によれば、第1および第2のセンサ13,14の感度を高くすることができるから、検出精度がより一層高くなる熱式流量計を提供することができる。
【0032】
なお、小孔33が延びる方向は、適宜変更することができる。例えば、小孔33は、測定管3の長手方向とは直交する方向であって合わせ面24a,25aと平行な方向に延びるように形成することができる。
また、断熱部31の空間32は、小孔33によって形成する他に、図示してはいないが気泡によって形成することができる。気泡は、例えば、第1および第2の管壁部材24,25を成型するときに空気を混入させて形成したり、空気を含む粒状体を第1および第2の管壁部材24,25の中に埋設して形成することができる。
【0033】
(第1および第2のセンサの変形例)
第1および第2のセンサは、図8に示すように構成することができる。図8において、図1図5によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0034】
図8に示す第1および第2のセンサ41,42は、温度を検出する抵抗体および発熱体の機能を有する導体43と、この導体43を保持する帯状のフィルム44とを備えている。導体43およびフィルム44は、可撓性を有しており、内管11(図示せず)の外周面に巻付けることができる。
図8に示すように構成された第1および第2のセンサ41,42を使用したとしても、上述した実施の形態と同様に検出性能と耐圧性とが両立する熱式流量計を提供することができる。
【0035】
上述した実施の形態においては、補強管12が内管11の径方向において2分割される例を示した。しかし、本発明に係る補強管12は、2分割に限定されることはなく、3分割や4分割とすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1…熱式流量計、11…内管、12…補強管、13,41…第1のセンサ、14,42…第2のセンサ、24…第1の管壁部材、25…第2の管壁部材、26…接着剤、28…第1のシール部、29…第2のシール部、31…断熱部、32…空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8