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特開2020-11484インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-11484(P2020-11484A)
(43)【公開日】2020年1月23日
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20191220BHJP
【FI】
   B41J2/01 301
   B41J2/01 403
   B41J2/01 451
   B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-136687(P2018-136687)
(22)【出願日】2018年7月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺地 智哉
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB07
2C056EB13
2C056EB39
2C056EB46
2C056EC07
2C056EC26
2C056EC37
2C056EC38
2C056EC53
2C056EC79
2C056FA10
2C056HA52
(57)【要約】
【課題】ケーブルにおける複数の配線の個々について断線を検知することができるインクジェット記録装置、インクジェット記録方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】記録ヘッド(13)のノズルの駆動電力として、記録動作時に供給される第1電力よりも供給電力が制限された第2電力がケーブル(20)を介して記録ヘッド(13)に供給された場合に、その第2電力の電圧(V2)の変化を検出する。制御信号に基づいて、第2電力によりノズルをノズル列毎に駆動し、その駆動時における第2電力の電圧(V2)変化の検出結果に基づいてケーブル(20)の断線を検知する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出可能な複数のノズルが配列されたノズル列を複数備える記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載して前記ノズル列と交差する方向に移動可能なキャリッジと、
前記ノズルからインクを吐出させるための前記ノズルの駆動電力としての第1電力と、前記ノズルの駆動を制御する制御信号と、をケーブルを介して前記記録ヘッドに供給し、記録動作時に、前記キャリッジを移動させつつ、前記制御信号に基づいて前記第1電力により前記ノズルを駆動する制御手段と、
前記ノズルの駆動電力として、前記第1電力よりも制限された供給電力である第2電力が前記ケーブルを介して前記記録ヘッドに供給された場合に、前記第2電力の電圧の変化を検出する電圧検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記制御信号に基づいて前記第2電力により前記ノズルを前記ノズル列毎に駆動し、その駆動時における前記電圧検出手段の検出結果に基づいて前記ケーブルの断線を検知する断線検知動作を実行することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記第2電力は、前記ノズルからインクが吐出されない程度に前記ノズルを駆動することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記第2電力を供給する第2電力供給手段を更に備え、
前記第2電力供給手段は、前記第2電力として、前記ノズルの駆動時に所定以上の電圧降下が生じる定電圧の電力を供給し、
前記電圧検出手段は、前記第2電力に前記所定以上に電圧降下が生じたか否かを検出することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記制御信号は、前記複数のノズル列に対応する複数の制御信号を含み、
前記ケーブルは、前記ノズルの駆動電力を供給するための電源ラインと、前記複数の制御信号を供給するための複数の信号ラインと、を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記断線検知動作の実行時に、前記ノズルを前記ノズル列毎に駆動したときの前記電圧検出手段の検出結果に基づいて、前記電源ラインおよび前記複数の信号ラインのなかのいずれが断線したかを特定することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記キャリッジを停止させた状態において前記断線検知動作を実行することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記キャリッジを移動させつつ前記断線検知動作を実行することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記キャリッジに搭載されて記録媒体を検出するセンサと、
前記キャリッジの移動位置と前記センサの検出結果との関係に基づいて、前記記録媒体の幅を検出する検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記検出手段が前記記録媒体の前記幅を検出するための前記キャリッジの移動時に、前記断線検知動作を実行することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記制御手段は、操作者からの指示に基づいて前記断線検知動作を実行することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記インクジェット記録装置の起動時に前記断線検知動作を実行することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記複数のノズル列は複数のグループにまとめられ、
前記第2電力および前記制御信号は、前記複数のグループ毎に供給され、
前記制御手段は、前記複数のグループ毎の前記断線検知動作を同時に実行することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記断線検知動作の実行時における前記制御手段の検知結果を報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記断線検知動作の実行時における検知結果に基づいて、前記記録動作時に、前記ケーブルの断線の影響を受ける前記ノズルに代わって他のノズルを駆動することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記のノズルは、吐出口と、前記吐出口からインクを吐出させるための吐出エネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子と、を含み、
前記吐出エネルギー発生素子は、前記制御信号に基づいて前記第1電力および前記第2電力により駆動されることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
キャリッジに搭載されかつインクを吐出可能な複数のノズルが配列されたノズル列を複数備える記録ヘッドに対して、前記ノズルからインクを吐出させるための前記ノズルの駆動電力としての第1電力と、前記ノズルの制御信号と、をケーブルを介して供給し、記録動作時に、前記キャリッジを前記ノズル列と交差する方向に移動させつつ、前記制御信号に基づいて前記第1電力により前記ノズルを駆動することにより、画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記ノズルの駆動電力として、前記第1電力よりも供給電力が制限された第2電力を前記ケーブルを介して前記記録ヘッドに供給する供給工程と、
前記第2電力の電圧の変化を検出する電圧検出工程と、
前記制御信号に基づいて前記第2電力により前記ノズルを前記ノズル列毎に駆動し、その駆動時の前記電圧検出工程による検出結果に基づいて前記ケーブルの断線を検知する検知工程と、
を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項16】
請求項15に記載のインクジェット記録方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドに接続されるケーブルの断線の検知機能をもつインクジェット記録装置、インクジェット記録方法、およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置として、いわゆるシリアルスキャン方式の記録装置は、記録ヘッドを搭載したキャリッジを移動させながら、記録ヘッドからインクを吐出することによって記録媒体に画像を記録する。キャリッジに搭載された記録ヘッドは、キャリッジに固定された基板およびフレキシブルフラットケーブル(以下、「FFC」ともいう)を介して、装置本体側の定位置に備えられた制御部に接続される。そのFFCを通して、制御部から記録ヘッドに駆動電力および制御信号などが供給される。FFCは、キャリッジの移動に伴って変形を繰り返すため、長期間使用した場合に、配線の一部に断線が生じるおそれがある。
【0003】
特許文献1には、このように繰り返し変形されるFFCの断線を検知するための技術が記載されている。具体的には、FFCの両側縁部の少なくとも一方に断線検知用の特別な配線を備え、その断線検知用の配線によって形成した閉回路に電圧を印加し、その電圧の変化に基づいてFFCの断線を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−281575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1においては、FFCに特別な断線検知用の配線を設けなければならない。しかも、FFCに備わる断線検知用の配線の断線を検知するだけであるため、FFCにおける他の配線(駆動電力および制御信号用の配線など)の個々については断線を検知することができない。また、FFC20の状態によって、それらの他の配線に断線が生じたり生じなかったりする場合には、その断線を検知することができない。
【0006】
本発明の目的は、ケーブルにおける複数の配線の個々について断線を検知することができるインクジェット記録装置、インクジェット記録方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出可能な複数のノズルが配列されたノズル列を複数備える記録ヘッドと、前記記録ヘッドを搭載して前記ノズル列と交差する方向に移動可能なキャリッジと、前記ノズルからインクを吐出させるための前記ノズルの駆動電力としての第1電力と、前記ノズルの駆動を制御する制御信号と、をケーブルを介して前記記録ヘッドに供給し、記録動作時に、前記キャリッジを移動させつつ、前記制御信号に基づいて前記第1電力により前記ノズルを駆動する制御手段と、前記ノズルの駆動電力として、前記第1電力よりも制限された供給電力である第2電力が前記ケーブルを介して前記記録ヘッドに供給された場合に、前記第2電力の電圧の変化を検出する電圧検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記制御信号に基づいて前記第2電力により前記ノズルを前記ノズル列毎に駆動し、その駆動時における前記電圧検出手段の検出結果に基づいて前記ケーブルの断線を検知する断線検知動作を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成によって、ケーブルにおける複数の配線の個々について断線を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態における記録装置本体の説明図である。
図2図1の記録装置における制御系の基本構成の説明図である。
図3】記録ヘッド内の電気回路の基本構成の説明図である。
図4】本発明の第1の実施形態における記録ヘッドの説明図である。
図5】本発明の第1の実施形態におけるFFCの断線検知回路の異なる構成例の説明図である。
図6】本発明の第1の実施形態におけるFFCの断線検知処理を説明するためのフローチャートである。
図7図6の断線検知処理を実行したときの信号波形の説明図である。
図8】本発明の第2の実施形態におけるFFCの断線検知処理を説明するためのフローチャートである。
図9図8における断線した信号線の特定処理の説明図である。
図10】本発明の第3の実施形態における記録ヘッドの説明図である。
図11】本発明の第3の実施形態におけるFFCの断線検知回路の異なる構成例の説明図である。
図12】本発明の第3の実施形態におけるFFCの断線検知処理を説明するためのフローチャートである。
図13】本発明の第4の実施形態におけるFFCの断線検知処理を説明するためのフローチャートである。
図14】記録ヘッドの1回の記録走査によって記録される画像の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1から図7は、本発明の第1の実施形態を説明するための図である。以下、本実施形態を(1)「記録装置の全体構成」、(2)「制御系の基本構成」、(3)「記録ヘッドの構成」、および(4)「断線検知のための構成」に分けて説明する。
【0012】
(1)「記録装置の全体構成」
図1(a)は、本実施形態における記録装置100の全体構成を説明するための斜視図である。本例の記録装置100は、A0サイズおよびB0サイズの記録媒体に画像を記録するシリアルスキャン方式のインクジェット記録装置であり、記録装置100の上段に記録紙等の記録媒体をセットすることができる。記録媒体は、所定長さのカットシートおよび長尺なロールシートのいずれであってもよく、自動または手差しによって、挿入口1から記録装置100の内部に供給される。記録装置100の本体(以下、「装置本体」ともいう)は、2個の脚部によって構成されるプリンタスタンド2に支持されている。装置本体には、画像の記録後に排出される記録媒体を収容する排紙トレイ3、および開閉可能かつ内部の透視が可能なアッパーカバー4を備えられている。また、装置本体の図1(a)中の右側には、操作パネル部5、およびユーザに情報を提供する表示パネル部6が配備されている。また、装置本体の図1(a)中左右の両側には、インク供給ユニットおよびインクタンク7(a),(b)が配備されている。
【0013】
図1(b)は、アッパーカバー4を取り外した装置本体の内部の斜視図である。記録装置100は、記録媒体Pを矢印Y方向(副走査方向)に搬送するための搬送ローラ18と、副走査方向と交差(本例の場合は、直交)する矢印X方向(主走査方向)に往復移動可能なキャリッジユニット11と、を備える。記録装置100は、さらに、キャリッジユニット11を矢印X方向に往復移動させるためのキャリッジモータ(不図示)、キャリッジベルト12、キャリッジユニット11に着脱可能に装着される記録ヘッド13と、を備える。キャリッジユニット11は、矢印主Xの走査方向に延在するメインシャフト14に移動可能に支持される。キャリッジユニット11の移動位置は、キャリッジユニット11に搭載されたエンコーダセンサ15がリニアスケール16を読み取ることによって検出される。本例においては、キャリッジユニット11に1つの記録ヘッド13が搭載され、その記録ヘッド13に対しては、5色のインクが供給される。例えば、記録ヘッド13に対して、PBk(ブラック)インク、MBk(マッドブラック)、Ye(イエロ)、Ma(マゼンタ)、Cy(シアン)のインクが供給される。
【0014】
記録媒体Pに画像を記録する場合には、まず、搬送ローラ18によって、記録媒体Pをプラテン19上における所定の記録開始位置まで搬送する。その後、キャリッジユニット11により記録ヘッド13を主走査方向に移動させつつ、記録ヘッド13からインクを吐出する記録走査と、搬送ローラ18により記録媒体Pを副走査方向に搬送させる動作と、を繰り返すことにより、記録媒体Pに画像を記録する。
【0015】
より具体的には、キャリッジベルト12およびキャリッジモータ(不図示)によって、キャリッジユニット11と共に記録ヘッド13を初期位置(ホームポジション)から矢印X1の往方向に移動させつつ、記録ヘッド13からインクを吐出する。これにより、記録媒体Pに対して往方向記録が行われる。その後、キャリッジユニット11が反転位置(バックポジション)まで移動させてから、搬送ローラ18によって記録媒体Pが矢印Yの副走査方向に搬送する。その後、記録ヘッド13をキャリッジユニット11と共に反転位置から矢印X2の復方向に移動させつつ、記録ヘッド13からインクを吐出することにより、記録媒体Pに対して復方向記録が行われる。このような往方向記録と復方向記録を繰り返すことにより、記録媒体Pに画像および文字等が記録される。このような動作を繰り返して、記録媒体Pの1枚分の記録が終了したときに、その記録媒体が排紙トレイ3に排紙されて、1枚分の記録動作が完了する。
【0016】
キャリッジユニット11は、フレキシブルフラットケーブル(以下、「FFC」ともいう)20によって、メイン基板21と電気的に接続される。このようなFFC20を介して、記録ヘッド13への電源供給、記録ヘッド13の制御、およびエンコーダセンサ15の検知信号の入力が行われる。FFC20は1枚に限定されず、複数枚であってもよい。また、キャリッジユニット11には光学式センサ22が搭載されている。光学式センサ22は、例えば、記録媒体Pの種類の判別、記録ヘッド13と記録媒体Pとの間の距離、および記録装置100にセットされた記録媒体Pの幅の検知などに用いられる。
【0017】
(2)「制御系の基本構成」
図2は、記録装置100における制御系の基本構成を説明するためのブロック図である。記録装置100は、負荷側システム30と電源ユニット31とを含む。負荷側システム30と電源ユニット31は、コネクタおよびケーブル(不図示)等を用いて電気的に接続されている。電源ユニット31は、商用電源から入力した電圧をAC/DC変換回路32によって所定の電圧を変換してから負荷側システム30に供給する。DC/DC変換回路33は、AC/DC変換回路32の直流出力電圧を、負荷側システム30の各ブロックが必要とする所定の直流電圧に変換して分配する機能を備えており、例えば、スイッチングレギュレータおよびその周辺回路によって構成されている。
【0018】
コントローラ34は主制御部であり、例えば、マイクロコンピュータ形態のCPU35、プログラムおよび所要のテーブルなどの固定データを格納するROM36、および画像データを展開する領域および作業用の領域等が設けられるRAM37を備える。ホスト装置38は、記録装置100に接続された画像データの供給源であり、画像データの作成および処理等を行うコンピュータの形態の他、画像読み取り用のリーダ部等の形態であってもよい。画像データの信号、および、その他のコマンドおよびステータス信号等は、インターフェース(I/F)39を介して、ホスト装置38とコントローラ34との間において送受信される。
【0019】
操作表示部40には、操作者による指示入力を受容するスイッチ群と、操作者に記録装置100の内部情報等を提供するLCD42と、が備えられている。スイッチ群には、電源スイッチ41等が含まれる。センサ群43は、記録装置100の状態を検出するための検出群であり、キャリッジユニット11に搭載されているエンコーダセンサ15、およびキャリッジユニット11がホームポジションに移動したことを検出するためのフォトインタラプタ44を含む。センサ群43は、さらに、記録ヘッド13に供給される後述の吐出ヒータ駆動電圧(VH)をモニタするための電圧モニタ46等を含む。ヘッドドライバ47は、記録ヘッド13内の後述する吐出ヒータ48を記録データ等に応じて駆動する。モータドライバA49は、キャリッジユニット11を移動させるためのキャリッジモータ50を駆動するドライバであり、モータドライバB51は、記録媒体Pを搬送するための搬送モータ52を駆動するためのドライバである。
【0020】
(3)「記録ヘッドの構成」
記録ヘッド13には、複数の吐出口が主走査方向と交差(本例の場合は、直交)する方向に配列されており、これらの吐出口によって形成される吐出口列(ノズル列に対応)が複数備えられている。記録ヘッド13には、これらの吐出口からインクを吐出するために、吐出口のそれぞれに対応する吐出エネルギー発生素子が備えられている。吐出エネルギー発生素子としては、電気熱変換素子およびピエゾ素子などを用いることができる。本例においては、吐出エネルギー発生素子として電気熱変換素子(以下、「吐出ヒータ」ともいう)を用い、吐出ヒータを発熱させてインクを発泡させることにより、その発泡エネルギーを利用して吐出口からインクを吐出させる。
【0021】
図3は、記録ヘッド13内の電気回路の基本構成を説明するためのブロック図である。記録ヘッド13の基板(ヒータボード)には、計320の吐出ヒータR1〜R320と共に、それらの駆動回路が組み込まれている。本例の場合、それらの吐出ヒータR1〜R320は、16ずつの計15のブロックに分けられており、それらのブロック毎にドライバ回路64が接続されている。吐出ヒータに対応するシリアルデータ(SDATA)は、シフトレジスタ61,67によりクロック(CLK)に同期して整列される。シリアルデータ(SDATA)において、吐出ヒータのブロックの番号は、ラッチ信号(LT)に応じてラッチ回路62にラッチされ、ブロック内の吐出ヒータに対応する吐出データは、ラッチ信号(LT)に応じてラッチ回路66にラッチされる。ラッチ回路66にラッチされた吐出データは、アンドゲート68の入力端の一方に入力される。ヒート信号(HT)は、吐出ヒータの駆動(通電)時間を規定するためのイネーブル信号であり、アンドゲート68の入力端の他方に入力される。ラッチ回路62にラッチされた吐出ヒータのブロックの番号(ブロック番号)は、デコーダ63によって順次デコードされる。ドライバ回路64は、吐出ヒータ駆動電圧(VH)の電源ラインに接続される電源供給制御用のトランジスタアレイであり、吐出ヒータR1〜R320の通電をオン/オフする。
【0022】
図4(a)は、記録ヘッド13のノズル構成の説明図であり、図4(b)は、インク色毎のノズル列を制御する制御信号の説明図である。本例においては、図4(a)のように、インク毎のノズル群(PBk1、MBk、PBk2、Ye、Ma、Cy)が形成されている。図4(b)は、それらのノズル群を説明するための拡大図である。
【0023】
本例の記録ヘッド13においては、吐出口と吐出エネルギー発生素子を含むインクを吐出可能な複数のノズルNが矢印Y方向に直線的に配列されることによって、1つのノズル列が形成されている。インク色毎に、ノズル列が矢印X方向に4つ配列されていてノズル群を形成する。ブラックインク用のノズル群PBk1においては、2つのノズル列(偶数列E,奇数列O)を含むノズル列RAと、2つのノズル列(偶数列E,奇数列O)を含むノズル列RBと、が形成されている。ノズル列RA,RBにおいて、偶数列Eと奇数列OのノズルNのそれぞれは600dpiの解像度に対応する間隔で配列され、また偶数列Eのノズルと奇数列OのノズルNは、1200dpiの解像度に対応する距離だけずれている。シリアルデータ(SDATA1)は、ノズル列RAにおける偶数列E用のシリアルデータ、シリアルデータ(SDATA2)は、ノズル列RAにおける奇数列O用のシリアルデータである。また、シリアルデータ(SDATA3)は、ノズル列RBにおける偶数列E用のシリアルデータ、シリアルデータ(SDATA4)は、ノズル列RBにおける奇数列O用のシリアルデータである。ノズル列RAにおける偶数列Eと奇数列Oは、1つのヒート信号(HT1)によって制御され、ノズル列RBにおける偶数列Eと奇数列Oは、1つのヒート信号(HT2)によって制御される。
【0024】
他のインク用のノズル群MBk、PBk2、Ye、Ma、Cyは、ブラックインク用のノズル群PBk1と同様に構成されている。図4(b)の例においては、ブラックインク用のノズル群PBkとして、2つのノズル群PBk1およびPBk2が形成されている。このように、同色のインク用のノズル群が複数形成されていてもよく、そのインクはブラックインクのみに限定されない。吐出ヒータ駆動電圧(VH)は、各色のインク用のノズル群に供給される。本例においては、各色のインク用のノズル群に対して、共通の吐出ヒータ駆動電圧(VH)が供給される。
【0025】
以下の説明においては、図4(b)中の計24のノズル列を同図中の左側から右側に向かって「第1ノズル列」、「第2ノズル列」、「第3ノズル列」・・・「第24ノズル列」という。例えば、ノズル群PBk1のノズル列RAにおける偶数列Eが「第1ノズル列」、そのノズル列RAにおける奇数列Oが「第2ノズル列」となり、図4(b)中の最も右側のノズル群Cyのノズル列RBにおける奇数列Oが「第24ノズル列」となる。
【0026】
(4)「断線検知のための構成」
図5(a)は、FFC20(図1(b)参照)の断線検知用回路の構成例を説明するためのブロック図である。記録装置に搭載される基板としては、メイン基板21(図1(b)参照)と、キャリッジユニット11に搭載されるキャリッジ基板70と、が含まれる。記録ヘッド13は、キャリッジユニット11に装着されることにより、キャリッジ基板70に電気的に接続され、さらにFFC20を介してメイン基板21に電気的に接続される。
【0027】
通常の記録動作においては、記録ヘッド13に対して、第1のDC/DC変換回路71からキャリッジ基板70を経て第1電圧(V1)が供給される。第1電圧(V1)を供給する第1の電源ラインL1には、半導体トランジスタなどで構成される第1のスイッチSW1が備えられており、これにより、記録ヘッド13に対する第1電圧(V1)の供給のオン、オフを切り替えることができる。第1のスイッチSW1は、コントローラ34から供給される第1の制御信号(CNTL1)により制御される。第1電圧(V1)は、通常の記録動作時に、記録ヘッド13のノズルからインクを吐出するために吐出ヒータ48を駆動する吐出ヒータ駆動電圧(VH)として用いられる。
【0028】
また、FFC20の断線検知のために、第1電圧(V1)よりも低い第2電圧(V2)がキャリッジ基板70を経て記録ヘッド13に供給される。第2電圧(V2)は、FFC20の断線検知のために、記録ヘッド13のノズルからインクを吐出させない程度に、吐出ヒータ48を駆動する吐出ヒータ駆動電圧(VH)として用いられる。第2電圧(V2)は、AC/DC変換回路もしくはDC/DC変換回路からレギュレーターを介して供給してもよく、また、DC/DC変換回路から供給してもよい。図5(a)の例においては、第2電圧(V2)を第2のDC/DC変換回路72から供給する。第2のDC/DC変換回路72が接続される第2の電源ラインL2には、半導体トランジスタなどで構成される第2のスイッチSW2が備えられており、これにより、記録ヘッド13に対する第2電圧(V2)の供給のオフ、オンを切り替えることができる。第2のスイッチSW2は、コントローラ34から供給される第2の制御信号(CNTL2)によって制御される。
【0029】
第1、第2の電源ラインL1,L2を介して記録ヘッド13に供給される吐出ヒータ駆動電圧(VH)は、電圧モニタ(電圧検出部)46によって監視され、その監視結果はコントローラ34に出力される。電圧モニタ46は、コントローラ34に内蔵されている機能によって実現することもできる。コントローラ34からは、ノズルの駆動を制御するための制御信号がFFC20およびキャリッジ基板70を経て記録ヘッド13に供給される。その制御信号としては、シリアルデータ(SDATA)、クロック信号(CLK)、ラッチ信号(LT)、およびヒート信号(HT)が含まれる。FFC20に形成される複数の配線は、これらの制御信号に対応する信号ラインを含む。これらの制御信号により、ノズルはインクを吐出するための駆動動作を実行する。
【0030】
図5(b)は、FFC20の断線検知用回路の他の構成例を説明するためのブロック図である。前述した図5(a)の構成例においては、第1電圧(V1)よりも低い第2電圧(V2)の供給源としてDC/DC変換回路72を備えている。図5(b)の構成例においては、第2電圧(V2)の供給源として、第1電圧(V1)の供給源であるDC/DC変換回路71に抵抗R1を接続した供給回路を用いる。本例においては、1つのDC/DC変換回路71に抵抗R1を接続することにより、第1電圧(V1)の供給源よりも駆動電力の供給能力の低い供給源を構成することができる。つまり、第1電圧(V1)よりも制限された供給電力である第2電力(V2)がL2を介して記録ヘッド13に供給される。なお、抵抗R1は、記録ヘッド13内の吐出ヒータ48の抵抗値よりも大きい値とする。その理由は、後述するように、FFC20に断線が生じているか否かを判断する電圧モニタ値の精度に、抵抗R1が影響するからである。
【0031】
図6は、FFC20の断線検知動作時の処理(断線検知処理)を説明するためのフローチャートである。この断線検知処理は、記録ヘッド13がキャリッジユニット11に装着されている状態において、ROM36に格納された制御プログラムをCPU35が実行することにより実施される。また、図6におけるステップの一部または全部の機能は、ASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。なお、図6における各処理の説明における記号「S」は、図6のフローチャートにおけるステップであることを意味する。
【0032】
まず、CPU35は、第1の制御信号(CNTL1)によって第1のスイッチSW1をオフしてから(S1)、第2の制御信号(CNTL2)によって第2のスイッチSW2をオンにする(S2)。これにより、吐出ヒータ駆動電圧(VH)として、第2電圧(V2)が電源ラインL2を介して記録ヘッド13に供給される。その後、電圧モニタ46による記録ヘッド13の吐出ヒータ駆動電圧(VH)のモニタを開始し(S3)、以降のシーケンスにおいて、吐出ヒータ駆動電圧(VH)の電圧値を検出する。次に、CPU35は、ヒート信号(HT)に基づいて、記録ヘッド13の第1ノズル列(ノズル群PBk1のノズル列RAにおける偶数列E)を駆動して(S4)、吐出ヒータ駆動電圧(VH)が安定するまでのウェイト時間(安定時間)の経過を待つ(S5)。その後、CPU35は、吐出ヒータ駆動電圧(VH)をモニタしつつ、第1ノズル列を駆動してインクを吐出しながらキャリッジユニット11の移動を開始する(S6)。そして、キャリッジユニット11が移動方向の反転位置に到達するまで、吐出ヒータ駆動電圧(VH)を閾値(Tth)と比較する(S7,S8)。
【0033】
閾値(Tth)は、吐出ヒータ駆動電圧(VH)としての第2電圧(V2)未満の所定電圧である。ヘッドドライバ47の駆動により吐出ヒータ48に第2電圧(V2)が印加されて、その吐出ヒータ48に電流が流れたときに、第2電圧(V2)は閾値(Tth)以下まで電圧降下する。したがって、吐出ヒータ駆動電圧(VH)としての第2電圧(V2)が閾値(Tth)以下の場合には、駆動対象のノズル列が正常に駆動されて、そのノズル列に対応する配線に断線が生じていないと判断できる。一方、吐出ヒータ駆動電圧(VH)としての第2電圧(V2)が閾値(Tth)を越える場合には、駆動対象のノズル列に対応する配線に断線が生じていると判断できる。
【0034】
CPU35は、S7の比較において、吐出ヒータ駆動電圧(VH)としての第2電圧(V2)が閾値(Vth)を越える場合には、FFC20の断線を検知して(S10)、全ノズル列における吐出ヒータの駆動を停止する(S11)。そして、CPU35は、第2の制御信号(CNTL2)により第2のスイッチSW2をオフしてから(S12)、FFC20の断線の発生を表示パネル部6(図1(a)参照)等を用いてユーザに報知する(S13)。その通知の際には、例えば、操作表示部40(図2参照)に備えられた特定のランプ(不図示)を点灯させて警告を行ってもよい。FFC20の断線の検知結果の報知は、このような記録装置におけるエラー表示のみならず、記録装置に接続されるホスト装置38(図2参照)において実行してもよい。
【0035】
CPU35は、S7の判定において吐出ヒータ駆動電圧(VH)が閾値(Vth)以下であり、かつS8においてキャリッジユニット11が反転位置に到達したと判定された場合には、S4における駆動対象のノズル列の駆動を停止する(S9)。すなわち、FFC20における配線のうち、第1ノズル列に対応する配線には、断線が生じていないと判定して、そのノズル列の駆動を停止する。
【0036】
その後、CPU35は、第1ノズル列の隣の第2ノズル列(ノズル群PBk1のノズル列Aの奇数列O)に対応する配線に断線が生じている否かを判定する。そのために、CPU35は、その第2ノズル列のみを駆動する(S14)。S14からS19までの処理は、駆動対象のノズル列が第1ノズル列から第2ノズル列に代わった以外は、前述したS4からS9までの処理と同様であるため、説明は省略する。
【0037】
このように、前述したS4からS9までと同様の処理を他のノズル列に対しても実行する。すなわち、第2ノズル列の後は、第3ノズル列(ノズル群PBk1のノズル列Bにおける偶数列E)、および第4ノズル列(ノズル群PBk1のノズル列Bにおける奇数列Oのように、駆動対象のノズル列を変更する。そして、これらのノズル列毎の駆動時において、ノズル列毎に対応する配線に断線が生じている否かを順次判定する。最後の駆動対象のノズル列は、第24ノズル列(ノズル群Cyのノズル列Bにおける奇数列O)となる。その第24ノズル列に対応する配線に断線が生じていないと判定されたときには、そのノズル列の駆動を停止し(S20)、第2の制御信号(CNTL2)により第2のスイッチSW2をオフにして(S21)、一連の断線検知処理を終了する。
【0038】
本実施形態においては、各ノズル列の吐出ヒータに割り当てられているFFC20の全配線について、断線の有無を検知することができる。また、断線検知処理時にキャリッジユニット11を移動させることにより、FFC20の曲がりの状態を変化させつつ断線を検知することができる。したがって、FFC20の状態によって断線が生じたり生じなかったりする場合にも、その断線を確実に検知することができる。また、本例のように、キャリッジユニット11の移動範囲を移動可能な全範囲とすることにより、より確実に断線を検知することができる。
【0039】
図7は、FFC20の断線検知処理の実行時における信号波形の説明図である。記録動作時および記録動作の待機時(非記録動作時)は、第1のスイッチSW1がオン、第2のスイッチSW2がオフとされ、吐出ヒータ駆動電圧(VH)は第1電圧(V1)となっている。
【0040】
FFC20の断線検知処理を実行する場合には、前述したように、第1のスイッチSW1をオフとし、第2のスイッチSW2をオンとする(S1,S2)。この状態において、シリアルデータ(SDATA)、クロック信号(CLK)、ラッチ信号(LT)、ヒート信号(HT)に基づいて吐出ヒータ48が駆動された場合、吐出ヒータ駆動電圧(VH)は通常の第1電圧(V1)よりも低い第2電圧(V2)となる。図7においては、それらの信号の代表としてヒート信号(HT)のみが記載されている。図7中の安定時間は、吐出ヒータ駆動電圧(VH)が第1電圧(V1)から第2電圧(V2)に安定するまでの過渡期であり、図6のS5におけるウエイトタイムに対応する。吐出ヒータ駆動電圧(VH)が第2電圧(V2)となった後(S5)、キャリッジユニット11が移動を開始して(S6)、FFC20の断線検知時間に移行する。その断線検査時間において、吐出ヒータ駆動電圧(VH)としての第2電圧(V2)が所定の閾値(Vth)を越えるときには、そのときの駆動対象のノズル列に対応する配線が断線状態にあると判定する。
【0041】
叙述したFFC20の断線検知シーケンスは、図4(b)のような全24列のノズル列の吐出ヒータに対応する配線の断線を検知するために、キャリッジユニット11を24回移動させる専用のシーケンスとして実行してもよい。また、このような断線検知シーケンスは、キャリッジユニット11に備わる光学式センサ22(図1(b)参照)などを用いて記録媒体の幅を検知するシーケンスと同時に実行してもよい。また、記録装置が起動するときの初期動作中において、キャリッジユニット11を移動させるタイミングでFFC20の断線検知シーケンスを同時に実行してもよい。このように、記録動作以外の目的のためにキャリッジユニット11を移動させる様々な非記録動作時に、FFC20の断線検知シーケンスを同時に実行してもよい。記録媒体の幅の検知するシーケンスにおいては、キャリッジユニット11の移動は1往復だけであるため、その移動と往時と復時において、計2つのノズル列に対応する配線の断線しか検知できない。この場合には、次の非記録動作時にキャリッジユニット11を移動させる機会に、他のノズル列用の配線について、例えば、先に断線検知が終わったノズル列の隣のノズル列から順に断線検知を実行すればよい。また、FFC20の断線検知シーケンスは、記録装置の起動時に実行してもよく、また操作者からの指示に基づいて実行してもよい。
【0042】
以上に説明したように、本実施形態においては、複雑な回路などを必要とすることなく、記録ヘッドの各ノズル列に対応する配線の断線を簡易な構成によって検知することができる。また、FFCの断線検知処理の実行タイミングは、本実施形態のようなキャリッジユニットの移動時に限定されず、キャリッジユニットが停止している状態において実行してもよい。
【0043】
(第2の実施形態)
前述した第1の実施形態においては、吐出ヒータ用の配線の断線が検出された場合に、直ちに、その断線をエラーとしてユーザに通知する。したがって、断線が生じた配線を特定することなく、断線が生じているか否かを短時間で判定することができる。本発明の第2の実施形態においては、断線が生じた配線を特定する。
【0044】
図8は、本実施形態におけるFFCの断線検知処理を説明するためのフローチャートである。ROM36に格納された制御プログラムをCPU35が実行することにより実施される。前述した実施形態における図6のステップと同様のステップには、同一のS番号を付して説明を省略する。
【0045】
CPU35は、まず、第1ノズル列(ノズル群PBk1のノズル列RAにおける偶数列E)を駆動対象とし、キャリッジユニット11が反転位置に到達するまで、吐出ヒータ駆動電圧(VH)としての第2電圧(V2)を閾値(Tth)と比較する(S7,S8)。そのS7において、吐出ヒータ駆動電圧(VH)が閾値(Vth)を越える場合には、FFC20に断線が生じていると判定して(S31)、第1ノズル列に対応する配線が断線しているという情報をRAM37(図2参照)に保存する(S32)。その後、S9に移行する。
【0046】
次に、CPU35は、第2ノズル列(ノズル群PBk1のノズル列RAにおける奇数列O)を駆動し、キャリッジユニット11が反転位置に到達するまで、吐出ヒータ駆動電圧(VH)としての第2電圧(V2)を閾値(Tth)と比較する(S17,S18)。S14からS19,S33,S34の処理は、駆動対象のノズル列が変更された以外は、前述したS4からS9,S31,S32の処理と同様であるため、説明は省略する。
【0047】
このように、前述したS14からS19,S33,S34と同様の処理を他のノズル列に対しても実行し、駆動対象のノズル列を変更し、それらの駆動対象のノズル列に対応する配線に断線が生じている否かを順次判定する。最後の駆動対象のノズル列は、第24ノズル列(ノズル群Cyのノズル列Bにおける奇数列O)となる。その第24ノズル列に対応する配線に断線が生じていないと判定されたときには、そのノズル列の駆動を停止し(S20)、第2の制御信号(CNTL2)により第2のスイッチSW2をオフにして(S21)、記録ヘッド13への駆動電力の供給を止める。
【0048】
その後、CPU35は、駆動対象の全ノズル列に対応するFFCの配線の中に、断線と判定された配線があるか否かを判定し(S35)、いずれの配線も断線と判定されなかった場合には、FFCの断線検知の一連のシーケンスを終了する。断線と判定された配線が1つでもあった場合、CPU35は、ステップS36へ移行し、後述するように断線した配線を特定するための処理を実行し(S36)、その特定した配線を表示パネル部6などによって通知(エラー表示)する。その通知の際には、例えば、操作表示部40(図2参照)に備えられた特定のランプ(不図示)を点灯させて警告を行ってもよい。FFC20の断線発生の通知は、このような記録装置におけるエラー表示のみならず、記録装置に接続されるホスト装置38(図2参照)において実行してもよい。
【0049】
図9は、断線した配線を特定するための処理(図8のS36)の説明図である。以下においては、一例として、第1および第2ノズル列(ノズル群PBk1のノズル列Aにおける偶数列Eおよび奇数列O)の少なくとも一方に対応する配線に断線が生じた場合について説明する。図9において、「OK」は、ノズル列に対応する配線の断線が検知されなかったことを意味し、「NG」は、ノズル列に対応する配線の断線が検知されたことを意味する。
【0050】
CPU35は、第1ノズル列に対応する配線のみの断線が検知された場合には、その第1ノズル列用のシリアルデータ(SDATA1)の配線(図4(b)参照)が断線したと判定する。また、第2ノズル列に対応する配線のみの断線が検知された場合には、その第2ノズル列用のシリアルデータ(SDATA2)の配線(図4(b)参照)が断線したと判定する。また、第1ノズル列と第2ノズル列の両方に対応する配線の断線が検知された場合には、それらの第1,第2ノズル列に共通するヒート信号(HT1)の配線(図4(b)参照)が断線したと判定する。また、第1,第2ノズル列を含む全てのノズル列に対応する配線の断線が検知された場合には、全てのノズル列に共通するクロック信号(CLK)、およびラッチ信号(LT)の配線が断線したと判定する。このようにCPU35は、断線検知処理の検出結果に応じて、断線した配線を特定する。
【0051】
第1,第2ノズルと同様に、他のノズル列に対応するシリアルデータ(SDATA)の配線およびヒート信号(HT)の配線の断線を判定することできる。つまり、第1,第2ノズルと同様に、他のノズル列についても断線した配線を特定することができる。
【0052】
以上に説明したように、本実施形態においては、FFCにおいて断線した配線を特定することができる。したがって、記録ヘッドに対して複数のFFCが接続されている場合には、断線が生じたFFCを特定することが可能である。その場合、表示パネル部6(図1(a)参照)等を用いて、断線が生じた特定のFFCに関する情報を表示することにより、断線が生じたFFCのみを交換し、それ以外のFFCはそのまま使い続けることが可能となる。
【0053】
(第3の実施形態)
本実施形態においては、前述した第1の実施形態における図4(a),(b)のようにノズル群(PBk1、MBk、PBk2、Ye、Ma、Cy)が形成された記録ヘッド13に対して、図10のように配線が接続される。シリアルデータ(SDATA)とヒート信号(HT)の配線と、各ノズル列と、の接続関係は、前述した第1の実施形態と同様であるため説明は省略する。本実施形態における吐出ヒータ駆動電圧(VH)は、ノズル群PBk1、MBk、PBk2を含むグループに供給される吐出ヒータ駆動電圧(VH1)と、ノズル群Ye、Ma、Cyを含むグループに供給される吐出ヒータ駆動電圧(VH2)と、分けられる。
【0054】
図11(a)は、FFC20(図1(b)参照)の断線検知用回路の構成例を説明するためのブロック図である。前述した第1の実施形態と同様に、記録装置に搭載される基板としては、メイン基板21(図1(b)参照)と、キャリッジユニット11に搭載されるキャリッジ基板70と、が含まれる。記録ヘッド13は、キャリッジユニット11に装着されることにより、キャリッジ基板70に電気的に接続され、さらにFFC20を介してメイン基板21に電気的に接続される。
【0055】
通常の記録動作においては、記録ヘッド13に対して、第1のDC/DC変換回路81からFFC20およびキャリッジ基板70を経て第1電圧(V1)が供給される。第1電圧(V1)を供給する第1の電源ラインL1には、半導体トランジスタなどで構成される第1のスイッチSW1と第3のスイッチSW3が備えられており、これにより、記録ヘッド13に対する第1電圧(V1)の供給のオン、オフを切り替えることができる。第1のスイッチSW1と第3のスイッチSW3は、コントローラ34から供給される第1の制御信号(CNTL1)により制御される。第1電圧(V1)は、通常の記録動作時に記録ヘッド13を駆動するための吐出ヒータ駆動電圧(VH1,VH2)として用いられる。
【0056】
また、FFC20の断線検知のために、第1電圧(V1)よりも低い第2電圧(V2)および第3電圧(V3)がFFC20およびキャリッジ基板70を経て記録ヘッド13に供給される。第2電圧(V2)は、ノズル群PBk1、MBk、PBk2を含むグループに供給され、第3電圧(V3)は、ノズル群Ye、Ma、Cyを含むグループに供給される。このようにグループ毎に供給される第2電圧(V2)および第3電圧(V3)は、AC/DC変換回路もしくはDC/DC変換回路からレギュレーターを介して供給してもよく、また、DC/DC変換回路から供給してもよい。図11(a)の例においては、第2電圧(V2)を第2のDC/DC変換回路82から供給し、第3電圧(V3)を第3のDC/DC変換回路83から供給する。本実施形態における第2電圧(V2)および第3電圧(V3)は、前述した実施形態における第2電圧(V2)に対応する。
【0057】
DC/DC変換回路82,83から供給される第2電圧(V2)および第3電圧(V3)は、前述した実施形態における第2電圧(V2)に対応する。ヘッドドライバ47の駆動により吐出ヒータ48に第2電圧(V2)および第3電圧(V3)が印加されて、吐出ヒータ48に電流が流れたときに、第2電圧(V2)および第3電圧(V3)は閾値(Tth)以下まで電圧降下する。DC/DC変換回路82,83には、このように、ノズル列の駆動時に所定以上の電圧降下が生じる駆動電力を供給する。第2および第3のDC/DC変換回路82,83が接続される第2および第3の電源ラインL2,L3には、半導体トランジスタなどで構成される第2および第4のスイッチSW2,SW4が備えれている。これにより、記録ヘッド13に対する第2電圧(V2)および第3電圧(V3)の供給のオフ、オンを切り替えることができる。第2および第4のスイッチSW2,SW4は、コントローラ34から供給される第2の制御信号(CNTL2)によって制御される。
【0058】
第1、第2の電源ラインL1,L2を介して記録ヘッド13に供給される吐出ヒータ駆動電圧(VH1、V2)は、第1の電圧モニタ46(1)によって監視され、その監視結果はコントローラ34に出力される。また、第1、第3の電源ラインL1,L3を介して記録ヘッド13に供給される吐出ヒータ駆動電圧(VH2、V3)は、第2の電圧モニタ46(2)によって監視され、その監視結果はコントローラ34に出力される。電圧モニタ46(1),46(2)は、コントローラ34に内蔵されている機能によって実現することもできる。コントローラ34からは、前述した第1の実施形態における図3と同様に、シリアルデータ(SDATA)、クロック信号(CLK)、ラッチ信号(LT)、およびヒート信号(HT)がキャリッジ基板70を経て記録ヘッド13に供給される。
【0059】
図11(b)は、FFC20の断線検知用回路の他の構成例を説明するためのブロック図である。前述した図11(a)の構成例においては、第1電圧(V1)よりも低い第2電圧(V2)および第3電圧(V3)の供給源として、DC/DC変換回路82,83を備えている。図11(b)の構成例においては、第2電圧(V2))および第3電圧(V3)の供給源として、第1電圧(V1)の供給源であるDC/DC変換回路81に抵抗R1,R2を接続した供給回路を用いる。本例においては、1つのDC/DC変換回路81に抵抗R1,R2を接続することにより、第1電圧(V1)より低電圧の供給源を構成することができる。抵抗R1,R2は、記録ヘッド13内の吐出ヒータ48の抵抗値よりも大きい値とする。その理由は、FFC20に断線が生じているか否かを判断する電圧モニタ値の精度に、抵抗R1が影響するからである。
【0060】
図12は、本実施形態におけるFFCの断線検知処理を説明するためのフローチャートである。ROM36に格納された制御プログラムをCPU35が実行することにより実施される。前述した第1の実施形態における図6におけるステップと同様のステップには、同一のS番号を付して説明を省略する。
【0061】
まず、CPU35は、第1の制御信号(CNTL1)によって第1および第3のスイッチSW1,SW2をオフしてから(S1)、第2の制御信号(CNTL2)によって第2および第4のスイッチSW2,SW4をオンにする(S2)。これにより、吐出ヒータ駆動電圧(VH1,VH2)として、第2および第3電圧(V2,V3)が電源ラインL2,L3を介して記録ヘッド13に供給される。その後、電圧モニタ46(1),46(2)による記録ヘッド13の吐出ヒータ駆動電圧(VH1,VH2)のモニタを開始し(S3)、以降のシーケンスにおいて、吐出ヒータ駆動電圧(VH1,VH2)の電圧値を検出する。
【0062】
その後、CPU35は、ヒート信号(HT)に基づいて、第1ノズル列(ノズル群PBk1のノズル列RAにおける偶数列E)と、第13ノズル列(ノズル群Yeのノズル列RAにおける偶数列E)と、を駆動する(S4,S4A)。そして、吐出ヒータ駆動電圧(VH1,VH2)が安定するまでのウェイト時間(安定時間)の経過を待つ(S5)。次に、CPU35は、吐出ヒータ駆動電圧(VH1,VH2)をモニタしつつ、第1ノズル列と第13ノズル列を駆動しながら、キャリッジユニット11の移動を開始する(S6)。そして、キャリッジユニット11が移動方向の反転位置に到達するまで、吐出ヒータ駆動電圧(VH1,VH2)としての第2電圧(V2)および第3電圧(V3)を閾値(Tth)と比較する(S7,S7A,S8)。CPU35は、吐出ヒータ駆動電圧(VH1)および/または(VH2)が閾値(Vth)を越える場合には、第1および/第2ノズル列に対応するFFC20の配線の断線を検知して、S10からS13の処理に移行する。S12においては、第2の制御信号(CNTL2)により、第2のスイッチSW2、および第4のスイッチSW4がオフとなる。
【0063】
CPU35は、S7,S7Aにて、吐出ヒータ駆動電圧(VH1,VH2)がいずれも閾値(Vth)以下と判定し、かつS8にて、キャリッジユニット11が反転位置に到達したと判定した場合には、第1および第2ノズル列の駆動を停止する(S9,S9A)。すなわち、第1および第2ノズル列に対応する配線には断線が生じていないと判定する。
【0064】
その後、CPU35は、第1および第13ノズル列の隣の第2ノズル列(ノズル群PBk1のノズル列Aの奇数列O)および第14ノズル列(ノズル群Yeのノズル列RAにおける奇数列O)を駆動する(S14,S14A)。そして、これらの第2および第14ノズル列に対応する配線に、断線が生じているか否かを判定する。S14からS19Aまでの処理は、駆動対象のノズル列が変更された以外は、前述したS4からS9Aまでの処理と同様であるため、説明は省略する。
【0065】
このように、前述したS4からS9Aまでと同様の処理を他のノズル列に対しても実行し、これらの駆動対象のノズル列に対応する配線に断線が生じている否かを順次判定する。最後の駆動対象のノズル列は、第12ノズル(ノズル群PBk2のノズル列Bにおける奇数列O)および第24ノズル列(ノズル群Cyのノズル列Bにおける奇数列O)となる。これらの第12および第24ノズル列に対応する配線に断線が生じていないと判定されたときには、それらのノズル列の駆動を停止する(S20A)。その後、第2の制御信号(CNTL2)により第2および第4のスイッチSW2,SW4をオフにして(S21)、一連の断線検知処理を終了する。
【0066】
本実施形態においては、吐出ヒータ駆動電圧を記録ヘッドに供給するための2系統の供給源が構成されている。しかし、吐出ヒータ駆動電圧の供給源は、3系統以上であってもよく、インク色毎に個別に対応する多系統でってもよい。これらの場合には、系統毎の吐出ヒータ駆動電圧の供給源と、それらの供給源と吐出ヒータとの間の電力供給ラインに備わるスイッチと、系統毎の吐出ヒータ駆動電圧をモニタする電圧モニタと、を用いることにより対応できる。これらの複数系統の吐出ヒータ駆動電圧の供給源に対応する配線の断線を同時に検知することができるため、断線検知に要する時間を短縮することができる。
【0067】
また、前述した実施形態と同様に、記録動作以外の目的のためにキャリッジユニットを移動させる様々な非記録動作時(例えば、記録媒体の幅の検知時など)に、FFCの断線検知シーケンスを同時に実行してもよい。また、キャリッジユニットが停止している状態において、FFCの断線検知処理を実行してもよい。
【0068】
以上説明したように、本実施形態においては、複数の吐出ヒータ駆動電圧の供給源に対応する配線の断線を同時に検知することにより、断線検知に要する時間を短縮することができる。
【0069】
(第4の実施形態)
本実施形態は、前述した第1の実施形態における図1から図7と同様の構成において、ノズル列に対応する配線の断線に起因する記録画像の画質低下の抑制を実現する。
【0070】
図13は、本実施形態におけるFFCの断線検知処理を説明するためのフローチャートであり、前述した第1の実施形態における図6のフローチャートのS10からS13に代わりに、S41,S42を含む点において、図6のフローチャートと異なる。第1の実施形態における図6のステップと同様のステップには、同一のS番号を付して説明を省略する。
【0071】
CPU35は、S7において、吐出ヒータ駆動電源(VH)としての第1電圧(V1)が閾値(Vth)を越える場合、つまり第1ノズル列(ノズル群PBk1のノズル列RAにおける偶数列E)に対応する配線の断線を検知した場合には、S41に移行する。S41において、CPU35は、第1ノズル列に対応する配線の断線が検知されたことと、その断線を検知したときのキャリッジユニット11の移動位置と、をROM36(図2参照)に格納する。キャリッジユニット11の移動位置は、エンコーダセンサ15(図2参照)によって検出される。その後、CPU35は、キャリッジユニット11が反転位置に到達するまでS7,S8の処理を繰り返す。
【0072】
CPU35は、第1ノズル列に対応する配線の断線検知の終了後、そのノズル列の駆動を停止してから(S9)、第2ノズル列(ノズル群PBk1のノズル列RAにおける奇数列O)に対応する配線の断線検知を行う(S14からS19、およびS42)。S14からS19、およびS42は、S1からS9、およびS41と同様の処理であるため、説明は省略する。このように、CPU35は、前述したS1からS9、およびS41と同様の処理を他のノズル列に対しても実行する。そして、それらのノズル列に対応する配線の断線が検出された場合に、断線が検知されたノズル列と、その断線を検知したときのキャリッジユニット11の移動位置と、を順次格納する。CPU35は、全てのノズル列に対応する配線の断線検知処理を終了した後、第2の制御信号(CNTL2)により第2のスイッチSW2をオフにして(S21)、一連の断線検知処理を終了する。
【0073】
図14は、記録ヘッド13の矢印X1方向の1回の記録走査によって、記録媒体Pに記録される記録画像Iaの説明図である。具体的には、第1ノズル列を駆動したときのキャリッジユニット11の移動位置に応じて、その第1ノズル列に対応するFFCの配線に断線が生じたり生じなかったり変化した場合の説明図である。配線の一時的な断線により、記録画像Iaには局所的な空白部Ibが発生する。
【0074】
このような状態の記録装置において、FFCの断線検知処理を実施した場合には、サンプリングタイミングS0からS10において、電圧モニタ46(図5参照)が吐出ヒータ駆動電圧(VH)をサンプリングする。そして、図13のS7において、そのサンプリングした吐出ヒータ駆動電圧(VH)に基づいて、断線の有無の判定処理が行われる。タイミングS0からS2までの判定処理においては断線が検知されず、タイミングS3およびS4の判定処理において断線が検知される。この場合には、配線の断線が検知されたノズル列が第1ノズル列であること(例えば、ノズル列名)と、タイミングS3およびS4に対応するキャリッジユニット11の移動位置と、がROM36(図2参照)に記憶される。その後のタイミングS5からS10の判定処理においては断線が検知されない。他のノズル列に対しても同様の断線検知処理が行われる。
【0075】
図14(b)は、図14(a)における空白部Ibに記録すべき画像Icを他のノズル列を用いて記録することによって、補完する場合の説明図である。図14(a)のように、サンプリングタイミングS0からS10においてサンプリングした吐出ヒータ駆動電圧(VH)に基づいて断線の有無の判定処理を行った後に、通常の記録動作を実行する。その際、断線が検知されたタイミングS3とS4を含むタイミングS2からS5までの範囲に記録すべき画像Icは、他のノズル列を用いて記録することにより補完する。
【0076】
本例のように、第1ノズル列(ノズル群PBk1のノズル列RAにおける偶数列E)に対応する配線の断線が検知された場合には、第3ノズル列(ノズル群PBk1のノズル列RBにおける偶数列E)を用いて補完することができる。その理由は、それらの第1および第3ノズル列におけるノズルは、図4(b)のようにY方向における位置が同一であるからである。タイミングS0からS2、およびタイミングS5からS10までの領域は第1ノズル列によって記録し、タイミングS2からS5までの領域は第3ノズル列によって記録する。これにより、第1ノズル列によって記録された画像と同様の記録品位を得ることができる。また、他のノズル列に対応する配線の断線が検知された場合も同様である。
【0077】
本例においては、図4(b)のように、ブラックインク用のノズル群PBkとして2つのノズル群PBk1,PBk2が構成されている。そのため、第1ノズル列に対応する配線の断線が検知された場合に、それらのノズル群PBk1,PBk2を用いて補完することもできる。具体的には、第9ノズル列(ノズル群PBk2のノズル列RAにおける偶数列E)、または第11ノズル列(ノズル群PBk2のノズル列RBにおける偶数列E)を用いて補完することができる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態においては、あるノズル列に対応する配線の断線に起因する画像の非記録部分を他のノズル列を用いて記録して補完することにより、断線に起因する記録が字の画質の低下を抑制することができる。
【0079】
(他の実施形態)
断線検知動作時におけるシリアルデータ(SDATA)は、それぞれのノズル列における少なくとも1つのノズルからインクを吐出するデータであればよい。例えば、断線検知専用の記録データ、通常の記録データ、またはテストパターン用の記録データなどを用いることができる。
【0080】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0081】
11 キャリッジユニット(キャリッジ)
13 記録ヘッド
20 フラットケーブル(ケーブル)
31 電源ユニット
34 コントローラ(制御部)
46 電圧モニタ(電圧検出部)
100 記録装置
N ノズル
P 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14