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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-163939(P2020-163939A)
(43)【公開日】2020年10月8日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/12 20060101AFI20200911BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20200911BHJP
【FI】
   B60C11/12 A
   B60C11/12 C
   B60C11/03 300A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-64925(P2019-64925)
(22)【出願日】2019年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗山 正俊
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131BC12
3D131BC19
3D131BC33
3D131EB11V
3D131EB11X
3D131EB81V
3D131EB81X
3D131EB94V
3D131EB94X
3D131EB99V
3D131EB99X
3D131EC11V
3D131EC11X
(57)【要約】
【課題】耐摩耗性能、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上できる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延びる周方向主溝2と、周方向主溝2によって区画された陸部であるブロック5とを備える空気入りタイヤであり、ブロック5をタイヤ幅方向に貫通するサイプ7と、サイプ7に設けられた面取部8とを備える。面取部8のタイヤ幅方向の長さは、サイプ7のタイヤ幅方向の長さに対して70%未満である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延びる周方向主溝と、前記周方向主溝によって区画された陸部と、前記陸部をタイヤ幅方向に貫通するサイプと、前記サイプに設けられた面取部とを備え、前記面取部のタイヤ幅方向の長さは、前記サイプのタイヤ幅方向の長さに対して70%未満である空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記面取部のタイヤ幅方向の長さは、前記サイプのタイヤ幅方向の長さに対して20%以上である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記周方向主溝の溝深さをDとし、前記サイプの深さをDsとし、前記面取部の深さをDmとした場合に、D>Ds>Dmである請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記陸部の踏面における前記サイプの延在方向に直交する方向の前記面取部の幅をMLとした場合に、前記面取部の深さDmに対して、ML>Dmである請求項3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記面取部は、前記サイプの溝壁面の少なくとも一方に設けられている請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の空気入りタイヤにおいて、排水性を確保するためにサイプをトレッド部に設けことがある。また、サイプの壁面に切欠部を設けた切欠サイプをトレッド部に設けことがある。かかる構成を採用する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−237398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来の空気入りタイヤについては、耐摩耗性能、ドライ制動性能およびウエット制動性能について改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、耐摩耗性能、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のある態様による空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる周方向主溝と、前記周方向主溝によって区画された陸部と、前記陸部をタイヤ幅方向に貫通するサイプと、前記サイプに設けられた面取部とを備え、前記面取部のタイヤ幅方向の長さは、前記サイプのタイヤ幅方向の長さに対して70%未満である。
【0007】
前記面取部のタイヤ幅方向の長さは、前記サイプのタイヤ幅方向の長さに対して20%以上であることが好ましい。
【0008】
前記周方向主溝の溝深さをDとし、前記サイプの深さをDsとし、前記面取部の深さをDmとした場合に、D>Ds>Dmであることが好ましい。
【0009】
前記陸部の踏面における前記サイプの延在方向に直交する方向の前記面取部の幅をMLとした場合に、前記面取部の深さDmに対して、ML>Dmであることが好ましい。
【0010】
前記面取部は、前記サイプの溝壁面の少なくとも一方に設けられていればよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる空気入りタイヤによれば、耐摩耗性能、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。
図2図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。
図3図3は、図2に記載したブロックの第1の例を示す拡大図である。
図4図4は、図3中のA−A部の断面図である。
図5図5は、図2に記載したブロックの第2の例を示す拡大図である。
図6図6は、図2に記載したブロックの第3の例を示す拡大図である。
図7図7は、図2に記載したブロックの第4の例を示す拡大図である。
図8図8は、図2に記載したブロックの第5の例を示す拡大図である。
図9図9は、図2に記載したブロックの第6の例を示す拡大図である。
図10図10は、図9中のA−A部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施形態の説明において、他の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。各実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、この実施形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0014】
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。図1は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、図1は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用スタッドレスタイヤを示している。
【0015】
図1において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
【0016】
空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17とを備える(図1参照)。
【0017】
一対のビードコア11、11は、スチールから成る1本あるいは複数本のビードワイヤを多重に巻き廻して成る環状構造を有し、ビード部に埋設されて左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を構成する。
【0018】
カーカス層13は、1枚のカーカスプライから成る単層構造あるいは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13のカーカスプライは、スチールあるいは有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で80[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの長手方向の傾斜角として定義される)を有する。
【0019】
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143とを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で20[deg]以上55[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの長手方向の傾斜角として定義される)を有し、ベルトコードの長手方向を相互に交差させて積層される(いわゆるクロスプライ構造)。ベルトカバー143は、スチールあるいは有機繊維材から成るベルトコードをコートゴムで被覆して構成され、絶対値で0[deg]以上10[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143は、例えば、1本あるいは複数本のベルトコードをコートゴムで被覆して成るストリップ材であり、このストリップ材を交差ベルト141、142の外周面に対してタイヤ周方向に複数回かつ螺旋状に巻き付けて構成される。
【0020】
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されて、ビード部のリム嵌合面を構成する。
【0021】
[トレッドパターン]
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。図2は、典型的なブロックパターンを示している。図2において、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸周りの方向をいう。また、符号Tは、タイヤ接地端であり、寸法記号TWは、タイヤ接地幅である。
【0022】
図2に示すように、空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝2と、これらの周方向主溝2に区画された複数の陸部3と、これらの陸部3に配置された複数のラグ溝4とをトレッド面に備える。複数の陸部3のうち、タイヤ赤道面CLに近い陸部3は、センター陸部3Cである。センター陸部3Cのタイヤ幅方向外側の陸部3は、ショルダー陸部3Sである。
【0023】
主溝とは、JATMAに規定されるウェアインジケータの表示義務を有する溝であり、3.0mm以上の溝幅および5.0mm以上の溝深さを有する。また、ラグ溝とは、タイヤ幅方向に延在する横溝であり、1.0mm以上の溝幅および3.0mm以上の溝深さを有し、タイヤ接地時に開口して溝として機能する。
【0024】
溝幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、溝開口部における左右の溝壁の距離の最大値として測定される。陸部が切欠部や面取部をエッジ部に有する構成では、溝長さ方向を法線方向とする断面視にて、トレッド踏面と溝壁の延長線との交点を測定点として、溝幅が測定される。また、溝がタイヤ周方向にジグザグ状あるいは波状に延在する構成では、溝壁の振幅の中心線を測定点として、溝幅が測定される。
【0025】
溝深さは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、トレッド踏面から溝底までの距離の最大値として測定される。また、溝が部分的な凹凸部やサイプを溝底に有する構成では、これらを除外して溝深さが測定される。
【0026】
規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
【0027】
また、タイヤ赤道面CLを境界とする1つの領域に配置された2本以上の周方向主溝(タイヤ赤道面CL上に配置された周方向主溝を含む。)のうち、タイヤ幅方向の最も外側にある周方向主溝を最外周方向主溝として定義する。最外周方向主溝は、タイヤ赤道面CLを境界とする左右の領域にてそれぞれ定義される。タイヤ赤道面CLから最外周方向主溝までの距離(図中の寸法記号省略)は、タイヤ接地幅TWの20[%]以上35[%]以下の範囲にある。
【0028】
タイヤ接地幅TWは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を付与したときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大直線距離として測定される。
【0029】
タイヤ接地端Tは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大幅位置として定義される。
【0030】
また、最外周方向主溝2に区画されたタイヤ幅方向外側の陸部3をショルダー陸部として定義する。ショルダー陸部3は、タイヤ幅方向の最も外側の陸部であり、タイヤ接地端T上に位置する。
【0031】
また、図2の構成では、上記のように、各陸部3が複数のラグ溝4をそれぞれ備えている。また、これらのラグ溝4が、陸部3を貫通するオープン構造を有すると共に、タイヤ周方向に所定間隔で配列されている。これにより、すべての陸部3がラグ溝4によりタイヤ周方向に分断されて、複数のブロック5から成るブロック列が形成されている。しかし、これに限らず、陸部3がタイヤ周方向に連続するリブであっても良い(図示省略)。
【0032】
各ブロック5の接地幅Wbは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を付与したときのブロックと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大直線距離として測定される。
【0033】
また、図2の構成では、周方向主溝2およびラグ溝4が格子状に配列されて、矩形状のブロック5が形成されている。しかし、ブロック5は、任意の形状を有し得る。例えば、周方向主溝2がタイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状を有しても良いし、ラグ溝4が屈曲あるいは湾曲した形状を有しても良い(図示省略)。また、例えば、空気入りタイヤ1が、図2の周方向主溝2およびラグ溝4に代えて、タイヤ周方向に対して所定角度で傾斜しつつ延在する複数の傾斜主溝と、隣り合う傾斜主溝を連通させるラグ溝と、これらの傾斜主溝およびラグ溝に区画されて成る複数のブロックとを備えても良い(図示省略)。これらの構成では、ブロックが長尺かつ複雑な形状を有し得る。
【0034】
また、図2には示していないが、各ブロック5は、後述するように、サイプと、そのサイプに形成された面取部とを有する。
【0035】
[ブロックのサイプおよび面取部]
図3は、図2に記載したブロックの第1の例を示す拡大図である。図3は、センター陸部3Cにある単体のブロック5の平面図を示している。
【0036】
図3に示すように、ブロック5は、複数のサイプ7と、各サイプ7に設けられた面取部8とを備える。サイプ7と面取部8とは1列に配置されている。サイプ7は、トレッド踏面に形成された切り込みであり、0.4mm以上1.0mm以下の溝幅および4mm以上32mm以下の溝深さを有する。サイプ7は、タイヤ接地時に閉塞する。
【0037】
サイプ7は、ブロック5すなわち陸部(図2参照)をタイヤ幅方向に貫通している。サイプ7が配置されている部分において、サイプ7は、タイヤ幅方向の長さに対して、100%の長さを有する。ブロック5が矩形である場合、サイプ7は、ブロック5のタイヤ幅方向の最小長さに対して、100%の長さを有する。ブロック5が矩形である場合、サイプ7は、ブロック5のタイヤ幅方向の最大長さに対して、100%の長さを有する。サイプ7は、サイプ7が設けられている部分において、ブロック5を分断する。ブロック5が矩形である場合、ブロック5のタイヤ幅方向の最小長さおよび最大長さは接地幅Wbと一致するので、サイプ7は接地幅Wbに対して100%の長さを有する。
【0038】
図3は、一対の周方向主溝2およびラグ溝によって区画されるブロック5に、2本のサイプ7が設けられている場合を示している。サイプ7の数は2本に限定されず、より多くのサイプ7が設けられていてもよい。
【0039】
図3において、本例のサイプ7には、1つの面取部8が設けられている。面取部8は、隣接する面のエッジ部を平面(例えば、C面取り)または曲面(例えば、R面取り)で接続する部分である。すなわち、サイプ7の溝壁面とブロック5の接地面とが隣接しており、それら隣接する面のエッジ部を平面または曲面で接続する部分が面取部8である。
【0040】
面取部8のタイヤ幅方向の長さWmは、サイプ7のタイヤ幅方向の長さWsに対して70%未満の長さである。長さWmが長さWsの70%未満であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。なお、サイプ7のタイヤ幅方向の長さWsのうち、面取部8のタイヤ幅方向の長さWmを除く、長さWs1およびWs2の部分は、面取部8が設けられておらず、サイプ7が設けられている。
【0041】
面取部8のタイヤ幅方向の長さWmは、サイプ7のタイヤ幅方向の長さWsに対して20%以上の長さである。長さWmが長さWsの20%以上であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。例えば、サイプ7のタイヤ幅方向の長さWsが4mm以上32mm以下である場合に、面取部8のタイヤ幅方向の長さWmは3mm以上28mm以下である。
【0042】
なお、周方向主溝2の延在方向に垂直な方向の幅は、例えば5mm以上12mm以下である。面取部8の延在方向に垂直な方向の幅は、例えば1.0mm以上3.0mm以下である。
【0043】
図4は、図3中のA−A部の断面図である。図4において、サイプ7の深さをDs、面取部8の深さ(最深部の深さ)をDmとし、周方向主溝の溝深さをDとした場合に、深さの関係はD>Ds>Dmである。このような深さの関係であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。
【0044】
なお、周方向主溝2の深さは、例えば4mm以上8mm以下である。サイプ7の深さは、例えば3mm以上6mm以下である。面取部8の深さ(最深部の深さ)は、例えば1mm以上2mm以下である。
【0045】
陸部3のブロック5の踏面におけるサイプ7の延在方向に直交する方向の面取部8の幅をMLとした場合に、面取部8の深さDmに対して、深さの関係はML>Dmである。つまり、最深部Mdへ向かうほど、面取部8の幅MLが狭くなる。このような深さの関係であれば、ブロック剛性を維持して、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。
【0046】
[他の実施形態]
図5は、図2に記載したブロックの第2の例を示す拡大図である。図5は、センター陸部3Cにある単体のブロック5の平面図を示している。本例では、1つのサイプ7に対して2つの面取部8a、8bが設けられている。面取部8a、8bは、別々の周方向主溝2に接続する。
【0047】
面取部8aのタイヤ幅方向の長さWm1と、面取部8bのタイヤ幅方向の長さWm2とを合計した長さは、サイプ7の長さWsに対して、70%未満である。長さWm1と長さWm2とを合計した長さが長さWsの70%未満であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。なお、サイプ7のタイヤ幅方向の長さWsのうち、面取部8のタイヤ幅方向の長さWm1およびWm2を除く、長さWs1の部分は、面取部8が設けられておらず、サイプ7が設けられている。
【0048】
長さWm1と長さWm2とを合計した長さは、サイプ7のタイヤ幅方向の長さWsに対して20%以上である。長さWm1と長さWm2とを合計した長さが長さWsの20%以上であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。
【0049】
なお、サイプ7の深さをDs、面取部8dの深さ(最深部の深さ)をDmとし、周方向主溝の溝深さをDとした場合に、深さの関係はD>Ds>Dmである。このような深さの関係であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。
【0050】
図6は、図2に記載したブロックの第3の例を示す拡大図である。図6は、センター陸部3Cにある単体のブロック5の平面図を示している。本例では、1つのサイプ7に対して1つの面取部8dが設けられている。面取部8dは、タイヤ幅方向の一方の周方向主溝2に接続し、他方の周方向主溝2に接続していない。
【0051】
面取部8aのタイヤ幅方向の長さWmは、サイプ7の長さWsに対して、70%未満である。長さWmが長さWsの70%未満であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。なお、サイプ7のタイヤ幅方向の長さWsのうち、面取部8のタイヤ幅方向の長さWmを除く、長さWs1の部分は、面取部8が設けられておらず、サイプ7が設けられている。
【0052】
面取部8のタイヤ幅方向の長さWmは、サイプ7のタイヤ幅方向の長さWsに対して20%以上の長さである。長さWmが長さWsの20%以上であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。
【0053】
陸部3のブロック5の踏面におけるサイプ7の延在方向に直交する方向の面取部8の幅をMLとした場合に、面取部8の深さDmに対して、深さの関係はML>Dmである。つまり、最深部Mdへ向かうほど、面取部8の幅MLが狭くなる。このような深さの関係であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。
【0054】
図7は、図2に記載したブロックの第4の例を示す拡大図である。図7は、センター陸部3Cにある単体のブロック5の平面図を示している。本例では、1つのサイプ7に対して2つの面取部8e、8fが設けられている。面取部8e、8fは、周方向主溝2に接続していない。
【0055】
面取部8eのタイヤ幅方向の長さWm1、面取部8fのタイヤ幅方向の長さWm2を合計した長さは、サイプ7の長さWsに対して、70%未満である。長さWm1と長さWm2とを合計した長さが長さWsの70%未満であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。なお、サイプ7のタイヤ幅方向の長さWsのうち、面取部8eおよび8fのタイヤ幅方向の長さWm1およびWm2を除く、長さWs1、Ws2およびWs3の部分は、面取部が設けられておらず、サイプ7が設けられている。
【0056】
長さWm1と長さWm2とを合計した長さは、サイプ7のタイヤ幅方向の長さWsに対して20%以上の長さである。長さWm1と長さWm2とを合計した長さが長さWsの20%以上であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。
【0057】
陸部3のブロック5の踏面におけるサイプ7の延在方向に直交する方向の面取部8の幅をMLとした場合に、面取部8の深さDmに対して、深さの関係はML>Dmである。つまり、最深部Mdへ向かうほど、面取部8の幅MLが狭くなる。このような深さの関係であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。
【0058】
図8は、図2に記載したブロックの第5の例を示す拡大図である。図8は、センター陸部3Cにある単体のブロック5の平面図を示している。本例では、1つのサイプ7に対して3つの面取部8a、8b、8cが設けられている。面取部8a、8bは、別々の周方向主溝2に接続する。面取部8cは周方向主溝2には接続していない。
【0059】
面取部8aのタイヤ幅方向の長さWm1、面取部8bのタイヤ幅方向の長さWm2、面取部8bのタイヤ幅方向の長さWm3を合計した長さは、サイプ7の長さWsに対して、70%未満である。長さWm1、長さWm2および長さWm3を合計した長さが長さWsの70%未満であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。なお、サイプ7のタイヤ幅方向の長さWsのうち、面取部8a、8bおよび8cのタイヤ幅方向の長さWm1、Wm2およびWm3を除く、長さWs1およびWs2の部分は、面取部が設けられておらず、サイプ7が設けられている。
【0060】
長さWm1、Wm2およびWm3を合計した長さは、サイプ7のタイヤ幅方向の長さWsに対して20%以上の長さである。長さWm1、Wm2およびWm3を合計した長さが長さWsの20%以上であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。
【0061】
陸部3のブロック5の踏面におけるサイプ7の延在方向に直交する方向の面取部8の幅をMLとした場合に、面取部8の深さDmに対して、深さの関係はML>Dmである。つまり、最深部Mdへ向かうほど、面取部8の幅MLが狭くなる。このような深さの関係であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。
【0062】
図9は、図2に記載したブロックの第6の例を示す拡大図である。図9は、センター陸部3Cにある単体のブロック5の平面図を示している。図9において、本例のサイプ7には、1つの面取部8が設けられている。本例では、サイプ7の溝壁面の一方にのみ、面取部8が設けられている。サイプ7の溝壁面の他方には面取部8が設けられていない。つまり、面取部8は、サイプ7の両側の溝壁面のうちの一方にのみ設けている。本例においても、サイプ7は、陸部であるブロック5をタイヤ幅方向に貫通している。サイプに設けられた面取部8のタイヤ幅方向の長さは、サイプ7のタイヤ幅方向の長さに対して70%未満である。面取部8のタイヤ幅方向の長さは、サイプ7のタイヤ幅方向の長さに対して20%以上である。
【0063】
図10は、図9中のA−A部の断面図である。図10において、サイプ7の深さをDs、面取部8の深さ(最深部の深さ)をDmとし、周方向主溝の溝深さをDとした場合に、深さの関係はD>Ds>Dmである。このような深さの関係であれば、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。
【0064】
図9および図10を参照して説明したように、サイプ7の溝壁面の少なくとも一方に面取部8が設けられていることにより、図3および図4を参照して説明した場合と同様に、ブロック剛性を維持して耐摩耗性能を向上できるとともに、ドライ制動性能およびウエット制動性能を向上させることができる。
【0065】
図3図5から図9において、サイプ7は、湾曲または屈曲していてもよい(図示せず)。図5図7および図8のように、1つのサイプ7に複数の面取部が設けられている場合において、一部の面取部についてはサイプ7の溝壁面の一方にのみ設けられていてもよい(図示せず)。
【0066】
[実施例]
表1は、本実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す表である。
【0067】
この性能試験では、複数種類の試験タイヤについて、耐摩耗性能、ドライ制動性能およびウエット制動性能に関する評価が行われた。また、サイズが205/55R16の試験タイヤを、サイズが16×6.5Jのホイールに組み付けられ、空気圧を200kPaとしFFセダン乗用車(総排気量1600cc)の試験車両に取り付けた。
【0068】
耐摩耗性能については、試験車両にて乾燥路面のテストコースを走行し、トレッド面が全摩耗するまで走行した距離、すなわち、周方向主溝2に設けられるウェアインジケータが露出するまで走行した距離を測定し、測定した走行距離を指数化することによって評価した。指数の値が大きいほど耐摩耗性能に優れる。ドライ制動性能については、速度100km/h、乾燥路面にて制動距離を測定した。測定値の逆数を用い、指数の値が大きいほどドライ性能に優れる。ウエット制動性能については、速度100km/h、水深1mmのウエット路面にて制動距離を測定した。測定値の逆数を用い、指数の値が大きいほどウエット性能に優れる。
【0069】
実施例1から実施例9の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる周方向主溝と、周方向主溝によって区画された陸部と、陸部をタイヤ幅方向に貫通するサイプと、サイプに設けられた面取部とを備え、面取部のタイヤ幅方向の長さが、サイプのタイヤ幅方向の長さに対して70%未満である空気入りタイヤである。なお、実施例1から実施例9の空気入りタイヤは、いずれも、サイプの深さDsと周方向主溝の溝深さDとの関係がD>Dsである。
【0070】
従来例の空気入りタイヤは、トレッド部にサイプを有するが、サイプの面取部を有していない空気入りタイヤである。比較例の空気入りタイヤは、トレッド部にサイプおよび面取部を有するタイヤであり、サイプの長さに対する面取部の長さが100%である空気入りタイヤである。
【0071】
表1に示すように、サイプの深さDsと面取部の深さDmとの関係がDs>Dmであり、面取部の幅MLと面取部の深さDmとの関係がML>Dmである場合に、耐摩耗性能、ドライ制動性能およびウエット制動性能について良好な結果が得られた。
【0072】
【表1】
【符号の説明】
【0073】
1 空気入りタイヤ
2 周方向主溝
3 陸部
3C センター陸部
3S ショルダー陸部
4 ラグ溝
5 ブロック
7 サイプ
8、8a、8b、8c、8d、8e、8f 面取部
11 ビードコア
12 ビードフィラー
13 カーカス層
14 ベルト層
15 トレッドゴム
16 サイドウォールゴム
17 リムクッションゴム
141、142 交差ベルト
143 ベルトカバー
CL タイヤ赤道面
T タイヤ接地端
TW タイヤ接地幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10