特開2020-164025(P2020-164025A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-164025(P2020-164025A)
(43)【公開日】2020年10月8日
(54)【発明の名称】エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/36 20110101AFI20200911BHJP
【FI】
   B60R21/36 320
   B60R21/36 354
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-66275(P2019-66275)
(22)【出願日】2019年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 勇
(57)【要約】
【課題】歩行者等が車両に衝突する際のエアバッグによる滑りを抑止すると共に、衝撃吸収自体をより効率的に行うことができるエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】車両1の外側に展開して膨張する外側エアバッグ110と、外側エアバッグ110の内部において展開して膨張する内側エアバッグ120と、を備えたエアバッグ装置Eにおいて、外側エアバッグ110の内面又は内側エアバッグ120の外面の少なくとも一方に、展開後の外側エアバッグの内面と内側エアバッグの外面とが接触した際に、大きな摩擦力を生じさせる摩擦発生部112、122、123、124を設けた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外側に展開して膨張し、基布で構成された外側エアバッグと、
前記外側エアバッグの内部において展開して膨張し、基布で構成された内側エアバッグと、を備えたエアバッグ装置において、
前記外側エアバッグの内面又は前記内側エアバッグの外面の少なくとも一方に、展開後の前記外側エアバッグの内面と前記内側エアバッグの外面とが接触した際に、前記外側エアバッグと前記内側エアバッグとの基布を重ね合わせて生じる摩擦力よりも、大きな摩擦力を生じさせる摩擦発生部を設けた、
ことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
膨張した前記外側エアバッグの内部圧力は、膨張した前記内側エアバッグの内部圧力よりも低く、
膨張した前記外側エアバッグは、車両への衝突を保護する保護対象者との衝突により変形可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記摩擦発生部は、
前記外側エアバッグの内面又は前記内側エアバッグの外面の少なくとも一方に、摩擦力の起因となる凸部を有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記摩擦発生部は、
前記外側エアバッグの内面又は前記内側エアバッグの外面の一方に、第1の形状で起毛された第1起毛部を有し、
前記外側エアバッグの内面又は前記内側エアバッグの外面の他方に、前記第1起毛部と係合可能な第2の形状で起毛された第2起毛部を有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記摩擦発生部は、
前記外側エアバッグの内面又は前記内側エアバッグの外面の少なくとも一方に、前記外側エアバッグ及び前記内側エアバッグよりも小さな小袋体を有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
前記外側エアバッグ及び前記内側エアバッグの少なくとも一方に、前記外側エアバッグまたは前記内側エアバッグが展開する展開方向を規制する展開規制部材を有する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエアバッグ装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前面側に展開するエアバッグ装置であって、特に、歩行者や二輪車の乗員(以下「歩行者等」という)を保護するためのエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、歩行者等が車両に衝突した際には、車両のフロントピラーの前面側にエアバッグを展開させて膨張させたり(例えば、特許文献1参照)、バンパの前面側にエアバッグを展開させて膨張させたりして(例えば、特許文献2参照)、歩行者等を保護するエアバッグ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−235007号公報
【特許文献2】特開2012−229014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、歩行者等を保護するエアバッグ装置においては、歩行者等は車両に乗車している乗員よりも一般的に大きな衝撃を受けやすいことから、歩行者等が車両に衝突する際の衝撃吸収をより効率的に行うことが望まれていた。
【0005】
特に、自転車を含む二輪車の乗員が車両に衝突する場合には、二輪車と車両との相対速度も速く、互いに危険を察知する時間が少ないことから、十分な回避行動ができないまま衝突してしまう虞があり、二輪車の乗員が車両に衝突する際の衝撃力は大きくなり、歩行者等の傷害低減を図ることが求められている。
そこで、大きな衝撃力を吸収するために、車両前面に大きなエアバッグ装置を設けることが考えられる。
しかし、エアバッグの袋体を大きくすると、衝撃吸収能力は向上するが、歩行者等とエアバッグの接触による袋体が、内部のガスを中心とした無限軌道のように回転し、歩行者等を車両に対し滑らせる可能性がある。
この場合、歩行者等と車両の相対変位をエアバッグが吸収しきれず、車両から跳ね落とされ、歩行者等と路面などとの二次衝突を引き起こすことになる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、歩行者等が車両に衝突する際のエアバッグによる滑りを抑止すると共に、衝撃吸収自体をより効率的に行うことができるエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、車両の外側に展開して膨張し、基布で構成された外側エアバッグと、前記外側エアバッグの内部において展開して膨張し、基布で構成された内側エアバッグと、を備えたエアバッグ装置において、前記外側エアバッグの内面又は前記内側エアバッグの外面の少なくとも一方に、展開後の前記外側エアバッグの内面と前記内側エアバッグの外面とが接触した際に、前記外側エアバッグと前記内側エアバッグとの基布を重ね合わせて生じる摩擦力よりも、大きな摩擦力を生じさせる摩擦発生部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、歩行者等を保護するエアバッグ装置において、歩行者等が車両に衝突する際のエアバッグによる滑りを抑止すると共に、衝撃吸収自体をより効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のエアバッグ装置を備えた車両の斜視図である。
図2】本発明のエアバッグ装置におけるエアバッグが展開しているときの車両の側面図である。
図3】車両の前後方向を断面方向としたときの実施形態1、2のエアバッグの断面図である。
図4】車両の前後方向を断面方向としたときの実施形態3のエアバッグの断面図である。
図5】車両の前後方向を断面方向としたときの実施形態4のエアバッグの断面図である。
図6】保護対象者がエアバッグに衝突したときのエアバッグの変形遷移を示す模式図である。
図7】実施形態1〜4の変形例のエアバッグ装置を備えた車両の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、車両の前面側に展開するエアバッグ装置であって、車両への衝突を保護する保護対象者である歩行者等に対して傷害低減を図るためのエアバッグ装置である。
以下、本発明の実施形態のエアバッグ装置を、図1図7に基づいて説明する。
【0011】
図1は、エアバッグ装置Eを備えた車両1の斜視図であり、図2は、エアバッグ装置Eにおけるエアバッグが展開しているときの車両1の側面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、エアバッグ装置Eを備えた車両1は、車両1の前端部にフロントバンパ2、フロントバンパ2の上方かつ後方側にボンネット3、ボンネット3の側方側にフロントフェンダ4、ボンネット3の後方側にフロントガラス5、フロントガラス5の両側縁にフロントピラー6、車両1の天井部にルーフ7、車両1の側面部にサイドドア8、サイドドア8の上方にサイドミラー9等を外部構造として構成している。
【0013】
また、フロントバンパ2の上方には、ボンネット3の内部に空気を取り込むためのフロントグリル10と、装飾性のあるエンブレム11が設けられている。
【0014】
フロントバンパ2の内部(後方側)には、エアバッグ装置Eが設けられており、エアバッグ100が折り畳まれて格納されている。なお、エアバッグ装置Eは、フロントバンパ2の内部ではなく、フロントグリル10の内部(後方側)に設けてもよい。
【0015】
エアバッグ装置Eは、ナイロン等の合成繊維布の基布で構成されたエアバッグ100と、エアバッグ100の内部に膨張ガスを供給するインフレータ(図示せず)とを備えて構成されている。
【0016】
また、エアバッグ装置Eは、保護対象者が車両1に衝突することを事前に検知すると、インフレータを作動させて、エアバッグ100の内部に膨張ガスを供給し、エアバッグ100を膨張させる。このとき、膨張したエアバッグ100の圧力により、フロントバンパ2が取り外されることになる。
【0017】
そして、図2に示すように、エアバッグ装置Eにおけるエアバッグ100は、フロントバンパ2から車両1の前面側に展開して膨張することになる。
【0018】
このエアバッグ100は、車両1の前面方向に展開して膨張する外側の外側エアバッグ110と、外側エアバッグ110の内部において車両1の前面方向に展開して膨張する内側エアバッグ120とを備えて構成されている。
【0019】
また、外側エアバッグ110は、外側エアバッグ110の外部と連通し開孔された排出口111を有しており、排出口111から外側エアバッグ110の膨張ガスが外部に排出されることになる。内側エアバッグ120についても、外側エアバッグ110と連通し開孔された内部排出口121(図3等参照)を有している。
【0020】
次に、エアバッグ100の内部構成について説明する。図3図5は、車両の前後方向を断面方向としたときのエアバッグ100の断面図である。
【0021】
<実施形態1>
図3(a)は、実施形態1のエアバッグ100のエアバッグの断面図である。
【0022】
図3(a)に示すように、外側エアバッグ110の内面に、第1の形状(例えば、ループ状)に起毛された第1起毛部112が取り付けられており、内側エアバッグ120の外面に、第2の形状(例えば、フック状)に起毛された第2起毛部122が取り付けられている。
【0023】
第1起毛部112と第2起毛部122とは係合可能に構成されており、いわゆる面ファスナーで構成されている。なお、第1起毛部112と第2起毛部122とが係合可能であれば、第1の形状と第2の形状とは同じ形状でもよい。
【0024】
また、インフレータから供給される膨張ガスは、外側エアバッグ110と内側エアバッグ120との両者にそれぞれ別の供給口を介して供給されるものの、外側エアバッグ110の下方かつ後方側には、排出口111が設けられている。内側エアバッグ120は、外側エアバッグ110と連通し開孔された内部排出口121を有しており、内部排出口121から内側エアバッグ120の膨張ガスが外側エアバッグ110に排出されることになる。
【0025】
このため、外側エアバッグ110にある膨張ガスは、内側エアバッグ120にある膨張ガスよりも外部に逃げやすく、膨張した外側エアバッグ110の内部圧力は、膨張した内側エアバッグ120の内部圧力よりも低くなり、膨張した外側エアバッグ110の形状は、保護対象者との衝突により変形可能になる。
【0026】
また、内側エアバッグ120についても、内側エアバッグ120の膨張ガスは、内部排出口121を介して外側エアバッグ110の内部に流入した後に、排出口111から外部に排出されることになるので、膨張した内側エアバッグ120の形状も、保護対象者との衝突により変形可能になる。
【0027】
後述するように、膨張した外側エアバッグ110の形状が保護対象者との衝突により変形可能になると、外側エアバッグ110の内面に取り付けられた第1起毛部112と内側エアバッグ120の外面に取り付けられた第2起毛部122とが擦れることになり、外側エアバッグ110と内側エアバッグ120との基布である合成繊維布を平坦に重ね合わせて生じる摩擦力よりも、大きな摩擦力が発生し、保護対象者が車両に衝突する際の外側エアバッグ110による滑りを抑止すると共に、衝撃吸収自体をより効率的に行うことができる。
【0028】
なお、実施形態1においては、外側エアバッグ110の内面における略全域に第1起毛部112が取り付けられるとともに、内側エアバッグ120の外面における略全域に第2起毛部122が取り付けられるように構成したが、車両の側面視において、外側エアバッグ110及び内側エアバッグ120の下方側にある下方部を除いた特定部に取り付けるように構成してもよいし、車両の正面視において、外側エアバッグ110及び内側エアバッグ120の中央部に取り付けるように構成してもよい。少なくとも、特定部及び中央部は、保護対象者が接触しやすいエアバッグ100の部位であることが望ましい。
【0029】
また、実施形態1においては、少なくとも膨張した外側エアバッグ110の形状が、保護対象者との衝突により変形可能であれば、外側エアバッグ110の内面と内側エアバッグ120の外面とが擦れることになるので、内側エアバッグ120は、内部排出口121を有さなくてもよい。このことは、後述する実施形態2〜4についても同様である。
【0030】
<実施形態2>
図3(b)は、実施形態2のエアバッグ100の断面図であり、エアバッグ100の内部に面ファスナーの代わりに凹凸を設けた一例である。
【0031】
図3(b)に示すように、外側エアバッグ110の内面に突出した第1凸部113が取り付けられ、内側エアバッグ120の外面には、突出した第2凸部123が取り付けられている。
【0032】
この第1凸部113及び第2凸部123は、ゴム等の弾性部材で構成されている。
【0033】
この第1凸部113及び第2凸部123によっても、外側エアバッグ110の内面と内側エアバッグ120の外面とが擦れるときには、外側エアバッグ110と内側エアバッグ120との基布である合成繊維布を平坦に重ね合わせて生じる摩擦力よりも、大きな摩擦力を発生させることができる。さらには、第1凸部113及び第2凸部123が弾性部材であることから、凸部123への直接的な衝撃力も吸収することができる。
【0034】
また、実施形態2においては、車両の側面視において、外側エアバッグ110の内面に取り付けられた第1凸部と、内側エアバッグ120の外面取り付けられた第2凸部123との対向にズレが生じるように配置されている。特に、外側エアバッグ110の内面に取り付けられた第1凸部は、内側エアバッグ120の外面取り付けられた第2凸部123よりも、エアバッグ100の前面部側に偏って配置されている。
これにより、保護対象者がエアバッグ100により1次的に衝突保護された後に、エアバッグ100とともにボンネット3に倒れ込んだときには、第1凸部113と第2凸部123の偏った配置によって、第1凸部113と第2凸部123とをより効率的に擦れさせ、摩擦力を効率的に発生させることができる。
【0035】
なお、実施形態2においては、外側エアバッグ110の内面と内側エアバッグ120の外面との両方に凸部が取り付けられているが、外側エアバッグ110の内面にのみ第1凸部113が取り付けられていてもよいし、内側エアバッグ120の外面にのみ第2凸部123が取り付けられていてもよい。
【0036】
さらに、実施形態2においては、外側エアバッグ110の内面に取り付けられた第1凸部と、内側エアバッグ120の外面取り付けられた第2凸部123との対向にズレが生じるように配置したが、外側エアバッグ110の内面に取り付けられた第1凸部と、内側エアバッグ120の外面取り付けられた第2凸部123との対向にズレが生じなくてもよい。さらには、第1凸部113と第2凸部123とは、車両の側面視において、外側エアバッグ110及び内側エアバッグ120の下方側にある下方部を除いた特定部に取り付けるように構成してもよいし、外側エアバッグ110の内面と内側エアバッグ120の外面における略全域に取り付けられるように配置してもよい。
【0037】
また、実施形態2においては、第1凸部113及び第2凸部123は、ゴム等の弾性部材で構成したが、第1凸部113及び第2凸部123を弾性部材で構成せずに、ポリプロピレン、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、ジアゾアミノベンゼン、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等の発泡剤を混入させて膨張ガスの熱により膨張する熱膨張部材で構成してもよい。
このように第1凸部113及び第2凸部123を熱膨張部材で構成することにより、インフレータから供給される膨張ガスの熱により、凸部123をより大きくさせて、より大きな摩擦力を発生させることができる。
【0038】
<実施形態3>
図4は、実施形態3のエアバッグ100の断面図であり、エアバッグ100の内部に面ファスナーの代わりに小さな小袋体を設けた一例である。
【0039】
図4に示すように、内側エアバッグ120の外面には、外側エアバッグ110よりも小さな小袋体124が取り付けられている。
【0040】
小袋体124には、内側エアバッグ120の内部に供給された膨張ガスを取り込むための取込口125が設けられている。この取込口125から膨張ガスが取り込まれることによって、小袋体124は膨張することになる。
【0041】
この小袋体124によっても、外側エアバッグ110の内面と内側エアバッグ120の外面とが擦れるときには、外側エアバッグ110と内側エアバッグ120との基布である合成繊維布を平坦に重ね合わせて生じる摩擦力よりも、大きな摩擦力を発生させることができる。
【0042】
また、実施形態3においても、小袋体124は、保護対象者が接触しやすい個所として、車両の側面視において、内側エアバッグ120の下方側にある下方部を除いた特定部に取り付けられている。
【0043】
なお、実施形態3においては、小袋体124は、車両の側面視において内側エアバッグ120の外面における特定部に取り付けられるように構成したが、内側エアバッグ120の外面における略全域に取り付けられるように構成してもよい。
【0044】
<実施形態4>
図5は、実施形態4のエアバッグ100の断面図であり、エアバッグ100の展開方向を規制するテザーを設けた一例である。
【0045】
図5に示すように、エアバッグ100の外部には、一端を車両1と連結し、他端を外側エアバッグ110の外面と連結した紐状の第1テザー130が設けられている。また、エアバッグ100の内部には、一端を外側エアバッグ110の内面と連結し、他端を内側エアバッグ120の外面と連結した紐状の第2テザー140が設けられている。
【0046】
第1テザー130は、外側エアバッグ110及び内側エアバッグ120の上方側であって、車両1の前後方向に対して後面側から前面側に向かうにつれて下り傾斜となる角度で、エアバッグ100の外部に取り付けられている。
【0047】
この第1テザー130が、外側エアバッグ110及び内側エアバッグ120の上方側であって、車両1の前後方向に対して後面側から前面側に向かうにつれて下り傾斜となる角度であることにより、エアバッグ100が下方に垂れ下がることを防止することができる。さらには、エアバッグ100は、下方側ではなく、ボンネット3側に倒れるように規制することができる。
【0048】
第2テザー140は、外側エアバッグ110及び内側エアバッグ120の上方側であって、外側エアバッグ110の展開方向(例えば、車両の前後方向の水平線)と略平行になる角度で、エアバッグ100の内部に取り付けられている。
【0049】
この第2テザー140が、外側エアバッグ110の展開方向(例えば、車両の前後方向の水平線)と略平行になる角度であることにより、外側エアバッグ110の展開方向と略同方向になるように展開させることができる。
【0050】
なお、実施形態4においては、エアバッグ100の外部と内部の両方にテザーを設けて構成したが、エアバッグ100の外部と内部のいずれか一方にのみテザーを設けて構成してもよい。
【0051】
また、実施形態4においては、車両の側面視において、外側エアバッグ110の内面に取り付けられた第1起毛部112と、内側エアバッグ120の外面取り付けられた第2起毛部122との対向にズレが生じるように配置されている。特に、外側エアバッグ110の内面に取り付けられた第1起毛部112は、内側エアバッグ120の外面取り付けられた第2起毛部122よりも、エアバッグ100の前面部側に偏って配置されている。
これにより、実施形態2においても上述したように、第1起毛部112と第2起毛部122とをより効率的に擦れさせ、摩擦力を効率的に発生させることができる。
【0052】
なお、実施形態4においても、外側エアバッグ110の内面に取り付けられた第1起毛部112と、内側エアバッグ120の外面取り付けられた第2起毛部122との対向にズレが生じなくてもよい。さらには、第1起毛部112と第2起毛部122とは、車両の側面視において、外側エアバッグ110及び内側エアバッグ120の下方側にある下方部を除いた特定部に取り付けるように構成してもよいし、外側エアバッグ110の内面と内側エアバッグ120の外面における略全域に取り付けられるように配置してもよい。
【0053】
<エアバッグの変形遷移>
以上の実施形態1〜4のエアバッグ100により、保護対象者が車両1に衝突する際の衝撃吸収をより効率的に行うことができる仕組みについて、図6を用いて説明する。
【0054】
図6は、保護対象者がエアバッグ100に衝突したときのエアバッグ100の変形遷移を示す模式図である。
【0055】
図6(a)に示すように、保護対象者が車両1に衝突するときには、保護対象者がまずエアバッグ100に衝突し、保護対象者からの衝撃力によりエアバッグ100の形状が変形する。
【0056】
このとき、外側エアバッグ110の内面と内側エアバッグ120の外面とが擦れることになる。
そして、外側エアバッグ110の内面と内側エアバッグ120の外面とが擦れると、図6(a)、(b)に示すように、エアバッグ100の内部では、第1起毛部112と第2起毛部122、第1凸部113と第2凸部123、または小袋体124によって、外側エアバッグ110と内側エアバッグ120との基布である合成繊維布を平坦に重ね合わせて生じる摩擦力よりも、大きな摩擦力が発生することになる。
【0057】
これにより、保護対象者が車両に衝突する際の外側エアバッグ110による滑りを抑止すると共に、衝撃吸収自体をより効率的に行うことができ、保護対象者の傷害低減を図ることができる。
【0058】
<その他の変形例>
上記実施形態1〜4においては、車両1の前面側に展開して膨張するエアバッグは、エアバッグの内部で大きな摩擦力が発生するエアバッグ100の1つのみであったが、他のエアバッグを設けて構成してもよい。
【0059】
例えば、図7に示すように、車両1の前面側であって、エアバッグ100の下方側に、薄型の半楕円状または矩形状のエアバッグ200を展開させてもよい。
【0060】
また、エアバッグ200の前端部は、車両の前後方向に対して、エアバッグ100の前端部よりも前面側に展開される。さらには、エアバッグ200の上端部は、保護対象者の膝下以下となる高さで展開される。これにより、エアバッグ200は、保護対象者の足払いの役割を果たすことができる。
【0061】
そして、エアバッグ100に対してエアバッグ200を更に備えることにより、まずエアバッグ200により保護対象者に足払いを行い、保護対象者をエアバッグ100側に倒れさせ、その後にエアバッグ100の内部の摩擦力により、保護対象者への衝撃力の衝撃吸収をより効率的に行うことができる。
【0062】
保護対象者の衝突態様は様々であるが、足払いの役割を果たすエアバッグ200により、保護対象者への衝突態様をエアバッグ100側に倒れさせる衝突態様へ誘導させることができ、事前に想定した衝突態様により衝撃吸収を行い易くすることができる。
【0063】
以上のように、本発明のエアバッグ装置Eは、保護対象者が車両に衝突する際のエアバッグ100による滑りを抑止すると共に、衝撃吸収自体をより効率的に行うことができ、保護対象者の傷害低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0064】
1:車両、2:フロントバンパ、3:ボンネット、4:フロントフェンダ、5:フロントガラス、6:フロントピラー、7:ルーフ、8:サイドドア、9:サイドミラー、10:フロントグリル、11:エンブレム、100:エアバッグ、110:外側エアバッグ
120:内側エアバッグ、111:排出口、112:第1起毛部(摩擦発生部)、113:第1凸部(摩擦発生部)、121:内部排出口、122:第2起毛部(摩擦発生部)、123:第2凸部(摩擦発生部)、124:小袋体(摩擦発生部)、130:第1テザー、140:第2テザー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7