【解決手段】多孔質ガラス微粒子体の製造装置10は、可燃性ガスの噴出口を有するバーナ3と、温度を測定することが可能な温度センサと、温度センサによって温度を測定される検出対象部6と、を備える。可燃性ガスの噴出口の中心軸線に沿う方向において、検出対象部6が前記噴出口よりも可燃性ガスが噴出する側に突出している。
前記検出対象部のうち前記温度センサが温度を検出する検出点は、前記検出対象部の先端部に位置している、請求項1から3のいずれか1項に記載の多孔質ガラス微粒子体の製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の多孔質ガラス微粒子体の製造装置、および光ファイバ母材の製造方法について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、多孔質ガラス微粒子体の製造装置(以下、単に製造装置10という)は、チャンバ2と、複数のバーナ3と、を備えている。チャンバ2内には、ターゲット部材1が収容されている。ターゲット部材1は、製造装置10により製造される多孔質ガラス微粒子体のコアとなる部材である。ターゲット部材1は石英などにより形成されている。ターゲット部材1の両端は、チャックによって回転自在に支持されている。
【0011】
(方向定義)
本実施形態では、バーナ3における可燃性ガスの噴出口3aの中心軸線O(
図2参照)に沿う方向を中心軸方向という。
図1のY軸方向は中心軸方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表している。また、中心軸方向におけるターゲット部材1側を+Y側(一方側)といい、バーナ3側を−Y側(他方側)という。+Y側は、噴出口3aから可燃性ガスが噴出する側である。
【0012】
図1の例では、ターゲット部材1の長手方向が鉛直方向に対して略直交している。すなわち、ターゲット部材1は略水平方向に延びている。また、中心軸方向(Y軸方向)も鉛直方向に対して略直交している。なお、製造装置10の構成は適宜変更可能である。例えば、ターゲット部材1の長手方向は鉛直方向に略平行であってもよい。また、中心軸方向は鉛直方向に平行であってもよいし、水平方向に対して所定の角度で傾斜していてもよい。
【0013】
チャンバ2の−Y側には、ターゲット部材1の長手方向に沿って延びる開口部2aが設けられている。チャンバ2の+Y側には、燃焼した可燃性ガスなどが排気される排気部2bが設けられている。
各バーナ3は、チャンバ2の開口部2aに設けられている。バーナ3は、外部のトラバース手段(図示省略)により、図中の区間(X1→X2→X3→X4→X1)をトラバースして循環するように構成されている。
【0014】
なお、各バーナ3は、ターゲット部材1に対して、ターゲット部材1の長手方向に相対移動可能であれば、
図1に示すように循環移動しなくてもよい。例えば、各バーナ3をターゲット部材1の長手方向に往復運動させてもよい。あるいは、各バーナ3を固定し、ターゲット部材1をその長手方向に往復運動させてもよい。
【0015】
各バーナ3には、各種ガス供給源(図示略)から可燃性ガス、助燃ガス、原料ガス、シールガス及びパージガスが供給される。可燃性ガスとしては、H
2ガスなどが用いられる。助燃ガスとしては、O
2ガスなどが用いられる。原料ガスとしては、SiCl
4ガスなどが用いられる。
【0016】
パージガスは、バーナ3への原料ガスの供給を停止した後、バーナ3から可燃性ガスまたは可燃性を有する原料ガスを押し出して、いわゆる逆火を防止するために用いられる。パージガスとしては、N
2ガス、Heガス、Neガス、Arガスなどの不活性ガスが用いられる。
【0017】
シールガスは、バーナ3から噴出したガス同士の接触を遅らせ、反応の開始を所望の時間遅らせることで、反応生成物やエネルギーがバーナ3の先端に悪影響を及ぼすのを防止するために用いられる。例えば、原料ガスが噴出口3aから噴出後、直ちに酸水素火炎と接触すると、生成されたガラス微粒子がバーナ3に付着してしまう場合がある。そこで、シールガスによって原料ガスの反応を遅らせることで、ガラス微粒子がバーナ3に付着することを抑制できる。シールガスとしては、N
2ガスやArガスなどの不活性ガスが用いられる。なお、各ガスの組成は適宜変更可能である。
【0018】
図2は、
図1のバーナ3の先端部近傍の拡大図である。
図2の一点鎖線Oは、バーナ3の可燃性ガスの噴出口3aの中心軸線を示している。本実施形態では、バーナ3が中心軸線Oと同軸の円筒状に形成されているが、バーナ3は円筒状でなくてもよい。また、本実施形態では噴出口3aの中心軸線Oが略水平方向に沿って延びているが、中心軸線Oが延びる方向は適宜変更可能である。
【0019】
図2に示すように、本実施実施形態の製造装置10は、検出対象部6と、温度センサ7と、点火部8と、制御部9と、光波検出部20と、を備えている。点火部8は、可燃性ガスに点火する。点火部8としては、スパークプラグや、可燃性ガスの発火点以上となるヒーターなどを用いることができる。
【0020】
検出対象部6は、1つのバーナ3につき1つ設けられている。検出対象部6は、バーナ3に、可燃性ガスが燃焼することで種火4が点火したときに熱せられる部分である。検出対象部6のうち、温度センサ7が実際に温度を検出する点を、検出点6bという。本実施形態では、検出点6bは検出対象部6の先端部6aにおける外側の表面に位置している。先端部6aとは、検出対象部6のうち、噴出口3aよりも+Y側に突出した部分である。
【0021】
温度センサ7は、検出対象部6の検出点6bの温度を検出する、接触式センサまたは非接触式センサである。接触式センサとしては熱電対を採用可能であり、非接触式センサとしては放射温度計を採用可能である。温度センサ7として熱電対を用いる場合、検出点6bを、検出対象部6の内側の表面ではなく外側の表面に設定することで、熱電対を構成する物質がターゲット部材1に付着することを抑制できる。
【0022】
光波検出部20は、バーナ3の可燃性ガスの噴出口3aの近傍における光波を検出する、非接触式センサである。光波検出部20は、種火4が発する光波を検出し、その検出結果を制御部9に出力する。光波検出部20は、赤外線を検出してもよいし、紫外線を検出してもよいし、可視光線を検出してもよい。
【0023】
温度センサ7および光波検出部20は、有線または無線により制御部9に接続されている。温度センサ7は測定した検出対象部6の温度を制御部9に出力し、光波検出部20は光波の検出結果を制御部9に出力する。制御部9は、温度センサ7が測定した検出対象部6の温度および光波検出部20による光波の検出結果の双方に基づき、種火4が点火されているか否かを判定する。このように、2つの手段に基づいて種火4が点火されているか否かを判定することで、制御部9による判定の精度をより高めることができる。
【0024】
制御部9は、温度センサ7および光波検出部20に基づく判定結果の少なくとも一方が、種火4が点火されていないとの判定であったときに、可燃性および原料ガスの一方または両方のバーナ3への供給を遮断するように構成されていてもよい。
なお、製造装置10は光波検出部20を備えていなくてよい。この場合、制御部9は温度センサ7による測定結果のみに基づいて、種火4が点火されているか否かを判定してもよい。
【0025】
検出対象部6は、バーナ3に固定されている。このため、バーナ3がターゲット部材1に対して移動する場合には、検出対象部6もバーナ3とともに移動する。検出対象部6は、噴出口3aを外側から囲う円筒状に形成されている。検出対象部6の形状は適宜変更可能であるが、中心軸線Oが鉛直方向に平行ではない場合、検出対象部6の少なくとも一部は噴出口3aの上方に位置していることが好ましい。
【0026】
温度センサ7は、検出対象部6に固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。例えば温度センサ7として熱電対を用いる場合、熱電対を検出対象部6に固定し、バーナ3が移動するときに熱電対および検出対象部6がバーナ3とともに移動するように構成してもよい。あるいは、温度センサ7として放射温度計を用いる場合、温度センサ7を検出対象部6に固定せず、バーナ3および検出対象部6が移動する場合には、検出対象部6が所定の位置に到達したときに温度センサ7によって検出対象部6の温度を測定可能に構成してもよい。
【0027】
さらに、温度センサ7を検出対象部6に固定しない場合、1つの温度センサ7によって複数の検出対象部6の温度を測定してもよい。例えば、所定の位置の温度を測定するように温度センサ7をセットし、検出対象部6が当該所定の位置に到達したときに、その検出対象部6の温度を測定するように構成してもよい。
【0028】
光波検出部20についても、温度センサ7と同様に、検出対象部6に固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。また、1つの光波検出部20によって、複数のバーナ3の種火4がそれぞれ発する光波を検出してもよい。例えば、所定の位置における光波を検出するように光波検出部20をセットし、バーナ3の可燃性ガスの噴出口3aが当該所定の位置に到達したときに光波を検出してもよい。また、光波検出部20による光波の検出範囲を制限するために、光波検出部20とバーナ3の噴出口3aとの間に、スリットが設けられた遮蔽板を配置してもよい。
【0029】
ここで、本実施形態の検出対象部6は、噴出口3aの中心軸線Oに沿う方向(中心軸方向)において、噴出口3aよりもターゲット部材1側(+Y側)に向けて突出している。
図2では、検出対象部6が筒状に形成されており、当該筒の先端部6aが、噴出口3aよりも+Y側に位置している。バーナ3に可燃性ガスが供給されると、噴出口3aから噴出する可燃性ガスは中心軸方向に沿って+Y側に流動する。このため、種火4も+Y側に流動し、種火4によって、+Y側に突出した検出対象部6の先端部6aが加熱される。
【0030】
また、燃焼した可燃性ガスは徐々に上方に向かうため、種火4も+Y側に向かうとともに上方に向かう。したがって、
図2のように、検出対象部6の少なくとも一部が噴出口3aの上方に位置していることで、より確実に検出対象部6が加熱される。
【0031】
次に、本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法について説明する。
【0032】
まず、チャンバ2内にターゲット部材1をセットする。
次に、可燃性ガスをバーナ3に供給し、噴出口3aから噴出させる。そして点火部8によって可燃性ガスに点火し、種火を生じさせる。
【0033】
次に、温度センサ7によって検出対象部6の温度を測定し、測定結果を制御部9に出力する。制御部9は当該測定結果に基づいて、可燃性ガスが燃焼して種火が生じているか否かを判定する。また、製造装置10が光波検出部20を備えている場合には、制御部9は、温度センサ7による温度測定結果および光波検出部20による光波の検出結果の双方に基づいて、可燃性ガスが燃焼しているか否かを判定する。
【0034】
次に、可燃性ガスが燃焼して種火が生じている状態で、バーナ3に原料ガスを供給する。原料ガスを酸化反応または加水分解反応させることで、ガラス微粒子が生成される。ターゲット部材1を回転させながら、ターゲット部材1の表面にガラス微粒子を堆積させてスート層を形成することで、多孔質ガラス微粒子体が得られる。
【0035】
次に、多孔質ガラス微粒子体のスート層を加熱して焼結させることで、光ファイバ母材が得られる。
また、当該光ファイバ母材を紡糸炉によって線引きすることで、光ファイバを製造することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の多孔質ガラス微粒子体の製造装置10は、可燃性ガスの噴出口3aを有するバーナ3と、温度を測定することが可能な温度センサ7と、温度センサ7によって温度を測定される検出対象部6と、を備えている。そして
図2に示すように、可燃性ガスの噴出口3aの中心軸線Oに沿う方向において、検出対象部6が噴出口3aよりも可燃性ガスが噴出する側(+Y側)に突出している。
【0037】
この構成により、検出対象部6が噴出口3aよりも突出していない場合と比較して、バーナ3に種火が点火したとき、種火によって検出対象部6が迅速に加熱される。従って、当該検出対象部6の温度を温度センサ7によって検出することで、種火の火力が小さい場合であっても、種火が点火しているか否かを精度よく速やかに検知することができる。
【0038】
また、噴出口3aの中心軸線Oは鉛直方向に平行ではなく、検出対象部6の少なくとも一部は、噴出口3aの上方に位置している。この構成により、噴出口3aから上方に向かう種火によって検出対象部6がより速やかに熱せられる。したがって、当該検出対象部6の温度を測定する温度センサ7によって、より速やかに精度よく種火の点火を検知することができる。
【0039】
また、検出対象部6が石英によって形成されている場合には、仮に検出対象部6の構成物質や、当該構成物質により生成された物質がターゲット部材1に付着しても、製造される光ファイバ母材の品質に影響を及ぼしにくい。従って、検出対象部6の材質としては石英が好適である。ただし、光ファイバ母材に要求される品質などを考慮し、石英以外の材質で検出対象部6を形成してもよい。
【0040】
また、
図2に示すように、検出点6bは、検出対象部6の先端部6aに位置している。この構成により、種火4によって検出点6bがより速やかに熱せられるため、より迅速に種火4が点火しているか否かを検知することができる。特に、検出対象部6が石英などの比較的熱伝導率が小さい材質である場合は、検出対象部6の先端から検出点6bが離れた位置に設定されていると、種火4によって検出点6bが熱せられるまでに時間がかかるため、上記構成が好適である。なお、先端部6aのなかでも、より検出対象部6の+Y側の先端に近い位置に検出点6bを設けることで、より迅速に種火4が点火しているか否かを検知することができる。
【0041】
また、本実施形態の光ファイバ母材の製造方法は、バーナ3の可燃性ガスの噴出口3aから可燃性ガスを噴出させ、可燃性ガスを点火する工程と、噴出口3aの中心軸線Oに沿う方向において噴出口3aよりも可燃性ガスが噴出する側(+Y側)に突出した検出対象部6の温度を測定することで、可燃性ガスが燃焼することで生じる種火が点火しているか否かを判定する工程と、可燃性ガスが燃焼している状態で原料ガスをバーナ3に供給し、原料ガスを反応させることで生成されたガラス微粒子をターゲット部材1に付着させて多孔質ガラス微粒子体を得る工程と、多孔質ガラス微粒子体を焼結させる工程と、を有する。
【0042】
このような製造方法により、バーナ3の種火を検知する際の応答性および精度を向上させることができる。また、例えば種火が点火していない状態でバーナ3に原料ガスが供給されることを回避できるため、生成されるガラス微粒子の量を安定させて、光ファイバ母材の品質を安定させることができる。また、有害なガスや可燃性ガスが未反応のまま放出されることを抑制することができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
第1実施形態では、バーナ3の外部に検出対象部6を設けたが、第2実施形態ではバーナ3の一部を検出対象部とする点が異なる。
【0044】
図3は、第2実施形態に係るバーナ3の横断面図である。
図4は、
図3のIV−IV断面矢視図である。
図3、
図4に示すように、本実施形態のバーナ3は複数の筒状の隔壁11〜14を備えている。複数の隔壁11〜14によって、各種ガスの流路である複数のポートP1〜P4が形成されている。各隔壁11〜14は、共通の中心軸線Oに沿って延びている。本明細書では、最外周に位置する隔壁11を最外隔壁という。
【0045】
最外隔壁11とその内側の隔壁12との間の空間は、助燃ガスが供給される助燃ガスポートP1とされている。隔壁12と隔壁13との間の空間は、可燃性ガスが供給される可燃性ガスポートP2とされている。隔壁13と隔壁14との間の空間は、シールガスが供給されるシールガスポートP3とされている。最も内側に位置する隔壁14の内側の空間は、原料ガスが供給される原料ガスポートP4とされている。可燃性ガスポートP2の出口が、可燃性ガスの噴出口3aである。
【0046】
可燃性ガスポートP2には、可燃性ガスおよびパージガスが選択的に供給されるように構成されている。可燃性ガスポートP2への可燃性ガスの供給が停止されると、可燃性ガスポートP2にはパージガスが供給され、可燃性ガスポートP2内の可燃性ガスを押し出すことで逆火が抑制される。
原料ガスが可燃性を有する場合、原料ガスポートP4についても、原料ガスおよびパージガスが選択的に供給されるように構成されてもよい。
【0047】
図4に示すように、本実施形態では、可燃性ガスポートP2を形成する隔壁12の端部が、最外隔壁11の端部よりも、中心軸線Oに沿う方向における内側に位置している。言い換えると、最外隔壁11の端部は、中心軸線Oに沿う方向において、可燃性ガスの噴出口3aよりも+Y側に突出している。
そして本実施形態では、最外隔壁11が、温度センサ7によって温度を測定される検出対象部となっている。また検出対象部11のうち、噴出口3aよりも+Y側に突出した部分である先端部11aの表面に、温度センサ7が実際に温度を測定する検出点11bが位置している。
【0048】
このように、本実施形態においても、噴出口3aの中心軸線Oに沿う方向において、検出対象部11が噴出口3aよりも可燃性ガスが噴出する側(+Y側)に突出している。この構成により、可燃性ガスが燃焼することでバーナ3に種火が点火したとき、種火によって検出対象部11が迅速に加熱される。従って、当該検出対象部11の温度を温度センサ7によって検出することで、種火の火力が小さい場合であっても、種火が点火しているか否かを精度よく速やかに検知することができる。
【0049】
また、本実施形態では、可燃性ガス以外のポートである助燃ガスポートP1が最外周に位置しており、可燃性ガスポートが最外周に位置している場合と比較して、検出対象部11が種火によって加熱されにくい。このような場合でも、
図4のように、可燃性ガスの噴出口3aと検出対象部11との間に構造物が配置されない構成とすることで、種火によって検出対象部11が加熱されやすくすることができる。
【0050】
なお、
図4では隔壁12の先端を他の隔壁11、13、14の先端よりも−Y側に位置させているが、例えば検出対象部である最外隔壁11のみを他の隔壁12〜14より+Y側に延出させてもよい。この場合も、可燃性ガスの噴出口3aと検出対象部11との間に構造物が配置されていない構成とすることができる。
【0051】
また、本実施形態でも、検出対象部である最外隔壁11を石英により形成することで、多孔質ガラス微粒子体および光ファイバ母材の品質低下を抑制することができる。
【0052】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0053】
例えば、前記第1、第2実施形態では、噴出口3aの中心軸線Oが略水平方向に沿って延びているが、例えば中心軸線Oが水平方向に対して傾斜していてもよい。あるいは、中心軸線Oが鉛直方向に平行に延びていてもよい。これらの場合でも、中心軸線Oに沿う方向において、検出対象部6、11が噴出口3aよりも可燃性ガスが噴出する側に突出していることで、温度センサ7による種火の点火の有無の精度を向上させることができる。
【0054】
また、中心軸線Oが略水平方向に延びていたり、水平に近い角度で延びている場合には、種火4が噴出口3aから上方に向かうことを考慮して、噴出口3aの上方の種火4が当たる部分にのみ検出対象部6が設けられていてもよい。さらに、第1実施形態の検出対象部6は筒状であったが、例えば噴出口3aの上方に配置した板状の部材を検出対象部6としてもよい。このように、検出対象部6の形状や配置は適宜変更可能である。
【0055】
また、第2実施形態において示したバーナ3の構造は、
図3、
図4の構造に限定されず、適宜変更可能である。
例えば、
図5、
図6に示すような構造を採用してもよい。
図5、
図6の例では、隔壁11と隔壁12との間に、さらに隔壁15が設けられている。
図6に示すように、噴出口3aと検出対象部11との間には隔壁15(構造物)が配置されているが、隔壁15は検出対象部11よりも+Y側に突出していない。この場合も、噴出口3aから生じた種火によって検出対象部11が直接的に加熱されるため、検出対象部11の温度を測定することで、種火の有無を検知することができる。つまり、噴出口3aと検出対象部11との間に構造物が配置されていても、当該構造物が検出対象部11よりも可燃性ガスが噴出する側に突出していなければ、前記第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
また、
図7、
図8に示すような構造を採用してもよい。
図7、
図8の例では、隔壁11と隔壁12との間に、隔壁11と隔壁12との間の間隔よりも外径の小さいパイプ16が配置されている。パイプ16は、周方向に間隔をあけて複数(4つ)配置されている。
図8に示すように、噴出口3aと検出対象部である最外隔壁11との間にはパイプ16(構造物)が配置されているが、パイプ16の外径は隔壁12と最外隔壁11との間の間隔よりも小さいため、噴出口3aから生じた種火は、パイプ16を迂回するようにして検出対象部11に当たる。したがって、検出対象部11の温度を測定することで、種火の有無を検知することができる。つまり、検出対象部11と噴出口3aとの間に構造物が位置していても、噴出口3aを形成する隔壁12と最外隔壁11との間の間隔より当該構造物の外径が小さければ、前記第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
また、
図2では検出対象部6の先端部6aに検出点6bが位置しているが、検出点6bを先端部6a以外の部分に設定することも可能である。この場合も、種火4によって先端部6aが加熱されることで、検出点6bまで熱が伝われば、検出点6bの温度を測定することにより種火4が点火しているか否かを検知することができる。
同様に、
図4、
図6、
図8では検出対象部11の先端部11aに検出点11bが位置しているが、先端部11a以外の部分に検出点11bを設定してもよい。
【0058】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0059】
例えば、第1実施形態におけるバーナ3として、第2実施形態において説明した多重管構造を採用してもよい。すなわち、
図4に示すような多重管構造のバーナ3の外側に、
図2に示すような検出対象部6を設けてもよい。