【解決手段】信号生成装置は、モータの負荷が安定している場合に、前記モータの負荷に係る電流が極小値となるように位相を調整した前記モータを駆動するインバータを制御する制御信号を生成する生成部、を備える。
モータの負荷が安定している場合に、前記モータの負荷に係る電流が極小値となるように位相を調整した前記モータを駆動するインバータを制御する制御信号を生成する生成部、
を備える信号生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
本発明の一実施形態によるモータシステム1の構成について説明する。
モータシステム1は、
図1に示すように、交流電源10、整流回路20、インバータ30、モータ40、電流検出装置50、制御装置60(信号生成装置の一例)を備える。
モータシステム1は、安定状態(モータ40の回転数が所定のしきい値内にある状態)となった場合に、モータ40のモータ電流(モータの負荷に係る電流の一例)が最も小さくなる進角制御を行うシステムである。
例えば、モータシステム1は、空気調和システムで使用されるモータシステムである。
【0015】
交流電源10は、整流回路20に交流電力を供給する電源である。
【0016】
整流回路20は、
図1に示すように、ダイオード201a、201b、201c、201d、平滑コンデンサ202を備える。
整流回路20は、交流電源10から供給される交流電力を直流電力に変換し、インバータ30へ出力する。
【0017】
インバータ30は、制御装置60が行う制御に基づいて、整流回路20から受ける電力からモータ40を駆動する三相交流電力を生成する。
【0018】
例えば、インバータ30は、
図2に示すように、6つのトランジスタスイッチ301、302、303、304、305、306を備える回路である。6つのトランジスタスイッチ301、302、303、304、305、306のそれぞれが、制御装置60が出力する制御信号sig2に基づいてオン状態とオフ状態とで切り替わることによって、インバータ30は、三相交流電圧を生成する。この場合の制御信号sig2は、例えば、6つのトランジスタスイッチ301、302、303、304、305、306のそれぞれに応じたPWM信号である。
インバータ30は、生成した三相交流電力をモータ40に出力する。
【0019】
モータ40は、インバータ30が出力する三相交流電力によって動作するモータである。モータ40は、例えば、コンプレッサモータである。
【0020】
電流検出装置50は、所定の短い時間間隔ごとに、モータ40のモータ電流を検出する装置である。
例えば、電流検出装置50は、
図3に示すように、抵抗501、差動アンプ502を備える。
抵抗501は、モータ40とインバータ30との間の配線の1つに直列に設けられる。
差動アンプ502は、抵抗501の両端の電位差に応じた電圧を制御装置60に出力する。差動アンプ502の出力電圧は、抵抗501の両端の電位差に応じた電圧である。そのため、差動アンプ502の出力電圧と抵抗501の抵抗値から、抵抗501に流れるモータ電流を推定することができる。なお、抵抗501の抵抗値は、予め決定された値である。つまり、差動アンプ502の出力電圧値を取得することは、モータ40のモータ電流値を検出することに等しい。
電流検出装置50は、検出結果(すなわち、モータ電流値)を示す情報inf1を制御装置60に出力する。
【0021】
制御装置60は、インバータ30を制御する制御信号sig1を変更して、モータ電流が極小値となる制御信号sig1を求める装置である。制御信号sig1には、モータ40をV/f制御する情報が含まれている。なお、モータ電流の歪みは一般的に所定の値の範囲内に収められており、モータ電流は単調減少と単調増加とを繰り返すため、モータ電流の極小値をモータ電流の最小値とみなすことができる。
制御装置60は、
図4に示すように、制御部601(生成部の一例、判定部の一例、制御部の一例)、記憶部602を備える。
【0022】
制御部601は、インバータ30を制御する制御信号sig1を変更して、モータ電流が極小値となる制御信号sig1を求める。
例えば、制御部601は、初回の制御として予め用意した制御信号sig1をインバータ30に出力する。制御部601は、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得する。制御部601は、取得したモータ電流値を記憶部602に記録する。制御部601は、一定時間後、モータ電流値を電流検出装置50から取得する。制御部601は、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較する。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録した最新のモータ電流値から所定の範囲内の値(例えば、変化の割合が所定%以内となる値、変化量が所定量に収まる値など)となったか否かを判定する。
制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録した最新のモータ電流値から所定の範囲内の値となっていないと判定した場合、カウンタの値を0にして、取得したモータ電流値が記憶部602に記録した最新のモータ電流値から所定の範囲内の値となったか否かの判定を再度行う。カウンタの初期値は0である。
また、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録した最新のモータ電流値から所定の範囲内の値となっていると判定した場合、カウンタの値に1を加える。制御部601は、カウンタの値が所定の値(例えば、3)となったか否かを判定する。
制御部601は、カウンタの値が所定の値となっていないと判定した場合、取得したモータ電流値が記憶部602に記録した最新のモータ電流値から所定の範囲内の値となったか否かの判定を再度行う。
また、制御部601は、カウンタの値が所定の値となったと判定した場合、モータシステム1が安定状態である(モータ40の回転数が所定のしきい値内にある)と判定する。そして、制御部601は、制御信号sig1とモータ電流値とを関連付けて、記憶部602に記録する。
次に、制御部601は、モータ40に出力する三相交流電圧の位相を所定の位相(例えば、1度)だけ位相を進める制御信号sig1を生成する。制御部601は、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力する。制御部601は、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得する。制御部601は、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較する。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録した最新のモータ電流値よりも小さいか、大きいか、同一であるかを判定する。
【0023】
制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいと判定した場合、位相を遅らせる方向にモータ電流の極小値が存在するという考えに基づいて(例えば、山登り法などの極値を求める考えに基づいて)、所定の位相の2倍(例えば、2度)だけ位相を遅らせる制御信号sig1を生成する。制御部601は、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力する。制御部601は、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得する。制御部601は、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較する。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいか、大きいか、同一であるかを判定する。以降、制御部601は、所定の位相(例えば、1)だけ位相を遅らせる制御信号sig1を生成し、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力し、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得し、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較し、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいか、大きいか、同一であるかを判定する一連の処理を、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいという判定結果が得られるまで繰り返す。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいという判定結果が得られた場合、1回前の制御信号sig1を出力したときにモータ電流の極小値が得られたという考えに基づいて(例えば、山登り法などの極値を求める考えに基づいて)、記憶部602に記録されている最新の制御信号sig1をインバータ30に出力する。
【0024】
また、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいと判定した場合、取得したモータ電流値と制御信号sig1とを関連付けて記憶部602に記録する。制御部601は、位相を進める方向にモータ電流の極小値が存在するという考えに基づいて(例えば、山登り法などの極値を求める考えに基づいて)、所定の位相(例えば、1度)だけ位相を進める制御信号sig1を生成する。制御部601は、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力する。制御部601は、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得する。制御部601は、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較する。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいか、大きいか、同一であるかを判定する。以降、制御部601は、所定の位相(例えば、1)だけ位相を進める制御信号sig1を生成し、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力し、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得し、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較し、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいか、大きいか、同一であるかを判定する一連の処理を、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいという判定結果が得られるまで繰り返す。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいという判定結果が得られた場合、1回前の制御信号sig1を出力したときにモータ電流の極小値が得られたという考えに基づいて(例えば、山登り法などの極値を求める考えに基づいて)、記憶部602に記録されている最新の制御信号sig1をインバータ30に出力する。
【0025】
また、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値と同一であると判定した場合、取得したモータ電流値と制御信号sig1とを関連付けて記憶部602に記録する。制御部601は、歪み率が所定の範囲内に抑えられているモータ電流の極値の前後で同一の値をとる点は2点しか存在しないという考えに基づいて、所定の位相(例えば、1度)だけ位相を進める制御信号sig1を生成する。制御部601は、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力する。制御部601は、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得する。制御部601は、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較する。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいか、大きいかを判定する。
制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいと判定した場合、取得したモータ電流値と制御信号sig1とを関連付けて記憶部602に記録する。制御部601は、同一の値をとる2点は極大値の前後の2点であるという考えに基づいて、所定の位相(例えば、1度)だけ位相を進める制御信号sig1を生成する。制御部601は、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力する。制御部601は、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得する。制御部601は、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較する。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいか、大きいか、同一であるかを判定する。以降、制御部601は、所定の位相(例えば、1)だけ位相を進める制御信号sig1を生成し、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力し、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得し、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較し、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいか、大きいか、同一であるかを判定する一連の処理を、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいという判定結果が得られるまで繰り返す。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいという判定結果が得られた場合、1回前の制御信号sig1を出力したときにモータ電流の極小値が得られたという考えに基づいて(例えば、山登り法などの極値を求める考えに基づいて)、記憶部602に記録されている最新の制御信号sig1をインバータ30に出力する。
また、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいと判定した場合、同一の値をとる2点は極小値の前後の2点であるという考えに基づいて、記憶部602に記録されている最新の制御信号sig1をインバータ30に出力する。
【0026】
記憶部602は、制御装置60が行う処理に必要な種々の情報を記憶する。例えば、記憶部602は、制御部601が特定したモータ電流と制御信号sig1とを関連付けたデータを記憶する。
【0027】
次に、本発明の一実施形態によるモータシステム1の処理について説明する。
ここでは、
図5〜
図7に示すモータシステム1の処理フローについて説明する。
【0028】
制御部601は、インバータ30を制御する制御信号sig1を変更して、モータ電流が極小値となる制御信号sig1を求める。
具体的には、制御部601は、初回の制御として予め用意した制御信号sig1をインバータ30に出力する。制御部601は、予め用意した制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得する(ステップS1)。制御部601は、取得したモータ電流値を記憶部602に記録する。制御部601は、一定時間後、モータ電流値を電流検出装置50から取得する。制御部601は、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較する。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録した最新のモータ電流値から所定の範囲内の値(例えば、変化の割合が所定%以内となる値、変化量が所定量に収まる値など)となったか否かを判定する(ステップS2)。
制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録した最新のモータ電流値から所定の範囲内の値となっていないと判定した場合(ステップS2においてNO)、カウンタの値を0にして(ステップS3)、ステップS1の処理に戻す。カウンタの初期値は0である。
また、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録した最新のモータ電流値から所定の範囲内の値となっていると判定した場合(ステップS2においてYES)、カウンタの値に1を加える(ステップS4)。制御部601は、カウンタの値が所定の値(例えば、3)となったか否かを判定する(ステップS5)。
制御部601は、カウンタの値が所定の値となっていないと判定した場合(ステップS5においてNO)、ステップS1の処理に戻す。
また、制御部601は、カウンタの値が所定の値となったと判定した場合(ステップS5においてYES)、モータシステム1が安定状態である(モータ40の回転数が所定のしきい値内にある)と判定する。そして、制御部601は、予め用意した制御信号sig1とモータ電流値とを関連付けて、記憶部602に記録する(ステップS6)。
【0029】
次に、制御部601は、モータ40に出力する三相交流電圧の位相を所定の位相(例えば、1度)だけ位相を進める制御信号sig1を生成する(ステップS7)。制御部601は、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力する。制御部601は、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得する(ステップS8)。制御部601は、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較する。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録した最新のモータ電流値よりも小さいか、大きいか、同一であるかを判定する(ステップS9)。
【0030】
制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいと判定した場合(ステップS9において「大きい」)、位相を遅らせる方向にモータ電流の極小値が存在するという考えに基づいて(例えば、山登り法などの極値を求める考えに基づいて)、所定の位相の2倍(例えば、2度)だけ位相を遅らせる制御信号sig1を生成する(ステップS10)。制御部601は、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力する。制御部601は、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得する(ステップS11)。制御部601は、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較する。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいか、大きいか、同一であるかを判定する(ステップS12)。以降、制御部601は、所定の位相(例えば、1)だけ位相を遅らせる制御信号sig1を生成し、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力し、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得し、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較し、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいか、大きいか、同一であるかを判定する一連の処理を、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいという判定結果が得られるまで繰り返す。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいという判定結果が得られた場合(ステップS12において「大きい」)、1回前の制御信号sig1を出力したときにモータ電流の極小値が得られたという考えに基づいて(例えば、山登り法などの極値を求める考えに基づいて)、記憶部602に記録されている最新の制御信号sig1をインバータ30に出力する(ステップS13)。
【0031】
また、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいと判定した場合(ステップS9において「小さい」)、取得したモータ電流値と制御信号sig1とを関連付けて記憶部602に記録する(ステップS14)。制御部601は、位相を進める方向にモータ電流の極小値が存在するという考えに基づいて(例えば、山登り法などの極値を求める考えに基づいて)、所定の位相(例えば、1度)だけ位相を進める制御信号sig1を生成する(ステップS15)。制御部601は、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力する。制御部601は、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得する(ステップS16)。制御部601は、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較する。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいか、大きいか、同一であるかを判定する(ステップS17)。以降、制御部601は、所定の位相(例えば、1度)だけ位相を進める制御信号sig1を生成し、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力し、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得し、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較し、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいか、大きいか、同一であるかを判定することを、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいという判定結果が得られるまで繰り返す。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいという判定結果が得られた場合(ステップS17において「大きい」)、1回前の制御信号sig1を出力したときにモータ電流の極小値が得られたという考えに基づいて(例えば、山登り法などの極値を求める考えに基づいて)、ステップS13の処理を行う。
【0032】
また、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値と同一であると判定した場合(ステップS9において「同一」)、取得したモータ電流値と制御信号sig1とを関連付けて記憶部602に記録する(ステップS18)。制御部601は、歪み率が所定の範囲内に抑えられているモータ電流の極値の前後で同一の値をとる点は2点しか存在しないという考えに基づいて、所定の位相(例えば、1度)だけ位相を進める制御信号sig1を生成する(ステップS19)。制御部601は、生成した制御信号sig1をインバータ30に出力する。制御部601は、制御信号sig1で制御している間のモータ電流値を電流検出装置50から取得する(ステップS20)。制御部601は、取得したモータ電流値と記憶部602に記録した最新のモータ電流値とを比較する。そして、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいか、大きいかを判定する(ステップS21)。
制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも小さいと判定した場合(ステップS21において「小さい」)、ステップS14の処理を行う。
また、制御部601は、取得したモータ電流値が記憶部602に記録したモータ電流値よりも大きいと判定した場合(ステップS21において「大きい」)、同一の値をとる2点は極小値の前後の2点であるという考えに基づいて、ステップS13の処理を行う。
なお、モータシステム1は、所定のタイミングにおいて上述の処理を行うものであってもよい。所定のタイミングとは、モータ40の負荷がモータシステム1を起動したときの負荷に対して所定量変化したタイミングであり、例えば、電流検出装置50が検出したモータ電流値が記憶部602に記録されている最新のモータ電流値から所定の範囲内の値とならないと判定したタイミングである。この場合、モータシステム1は、上述の処理における予め用意した制御信号sig1を、所定のタイミングにおける制御信号sig1に置き換えた処理を行えばよい。
【0033】
以上、本発明の一実施形態によるモータシステム1について説明した。
制御装置60(信号生成装置の一例)において、制御部601(生成部の一例)は、モータ電流(モータ40の負荷に係る電流の一例)が極小値となるように位相を調整したモータ40を駆動するインバータ30を制御する制御信号sig1を生成する。
このように制御装置60が制御信号sig1を生成することによって、モータシステム1は、インバータ30からモータ40へ供給される電流を極小値(モータ電流の歪み率が低い場合には最小値)とすることができる。その結果、制御装置60は、モータの負荷に係る電流に基づいて進角制御を行うこととなり、モータ40を効率よく動作させることができる。
【0034】
なお、本発明の別の実施形態によるモータシステム1では、制御部601は、上述のステップS5の処理の前に、起動運転中であるか否かの判定を行い、起動運転中でないと判定した場合に、上述のステップS6以降の処理を行うものであってもよい。
【0035】
なお、本発明の別の実施形態では、電流検出装置50は、例えば、
図8に示すように、整流回路20から交流電源10へリターン電流(モータの負荷に係る電流の一例)(すなわち、入力電流(モータの負荷に係る電流の一例)に等しい電流)が流れる経路において電流を直接測定する装置であってもよい。また、本発明の別の実施形態では、電流検出装置50は、例えば、
図9に示すように、交流電源10から整流回路20へ供給される入力電流が流れる経路において電流を直接測定する装置であってもよい。例えば、電流検出装置50は、カレントトランスを備える装置であってよい。
また、本発明の別の実施形態では、電流検出装置50は、抵抗501、差動アンプ502を備え、整流回路20から交流電源10へのリターン電流を検出する装置であってもよい。
電流検出装置50が抵抗501、差動アンプ502を備える場合、抵抗501は、例えば、
図8に示すように、整流回路20から交流電源10へ電流が戻る経路に直列に設けられる。差動アンプ502は、抵抗501の両端の電位差に応じた電圧を制御装置60に出力する。差動アンプ502の出力電圧は、抵抗501の両端の電位差に応じた電圧である。そのため、差動アンプ502の出力電圧と抵抗501の抵抗値から、抵抗501に流れるリターン電流を推定することができる。なお、抵抗501の抵抗値は、予め決定された値である。つまり、差動アンプ502の出力電圧値を取得することは、リターン電流値(つまりは、入力電流値)を検出することに等しい。
また、電流検出装置50が抵抗501、差動アンプ502を備える場合、抵抗501は、例えば、
図9に示すように、交流電源10から整流回路20へ電流が戻る経路に直列に設けられる。差動アンプ502は、抵抗501の両端の電位差に応じた電圧を制御装置60に出力する。差動アンプ502の出力電圧は、抵抗501の両端の電位差に応じた電圧である。そのため、差動アンプ502の出力電圧と抵抗501の抵抗値から、抵抗501に流れるリターン電流を推定することができる。なお、抵抗501の抵抗値は、予め決定された値である。つまり、差動アンプ502の出力電圧値を取得することは、入力電流値を検出することに等しい。
【0036】
なお、本発明の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0037】
本発明の実施形態における記憶部602、その他の記憶装置(レジスタ、ラッチを含む)のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部602、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0038】
本発明の実施形態について説明したが、上述の制御装置60、制御部601、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図10は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、
図10に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述の制御装置60、制御部601、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0039】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0040】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
なお、コンピュータ5は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びこれらに類する処理装置を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、CPU6によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてもよい。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、種々の省略、種々の置き換え、種々の変更を行ってよい。