特開2020-189594(P2020-189594A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-189594(P2020-189594A)
(43)【公開日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20201030BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20201030BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20201030BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20201030BHJP
【FI】
   B60K1/00
   F16B5/06 C
   H02G3/30
   B60R16/02 620A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-96832(P2019-96832)
(22)【出願日】2019年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 優介
(72)【発明者】
【氏名】村上 友厚
(72)【発明者】
【氏名】林 明成
(72)【発明者】
【氏名】西尾 仁志
(72)【発明者】
【氏名】北林 達明
【テーマコード(参考)】
3D235
3J001
5G363
【Fターム(参考)】
3D235AA02
3D235BB04
3D235BB06
3D235BB12
3D235BB19
3D235CC13
3D235CC15
3D235DD12
3D235DD17
3D235DD27
3D235DD35
3D235FF14
3D235FF32
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH22
3D235HH25
3J001FA19
3J001GB01
3J001GC04
3J001GC12
3J001HA02
3J001HA07
3J001JA10
3J001JB02
3J001JB14
3J001KA21
3J001KB01
3J001KB02
5G363AA07
5G363DA13
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】衝突時等における前後方向の荷重から高電圧ケーブル保護することができる車両を提供する。
【解決手段】電動機制御装置25とバッテリ30とを接続する高電圧ケーブル40は、電動機制御装置25の上面に設けられたユニット側接続部25bに上方から接続されるケーブル側接続部40aと、ケーブル側接続部40aに連結され、ダッシュパネル2に向かって延びる第1ケーブル部40bと、少なくとも一部がダッシュパネル2に沿って配索される第2ケーブル部40cと、第1ケーブル部40bと第2ケーブル部40cとの間に位置し、第1ケーブル部40bから第2ケーブル部40cへ下方に屈曲する第1曲げ部40dと、を備え、第2ケーブル部40cの一部が車幅方向において電動機制御装置25の傾斜面25aと重なっている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットルームと、
車室と、
前記ユニットルームと前記車室とを区画する隔壁と、
前記ユニットルームに配置される駆動ユニットと、
前記隔壁に対し車両の前後方向で前記ユニットルームと反対側に配置されるバッテリと、
前記駆動ユニットと前記バッテリとを接続する高電圧ケーブルと、を備える車両であって、
前記駆動ユニットは、前記隔壁と対向する面に車幅方向で一端側に行くほど前記隔壁からの距離が拡大する傾斜面を有し、
前記高電圧ケーブルは、
前記駆動ユニットの前記一端側かつ前記駆動ユニットの上面に設けられたユニット側接続部に上方から接続されるケーブル側接続部と、
前記ケーブル側接続部に連結され、前記隔壁に向かって延びる第1ケーブル部と、
少なくとも一部が前記隔壁に沿って配索される第2ケーブル部と、
前記第1ケーブル部と前記第2ケーブル部との間に位置し、前記第1ケーブル部から前記第2ケーブル部へ下方に屈曲する第1曲げ部と、を備え、
前記前後方向から見て、前記第2ケーブル部の少なくとも一部が前記車幅方向において前記傾斜面と重なっている、車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両であって、
前記駆動ユニットは、前記車幅方向において前記ユニットルームの中央よりも前記一端側に配置され、
前記ユニット側接続部は、前記前後方向において前記駆動ユニットの中央より前記隔壁から離間した位置に設けられる、車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両であって、
前記第2ケーブル部は、第2曲げ部を有し、
前記高電圧ケーブルは、前記第2曲げ部を挟んで少なくとも2つの固定部で前記隔壁に固定されている、車両。
【請求項4】
請求項3に記載の車両であって、
前記少なくとも2つの固定部のうち、前記第2曲げ部に対し前記第1曲げ部側に位置する第1固定部は、前記隔壁に固定されたブラケットであって、
前記ブラケットと前記隔壁との固定点は、前記ブラケットが前記高電圧ケーブルを保持する保持点よりも前記車幅方向で他端側、且つ、前記隔壁側に位置する、車両。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両であって、
前記第2ケーブル部は、第2曲げ部と、前記第2曲げ部より上方に位置する第2ケーブル上部と、前記第2曲げ部よりも下方に位置し、前記車幅方向に延びる第2ケーブル下部と、を有し、
前記第2ケーブル上部は、少なくとも一部が前記前後方向から見て前記車幅方向において前記傾斜面と重なっており、
前記第2ケーブル下部は、少なくとも一部が前記隔壁に固定されたプロテクタに覆われている、車両。
【請求項6】
請求項5に記載の車両であって、
前記高電圧ケーブルは、前記第2曲げ部を挟んで少なくとも2つの固定部で前記隔壁に固定され、
前記少なくとも2つの固定部のうち、前記第2曲げ部に対し前記第1曲げ部とは反対側に位置する第2固定部は、前記プロテクタに固定されている、車両。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の車両であって、
前記ユニットルームには、電動機と、該電動機の動力を変速する変速機と、前記電動機と前記変速機とを収容する変速機ケースと、前記変速機ケースの上方に配置され該電動機を制御する電動機制御装置と、が収容され、
前記駆動ユニットは、前記電動機制御装置であり、
側方から見て、前記変速機ケースは略円形状を有するとともに前記電動機制御装置は矩形形状を有し、
側方から見て、前記第2ケーブル下部は、少なくとも一部が高さ方向において前記電動機制御装置と前記変速機ケースとの間の空間と重なるように配置されている、車両。
【請求項8】
請求項7に記載の車両であって、
前記第1ケーブル部及び前記第2ケーブル部は、上方から見て前記車幅方向において前記変速機ケースの前記一端側と他端側との間に位置している、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動ユニットとバッテリとを接続する高電圧ケーブルを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の衝突時にユニットとダッシュパネルとの間に高電圧ケーブルが挟まれ難くするため、モータルーム内のユニットとダッシュパネルとの間の最も大きな隙間に高電圧ケーブルを配索するようにした車両が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5294031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、車両の衝突によって、高電圧ケーブルが配索されている隙間が無くなってしまうほどの強い前後方向の荷重がユニットに作用した場合、ユニットとダッシュパネルとの間に高電圧ケーブルが挟まれてしまう。
【0005】
本発明は、衝突時等における前後方向の荷重から高電圧ケーブル保護することができる車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
ユニットルームと、
車室と、
前記ユニットルームと前記車室とを区画する隔壁と、
前記ユニットルームに配置される駆動ユニットと、
前記隔壁に対し車両の前後方向で前記ユニットルームと反対側に配置されるバッテリと、
前記駆動ユニットと前記バッテリとを接続する高電圧ケーブルと、を備える車両であって、
前記駆動ユニットは、前記隔壁と対向する面に車幅方向で一端側に行くほど前記隔壁からの距離が拡大する傾斜面を有し、
前記高電圧ケーブルは、
前記駆動ユニットの前記一端側かつ前記駆動ユニットの上面に設けられたユニット側接続部に上方から接続されるケーブル側接続部と、
前記ケーブル側接続部に連結され、前記隔壁に向かって延びる第1ケーブル部と、
少なくとも一部が前記隔壁に沿って配索される第2ケーブル部と、
前記第1ケーブル部と前記第2ケーブル部との間に位置し、前記第1ケーブル部から前記第2ケーブル部へ下方に屈曲する第1曲げ部と、を備え、
前記前後方向から見て、前記第2ケーブル部の少なくとも一部が前記車幅方向において前記傾斜面と重なっている、車両。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の衝突時等における前後方向の荷重から高電圧ケーブルを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の車両の全体構造を示す概略側面図である。
図2図1の車両のモータルームを示す概略平面図である。
図3図2のA−A断面図である。
図4図1の車両のモータルームにおける高電圧ケーブルの配索状態を示すダッシュパネルの正面図である。
図5図1の車両のモータルームにおける駆動ユニット及び高電圧ケーブルの配置状態を示す斜視図である。
図6A】車両衝突前における駆動ユニット、高電圧ケーブル及びブラケットの状態を示す概略平面図である。
図6B】車両衝突後における駆動ユニット、高電圧ケーブル及びブラケットの状態を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る車両の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、以下の説明において、前後、左右、上下は、車両の操縦者から見た方向に従い記載し、また、図面に車両の前方をFr、後方をRr、左側をL、右側をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の車両1は、ダッシュパネル2により車室10とその前方のモータルーム20とに区画形成されている。車室10には、前部座席11及び後部座席12が設けられている。後部座席12の後方におけるフロアパネル3の下方には、バッテリ30が設けられている。
【0011】
図2及び図3に示すように、モータルーム20には、エンジン21と、変速機23と、電動機制御装置25と、が収容されている。変速機23及び電動機制御装置25は、モータルーム20の中央よりも左側に配置されており、その右隣にエンジン21が配置されている。電動機制御装置25は、例えばインバータ、コンバータである。
【0012】
変速機23は、電動機(不図示)ととともに、変速機ケース24に収容される。変速機ケース24の上方には、電動機制御装置25が配置されている。図3に示すように、側方から見た変速機ケース24の形状は略円形状であり、電動機制御装置25の形状は矩形形状である。図2に示すように、電動機制御装置25は、ダッシュパネル2と対向する面に左側に行くほどダッシュパネル2からの距離が拡大する傾斜面25aを有する。図1に示すように、電動機制御装置25は、高電圧ケーブル40でバッテリ30に接続されている。
【0013】
図4及び図5に示すように、電動機制御装置25とバッテリ30とを接続する高電圧ケーブル40は、電動機制御装置25の左端側かつ電動機制御装置25の上方を向く面に設けられたユニット側接続部25bに上方から接続されるケーブル側接続部40aと、ケーブル側接続部40aに連結され、ダッシュパネル2に向かって延びる第1ケーブル部40bと、少なくとも一部がダッシュパネル2に沿って配索される第2ケーブル部40cと、第1ケーブル部40bと第2ケーブル部40cとの間に位置し、第1ケーブル部40bから第2ケーブル部40cへ下方に屈曲する第1曲げ部40dと、を備える。図4に示すように、前後方向から見て、第2ケーブル部40cの上部(後述する第2ケーブル上部40ca)は、車幅方向において傾斜面25aと重なっている。図2及び図4中、符号Lが、前後方向から見て、第2ケーブル部40cの上部(後述する第2ケーブル上部40ca)と傾斜面25aとが車幅方向において重なる領域である。また、傾斜面25aは、傾斜面25aとダッシュパネル2とにより形成されるケーブル生存空間S1(図6B参照)が高電圧ケーブル40の断面より大きくなるように設定されている。
【0014】
上記構成によれば、高電圧ケーブル40は、ケーブル側接続部40aから第1ケーブル部40bが上方に延び、第1曲げ部40dから下方に向かうため、側面視で高電圧ケーブル40が略円弧形状となる(図5参照)。したがって、高電圧ケーブル40は、電動機制御装置25の揺動及び衝突などに伴う前後方向の変位を吸収しやすく、ケーブル側接続部40aやケーブル固定部に応力が集中することを抑制できる。また、衝突時等に電動機制御装置25が大きく変位しても、安定した軌跡で揺動を吸収できる。さらに、図6A及び図6Bに示すように、前突時又は後突時に、傾斜面25aとダッシュパネル2との間に形成されるケーブル生存空間S1に高電圧ケーブル40の第2ケーブル部40cを押し出すことで、電動機制御装置25とダッシュパネル2に第2ケーブル部40cが挟まれることが防止される。このとき、第2ケーブル部40cは電動機制御装置25の傾斜面25aで押されるので、第2ケーブル部40cが傷つくことが抑制される。これにより、車両1の衝突時等における前後方向の荷重から高電圧ケーブル40を保護することができる。よって、側面視で高電圧ケーブル40が略円弧形状を有することと、第2ケーブル部40cが電動機制御装置25の傾斜面25aを備えることにより、ケーブル生存空間S1に高電圧ケーブル40を押し出すことでケーブル側接続部40aに発生する軸回転方向の変位を略円弧形状によって吸収可能となるため、ケーブル側接続部40aやケーブル固定部の前後方向および軸回転方向の応力の集中による損傷と、衝突によって高電圧ケーブル40が傷つくことの両方を防止することができる。
【0015】
仮に、高電圧ケーブル40をダッシュパネル2に向けて平面的に配索した場合、車両1の衝突時に高電圧ケーブル40が電動機制御装置25に押されて変位することで生じる前後方向の応力を、高電圧ケーブル40に曲げ部を2箇所以上設けてS字状などに湾曲させることにより吸収する必要がある。この場合、高電圧ケーブル40を曲げ点数以上の箇所で固定する必要がある。これに対し、上記のように電動機制御装置25への高電圧ケーブル40の接続を上方向から行うことで、高電圧ケーブル40の曲げ点数を最小にできるため、高電圧ケーブル40の固定箇所を最小限にすることができる。
【0016】
図2及び図5に示すように、ユニット側接続部25bは、前後方向において電動機制御装置25の中央よりダッシュパネル2から離間した位置である電動機制御装置25の前方に設けられている。この構成によれば、ユニット側接続部25bとダッシュパネル2までの距離を確保できる。したがって、電動機制御装置25の揺動や衝突などに伴う高電圧ケーブル40の変位を吸収しやすくできる。また、ユニット側接続部25bが電動機制御装置25の左端側に設けられていることに加えて、電動機制御装置25がモータルーム20の左側に配置されている。そのため、高電圧ケーブル40もモータルーム20の左側に配索されることになるので、衝突後に安全な空間を確保しやすいモータルーム20の左隅部へ第2ケーブル部40cを押し出すことができる。
【0017】
図4及び図5に示すように、第2ケーブル部40cは、第2曲げ部40eと、第2曲げ部40eより上方に位置する第2ケーブル上部40caと、第2曲げ部40eよりも下方に位置し、車幅方向で右方に延びる第2ケーブル下部40cbと、を有する。
【0018】
図2及び図4に示すように、第2ケーブル上部40caは、車幅方向において傾斜面25aと重なる。一方、第2ケーブル下部40cbは、図3に示すように、側方から見て、少なくとも一部が高さ方向において矩形形状を有する電動機制御装置25と略円形状を有する変速機ケース24との間のケーブル生存空間S2と重なるように配置される。
【0019】
このように、第2ケーブル上部40caは、車幅方向において傾斜面25aと重なっているので、前突時又は後突時に、前術したように傾斜面25aとダッシュパネル2との間に形成されるケーブル生存空間S1(図2参照)に第2ケーブル上部40caを押し出すことで、電動機制御装置25とダッシュパネル2に第2ケーブル上部40caが挟まれることが防止される。
【0020】
一方、第2ケーブル下部40cbは、側方から見て、少なくとも一部が高さ方向において矩形形状を有する電動機制御装置25と略円形状を有する変速機ケース24との間のケーブル生存空間S2と重なるように配置されるので、前突時又は後突時に、第2ケーブル下部40cbが変速機ケース24及び電動機制御装置25と干渉するのを抑制できる。
【0021】
また、第2ケーブル下部40cbは、ダッシュパネル2に固定された断面略U字形状のプロテクタ43に覆われている。このように第2ケーブル下部40cbは、ダッシュパネル2に固定されたプロテクタ43に覆われているので、前突時又は後突時にモータルーム20内の部材の変位による影響をさらに抑制できる。
【0022】
また、高電圧ケーブル40は、第2曲げ部40eを挟んで2つの固定部40f、40gでダッシュパネル2に固定されている。即ち、第2ケーブル上部40caが固定部40fでダッシュパネル2に固定され、第2ケーブル下部40cbが固定部40gでダッシュパネル2に固定される。
【0023】
高電圧ケーブル40を、第2曲げ部40eを挟んで2つの固定部40f、40gでダッシュパネル2に固定することで、電動機制御装置25の変位に伴って発生する高電圧ケーブル40のねじれを防止できる。仮に、高電圧ケーブル40を2つの固定部40f、40gで直線的に固定した場合、電動機制御装置25の変位に伴って高電圧ケーブル40に軸回転力が作用すると、高電圧ケーブル40自体が軸回転してねじれてしまう。これに対し、高電圧ケーブル40が2つの固定部40f、40gで曲線的に固定されていれば、電動機制御装置25の変位に伴って高電圧ケーブル40に軸回転力が作用しても、その軸回転力が2つの固定部40f、40gに直線的には伝わらないため、高電圧ケーブル40自体の軸回転が抑えられ、ねじれも少なくなる。
【0024】
また、仮に、高電圧ケーブル40を2つの固定部40f、40gで直線的に固定した場合、高電圧ケーブル40にねじれが生じやすいため、高電圧ケーブル40に意図しない変移が生じやすくなる。ねじれが生じた後の高電圧ケーブル40の形状は設計的に管理することが困難である。これに対し、上記のように高電圧ケーブル40が第2曲げ部40eを挟んで2つの固定部40f、40gで固定されていることで、電動機制御装置25の回転方向の変移が極端に大きい場合のねじれは、第2曲げ部40eの範囲で吸収できるため、高電圧ケーブル40の形状の設計的な管理が容易になる。
【0025】
このように、高電圧ケーブル40の揺動時や衝突時の形状を設計的に管理できることで、電動機制御装置25の変位に伴って発生する高電圧ケーブル40のねじれやそれに伴う意図しない変移を防止し、安定した軌跡で高電圧ケーブル40に揺動を吸収させることが可能になる。また、高電圧ケーブル40が電動機制御装置25の傾斜面25aで左側に押し出されても、2つの固定部40f、40gが存在することで、高電圧ケーブル40の不安定な変形やねじれが抑えられるため、モータルーム20内の左隅部に予め確保したケーブル生存空間S1へ、安定した軌道と変移量で高電圧ケーブル40を押し出すことができる。なお、第2曲げ部40eはダッシュパネル2の前面に沿って横方向に変曲してもいいし、前後方向に変曲してもいい。
【0026】
図5に示すように、2つの固定部40f、40gのうち、第2曲げ部40eに対し第1曲げ部40d側に位置する第1固定部40fは、ダッシュパネル2に固定されたブラケット41である。図6Aに示すように、ブラケット41とダッシュパネル2との固定点41aは、ブラケット41が高電圧ケーブル40を片持ち状態で保持する保持点41bよりも車幅方向で右端側、且つ、ダッシュパネル2側に位置する。
【0027】
このように、ブラケット41とダッシュパネル2との固定点41aは、ブラケット41が高電圧ケーブル40を保持する保持点よりも車幅方向で右端側、且つ、ダッシュパネル2側に位置するので、図6Bに示すように、衝突時に電動機制御装置25の傾斜面25aによって第2ケーブル部40cが押し出されるときに、ブラケット41が車幅方向で左端側且つダッシュパネル2側に曲がりやすい。そのため、ブラケット41で第2ケーブル部40cが損傷することを防止し、さらに、高電圧ケーブル40を安定した軌跡で変位させることができる。
【0028】
また、2つの固定部40f、40gのうち、第2曲げ部40eに対し第1曲げ部40dとは反対側に位置する第2固定部40gは、プロテクタ43に固定されている。プロテクタ43に高電圧ケーブル40を固定するブラケットの機能も持たせることで、部品点数を削減できる。
【0029】
また、図4に示すように、第1ケーブル部40b及び第2ケーブル部40cは、前方から見て車幅方向において変速機ケース24の左端側と右端側との間、即ち変速機ケース24の幅内に位置している。この構成により、オフセット衝突などでの横方向から衝撃を受けた場合でも他の部材との接触から高電圧ケーブル40を変速機ケース24により保護することができる。
【0030】
なお、前述した実施形態は、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、前述した実施形態では、第2ケーブル上部40caが車幅方向において電動機制御装置25の傾斜面25aと重なっているが、第2ケーブル上部40caに限らず、第2ケーブル部40cの少なくとも一部が傾斜面25aとオーバーラップしていればよい。また、傾斜面25aは、直線状に限らず、例えば円弧状の曲面であってもよい。
【0031】
また、前述した実施形態では、高電圧ケーブル40が、第2曲げ部40eを挟んで2つの固定部40f、40gでダッシュパネル2に固定されているが、少なくとも3つ以上の固定部で固定されてもよい。
【0032】
また、前述した実施形態では、駆動ユニットの例として電動機制御装置を示したが、駆動ユニットは、高電圧ケーブルでバッテリに接続されるその他の車載機器であってもよい。
【0033】
さらに、前述した実施形態では、車両1の前方にモータルーム20が設けられた例を説明したが、モータルーム20が車両1の後方に設けられてもよい。この場合でも、上記したように、前後方向から見て第2ケーブル部40cの少なくとも一部が、車幅方向において傾斜面25aと重なっていることで、特に後突時に、電動機制御装置25と隔壁に第2ケーブル部40cが挟まれることが防止される。
【0034】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0035】
(1) ユニットルーム(モータルーム20)と、
車室(車室10)と、
前記ユニットルームと前記車室とを区画する隔壁(ダッシュパネル2)と、
前記ユニットルームに配置される駆動ユニット(電動機制御装置25)と、
前記隔壁に対し車両の前後方向で前記ユニットルームと反対側に配置されるバッテリ(バッテリ30)と、
前記駆動ユニットと前記バッテリとを接続する高電圧ケーブル(高電圧ケーブル40)と、を備える車両(車両1)であって、
前記駆動ユニットは、前記隔壁と対向する面に車幅方向で一端側(左端側)に行くほど前記隔壁からの距離が拡大する傾斜面(傾斜面25a)を有し、
前記高電圧ケーブルは、
前記駆動ユニットの前記一端側かつ前記駆動ユニットの上面に設けられたユニット側接続部(ユニット側接続部25b)に上方から接続されるケーブル側接続部(ケーブル側接続部40a)と、
前記ケーブル側接続部に連結され、前記隔壁に向かって延びる第1ケーブル部(第1ケーブル部40b)と、
少なくとも一部が前記隔壁に沿って配索される第2ケーブル部(第2ケーブル部40c)と、
前記第1ケーブル部と前記第2ケーブル部との間に位置し、前記第1ケーブル部から前記第2ケーブル部へ下方に屈曲する第1曲げ部(第1曲げ部40d)と、を備え、
前記前後方向から見て、前記第2ケーブル部の少なくとも一部(第2ケーブル上部40ca)が前記車幅方向において前記傾斜面と重なっている、車両。
【0036】
(1)によれば、高電圧ケーブルは、ケーブル側接続部から第1ケーブル部が上方に延び、第1曲げ部から下方に向かうため、高電圧ケーブルが略円弧形状となる。したがって、高電圧ケーブルは、駆動ユニットの揺動及び衝突などに伴う変位を吸収しやすく、ケーブル側接続部やケーブル固定部に応力が集中することを抑制できる。また、衝突時等に駆動ユニットが大きく変位しても、安定した軌跡で揺動を吸収できる。さらに、前突時又は後突時に、傾斜部と隔壁との間に形成される空間に高電圧ケーブルの第2ケーブル部を押し出すことで、駆動ユニットと隔壁に第2ケーブル部が挟まれることが防止される。このとき、第2ケーブル部は駆動ユニットの傾斜面で押されるので、第2ケーブル部が傷つくことが抑制される。このように車両の衝突時等における前後方向の荷重から高電圧ケーブルを保護することができる。
【0037】
(2) (1)に記載の車両であって、
前記駆動ユニットは、前記車幅方向において前記ユニットルームの中央よりも前記一端側に配置され、
前記ユニット側接続部は、前記前後方向において前記駆動ユニットの中央より前記隔壁から離間した位置に設けられる、車両。
【0038】
(2)によれば、ユニット側接続部と隔壁までの距離を確保することで、駆動ユニットの揺動や衝突などに伴う高電圧ケーブルの変位を吸収しやすい。また、駆動ユニットがユニットルームの一端側に配置されることで高電圧ケーブルも一端側に配索されることになるので、衝突後に安全な空間を確保しやすいユニットルームの隅部へ第2ケーブル部を押し出すことができる。
【0039】
(3) (1)又は(2)に記載の車両であって、
前記第2ケーブル部は、第2曲げ部(第2曲げ部40e)を有し、
前記高電圧ケーブルは、前記第2曲げ部を挟んで少なくとも2つの固定部(第1固定部40f、第2固定部40g)で前記隔壁に固定されている、車両。
【0040】
(3)によれば、駆動ユニットの変位に伴って発生する高電圧ケーブルのねじれやそれに伴う意図しない変移を防止し、安定した軌跡で高電圧ケーブルに揺動を吸収させることが可能になる。また、高電圧ケーブルが駆動ユニットの傾斜面で一端側に押し出されても、2つの固定部が存在することで、高電圧ケーブルの不安定な変形やねじれが抑えられるため、ユニットルーム内の一端側の隅部に予め確保した空間へ、安定した軌道と変移量で高電圧ケーブルを押し出すことができる。
【0041】
(4) (3)に記載の車両であって、
前記少なくとも2つの固定部のうち、前記第2曲げ部に対し前記第1曲げ部側に位置する第1固定部(第1固定部40f)は、前記隔壁に固定されたブラケット(ブラケット41)であって、
前記ブラケットと前記隔壁との固定点は、前記ブラケットが前記高電圧ケーブルを保持する保持点よりも前記車幅方向で他端側、且つ、前記隔壁側に位置する、車両。
【0042】
(4)によれば、ブラケットと隔壁との固定点は、ブラケットが高電圧ケーブルを保持する保持点よりも車幅方向で他端側、且つ、隔壁側に位置するので、衝突時に駆動ユニットの傾斜面によって第2ケーブル部が押し出されるときに、ブラケットが固定点を支点として隔壁側に曲がりやすいため、ブラケットで第2ケーブル部が損傷することを防止し、さらに、高電圧ケーブルを安定した軌跡で変位させることができる。
【0043】
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の車両であって、
前記第2ケーブル部は、第2曲げ部と、前記第2曲げ部より上方に位置する第2ケーブル上部(第2ケーブル上部40ca)と、前記第2曲げ部よりも下方に位置し、前記車幅方向に延びる第2ケーブル下部(第2ケーブル下部40cb)と、を有し、
前記第2ケーブル上部は、少なくとも一部が前記前後方向から見て前記車幅方向において前記傾斜面と重なっており、
前記第2ケーブル下部は、少なくとも一部が前記隔壁に固定されたプロテクタ(プロテクタ43)に覆われている、車両。
【0044】
(5)によれば、第2ケーブル上部は、車幅方向において傾斜面と重なっているので、前突時又は後突時に、傾斜部と隔壁との間に形成される空間に押し出される。したがって、第2ケーブル上部が駆動ユニットと隔壁に挟まれることが防止される。一方、第2ケーブル下部は、隔壁に固定されたプロテクタに覆われているので、前突時又は後突時にユニットルーム内の部材の変位による影響を抑制できる。
【0045】
(6) (5)に記載の車両であって、
前記高電圧ケーブルは、前記第2曲げ部を挟んで少なくとも2つの固定部(第1固定部40f、第2固定部40g)で前記隔壁に固定され、
前記少なくとも2つの固定部のうち、前記第2曲げ部に対し前記第1曲げ部とは反対側に位置する第2固定部(第2固定部40g)は、前記プロテクタに固定されている、車両。
【0046】
(6)によれば、プロテクタに高電圧ケーブルを固定するブラケットの機能も持たせることで、部品点数を削減できる。
【0047】
(7) (5)又は(6)に記載の車両であって、
前記ユニットルームには、電動機と、該電動機の動力を変速する変速機(変速機23)と、前記電動機と前記変速機とを収容する変速機ケース(変速機ケース24)と、前記変速機ケースの上方に配置され該電動機を制御する電動機制御装置(電動機制御装置25)と、が収容され、
前記駆動ユニットは、前記電動機制御装置であり、
側方から見て、前記変速機ケースは略円形状を有するとともに前記電動機制御装置は矩形形状を有し、
側方から見て、前記第2ケーブル下部は、少なくとも一部が高さ方向において前記電動機制御装置と前記変速機ケースとの間の空間と重なるように配置されている、車両。
【0048】
(7)によれば、側方から見て、第2ケーブル下部は、少なくとも一部が高さ方向において矩形形状を有する電動機制御装置と略円形状を有する変速機ケースとの間の空間と重なるように配置されているので、衝突時などに第2ケーブル下部が変速機ケース及び電動機制御装置と干渉するのを抑制できる。
【0049】
(8) (7)に記載の車両であって、
前記第1ケーブル部及び前記第2ケーブル部は、上方から見て前記車幅方向において前記変速機ケースの前記一端側と他端側との間に位置している、車両。
【0050】
(8)によれば、第1ケーブル部及び第2ケーブル部は、上方から見て車幅方向において変速機ケースの一端側と他端側との間、即ち変速機ケースの幅内に位置しているので、オフセット衝突などでの横方向から衝撃を受けた場合でも他の部材との接触から高電圧ケーブルを保護することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 車両
2 ダッシュパネル(隔壁)
10 車室
20 モータルーム(ユニットルーム)
24 変速機ケース
25 電動機制御装置(駆動ユニット)
25a 傾斜面
25b ユニット側接続部
30 バッテリ
40 高電圧ケーブル
40a ケーブル側接続部
40b 第1ケーブル部
40c 第2ケーブル部
40ca 第2ケーブル上部
40cb 第2ケーブル下部
40d 第1曲げ部
40e 第2曲げ部
40f 第1固定部
40g 第2固定部
41 ブラケット
43 プロテクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B