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特開2020-198711太陽光発電設備の異常検出システムおよび異常検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-198711(P2020-198711A)
(43)【公開日】2020年12月10日
(54)【発明の名称】太陽光発電設備の異常検出システムおよび異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20201113BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20201113BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20201113BHJP
【FI】
   H02J13/00 301D
   H02J3/38 130
   H02S50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-103789(P2019-103789)
(22)【出願日】2019年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】福本 直紀
(72)【発明者】
【氏名】小野 進
(72)【発明者】
【氏名】布上 健一郎
【テーマコード(参考)】
5F151
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5F151KA02
5F151KA08
5G064AA04
5G064AC09
5G064BA01
5G064BA09
5G064CB08
5G064CB16
5G064DA07
5G066HA13
5G066HB06
(57)【要約】
【課題】 需要家に負担を与えることなく、太陽光発電設備の異常を早期かつ適正に検出する。
【解決手段】 需要家M側への順潮流と需要家M側からの逆潮流とを計量、記憶し、これらの計量値に基づいて、対象需要家M1と少なくとも天候が同じエリアに所在する需要家Mを参照需要家M2として選出し、現時点から所定期間遡った近期間における対象需要家M1の計量値と参照需要家M2の計量値とに基づいて、対象需要家M1の太陽光発電設備2が異常であるか否かを判定する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電設備が設けられた各需要家に配設され、配電系統から前記需要家側への順潮流と、前記需要家側から前記配電系統への逆潮流とを計量する計量器と、
前記各計量器による計量値を記憶する計量値記憶手段と、
前記各計量値に基づいて、監視対象の需要家と少なくとも天候が同じエリアに所在する需要家を参照需要家として選出し、現時点から所定期間遡った近期間における前記監視対象の需要家の計量値と前記参照需要家の計量値とに基づいて、前記監視対象の需要家の太陽光発電設備が異常であるか否かを判定する検出手段と、
を備えることを特徴とする太陽光発電設備の異常検出システム。
【請求項2】
前記検出手段は、前記監視対象の需要家の計量値において、所定値以上の逆潮流がある場合には、前記太陽光発電設備が異常でないと判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電設備の異常検出システム。
【請求項3】
前記検出手段は、前記参照需要家の計量値に所定値以上の逆潮流があって前記監視対象の需要家の計量値に逆潮流がない場合には、前記太陽光発電設備が異常であると判定する、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の太陽光発電設備の異常検出システム。
【請求項4】
前記検出手段は、前記監視対象の需要家の平常時の計量値と類似する計量値の需要家を前記参照需要家として選出する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽光発電設備の異常検出システム。
【請求項5】
前記検出手段で異常であると判定された場合に、前記監視対象の需要家に警報を出力する警報手段を備える、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽光発電設備の異常検出システム。
【請求項6】
太陽光発電設備が設けられた需要家側への配電系統からの順潮流と、前記需要家側から前記配電系統への逆潮流とを計量する計量ステップと、
前記計量ステップで計量された前記各需要家の計量値を記憶する計量値記憶ステップと、
前記計量値記憶ステップで記憶された各計量値に基づいて、監視対象の需要家と少なくとも天候が同じエリアに所在する需要家を参照需要家として選出し、現時点から所定期間遡った近期間における前記監視対象の需要家の計量値と前記参照需要家の計量値とに基づいて、前記監視対象の需要家の太陽光発電設備が異常であるか否かを判定する検出ステップと、
を備えることを特徴とする太陽光発電設備の異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光発電設備の異常を検出する太陽光発電設備の異常検出システムおよび異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅などに太陽光発電設備を設置し、昼間に太陽光発電設備で発電された電力を使用するとともに、その余剰電力を電力事業者に売電する需要家が増えている。このような需要家においては、太陽光発電設備が故障したり、停電後に自動復旧できなかったりして発電できない状況であっても、電力事業者からの電力供給を受けていれば気づかないことが多く、このような状況が長期間続くと、売電による収入が得られないことになる。
【0003】
このため、太陽光発電設備の異常を検出してユーザに通知する仕組みが求められるが、異常を検出するセンサや回路、通信手段などを太陽光発電設備ごとに設けると、設備費や維持費が嵩んでしまうばかりでなく、既存の太陽光発電設備に設けることが困難である。一方、発電量低下の要因を分析して経時的に発電量を低下させる要因についても把握できる、という太陽光発電管理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置は、発電量を用いて発電効率を算出し、日射量と太陽光発電パネルの温度を用いて発電効率の理想値を算出し、算出した発電効率と理想値との比である理想度が経時的に低下しているか否かを判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−47030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、日射計や温度計などを需要家ごとに設けなければならず、設備費や維持費が嵩み需要家の負担が大きい。また、太陽光発電パネルの経時的な劣化やその要因を知得できるだけであり、現時点において発電停止などの異常が発生しているか否かを早期に知得できるものではない。
【0006】
そこでこの発明は、需要家への負担がなく、しかも、太陽光発電設備の停止などの異常を早期かつ適正に検出可能な、太陽光発電設備の異常検出システムおよび異常検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、太陽光発電設備が設けられた各需要家に配設され、配電系統から前記需要家側への順潮流と、前記需要家側から前記配電系統への逆潮流とを計量する計量器と、前記各計量器による計量値を記憶する計量値記憶手段と、前記各計量値に基づいて、監視対象の需要家と少なくとも天候が同じエリアに所在する需要家を参照需要家として選出し、現時点から所定期間遡った近期間における前記監視対象の需要家の計量値と前記参照需要家の計量値とに基づいて、前記監視対象の需要家の太陽光発電設備が異常であるか否かを判定する検出手段と、を備えることを特徴とする太陽光発電設備の異常検出システムである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の異常検出システムにおいて、前記検出手段は、前記監視対象の需要家の計量値において、所定値以上の逆潮流がある場合には、前記太陽光発電設備が異常でないと判定する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の異常検出システムにおいて、前記検出手段は、前記参照需要家の計量値に所定値以上の逆潮流があって前記監視対象の需要家の計量値に逆潮流がない場合には、前記太陽光発電設備が異常であると判定する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から3に記載の異常検出システムにおいて、前記検出手段は、前記監視対象の需要家の平常時の計量値と類似する計量値の需要家を前記参照需要家として選出する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から4に記載の異常検出システムにおいて、前記検出手段で異常であると判定された場合に、前記監視対象の需要家に警報を出力する警報手段を備える、ことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、太陽光発電設備が設けられた需要家側への配電系統からの順潮流と、前記需要家側から前記配電系統への逆潮流とを計量する計量ステップと、前記計量ステップで計量された前記各需要家の計量値を記憶する計量値記憶ステップと、前記計量値記憶ステップで記憶された各計量値に基づいて、監視対象の需要家と少なくとも天候が同じエリアに所在する需要家を参照需要家として選出し、現時点から所定期間遡った近期間における前記監視対象の需要家の計量値と前記参照需要家の計量値とに基づいて、前記監視対象の需要家の太陽光発電設備が異常であるか否かを判定する検出ステップと、を備えることを特徴とする太陽光発電設備の異常検出方法である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1および請求項6の発明によれば、監視対象の需要家(対象需要家)の計量値と参照需要家の計量値とに基づいて、対象需要家の太陽光発電設備が異常であるか否かが判定されるため、太陽光発電設備の停止などの異常を早期かつ適正に検出することが可能となる。例えば、近期間において、対象需要家と同じ天候の参照需要家の計量値内に逆潮流があるにもかかわらず、対象需要家の計量値内に逆潮流がない場合には、天候以外の要因によって対象需要家の太陽光発電設備が発電していない、つまり異常があると判定される。そして、このような判定を頻繁に行うことで、太陽光発電設備の停止などの異常を早期かつ適正に検出することが可能となる。また、需要家側には順潮流と逆潮流とを計量する計量器を配設するだけでよく、このような計量器は太陽光発電設備が設けられている需要家には配設されるべきものであるため、需要家への負担がなく、広く適用することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、対象需要家の近期間の計量値内に、所定値以上の逆潮流がある場合には、太陽光発電設備が異常でないと判定される。例えば、平常通りの逆潮流があれば、太陽光発電設備が異常でないと判定されるため、異常でないことをより適正に検出することが可能となる。しかも、所定値を適正な値に設定することで、異常の有無をより適正、正確に検出することが可能となる。
【0015】
請求項3の発明によれば、近期間において、参照需要家の計量値内に所定値以上の逆潮流があるにもかかわらず、対象需要家の計量値内に逆潮流がない場合には、太陽光発電設備が異常であると判定される。すなわち、参照需要家では適正に発電されて所定値以上の逆潮流があるにもかかわらず、同じ天候の対象需要家で逆潮流がない場合には、対象需要家の太陽光発電設備が適正に発電しておらず異常があると判定されるため、太陽光発電設備の異常を適正に検出することが可能となる。しかも、所定値を適正な値に設定することで、異常の有無をより適正、正確に検出することが可能となる。
【0016】
請求項4の発明によれば、平常時の計量値つまり電力需給状況(電力売買状況)が対象需要家と類似する需要家が参照需要家として選出されるため、より適正な参照需要家の計量値に基づいて、太陽光発電設備の異常をより適正に検出することが可能となる。例えば、逆潮流が発生する時間帯などが類似する参照需要家の計量値に基づいて、近期間において参照需要家で発生している逆潮流の時間帯で対象需要家でも逆潮流があるか否かを確認することで、太陽光発電設備の異常をより適正に検出することが可能となる。
【0017】
請求項5の発明によれば、太陽光発電設備が異常であると判定されると、対象需要家に警報が出力されるため、対象需要家において迅速かつ適正な措置を講じることができ、長期間売電できなくなる状況を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施の形態に係る太陽光発電設備の異常検出システムを示す概略構成図である。
図2図1の異常検出システムの監視サーバを示す概略構成ブロック図である。
図3図2の監視サーバの需要家データベースのデータ構成を示す図である。
図4図2の監視サーバの計量値データベースに記憶される計量値例を示し、(a)は、太陽光発電設備に異常がない場合の計量値、(b)は、太陽光発電設備に異常がある場合の計量値を示す。
図5図2の監視サーバの検出タスクを示すフローチャートである。
図6図1の異常検出システムの作用、動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0020】
図1は、この発明の実施の形態に係る太陽光発電設備の異常検出システム(以下、単に「異常検出システム」という)1を示す概略構成図である。この異常検出システム1は、太陽光発電設備2の異常を検出するシステムであり、太陽光発電設備2が設けられた各需要家(需要家宅)Mに配設されたスマートメータ(計量器)3と、電力事業者の監視サーバ4と、を備える。ここで、この実施の形態では、異常検出システム1による検出サービスは、申し込みがあった需要家Mに対してのみ適用するものとする。また、図中符号102は、電柱101に架設された配電線(配電系統)である。
【0021】
スマートメータ3は、配電線102から需要家M側への順潮流(消費電力量)と、需要家M側つまり太陽光発電設備2から配電線102への逆潮流(販売電力量)とを計量する計量器であり、通信機能を備える。すなわち、所定時間毎、例えば、30分毎の順潮流および逆潮流の電力量を計量し、その計量値をリアルタイムに監視サーバ4に送信する。ここで、監視サーバ4と通信するための通信方式は、配電線102による電力線搬送通信(PLC)などどのようなものでもよい。また、需要家Mの携帯電話などの通信端末と監視サーバ4とは、ネットワークNWを介して通信自在となっている。
【0022】
監視サーバ4は、図2に示すように、主として、需要家データベース41と、計量値データベース(計量値記憶手段)42と、通信部43と、検出タスク(検出手段)44と、警報タスク(警報手段)45と、これらを制御などする中央処理部46と、を備える。ここで、これらの一部を他のサーバやコンピュータなどに備え、相互に連携するようにしてもよい。
【0023】
需要家データベース41は、各需要家Mに関する情報を記憶するデータベースであり、図3に示すように、契約番号411ごとに、需要家名412、計器番号413、太陽光414、所在地415、連絡先416、サービス417、計量値418、その他419が記憶されている。契約番号411には、需要家Mと電力事業者との契約を識別する識別情報が記憶され、需要家名412には、需要家Mを識別する氏名などの識別情報が記憶されている。計器番号413には、この需要家Mに配設されているスマートメータ3の識別情報が記憶され、太陽光414には、この需要家Mに太陽光発電設備2が設置されているか否かと、設置されている場合の太陽光発電設備2に関する情報(例えば、発電容量)が記憶されている。
【0024】
所在地415には、この需要家Mの緯度、経度などの位置情報が記憶され、連絡先416には、この需要家Mのメールアドレスや電話番号などの連絡先情報が記憶されている。サービス417には、この需要家Mが検出サービスの適用対象であるか否かが記憶され、計量値418には、異常検出システム1によって、この需要家Mの太陽光発電設備2の異常が過去に検出された場合の検出日時が記憶されている。
【0025】
計量値データベース42は、各スマートメータ3による計量値を記憶するデータベースであり、スマートメータ3の識別情報ごとに、図4に示すような30分毎の順潮流または逆潮流の電力量が経時的に記憶されている。この図において、実線で示すプラスの電力量は順潮流値で、破線で示すマイナスの電力量は逆潮流値であり、横軸の1目盛は1日を示す。
【0026】
通信部43は、各スマートメータ3や各需要家Mの通信端末などと通信するためのインターフェイスである。
【0027】
検出タスク44は、計量値データベース42の各計量値に基づいて、監視対象の需要家M(以下、「対象需要家M1」という)と少なくとも天候が同じエリアに所在する(対象需要家M1と近隣の)需要家Mを参照需要家M2として選出し、現時点から所定期間遡った近期間における対象需要家M1の計量値と参照需要家M2の計量値とに基づいて、対象需要家M1の太陽光発電設備2が異常であるか否かを判定するタスク・プログラムである。すなわち、この実施の形態では、1週間ごとに定期的に起動され、現時点から所定期間遡った近期間、つまり直近1週間において、対象需要家M1の計量値と参照需要家M2の計量値とを比較することで、対象需要家M1の太陽光発電設備2が異常であるか否かを判定するものである。ここで、1週間ごとではなく、1日ごとや数日ごとに起動し、過去1日間や数日間の計量値に基づいて判定してもよい。
【0028】
具体的には、図5に示すように、まず、検出サービスの適用対象である最初の対象需要家M1の計量値を計量値データベース42から取得する(ステップS1)。すなわち、需要家データベース41のサービス417に検出サービスの適用対象であることが記憶されている、最初の需要家Mのスマートメータ3の識別情報を計器番号413から取得し、この識別情報の計量値を計量値データベース42から取得する。
【0029】
次に、取得した計量値の過去1週間において、晴判定値(所定値)C以上の逆潮流があるか否かを判定する(ステップS2)。ここで、晴判定値Cとは、天候が晴れていて太陽光発電設備2が正常であれば、計量されると想定される逆潮流値であり、太陽光発電設備2の発電容量などに依存し、例えば、過去の季節ごとの晴れ時の平均的な逆潮流値に基づいて設定される。そして、図4(a)の第3のタイミングT3のように、晴判定値C以上の逆潮流がある場合(ステップS2で「Y」の場合)には、太陽光発電設備2が異常ではなく正常であると判定する(ステップS3)。
【0030】
一方、晴判定値C以上の逆潮流がない場合(ステップS2で「N」の場合)には、参照需要家M2を選出する(ステップS4)。参照需要家M2とは、対象需要家M1の電力需給状況(電力売買状況)と同等の電力需給状況で、対象需要家M1の太陽光発電設備2と同等の動作をすると想定される太陽光発電設備2が配設された需要家Mであり、この実施の形態では、天候が同じエリアに所在する需要家Mであり、かつ、対象需要家M1の平常時の計量値と類似する計量値の需要家Mを選出する。
【0031】
具体的には、対象需要家M1の所在地から所定の範囲内に所在して太陽光発電設備2が配設された需要家Mのなかから、過去の平常時(太陽光発電設備2の異常と判定された期間や停電時などを除く期間)において、逆潮流の発生タイミングなどの潮流傾向が同等の需要家Mを選出する。例えば、図4(b)を対象需要家M1の計量値とした場合、潮流傾向が同等である図4(a)を計量値とする需要家Mを参照需要家M2として選出する。さらに、太陽光発電設備2の発電容量や経年数(劣化度)などが近似する需要家Mを、参照需要家M2として選出してもよい。
【0032】
このような参照需要家M2の選出は、検出タスク44の起動時ごとに行ってもよいが、全対象需要家M1に対する参照需要家M2の選出を予め行って、需要家データベース41に記憶しておいてもよい。そして、このようにして選出した参照需要家M2の直近1週間の計量値を計量値データベース42から取得する(ステップS5)。
【0033】
次に、対象需要家M1と参照需要家M2の直近1週間の計量値が、第1の条件を満たすか否かを判定する(ステップS6)。ここで、第1の条件とは、参照需要家M2の計量値に晴判定値(所定値)C以上の逆潮流があって対象需要家M1の計量値に逆潮流がない、という条件である。
【0034】
すなわち、参照需要家M2では適正に発電されて晴判定値C以上の逆潮流があるにもかかわらず、同じ天候で潮流傾向が同等の対象需要家M1で逆潮流がない場合には、対象需要家M1の太陽光発電設備2が適正に発電しておらず異常があると判定する。ここで、参照需要家M2の晴判定値Cは、上記の対象需要家M1の晴判定値Cと同様に設定されるが、対象需要家M1の晴判定値Cと同値である必要はない。
【0035】
例えば、参照需要家M2の計量値において、図4(a)の第3のタイミングT3のような晴判定値C以上の逆潮流があるにもかかわらず、対象需要家M1の計量値において、図4(b)に示すように、同じ第3のタイミングT3で逆潮流がない場合には、対象需要家M1の太陽光発電設備2が異常であると推定される。そして、この条件を満たす場合(ステップS6で「Y」の場合)には、太陽光発電設備2が異常であると判定し(ステップS7)、この対象需要家M1の連絡先情報を連絡先416から取得してメモリに記憶する。また、この実施の形態では、第1の条件を満たす場合には、太陽光発電設備2が故障停止しており重大異常であるとしてメモリに記憶する。さらに、計量値418に検出日時つまり検出タスク44の起動日時を記憶する。
【0036】
一方、第1の条件を満たさない場合(ステップS6で「N」の場合)には、対象需要家M1と参照需要家M2の直近1週間の計量値が、第2の条件を満たすか否かを判定する(ステップS8)。ここで、第2の条件とは、太陽光発電設備2が故障停止していないが、太陽光パネルに付着物があるなどの何らかの異常があると推定される場合の条件であり、例えば、次のような条件を含む。
【0037】
第1に、対象需要家M1の計量値に逆潮流があるが、参照需要家M2の計量値の同じタイミングでの逆潮流に比べて平常時よりも小さい、という条件である。第2に、平常時には対象需要家M1と参照需要家M2の逆潮流の発生タイミングが同じであり、図4(a)のタイミングT1、T2のように、参照需要家M2の計量値に晴判定値C未満の逆潮流があるにもかかわらず、図4(b)のタイミングT1、T2のように、対象需要家M1の計量値に逆潮流がない、という条件である。
【0038】
そして、第2の条件を満たす場合(ステップS8で「Y」の場合)には、太陽光発電設備2が異常であると判定し(ステップS7)、この対象需要家M1の連絡先情報を連絡先416から取得してメモリに記憶する。また、この実施の形態では、第2の条件を満たす場合には、太陽光発電設備2が故障停止していないが軽異常であるとしてメモリに記憶する。さらに、計量値418に検出日時つまり検出タスク44の起動日時を記憶する。
【0039】
一方、第2の条件を満たさない場合(ステップS8で「N」の場合)には、太陽光発電設備2が異常ではなく正常であると判定する(ステップS3)。そして、検出サービスの適用対象である次の対象需要家M1の計量値を計量値データベース42から取得し(ステップS9)、ステップS2に戻って同様の処理を繰り返す。このように、この実施の形態では、定期的に全対象需要家M1に対して異常の有無を検出しているが、任意の日時(例えば、停電復旧後)に検出したり、任意の対象需要家M1に対してのみ検出してもよい。
【0040】
警報タスク45は、検出タスク44で異常であると判定された対象需要家M1に警報を出力するタスク・プログラムである。すなわち、検出タスク44の処理終了後に起動され、異常検出されてメモリに記憶された全対象需要家M1の連絡先情報に対して、太陽光発電設備2が異常であることを示す警報情報を、通信部43を介して電子メールや電話などで出力するものである。この際、警報情報には、重大異常であるか軽異常であるかの情報を含む。
【0041】
次に、このような構成の異常検出システム1の作用および、異常検出システム1による太陽光発電設備の異常検出方法などについて説明する。
【0042】
まず、図6に示すように、各スマートメータ3で30分毎の順潮流と逆潮流とが計量され(計量ステップ)、その計量値が監視サーバ4に送信されると(ステップS11)と、この計量値が計量値データベース42に記憶される(計量値記憶ステップ、ステップS12)。次に、所定の時期になると検出タスク43が起動され(ステップS13)、上記のようにして、各対象需要家M1の太陽光発電設備2が異常であるか否かが判定される(検出ステップ)。そして、異常であると判定された対象需要家M1に対して、監視サーバ4から警報情報が出力される(警報ステップ、ステップS14)ものである。
【0043】
このように、この異常検出システム1および異常検出方法によれば、対象需要家M1の計量値と参照需要家M2の計量値とに基づいて、対象需要家M1の太陽光発電設備2が異常であるか否かが判定されるため、太陽光発電設備2の停止などの異常を早期かつ適正に検出することが可能となる。例えば、直近1週間において、対象需要家M1と同じ天候の参照需要家M2の計量値内に逆潮流があるにもかかわらず、対象需要家M1の計量値内に同じタイミングで逆潮流がない場合には、天候以外の要因によって対象需要家M1の太陽光発電設備2が発電していない、つまり異常があると判定される。そして、このような判定を頻繁、定期的に行うことで、太陽光発電設備2の停止などの異常を早期かつ適正に検出することが可能となる。また、需要家M側には順潮流と逆潮流とを計量するスマートメータ3を配設するだけでよく、このようなスマートメータ3は太陽光発電設備2が設けられている需要家Mには配設されるべきもの(既設のもの)であるため、需要家Mへの負担がなく、広く適用することができる。
【0044】
また、対象需要家M1の直近1週間の計量値内に、晴判定値C以上の逆潮流がある場合には、太陽光発電設備2が異常でないと判定される。例えば、上記のように、平常通りの逆潮流があれば、太陽光発電設備2が異常でないと判定されるため、異常でないことをより適正に検出することが可能となる。しかも、晴判定値Cを適正な値に設定することで、異常の有無をより適正、正確に検出することが可能となる。
【0045】
さらに、直近1週間において、参照需要家M2の計量値内に晴判定値C以上の逆潮流があるにもかかわらず、対象需要家M1の計量値内に逆潮流がない場合には、太陽光発電設備2が異常であると判定される。すなわち、参照需要家M2では適正に発電されて晴判定値C以上の逆潮流があるにもかかわらず、同じ天候の対象需要家M1で逆潮流がない場合には、対象需要家M1の太陽光発電設備2が適正に発電しておらず異常があると判定されるため、太陽光発電設備2の異常を適正に検出することが可能となる。しかも、晴判定値Cを適正な値に設定することで、異常の有無をより適正、正確に検出することが可能となる。
【0046】
また、平常時の計量値つまり電力需給状況(電力売買状況)が対象需要家M1と類似する需要家Mが参照需要家M2として選出されるため、より適正な参照需要家M2の計量値に基づいて、太陽光発電設備2の異常をより適正に検出することが可能となる。例えば、上記のように、逆潮流が発生する時間帯などが類似する参照需要家M2の計量値に基づいて、直近1週間において参照需要家M2で発生している逆潮流の時間帯(日時)で対象需要家M1でも逆潮流があるか否かを確認することで、太陽光発電設備2の異常をより適正に検出することが可能となる。
【0047】
一方、太陽光発電設備2が異常であると判定されると、対象需要家M1に警報が出力されるため、対象需要家M1において迅速かつ適正な措置を講じることができ、長期間売電できなくなる状況を回避することが可能となる。しかも、故障停止などの重大異常であるか軽異常であるかが対象需要家M1に出力されるため、異常の程度に応じた迅速かつ適正な措置を講じることが可能となる。
【0048】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、対象需要家M1に対して1つの参照需要家M2を選出しているが、複数の参照需要家M2を選出し、複数の参照需要家M2の計量値に基づいて(例えば、平均値を使用したり、順次比較したりして)、対象需要家M1の太陽光発電設備2の異常の有無を判定してもよい。また、検出タスク44の第1の条件や第2の条件として、上記以外の条件を設けてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 太陽光発電設備の異常検出システム
2 太陽光発電設備
3 スマートメータ(計量器)
4 監視サーバ
41 需要家データベース
42 計量値データベース(計量値記憶手段)
43 通信部
44 検出タスク(検出手段)
45 警報タスク(警報手段)
102 配電線(配電系統)
M 需要家
M1 対象需要家
M2 参照需要家
C 晴判定値(所定値)
図1
図2
図3
図4
図5
図6