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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-202566(P2020-202566A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】端末装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/08 20090101AFI20201120BHJP
   H04W 48/08 20090101ALI20201120BHJP
   H04W 72/08 20090101ALI20201120BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20201120BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20201120BHJP
【FI】
   H04W74/08
   H04W48/08
   H04W72/08 110
   H04W28/06 110
   H04W92/18
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-113319(P2020-113319)
(22)【出願日】2020年6月30日
(62)【分割の表示】特願2017-505389(P2017-505389)の分割
【原出願日】2016年3月10日
(31)【優先権主張番号】特願2015-47816(P2015-47816)
(32)【優先日】2015年3月11日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】留場 宏道
(72)【発明者】
【氏名】吉村 友樹
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 毅
(72)【発明者】
【氏名】浜口 泰弘
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067DD15
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
5K067JJ01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】キャリアセンスを必要とする通信システムにおいて、通信品質や送信機会の獲得率を改善できる端末装置および通信方法を提供する。
【解決手段】端末装置は、フレームを受信し、フレームに含まれる情報に基づいて、CCAの方法を変更する受信部を備える。CCAの方法は、CCAレベルを、所定のCCAレベルの値以外の値とする方法を含む。受信部は、キャリアセンスを行なう機能を備え、CCAレベルを変更する方法には、キャリアセンスを行なう期間を、所定のキャリアセンス期間以外の値とする方法を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の端末装置と通信を行なう第1の端末装置であって、
フレームを受信する際に、所定のキャリアセンスレベルの値に基づいて実施される第1のキャリアセンスと、前記所定のキャリアセンスレベルの値とは異なる第2のキャリアセンスレベルの値に基づいて実施される第2のキャリアセンスと、を選択的に実施する受信部と、
送信用フレームを送信する送信部と、を備え、
前記フレームが所定のグループ識別番号を示す情報を含むPHY層の情報を含む場合、前記受信部は前記第2のキャリアセンスを実施する、第1の端末装置。
【請求項2】
前記PHY層の情報が前記グループ識別番号を示す情報を含まない場合、前記PHY層の情報は、前記受信部が前記第2のキャリアセンスを実施した場合に、前記送信部が前記送信用フレームに設定する送信電力に関連付けられた情報を含む、請求項1に記載の第1の端末装置。
【請求項3】
前記PHY層の情報は、前記受信部が前記第2のキャリアセンスを実施することを禁止するか否かを示す情報を含む、請求項2に記載の第1の端末装置。
【請求項4】
他の端末装置と通信を行なう第1の端末装置の通信方法であって、
フレームを受信する際に、所定のキャリアセンスレベルの値に基づいて実施される第1のキャリアセンスと、前記所定のキャリアセンスレベルの値とは異なる第2のキャリアセンスレベルの値に基づいて実施される第2のキャリアセンスと、を選択的に実施するステップと、
送信用フレームを送信するステップと、
前記フレームが所定のグループ識別番号を示す情報を含むPHY層の情報を含む場合、前記第2のキャリアセンスを実施するステップと、を備える通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広く実用化されている無線LAN(Local area network)規格であるIEEE802.11nの発展規格として、IEEE802.11ac規格がIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)により策定された。現在、IEEE802.11n/acの後継規格として、IEEE802.11axの標準化活動が行なわれている。現在の無線LANシステムでは、面積当たりの端末数の増加による干渉が大きな問題となりつつあり、IEEE802.11ax規格では、そのような過密環境を考慮する必要がある。一方で、IEEE802.11ax規格では、これまでの無線LAN規格とは異なり、ピークスループットの改善だけではなく、ユーザスループットの改善が主な要求条件として挙げられている。ユーザスループットの改善には、高効率な同時多重伝送方式(アクセス方式)の導入が不可欠である。
【0003】
IEEE802.11nまでの規格では、アクセス方式としてCSMA/CA(Carrier sense multiple access with collision avoidance)と呼ばれる自律分散制御方式のアクセス方式が採用されていた。IEEE802.11acでは、新たにマルチユーザ多重入力多重出力(Multi-user multiple-input multiple-output:MU-MIMO)技術による空間分割多重アクセス(Space division multiple access:SDMA)が追加された。
【0004】
IEEE802.11ax規格では、既存のIEEE802.11規格に対する後方互換性が必要とされている。このことは、IEEE802.11ax規格においても、CSMA/CAに基づくアクセス方式をサポートする必要があることを示唆している。しかし、送信に先立ってのキャリアセンスを必須とするCSMA/CAでは、先に示したような過密環境下においては、端末装置間の干渉により、通信機会が大幅に低下してしまう問題がある。そこで、最近、ある程度の干渉を許容し、通信機会を改善させることを目的とし、キャリアセンスによるクリアチャネル評価(clear channel assessment:CCA)の閾値(CCAレベル、CCAスレッショルド)の変更が議論されている(非特許文献1等)。端末装置はキャリアセンスによってCCAレベル以上の干渉を計測すると通信を停止するから、CCAレベルを上げることで、過密環境においても、端末装置は通信機会を失う可能性が低くなる。また、端末装置は、送信電力を所定の送信電力よりも低い電力とすることで、過密環境下において、他の端末装置の通信機会を向上させることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】IEEE 11−14/0628r0、“Measurements on CCA thresholds in OBSS environment、” 2014年5月。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、当然、端末装置がCCAレベルを上げることで干渉による受信品質の低下が引き起こされる。また、端末装置が送信電力を所定の送信電力よりも低い送信電力としても、やはり受信品質の低下を引き起こす。パケット伝送に特有のパケットキャプチャ効果によって、通信品質はある程度維持されることが期待されるが、パケット誤り率の増加は、伝送特性に対して、無視できない影響を与える。
【0007】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、キャリアセンスを必要とする通信システムにおいて、CCAレベルや送信電力を可変とできる端末装置が複数存在する通信システムにおいて、通信品質や送信機会の獲得率を改善できる端末装置および通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための本発明に係る端末装置、および通信方法は、次の通りである。
【0009】
(1)すなわち、本発明の端末装置は、他の端末装置と通信を行なう端末装置であって、フレームを受信し、前記フレームに含まれる情報に基づいて、CCAレベルを決定する方法を変更する受信部を備える。
【0010】
(2)また、本発明の端末装置は、前記CCAレベルを決定する方法には、前記CCAレベルを、所定のCCAレベルの値以外の値とする方法を含む、上記(1)に記載の端末装置である。
【0011】
(3)また、本発明の端末装置は、前記受信部が受信する前記フレームに含まれる情報は、前記フレームのフレームタイプを示す情報であり、前記受信部は、前記フレームタイプを示す情報が、所定のフレームタイプを示す場合、前記CCAレベルを所定の値とし、前記フレームタイプを示す情報が、所定のフレームタイプ以外を示す場合、前記CCAレベルを所定以外の値とする、上記(2)に記載の端末装置である。
【0012】
(4)また、本発明の端末装置は、前記受信部が受信する前記フレームに含まれる情報は、前記フレームが初送フレームか否かを示す情報であり、前記受信部は、初送フレームか否かを示す情報が、前記フレームが初送フレームであることを示す場合、前記CCAレベルを所定の値とし、初送フレームか否かを示す情報が、前記フレームが再送フレームであることを示す場合、前記CCAレベルを所定の値とする、上記(2)に記載の端末装置である。
【0013】
(5)また、本発明の端末装置は、送信用フレームを送信する送信部を備え、前記受信部は、前記送信用フレームに含まれる情報に基づいて、前記CCAレベルを所定以外の値とする、上記(2)に記載の端末装置。
【0014】
(6)また、本発明の端末装置は、前記送信用フレームに含まれる情報は、前記送信用フレームのフレームタイプを示す情報であり、前記受信部は、前記送信用フレームのフレームタイプを示す情報が、所定のフレームタイプを示す場合、前記CCAレベルを所定の値とし、前記送信用フレームのフレームタイプを示す情報が、所定のフレームタイプ以外を示す場合、前記CCAレベルを所定以外の値とする、上記(5)に記載の端末装置である。
【0015】
(7)また、本発明の端末装置は、前記前記送信用フレームに含まれる情報は、前記送信用フレームが初送フレームか否かを示す情報であり、前記受信部は、前記送信用フレームが初送フレームか否かを示す情報が、前記送信用フレームが初送フレームであることを示す場合、前記CCAレベルを所定の値とし、前記送信用フレームが初送フレームか否かを示す情報が、前記送信用フレームが再送フレームであることを示す場合、前記CCAレベルを所定以外の値とする、上記(5)に記載の端末装置である。
【0016】
(8)また、本発明の端末装置は、前記送信部は、前記送信用フレームを送信する際に、前記受信部が受信するフレームに含まれる情報が所定の値を示す場合と、所定以外の値を示す場合と、で送信電力の決定方法が異なる、上記(5)から(7)のいずれかに記載の端末装置である。
【0017】
(9)また、本発明の端末装置は、前記送信部は、前記送信部が前記送信用フレームを送信する際に、前記送信用フレームに含まれる情報が所定の値を示す場合と、所定以外の値を示す場合と、で送信電力の決定方法が異なる、上記(5)から(7)のいずれかに記載の端末装置である。
【0018】
(10)また、本発明の端末装置は、前記送信部は、前記送信用フレームに、前記CCAレベルおよび前記送信電力の決定方法の変更を禁止することを示す情報を含める、上記(8)に記載の端末装置である。
【0019】
(11)また、本発明の端末装置は、前記所定の送信電力の値と、前記所定の送信電力以外の値との差と、前記所定のCCAレベルと、前記所定のCCAレベル以外の値との差と、がお互いに関連付けられている、上記(8)から(10)のいずれかに記載の端末装置である。
【0020】
(12)また、本発明の端末装置は、前記CCAレベルの所定の値は、通信帯域幅が20MHzであった場合、−82dBmである、上記(2)から(10)のいずれかに記載の端末装置である。
【0021】
(13)また、本発明の端末装置は、前記受信部は、キャリアセンスを行なう機能を備え、前記CCAレベルを変更する方法には、前記キャリアセンスを行なう期間を、所定のキャリアセンス期間以外の値とする方法を含む、上記(1)に記載の端末装置である。
【0022】
(14)また、本発明の通信方法は、他の端末装置と通信を行なう端末装置の通信方法であって、フレームを受信するステップと、前記フレームに含まれる情報に基づいて、CCAレベルを決定する方法を変更するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、キャリアセンスを必要とする通信システムにおいて、CCAレベルや送信電力を可変とできる端末装置が複数存在する通信システムにおいて、通信品質や通信機会の獲得率を改善できるから、ユーザスループットを大幅に改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る通信システムの一例を示す図である。
図2】本発明に係る無線送信装置の一構成例を示す概略ブロック図である。
図3】本発明の信号のフレーム構成の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[1.第1の実施形態]
本実施形態における通信システムは、無線送信装置(アクセスポイント、Access point(AP))、および複数の無線受信装置(ステーション、Station(STA))を備える。また、APとSTAとで構成されるネットワークを基本サービスセット(Basic service set:BSS)と呼ぶ。
【0026】
BSS内のAPおよびSTAは、それぞれCSMA/CA(Carrier sense multiple access with collision avoidance)に基づいて、通信を行なうものとする。本実施形態においては、APが複数のSTAと通信を行なうインフラストラクチャモードを対象とするが、本実施形態の方法は、STA同士が通信を直接行なうアドホックモードでも実施可能である。
【0027】
IEEE802.11システムでは、各装置は、共通のフレームフォーマットを持った複数のフレームタイプの送信フレームを送信することが可能である。送信フレームは、物理(Physical:PHY)層、媒体アクセス制御(Medium access control:MAC)層、論理リンク制御(Logical Link Control:LLC)層でそれぞれ定義されている。
【0028】
PHY層の送信フレームは、物理プロトコルデータユニット(PHY protocol data unit:PPDU)と呼ばれる。PPDUは、物理層での信号処理を行なうためのヘッダ情報等が含まれる物理層ヘッダ(PHYヘッダ)と、物理層で処理されるデータユニットである物理サービスデータユニット(PHY service data unit:PSDU)等から構成される。PSDUは無線区間における再送単位となるMACプロトコルデータユニット(MAC protocol data unit:MPDU)が複数集約された集約MPDU(Aggregated MPDU:A-MPDU)で構成されることが可能である。
【0029】
PHYヘッダには、信号の検出・同期等に用いられるショートトレーニングフィールド(Short training field:STF)、データ復調のためのチャネル情報を取得するために用いられるロングトレーニングフィールド(Long training field:LTF)などの参照信号と、データ復調のための制御情報が含まれているシグナル(Signal:SIG)などの制御信号が含まれる。また、STFは、対応する規格に応じて、レガシーSTF(Legacy-STF:L-STF)や、高スループットSTF(High throughput-STF:HT-STF)や、超高スループットSTF(Very high throughput-STF:VHT-STF)等に分類され、LTFやSIGも同様にL−LTF、HT−LTF、VHT−LTF、L−SIG、HT−SIG、VHT−SIGに分類される。VHT−SIGは更にVHT−SIG−AとVHT−SIG−Bに分類される。
【0030】
PPDUは対応する規格に応じて変調される。例えば、IEEE802.11n規格であれば、直交周波数分割多重(Orthogonal frequency division multiplexing:OFDM)信号に変調される。
【0031】
MPDUはMAC層での信号処理を行なうためのヘッダ情報等が含まれるMAC層ヘッダ(MAC header)と、MAC層で処理されるデータユニットであるMACサービスデータユニット(MAC service data unit:MSDU)もしくはフレームボディ、ならびにフレームに誤りがないかをどうかをチェックするフレーム検査部(Frame check sequence:FCS)で構成されている。また、複数のMSDUは集約MSDU(Aggregated MSDU:A-MSDU)として集約されることも可能である。
【0032】
MAC層の送信フレームのフレームタイプは、装置間の接続状態などを管理するマネージメントフレーム、装置間の通信状態を管理するコントロールフレーム、および実際の送信データを含むデータフレームの3つに大きく分類され、それぞれは更に複数種類のサブフレームタイプに分類される。コントロールフレームには、受信完了通知(Acknowledge:ACK)フレーム、送信要求(Request to send:RTS)フレーム、受信準備完了(Clear to send:CTS)フレーム等が含まれる。マネージメントフレームには、ビーコン(Beacon)フレーム、プローブ要求(Probe request)フレーム、プローブ応答(Probe response)フレーム、認証(Authentication)フレーム、接続要求(Association request)フレーム、接続応答(Association response)フレーム等が含まれる。データフレームには、データ(Data)フレーム、ポーリング(CF-poll)フレーム等が含まれる。各装置は、MACヘッダに含まれるフレームコントロールフィールドの内容を読み取ることで、受信したフレームのフレームタイプおよびサブフレームタイプを把握することができる。
【0033】
ビーコンフレームには、ビーコンが送信される周期(Beacon interval)やAPを識別する情報(Service set identifier(SSID)等)を記載するフィールド(Field)が含まれる。APは、ビーコンフレームを周期的にBSS内に報知することが可能であり、STAはビーコンフレームを受信することで、STA周辺のAPを把握することが可能である。STAがAPより報知される信号に基づいてAPを把握することを受動的スキャニング(Passive scanning)と呼ぶ。一方、STAがプローブ要求フレームをBSS内に報知することで、APを探査することを能動的スキャニング(Active scanning)と呼ぶ。APは該プローブ要求フレームへの応答としてプローブ応答フレームを送信することが可能であり、該プローブ応答フレームの記載内容は、ビーコンフレームと同等である。
【0034】
STAはAPを認識したあとに、該APに対して接続処理を行なう。接続処理は認証(Authentication)手続きと接続(Association)手続きに分類される。STAは接続を希望するAPに対して、認証フレームを送信する。APは、認証フレームを受信すると、該STAに対する認証の可否などを示すステータスコードを含んだ認証フレームを該STAに送信する。STAは、該認証フレームに記載されたステータスコードを読み取ることで、自装置が該APに認証を許可されたか否かを判断することができる。なお、APとSTAは認証フレームを複数回やり取りすることが可能である。
【0035】
STAは認証手続きに続いて、APに対して接続手続きを行なうために、接続要求フレームを送信する。APは接続要求フレームを受信すると、該STAの接続を許可するか否かを判断し、その旨を通知するために、接続応答フレームを送信する。接続応答フレームには、接続処理の可否を示すステータスコードに加えて、STAを識別するためのアソシエーション識別番号(Association identifier:AID)が記載されている。APは接続許可を出したSTAにそれぞれ異なるAIDを設定することで、複数のSTAを管理することが可能となる。
【0036】
接続処理が行なわれたのち、APとSTAは実際のデータ伝送を行なう。IEEE802.11システムでは、分散制御機構(Distributed Coordination Function:DCF)と集中制御機構(Point Coordination Function:PCF)、およびこれらが拡張された機構(ハイブリッド制御機構(Hybrid coordination function:HCF)等)が定義されている。以下では、APがSTAにDCFで信号を送信する場合を例にとって説明する。
【0037】
DCFでは、APおよびSTAは、通信に先立ち、自装置周辺の無線チャネルの使用状況を確認するキャリアセンス(Carrier sense:CS)を行なう。例えば、送信局であるAPは予め定められたクリアチャネル評価レベル(Clear channel assessment level:CCAレベル)よりも高い信号を該無線チャネルで受信した場合、該無線チャネルでの送信フレームの送信を延期する。以下では、該無線チャネルにおいて、CCAレベル以上の信号が検出される状態をビジー(Busy)状態、CCAレベル以上の信号が検出されない状態をアイドル(Idle)状態と呼ぶ。このように、各装置が実際に受信した信号の電力に基づいて行なうCSを物理キャリアセンス(物理CS)と呼ぶ。なおCCAレベルをキャリアセンスレベル(CS level)、もしくはCCA閾値(CCA threshold:CCAT)とも呼ぶ。なお、APおよびSTAは、CCAレベル以上の信号を検出した場合は、少なくともPHY層の信号を復調する動作に入る。
【0038】
APは送信する送信フレームに種類に応じたフレーム間隔(Inter frame space:IFS)だけキャリアセンスを行ない、無線チャネルがビジー状態かアイドル状態かを判断する。APがキャリアセンスする期間は、これからAPが送信する送信フレームのフレームタイプおよびサブフレームタイプによって異なる。IEEE802.11システムでは、期間の異なる複数のIFSが定義されており、最も高い優先度が与えられた送信フレームに用いられる短フレーム間隔(Short IFS:SIFS)、優先度が比較的高い送信フレームに用いられるポーリング用フレーム間隔(PCF IFS:PIFS)、最も優先度の低い送信フレームに用いられる分散制御用フレーム間隔(DCF IFS:DIFS)などがある。APがDCFでデータフレームを送信する場合、APはDIFSを用いる。
【0039】
APはDIFSだけ待機したあとで、フレームの衝突を防ぐためのランダムバックオフ時間だけ更に待機する。IEEE802.11システムにおいては、コンテンションウィンドウ(Contention window:CW)と呼ばれるランダムバックオフ時間が用いられる。CSMA/CAでは、ある送信局が送信した送信フレームは、他送信局からの干渉が無い状態で受信局に受信されることを前提としている。そのため、送信局同士が同じタイミングで送信フレームを送信してしまうと、フレーム同士が衝突してしまい、受信局は正しく受信することができない。そこで、各送信局が送信開始前に、ランダムに設定される時間だけ待機することで、フレームの衝突が回避される。APはキャリアセンスによって無線チャネルがアイドル状態であると判断すると、CWのカウントダウンを開始し、CWが0となって初めて送信権を獲得し、STAにデータフレームを送信できる。なお、CWのカウントダウン中にAPがキャリアセンスによって無線チャネルをビジー状態と判断した場合は、CWのカウントダウンを停止する。そして、無線チャネルがアイドル状態となった場合、先のIFSに続いて、APは残留するCWのカウントダウンを再開する。
【0040】
受信局であるSTAは、送信フレームを受信し、該送信フレームのPHYヘッダを読み取り、受信した送信フレームを復調する。そして、STAは復調した信号のMACヘッダを読み取ることで、該送信フレームが自装置宛てのものか否かを認識することができる。なお、STAは、PHYヘッダに記載の情報(例えば、VHT-SIG-Aの記載されるグループ識別番号(Group identifier:Group ID))に基づいて、該送信フレームの宛先を判断することも可能である。
【0041】
STAは、受信した送信フレームが自装置宛てのものと判断し、そして誤りなく送信フレームを復調できた場合、フレームを正しく受信できたことを示すACKフレームを送信局であるAPに送信しなければならない。ACKフレームは、SIFS期間の待機だけ(ランダムバックオフ時間は取られない)で送信される最も優先度の高い送信フレームの一つである。APはSTAから送信されるACKフレームの受信をもって、一連の通信を終了する。なお、STAがフレームを正しく受信できなかった場合、STAはACKを送信しない。よってAPは、フレーム送信後、一定期間(SIFS+ACKフレーム長)の間、受信局からのACKフレームを受信しなかった場合、通信は失敗したものとして、通信を終了する。このように、IEEE802.11システムの1回の通信(バーストとも呼ぶ)の終了は、ビーコンフレームなどの報知信号の送信の場合や、送信データを分割するフラグメンテーションが用いられる場合などの特別な場合を除き、必ずACKフレームの受信の有無で判断されることになる。
【0042】
STAは、受信した送信フレームが自装置宛てのものではないと判断した場合、PHYヘッダ等に記載されている該送信フレームの長さ(Length)に基づいて、ネットワークアロケーションベクタ(Network allocation vector:NAV)を設定する。STAは、NAVに設定された期間は通信を試行しない。つまり、STAは物理CSによって無線チャネルがビジー状態と判断した場合と同じ動作をNAVに設定された期間行なうことになるから、NAVによる通信制御は仮想キャリアセンス(仮想CS)とも呼ばれる。NAVは、PHYヘッダに記載の情報に基づいて設定される場合に加えて、隠れ端末問題を解消するために導入される送信要求(Request to send:RTS)フレームや、受信準備完了(Clear to send:CTS)フレームによっても設定される。
【0043】
各装置がキャリアセンスを行ない、自律的に送信権を獲得するDCFに対して、PCFは、ポイントコーディネータ(Point coordinator:PC)と呼ばれる制御局が、BSS内の各装置の送信権を制御する。一般にAPがPCとなり、BSS内のSTAの送信権を獲得することになる。
【0044】
PCFによる通信期間には、非競合期間(Contention free period:CFP)と競合期間(Contention period:CP)が含まれる。CPの間は、前述してきたDCFに基づいて通信が行なわれ、PCが送信権を制御するのはCFPの間となる。PCであるAPは、CFPの期間(CFP Max duration)などが記載されたビーコンフレームをPCFの通信に先立ちBSS内に報知する。なお、PCFの送信開始時に報知されるビーコンフレームの送信にはPIFSが用いられ、CWを待たずに送信される。該ビーコンフレームを受信したSTAは、該ビーコンフレームに記載されたCFPの期間をNAVに設定する。以降、NAVが経過する、もしくはCFPの終了をBSS内に報知する信号(例えば、CF-endを含んだデータフレーム)が受信されるまでは、STAはPCより送信される送信権獲得をシグナリングする信号(例えば、CF-pollを含んだデータフレーム)を受信した場合のみ、送信権を獲得可能である。なお、CFPの期間内では、同一BSS内でのパケットの衝突は発生しないから、各STAはDCFで用いられるランダムバックオフ時間を取らない。
【0045】
本実施形態に係る通信システムが備えるAPおよびSTAは、以上説明してきたCSMA/CAに基づいた一連の通信を行なう機能を備えているものとするが、必ずしもすべての機能を備えている必要はない。
【0046】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信システムの下り回線(ダウンリンク)の一例を示す概略図である。図1の通信システムでは、AP1が存在し、1aは、AP1が管理可能な範囲(カバレッジ範囲、Basic service set(BSS))を示す。BSS1aにはAP1と接続するSTA2−1〜4と、既存の端末装置(従来の端末装置、レガシー端末装置)であるSTA3−1〜4が存在する。以下では、STA2−1〜4を単にSTA2または第1の無線受信装置とも呼称する。同様に、STA3−1〜4を単にSTA3または第2の無線受信装置とも呼称する。AP1、STA2、およびSTA3は、それぞれ対応可能な規格が異なる。例えば、AP1およびSTA2は、本発明を適用可能な装置であり、STA3は本発明が適用されない装置である。
【0047】
AP1、STA2、およびSTA3は、それぞれCSMA/CAに基づいて、通信を行なうものとする。本実施形態においては、各STA2およびSTA3がAP1と通信を行なうインフラストラクチャモードを対象とするが、本実施形態の方法は、STA同士が通信を直接行なうアドホックモードでも実施可能である。なお、以下の説明では、APがSTA2へフレームを送信する場合を1例として説明するが、STA2がAPへ送信する場合も同様である。
【0048】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るAP1の構成の一例を示すブロック図である。図2に示す通り、AP1は、上位層部101と、制御部102と、送信部103と、受信部104と、アンテナ105と、を備える。なお、以下で説明する方法は、STA2がフレームを送信する場合にも適用可能である。すなわち、本実施形態に係るSTA2の構成の一例も図2に示すブロック図の通りとなる。また、以下の説明では、AP1およびSTA2を総じて、端末装置と呼ぶ場合も含む。
【0049】
上位層部101は、媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)層等の処理を行なう。また、上位層部101は、送信部103と、受信部104の制御を行なうための情報を生成し、制御部102に出力する。制御部102は、上位層部101と送信部103と受信部104を制御する。
【0050】
送信部103は、更に物理チャネル信号生成部1031と、フレーム構成部1032と、制御信号生成部1033と、無線送信部1034を備える。物理チャネル信号生成部1031は、AP1が各STAに送信するベースバンド信号を生成する。物理チャネル信号生成部1031が生成する信号は、各STAがチャネル推定に用いるTF(Training field)や、MSDU(MAC service data unit)で送信されるデータが含まれる。なお、図1においてSTA数を8としたため、STA2−1〜4およびSTA3−1〜4に送信するベースバンド信号を生成する例を示すが、本実施形態はこれに限定されない。
【0051】
フレーム構成部1032は、物理チャネル信号生成部1031が生成する信号と、制御信号生成部1033が生成する信号とを多重し、実際にAP1が送信するベースバンド信号の送信フレームを構成する。
【0052】
図3は、本実施形態に係るフレーム構成部1032が生成する送信フレームの一例を示す概略図である。送信フレームは、L−STF、L−LTF、VHT−STF、VHT−LTF等の参照信号を含む。また送信フレームは、L−SIG、VHT−SIG−A、VHT−SIG−B等の制御情報を含む。また送信フレームは、Data部分を含む。フレーム構成部1032が生成する送信フレームの構成は、図4に限るものではなく、他の制御情報(例えば、HT-SIG)や参照信号(例えば、HT-LTF)等を含んでも良い。また、フレーム構成部1032が生成する送信フレームはL−STFやVHT−SIG−Aなどの信号をすべて含む必要もない。なお、L−SIGなどが含む制御情報は、Data部分を復調するために必要となる情報であるから、以下ではL−SIGなどが含む制御情報を物理層ヘッダ(PHYヘッダ)とも記載する。
【0053】
フレーム構成部1032が生成する送信フレームは、いくつかのフレームタイプに分類される。例えば、フレーム構成部1032は、装置間の接続状態などを管理するマネージメントフレーム、装置間の通信状態を管理するコントロールフレーム、および実際の送信データを含むデータフレームの三つのフレームタイプの送信フレームを生成することができる。フレーム構成部1032は、生成する送信フレームが属するフレームタイプを示す情報を、Data部分で送信する媒体アクセス制御層ヘッダ(MACヘッダ)に含めることができる。
【0054】
無線送信部1034は、フレーム構成部1032が生成するベースバンド信号を無線周波数(Radio frequency(RF))帯の信号に変換する処理を行なう。無線送信部1034が行なう処理には、デジタル・アナログ変換、フィルタリング、ベースバンド帯からRF帯への周波数変換等が含まれる。
【0055】
アンテナ105は、送信部103が生成した信号を、各STAに対して送信する。
【0056】
AP1は、各STAから送信された信号を受信する機能も備える。アンテナ105は、各STAから送信された信号を受信し、受信部104に出力する。
【0057】
受信部104は、物理チャネル信号復調部1041と無線受信部1042を備える。無線受信部1042は、アンテナ105から入力されたRF帯の信号をベースバンド帯の信号に変換する。無線受信部1042が行なう処理には、RF帯からベースバンド帯への周波数変換、フィルタリング、アナログ・デジタル変換等が含まれる。また、受信部104が行なう処理には、特定の周波数バンドにおいて周辺の干渉を測定し、該周波数バンドを確保する(キャリアセンス)機能が含まれていても良い。
【0058】
物理チャネル信号復調部1041は、無線受信部1042が出力するベースバンド帯の信号を復調する。物理チャネル信号復調部1041が復調する信号は、STA2およびSTA3が上り回線(上りリンク)で送信する信号であり、そのフレーム構成は、フレーム構成部1032が生成するデータフレームと同様である。よって、物理チャネル信号復調部1041は、データフレームの制御チャネルで送信される制御情報に基づいて、データチャネルより上りリンクデータを復調することができる。また、物理チャネル信号復調部1041には、キャリアセンス機能が含まれていても良い。なお、受信部104は、該周波数バンドにおける信号電力を制御部102を介して上位層部101に入力し、上位層部101がキャリアセンスに関連する処理を行なっても良い。
【0059】
AP1は、先に示したCSMA/CAに基づいて通信を行なうから、受信部104によるキャリアセンスによって確保可能な周波数バンドに対してのみ、送信フレームを送信できる。本実施形態に係るAP1や後述するSTA2を含む端末装置は、CCAレベルを変更可能であり、例えば、レガシー端末装置であるSTA3が用いるCCAレベルよりも高いCCAレベルを使用することができる。ここで、レガシー端末装置であるSTA3が用いるCCAレベルをレガシーCCAレベル、もしくは所定のCCAレベルと呼ぶこととする。ここで、所定のCCAレベルは、IEEE802.11規格で既に仕様化されているCCAレベルとすることができる。例えば、所定のCCAレベルは、端末装置が20MHzの帯域幅で通信を行なう場合、−82dBmとすることができる。また、AP1もしくはSTA2が用いることができる、所定のCCAレベルの値とは異なる値をもったCCAレベルのことを、可変CCAレベルと呼ぶこととする。可変CCAレベルは、AP1(またはSTA2)が、それぞれ決定することができる。また、AP1(まはたSTA2)は、BSS1a内で共通の可変CCAレベルを用いることができる。また、AP1(またはSTA2)は、他の端末装置に可変CCAレベルに関する情報を通知することができる。また、AP1(またはSTA2)は、他の端末装置より送信された可変CCAレベルに関する情報を受信し、該情報に基づいて、可変CCAレベルの値を変更することができる。
【0060】
また、本実施形態に係るAP1や後述するSTA2を含む端末装置は、キャリアセンスを行なう期間(時間区間)や周期を変更可能であり、例えば、レガシー端末装置であるSTA3がキャリアセンスを行なう期間(所定のキャリアセンス期間)よりも短いキャリアセンス期間を使用することができる。キャリアセンス期間が短い場合、AP1が所定のCCAレベルを用いても、AP1は送信機会獲得率を改善できる。つまり、AP1はキャリアセンスを行なう期間を変更することで、CCAレベルを変更する場合と同等の効果を得ることができる。例えば、AP1がキャリアセンス期間を短くすることで、AP1がCCAレベルを高くした場合と同等の効果を得ることができる。以下の説明では、AP1がCCAレベルを所定のCCAレベルより高くする方法を用いる場合、該CCAレベルを高くする方法に代わって、キャリアセンス期間を所定のキャリアセンス期間よりも短くする方法を用いることができる。また、AP1がCCAレベルを所定のCCAレベルよりも低くする方法を用いる場合、該CCAレベルを低くする方法に代わって、キャリアセンス期間を長くする方法を用いることができる。当然ながら、AP1は、CCAレベルを所定のCCAレベル以外の値にする方法と、キャリアセンス期間を所定のキャリアセンス期間以外の値にする方法と、を同時に用いることも可能である。なお、所定のキャリアセンス期間は、IEEE802.11規格で既に仕様化されているキャリアセンス期間とすることができる。例えば、所定のキャリアセンス期間は、端末装置が20MHzの帯域幅で通信を行なう場合、4マイクロ秒とすることができる。
【0061】
また、本実施形態に係るAP1やSTA2は、送信電力を変えて、送信フレームを送信できる。例えば、AP1は、レガシー端末装置であるSTA3よりも高い送信電力で送信フレームを送信できる。また、AP1は、レガシー端末装置であるSTA3よりも低い送信電力で送信フレームを送信できる。ここで、レガシー端末装置であるSTA3が用いる送信電力をレガシー送信電力、もしくは所定の送信電力と呼ぶこととする。所定の送信電力は、許容される最大の送信電力が指定されることができる。また、許容される最大の送信電力は、許容される最大の電力密度が指定されることができる。許容される最大の電力密度は、例えば、10mW/MHzとすることができる。また、AP1もしくはSTA2が用いることができる、所定の送信電力の値とは異なる値をもった送信電力のことを、可変送信電力と呼ぶこととする。所定の送信電力と同様に、可変送信電力は、許容される最大の送信電力が指定されることができる。また、可変送信電力は、許容される最大の電力密度が指定されることができる。
【0062】
CCAレベルの値や、送信電力の値は、AP1やSTA2の送信部103の動作や、受信部104の動作に影響を与えるパラメータである。よって、以下では、CCAレベルの値や、送信電力の値を、動作制御パラメータとも呼ぶこととする。
【0063】
動作制御パラメータは、予めAP1およびSTA2との間で取り決めておくことができる。また、動作制御パラメータは、マネージメントフレームやコントロールフレームによって、AP1とSTA2との間でやり取りすることができる。
【0064】
本実施形態に係るAP1の受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームのMAC層の情報に基づいて、CCAレベルを変更することができる。言い換えると、受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームのMAC層の情報に基づいて、CCAレベルを決定する方法を変更することができる。ここで、受信部104は、MAC層の情報として、該フレームのフレームタイプを示す情報を用いることができる。例えば、受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームが、マネージメントフレームやコントロールフレームであった場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとし、無線受信部1042が受信したフレームがデータフレームであった場合、CCAレベルを可変CCAレベルとすることができる。また、無線部104は、可変CCAレベルの値を、所定のCCAレベルよりも高い値とすることができる。言い換えると、本実施形態に係る受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームが所定のフレームタイプであった場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとしなければならない。前述の一例では、所定のフレームタイプは、マネージメントフレームとコントロールフレームとなるが、所定のフレームタイプに含まれるフレームタイプは、この例に限定されない。受信部104は、所定のフレームタイプを、サブフレームタイプで決定しても良い。受信部104が前述したように、CCAレベルを変更することで、他のSTAやAPが送信しているマネージメントフレームや、コントロールフレームの受信品質を補償しつつ、自装置の送信機会を向上させることができる。なお、CCAレベルを変更するか否かは、受信部104ではなく、上位層部101が決定しても良い。
【0065】
また、受信部104は、MAC層の情報として、該フレームが初送フレームと再送フレームのいずれかであることを示す情報(例えば、リトライ(Retry)フィールドの情報)を用いることができる。リトライフィールドに記載される情報の定義は、IEEE802.11規格で仕様化されている定義とすることができる。例えば、フレーム毎に指定されるリトライフィールドに記載されている値が‘0’であった場合、該フレームが初送フレームであることを示し、リトライフィールドに記載されている値が‘1’であった場合、該フレームが再送フレームであることを示している。
【0066】
受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームが再送フレームであった場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとし、無線受信部1042が受信したフレームが初送フレームであった場合、CCAレベルを可変CCAレベルとすることができる。また、受信部104は、可変CCAレベルの値を、所定のCCAレベルよりも高い値とすることができる。言い換えると、受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームが再送フレームであった場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとしなければならない。受信部104が前述したように、CCAレベルを変更することで、他のSTAやAPが送信している再送フレームの受信品質を補償することができるから、他のSTAやAPの再送回数の増加を回避しつつ、自装置の送信機会を向上させることができる。
【0067】
受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームが初送フレームであった場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとし、無線受信部1042が受信したフレームが再送フレームであった場合、CCAレベルを可変CCAレベルとすることができる。また、無線部104は、可変CCAレベルの値を、所定のCCAレベルよりも高い値とすることができる。言い換えると、受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームが初送フレームであった場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとしなければならない。受信部104が前述したように、CCAレベルを変更することで、他のSTAやAPが送信している初送フレームの受信品質を補償することができるから、他のSTAやAPが再送フレームを送信する確率を低下させつつ、自装置の送信機会を向上させることができる。
【0068】
本実施形態に係るAP1の受信部104は、CWの値に基づいて、CCAレベルを変更することができる。例えば、受信部104は、CWが所定の値未満であった場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとし、CWが所定の値以上であった場合、CCAレベルを所定のCCAレベル以外の値とすることができる。言い換えると、受信部104は、CWが所定の値未満であった場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとしなければならない。なお、該所定の値は、何かに限定されるものではなく、例えば、受信部104は、送信部103が送信することを期待する送信用フレームが、1回目の再送フレームであった場合に用いられるCWの値を、該所定の値とすることができる。
【0069】
本実施形態に係るAP1の受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームのPHY層の情報に基づいて、CCAレベルを変更することができる。ここで、受信部104は、PHY層の情報として、該フレームのデータレートを示す情報を用いることができる。例えば、受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームのデータレートが所定の値以下であった場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとし、無線受信部1042が受信したフレームのデータレートが所定の値以上であった場合、CCAレベルを可変CCAレベルとすることができる。言い換えると、受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームのデータレートが所定の値以下であった場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとしなければならない。なお、該所定の値は、何かに限定されるものではなく、例えば、AP1が送信可能な最大のデータレートの値の半分の値としても良いし、4分の1の値としても良い。また、データレートを示す情報は、データレートそのものを示す情報でも良いし、変調方式や符号化率やデータストリーム数を示す情報でも良い。高いデータレートが設定されたフレームを送信する他の端末装置(他のAPやSTA)は、該フレームの宛先の端末との間のチャネルの状態が良好であることが期待されるから、本実施形態に係るAP1が、該フレームを観測しつつ、自装置がフレームを送信しても、他の端末装置が送信するフレームは高い受信品質を維持されることが期待される。よって、他のAPやSTAが送信しているフレームの受信品質を補償しつつ、自装置の送信機会を向上させることができる。
【0070】
本実施形態に係るAP1の受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームの送信端末を示す情報に基づいて、CCAレベルを変更することができる。ここで、受信部104は、送信端末を示す情報として、該フレームに含まれるGIDを用いることができる。例えば、受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームに含まれるGIDが、該フレームを送信した端末装置がSTAであることを示す場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとし、無線受信部1042が受信したフレームに含まれるGIDが、該フレームを送信した端末装置がAPであることを示す場合、CCAレベルを可変CCAレベルとすることができる。言い換えると、受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームが、所定の端末装置を送信元とする場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとしなければならない。なお、該所定の端末装置は何かに限定されるものではなく、前述の一例では、該所定の端末装置はSTAであるが、例えば、該所定の端末装置は、特定のアドレス(MACアドレスやAID)を備える端末装置とすることもできる。STAを送信元とするフレームは、低い送信電力を与えられている確率が高いため、受信部104が所定のCCAレベルを用いることで、該STAを送信元とするフレームの受信品質を補償しつつ、自装置の送信機会を向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態に係るAP1の受信部104は、送信部103がこれから送信することが期待されるフレーム(送信用フレームとも呼ぶ)のMAC層やPHY層の情報に基づいて、先に説明してきた方法と同様にCCAレベルを変更することができる。例えば、受信部104は、MAC層の情報として、該フレームのフレームタイプを示す情報を用いることができる。例えば、受信部104は、送信部103がこれから送信することが期待されるフレームのフレームタイプが、マネージメントフレームやコントロールフレームであった場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとし、送信部103がこれから送信することが期待されるフレームのフレームタイプがデータフレームであった場合、CCAレベルを可変CCAレベルとすることができる。また、無線部104は、可変CCAレベルの値を、所定のCCAレベルよりも高い値とすることができる。言い換えると、本実施形態に係る受信部104は、送信部103がこれから送信することが期待されるフレームのフレームタイプが所定のフレームタイプであった場合、CCAレベルを所定のCCAレベルとしなければならない。前述の一例では、所定のフレームタイプは、マネージメントフレームとコントロールフレームとなるが、所定のフレームタイプに含まれるフレームタイプは、この例に限定されない。受信部104が前述したように、CCAレベルを変更することで、自装置が送信するマネージメントフレームや、コントロールフレームの受信品質を補償しつつ、自装置の送信機会を向上させることができる。
【0072】
更に、本実施形態に係るAP1の送信部103は、無線受信部1042が受信したフレームのMAC層の情報に基づいて、送信電力を変更することができる。言い換えると、送信部103は、無線受信部1042が受信したフレームのMAC層の情報に基づいて、送信電力を決定する方法を変更することができる。ここで、送信部103は、MAC層の情報として、該フレームのフレームタイプを示す情報を用いることができる。例えば、受信部104は、無線受信部1042が受信したフレームが、データフレームであった場合、送信電力を所定の送信電力とし、無線受信部1042が受信したフレームがマネージメントフレームや、コントロールフレームであった場合、送信電力を可変送信電力とすることができる。また、送信部103は、可変送信電力の値を、所定の送信電力よりも低い値とすることができる。言い換えると、本実施形態に係る送信部103は、無線受信部1042が受信したフレームが所定のフレームタイプであった場合、送信電力を所定の送信電力としなければならない。前述の一例では、所定のフレームタイプは、データフレームとなるが、所定のフレームタイプに含まれるフレームタイプは、この例に限定されない。送信部103が前述したように、送信電力を変更することで、他のSTAやAPが送信しているマネージメントフレームや、コントロールフレームの受信品質を補償しつつ、自装置が送信するフレームの受信品質を改善することができる。
【0073】
更に、本実施形態に係るAP1の送信部103は、無線受信部1042が受信したフレームのPHY層の情報に基づいて、送信電力を変更することができる。ここで、送信部103は、PHY層の情報として、データレートを示す情報を用いることができる。例えば、送信部103は、無線受信部1042が受信したフレームのデータレートが所定の値以上であった場合、送信電力を所定の送信電力とし、無線受信部1042が受信したフレームのデータレートが所定の値以下であった場合、送信電力を可変送信電力とすることができる。言い換えると、送信部103は、無線受信部1042が受信したフレームのデータレートが所定の値以上であった場合、送信電力を所定の送信電力とすることができる。なお、該所定の値は、何かに限定されるものではなく、例えば、AP1が送信可能な最大のデータレートの値の半分の値としても良いし、4分の1の値としても良い。また、データレートを示す情報は、データレートそのものを示す情報でも良いし、変調方式や符号化率やデータストリーム数を示す情報でも良い。高いデータレートが設定されたフレームを送信する他の端末装置(他のAPやSTA)は、該フレームの宛先の端末との間のチャネルの状態が良好であることが期待されるから、本実施形態に係るAP1が、該フレームを観測しつつ、自装置がフレームを送信しても、他の端末装置が送信するフレームは高い受信品質を維持されることが期待される。よって、他のAPやSTAが送信しているフレームの受信品質を補償しつつ、自装置が送信するフレームの受信品質を改善することができる。
【0074】
また、本実施形態に係るAP1の送信部103は、これから送信するフレームのMAC層やPHY層の情報に基づいて、送信電力を変更することができる。例えば、送信部103は、MAC層の情報として、該フレームのフレームタイプを示す情報を用いることができる。例えば、送信部103は、これから送信するフレームのフレームタイプが、マネージメントフレームやコントロールフレームであった場合、送信電力を所定の送信電力とし、送信部103がこれから送信するフレームのフレームタイプがデータフレームであった場合、送信電力を可変送信電力とすることができる。また、送信部103は、可変送信電力の値を、所定の送信電力の値よりも低い値とすることができる。言い換えると、本実施形態に係る送信部103は、これから送信することが期待されるフレームのフレームタイプが所定のフレームタイプであった場合、送信電力と所定の送信電力としなければならない。前述の一例では、所定のフレームタイプは、マネージメントフレームとコントロールフレームとなるが、所定のフレームタイプに含まれるフレームタイプは、この例に限定されない。送信部103が前述したように、送信電力を変更することで、自装置が送信するマネージメントフレームや、コントロールフレームの受信品質を補償しつつ、自装置の送信機会を向上させることができる。
【0075】
また、本実施形態に係るAP1の送信部103および受信部104は、CCAレベルの値と、送信電力の値を、それぞれ関連付けて変更することができる。例えば、受信部104が、前述してきたような方法によって、CCAレベルを、所定のCCAレベルから可変CCAレベルに変更した場合、送信部103は、これから送信するフレームの送信電力を所定の送信電力から可変送信電力に変更することが可能である。これを送信部103における第1の送信電力制御と呼ぶこととする。一方、送信部103は、前述してきたように、これから送信するフレームのMAC層やPHY層の情報に基づいて、送信電力を変更することもできる。これを送信部103における第2の送信電力制御と呼ぶこととする。送信部103は、第2の送信電力制御よりも、第1の送信電力制御を優先して実行することができる。また、第1の送信電力制御によって、送信部103が用いる可変送信電力と所定の送信電力との差を、受信部104における所定のCCAレベルと可変CCAレベルとの差と同じ値とすることができる。
【0076】
また、送信部103が、前述してきたような方法よって、送信電力を、所定の送信電力から可変送信電力に変更した場合、受信部104は、CCAレベルを、所定のCCAレベルから可変CCAレベルに変更することが可能である。これを受信部104における第1のCCA制御と呼ぶこととする。一方、受信部104は、前述してきたように、受信したフレームのMAC層やPHY層の情報に基づいて、CCAレベルを変更することもできる。これを受信部104における第2のCCA制御と呼ぶこととする。受信部104は、第2のCCA制御よりも、第1のCCA制御を優先して実行することができる。
【0077】
また、送信部103は、これから送信するフレームのMAC層、またはPHY層、またはMAC層とPHY層の両方に、該フレームの宛先の端末装置に、CCAレベルや送信電力の変更を許可する情報を含めることができる。また、送信部103は、これから送信するフレームのMAC層、またはPHY層、またはMAC層とPHY層の両方に、該フレームの宛先の端末装置に、CCAレベルや送信電力の変更を禁止する情報を含めることができる。このような情報を含んだフレームを機会制御フレームと呼ぶこととする。例えば、AP1の受信部104が、機会制御フレームを受信した場合、AP1の送信部103と受信部104は、該機会制御フレームに含まれる情報に基づいて、送信電力制御やCCAレベル制御を行なうか否かを決定することができる。例えば、AP1の受信部104が受信した機会制御フレームに、送信電力制御を禁止する情報が含まれていた場合、AP1の送信部103は、これから送信するフレームを、所定の送信電力を用いて送信しなければならない。なお、該機会制御フレームに記載されている情報の有効期間は、予めAP1とSTA2との間で取り決めていても良いし、該機会制御フレームに該有効期間を示す情報が含まれていても良い。
【0078】
以上説明してきたAP1によれば、送信部103および受信部104は、それぞれ独立に送信電力とCCAレベルを変更することができる。また、送信部103および受信部104は、それぞれ関連付けて送信電力とCCAレベルを変更することができる。このような送信部103と受信部104は、効率的に送信電力とCCAレベルを変更することが出来るから、BSS1a内の他の端末装置が送信するフレームの受信品質を補償しつつ、自装置の送信機会の獲得率や、自装置が送信するフレームの受信品質を改善することができるから、BSS1a内の無線リソースの利用効率や、自装置の無線リソースの利用効率を改善することができるから、BSS1a内の各端末装置のスループットを改善することが可能となる。
【0079】
本発明に係るAP1、STA2およびSTA3で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであっても良い。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0080】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態におけるAP1、STA2およびSTA3の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現しても良い。AP1、STA2およびSTA3の各機能ブロックは個別にチップ化しても良いし、一部、または全部を集積してチップ化しても良い。各機能ブロックを集積回路化した場合に、それらを制御する集積回路制御部が付加される。
【0081】
また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0082】
なお、本願発明は上述の実施形態に限定されるものではない。本願発明のAP1、STA2およびSTA3は、移動局装置への適用に限定されるものではなく、屋内外に設置される据え置き型、または非可動型の電子機器、例えば、AV機器、キッチン機器、掃除・洗濯機器、空調機器、オフィス機器、自動販売機、その他生活機器などに適用出来ることは言うまでもない。
【0083】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も請求の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、無線送信装置、無線受信装置、通信システムおよび通信方法に用いて好適である。
【0085】
なお、本国際出願は、2015年3月11日に出願した日本国特許出願第2015−047816号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2015−047816号の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0086】
1 AP
2、2−1、2−2、2−3、2−4、3、3−1、3−2、3−3、3−4 STA
101 上位層部
102 制御部
103 送信部
104 受信部
105 アンテナ
1031 物理チャネル信号生成部
1032 フレーム構成部
1033 制御信号生成部
1034 無線送信部
1041 物理チャネル信号復調部
1042 無線受信部
図1
図2
図3