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特開2020-23147液体吐出装置、プログラムおよび液体吐出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-23147(P2020-23147A)
(43)【公開日】2020年2月13日
(54)【発明の名称】液体吐出装置、プログラムおよび液体吐出方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20200121BHJP
【FI】
   B41J2/01 201
   B41J2/01 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-77900(P2019-77900)
(22)【出願日】2019年4月16日
(31)【優先権主張番号】特願2018-143906(P2018-143906)
(32)【優先日】2018年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】永井 幸治
(72)【発明者】
【氏名】吉川 靖子
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB30
2C056EB31
2C056EC07
2C056EC11
2C056EC12
2C056EC14
2C056EC28
2C056EC29
2C056EC33
2C056EC36
2C056EC42
2C056EC70
2C056EC71
2C056EC72
2C056EC78
2C056ED01
2C056EE17
2C056FA10
2C056HA12
2C056HA46
2C056HA47
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】十分なマット調画像を得ることを目的とする。
【解決手段】液体を吐出するヘッドと、媒体に対する前記ヘッドからの前記液体の吐出を制御して、少なくとも2層以上からなる画像を前記媒体に形成する制御部と、を備え、前記制御部は、最上層の画像の解像度を下層の画像の解像度以上の解像度で形成し、かつ、前記下層の画像のドット上及びドット間に前記最上層の画像のドットを形成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するヘッドと、
媒体に対する前記ヘッドからの前記液体の吐出を制御して、少なくとも2層以上からなる画像を前記媒体に形成する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
最上層の画像の解像度を下層の画像の解像度以上の解像度で形成し、かつ、前記下層の画像のドット上及びドット間に前記最上層の画像のドットを形成する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記下層の画像を、前記媒体に対する被覆率が80%以上となる格子状のベタパターンで形成し、
前記最上層の画像を、前記媒体に対する被覆率が20%以上80%以下のハーフトーンで形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記下層の画像の形成にかかる前記ヘッドの往復移動の切り替え時の待機時間をT1、前記最上層の画像の形成にかかる前記ヘッドの往復移動の切り替え時の待機時間をT2とした時、
T1≦T2
とする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体は、水性用インクのクリアインクである、
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記下層は、前記最上層に隣接する層である、
ことを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記最上層の画像のドット形成において、前記下層の画像のドット上、及び前記下層の画像のドット間に前記最上層の画像の第1のドットを形成するとともに、当該第1のドットとは別に前記最上層の画像の第2のドットを形成する、
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記最上層の画像の第2のドットを、前記第1のドット以外の位置に形成する、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記最上層の画像の第2のドットを、複数個を連続して形成する、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
ヘッドから媒体に対する液体の吐出を制御して、少なくとも2層以上からなる画像を前記媒体に形成する液体吐出装置を制御するコンピュータに、
最上層の画像の解像度を下層の画像の解像度以上の解像度で形成し、かつ、前記下層の画像のドット上及びドット間に前記最上層の画像のドットを形成する機能を実現させるためのプログラム。
【請求項10】
ヘッドから媒体に対する液体の吐出を制御して、少なくとも2層以上からなる画像を前記媒体に形成する液体吐出装置における液体吐出方法において、
最上層の画像の解像度を下層の画像の解像度以上の解像度で形成し、かつ、前記下層の画像のドット上及びドット間に前記最上層の画像のドットを形成する工程を含む、
ことを特徴とする液体吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、プログラムおよび液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクにより画像を形成するインクジェット印刷において、マット調の画像を形成することは既に知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、クリアインクのドット径を小さくすることでドット間に隙間が開くようにして凹凸を形成し、低光沢(マット光沢)の領域を形成する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のマット調画像を形成する技術によれば、下地となるメディア表面の凹凸の影響(メディア光沢の影響)を受けてしまうという問題があった。
【0005】
このような問題に対して、下塗りの1層目の画像でメディアを完全被覆し、マット調画像の形成の為の上塗りの2層目を印字することでメディア影響を排除することも考えられるが、十分なマット光沢の形成に必要な凹凸が形成できず、十分なマット調画像を得ることはできない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、十分なマット調画像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、液体を吐出するヘッドと、媒体に対する前記ヘッドからの前記液体の吐出を制御して、少なくとも2層以上からなる画像を前記媒体に形成する制御部と、を備え、前記制御部は、最上層の画像の解像度を下層の画像の解像度以上の解像度で形成し、かつ、前記下層の画像のドット上及びドット間に前記最上層の画像のドットを形成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、十分なマット調画像を得ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施の形態にかかるインクジェット記録装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、インクジェット記録装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、ヒータの構成を概略的に示す図である。
図4図4は、キャリッジを上面から見た状態を概略的に示す図である。
図5図5は、1層目のドットのドット配置を示す図である。
図6図6は、図5に示す1層目のドット上に2層目のドットを重ねたドット配置を示す図である。
図7図7は、マルチパスとインターレースで作られるマスクパターンの一例を示す図である。
図8図8は、画像形成処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図9図9は、第2の実施の形態にかかるドット配置例を示す図である。
図10図10は、副滴のドットの形成位置の変形例を示す図である。
図11図11は、図5に示す画像データのドット配置で1層目を形成する際の駆動波形の例を示す図である。
図12図12は、図11の駆動波形を用いてヘッドから1層目のインク滴の吐出状態を示す図である。
図13図13は、2層目のインク滴の吐出状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、液体吐出装置、プログラムおよび液体吐出方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかるインクジェット記録装置100の概略構成を示す図である。図1に示すように、液体吐出装置であるインクジェット記録装置100は、広幅シリアル型インクジェット記録装置である。
【0012】
インクジェット記録装置100は、装置本体100aの左右に側板21A,21Bを備える。側板21A,21Bは、ガイド部材であるメインガイドロッド31を横架する。また、インクジェット記録装置100は、サブ板金ガイド32を備える。メインガイドロッド31及びサブ板金ガイド32は、キャリッジ33を摺動自在に保持する。キャリッジ33は、主走査モータ117(図2参照)によって回転駆動されるタイミングベルトを介して、矢印Aの方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。また、キャリッジ33は、媒体P(図3参照)の端部を検知する光学センサ37を搭載する。
【0013】
キャリッジ33は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、オレンジ(O)、グリーン(G)、クリア(Cl)など各色のインク滴(液体)を吐出する記録ヘッド34a、34b、34c(区別しないときは「ヘッド34」という。)を備える。ヘッド34は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向Aと直交する副走査方向に配列する。ヘッド34は、ノズルからのインク滴吐出方向を下方に向けて装着されている。記録ヘッド34a、34b、34cは、それぞれ副走査方向にずらされて設置される。キャリッジ33は、ヘッド34に対応して各色のインクを供給するため、サブタンクを搭載する。
【0014】
インクジェット記録装置100は、各色のインクカートリッジ10y、10c、10m、10k、10o、10g、10clを着脱自在に装着するカートリッジ装填部1を備える。サブタンクは、カートリッジ装填部1に装着された各色のインクカートリッジ10y、10c、10m、10k、10o、10g、10clから、供給ポンプユニットによって各色の供給チューブ36を介してインクを補充供給される。
【0015】
インクジェット記録装置100は、キャリッジ33の主走査方向Aの一方側の非印字領域に、維持回復機構81を備える。維持回復機構81は、ヘッド34のノズルの状態を維持、または回復する。維持回復機構81は、ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b、82c(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするための払拭ユニット83などを備えている。また、ヘッド34の維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための交換可能な廃液タンクを備えている。
【0016】
次に、インクジェット記録装置100のハードウェア構成について説明する。
【0017】
ここで、図2はインクジェット記録装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、インクジェット記録装置100は、制御部101を備える。
【0018】
制御部101は、装置全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)102を備える。また、制御部101は、ROM(Read Only Memory)103と、RAM(Random Access Memory)104と、不揮発性メモリ(NVRAM:Non‐Volatile RAM)105と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)106とを備える。CPU102は、ROM103と、RAM104と、不揮発性メモリ105と、ASIC106とを接続する。
【0019】
ROM103は、CPU102が実行するプログラムや、その他の固定データ等を格納する。RAM104は、画像データ等を一時格納する。不揮発性メモリ105は、インクジェット記録装置100の電源が遮断されている間もデータを保持する。ASIC106は、各種信号処理や並び替え等を行なう画像処理、その他装置全体を制御するための入出力信号を処理する。
【0020】
CPU102が実行するプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0021】
さらに、CPU102が実行するプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることで提供するように構成しても良い。また、CPU102が実行するプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。
【0022】
また、インクジェット記録装置100は、I/F107と、印刷制御部108と、主走査モータ駆動部109と、副走査モータ駆動部110と、ファン制御部111と、ヒータ制御部112と、I/O113とを備える。CPU102は、I/F107と、印刷制御部108と、主走査モータ駆動部109と、副走査モータ駆動部110と、ファン制御部111と、ヒータ制御部112と、I/O113とを接続する。
【0023】
また、インクジェット記録装置100は、操作パネル114と、環境センサ115とを備える。制御部101のCPU102は、操作パネル114と、環境センサ115とを接続する。
【0024】
また、インクジェット記録装置100は、ヘッドドライバ116と、主走査モータ117と、副走査モータ118と、ファン119と、ヒータ120と、を備える。ヘッドドライバ116と、主走査モータ117と、副走査モータ118と、ファン119と、ヒータ120とは、それぞれ制御部101に接続される。
【0025】
I/F107は、ホスト側との間でデータや信号を送受するインタフェースである。具体的には、I/F107は、情報処理装置、画像読取装置、撮像装置等のホストのプリンタドライバが生成した画像データ等を、ケーブルやネットワーク等を介して受信する。つまり、制御部101に対する印刷データの生成出力は、ホスト側のプリンタドライバによって行なわれても良い。
【0026】
CPU102は、I/F107に含まれる受信バッファ内の画像データを読み出して解析する。そして、ASIC106は、画像処理やデータの並び替え処理等を行なう。ASIC106は、画像データを印刷制御部108やヘッドドライバ116に転送する。
【0027】
印刷制御部108は、ヘッド34を駆動するための駆動波形を生成するとともに、ヘッド34がノズルから液体(インク)を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段を選択駆動させる印刷データ及びそれに伴う各種データを、ヘッドドライバ116に出力する。
【0028】
主走査モータ駆動部109は、主走査モータ117を駆動する。主走査モータ117は、駆動によりタイミングベルトを回転駆動させ、ヘッド34を備えたキャリッジ33を主走査方向Aに移動させる。
【0029】
副走査モータ駆動部110は、副走査モータ118を駆動する。副走査モータ118は、駆動により、ヘッド34による液体(インク)の吐出対象となる対象物である媒体P(図3参照)を副走査方向に搬送する搬送ローラ123(図3参照)を動作させる。
【0030】
例えば、媒体Pとしては、ロールタイプの用紙以外にも、軟包装メディアと呼ばれるPETやPVC、OPP、シート状のメディア等を使用することができる。
【0031】
ファン制御部111は、所定の温度及び風量の送風が行なわれるように、ファン119の出力を制御する。
【0032】
ヒータ制御部112は、設定された温度となるようにヒータ120の制御を行なう。本実施の形態において、ヒータ120は、プリヒータ120a、プリントヒータ120b、プリントヒータ120c、ポストヒータ120d、乾燥ヒータ120e(いずれも図3参照)に対応する。なお、ヒータ120については後述する。
【0033】
I/O113は、環境センサ115からの情報を取得し、インクジェット記録装置100の各部の制御に要する情報を抽出する。例えば、環境センサ115は、環境温度や環境湿度等を検出する。なお、I/O113は、環境センサ115以外の各種センサからの検知信号も入力する。操作パネル114は、解像度のユーザー指定などの各種情報の入力や表示を行なう。
【0034】
ここで、印刷制御処理の概略について説明する。
【0035】
CPU102は、I/F107の受信バッファ内の画像データを読み出して解析し、ASIC106にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行なって印刷制御部108に転送する。
【0036】
印刷制御部108は、所要のタイミングでヘッドドライバ116に印刷データや駆動波形を出力する。詳細には、印刷制御部108は、ROM103に格納されてCPU102で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換して増幅することにより、1つの駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成する。
【0037】
なお、画像出力するための印刷データ(例えば、ドットパターンデータ)の生成は、例えばROM103にフォントデータを格納して行なっても良いし、ホスト側のプリンタドライバで印刷データをビットマップに展開して画像形成装置100に転送するようにしても良い。
【0038】
ヘッドドライバ116は、入力される印刷データ(例えば、ドットパターンデータ)に基づいて、印刷制御部108から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを、選択的にヘッド34の圧力発生手段に対して印加することにより、ヘッド34を駆動する。
【0039】
次に、ヒータ120について詳述する。
【0040】
ここで、図3はヒータ120の構成を概略的に示す図である。図3に示すように、インクジェット記録装置100は、ファン119と、プリヒータ120aと、プリントヒータ120bと、プリントヒータ120cと、ポストヒータ120dと、乾燥ヒータ120eとを備える。
【0041】
なお、図3に示すように、インクジェット記録装置100は、副走査モータ118から駆動力を付与される搬送ローラ123(搬送ローラ123a、搬送ローラ123b等)を備える。媒体Pは、副走査モータ118から駆動力を付与された搬送ローラ123a、搬送ローラ123b等によって矢印B方向(副走査方向)に搬送され、ヘッド34からの液体(インク)の吐出によって液体塗布面が形成される。
【0042】
媒体Pは、プリヒータ120a側にセットされている。プリヒータ120a側から送られてきた媒体Pは、まず、プリヒータ120aによって液体塗布面の形成に適した温度に予熱される。例えば、プリヒータ120a(上位マージン+2℃、下位マージン0℃)は、アルミ箔コードヒータで、搬送ガイド板130の裏面に貼られ、搬送ガイド板130自体を暖めることで媒体Pを暖める。予熱された媒体Pは、搬送ローラ123a及び搬送ローラ123bによってヘッド34が配置された画像形成部50へと送られる。
【0043】
インクジェット記録装置100は、画像形成部50において、プリントヒータ120b、プリントヒータ120cによって保温された媒体Pに対してヘッド34からインク等の液体を吐出して液体塗布面を形成する。例えば、プリントヒータ120bやプリントヒータ120c(上位マージン+0.5℃、下位マージン−0.5℃)は、アルミ材であるプラテン131の中にコードヒータを埋め込み、プラテン131自体を暖めることで媒体Pを暖める。暖められた空気は、蒸気とともに上昇する。ファン119は、暖められた空気の滞留によってインクジェット記録装置100の上部が過剰に温度上昇することを防ぐために、空気の対流を促す。
【0044】
次いで、インクジェット記録装置100は、画像形成部50において、液体塗布面が形成された媒体Pをさらに下流へと送り、ポストヒータ120d及び熱風を送る乾燥ヒータ120eによって、インク等の液体を乾燥させ定着させる。例えば、ポストヒータ120d(上位マージン+2℃、下位マージン0℃)は、アルミ箔コードヒータであり、搬送ガイド板132の裏面に貼られ、搬送ガイド板132自体を暖めることで媒体Pを暖める。また、乾燥ヒータ120e(上位マージン+0.5℃、下位マージン−0.5℃)は、IRヒータであり、媒体Pの液体塗布面にIRを輻射して乾燥させる。インクジェット記録装置100は、乾燥及び定着が済んだ媒体Pを、さらに、下流においてロール状に巻き取っていく。
【0045】
プリヒータ120aと、プリントヒータ120bと、プリントヒータ120cと、ポストヒータ120dとには、温度制御のためのサーミスタがそれぞれ設けられている。プリヒータ120aと、プリントヒータ120bと、プリントヒータ120cと、ポストヒータ120dとは、スリープモードから覚めると点灯し、媒体Pやモードに応じた設定温度に制御される。
【0046】
インクジェット記録装置100は、各ヒータが立ち上がれば、液体塗布面の形成が可能な状態になり、液体塗布面の形成のための初期動作を開始する。
【0047】
インクジェット記録装置100の制御部101は、液体塗布面の形成が開始されると、乾燥ヒータ120eの点灯を開始する。なお、液体塗布面が形成された媒体Pが乾燥ヒータ120eの場所まで搬送されるのには数十秒かかる。インクジェット記録装置100の制御部101は、液体塗布面が形成された媒体Pが到着するまでに、フィラメント温度を目的の温度になるように(出力する電磁波の波長になるように)、乾燥ヒータ120eについて予備加熱を行なう。その後、インクジェット記録装置100の制御部101は、液体塗布面が形成された媒体Pが到着したら、副走査の停止タイミングと同期して乾燥ヒータ120eを点灯する。
【0048】
なお、点灯タイミングは、媒体Pの種類やモードにより変更可能となっている。なお、乾燥ヒータ120eをスリープモードの解除と同時に点灯させない理由は、不要に輻射加熱することによる媒体Pの劣化を防止するためである。
【0049】
乾燥温度が高い場合、媒体Pに着弾した水分の蒸発が速いためドットが媒体P上に広がるレベリングと呼ばれる現象の程度が小さくなる。ドット密度が高く隣接ドット間の距離が短い場合、ドット同士が合一し大きなひとかたまりのドットとなりやすい。すなわち、乾燥温度が高いとレベリングし難くなりドットの合一を防ぎ独立したドットを得られやすくなる。逆に、乾燥温度を低くすればドットがレベリングしやすくなりドットが合一しやすくなる。ドットが独立していれば印刷表面が凹凸になりやすく光沢度は低下し、ドットが合一していれば表面が平滑になり光沢度は上昇する。このように乾燥温度も光沢度調整に利用することができる。
【0050】
次に、キャリッジ33について説明する。
【0051】
ここで、図4はキャリッジ33を上面から見た状態を概略的に示す図である。図4に示すように、インクジェット記録装置100の制御部101は、媒体Pを副走査方向Bに搬送し、副走査方向Bに直交する主走査方向Aにキャリッジ33を走査して画像を形成する。
【0052】
ところで、画像を形成する場合には、作像する画像の解像度に応じてスキャン数を変更して高解像度の画像を形成することができる。例えば、キャリッジ33の移動方向(主走査方向A)に対してヘッド34の駆動周波数を高くしてより高い周波数でインクを吐出することにより、同じキャリッジ33の移動速度でも主走査方向Aの解像度を高くすることができる。また、同じ場所のパス数を増やし吐出タイミングを変えることでパス毎のドットの着弾位置を変えて高解像度化することができる。作像する解像度に応じて駆動周波数の変更のみで行っても良いし、駆動周波数とスキャン数を組み合わせても良い。
【0053】
一方、媒体Pの移動方向(副走査方向B)に対しては、媒体Pの送り量を小さくすることで高解像度化が可能となる。例えば、ヘッド34のノズルの間隔が300dpiピッチであった場合、インターレース処理を行うことによって1回目のパスで形成されたドットの間に次のパスでドットを形成すれば600dpiとすることができる。
【0054】
インクジェット記録装置100は、1層目を形成した後に重ねて2層目を形成する2層重ね印字を行う。より詳細には、インクジェット記録装置100の制御部101は、1層目の印刷で原稿により指定された範囲すべてを印刷完了後、媒体Pを搬送方向と逆方向に移動させ、同じ開始位置から2層目を重ねて形成する。
【0055】
なお、インクジェット記録装置100の制御部101は、スキャン毎に1層目と2層目とを連続して形成してもかまわない。また、インクジェット記録装置100の制御部101は、任意のエリア毎に1層目を完成後、2層目を形成する方法でも良い。なお、重ね塗りは2層に限るものではなく、2層以上の多層構造としてもかまわない。
【0056】
以下、インクジェット記録装置100の制御部101が2層で画像を形成する手法の一例について説明する。
【0057】
図5は1層目のドットXのドット配置を示す図、図6図5に示す1層目のドットX上に2層目のドットYを重ねたドット配置を示す図である。図5に示すように、1層目は媒体Pのメディア光沢の影響を排除する為に、媒体Pに対する被覆率が80%以上となるように格子状にドットXが配置されたベタパターンである。図6に示すように、2層目は図5に示す1層目のドットX上に、1層目の2倍の解像度で2層目のドットYを配置したものである。図6に示すように、1層目のドットXと同位置及びドットX間の空隙に2層目のドットYを配置する為、表面凹凸が増加し入射光が散乱しやすくなり光沢度が低下する。
【0058】
なお、図6においては一例として2倍の解像度としているが、上層の解像度は下層の2倍に限らず、下層以上の解像度となる装置で設定可能な解像度であれば任意の解像度で作像して良い。例えば、多層構造にした場合、最上層の表面凹凸に影響を与えるのは最上層に隣接する層である。そのため、少なくとも最上層に隣接する層を最上層の画像の解像度以下の解像度で形成することで、十分なマット調画像を得ることができる、という効果を奏する。
【0059】
また、2層目の媒体Pに対する被覆率は20〜80%の範囲であることが望ましい。20%以下では表面凹凸の数が少ないことなどから十分なマット調を得ることが難しく、80%以上ではドットY同士が合一してしまい表面平滑性が高くなることで光沢度が高くなる為である。
【0060】
また、2層目のドットYは1層目のドットXよりドット径が小さいハーフトーンで形成することが望ましい。インク滴量が多くドット径が大きくなると、1層目の空隙をインクで完全に埋めてしまい、かつ隣接ドットが合一するため表面平滑性が高くなり光沢度が上昇する為である。
【0061】
なお、それぞれの層は単一のドット径となるインク滴で形成しても良いし、大滴、中滴、小滴など様々な滴サイズのインク滴により異なる大きさのドット径を組み合わせて形成しても良い。
【0062】
なお、図6においては、例として2層の場合を挙げているが、2層に限らず最上層とその下層での組み合わせでも同様である。
【0063】
下層の画像を、媒体Pに対する被覆率が80%以上となる格子状のベタパターンで形成することにより、メディア隠蔽率を高くしメディア光沢の影響を排除することができる。また、最上層の画像を、媒体Pに対する被覆率が20%以上80%以下のハーフトーンで形成することにより、下層のドット空隙を隠蔽し、かつドット合一しない範囲で表面微細凹凸を形成し入射光を散乱させマット調の画像を得られる効果がある。
【0064】
次に、インクジェット記録装置100の制御部101がマルチパスとインターレース方式によりドットを配置する記録方式について説明する。
【0065】
図7は、マルチパスとインターレースで作られるマスクパターンの一例を示す図である。図7に示す例は、媒体Pの同一領域に対して同一のノズル群または異なるノズル群によって複数回の主走査方向Aのパスと、副走査方向Bに媒体Pを搬送する搬送量を調整するものである。これにより、媒体Pの同一領域に対してインターレースを行って画像を形成するインターレース方式を組み合わせて画像を形成するマルチスキャン方式のドットの記録順は、例えば図7(a)に示すようにマトリクス化することができる。このマトリクスは、マスクパターン(あるいは記録シーケンスマトリクス)と称される。
【0066】
一例として挙げた図7(a)に示すマスクパターンは、2パス、1/2インターレース、総スキャン数を4スキャンとして印字を行う作像方法である。図7(a)に示すマスクパターンの数字1に該当するドットは図7(b)に示す1回目のパスで印字し、同じく数字2に該当するドットは副走査送り後の2回目のパスで印字し、同じく数字3に該当するドットは次の副走査送り後の3回目のパスで印字し、同じく数字4に該当するドットは更に次の副走査送り後の4回目のパスで印字することになる。
【0067】
なお、図7(c)に示すように、1パス、1/2インターレース、2スキャンで作像することも可能である。
【0068】
画像を形成するに当たり、上記のように複数のドット配置のマスクパターンを選択することができる。複数層を形成する場合において、最上層はドットの配置が分散している図7(a)のマスクパターンを使用することでドットの合一を抑制し、下層はドットが連続して打たれる図7(c)のパターンを使用することでドットの合一が促進されベタ埋まりを確保することができる。
【0069】
例えば、図7(d)は図7(a)のマスクパターンにより2パス目まで作像したドットの状態、図7(e)は図7(c)のマスクパターンにより2パス目まで作像したドットを上から見た図である。
【0070】
1パス目のドットを白丸、2パス目のドットを黒丸で示してある。図7(d)の隣接ドット間距離は図7(e)に比較して広く、4パスで画像を完成させるまでにドットが乾燥するためにドット間の合一が起こりにくい。一方、図7(e)の状態では1パス目で隣接ドットが合一し、さらに2パス目で形成された黒丸のドット同士及び白丸のドットと黒丸のドットも合一する。
【0071】
図7(d)に示す状態は、4スキャンで図7(e)に示す状態と同じ状態になる。しかしながら、図7(a)のマスクパターンによる作像によれば、ドットの乾燥を伴いながら画像が形成されるため、図7(c)のマスクパターンによる作像よりもドットの合一が起こりにくい。
【0072】
したがって、多層構造の画像を形成するにあたり、下層の画像形成では、解像度決定後その解像度の中で最も合一しやすいマスクパターンを選択し、最上層の画像形成では、その解像度の中で最もドット配置が分散しているマスクパターンを選択することで、効果的に光沢度を低下させることができる。
【0073】
また、ドットを配置して画像を形成する際、ハーフトーン画像の形成ではディザ法や誤差拡散法などの中間調処理が行われ、中間調処理のマスクパターンが使用される。中間調処理のマスクパターンとドット記録順のマスクパターンの組み合わせでドットが合一し易いパターン、ドットが分散しやすいパターンを選択して使用することが望ましい。
【0074】
なお、本実施の形態においては、マルチパスにより画像を形成する際にキャリッジ33が摺動範囲端部で動作を停止するウェイト時間(画像の形成にかかるヘッド34の往復移動の切り替え時の待機時間)を設けることができる。下層の画像形成においては、ドットの合一を促進するために、ウェイト時間を設けないか、もしくは、短時間のウェイト時間を設けることが望ましい。一方、最上層の画像形成ではドットの乾燥を促し合一を防ぐために、ある程度長いウェイト時間を設けることが望ましい。
【0075】
すなわち、下層の画像の形成にかかるヘッド34の往復移動の切り替え時の待機時間をT1、最上層の画像の形成にかかるヘッド34の往復移動の切り替え時の待機時間をT2とした時、
T1≦T2
とする。これにより、ドットの乾燥を促しドット合一を抑制することでマット調の画像を得られる効果がある。
【0076】
また、ドットの合一はスキャン速度やスキャン数である程度制御可能である。合一を促進するためには、スキャン速度をなるべく速く、スキャン数を少なくすると良い。一方、ドットの合一を抑制するためには、スキャン速度を遅く、スキャン数を多くするなどの方法があるが、さらにスキャン間に完全にキャリッジ33の動作を停止する制御を行うことでさらに効果的にドット合一を防ぐことが可能となる。ウェイト時間は、乾燥温度、使用するメディア(媒体P)やインクの乾燥性、生産性とのバランスなどから適宜決めることができる。
【0077】
次に、インクジェット記録装置100の制御部101の制御による画像形成処理の流れについて説明する。図8は、画像形成処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【0078】
図8に示すように、まず、制御部101は、I/F107を通じて画像データを取得する(ステップS1)。
【0079】
次に、制御部101は、情報処理装置、画像読取装置、撮像装置等のホスト、外部装置や操作パネル114からの解像度のユーザー指定の有無を判断する(ステップS2)。制御部101は、解像度のユーザー指定が有る場合(ステップS2:No)、ステップS3に進む。一方、制御部101は、解像度のユーザー指定が無く、推奨の解像度を自動設定する場合(ステップS2:Yes)、ステップS6に進む。
【0080】
ステップS3では、制御部101は、ユーザー指定に応じて、最上層の解像度を設定する。
【0081】
続く、ステップS4では、制御部101は、ユーザー指定に応じて、下層の解像度を設定する。
【0082】
次に、制御部101は、最上層の解像度が下層の解像度以上になっているかを判断する(ステップS5)。制御部101は、最上層の解像度が下層の解像度以上になっていないと判断した場合(ステップS5:No)、ステップS3に戻る。一方、制御部101は、最上層の解像度が下層の解像度以上になっていると判断した場合(ステップS5:Yes)、ステップS6に進む。
【0083】
ステップS6では、制御部101は、最上層のデータと下層のデータとをそれぞれの解像度設定でレンダリングし、印刷データを生成する。
【0084】
続くステップS7では、制御部101は、最上層と下層とのそれぞれの層の画像形成におけるスキャン間に完全にキャリッジ33の動作を停止するウェイト時間について、ユーザーからの設定を受け付ける。
【0085】
そして、ステップS8では、制御部101は、印刷データに基づき、最上層と下層とのそれぞれの作像シーケンスに基づく印刷データを出力する。
【0086】
このように本実施の形態によれば、複数層の画像形成時に、最上層の画像の解像度を下層の画像の解像度以上の高解像度で形成することでドットの数を増加させることができ、かつ、下層の画像のドット上及びドット間に最上層の画像のドットを形成することで表面凹凸の数を増加させることができるので、十分なマット調画像を得ることができる。
【0087】
また、本実施の形態によれば、インクを水性用インクのクリアインクとすることにより、マット調でかつ光透過性を得られる効果がある。また、インクを水性用インクのクリアインクとすることにより、擦りガラスフィルム等に利用できる効果がある。
【0088】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0089】
第2の実施の形態は、1層目のドットX上に2層目の主滴によるドットYを配置すると同時に、副滴によるドットZを形成する点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0090】
図9は、第2の実施の形態にかかるドット配置例を示す図である。インクジェット記録装置100の制御部101は、図9に示すように、第1の実施の形態で説明した図5に示す1層目のドットX上に、1層目の2倍の解像度で2層目の主滴によるドット(第1のドット)Yを配置すると同時に、2層目の主滴によるドットY以外の位置に副滴によるドット(第2のドット)Zを形成する。
【0091】
図9に示すように、副滴によるドットZは、2層目の主滴によるドットY以外の位置に形成される。これにより、表面の微細な凹凸がさらに増加し、光沢度を低下させることができる。また、2層目の主滴によるドットYと同時に2層目の副滴によるドットZが形成されるため、低い光沢度の画像を、生産性を高めて形成することができる。
【0092】
なお、副滴のドットZの形成位置は、図9のように必ずしも2層目の主滴によるドットYの形成位置の間に全て形成されなくてもよく、副滴によるドットZの数や大きさが限定されるものでもない。
【0093】
ここで、図10は副滴のドットZの形成位置の変形例を示す図である。図10(a)に示すように、インクジェット記録装置100の制御部101は、副滴によるドットZを、主滴によるドットYより小さく形成してもよい。
【0094】
また、インクジェット記録装置100の制御部101は、図10(b)に示すように、副滴によるドットZを、主滴によるドットYより小さく、且つ、複数個を連続して形成してもよい。これにより、より光沢度を低下させることができ、マット効果を高くすることができる。
【0095】
また、インクジェット記録装置100の制御部101は、図10(c)に示すように、副滴によるドットZを、2層目の形成済みの主滴によるドットY上に形成してもよく、更に副走査方向にずれた位置に形成してもよい。
【0096】
次に、1層目のドットX上に、1層目の2倍の解像度で2層目の主滴によるドットYを配置すると同時に、副滴によるドットZを形成する手法例について説明する。
【0097】
ここで、図11図5に示す画像データのドット配置で1層目を形成する際の駆動波形の例を示す図である。また、図12は、図11の駆動波形を用いてヘッド34から1層目のインク滴の吐出状態を示す図である。
【0098】
インクジェット記録装置100の制御部101は、図11に示す駆動波形を用い、インク滴をヘッド34から吐出する。図12に示すように、インク滴は、インク滴D1、インク滴D1よりも小滴であるインク滴D2に分離した状態で吐出されるが、インク滴D2の速度がインク滴D1の速度より速いために媒体Pへ着弾する前に二つのインク滴D1,D2が空中で融合して滴Dとなり、媒体P上における画像データの記録解像度の位置にドットXが形成される。
【0099】
図13は、2層目のインク滴の吐出状態を示す図である。インクジェット記録装置100の制御部101は、2層目のインク滴をヘッド34から吐出する際に、図13に示すように、媒体Pとヘッド34とのギャップを1層目形成時よりも狭くする。
【0100】
媒体Pとヘッド34とのギャップを1層目形成時よりも狭くする手法としては、キャリッジ33を摺動自在に保持するメインガイドロッド31及びサブ板金ガイド32を上下方向に昇降可能とすることが考えられる。例えば、メインガイドロッド31及びサブ板金ガイド32にカム部材を設け、当該カム部材を回転させることでキャリッジ33を昇降させ、媒体Pとヘッド34とのギャップ(距離)を変更することができる。カム部材を回転させる手段は、カム部材を回転させる駆動源を配置して、当該駆動源をインクジェット記録装置100の制御部101が駆動制御することにより実現される。
【0101】
そして、インクジェット記録装置100の制御部101は、図11に示す1層目と同様の駆動波形を用いて、例えば図6に示したように解像度が2倍になるタイミングでインク滴をヘッド34から吐出する。インク滴は、インク滴D1(主滴)、インク滴D1よりも小滴であるインク滴D2(副滴)に分離した状態で吐出されるが、図13に示すようにヘッド34と媒体Pとの距離が近くなると、インク滴D2(副滴)の速度がインク滴D1(主滴)の速度より速くても、インク滴D1(主滴)は、インク滴D2(副滴)と融合前に、インク滴D2(副滴)から離れた位置に着弾する。
【0102】
これにより、図9図10に示すように、2層目の主滴によるドットY以外の位置にも2層目の副滴によるドットZが形成され、表面の微細な凹凸を増やすことができる。
【0103】
さらに、例えば図11に示す駆動波形の引き込みを大きく(立下り電位を低く)、立ち上がり電位の高さを低くすることで、図10(a)(b)(c)に示すように、吐出量を減らしてドットZを小さくすることができる。
【0104】
また、図11に示す駆動波形の駆動パルスを増やすことで、図10(b)(c)に示すように、インク滴D2(副滴)の滴数を増やし、ドットZを連続して形成することができる。これにより、表面の微細な凹凸を更に増やし、光沢度低下の効果を上げることができる。
【0105】
さらにまた、媒体Pとヘッド34とのギャップを更に小さく、若しくは図11に示す駆動波形の駆動電圧を下げて滴吐出速度を遅らせることにより、図10(c)に示すように、インク滴D1(主滴)から離れた位置にインク滴D2(副滴)を配置する(一部がインク滴D1(主滴)と重なってもよい)ことができる。
【0106】
なお、インク滴D2(副滴)によるドットの形成方法は、本実施形態で開示した方法に限定されない。例えば、2層目のドットの形成時に駆動電圧を変更する、駆動波形やヘッド温度、走査速度を変更するなどの方法でもよい。また、ヘッド34の近傍へファンを取り付けることにより、風圧によってインク滴の着弾位置をずらしてもよい。
【0107】
このように本実施形態によれば、主滴による最上層のドット形成時に、副滴による最上層のドットを形成させることにより、ドット数増加、表面の微細な凹凸を増やして光沢度を低下させることができる。
【0108】
なお、上記実施の形態では、本発明の液体吐出装置を、広幅シリアル型インクジェット記録装置に適用した例を挙げて説明するが、各種のインクジェット記録装置にも適用することができる。
【0109】
本願において、液体吐出装置は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体吐出装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0110】
この液体吐出装置は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0111】
例えば、液体吐出装置として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0112】
また、液体吐出装置は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0113】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0114】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0115】
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0116】
また、液体吐出装置は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0117】
また、液体吐出装置としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【符号の説明】
【0118】
33 ヘッド
100 液体吐出装置
101 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開2011−224955号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図13