特開2020-24047(P2020-24047A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-24047(P2020-24047A)
(43)【公開日】2020年2月13日
(54)【発明の名称】ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 43/00 20060101AFI20200121BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20200121BHJP
   F25B 1/10 20060101ALI20200121BHJP
【FI】
   F25B43/00 L
   F25B1/00 304H
   F25B1/00 311B
   F25B1/00 331E
   F25B1/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-147394(P2018-147394)
(22)【出願日】2018年8月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】安嶋 賢哲
(72)【発明者】
【氏名】吉田 時空
(57)【要約】
【課題】気液分離器の構造を複雑化することなく液相の冷媒が気相冷媒吐出口から吐出される以前にこれを検出すること。
【解決手段】気液分離器7には、分離された液相の冷媒を、液相冷媒吐出口7c1よりも高く、かつ気相冷媒吐出口7d1よりも低い位置から内部熱交換器10よりも上流側において中間配管9に供給可能とする中間冷媒吐出口7eが設けられ、制御部20の検出する冷媒過熱度が所定の閾値未満となった場合に気液分離器7の液面を低下させるように高段膨張弁6及び低段膨張弁8の開度が制御される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入ポートに供給された冷媒を圧縮する高段圧縮機と、
流通する被加熱媒体との間で熱交換を行うことにより前記高段圧縮機から供給された冷媒を凝縮させる凝縮器と、
前記凝縮器を通過した冷媒を減圧する高段膨張弁と、
前記高段膨張弁を通過した冷媒を気相及び液相に分離する気液分離器と、
前記気液分離器で分離された液相の冷媒を吐出する液相冷媒吐出口と、
前記気液分離器で分離された気相の冷媒を吐出する気相冷媒吐出口と、
前記液相冷媒吐出口から吐出された冷媒を減圧する低段膨張弁と、
流通する温水との間で熱交換を行うことにより前記低段膨張弁を通過した冷媒を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器を通過した冷媒を圧縮して前記吸入ポートに供給する低段圧縮機と、
前記気相冷媒吐出口を通じて前記気液分離器から吐出された冷媒を前記吸入ポートに供給する中間配管と、
前記中間配管を流通する冷媒を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段よりも下流側において前記中間配管の冷媒過熱度を検出する過熱度検出手段とを備え、
前記気液分離器には、分離された液相の冷媒を、前記液相冷媒吐出口よりも高く、かつ前記気相冷媒吐出口よりも低い位置から前記加熱手段よりも上流側において前記中間配管に供給可能とする中間冷媒吐出口が設けられていることを特徴とするヒートポンプ装置。
【請求項2】
前記中間冷媒吐出口は、前記気相冷媒吐出口よりも開口面積が小さく構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項3】
前記中間冷媒吐出口は、上方に向かうに従って、漸次開口面積が増えるように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒートポンプ装置。
【請求項4】
吸入ポートに供給された冷媒を圧縮する高段圧縮機と、
流通する被加熱媒体との間で熱交換を行うことにより前記高段圧縮機から供給された冷媒を凝縮させる凝縮器と、
前記凝縮器を通過した冷媒を減圧する高段膨張弁と、
前記高段膨張弁を通過した冷媒を気相及び液相に分離する気液分離器と、
前記気液分離器で分離された液相の冷媒を吐出する液相冷媒吐出口と、
前記気液分離器で分離された気相の冷媒を吐出する気相冷媒吐出口と、
前記液相冷媒吐出口から吐出された冷媒を減圧する低段膨張弁と、
流通する温水との間で熱交換を行うことにより前記低段膨張弁を通過した冷媒を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器を通過した冷媒を圧縮して前記吸入ポートに供給する低段圧縮機と、
前記気相冷媒吐出口を通じて前記気液分離器から吐出された冷媒を前記吸入ポートに供給する中間配管と、
前記中間配管を流通する冷媒を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段よりも下流側において前記中間配管の冷媒過熱度を検出する過熱度検出手段とを備え、
前記気相冷媒吐出口は、開口縁が異なる高さを有し、かつ高さ方向の寸法が幅方向の寸法よりも大きく構成されていることを特徴とするヒートポンプ装置。
【請求項5】
前記過熱度検出手段の検出結果が所定の閾値未満となった場合に前記気液分離器の液面を低下させるように前記高段膨張弁及び前記低段膨張弁の少なくとも一方の開度を制御する制御部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載のヒートポンプ装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記中間配管を流通する冷媒と、前記凝縮器から前記高段膨張弁までの間を流通する冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器によって構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載のヒートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二段圧縮二段膨張サイクル式のヒートポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ装置には、圧縮を二段階にすることで圧縮機単段当たりの圧縮比を低減するようにしたものがある。この種のヒートポンプ装置では、低段側サイクルの冷媒流量を必要最小限とすることで低段側の圧縮動力を最小化することができ、単段サイクルに比べて効率を向上することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−119157号公報(図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運転状態が安定しない場合には、気液分離器の液面が上昇し、気液分離器から高段圧縮機の吸入ポートに至る中間配管に液相の冷媒が吐出されることがある。中間配管に吐出された液相の冷媒は、内部熱交換器を通過する際に一部は蒸発するものの、蒸発されずに高段圧縮機に供給されるおそれがあり、高段圧縮機の故障の原因となり得る。こうした問題は、気液分離器にフロートセンサを設け、液面を監視することで解決することが可能である。しかしながら、フロートセンサを設けた場合には、気液分離器の構成が複雑化する事態を招来することになる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、気液分離器の構造を複雑化することなく液相の冷媒が気相冷媒吐出口から吐出される以前にこれを検出することのできるヒートポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るヒートポンプ装置は、吸入ポートに供給された冷媒を圧縮する高段圧縮機と、流通する被加熱媒体との間で熱交換を行うことにより前記高段圧縮機から供給された冷媒を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器を通過した冷媒を減圧する高段膨張弁と、前記高段膨張弁を通過した冷媒を気相及び液相に分離する気液分離器と、前記気液分離器で分離された液相の冷媒を吐出する液相冷媒吐出口と、前記気液分離器で分離された気相の冷媒を吐出する気相冷媒吐出口と、前記液相冷媒吐出口から吐出された冷媒を減圧する低段膨張弁と、流通する温水との間で熱交換を行うことにより前記低段膨張弁を通過した冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器を通過した冷媒を圧縮して前記吸入ポートに供給する低段圧縮機と、前記気相冷媒吐出口を通じて前記気液分離器から吐出された冷媒を前記吸入ポートに供給する中間配管と、前記中間配管を流通する冷媒を加熱する加熱手段と、前記加熱手段よりも下流側において前記中間配管の冷媒過熱度を検出する過熱度検出手段とを備え、前記気液分離器には、分離された液相の冷媒を、前記液相冷媒吐出口よりも高く、かつ前記気相冷媒吐出口よりも低い位置から前記加熱手段よりも上流側において前記中間配管に供給可能とする中間冷媒吐出口が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上述したヒートポンプ装置において、前記中間冷媒吐出口は、前記気相冷媒吐出口よりも開口面積が小さく構成されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上述したヒートポンプ装置において、前記中間冷媒吐出口は、上方に向かうに従って、漸次開口面積が増えるように形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るヒートポンプ装置は、吸入ポートに供給された冷媒を圧縮する高段圧縮機と、流通する被加熱媒体との間で熱交換を行うことにより前記高段圧縮機から供給された冷媒を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器を通過した冷媒を減圧する高段膨張弁と、前記高段膨張弁を通過した冷媒を気相及び液相に分離する気液分離器と、前記気液分離器で分離された液相の冷媒を吐出する液相冷媒吐出口と、前記気液分離器で分離された気相の冷媒を吐出する気相冷媒吐出口と、前記液相冷媒吐出口から吐出された冷媒を減圧する低段膨張弁と、流通する温水との間で熱交換を行うことにより前記低段膨張弁を通過した冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器を通過した冷媒を圧縮して前記吸入ポートに供給する低段圧縮機と、前記気相冷媒吐出口を通じて前記気液分離器から吐出された冷媒を前記吸入ポートに供給する中間配管と、前記中間配管を流通する冷媒を加熱する加熱手段と、前記加熱手段よりも下流側において前記中間配管の冷媒過熱度を検出する過熱度検出手段とを備え、前記気相冷媒吐出口は、開口縁が異なる高さを有し、かつ高さ方向の寸法が幅方向の寸法よりも大きく構成されていることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上述したヒートポンプ装置において、前記過熱度検出手段の検出結果が所定の閾値未満となった場合に前記気液分離器の液面を低下させるように前記高段膨張弁及び前記低段膨張弁の少なくとも一方の開度を制御する制御部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上述したヒートポンプ装置において、前記加熱手段は、前記中間配管を流通する冷媒と、前記凝縮器から前記高段膨張弁までの間を流通する冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器によって構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、気液分離器の液面が上昇すると、中間冷媒吐出口を通じて中間配管に液相の冷媒が吐出され、加熱手段を通過した後の冷媒過熱度が低下する。このため、過熱度検出手段によって過熱度を検出することで、気液分離器にフロートセンサを設けることなく液相の冷媒が中間配管に吐出されたことを検出することが可能となる。従って、気液分離器の構造を複雑化することなく液相の冷媒が気相冷媒吐出口から吐出される以前にこれを検出することができるようになる。
【0013】
また本発明によれば、気液分離器の液面が上昇すると、気相冷媒吐出口を通じて中間配管に液相の冷媒が吐出され、加熱手段を通過した後の冷媒過熱度が低下する。このため、過熱度検出手段によって過熱度を検出することで、気液分離器にフロートセンサを設けることなく液相の冷媒が中間配管に吐出されたことを検出することが可能となる。従って、気液分離器の構造を複雑化することなく液相の冷媒が気相冷媒吐出口から吐出される以前にこれを検出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態であるヒートポンプ装置の構成を示す回路図である。
図2図2は、図1に示したヒートポンプ装置に適用する気液分離器を模式的に示す断面図である。
図3図3は、図2に示した気液分離器の変形例1を模式的に示す断面図である。
図4図4は、図2に示した気液分離器の変形例2を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るヒートポンプ装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態であるヒートポンプ装置の構成を示す回路図である。ここで例示するヒートポンプ装置は、二段圧縮二段膨張サイクルにより、工場排水や使用済冷却水等の排温水から排熱を回収して被加熱媒体を加熱するもので、循環配管1によって順次接続された蒸発器2、低段圧縮機3、高段圧縮機4、凝縮器5、高段膨張弁6、気液分離器7、低段膨張弁8を備えている。被加熱媒体としては、水や油、あるいは冷媒を対象とすることができる。本実施の形態では、特に水を被加熱媒体として蒸気を生成するヒートポンプ装置(=ヒートポンプ式蒸気生成装置)を例示する。
【0017】
蒸発器2は、供給される排温水との間で熱交換を行うことにより、通過する冷媒を蒸発させるものである。低段圧縮機3及び高段圧縮機4は、蒸発器2を通過した冷媒を順次圧縮するものである。すなわち、低段圧縮機3は、吸入ポート3aに供給された冷媒を中間圧に圧縮して吐出ポート3bから吐出するものである。高段圧縮機4は、吸入ポート4aが低段圧縮機3の吐出ポート3bに接続してあり、低段圧縮機3から吐出された冷媒をさらに高圧に圧縮して吐出ポート4bから吐出するものである。低段圧縮機3及び高段圧縮機4としては、別個に構成されたものを適用しても良いし、二段スクロール圧縮機等の一体型のものを適用しても良い。
【0018】
凝縮器5は、高段圧縮機4から供給された冷媒と、供給される被加熱水との間で熱交換を行うものである。高段膨張弁6は、凝縮器5を通過した凝縮後の冷媒を減圧して気液分離器7に供給するものである。
【0019】
気液分離器7は、図2に示すように、分離器本体7aの内部において高段膨張弁6からの冷媒を重力により気相と液相とに分離するものである。分離器本体7aは、図には明示していないが、横断面が円形の密閉状を成すもので、冷媒導入管7b、液相冷媒吐出管7c及び気相冷媒吐出管7dを備えている。冷媒導入管7bは、高段膨張弁6からの冷媒を分離器本体7aの内部に導入するためのもので、導入口7b1が分離器本体7aの上部側面に開口するように設けてある。図には明示していないが、冷媒導入管7bは、分離器本体7aの内周面に対し接線方向に沿ってほぼ水平に延在しており、高段膨張弁6からの冷媒を分離器本体7aの内周面に沿って導入することが可能である。液相冷媒吐出管7cは、分離器本体7aで分離された液相冷媒を外部に吐出するのである。本実施の形態では、分離器本体7aの径方向に沿ってほぼ水平に延在し、液相冷媒吐出口7c1が分離器本体7aの下部側面に開口するように液相冷媒吐出管7cが配設してある。気相冷媒吐出管7dは、分離器本体7aで分離された気相冷媒を外部に吐出するものである。本実施の形態では、分離器本体7aの下面中心部から上方に沿って延在し、上端の気相冷媒吐出口7d1が分離器本体7aの内部において導入口7b1よりも上方に開口するように気相冷媒吐出管7dが配設してある。図からも明らかなように、気相冷媒吐出管7dには、その上端部周面に中間冷媒吐出口7eが設けてある。中間冷媒吐出口7eは、気相冷媒吐出口7d1よりも開口面積が小さく、かつ気相冷媒吐出口7d1よりも低い位置となる部位に形成した唯一の開口である。なお、中間冷媒吐出口7eが液相冷媒吐出口7c1よりも高い位置に設けられているのはいうまでもない。また、分離器本体7aの上端に気相冷媒吐出口7d1を設け、かつ分離器本体7aの下部に液相冷媒吐出口7c1を設けるようにしているが、気相冷媒吐出口7d1が液相冷媒吐出口7c1よりも高い位置に設けてあれば分離器本体7aに設ける位置はこれらに限定されない。
【0020】
低段膨張弁8は、図1に示すように、液相冷媒吐出管7cを通じて気液分離器7から吐出された冷媒を減圧して蒸発器2に供給するものである。高段膨張弁6及び低段膨張弁8としては、与えられた指令に応じて開度を変更することのできる電磁弁を適用している。
【0021】
また、ヒートポンプ装置には、気液分離器7の気相冷媒吐出管7dと高段圧縮機4の吸入ポート4aとの間を連通するように中間配管9が設けてある。中間配管9は、分離器本体7aの上部に貯留された冷媒を低段圧縮機3からの冷媒と共に高段圧縮機4の吸入ポート4aに供給するものである。この中間配管9には、内部熱交換器(加熱手段)10、温度センサ11、圧力センサ12が設けてある。内部熱交換器10は、気液分離器7から高段圧縮機4に供給される冷媒と、凝縮器5から高段膨張弁6に供給される冷媒との間で熱交換を行うものである。温度センサ11は、内部熱交換器10を通過した後の冷媒の温度を検出するものである。圧力センサ12は、中間配管9における冷媒の圧力を検出するものである。これら温度センサ11の検出結果及び圧力センサ12の検出結果は、所定の検出周期で制御部(過熱度検出手段)20に与えられることになる。
【0022】
制御部20は、温度センサ11の検出結果及び圧力センサ12の検出結果に基づいて内部熱交換器10を通過した後の冷媒の過熱度を算出し、算出した冷媒過熱度に応じて高段膨張弁6の開度及び低段膨張弁8の開度をそれぞれ制御するものである。またこの制御部20は、低段圧縮機3及び高段圧縮機4の駆動制御も行っている。
【0023】
上記のように構成したヒートポンプ装置では、低段圧縮機3及び高段圧縮機4を駆動すると、高圧の気相の冷媒が凝縮器5に供給され、凝縮器5を通過する被加熱水との間において熱交換が行われる。この結果、被加熱水が加熱されるとともに、気相の冷媒が凝縮されて液相の冷媒となる。被加熱水を加熱することによって生成される蒸気は、例えば図示せぬ外部提供用気液分離器を通過した後、それぞれが外部の利用設備に供給されることになる。
【0024】
凝縮器5を通過した高圧の液相冷媒は、内部熱交換器10を通過した後、高段膨張弁6において中間圧に減圧され、気液二相の冷媒となって気液分離器7に供給される。この結果、分離器本体7aの下部に液相の冷媒が貯留され、分離器本体7aの上部に気相の冷媒が貯留される。この際、気液分離器7に供給される冷媒は、分離器本体7aの内周面に沿って供給されるため、気相と液相とに遠心分離されることになる。
【0025】
分離器本体7aの下部に貯留された液相の冷媒は、液相冷媒吐出管7cを通じて低段膨張弁8に供給され、低圧に減圧された後、蒸発器2に供給される。蒸発器2に供給された低圧冷媒は、排温水との熱交換により蒸発し、低段圧縮機3に供給される。一方、分離器本体7aの上部に貯留された気相の冷媒は、気相冷媒吐出管7dを通じて内部熱交換器10に供給され、凝縮器5から吐出された冷媒との間の熱交換によって加熱された後に高段圧縮機4の吸入ポート4aに供給される。
【0026】
このように、上述のヒートポンプ装置では、高段膨張弁6によって減圧される際に発生する気相の冷媒を高段圧縮機4の吸入ポート4aに供給しているため、低圧から中間圧に圧縮する動力が減少する。さらに、中間配管9からの冷媒が混合されることで、高段圧縮機4の吸入ポート4aに供給される冷媒の温度が低下し、比容積が減少するため圧縮動力が減少することになり、成績係数が増加するという利点がある。
【0027】
上述したヒートポンプ装置の運転の際、制御部20は、低段圧縮機3及び高段圧縮機4の駆動制御を行っている。このため、運転状態が安定している場合には、気液分離器7の液面が気相冷媒吐出口7d1よりも低い位置で一定となるように維持され、気液分離器7から中間配管9へ液相の冷媒が吐出される事態が招来されることがない。
【0028】
一方、種々の原因によってヒートポンプ装置の運転状態が不安定になると、気液分離器7の液面が上昇し、中間配管9に対して液相の冷媒が吐出される事態が生じ得る。ここで、上述のヒートポンプ装置によれば、気相冷媒吐出管7dの上端部に中間冷媒吐出口7eを設けるようにしているため、気液分離器7の液面が上昇した場合、気相冷媒吐出口7d1から液相の冷媒が吐出される以前に、中間冷媒吐出口7eから中間配管9に液相の冷媒が吐出されることになる。上述したように、中間冷媒吐出口7eは、気相冷媒吐出口7d1よりも開口面積が小さいため、中間配管9に吐出される液相の冷媒の流量も少量となる。従って、中間配管9に吐出された液相の冷媒は、内部熱交換器10を通過する際にすべてが蒸発して気相となり、液相のまま高段圧縮機4に導入される事態を招来するおそれがない。
【0029】
しかも、中間配管9に液相の冷媒が吐出された場合には、内部熱交換器10を通過した後の冷媒の過熱度が低下するため、温度センサ11及び圧力センサ12を監視している制御部20によってこれを検出することが可能となる。さらに制御部20は、検出した冷媒過熱度が所定の閾値未満(例えば、0℃未満)となった場合、高段膨張弁6の開度を減少させる一方、低段膨張弁8の開度を増大するようにそれぞれの制御を行う。これにより、気液分離器7の液面が低下することになり、気相冷媒吐出口7d1を通じて大量の液相の冷媒が中間配管9に吐出される事態、換言すれば、内部熱交換器10で蒸発しきれない量の液相の冷媒が中間配管9に吐出される事態を未然に防止することができる。これにより、高段圧縮機4が液相の冷媒を圧縮することに起因した故障が招来されるおそれがなくなる。
【0030】
以上説明したように、実施の形態のヒートポンプ装置によれば、冷媒過熱度の変化に基づいて中間配管9へ液相の冷媒が吐出されたことを検出するようにしているため、気液分離器7にフロートセンサ等の液面検出手段を設ける必要がない。従って、気液分離器7の構造を複雑化することなく液相の冷媒が気相冷媒吐出口から吐出される以前にこれを検出することが可能となる。しかも、中間冷媒吐出口7eを通じて中間配管9に吐出される液相の冷媒は、気相冷媒吐出口7d1を通じて吐出される液相の冷媒に比べて流量が小さいため、内部熱交換器10を通過する際に蒸発されて高段圧縮機4に供給されるおそれもない。これらの結果、気液分離器7の構造を複雑化することなく液相の冷媒が高段圧縮機4に供給される事態を防止することが可能となる。
【0031】
なお、上述した実施の形態では、中間配管9に内部熱交換器10を設けることによって通過する冷媒を加熱するようにしているが、必ずしもこれに限定されず、内部熱交換器10以外の加熱手段を適用しても構わない。
【0032】
また、上述した実施の形態では、中間冷媒吐出口7eの開口面積を気相冷媒吐出口7d1よりも小さく構成しているため、高段圧縮機4に液相の冷媒が供給される事態を防止するようにしているが、本発明は必ずしもこれに限定されず、例えば、中間冷媒吐出口7eから中間配管9に至る間に絞り部を設けても同様の作用効果を奏することが可能である。この場合には、必ずしも中間冷媒吐出口7eの開口面積を気相冷媒吐出口7d1よりも小さく構成する必要はない。
【0033】
さらに、上述した実施の形態では、中間冷媒吐出口7eとして気相冷媒吐出管7dの上端部に唯一開口を設けるようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図3の変形例1に示すように、気相冷媒吐出管7dの上部に上下方向に沿って複数の中間冷媒吐出口7eを設けるようにしても良い。複数の中間冷媒吐出口7eは、開口面積の合計値が気相冷媒吐出口7d1の開口面積よりも小さくなるように構成することが好ましいが、上述したように、中間冷媒吐出口7eから中間配管9に至る間に絞り部を設けた場合には、これに限定されない。この図3に示す変形例1によれば、液面が気相冷媒吐出口7d1に近づくに従って中間配管9に吐出される冷媒の流量が増えるため、過熱度の低下する割合が漸次増大することになり、気相冷媒吐出口7d1から液相の冷媒が中間配管9に吐出される以前の液面レベルを予測することも可能となる。
【0034】
なお、中間冷媒吐出口7eは、必ずしも開口である必要はなく、図4の変形例2に示すように、気相冷媒吐出管7dに上下方向に沿ってスリット状に形成しても良い。この変形例2においても液面が気相冷媒吐出口7d1に近づくに従って中間配管9に吐出される冷媒の流量が増えるため、気相冷媒吐出口7d1から液相の冷媒が中間配管9に吐出される以前の液面レベルを予測することが可能である。
【0035】
また、中間冷媒吐出口7eは、必ずしも気相冷媒吐出管7dに設ける必要がない。例えば、分離器本体7aに中間冷媒吐出口7eを形成するとともに、この中間冷媒吐出口7eと中間配管9において内部熱交換器10よりも上流側となる部位との間に連絡管を設けるようにしても同様の作用効果を奏することが可能である。この場合、気相冷媒吐出口7d1についても直接分離器本体7aの上部に形成しても良い。
【0036】
またさらに、上述した実施の形態及び変形例1、変形例2では、気相冷媒吐出口7d1よりも低い位置に中間冷媒吐出口7eを設けるようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、気相冷媒吐出口7d1そのものの開口縁が異なる高さを有し、かつ高さ方向の寸法が幅方向の寸法よりも大きくなるように構成しても上記と同様の作用効果を奏することが可能である。すなわち、気相冷媒吐出管7dの上端を斜めに構成することで気相冷媒吐出口7d1の開口縁に高さの差を付けたり、気相冷媒吐出管7dの周面に気相冷媒吐出口7d1を形成して開口縁に高さの差を付けることが可能である。いずれの場合においても高さ方向(上下方向)の寸法が幅方向(左右方向)の寸法よりも大きくなるように構成することが好ましい。これは、液面の高さの変動による中間配管9へ流入する液相冷媒の変動量(冷媒過熱度の変動量)が顕著となり、その後の制御部20による液面高さの制御をより的確に実施することが可能となるためである。しかも、吐出される液相の冷媒は、初期の段階では流量が小さいため、加熱手段によって蒸発され、液相のまま高段圧縮機4に供給される事態を招来することがない。なお、開口縁が異なる高さを有する気相冷媒吐出口としては、互いに高さの異なるものを複数設けることによって構成しても良い。この場合、もっとも上方に設けた気相冷媒吐出口と、もっとも下方に設けた気相冷媒吐出口との間の距離が高さ方向の寸法となり、もっとも左側に設けた気相冷媒吐出口と、もっとも右側に設けた気相冷媒吐出口との間の距離が左右方向の寸法とすれば良い。
【0037】
さらに、中間配管9に液相の冷媒が吐出されたことを検出した場合、気液分離器7の液面を低下させるように高段膨張弁6の開度及び低段膨張弁8の開度を制御するようにしているが、高段膨張弁6の開度もしくは低段膨張弁8の開度の一方を制御するようにしても良い。
【符号の説明】
【0038】
2 蒸発器
3 低段圧縮機
4 高段圧縮機
4a 吸入ポート
5 凝縮器
6 高段膨張弁
7 気液分離器
7a 分離器本体
7c1 液相冷媒吐出口
7d1 気相冷媒吐出口
7e 中間冷媒吐出口
8 低段膨張弁
9 中間配管
10 内部熱交換器
20 制御部
図1
図2
図3
図4