特開2020-24085(P2020-24085A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-24085(P2020-24085A)
(43)【公開日】2020年2月13日
(54)【発明の名称】空気調和装置の冷媒量設定方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/49 20180101AFI20200121BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20200121BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20200121BHJP
   F24F 11/36 20180101ALI20200121BHJP
   F24F 11/41 20180101ALI20200121BHJP
【FI】
   F24F11/49
   F25B49/02 520M
   F25B1/00 383
   F25B1/00 381D
   F24F11/36
   F24F11/41 210
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-201338(P2019-201338)
(22)【出願日】2019年11月6日
(62)【分割の表示】特願2018-206530(P2018-206530)の分割
【原出願日】2015年9月2日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2014/080481
(32)【優先日】2014年11月18日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康巨
(72)【発明者】
【氏名】駒井 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】前田 晃
(72)【発明者】
【氏名】川島 充
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA52
3L260CA17
3L260CB01
3L260DA15
3L260HA01
(57)【要約】
【課題】万一、可燃性冷媒が漏洩したとしても、室内空間に可燃濃度域が形成されてしまうことを抑制できる空気調和装置の冷媒量設定方法を提供することを目的とする。
【解決手段】室内機を有し、室内機は、送風ファンと吹出口とを有しており、制御部は、冷媒の漏洩を検知したときに送風ファンを運転させる空気調和装置の冷媒量設定方法であり、冷凍サイクルにおける冷媒の封入量をM[kg]とし、冷媒の燃焼下限濃度をLFL[kg/m]とし、室内空間の床面積をA[m]とし、室内空間の床面からの吹出口の高さをHo[m]としたとき、封入量M、燃焼下限濃度LFL、床面積A及び高さHoは、M<LFL×A×Hoの関係を満たすように封入量Mを設定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を循環させる冷凍サイクルと、
少なくとも前記冷凍サイクルの室内熱交換器を収容し、室内空間に設置される室内機と、
前記室内機を制御する制御部と、を有し、
前記冷媒は、大気圧下において空気よりも密度の大きい可燃性冷媒であり、
前記室内機は、送風ファンと、空気を前記室内空間に吹き出す吹出口と、を有しており、
前記制御部は、前記冷媒の漏洩を検知したときに前記送風ファンを運転させるものである空気調和装置の冷媒量を設定する方法であって、
前記冷凍サイクルにおける前記冷媒の封入量をM[kg]とし、前記冷媒の燃焼下限濃度をLFL[kg/m]とし、前記室内空間の床面積をA[m]とし、前記室内空間の床面からの前記吹出口の高さをHo[m]としたとき、
前記封入量M、前記燃焼下限濃度LFL、前記床面積A及び前記高さHoは、
M<LFL×A×Ho
の関係を満たすように前記封入量Mを設定する空気調和装置の冷媒量設定方法。
【請求項2】
冷媒を循環させる冷凍サイクルと、
少なくとも前記冷凍サイクルの室内熱交換器を収容し、室内空間に設置される室内機と、
前記室内機を制御する制御部と、を有し、
前記冷媒は、大気圧下において空気よりも密度の大きい可燃性冷媒であり、
前記室内機は、送風ファンと、空気を上向きに前記室内空間に吹き出す吹出口と、を有しており、
前記制御部は、前記冷媒の漏洩を検知したときに、前記送風ファンを運転させるものである空気調和装置の冷媒量を設定する方法であって、
前記冷凍サイクルにおける前記冷媒の封入量をM[kg]とし、前記冷媒の燃焼下限濃度をLFL[kg/m]とし、前記室内空間の床面積をA[m]とし、前記室内空間の床面からの前記吹出口の高さをHo[m]とし、前記室内空間の床面からの天井面の高さをHc[m]としたとき、
前記封入量M、前記燃焼下限濃度LFL、前記床面積A、前記高さHo及び前記高さHcは、
LFL×A×Ho≦M<LFL×A×Hc
の関係を満たすように前記封入量Mを設定する空気調和装置の冷媒量設定方法。
【請求項3】
前記室内機は、冷媒検知手段を有しており、
前記室内熱交換器は、継手部を介して延長配管に接続されており、
前記冷媒検知手段は、前記室内機の筐体の内部であって前記室内熱交換器及び前記継手部よりも下方に設けられている請求項1又は請求項2に記載の空気調和装置の冷媒量設定方法。
【請求項4】
冷媒を循環させる冷凍サイクルと、
少なくとも前記冷凍サイクルの室内熱交換器を収容し、室内空間に設置される室内機と、を有し、
前記冷媒は、大気圧下において空気よりも密度の大きい可燃性冷媒であり、
前記室内機は、送風ファンと、空気を前記室内空間に吹き出す吹出口と、を有しており、
前記送風ファンの運転により漏洩冷媒を希釈させる空気調和装置の冷媒量を設定する方法であって、
前記冷凍サイクルにおける前記冷媒の封入量をM[kg]とし、前記冷媒の燃焼下限濃度をLFL[kg/m]とし、前記室内空間の床面積をA[m]とし、前記室内空間の床面からの前記吹出口の高さをHo[m]としたとき、
前記封入量M、前記燃焼下限濃度LFL、前記床面積A及び前記高さHoは、
M<LFL×A×Ho
の関係を満たすように前記封入量Mを設定する空気調和装置の冷媒量設定方法。
【請求項5】
冷媒を循環させる冷凍サイクルと、
少なくとも前記冷凍サイクルの室内熱交換器を収容し、室内空間に設置される室内機と、を有し、
前記冷媒は、大気圧下において空気よりも密度の大きい可燃性冷媒であり、
前記室内機は、送風ファンと、空気を上向きに前記室内空間に吹き出す吹出口と、を有しており、
前記送風ファンの運転により漏洩冷媒を希釈させる空気調和装置の冷媒量を設定する方法であって、
前記冷凍サイクルにおける前記冷媒の封入量をM[kg]とし、前記冷媒の燃焼下限濃度をLFL[kg/m]とし、前記室内空間の床面積をA[m]とし、前記室内空間の床面からの前記吹出口の高さをHo[m]とし、前記室内空間の床面からの天井面の高さをHc[m]としたとき、
前記封入量M、前記燃焼下限濃度LFL、前記床面積A、前記高さHo及び前記高さHcは、
LFL×A×Ho≦M<LFL×A×Hc
の関係を満たすように前記封入量Mを設定する空気調和装置の冷媒量設定方法。
【請求項6】
前記吹出口からの空気の吹出方向は水平方向である請求項1又は請求項4に記載の空気調和装置の冷媒量設定方法。
【請求項7】
前記床面積は、前記空気調和装置又は前記室内機の仕様としての適用床面積である請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の空気調和装置の冷媒量設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の冷媒量設定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和装置に用いられる冷媒として、不燃性であるR410AのようなHFC冷媒が用いられている。このR410Aは、従来のR22のようなHCFC冷媒と異なり、オゾン層破壊係数(以下「ODP」と称す)がゼロであるため、オゾン層を破壊することはない。ところが、R410Aは、地球温暖化係数(以下「GWP」と称す)が高いという性質を有している。そのため、地球の温暖化防止の一環として、R410AのようなGWPが高いHFC冷媒から、GWPが低い冷媒へと変更する検討が進められている。
【0003】
そのような低GWPの冷媒候補として、自然冷媒であるR290(C;プロパン)やR1270(C;プロピレン)のようなHC冷媒がある。しかしながら、R290やR1270は、不燃性であるR410Aとは異なり、強燃レベルの可燃性(強燃性)を有している。そのため、R290やR1270を冷媒として用いる場合には、冷媒漏洩に対する注意が必要である。
【0004】
また、低GWPの冷媒候補として、組成中に炭素の二重結合を持たないHFC冷媒、例えば、R410AよりもGWPが低いR32(CH;ジフルオロメタン)がある。
【0005】
また、同じような冷媒候補として、R32と同様にHFC冷媒の一種であって、組成中に炭素の二重結合を有するハロゲン化炭化水素がある。かかるハロゲン化炭化水素として、例えば、HFO−1234yf(CFCF=CH;テトラフルオロプロペン)やHFO−1234ze(CF−CH=CHF)がある。なお、組成中に炭素の二重結合を持つHFC冷媒は、R32のように組成中に炭素の二重結合を持たないHFC冷媒と区別するために、オレフィン(炭素の二重結合を持つ不飽和炭化水素がオレフィンと呼ばれる)の「O」を使って、「HFO」と表現されることが多い。
【0006】
このような低GWPのHFC冷媒(HFO冷媒を含む)は、自然冷媒であるR290のようなHC冷媒ほど強燃性ではないものの、不燃性であるR410Aとは異なり、微燃レベルの可燃性(微燃性)を有している。そのため、R290と同様に冷媒漏洩に対する注意が必要である。これより以降、微燃レベル以上(例えば、ASHRAE34の分類で2L以上)の可燃性を有する冷媒のことを「可燃性冷媒」と称する。
【0007】
可燃性冷媒が室内へ漏洩した場合、室内の冷媒濃度が上昇し、可燃濃度域が形成されてしまう可能性がある。
【0008】
特許文献1には、可燃性冷媒を用いた空気調和装置が記載されている。この空気調和装置は、室内機の外表面に設けられ、可燃性冷媒を検知する冷媒検知手段と、冷媒検知手段が冷媒を検知したときに室内機送風ファンを回転させる制御を行う制御部と、を備えている。この空気調和装置では、室内機につながる延長配管から室内へ可燃性冷媒が漏洩した場合や、室内機内部で漏洩した可燃性冷媒が室内機の筺体の隙間を通して室内機の外部へ流出した場合に、漏洩冷媒を冷媒検知手段によって検知できる。また、冷媒の漏洩を検知したときに室内機送風ファンを回転させることにより、室内機の筐体に設けられた吸込口から室内の空気を吸い込み、吹出口から室内へ空気を吹き出すので、漏洩した冷媒を効果的に拡散させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4599699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載された空気調和装置では、封入冷媒量が規定されていない。このため、封入冷媒量が過多の場合には、室内機送風ファンによって漏洩冷媒と室内空気とを攪拌しても、室内空間に可燃濃度域が形成されてしまう可能性があるという問題点があった。
【0011】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、万一、可燃性冷媒が漏洩したとしても、室内空間に可燃濃度域が形成されてしまうことを抑制できる空気調和装置の冷媒量設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る空気調和装置の冷媒量設定方法は、冷媒を循環させる冷凍サイクルと、少なくとも前記冷凍サイクルの室内熱交換器を収容し、室内空間に設置される室内機と、前記室内機を制御する制御部と、を有し、前記冷媒は、大気圧下において空気よりも密度の大きい可燃性冷媒であり、前記室内機は、送風ファンと、空気を前記室内空間に吹き出す吹出口と、を有しており、前記制御部は、前記冷媒の漏洩を検知したときに前記送風ファンを運転させるものである空気調和装置の冷媒量を設定する方法であって、前記冷凍サイクルにおける前記冷媒の封入量をM[kg]とし、前記冷媒の燃焼下限濃度をLFL[kg/m]とし、前記室内空間の床面積をA[m]とし、前記室内空間の床面からの前記吹出口の高さをHo[m]としたとき、前記封入量M、前記燃焼下限濃度LFL、前記床面積A及び前記高さHoは、M<LFL×A×Hoの関係を満たすように前記封入量Mを設定するものである。
【0013】
また、本発明に係る空気調和装置の冷媒量設定方法は、冷媒を循環させる冷凍サイクルと、少なくとも前記冷凍サイクルの室内熱交換器を収容し、室内空間に設置される室内機と、前記室内機を制御する制御部と、を有し、前記冷媒は、大気圧下において空気よりも密度の大きい可燃性冷媒であり、前記室内機は、送風ファンと、空気を上向きに前記室内空間に吹き出す吹出口と、を有しており、前記制御部は、前記冷媒の漏洩を検知したときに、前記送風ファンを運転させるものである空気調和装置の冷媒量を設定する方法であって、前記冷凍サイクルにおける前記冷媒の封入量をM[kg]とし、前記冷媒の燃焼下限濃度をLFL[kg/m]とし、前記室内空間の床面積をA[m]とし、前記室内空間の床面からの前記吹出口の高さをHo[m]とし、前記室内空間の床面からの天井面の高さをHc[m]としたとき、前記封入量M、前記燃焼下限濃度LFL、前記床面積A、前記高さHo及び前記高さHcは、LFL×A×Ho≦M<LFL×A×Hcの関係を満たすように前記封入量Mを設定するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、万一、可燃性冷媒が漏洩したとしても、室内空間に可燃濃度域が形成されてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和装置の概略構成を示す冷媒回路図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る空気調和装置の室内機1の外観構成を示す正面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る空気調和装置の室内機1の内部構造を模式的に示す正面図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る空気調和装置の室内機1の内部構造を模式的に示す側面図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る空気調和装置において制御部30で実行される冷媒漏洩検知処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態1に係る空気調和装置において、図5のステップS3の処理によって室内送風ファン7fの運転が開始された後の室内空間120の状態を示す図である。
図7】本発明の実施の形態1に関する実験に用いた室内空間120の構成を示す平面図である。
図8】本発明の実施の形態1に関する第1の実験における冷媒濃度の時間変化を示すグラフである。
図9】本発明の実施の形態1に関する第2の実験における冷媒濃度の時間変化を示すグラフである。
図10】本発明の実施の形態2に係る空気調和装置の室内機1における吹出口113近傍の構成を示す断面図である。
図11】本発明の実施の形態2に係る空気調和装置において制御部30で実行される冷媒漏洩検知処理の一例を示すフローチャートである。
図12】本発明の実施の形態2に係る空気調和装置において、図11のステップS14の処理によって室内送風ファン7fの運転が開始された後の室内空間120の状態を示す図である。
図13】本発明の実施の形態1に係る空気調和装置のカタログの記載事項の一例を示す図である。
図14】本発明の実施の形態1に係る空気調和装置のカタログ又は据付工事説明書の記載事項の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る空気調和装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る空気調和装置の概略構成を示す冷媒回路図である。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の寸法の関係や形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0017】
図1に示すように、空気調和装置は、冷媒を循環させる冷凍サイクル40を有している。冷凍サイクル40は、圧縮機3、冷媒流路切替装置4、室外熱交換器5(熱源側熱交換器)、減圧装置6、及び室内熱交換器7(負荷側熱交換器)が冷媒配管を介して順次環状に接続された構成を有している。また、空気調和装置は、例えば室内に設置される室内機1と、例えば室外に設置される室外機2と、を有している。室内機1と室外機2との間は、冷媒配管の一部である延長配管10a、10bを介して接続されている。
【0018】
冷凍サイクル40を循環する冷媒としては、例えば、R32、HFO−1234yf、HFO−1234ze等の微燃性冷媒、又は、R290、R1270等の強燃性冷媒が用いられている。これらの冷媒は単一冷媒として用いられてもよいし、2種以上が混合された混合冷媒として用いられてもよい。これらの冷媒は、大気圧下(例えば、温度は室温(25℃))において空気よりも大きい密度を有している。
【0019】
圧縮機3は、吸入した低圧冷媒を圧縮し、高圧冷媒として吐出する流体機械である。圧縮機3としては、例えば、回転速度を調整可能なインバータ駆動の密閉型電動圧縮機などが用いられる。冷媒流路切替装置4は、冷房運転時と暖房運転時とで冷凍サイクル40内の冷媒の流れ方向を切り替えるものである。冷媒流路切替装置4としては、例えば四方弁が用いられる。室外熱交換器5は、冷房運転時には放熱器(例えば、凝縮器)として機能し、暖房運転時には蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器5では、内部を流通する冷媒と、後述する室外送風ファン5fにより送風される空気(外気)との熱交換が行われる。減圧装置6は、高圧冷媒を減圧して低圧冷媒とするものである。減圧装置6としては、例えば開度を調節可能な電子膨張弁などが用いられる。室内熱交換器7は、冷房運転時には蒸発器として機能し、暖房運転時には放熱器(例えば、凝縮器)として機能する熱交換器である。室内熱交換器7では、内部を流通する冷媒と、後述する室内送風ファン7fにより送風される空気との熱交換が行われる。ここで、冷房運転とは、室内熱交換器7に低温低圧の冷媒を供給する運転のことであり、暖房運転とは、室内熱交換器7に高温高圧の冷媒を供給する運転のことである。
【0020】
室外機2には、圧縮機3、冷媒流路切替装置4、室外熱交換器5及び減圧装置6が収容されている。また、室外機2には、室外熱交換器5に外気を供給する室外送風ファン5fが収容されている。室外送風ファン5fは、室外熱交換器5に対向して設置されている。室外送風ファン5fを回転させることで、室外熱交換器5を通過する空気流が生成される。室外送風ファン5fとしては、例えばプロペラファンが用いられている。室外送風ファン5fは、当該室外送風ファン5fが生成する空気流において、例えば室外熱交換器5の下流側に配置されている。
【0021】
室外機2には、冷媒配管として、ガス側(冷房運転時)の延長配管接続バルブ13aと冷媒流路切替装置4とを繋ぐ冷媒配管、圧縮機3の吸入側に接続されている吸入配管11、圧縮機3の吐出側に接続されている吐出配管12、冷媒流路切替装置4と室外熱交換器5とを繋ぐ冷媒配管、室外熱交換器5と減圧装置6とを繋ぐ冷媒配管、及び、減圧装置6と液側(冷房運転時)の延長配管接続バルブ13bとを繋ぐ冷媒配管、が配置されている。延長配管接続バルブ13aは、開放及び閉止の切替えが可能な二方弁で構成されており、その一端にフレア継手が取り付けられている。また、延長配管接続バルブ13bは、開放及び閉止の切替えが可能な三方弁で構成されており、その一端に真空引きの際(冷凍サイクル40に冷媒を充填する前作業の際)に使用するサービス口14aが取り付けられ、他の一端にフレア継手が取り付けられている。
【0022】
吐出配管12には、冷房運転時及び暖房運転時のいずれにおいても、圧縮機3で圧縮された高温高圧のガス冷媒が流れる。吸入配管11には、冷房運転時及び暖房運転時のいずれにおいても、蒸発作用を経た低温低圧の冷媒(ガス冷媒又は二相冷媒)が流れる。吸入配管11には、低圧側のフレア継手付きのサービス口14bが接続されており、吐出配管12には、高圧側のフレア継手付きのサービス口14cが接続されている。サービス口14b、14cは、空気調和装置の据付け時や修理時の試運転の際に圧力計を接続して、運転圧力を計測するために使用される。
【0023】
室内機1には、室内熱交換器7が収容されている。また、室内機1には、室内熱交換器7に空気を供給する室内送風ファン7fが設置されている。室内送風ファン7fを回転させることで、室内熱交換器7を通過する空気流が生成される。室内送風ファン7fとしては、室内機1の形態によって、遠心ファン(例えば、シロッコファン、ターボファン等)、クロスフローファン、斜流ファン、軸流ファン(例えば、プロペラファン)などが用いられる。本例の室内送風ファン7fは、当該室内送風ファン7fが生成する空気流において室内熱交換器7の上流側に配置されているが、室内熱交換器7の下流側に配置されていてもよい。
【0024】
また、室内機1には、室内から吸い込まれる室内空気の温度を検出する吸込空気温度センサ91、室内熱交換器7の冷房運転時の入口部(暖房運転時の出口部)の冷媒温度を検出する熱交換器入口温度センサ92、室内熱交換器7の二相部の冷媒温度(蒸発温度又は凝縮温度)を検出する熱交換器温度センサ93等が設けられている。さらに、室内機1には、後述する冷媒検知手段99が設けられている。これらのセンサ類は、室内機1又は空気調和装置全体を制御する制御部30に検出信号を出力するようになっている。
【0025】
室内機1の冷媒配管のうちガス側の室内配管9aにおいて、ガス側の延長配管10aとの接続部には、延長配管10aを接続するための継手部15a(例えば、フレア継手)が設けられている。また、室内機1の冷媒配管のうち液側の室内配管9bにおいて、液側の延長配管10bとの接続部には、延長配管10bを接続するための継手部15b(例えば、フレア継手)が設けられている。
【0026】
制御部30は、CPU、ROM、RAM、I/Oポート等を備えたマイコンを有している。制御部30は、後述する操作部26との間で相互にデータ通信を行うことができるようになっている。本例の制御部30は、操作部26からの操作信号やセンサ類からの検出信号等に基づき、室内送風ファン7fの動作を含む室内機1又は空気調和装置全体の動作を制御する。制御部30は、室内機1の筐体内に設けられていてもよいし、室外機2の筐体内に設けられていてもよい。また、制御部30は、室外機2に設けられる室外機制御部と、室内機1に設けられ、室外機制御部とデータ通信可能な室内機制御部と、により構成されていてもよい。
【0027】
次に、空気調和装置の冷凍サイクル40の動作について説明する。まず、冷房運転時の動作について説明する。図1において、実線矢印は、冷房運転時の冷媒の流れ方向を示している。冷房運転では、冷媒流路切替装置4によって冷媒流路が実線で示すように切り替えられ、室内熱交換器7に低温低圧の冷媒が流れるように冷媒回路が構成される。
【0028】
圧縮機3から吐出された高温高圧のガス冷媒は、冷媒流路切替装置4を経てまず室外熱交換器5へと流入する。冷房運転では、室外熱交換器5は凝縮器として機能する。すなわち、室外熱交換器5では、内部を流通する冷媒と、室外送風ファン5fにより送風される空気(外気)との熱交換が行われ、冷媒の凝縮熱が送風空気に放熱される。これにより、室外熱交換器5に流入した冷媒は、凝縮して高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、減圧装置6に流入し、減圧されて低圧の二相冷媒となる。低圧の二相冷媒は、延長配管10bを経由して室内機1の室内熱交換器7に流入する。冷房運転では、室内熱交換器7は蒸発器として機能する。すなわち、室内熱交換器7では、内部を流通する冷媒と、室内送風ファン7fにより送風される空気(室内空気)との熱交換が行われ、冷媒の蒸発熱が送風空気から吸熱される。これにより、室内熱交換器7に流入した冷媒は、蒸発して低圧のガス冷媒又は二相冷媒となる。また、室内送風ファン7fにより送風される空気は、冷媒の吸熱作用によって冷却される。室内熱交換器7で蒸発した低圧のガス冷媒又は二相冷媒は、延長配管10a及び冷媒流路切替装置4を経由して圧縮機3に吸入される。圧縮機3に吸入された冷媒は、圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。冷房運転では、以上のサイクルが繰り返される。
【0029】
次に、暖房運転時の動作について説明する。図1において、点線矢印は、暖房運転時の冷媒の流れ方向を示している。暖房運転では、冷媒流路切替装置4によって冷媒流路が点線で示すように切り替えられ、室内熱交換器7に高温高圧の冷媒が流れるように冷媒回路が構成される。暖房運転時には、冷媒は冷房運転時とは逆方向に流れ、室内熱交換器7は凝縮器として機能する。すなわち、室内熱交換器7では、内部を流通する冷媒と、室内送風ファン7fにより送風される空気との熱交換が行われ、冷媒の凝縮熱が送風空気に放熱される。これにより、室内送風ファン7fにより送風される空気は、冷媒の放熱作用によって加熱される。
【0030】
図2は、本実施の形態に係る空気調和装置の室内機1の外観構成を示す正面図である。図3は、室内機1の内部構造(前面パネルを外した状態)を示す正面図である。図4は、室内機1の内部構造を示す側面図である。図4における左方は、室内機1の前面側(室内空間側)を示している。本実施の形態では、室内機1として、空調対象空間となる室内空間の床面に設置される床置形の室内機1を例示している。なお、以下の説明における各構成部材同士の位置関係(例えば、上下関係等)は、原則として、室内機1を使用可能な状態に設置したときのものである。
【0031】
図2図4に示すように、室内機1は、縦長の直方体状の形状を有する筐体111を備えている。筐体111の前面下部には、室内空間の空気を吸い込む吸込口112が形成されている。本例の吸込口112は、筐体111の上下方向において中央部よりも下方であり、床面近傍の位置に設けられている。筐体111の前面上部、すなわち吸込口112よりも高さの高い位置(例えば、筐体111の上下方向における中央部よりも上方)には、吸込口112から吸い込まれた空気を室内に吹き出す吹出口113が形成されている。筐体111の前面のうち、吸込口112よりも上方で吹出口113よりも下方には、操作部26が設けられている。操作部26は、通信線を介して制御部30に接続されており、制御部30との間で相互にデータ通信が可能となっている。上述のように、操作部26では、ユーザの操作により室内機1(空気調和装置)の運転開始操作、運転終了操作、運転モードの切替え、設定温度及び設定風量の設定などが行われる。操作部26には、情報をユーザに報知する表示部や音声出力部等が設けられていてもよい。
【0032】
筐体111は中空の箱体であり、筐体111の前面には前面開口部が形成されている。筐体111は、前面開口部に対して着脱可能に取り付けられる第1前面パネル114a、第2前面パネル114b及び第3前面パネル114cを備えている。第1前面パネル114a、第2前面パネル114b及び第3前面パネル114cは、いずれも略長方形平板状の外形状を有している。第1前面パネル114aは、筐体111の前面開口部の下部に対して着脱可能に取り付けられている。第1前面パネル114aには、上記の吸込口112が形成されている。第2前面パネル114bは、第1前面パネル114aの上方に隣接して配置されており、筐体111の前面開口部の上下方向における中央部に対して着脱可能に取り付けられている。第2前面パネル114bには、上記の操作部26が設けられている。第3前面パネル114cは、第2前面パネル114bの上方に隣接して配置されており、筐体111の前面開口部の上部に対して着脱可能に取り付けられている。第3前面パネル114cには、上記の吹出口113が形成されている。
【0033】
筐体111の内部空間は、送風部となる空間115aと、空間115aの上方に位置し、熱交換部となる空間115bと、に大まかに分けられている。空間115aと空間115bとの間は、概ね水平に配置された平板状の仕切板20によって仕切られている。仕切板20には、空間115aと空間115bとの間の風路となる風路開口部20aが少なくとも形成されている。空間115aは、第1前面パネル114aを筐体111から取り外すことによって前面側に露出するようになっており、空間115bは、第2前面パネル114b及び第3前面パネル114cを筐体111から取り外すことによって前面側に露出するようになっている。すなわち、仕切板20が設置されている高さは、第1前面パネル114aの上端(又は第2前面パネル114bの下端)の高さと概ね一致している。
【0034】
空間115aには、吸込口112から吹出口113に向かう空気の流れを生じさせる室内送風ファン7fが配置されている。本例の室内送風ファン7fは、不図示のモータと、モータの出力軸に接続され、複数の翼が周方向に等間隔で配置された羽根車107と、を備えたシロッコファンである。羽根車107の回転軸(モータの出力軸)は、筐体111の奥行方向とほぼ平行になるように配置されている。室内送風ファン7fの羽根車107は、渦巻状のファンケーシング108で覆われている。ファンケーシング108は、例えば筐体111とは別体で形成されている。ファンケーシング108の渦巻中心付近には、吸込口112を介して室内空気を吸い込む吸込開口部108bが形成されている。吸込開口部108bは、吸込口112に対向するように配置されている。また、ファンケーシング108の渦巻の接線方向には、送風空気を吹き出す吹出開口部108aが形成されている。吹出開口部108aは、上方を向くように配置されており、仕切板20の風路開口部20aを介して空間115bに接続されている。言い換えれば、吹出開口部108aは、風路開口部20aを介して空間115bと連通している。吹出開口部108aの開口端と風路開口部20aの開口端との間は、直接繋がっていてもよいし、ダクト部材等を介して間接的に繋がっていてもよい。
【0035】
また、空間115aには、例えば制御部30などを構成するマイコン、各種電気部品、基板などが収容される電気品箱25が設けられている。
【0036】
空間115b内の風路81には、室内熱交換器7が配置されている。室内熱交換器7の下方には、室内熱交換器7の表面で凝縮した凝縮水を受けるドレンパン(図示せず)が設けられている。ドレンパンは、仕切板20の一部として形成されていてもよいし、仕切板20とは別体として形成されて仕切板20上に配置されていてもよい。
【0037】
吸込開口部108b近傍の下方寄りの位置には、冷媒検知手段99が設けられている。冷媒検知手段99は、例えば、当該冷媒検知手段99の周囲の空気中における冷媒濃度を検知し、検知信号を制御部30に出力する。制御部30では、冷媒検知手段99からの検知信号に基づき、冷媒の漏洩の有無が判定される。
【0038】
室内機1において冷媒漏洩のおそれがあるのは、室内熱交換器7のろう付け部及び継手部15a、15bである。また、本実施の形態で用いられる冷媒は、大気圧下において空気よりも大きい密度を有している。したがって、本実施の形態の冷媒検知手段99は、筐体111内において室内熱交換器7及び継手部15a、15bよりも高さが低い位置に設けられている。これにより、少なくとも室内送風ファン7fの停止時において、冷媒検知手段99では、漏洩した冷媒を確実に検知することができる。なお、本実施の形態では、冷媒検知手段99が吸込開口部108b近傍の下方寄りの位置に設けられているが、冷媒検知手段99の設置位置は他の位置であってもよい。
【0039】
図5は、制御部30で実行される冷媒漏洩検知処理の一例を示すフローチャートである。この冷媒漏洩検知処理は、空気調和装置の運転中及び停止中を含む常時、又は空気調和装置の停止中のみに、所定の時間間隔で繰り返して実行されるものである。
【0040】
図5のステップS1では、制御部30は、冷媒検知手段99からの検知信号に基づき、冷媒検知手段99の周囲の冷媒濃度の情報を取得する。
【0041】
次に、ステップS2では、冷媒検知手段99の周囲の冷媒濃度が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する。冷媒濃度が閾値以上であると判定した場合にはステップS3に進み、冷媒濃度が閾値未満であると判定した場合には処理を終了する。
【0042】
ステップS3では、室内送風ファン7fの運転を開始する。室内送風ファン7fが既に運転している場合には、そのまま運転を継続する。ステップS3では、操作部26に設けられている表示部や音声出力部等を用いて、冷媒の漏洩が生じたことをユーザに報知するようにしてもよい。
【0043】
以上のように、この冷媒漏洩検知処理では、冷媒の漏洩が検知された場合(すなわち、冷媒検知手段99で検知される冷媒濃度が閾値以上である場合)、室内送風ファン7fの運転が開始される。これにより、室内空気が吸込口112に吸い込まれるとともに、吸い込まれた室内空気が吹出口113から吹き出される。したがって、漏洩冷媒を室内空間に拡散させることができるため、冷媒濃度が室内空間で局所的に高くなってしまうのを抑制することができる。
【0044】
図6は、図5のステップS3の処理によって室内送風ファン7fの運転が開始された後の室内空間120の状態を示す図である。図6に示すように、吹出口113は天井面よりも下方に位置しているため、吹出口113の上端の床面からの高さHoは、天井面の床面からの高さHcよりも低くなっている(Ho<Hc)。ここで、冷媒の漏洩は依然として継続しているものとする。
【0045】
本実施の形態では、大気圧下において空気よりも密度が大きい冷媒が用いられている。このため、室内空間120における室内機1近傍の床面付近には、漏洩冷媒ガス121が相対的に高濃度で滞留する。室内送風ファン7fの運転が開始されることにより、漏洩冷媒ガス121は、冷媒と空気とが混和した冷媒混和空気として、吸込口112に吸い込まれる。吸い込まれた冷媒混和空気は、図6中の太矢印で示すように、吹出口113から室内空間120に吹き出される。冷媒混和空気の吹出方向は、例えば水平方向である。すなわち、冷媒の漏洩継続中には、冷媒が相対的に高濃度で含まれる冷媒混和空気が、吸込口112に吸い込まれ、吹出口113から室内空間120に高さHoで吹き出される、という流れが連続的に繰り返される。
【0046】
高さHoで吹き出された冷媒混和空気に含まれる冷媒は、大気圧下において空気よりも密度が大きいことから、高さHoよりも上方の空間にはほとんど拡散せず、下降しながら下方の空間に拡散する。したがって、冷媒の漏洩継続中には、漏洩した冷媒は、室内空間120のうち高さがHo以下である下部空間120aに徐々に拡散していく。
【0047】
一方、冷媒の漏洩が終了した後には、吸込口112に吸い込まれる冷媒混和空気の冷媒濃度が徐々に低下し、吹出口113から吹き出される冷媒混和空気の冷媒濃度も徐々に低下する。これにより、高さHoで吹き出される冷媒混和空気の密度と空気の密度との差が減少する。このため、冷媒混和空気に含まれる冷媒は、高さHoよりも上方の空間にも拡散し始める。すなわち、冷媒の漏洩が終了した後には、冷媒は、室内空間120のうち高さがHoよりも高くHcよりも低い上部空間120bにも徐々に拡散していく。
【0048】
以下、上記の事象について、実験結果を用いてより具体的に説明する。
図7は、実験に用いた室内空間120の構成を示す平面図である。図7に示すように、室内空間120は、4m×4mの正方形状の平面形状を有する密閉された空間である。室内空間120の天井面の高さHcは2.5mである。すなわち、室内空間120の容積は40mである。室内機1は、室内空間120における1つの壁面の左右方向中央部に沿って床面上に設置されている。室内機1の吹出口113の高さHoは1.5mである。冷媒としてはR32が用いられている。なお、R32の燃焼下限濃度(LFL;Lower Flammable Limit)は、0.306kg/m(=14.4vol%)である。また、室内送風ファン7fは、室内機1内(筐体111内)の冷媒検知手段99で検知される冷媒濃度が3.6vol%(すなわち、LFLの1/4)まで上昇した場合に運転を開始するように設定した。
【0049】
室内空間120の中心部には、冷媒濃度測定用の4つの冷媒濃度センサ122a、122b、122c、122dがそれぞれ異なる高さ位置に配置されている。冷媒濃度センサ122a、122b、122c、122dは、それぞれ床面からの高さが0.5m、1.0m、1.5m、2.0mとなる位置に配置されている。すなわち、冷媒濃度センサ122a、122b、122cは、高さがHo以下の下部空間120aでの冷媒濃度を測定するものであり、そのうち冷媒濃度センサ122cは、吹出口113の高さHoと同じ高さでの冷媒濃度を測定するものである。冷媒濃度センサ122dは、高さがHoよりも高い上部空間120bでの冷媒濃度を測定するものである。
【0050】
第1の実験では、室内機1の筐体111内において漏洩速度10kg/hで冷媒を漏洩させ、4つの冷媒濃度センサ122a、122b、122c、122dで冷媒濃度を測定した。漏洩させる総冷媒量は12.24kgとした。この総冷媒量は、室内空間120の容積に対するLFLに相当する量である。つまり、総冷媒量は、室内空間120全体に均一に拡散したと仮定したときの冷媒濃度がLFLに達するように設定した。
【0051】
図8は、第1の実験における冷媒濃度の時間変化を示すグラフである。グラフの横軸は冷媒漏洩開始からの経過時間[分]を表しており、縦軸は冷媒(R32)濃度[vol%]を表している。グラフ中の細実線で示す曲線は、冷媒濃度センサ122aで測定された高さ0.5mでの冷媒濃度の変化を表している。細破線で示す曲線は、冷媒濃度センサ122bで測定された高さ1.0mでの冷媒濃度の変化を表している。太実線で示す曲線は、冷媒濃度センサ122cで測定された高さ1.5mでの冷媒濃度の変化を表している。太破線で示す曲線は、冷媒濃度センサ122dで測定された高さ2.0mでの冷媒濃度の変化を表している。
【0052】
図8に示すように、冷媒濃度センサ122a、122b、122cで測定された冷媒濃度は、概ね冷媒漏洩の開始から終了まで(0分〜約75分)の時間帯では、時間経過とともに単調に上昇してLFLを上回る。そして、これらの冷媒濃度は、冷媒漏洩の終了後には徐々に低下し、最終的にはLFLに近づいていく。これらの冷媒濃度は、経過時間約60分〜約130分の時間帯T1には、LFLを上回っている。すなわち、この時間帯T1には、下部空間120aに可燃濃度域が形成されることが分かる。また、冷媒濃度センサ122a、122b、122cで測定された冷媒濃度のそれぞれは、経過時間に関わらず概ね同様の値を示している。このことから、下部空間120aにおいては、漏洩冷媒がほぼ均一に拡散されていることが分かる。
【0053】
一方、冷媒濃度センサ122dで測定された冷媒濃度は、冷媒漏洩の開始から終了までの時間帯では、ほぼ0vol%に維持される。この冷媒濃度は、冷媒漏洩の終了後には上昇を開始するが、LFLを上回ることはなく、最終的にはLFLに近づいていく。すなわち、上部空間120bには、冷媒漏洩が終了するまで冷媒がほとんど拡散せず、冷媒漏洩が終了すると拡散が開始されることが分かる。
【0054】
第2の実験では、総冷媒量を6.12kg(第1の実験の半分)とした。図9は、第2の実験における冷媒濃度の時間変化を示すグラフである。図9に示すように、第2の実験における冷媒濃度の変化は、第1の実験と同様の傾向を示すことが分かる。
【0055】
冷媒濃度センサ122a、122b、122cで測定された冷媒濃度は、第1の実験と同様に、概ね冷媒漏洩の開始から終了まで(0分〜約35分)の時間帯では、時間経過とともに単調に上昇するが、LFLまでは上昇しない。そして、これらの冷媒濃度は、冷媒漏洩の終了後には徐々に低下し、最終的には7.2vol%(LFLの1/2)に近づいていく。第2の実験では総冷媒量が少ないため、冷媒濃度がLFLを上回る時間帯は存在しなかった。
【0056】
冷媒濃度センサ122dで測定された冷媒濃度は、第1の実験と同様に、冷媒漏洩の開始から終了までの時間帯では、ほぼ0vol%に維持される。この冷媒濃度は、冷媒漏洩の終了後には上昇を開始し、最終的には7.2vol%(LFLの1/2)に近づいていく。
【0057】
図6を用いて説明した事象と、図7図9を用いて説明した実験結果とによれば、下記の(1)及び(2)のことが分かる。
(1)総冷媒量を室内空間120全体の容積のLFLに相当する量に設定した場合、下部空間120aには可燃濃度域が形成されるおそれがあること。
(2)下部空間120aに可燃濃度域が形成されないようにするには、総冷媒量を下部空間120aの容積のLFLに相当する量未満に設定する必要があること。
【0058】
室内空間120全体の容積は、室内空間120の床面積と、室内空間120の床面からの天井面の高さHcと、の積で表される。また、下部空間120aの容積は、室内空間120の床面積と、室内機1が設置された状態における室内空間120の床面からの吹出口113の高さHoと、の積で表される。ここで、室内空間120の床面積、天井面の高さHc及び吹出口113の高さHo等は、室内機1が実際に設置された室内空間120の実寸法によって特定できるだけでなく、空気調和装置又は室内機1の仕様(カタログスペック)によって特定又は推定することも可能である。
【0059】
例えば、床面積は、空気調和装置又は室内機1の仕様としての適用床面積によって特定できる。空気調和装置又は室内機1の仕様としての適用床面積は、空気調和装置のカタログ、据付工事説明書又は納入仕様書等に、「空調の目安」、「広さの目安」等の表現を用いて記載されている。あるいは、空気調和装置又は室内機1の仕様としての適用床面積は、室内機1と室外機2により構成される空気調和装置の冷房能力又は暖房能力を、算出基準冷房負荷又は算出基準暖房負荷で除した値によって特定できる。ここで、冷房能力又は暖房能力は、室内機1あるいは室外機2の名板、カタログ又は納入仕様書等に、定格能力又は最大能力として記載されている。定格能力及び最大能力の両方の記載がある場合には、最大能力の方を用いる。算出基準冷房負荷又は算出基準暖房負荷は、カタログ、据付工事説明書又は納入仕様書等に記載されている。
【0060】
図13は、カタログの記載事項の一例を示す図である。図13に示すように、例えば、空気調和装置の冷房最大能力が5.0kWであり、室内機1を据え付ける室内空間の算出基準冷房負荷が170〜115W/m(ここでは、一般事務所における算出基準冷房負荷を例に挙げた)である場合、適用床面積は29〜43mとなる。
【0061】
室内機1が床置形である場合、室内機1は床面上に据え付けられる。このため、床置形の室内機1における床面からの吹出口113の高さHoは、室内機1の底面(例えば、床面との接触面)から吹出口113までの高さ寸法に相当する。室内機1の底面から吹出口113までの高さ寸法は、カタログ又は納入仕様書等に記載された室内機1の各部寸法に基づいて特定できる。あるいは、室内機1の底面から吹出口113までの高さ寸法は、実際に計測することによっても特定できる。
【0062】
室内機1が床置形以外(例えば、壁掛形)である場合、室内機1は、床面からの高さが所定の据付け高さとなるように据え付けられる。このため、室内機1における床面からの吹出口113の高さHoは、室内機1の底面から吹出口113までの高さ寸法と、床面からの室内機1の据付け高さ(すなわち、床面から室内機1の底面までの高さ寸法)と、の和によって特定できる。室内機1の底面から吹出口113までの高さ寸法は、カタログ又は納入仕様書等に記載された室内機1の各部寸法に基づいて特定できる。あるいは、室内機1の底面から吹出口113までの高さ寸法は、実際に計測することによっても特定できる。床面からの室内機1の据付け高さは、カタログ、据付工事説明書又は納入仕様書等に記載されている。例えば、室内機1の底面から吹出口113までの高さ寸法が10cmであり、床面からの室内機1の据付け高さが180cmである場合には、床面からの吹出口113の高さHoは190cmとなる。
【0063】
燃焼下限濃度LFLは、冷媒の種類によって特定できる。冷媒の種類は、室外機2の名板、カタログ、据付工事説明書又は納入仕様書等に記載されている。冷媒の種類毎の燃焼下限濃度LFLは、国際規格IEC60335−2−40等の文献に記載されている。
【0064】
冷媒の封入量Mは、工場で封入済みの冷媒量と、冷媒配管の長さに基づき必要に応じて現地で追加封入される冷媒量と、の和によって特定できる。工場で封入済みの冷媒量は、室外機2の名板、カタログ、据付工事説明書又は納入仕様書等に記載されている。冷媒配管の長さに基づき追加封入される冷媒量は、カタログ又は据付工事説明書等に記載されている。
【0065】
図14は、カタログ又は据付工事説明書の記載事項の一例を示す図である。図14に示す例では、冷媒の種類、工場封入冷媒量、及び30mを超える冷媒配管長さの場合の追加冷媒量等が記載されている。
【0066】
なお、カタログ及び納入仕様書は、商談時に用いる資料であり、一般に配布され、ウェブからも入手可能である。また、据付工事説明書は、室内機1及び室外機2の少なくとも一方に同梱されており、ウェブからも入手可能である。名板は、室内機1及び室外機2に取り付けられている。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態に係る空気調和装置は、冷媒を循環させる冷凍サイクル40と、少なくとも冷凍サイクル40の室内熱交換器7を収容し、室内空間120に設置される室内機1と、室内機1を制御する制御部30と、を有する空気調和装置であって、冷媒は、大気圧下において空気よりも密度の大きい可燃性冷媒であり、室内機1は、室内送風ファン7fと、室内空間120の空気を吸い込む吸込口112と、吸込口112よりも上方に設けられ、吸込口112から吸い込まれた空気を室内空間120に吹き出す吹出口113と、を有しており、吹出口113は、室内機1の筐体111の前面又は側面(本例では前面)に形成されており、制御部30は、冷媒の漏洩を検知したときに室内送風ファン7fを運転させるものであり、冷凍サイクル40における冷媒の封入量をM[kg]とし、冷媒の燃焼下限濃度をLFL[kg/m]とし、室内空間120の床面積をA[m]とし、室内空間120の床面からの吹出口113の高さをHo[m]としたとき、封入量M、燃焼下限濃度LFL、床面積A及び高さHoは、M<LFL×A×Hoの関係を満たすものである。
【0068】
この構成によれば、仮に、冷凍サイクル40に封入されている冷媒の全量が室内空間120に漏洩したとしても、下部空間120aの冷媒濃度がLFLまで上昇しないようにすることができる。したがって、室内空間120に可燃濃度域が形成されてしまうことを抑制することができる。
【0069】
また、本実施の形態に係る空気調和装置において、上記の床面積は、空気調和装置又は室内機1の仕様としての適用床面積であってもよい。
【0070】
ここで、可燃濃度域の形成を抑制しつつ、室内空間120に対する空気調和装置の空調能力を十分に確保するため、封入量M、燃焼下限濃度LFL、床面積A及び高さHoは、S×LFL×A×Ho≦M<LFL×A×Hoの関係を満たすようにしてもよい。Sは、0よりも大きく1よりも小さい係数である(0<S<1)。係数Sは、空気調和装置を実現する際にあらかじめ設定する空気条件の範囲(例えば、外気温度の範囲)、延長配管の最大長さ、及び、空気調和装置に用いられる熱交換器の仕様や冷媒の種類等によって値が異なる。係数Sの値は、1/10程度の場合もあれば、1/100程度あるいはそれ以下の場合もある。
【0071】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る空気調和装置について説明する。本実施の形態に係る空気調和装置は、冷媒の封入量M、冷媒の燃焼下限濃度LFL、室内空間120の床面積A及び吹出口113の高さHoがM≧LFL×A×Hoの関係を満たすものである。
【0072】
図10は、本実施の形態に係る空気調和装置の室内機1における吹出口113近傍の構成を示す断面図である。なお、吹出口113近傍以外の室内機1の構成は、実施の形態1の室内機1と同様であるので図示及び説明を省略する。
【0073】
図10に示すように、本実施の形態の室内機1における吹出口113には、1枚又は複数枚(本例では5枚)の上下風向板123が設けられている。上下風向板123は、水平方向に設けられた回転軸を中心として、例えば、図中破線で示した斜め下向きの角度位置と図中実線で示した斜め上向きの角度位置との間で回転できるようになっている。上下風向板123が下向きの角度位置に設定されると、吹出口113からは空気が下向きに吹き出される。上下風向板123が上向きの角度位置に設定されると、吹出口113からは空気が上向き(図中の矢印方向)に吹き出される。上下風向板123は、制御部30の制御により、不図示の駆動機構を用いて回転駆動される。
【0074】
図11は、制御部30で実行される冷媒漏洩検知処理の一例を示すフローチャートである。この冷媒漏洩検知処理は、空気調和装置の運転中及び停止中を含む常時、又は空気調和装置の停止中のみに、所定の時間間隔で繰り返して実行されるものである。ステップS11〜S13については、図5のステップS1〜S3と同様である。
【0075】
図11に示すように、冷媒濃度が閾値以上であると判定した場合には、ステップS3と同様のステップS13に加えて、ステップS14が実行される。ステップS14では、上下風向板123の向きを、水平面よりも上向きに設定する。このときの上下風向板123の角度は、水平面に対して上向き45°が理想的である。これにより、吹出口113からは空気が上向き(上部空間120b側)に吹き出される。なお、ステップS14を実行した後にステップS13を実行するようにしてもよい。
【0076】
図12は、ステップS14の処理によって上下風向板123の向きが上向きに設定された後の室内空間120の状態を示す図である。図12に示すように、吹出口113からは冷媒混和空気が上向きに吹き出される。このため、図6に示した状態とは異なり、冷媒漏洩開始の直後から、上部空間120bを含む室内空間120の全体に冷媒を拡散させることができる。したがって、本実施の形態では、冷媒の封入量を下部空間120aの容積のLFLに相当する量以上に設定したとしても、室内空間120に可燃濃度域が形成されるのを抑制することができる。冷媒の封入量は、室内空間120全体の容積のLFLに相当する量未満に設定することが望ましい。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態に係る空気調和装置は、冷媒を循環させる冷凍サイクル40と、少なくとも冷凍サイクル40の室内熱交換器7を収容し、室内空間120に設置される室内機1と、室内機1を制御する制御部30と、を有する空気調和装置であって、冷媒は、大気圧下において空気よりも密度の大きい可燃性冷媒であり、室内機1は、室内送風ファン7fと、室内空間120の空気を吸い込む吸込口112と、吸込口112よりも上方に設けられ、吸込口112から吸い込まれた空気を室内空間120に吹き出す吹出口113と、吹出口113に設けられた上下風向板123と、を有しており、吹出口113は、室内機1の筐体111の前面又は側面に形成されており、冷凍サイクル40における冷媒の封入量をM[kg]とし、冷媒の燃焼下限濃度をLFL[kg/m]とし、室内空間120の床面積をA[m]とし、室内空間120の床面からの吹出口113の高さをHo[m]としたとき、封入量M、燃焼下限濃度LFL、床面積A及び高さHoは、M≧LFL×A×Hoの関係を満たしており、制御部30は、冷媒の漏洩を検知したときに、室内送風ファン7fを運転させるとともに上下風向板123を上向きに設定するものである。
【0078】
この構成によれば、漏洩冷媒を下部空間120aだけでなく上部空間120bにも拡散させることができる。したがって、冷媒の封入量を下部空間120aの容積のLFLに相当する量以上に設定したとしても、室内空間120に可燃濃度域が形成されてしまうことを抑制することができる。
【0079】
また、本実施の形態に係る空気調和装置において、室内空間120の床面からの天井面の高さをHc[m]としたとき、封入量M、燃焼下限濃度LFL、床面積A、高さHcは、M<LFL×A×Hcの関係を満たすようにしてもよい。
【0080】
この構成によれば、仮に、冷凍サイクル40に封入されている冷媒の全量が室内空間120に漏洩したとしても、室内空間120に可燃濃度域が形成されてしまうことを抑制することができる。
【0081】
また、本実施の形態に係る空気調和装置において、上記の床面積は、空気調和装置又は室内機1の仕様としての適用床面積であってもよい。
【0082】
その他の実施の形態.
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、吹出口113及び吸込口112が室内機1の筐体111の前面に設けられているが、吹出口113及び吸込口112は筐体111の側面に設けられていてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態では床置形の室内機1を例に挙げたが、本発明は、吹出口の高さHoが天井面の高さHcよりも低くなるように設置される他のタイプの室内機(例えば、壁掛形の室内機)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 室内機、2 室外機、3 圧縮機、4 冷媒流路切替装置、5 室外熱交換器、5f 室外送風ファン、6 減圧装置、7 室内熱交換器、7f 室内送風ファン、9a、9b 室内配管、10a、10b 延長配管、11 吸入配管、12 吐出配管、13a、13b 延長配管接続バルブ、14a、14b、14c サービス口、15a、15b 継手部、20 仕切板、20a 風路開口部、25 電気品箱、26 操作部、30 制御部、40 冷凍サイクル、81 風路、91 吸込空気温度センサ、92 熱交換器入口温度センサ、93 熱交換器温度センサ、99 冷媒検知手段、107 羽根車、108 ファンケーシング、108a 吹出開口部、108b 吸込開口部、111 筐体、112 吸込口、113 吹出口、114a 第1前面パネル、114b 第2前面パネル、114c 第3前面パネル、115a、115b 空間、120 室内空間、120a 下部空間、120b 上部空間、121 漏洩冷媒ガス、122a、122b、122c、122d 冷媒濃度センサ、123 上下風向板。
図1
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図14