特開2020-24830(P2020-24830A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-24830(P2020-24830A)
(43)【公開日】2020年2月13日
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/54 20060101AFI20200121BHJP
   H01H 33/59 20060101ALI20200121BHJP
【FI】
   H01H9/54 A
   H01H33/59 C
   H01H33/59 D
   H01H33/59 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-147990(P2018-147990)
(22)【出願日】2018年8月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤田 悟
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆二
【テーマコード(参考)】
5G028
5G034
【Fターム(参考)】
5G028AA21
5G028AA22
5G028FB06
5G028FD04
5G034AA08
5G034AD18
5G034AE02
(57)【要約】
【課題】過電流時に真空遮断器およびガス断路器を機械的にオフにしてからIGBTをオフにする直流遮断器では、真空遮断器およびガス断路器を機械的にオフするまでの期間が長く、IGBTに流れる電流は増加するので、IGBTの電流容量を、過電流時にも飽和に至らないレベルまで大きくしておく必要があり、コストアップおよび装置の大型化につながっていた。
【解決手段】入力端子と出力端子との間を接続または切断するスイッチ装置は、入力端子と出力端子との間に直列に接続された機械式スイッチ部および第1半導体スイッチ部と、入力端子と出力端子との間に、機械式スイッチ部および第1半導体スイッチ部と並列に接続された第2半導体スイッチ部と、第1半導体スイッチ部および第2半導体スイッチ部のそれぞれのオンオフのタイミングと、機械式スイッチ部を開閉するタイミングとを個別に制御するスイッチ制御部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と出力端子との間を接続または切断するスイッチ装置であって、
前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続された機械式スイッチ部および第1半導体スイッチ部と、
前記入力端子と前記出力端子との間に、前記機械式スイッチ部および前記第1半導体スイッチ部と並列に接続された第2半導体スイッチ部と、
前記第1半導体スイッチ部および前記第2半導体スイッチ部のそれぞれのオンオフのタイミングと、前記機械式スイッチ部を開閉するタイミングとを個別に制御するスイッチ制御部と、
を備えるスイッチ装置。
【請求項2】
前記入力端子と前記出力端子との間に設けられる電流検出部を更に備え、
前記スイッチ制御部は、
前記電流検出部からの信号に応じて過電流を検出した場合にオフ指令を出力する保護回路と、
外部からの信号に基づき、前記機械式スイッチ部を開閉し、前記第1半導体スイッチ部および前記第2半導体スイッチ部をそれぞれオンオフするために予め定められたパルス信号を出力し、前記保護回路から前記オフ指令が入力された場合は、前記外部からの信号に関わらず、前記機械式スイッチ部を閉じ、前記第1半導体スイッチ部および前記第2半導体スイッチ部をそれぞれオフするために予め定められたパルス信号を出力するパルス分配回路と、
前記パルス分配回路から入力される前記パルス信号に基づき、前記機械式スイッチ部を開閉する信号と、前記第1半導体スイッチ部および前記第2半導体スイッチ部をそれぞれオンオフするためのゲート電圧とを出力する駆動回路と、
を有する請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記第1半導体スイッチ部の耐電圧は、前記第2半導体スイッチ部のオン電圧よりも高い、
請求項1または2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記第1半導体スイッチ部は前記入力端子と前記出力端子との間に並列に接続された複数の第1半導体スイッチを含み、前記第2半導体スイッチ部は前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続された複数の第2半導体スイッチを含み、
前記複数の第1半導体スイッチのそれぞれの耐電圧は、前記複数の第2半導体スイッチのオン電圧の和よりも高い、
請求項3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記スイッチ制御部は、前記第1半導体スイッチ部、前記機械式スイッチ部および前記第2半導体スイッチ部がいずれもオンの状態で、前記入力端子と前記出力端子との間を接続状態から切断状態に切り替える場合に、前記第1半導体スイッチ部、前記機械式スイッチ部、前記第2半導体スイッチ部の順にオフとする、
請求項1から4の何れか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記スイッチ制御部は、前記入力端子と前記出力端子との間を接続状態から切断状態に切替える場合に、前記第1半導体スイッチ部をオフとした後に、前記第1半導体スイッチ部の電流が予め定められた値以下となったことに応じて、前記機械式スイッチ部をオフとする、
請求項5に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記スイッチ制御部は、前記第1半導体スイッチ部、前記機械式スイッチ部および前記第2半導体スイッチ部がいずれもオフの状態で、前記入力端子と前記出力端子との間を切断状態から接続状態に切り替える場合に、前記第2半導体スイッチ部、前記機械式スイッチ部、前記第1半導体スイッチ部の順にオンとする、
請求項1から6のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記スイッチ制御部は、前記第2半導体スイッチ部をオンとした後に、前記入力端子と前記出力端子との間の電位差が基準以下となったことに応じて、前記機械式スイッチ部をオンとする、
請求項7に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
第1の入力端子と出力端子との間の接続状態と、第2の入力端子と前記出力端子との間の接続状態とを切り替える機械式切替スイッチと、
前記第1の入力端子と前記出力端子との間および前記第2の入力端子と前記出力端子との間に前記機械式切替スイッチとともに直列に接続された第1半導体スイッチ部と、
前記第1の入力端子と前記出力端子との間に、前記機械式切替スイッチおよび前記第1半導体スイッチ部と並列に接続された第2半導体スイッチ部と、
前記第2の入力端子と前記出力端子との間に、前記機械式切替スイッチおよび前記第1半導体スイッチ部と並列に接続された第3半導体スイッチ部と、
前記第1半導体スイッチ部、前記第2半導体スイッチ部および前記第3半導体スイッチ部のそれぞれのオンオフのタイミングと、前記機械式切替スイッチを開閉するタイミングとを個別に制御するスイッチ制御部と、
を備えるスイッチ装置。
【請求項10】
前記スイッチ制御部は、前記第1半導体スイッチ部および前記第2半導体スイッチ部がオンの状態、且つ、前記機械式切替スイッチが前記第1の入力端子と前記第1半導体スイッチ部との間を接続している状態で、前記第1の入力端子と前記出力端子との間を接続状態から切断状態に切り替え、且つ、前記第2の入力端子と前記出力端子との間を切断状態から接続状態に切り替える場合に、前記第1半導体スイッチ部をオフとし、次に前記機械式切替スイッチを前記第2の入力端子と前記第1半導体スイッチ部との間を接続している状態に切り替え、次に前記第2半導体スイッチ部をオフとすると共に前記第3半導体スイッチ部をオンとし、次に前記第1半導体スイッチ部をオンとする、
請求項9に記載のスイッチ装置。
【請求項11】
前記スイッチ制御部は、前記第1半導体スイッチ部および前記第2半導体スイッチ部がオンの状態、且つ、前記機械式切替スイッチが前記第1の入力端子と前記第1半導体スイッチ部との間を接続している状態で、前記第1の入力端子と前記出力端子との間を接続状態から切断状態に切り替え、且つ、前記第2の入力端子と前記出力端子との間を切断状態から接続状態に切り替える場合に、前記第1半導体スイッチ部をオフとし、次に前記機械式切替スイッチを、前記第1の入力端子と前記第1半導体スイッチ部との間、および前記第2の入力端子と前記第1半導体スイッチ部との間の何れも接続していない状態に切り替え、次に前記第2半導体スイッチ部をオフとすると共に前記第3半導体スイッチ部をオンとし、次に前記機械式切替スイッチを前記第2の入力端子と前記第1半導体スイッチ部との間を接続している状態に切り替え、次に前記第1半導体スイッチ部をオンとする、
請求項9に記載のスイッチ装置。
【請求項12】
前記スイッチ制御部は、前記第3半導体スイッチ部をオンとした後に、前記第2の入力端子と前記出力端子との間の電位差が基準以下となったことに応じて、前記機械式切替スイッチを前記第2の入力端子と前記第1半導体スイッチ部との間を接続している状態に切り替える、
請求項11に記載のスイッチ装置。
【請求項13】
前記第1半導体スイッチ部は、前記入力端子と前記出力端子との間に逆直列に接続された複数の第1半導体スイッチであって、それぞれが前記入力端子と前記出力端子との間に逆並列に接続された半導体スイッチ素子およびダイオードの組を含む、複数の第1半導体スイッチを有し、
前記入力端子と前記出力端子との間に、前記第2半導体スイッチ部と並列に接続されたダイオードブリッジを更に備える、
請求項1から8の何れか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項14】
前記第1半導体スイッチ部は、前記第1の入力端子と前記出力端子との間に逆直列に接続された複数の第1半導体スイッチであって、それぞれが前記第1の入力端子と前記出力端子との間に逆並列に接続された半導体スイッチ素子およびダイオードの組を有する、複数の第1半導体スイッチを有し、
前記第1の入力端子と前記出力端子との間に、前記第2半導体スイッチ部と並列に接続された第1ダイオードブリッジと、
前記第2の入力端子および前記出力端子との間に、前記第3半導体スイッチ部と並列に接続された第2ダイオードブリッジと
を更に備える請求項9から12の何れか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項15】
前記第1半導体スイッチ部はMOSFETを含み、前記第2半導体スイッチ部はIGBT、GTOサイリスタおよびWBG半導体の少なくとも何れかを含む、
請求項1から8および13のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項16】
前記第1半導体スイッチ部はMOSFETを含み、前記第2半導体スイッチ部および前記第3半導体スイッチ部の少なくとも何れかはIGBT、GTOサイリスタおよびWBG半導体の少なくとも何れかを含む、
請求項9から12および14のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに並列に接続された機械スイッチと半導体スイッチとを備えるスイッチにおいて、通常は機械式スイッチおよび半導体スイッチをオンにして電流を機械スイッチ側に流し、電流遮断時には、機械スイッチをOFFにした後に半導体スイッチをOFFにする技術が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。また、ガス断路器および真空遮断器を含む機械式開閉器と、真空遮断器に並列に接続された強制転流回路と、機械式開閉器に並列に接続された半導体スイッチ、例えばIGBTとを備える直流遮断器において、通常は電流を機械式開閉器に流し、電流遮断時には、真空遮断器に流れる直流電流の向きと逆方向の電流を強制転流回路から流すことで、真空遮断器に電流零点を生成して非導通状態とし、これによって機械式開閉器からIGBTに電流を転流させ、ガス断路器に流れる電流を無くしてから、ガス断路器を開極してIGBTを非導通状態とする技術が知られている(例えば、特許文献3を参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 国際公開WO2011/034140号
[特許文献2] 特開2017−191764号公報
[特許文献3] 国際公開WO2016/047209号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の直流遮断器によれば、過電流時にガス断路器でのアーク発生を概ね回避できるが、真空遮断器およびガス断路器を機械的にオフにしてからIGBTをオフにする。真空遮断器およびガス断路器を機械的にオフにするまでの期間を含む直流遮断器のオフ期間では、真空遮断器およびガス断路器を機械的にオフするまでの期間が長いため、IGBTに流れる電流は増加する。IGBTは、定格電流の5倍以下でコレクタ電流が飽和し、順方向電圧降下が最大で電源電圧相当まで上昇してしまう。よって、上記の直流遮断器においてIGBTが過電流に対する遮断能力を有するようにするためには、IGBTの電流容量を、過電流時にも飽和に至らないレベルまで大きくしておく必要があり、コストアップおよび装置の大型化につながっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
入力端子と出力端子との間を接続または切断するスイッチ装置は、機械式スイッチ部および第1半導体スイッチ部と、第2半導体スイッチ部と、スイッチ制御部とを備えてもよい。機械式スイッチ部および第1半導体スイッチ部は、入力端子と出力端子との間に直列に接続されてもよい。第2半導体スイッチ部は、入力端子と出力端子との間に、機械式スイッチ部および第1半導体スイッチ部と並列に接続されてもよい。スイッチ制御部は、第1半導体スイッチ部および第2半導体スイッチ部のそれぞれのオンオフのタイミングと、機械式スイッチ部を開閉するタイミングとを個別に制御してもよい。
【0005】
スイッチ装置は、入力端子と出力端子との間に設けられる電流検出部を更に備えてもよい。スイッチ制御部は、保護回路と、パルス分配回路と、駆動回路とを有してもよい。保護回路は、電流検出部からの信号に応じて過電流を検出した場合にオフ指令を出力してもよい。パルス分配回路は、外部からの信号に基づき、機械式スイッチ部を開閉し、第1半導体スイッチ部および第2半導体スイッチ部をそれぞれオンオフするために予め定められたパルス信号を出力し、保護回路からオフ指令が入力された場合は、外部からの信号に関わらず、機械式スイッチ部を閉じ、第1半導体スイッチ部および第2半導体スイッチ部をそれぞれオフするために予め定められたパルス信号を出力してもよい。駆動回路は、パルス分配回路から入力されるパルス信号に基づき、機械式スイッチ部を開閉する信号と、第1半導体スイッチ部および第2半導体スイッチ部をそれぞれオンオフするためのゲート電圧とを出力してもよい。
【0006】
第1半導体スイッチ部の耐電圧は、第2半導体スイッチ部のオン電圧よりも高くてもよい。
【0007】
第1半導体スイッチ部は入力端子および出力端子の間に並列に接続された複数の第1半導体スイッチを含んでもよい。第2半導体スイッチ部は入力端子および出力端子の間に直列に接続された複数の第2半導体スイッチを含んでもよい。複数の第1半導体スイッチのそれぞれの耐電圧は、複数の第2半導体スイッチのオン電圧の和よりも高くてもよい。
【0008】
スイッチ制御部は、第1半導体スイッチ部、機械式スイッチ部および第2半導体スイッチ部がいずれもオンの状態で、入力端子と出力端子との間を接続状態から切断状態に切替える場合に、第1半導体スイッチ部、機械式スイッチ部、第2半導体スイッチ部の順にオフとしてもよい。
【0009】
スイッチ制御部は、入力端子と出力端子との間を接続状態から切断状態に切替える場合に、第1半導体スイッチ部をオフとした後に、第1半導体スイッチ部の電流が予め定められた値以下となったことに応じて、機械式スイッチ部をオフとしてもよい。
【0010】
スイッチ制御部は、第1半導体スイッチ部、機械式スイッチ部および第2半導体スイッチ部がいずれもオフの状態で、入力端子および出力端子の間を切断状態から接続状態に切替える場合に、第2半導体スイッチ部、機械式スイッチ部、第1半導体スイッチ部の順にオンとしてもよい。
【0011】
スイッチ制御部は、第2半導体スイッチ部をオンとした後に、入力端子と出力端子との間の電位差が基準以下となったことに応じて、機械式スイッチ部をオンとしてもよい。
【0012】
スイッチ装置は、機械式切替スイッチと、第1半導体スイッチ部と、第2半導体スイッチ部と、第3半導体スイッチ部と、スイッチ制御部とを備えてもよい。機械式切替スイッチは、第1の入力端子と出力端子との間の接続状態と、第2の入力端子と出力端子との間の接続状態とを切り替えてもよい。第1半導体スイッチ部は、第1の入力端子と出力端子との間および第2の入力端子と出力端子との間に機械式切替スイッチとともに直列に接続されてもよい。第2半導体スイッチ部は、第1の入力端子と出力端子との間に、機械式切替スイッチおよび第1半導体スイッチ部と並列に接続されてもよい。第3半導体スイッチ部は、第2の入力端子と出力端子との間に、機械式切替スイッチおよび第1半導体スイッチ部と並列に接続されてもよい。スイッチ制御部は、第1半導体スイッチ部、第2半導体スイッチ部および第3半導体スイッチ部のそれぞれのオンオフのタイミングと、機械式切替スイッチを開閉するタイミングとを個別に制御してもよい。
【0013】
スイッチ制御部は、第1半導体スイッチ部および第2半導体スイッチ部がオンの状態、且つ、機械式切替スイッチが第1端子と第1半導体スイッチ部との間を接続している状態で、第1の入力端子と出力端子との間を接続状態から切断状態に切り替え、且つ、第2の入力端子と出力端子との間を切断状態から接続状態に切り替える場合に、第1半導体スイッチ部をオフとし、次に機械式切替スイッチを第2の入力端子と第1半導体スイッチ部との間を接続している状態に切り替え、次に第2半導体スイッチ部をオフとすると共に第3半導体スイッチ部をオンとし、次に第1半導体スイッチ部をオンとしてもよい。
【0014】
スイッチ制御部は、第1半導体スイッチ部および第2半導体スイッチ部がオンの状態、且つ、機械式切替スイッチが第1の入力端子と第1半導体スイッチ部との間を接続している状態で、第1の入力端子と出力端子との間を接続状態から切断状態に切り替え、且つ、第2の入力端子と出力端子との間を切断状態から接続状態に切り替える場合に、第1半導体スイッチ部をオフとし、次に機械式切替スイッチを、第1の入力端子と第1半導体スイッチ部との間、および第2の入力端子と第1半導体スイッチ部との間の何れも接続していない状態に切り替え、次に第2半導体スイッチ部をオフとすると共に第3半導体スイッチ部をオンとし、次に機械式切替スイッチを第2の入力端子と第1半導体スイッチ部との間を接続している状態に切り替え、次に第1半導体スイッチ部をオンとしてもよい。
【0015】
スイッチ制御部は、第3半導体スイッチ部をオンとした後に、第2の入力端子と出力端子との間の電位差が基準以下となったことに応じて、機械式切替スイッチを第2の入力端子と第1半導体スイッチ部との間を接続している状態に切り替えてもよい。
【0016】
第1半導体スイッチ部は、複数の第1半導体スイッチを有してもよい。複数の第1半導体スイッチは、入力端子および出力端子の間に逆直列に接続され、それぞれが入力端子および出力端子の間に逆並列に接続された半導体スイッチ素子およびダイオードの組を有してもよい。スイッチ装置は、ダイオードブリッジを更に備えてもよい。ダイオードブリッジは、入力端子および出力端子の間に、第2半導体スイッチ部と並列に接続されてもよい。
【0017】
第1半導体スイッチ部は、複数の第1半導体スイッチを有してもよい。複数の第1半導体スイッチは、第1の入力端子および出力端子の間に逆直列に接続され、それぞれが第1の入力端子および出力端子の間に逆並列に接続された半導体スイッチ素子およびダイオードの組を有してもよい。スイッチ装置は、第1ダイオードブリッジと第2ダイオードブリッジとを更に備えてもよい。第1ダイオードブリッジは、第1の入力端子および出力端子の間に、第2半導体スイッチ部と並列に接続されてもよい。第2ダイオードブリッジは、第2の入力端子および出力端子の間に、第3半導体スイッチ部と並列に接続されてもよい。
【0018】
第1半導体スイッチ部はMOSFETを含み、第2半導体スイッチ部はIGBT、GTOサイリスタおよびWBG半導体の少なくとも何れかを含んでもよい。
【0019】
第1半導体スイッチ部はMOSFETを含み、第2半導体スイッチ部および第3半導体スイッチ部の少なくとも何れかはIGBT、GTOサイリスタおよびWBG半導体の少なくとも何れかを含んでもよい。
【0020】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態によるスイッチ装置10の模式的な回路図である。
図2】第1実施形態によるスイッチ部100の動作を示すタイミングチャートである。
図3】第2実施形態によるスイッチ部200の模式的な回路図である。
図4】第3実施形態によるスイッチ部300の模式的な回路図である。
図5】第3実施形態によるスイッチ部300の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0023】
図1は、第1実施形態によるスイッチ装置10の模式的な回路図である。図中、先端が黒塗りの矢印は制御信号の入出力方向を示し、先端が白抜きの矢印は電力の流れ方向を示す。以降の図においても、同様とする。
【0024】
スイッチ装置10は、第1端子21、第2端子22、制御端子25、スイッチ部100、電流検出部30および制御回路40を備える。第1端子21は入力端子の一例であって、第2端子22は出力端子の一例である。スイッチ装置10は、第1端子21と第2端子22との間を接続または切断することによって、第1端子21から第2端子22へと流れようとする直流電流を導通させたり遮断したりする。スイッチ装置10は、直流電流を扱う配電盤などに適用されてもよく、制御端子25を介して、外部の制御装置5により動作を制御される。スイッチ装置10には、商用の場合に、一例として400Vまたは800Vというような高い直流電圧が印加される。
【0025】
スイッチ部100は、機械式スイッチ部110と、第1半導体スイッチ部120と、第2半導体スイッチ部130とを有する。
【0026】
機械式スイッチ部110は、第1端子21と第2端子22との間に接続されている。機械式スイッチ部110は、一例として機械式リレーを含み、金属接点を有する。機械式スイッチ部110は、アーク除去の構造は有さなくてもよい。機械式スイッチ部110は、金属導体同士を接触または切り離すことから、第1半導体スイッチ部120および第2半導体スイッチ部130の両方に比べて導通抵抗が大幅に低く、大電流が導通する場合であっても電流導通損失は殆ど無い。そのため、機械式スイッチ部110は、電力損失によって発生する熱を冷却するための冷却フィンなどが不要である。以降の説明において、機械式スイッチ部110が開閉することを、機械式スイッチ部110がオンオフすると呼ぶ場合がある。
【0027】
第1半導体スイッチ部120は、第1端子21と第2端子22との間において、機械式スイッチ部110に直列に接続されている。機械式スイッチ部110および第2半導体スイッチ部130に比べて、スイッチング速度が速い。第1半導体スイッチ部120は、一例として、スイッチング速度が数10nsであって耐電圧が数十Vクラスの場合にオン抵抗が数ミリΩ程度と非常に低い、低耐圧MOSFETを含む。低耐圧MOSFETは、内蔵のボディダイオードまたは逆並列に接続されたダイオードを含む。第1半導体スイッチ部120の低耐圧MOSFETは、ドレインが機械式スイッチ部110に接続され、ソースが第2端子22に接続され、ゲートが制御回路40に接続される。
【0028】
第2半導体スイッチ部130は、第1端子21と第2端子22との間に、機械式スイッチ部110および第1半導体スイッチ部120と並列に接続されている。第2半導体スイッチ部130は、機械式スイッチ部110に比べて、高速で電流を遮断可能である。
【0029】
上述した第1半導体スイッチ部120の耐電圧は、第2半導体スイッチ部130の耐電圧よりも低く、第2半導体スイッチ部130のオン電圧よりも高い。ここで言う第2半導体スイッチ部130のオン電圧は、第2半導体スイッチ部130がオン状態で通電することによって、第2半導体スイッチ部130の主端子間に生じる電圧である。
【0030】
また、第2半導体スイッチ部130のオン電圧は、機械式スイッチ部110および第1半導体スイッチ部120のオン電圧の和に比べて高い。第2半導体スイッチ部130は、一例としてIGBTを含む。第2半導体スイッチ部130は、GTOサイリスタ、WBG半導体などを含んでもよい。第2半導体スイッチ部130のIGBTは、コレクタが第1端子21に接続され、エミッタが第2端子22に接続され、ゲートが制御回路40に接続される。
【0031】
電流検出部30は、第1端子21と第2端子22との間に設けられ、一例として、第1端子21側、すなわち直流電流の入力側に設けられ、第1端子21と第2端子22との間を流れる電流を検出し、電流値を示す信号を制御回路40に出力する。電流検出部30は、第1端子21と第2端子22との間において、スイッチ部100に直列に接続された電流計であってもよい。また、電流検出部30は、第1端子21と第2端子22との間を流れる電流を非接触で検出する、カレントトランス方式電流センサであってもよい。
【0032】
制御回路40は、保護回路41と、パルス分配回路42と、駆動回路43とを有する。制御回路40は、制御装置5から送られる制御信号に基づいて、スイッチ部100における第1半導体スイッチ部120および第2半導体スイッチ部130のそれぞれのオンオフのタイミングと、機械式スイッチ部110を開閉するタイミングとを個別に制御する。制御回路40は、スイッチ制御部の一例である。制御回路40は、マイクロコントローラ等のCPUを含む制御コンピュータであって、スイッチングプログラムを実行することにより以下に示す各部として機能してもよい。これに代えて、制御回路40は、専用回路またはプログラマブル回路によって実現されてもよい。
【0033】
機械式スイッチ部110に関して、制御回路40は、スイッチ部100において直流電流を導通させる場合、すなわち通常の場合は、機械式スイッチ部110を閉じて直流電流を導通させるように制御する。また、制御回路40は、スイッチ部100において直流電流を遮断する場合は、機械式スイッチ部110を導通していた直流電流が第2半導体スイッチ部130に転流した後に、機械式スイッチ部110を開くように制御する。制御回路40が機械式スイッチ部110をこのように制御することによって、機械式スイッチ部110ではアークが発生しない。但し、機械式スイッチ部110が閉じた状態で、第1半導体スイッチ部120および第2半導体スイッチ部130がオン状態である間は第1端子21および第2端子22の間の電圧が数Vから数十V程度なので、制御回路40は、上記の制御に代えて、上記の転流を行わずに機械式スイッチ部110を開くことによって、機械式スイッチ部110で電流を遮断してもよい。この場合、スイッチ部100は追加的に、機械式スイッチ部110で発生するアークから機械式スイッチ部110を保護するための構成を有してもよい。
【0034】
第1半導体スイッチ部120に関して、制御回路40は、通常の場合は第1半導体スイッチ部120をオン状態として直流電流を導通させるように制御する。また、制御回路40は、スイッチ部100において直流電流を遮断する場合は、第1半導体スイッチ部120を機械式スイッチ部110および第2半導体スイッチ部130よりも先にオフとし、これにより、第1半導体スイッチ部120側に流れていた直流電流を第2半導体スイッチ部130側に転流させるように制御する。
【0035】
第2半導体スイッチ部130に関して、制御回路40は、通常の場合は第2半導体スイッチ部130をオン状態としておくように制御する。但し、第2半導体スイッチ部130のオン電圧は機械式スイッチ部110および第1半導体スイッチ部120のオン電圧の和に比べて高いので、第2半導体スイッチ部130に直流電流は殆ど流れない。また、制御回路40は、スイッチ部100において直流電流を遮断する場合は、第1半導体スイッチ部120側に流れていた直流電流が第2半導体スイッチ部130側に転流して第2半導体スイッチ部130を流れた後に、第2半導体スイッチ部130をオフとするように制御する。なお、制御回路40は、通常の場合において、第1半導体スイッチ部120側に直流電流が流れている間は第2半導体スイッチ部130をオフ状態にしておき、スイッチ部100において直流電流を遮断する場合には、第2半導体スイッチ部130をオンとした後に第1半導体スイッチ部120がオフとして、上記と同様に直流電流の転流および遮断を行うように制御してもよい。
【0036】
保護回路41は、制御端子25を介して、外部の制御装置5から、スイッチ部100において通常の直流電流を導通させるための制御信号が与えられ、当該制御信号をパルス分配回路42に出力する。保護回路41は、電流検出部30から随時に信号を入力され、電流検出部30からの信号に応じて過電流を検出する。保護回路41は、一例として、電流検出部30からの信号に示される電流値が予め定められた過電流用の設定値lim以上であるか否かを判断することによって、過電流を検出する。保護回路41は、過電流を検出した場合にはパルス分配回路42にオフ指令を出力する。なお、スイッチ装置10が電流検出部30を備えない場合には、保護回路41は、スイッチ装置10の第1端子21側、すなわち直流電流の入力側の電流値を検出してもよく、この場合に保護回路41は、当該電流値を検出すべく、一例として磁気センサを含んでもよい。なお、保護回路41は、上記のオフ信号を出力することに代えて、パルス分配回路42に対する、上記の制御信号の供給を停止してもよい。
【0037】
パルス分配回路42は、保護回路41を介して入力される、外部の制御装置5からの制御信号に基づき、機械式スイッチ部110を開閉し、第1半導体スイッチ部120および第2半導体スイッチ部130をそれぞれオンオフするために予め定められたパルス信号を駆動回路43に出力する。パルス分配回路42は、保護回路41からオフ指令が入力された場合は、外部の制御装置5からの制御信号に関わらず、機械式スイッチ部110を閉じ、第1半導体スイッチ部120および第2半導体スイッチ部130をそれぞれオフするために予め定められたパルス信号を駆動回路43に出力する。パルス分配回路42は、保護回路41を介して入力される、外部の制御装置5からの制御信号に、予め定められた遅延時間や時間差を与えたパルス信号を駆動回路43に出力する。これにより、機械式スイッチ部110の開閉動作と、第1半導体スイッチ部120および第2半導体スイッチ部130のそれぞれのオンオフ動作とのタイミングが相互にシフトされる。
【0038】
駆動回路43は、パルス分配回路42から入力されるパルス信号に基づき、すなわち上記の制御信号に与えられた遅延時間等に応じたタイミングで、機械式スイッチ部110を開閉する信号と、第1半導体スイッチ部120および第2半導体スイッチ部130をそれぞれオンオフするためのゲート電圧とを出力する。
【0039】
図2は、第1実施形態によるスイッチ部100の動作を示すタイミングチャートである。図2は、横方向に時間の経過をとり、縦方向には上から順に、全電流、第2半導体スイッチ部130側の電流、第1半導体スイッチ部120側の電流、第2半導体スイッチ部130のオンオフ状態、機械式スイッチ部110のオンオフ状態および第1半導体スイッチ部120のオンオフ状態の時間の遷移を示す。また、図2は、時間の経過を主な3つの期間に分けた、期間(I)、(II)および(III)を左から順に示す。
【0040】
期間(I)は、スイッチ部100において直流電流を遮断している状態から導通させる状態へと移行する期間である。期間(II)は、スイッチ部100において直流電流を定常的に導通させている期間である。期間(III)は、スイッチ部100において直流電流を導通させている状態から遮断する状態へと移行する期間である。なお、図2では、単に説明を明確にする目的で、期間(II)が短く示されている。また、図2に示されている時系列においては、期間(I)より前および期間(III)より後は、スイッチ部100において直流電流を遮断している期間であり、図示していない期間において任意に期間(I)、(II)および(III)を含んでもよい。
【0041】
期間(I)の最初のタイミングt1では、何れもオフ状態である機械式スイッチ部110、第1半導体スイッチ部120および第2半導体スイッチ部130に対して、制御回路40から第2半導体スイッチ部130のIGBTのゲート電圧を制御し、第2半導体スイッチ部130のみをオンとする。IGBTは、比較的に高速でスイッチング動作可能な半導体スイッチング素子なので、速やかにオン状態になることができ、スイッチ装置10全体でのオン動作を高速化することが可能である。第2半導体スイッチ部130のみがオン状態になると、第2半導体スイッチ部130側のみに直流電流が流れ始める。
【0042】
期間(I)の次のタイミングt2は、タイミングt1に対して時間差Δt1を有する。時間差Δt1は、第2半導体スイッチ部130のIGBTがターンオンに要する時間、すなわち、ターンオン動作が完了して定常状態の直流電流がIGBTに通電するまでの時間が確保されていればよい。時間差Δt1は、一例として、1μ秒から2μ秒程度である。タイミングt2では、制御回路40から機械式スイッチ部110をオンとする。このとき、機械式スイッチ部110と直列に接続されている第1半導体スイッチ部120は未だオフ状態であるので、機械式スイッチ部110をオンとしても、依然として第1半導体スイッチ部120側には直流電流が流れず、第2半導体スイッチ部130側のみに直流電流が流れる。そのため、機械式スイッチ部110においては、アークが発生しない。また、時間差Δt1を設けることによって、機械式スイッチ部110をオンとしても、第1半導体スイッチ部120に印加される直流電圧は第2半導体スイッチ部130のIGBTのオン電圧である数十V程度なので、第1半導体スイッチ部120に低耐圧MOSFETを用いることができる。
【0043】
期間(II)の最初のタイミングt3は、タイミングt1に対して遅延時間tdonを有する。タイミングt3では、制御回路40から第1半導体スイッチ部120の低耐圧MOSFETのゲート電圧を制御し、第1半導体スイッチ部120をオンとする。機械式スイッチ部110および第1半導体スイッチ部120のオン電圧の和は、第2半導体スイッチ部130のオン電圧に比べて低いので、タイミングt3で、第2半導体スイッチ部130側に流れていた直流電流が第1半導体スイッチ部120側に転流し、第2半導体スイッチ部130側に直流電流は殆ど流れなくなる。遅延時間tdonと時間差Δt1との差分は、機械式スイッチ部110が閉じるのに要する時間が確保されていればよい。機械式スイッチ部110が閉じる前に第1半導体スイッチ部120がオンとされると機械式スイッチ部110が閉じるときにアークが発生してしまうが、上記の制御によって機械式スイッチ部110にアークが発生することを確実に回避できる。
【0044】
期間(II)において、第1半導体スイッチ部120側に流れる直流電流と第2半導体スイッチ部130側に流れる直流電流との比は、機械式スイッチ部110および第1半導体スイッチ部120のオン電圧の和と第2半導体スイッチ部130のオン電圧との比に対応する。よって、例えば半導体スイッチ素子の並列数を変更することにより、上記の直流電流の比を調整してもよい。例えば、第1半導体スイッチ部120において複数の低耐圧MOSFETを並列接続することにより第1半導体スイッチ部120のオン抵抗を小さくし、これによって第2半導体スイッチ部130側に流れる直流電流を少なくしてもよい。また、第2半導体スイッチ部130において、スイッチング速度とオン抵抗とのトレードオフの関係を利用して、スイッチング速度を優先した半導体スイッチ素子を選択し、意図的にオン抵抗を高くし、これによって第2半導体スイッチ部130側に流れる直流電流を少なくしてもよい。
【0045】
期間(III)の最初のタイミングt4では、何れもオン状態である機械式スイッチ部110、第1半導体スイッチ部120および第2半導体スイッチ部130に対して、制御回路40から第1半導体スイッチ部120の低耐圧MOSFETのゲート電圧を制御して、第1半導体スイッチ部120のみをオフとする。低耐圧MOSFETは、スイッチング速度が数10nsなので、速やかにオフ状態になることができる。第1半導体スイッチ部120がオフ状態になることで、第1半導体スイッチ部120側は完全に遮断され、第1半導体スイッチ部120側に流れていた直流電流は第2半導体スイッチ部130側に転流する。機械式スイッチ部110および第2半導体スイッチ部130をオン状態のままにして第1半導体スイッチ部120をオフとすることによって、第1半導体スイッチ部120に印加される直流電圧は第2半導体スイッチ部130のIGBTのオン電圧である数十V程度なので、やはり第1半導体スイッチ部120に低耐圧MOSFETを用いることができる。
【0046】
期間(III)の次のタイミングt5は、タイミングt4に対して時間差Δt2を有する。時間差Δt2は、第1半導体スイッチ部120の低耐圧MOSFETがターンオフに要する時間、すなわち、ターンオフ動作が完了して第1半導体スイッチ部120側に流れていた直流電流が第2半導体スイッチ部130側に転流するまでの時間が確保されていればよい。時間差Δt2は、一例として、1μ秒から2μ秒程度である。タイミングt5では、制御回路40から機械式スイッチ部110をオフとする。このとき、第1半導体スイッチ部120側にはもはや直流電流が流れていないので、やはり機械式スイッチ部110においてはアークが発生しない。
【0047】
期間(III)の次のタイミングt6は、タイミングt4に対して遅延時間tdoffを有する。タイミングt6では、制御回路40から第2半導体スイッチ部130のIGBTのゲート電圧を制御して、第2半導体スイッチ部130をオフとし、これによって、スイッチ部100を流れる直流電流を完全に遮断する。IGBTは、比較的に高速でスイッチング動作可能な半導体スイッチング素子なので、速やかにオフ状態になることができ、過電流時にスイッチ装置10全体でのオフ動作を高速化することが可能である。
【0048】
遅延時間tdoffと時間差Δt2との差分は、機械式スイッチ部110が開くのに要する時間が確保されていればよい。機械式スイッチ部110が開く前に第2半導体スイッチ部130がオフとされると、第1端子21を介して第1半導体スイッチ部120の低耐圧MOSFETに系統の高電圧が印加されて過電圧破壊が生じてしまうが、上記の制御によって低耐圧MOSFETに過電圧破壊が生じることを確実に回避できる。
【0049】
以上の第1実施形態におけるスイッチ装置10によれば、第1半導体スイッチ部120、機械式スイッチ部110および第2半導体スイッチ部130がオフの状態で、第1端子21と第2端子22との間を切断状態から接続状態に切替える場合に、第2半導体スイッチ部130、機械式スイッチ部110、第1半導体スイッチ部120の順にオンとする。また、当該スイッチ装置10によれば、第1半導体スイッチ部120、機械式スイッチ部110および第2半導体スイッチ部130がオンの状態で、第1端子21と第2端子22との間を接続状態から切断状態に切替える場合に、第1半導体スイッチ部120、機械式スイッチ部110、第2半導体スイッチ部130の順にオフとする。
【0050】
これにより、当該スイッチ装置10は、第1半導体スイッチ部120にスイッチング速度が速くオン抵抗が極めて小さい低耐圧MOSFETを用いることができ、通常では、直流電流が機械式スイッチ部110および第1半導体スイッチ部120の側に流れるので、電流導通損失を抑えることが可能である。また、機械式スイッチ部110には、アーク除去の構造が不要になるので、小型化および低コスト化が可能になる。また、機械式スイッチ部110では、アークによる金属接点での消耗がないので、長寿命化が可能になる。また、機械式スイッチ部110にアークが発生しないように構成することで、例えば機械式リレーにおいて水素ガスによる冷却効果と磁場によるアーク引き延ばし効果とを利用して直流電流を遮断する場合に比べて、遮断時間を短縮できる。これにより、スイッチ装置10において大電流を遮断する場合に、第1半導体スイッチ部120をオフとしてから機械式スイッチ部110をオフとした後に第2半導体スイッチ部130をオフとするまでの期間が短縮され、第2半導体スイッチ部130での電流上昇が抑えられる。従って、スイッチ装置10は、第2半導体スイッチ部130の電流容量を小さくすることが可能になり、小型化および低コスト化が可能になる。
【0051】
以上の第1実施形態において、スイッチ装置10は、外部の制御装置5によって動作を制御される構成として説明した。これに代えて、スイッチ装置10は、内部に制御装置5を備えるようにパッケージ化されてもよい。以降の実施形態においても同様である。
【0052】
以上の第1実施形態において、スイッチ装置10の第1半導体スイッチ部120および第2半導体スイッチ部130はそれぞれ、単一の半導体スイッチ素子を含むものとして説明した。これに代えて、第1半導体スイッチ部120は、第1端子21と第2端子22との間に並列に接続された複数の第1半導体スイッチを含んでもよい。これにより、第1半導体スイッチ部120として、定格電流が小さな第1半導体スイッチを用いることができ、小型化および低コスト化が可能になり、また冗長性が向上する。また、第2半導体スイッチ部130は、第1端子21と第2端子22との間に直列に接続された複数の第2半導体スイッチを含んでもよい。これにより、第2半導体スイッチ部130として、耐電圧が小さな第2半導体スイッチを用いることができ、小型化および低コスト化が可能になる。また、この場合において、複数の第1半導体スイッチのそれぞれの耐電圧は、複数の第2半導体スイッチのそれぞれの耐電圧よりも低く、複数の第2半導体スイッチのオン電圧の和よりも高くてもよい。また、これらの対比される電圧間にはマージンが設けられてもよい。これにより、第1実施形態におけるスイッチ装置10と同様にオンオフ動作を制御することができる。以降の実施形態においても同様である。
【0053】
以上の第1実施形態において、スイッチ装置10は、第1端子21および第2端子22の間を切断状態から接続状態に切替える場合に、第2半導体スイッチ部130をオンとした後、時間差Δt1だけタイミングをシフトさせて、制御回路40から機械式スイッチ部110をオンとするものとして説明した。これに代えて又はこれに加えて、スイッチ装置10は、第2半導体スイッチ部130の入力側である第1端子21と出力側である第2端子22との間の電位差を検出する電圧計を備え、第1端子21と第2端子22との間を切断状態から接続状態に切替える場合に、第2半導体スイッチ部130をオンとした後に、電圧計によって検出される第1端子21と第2端子22との間の電位差が基準以下となったことに応じて、機械式スイッチ部110をオンとしてもよい。これにより、例えば基準を第2半導体スイッチ部130のIGBTのオン電圧とすることで、機械式スイッチ部110をオンとしたときに、第1半導体スイッチ部120に印加される直流電圧が当該オン電圧以下になることを確実にすることができ、第1半導体スイッチ部120において過電圧破壊が生じることを確実に防止できる。以降の実施形態においても同様である。
【0054】
以上の第1実施形態において、スイッチ装置10は、第1端子21および第2端子22の間を接続状態から切断状態に切替える場合に、第1半導体スイッチ部120をオフとした後、時間差Δt2だけタイミングをシフトさせて、制御回路40から機械式スイッチ部110をオフとするものとして説明した。これに代えて又はこれに加えて、スイッチ装置10は、第1半導体スイッチ部120に流れる電流を検出する電流計を備え、第1端子21と第2端子22との間を接続状態から切断状態に切替える場合に、第1半導体スイッチ部120をオフとした後に、電流計によって検出される第1半導体スイッチ部120の電流が予め定められた値以下となったことに応じて、機械式スイッチ部110をオフとしてもよい。
【0055】
図3は、第2実施形態によるスイッチ部200の模式的な回路図である。本実施形態によるスイッチ装置10は、交流電流を扱う配電盤などに適用されてもよく、例えば、商用の場合には100Vまたは200Vの交流電圧が加わり、高圧線に接続される場合には3.3kVまたは6.6kVの交流電圧が加わる。本実施形態によるスイッチ装置10は、第1端子21および第2端子22の間を接続または切断することによって、第1端子21から第2端子22へと流れようとする交流電流を導通または遮断する。
【0056】
本実施形態によるスイッチ装置10が第1実施形態によるスイッチ装置10と異なる点は、スイッチ部100に代えてスイッチ部200を備える点であり、その他は同じ構成要素を備える。本実施形態において、第1実施形態によるスイッチ装置10と同じ構成要素については、同様の参照番号を付し、重複する説明を省略する。以降の実施形態においても、同様とする。
【0057】
スイッチ部200は、機械式スイッチ部110と、第1半導体スイッチ部220と、ダイオードブリッジ240と、第2半導体スイッチ部230とを有する。
【0058】
第1半導体スイッチ部220は、第1端子21と第2端子22との間において、機械式スイッチ部110に直列に接続されている。第1半導体スイッチ部220は、第1端子21と第2端子22との間に逆直列に接続された第1半導体スイッチ221および第1半導体スイッチ222を含む。第1半導体スイッチ221および第1半導体スイッチ222はそれぞれ、第1端子21と第2端子22との間に逆並列に接続された半導体スイッチ素子およびダイオードの組を有する。この半導体スイッチ素子およびダイオードの組は、一例として、第1実施形態の第1半導体スイッチ部120と同様に、低耐圧MOSFETと、低耐圧MOSFETに内蔵されたボディダイオードまたは低耐圧MOSFETに逆並列に接続されたダイオードとの組を含む。第1半導体スイッチ221の低耐圧MOSFETは、ドレインが機械式スイッチ部110に接続され、ソースが、第1半導体スイッチ222の低耐圧MOSFETのソースに接続され、第1半導体スイッチ222の低耐圧MOSFETのドレインは第2端子22に接続される。また、第1半導体スイッチ221および第1半導体スイッチ222の何れのゲートも制御回路40に接続される。
【0059】
ダイオードブリッジ240は、第1端子21と第2端子22との間に、機械式スイッチ部110および第1半導体スイッチ部220と並列に接続されている。ダイオードブリッジ240は、ダイオード241、ダイオード242、ダイオード243およびダイオード244を含み、これら4つのダイオード241等を用いて全波整流を行うことで交流電流を一方向のみに流す整流回路を形成する。
【0060】
第2半導体スイッチ部230は、第1端子21と第2端子22との間において、ダイオードブリッジ240の整流側に、ダイオードブリッジ240と並列に接続されている。第2半導体スイッチ部230は、第1端子21および第2端子22の間に並列に接続された第2半導体スイッチ231およびキャパシタ232を含む。キャパシタ232は、ソフトスイッチング用コンデンサであって、いわゆるスナバ回路を形成する。第2半導体スイッチ231は、第1端子21および第2端子22の間に逆並列に接続された半導体スイッチ素子およびダイオードの組を有する。この半導体スイッチ素子およびダイオードの組は、一例として、IGBTと、IGBTに逆並列に接続されたダイオードとの組を含む。第2半導体スイッチ部230のIGBTは、コレクタが第2端子22に接続され、エミッタが第1端子21に接続され、ゲートが制御回路40に接続される。
【0061】
IGBTは、ダイオードブリッジ240を介して接続されるので、正負の電流の何れにも適用可能であり、すなわち1つのIGBTのみで交流電流をスイッチングすることが可能である。これにより、比較的高価なIGBTの数が増えることを回避でき、小型化および低コスト化することができる。また、スイッチ装置10が遮断器等であって比較的に大電流が通電される場合、スイッチ部200を、ダイオードブリッジ240を介さずに構成すると、IGBTが2つ必要となる。これにより、大電流に合った飽和特性を持つIGBTが2つ必要となるため、コストが増大してしまう。これに対して、本実施形態によれば、図3に示すように、スイッチ部200を、ダイオードブリッジ240を介する構成とすることで、大幅なコストダウンが可能となる。
【0062】
第1半導体スイッチ部220に関して、制御回路40は、第1半導体スイッチ221および第1半導体スイッチ222に共通の制御信号を出力する、すなわち、第1半導体スイッチ221および第1半導体スイッチ222のオンオフ動作を連動させるように制御する。より具体的には、制御回路40は、通常の場合は第1半導体スイッチ221および第1半導体スイッチ222の何れもオン状態としておくように制御し、これにより、交流電流がドレインからソースの方向に流れるときだけでなくソースからドレインの方向に流れるときにも、いわゆる同期整流により、それぞれの低耐圧MOSFET側を電流が流れる。そのため、第1半導体スイッチ部220における電流導通損失は依然として小さい。制御回路40は、スイッチ部200において交流電流を遮断する場合は、第1半導体スイッチ221および第1半導体スイッチ222を共に機械式スイッチ部110および第2半導体スイッチ部230よりも先にオフとするように制御し、これにより、第1半導体スイッチ部220側に流れていた交流電流が第2半導体スイッチ部230側に転流する。
【0063】
第2半導体スイッチ部230に関して、制御回路40は、通常の場合は第2半導体スイッチ部230をオン状態としておくように制御する。但し、第2半導体スイッチ部230のオン電圧は機械式スイッチ部110および第1半導体スイッチ部220のオン電圧の和に比べて高いので、第2半導体スイッチ部230に交流電流は殆ど流れない。また、制御回路40は、スイッチ部200において交流電流を遮断する場合は、第1半導体スイッチ部220側に流れていた交流電流が第2半導体スイッチ部230側に転流して第2半導体スイッチ部230を流れた後に、第2半導体スイッチ部230をオフとするように制御する。なお、制御回路40は、通常の場合において、第1半導体スイッチ部220側に交流電流が流れている間は第2半導体スイッチ部230をオフ状態にしておき、スイッチ部200において交流電流を遮断する場合には、第2半導体スイッチ部230をオンとした後に第1半導体スイッチ部220がオフとして、上記と同様に直流電流の転流および遮断を行うように制御してもよい。
【0064】
以上の第2実施形態におけるスイッチ装置10によれば、第1実施形態におけるスイッチ装置10と同様に、第1半導体スイッチ部220、機械式スイッチ部110および第2半導体スイッチ部230がオフの状態で、第1端子21と第2端子22との間を切断状態から接続状態に切替える場合に、第2半導体スイッチ部230、機械式スイッチ部110、第1半導体スイッチ部220の順にオンとする。また、当該スイッチ装置10によれば、第1半導体スイッチ部220、機械式スイッチ部110および第2半導体スイッチ部230がオンの状態で、第1端子21と第2端子22との間を接続状態から切断状態に切替える場合に、第1半導体スイッチ部220、機械式スイッチ部110、第2半導体スイッチ部230の順にオフとする。これにより、当該スイッチ装置10は、第1実施形態におけるスイッチ装置10と同様の効果を奏する。また、当該スイッチ装置10は、第2半導体スイッチ部230に並列に接続されたダイオードブリッジ240を備えるので、交流用双方向スイッチとしての機能を実現する一方で、比較的高価なIGBTの数が増えることを回避でき、小型化および低コスト化することができる。
【0065】
以上の第2実施形態において、スイッチ装置10の第1半導体スイッチ部220は逆直列に接続された2つの第1半導体スイッチ221および第1半導体スイッチ222を含み、第2半導体スイッチ部230は単一の半導体スイッチ素子を含むものとして説明した。これに代えて、第1半導体スイッチ部220は、第1端子21と第2端子22との間に並列に接続された複数の第1半導体スイッチを含んでもよい。また、第2半導体スイッチ部230は、第1端子21と第2端子22との間に直列に接続された複数の第2半導体スイッチを含んでもよい。また、この場合において、複数の第1半導体スイッチのそれぞれの耐電圧は、複数の第2半導体スイッチのそれぞれの耐電圧よりも低く、複数の第2半導体スイッチのそれぞれのオン電圧の和よりも高くてもよい。また、これらの対比される電圧間にはマージンが設けられてもよい。これにより、当該スイッチ装置10は、第1実施形態におけるスイッチ装置10と同様の効果を奏する。
【0066】
図4は、第3実施形態によるスイッチ部300の模式的な回路図である。本実施形態におけるスイッチ装置10は、第2実施形態と同様に、交流電流を扱う配電盤などに適用されてもよく、主電力および予備電力の間の切り替え等に用いられてもよい。本実施形態によるスイッチ装置10が第2実施形態によるスイッチ装置10と異なる点は、第1端子21および第2端子22に追加して第3端子23を備える点、および、スイッチ部200に代えてスイッチ部300を備える点であり、その他は同じ構成要素を備える。なお、第3端子23は、第2の入力端子の一例である。
【0067】
本実施形態によるスイッチ装置10は、第1端子21と第2端子22との間、並びに、第3端子23と第2端子22との間を接続または切断することによって、第1端子21と第2端子22との間を接続状態から切断状態に切り替え、且つ、第3端子23と第2端子22との間を切断状態から接続状態に切り替え、またはその逆に、第3端子23と第2端子22との間を接続状態から切断状態に切り替え、且つ、第1端子21と第2端子22との間を切断状態から接続状態に切り替える。これにより、当該スイッチ装置10は、第1端子21から第2端子22へと流れようとする交流電流と、第3端子23から第2端子22へと流れようとする交流電流とをスイッチングする。
【0068】
スイッチ部300は、機械式スイッチ部310と、第1半導体スイッチ部220と、第2半導体スイッチ部230と、ダイオードブリッジ240と、ダイオードブリッジ340と、第3半導体スイッチ部330とを有する。機械式スイッチ部310の配置と、第1半導体スイッチ部220、第2半導体スイッチ部230およびダイオードブリッジ240の配置および構成とは、第2実施形態における対応する各構成要素と同じである。
【0069】
機械式スイッチ部310は、第1端子21および第3端子23と第2端子22との間に接続されている。機械式スイッチ部310は、第1実施形態等における機械式スイッチ部110と異なる点として、例えば双頭式の機械スイッチのように、第1端子21と第1半導体スイッチ部220との間を接続している状態と第3端子23と第1半導体スイッチ部220との間を接続している状態とを切り替える。
【0070】
第1半導体スイッチ部220は、第1端子21および第3端子23と第2端子22との間において、機械式スイッチ部310に直列に接続されている。また、第2半導体スイッチ部230は、第1端子21と第2端子22との間に、機械式スイッチ部310および第1半導体スイッチ部220と並列に接続されている。
【0071】
ダイオードブリッジ340は、ダイオードブリッジ240と同じ構成であってもよく、第3端子23と第2端子22との間に、機械式スイッチ部310および第1半導体スイッチ部220と並列に接続される。ダイオードブリッジ340は、ダイオード341、ダイオード342、ダイオード343およびダイオード344を含み、これら4つのダイオード341等を用いて全波整流を行うことで交流電流を一方向のみに流す整流回路を形成する。
【0072】
第3半導体スイッチ部330は、第2半導体スイッチ部230と同じ構成であってもよく、第3端子23と第2端子22との間において、機械式スイッチ部310および第1半導体スイッチ部220と並列に接続され、ダイオードブリッジ340の整流側に、ダイオードブリッジ340と並列に接続されている。第3半導体スイッチ部330は、第3端子23および第2端子22の間に並列に接続された第3半導体スイッチ331およびキャパシタ332を含む。第3半導体スイッチ331は、第3端子23および第2端子22の間に逆並列に接続された半導体スイッチ素子およびダイオードの組を有する。この半導体スイッチ素子およびダイオードの組は、一例として、IGBTと、IGBTに逆並列に接続されたダイオードとの組を含む。第3半導体スイッチ部330のIGBTは、コレクタが第2端子22に接続され、エミッタが第3端子23に接続され、ゲートが制御回路40に接続される。第3半導体スイッチ部330は、GTOサイリスタ、WBG半導体などを含んでもよい。
【0073】
機械式スイッチ部310に関して、制御回路40は、第1端子21および第2端子22の間を接続状態として第3端子23および第2端子22の間を切断状態とする場合は、機械式スイッチ部310を、第1端子21および第1半導体スイッチ部220の間を接続している状態とするように制御し、これにより、第1端子21および第2端子22の間に交流電流が流れる。制御回路40は、第1端子21および第2端子22の間を切断状態として第3端子23および第2端子22の間を接続状態とする場合は、機械式スイッチ部310を、第3端子23および第1半導体スイッチ部220の間を接続している状態とするように制御し、これにより、第3端子23および第2端子22の間に交流電流が流れる。機械式スイッチ部310は、これら2つの状態が切り替わるときに、制御回路40による制御によって、交流電流が第1半導体スイッチ部220側から第2半導体スイッチ部230側および第3半導体スイッチ部330側の何れかに転流された後に、スイッチングされる。このように制御される場合、機械式スイッチ部310ではアークが発生しない。但し、第2半導体スイッチ部230および第3半導体スイッチ部330の何れかがオン状態である間は、対応する第1端子21または第3端子23と第2端子22との間の電圧は数十V程度なので、上記の制御に代えて、上記の転流の前に機械式スイッチ部310をスイッチングすることによって、機械式スイッチ部310で電流を遮断してもよい。この場合、スイッチ部300は追加的に、機械式スイッチ部310で発生するアークから機械式スイッチ部310を保護するための構成を有してもよい。
【0074】
図5は、第3実施形態によるスイッチ部300の動作を示すタイミングチャートである。図5は、横方向に時間の経過をとり、縦方向には上から順に、第2半導体スイッチ部230側の電流、第3半導体スイッチ部330側の電流、第1半導体スイッチ部220側の電流、第2半導体スイッチ部230のオンオフ状態、第3半導体スイッチ部330のオンオフ状態、機械式スイッチ部310のスイッチング状態および第1半導体スイッチ部220のオンオフ状態の時間の遷移を示す。また、図5は、時間の経過を主な3つの期間に分けた、期間(I)、(II)および(III)が左から順に示す。
【0075】
期間(I)は、スイッチ部300において機械式スイッチ部310が第1端子21および第1半導体スイッチ部220の間を接続している状態から第3端子23および第1半導体スイッチ部220の間を接続している状態へとスイッチすることにより、第1端子21と第2端子22との間を接続状態から切断状態に切り替え、且つ、第3端子23と第2端子22との間を切断状態から接続状態に切り替える期間である。期間(II)は、スイッチ部300において第3端子23および第2端子22の間に交流電流を定常的に導通させている期間である。期間(III)は、スイッチ部300において機械式スイッチ部310が第3端子23および第1半導体スイッチ部220の間を接続している状態から第1端子21および第1半導体スイッチ部220の間を接続している状態へとスイッチすることにより、第1端子21および第2端子22の間を切断状態から接続状態に切り替え、且つ、第3端子23および第2端子22の間を接続状態から切断状態に切り替える期間である。
【0076】
なお、図5に示されている時系列においては、期間(I)より前および期間(III)より後は、スイッチ部300において第1端子21および第2端子22の間に交流電流を定常的に導通させている期間であり、図示していない期間において任意に期間(I)、(II)および(III)を含んでもよい。
【0077】
期間(I)に入る前段階では、第1半導体スイッチ部220および第2半導体スイッチ部230がオンの状態、且つ、機械式スイッチ部310が第1端子21と第1半導体スイッチ部220との間を接続している状態である。期間(I)の最初のタイミングt1では、制御回路40から第1半導体スイッチ部220の低耐圧MOSFETのゲート電圧を制御して、第1半導体スイッチ部220をオフとする。低耐圧MOSFETは、スイッチング速度が数10nsなので、速やかにオフ状態になることができる。第1半導体スイッチ部220がオフ状態になることで、第1半導体スイッチ部220側は完全に遮断され、第1半導体スイッチ部220側に流れていた交流電流は第2半導体スイッチ部230側に転流する。機械式スイッチ部310および第2半導体スイッチ部230をオン状態のままにして第1半導体スイッチ部220をオフとすることによって、第1半導体スイッチ部220に印加される交流電圧は第2半導体スイッチ部230のIGBTのオン電圧である数Vから数十V程度なので、やはり第1半導体スイッチ部220に低耐圧MOSFETを用いることができる。
【0078】
期間(I)の次のタイミングt2は、タイミングt1に対して時間差Δt1を有する。時間差Δt1は、第1半導体スイッチ部220の低耐圧MOSFETがターンオフに要する時間、すなわち、ターンオフ動作が完了して第1半導体スイッチ部220側に流れていた交流電流が第2半導体スイッチ部230側に転流するまでの時間が確保されていればよい。時間差Δt1は、一例として、1μ秒から2μ秒程度である。タイミングt2では、制御回路40から機械式スイッチ部310をスイッチングすることにより、機械式スイッチ部310を第3端子23と第1半導体スイッチ部220との間を接続している状態に切り替える。このとき、第1半導体スイッチ部220側にはもはや交流電流が流れていないので、やはり機械式スイッチ部310においてはアークが発生しない。
【0079】
期間(I)の次のタイミングt3では、制御回路40から第2半導体スイッチ部230のIGBTおよび第3半導体スイッチ部330のIGBTのそれぞれのゲート電圧を制御することにより、第2半導体スイッチ部230をオフとすると共に第3半導体スイッチ部330をオンとし、これによって、第1端子21および第2端子22の間を流れる交流電流を完全に遮断すると共に、第3端子23および第2端子22の間に交流電流を導通させる。第2半導体スイッチ部230および第3半導体スイッチ部330のそれぞれのIGBTは、比較的に高速でスイッチング動作可能な半導体スイッチング素子なので、速やかにオン状態またはオフ状態になることができ、一方の系統での過電流時にスイッチ装置10全体でのオフ動作と他方の系統のオン動作とを高速化することが可能である。すなわち、異常発生した系統から他方の正常な系統へ高速に切り替えることが可能である。また、第1端子21を介する系統に事故点があった場合に第2半導体スイッチ部230および第3半導体スイッチ部330の両方がオン状態である時間帯が存在すると、第2半導体スイッチ部230および第3半導体スイッチ部330を介して第1端子21から事故電流が流れてしまうが、スイッチ装置10は上記の制御によって、このように事故電流が横流れすることを防ぐことができる。
【0080】
期間(II)の最初のタイミングt4は、期間(I)のタイミングt3に対して遅延時間tdonを有する。遅延時間tdonは、第3半導体スイッチ部330のIGBTがターンオンに要する時間、すなわち、ターンオン動作が完了して定常状態の直流電流が第3半導体スイッチ部330のIGBTに通電するまでの時間が確保されていればよい。遅延時間tdonは、一例として、1μ秒から2μ秒程度である。タイミングt4では、制御回路40から第1半導体スイッチ部220の低耐圧MOSFETのゲート電圧を制御し、第1半導体スイッチ部220をオンとする。機械式スイッチ部310および第1半導体スイッチ部220のオン電圧の和は、第3半導体スイッチ部330のオン電圧に比べて低いので、タイミングt4で、第3半導体スイッチ部330側に流れていた交流電流が第1半導体スイッチ部220側に転流し、第3半導体スイッチ部330側に交流電流は殆ど流れなくなる。なお、少なくともタイミングt2からタイミングt3までの間は、第3端子23を介して系統の高電圧が第1半導体スイッチ部220の第1半導体スイッチ221に印加されるので、第1半導体スイッチ221は高耐圧で高速スイッチングが可能な半導体スイッチ素子とすることが好ましい。
【0081】
スイッチ装置10は、期間(III)において、期間(I)で行う上記の制御と反対の制御を行う。期間(III)に入る前段階では、第1半導体スイッチ部220および第3半導体スイッチ部330がオンの状態、且つ、機械式スイッチ部310が第3端子23および第1半導体スイッチ部220の間を接続している状態である。期間(III)の最初のタイミングt5では、制御回路40から第1半導体スイッチ部220の低耐圧MOSFETのゲート電圧を制御して、第1半導体スイッチ部220をオフとする。第1半導体スイッチ部220がオフ状態になることで、第1半導体スイッチ部220側は完全に遮断され、第1半導体スイッチ部220側に流れていた交流電流は第3半導体スイッチ部330側に転流する。機械式スイッチ部310および第3半導体スイッチ部330をオン状態のままにして第1半導体スイッチ部220をオフとすることによって、第1半導体スイッチ部220に印加される交流電圧は第3半導体スイッチ部330のIGBTのオン電圧である数十V程度なので、やはり第1半導体スイッチ部220に低耐圧MOSFETを用いることができる。
【0082】
期間(III)の次のタイミングt6は、タイミングt1に対して時間差Δt1を有する。時間差Δt1は、第1半導体スイッチ部220の低耐圧MOSFETがターンオフに要する時間、すなわち、ターンオフ動作が完了して第1半導体スイッチ部220側に流れていた交流電流が第3半導体スイッチ部330側に転流するまでの時間が確保されていればよい。タイミングt6では、制御回路40から機械式スイッチ部310をスイッチングすることにより、機械式スイッチ部310を第1端子21および第1半導体スイッチ部220の間を接続している状態に切り替える。このとき、第1半導体スイッチ部220側にはもはや交流電流が流れていないので、やはり機械式スイッチ部310においてはアークが発生しない。
【0083】
期間(III)の次のタイミングt7では、制御回路40から第3半導体スイッチ部330のIGBTおよび第2半導体スイッチ部230のIGBTのそれぞれのゲート電圧を制御することにより、第3半導体スイッチ部330をオフとすると共に第2半導体スイッチ部230をオンとし、これによって、第3端子23および第2端子22の間を流れる交流電流を完全に遮断すると共に、第1端子21および第2端子22の間に交流電流を導通させる。
【0084】
期間(III)の次のタイミングt8は、タイミングt7に対して遅延時間tdoffを有する。遅延時間tdoffは、第2半導体スイッチ部230のIGBTがターンオンに要する時間、すなわち、ターンオン動作が完了して定常状態の直流電流が第2半導体スイッチ部230のIGBTに通電するまでの時間が確保されていればよい。遅延時間tdoffは、一例として、1μ秒から2μ秒程度である。タイミングt8では、制御回路40から第1半導体スイッチ部220の低耐圧MOSFETのゲート電圧を制御し、第1半導体スイッチ部220をオンとする。機械式スイッチ部310および第1半導体スイッチ部220のオン電圧の和は、第2半導体スイッチ部230のオン電圧に比べて低いので、タイミングt8で、第2半導体スイッチ部230側に流れていた交流電流が第1半導体スイッチ部220側に転流し、第2半導体スイッチ部230側に交流電流は殆ど流れなくなる。
【0085】
以上の第3実施形態におけるスイッチ装置10によれば、第1実施形態および第2実施形態のそれぞれにおけるスイッチ装置10と同様の効果を奏する。また、当該スイッチ装置10によれば、直列に接続された機械式スイッチ部310および第1半導体スイッチ部220を、第1端子21側と第3端子23側とで共有することができ、小型化および低コスト化が可能になる。また、当該スイッチ装置10によれば、異なる複数の系統に接続され、一方の系統での過電流時にスイッチ装置10全体でのオフ動作と他方の系統のオン動作とを高速化することが可能であるだけでなく、一方の系統から他方の系統に事故電流が横流れすることを防ぐこともできる。
【0086】
以上の第3実施形態において、タイミングt2とタイミングt3との差分は、無くてもよく、または、タイミングt2とタイミングt3とを逆にしてもよい。また、タイミングt2からタイミングt3およびタイミングt4の間までの期間に、機械式スイッチ部310を、第1端子21および第3端子23と第1半導体スイッチ部220との間の何れも接続していない状態にしてもよい。より具体的には、制御回路40を介した制御装置5による制御によって、第1半導体スイッチ部220および第2半導体スイッチ部230がオンの状態、且つ、機械式スイッチ部310が第1端子21および第1半導体スイッチ部220の間を接続している状態で、第1端子21と第2端子22との間を接続状態から切断状態に切り替え、且つ、第3端子23と第2端子22との間を切断状態から接続状態に切り替える場合に、第1半導体スイッチ部220をオフとし、次に機械式スイッチ部310を、第1端子21および第3端子23と第1半導体スイッチ部220との間の何れも接続していない状態に切り替え、次に第2半導体スイッチ部230をオフとすると共に第3半導体スイッチ部330をオンとし、次に機械式スイッチ部310を第3端子23および第1半導体スイッチ部220の間を接続している状態に切り替え、次に第1半導体スイッチ部220をオンとしてもよい。
【0087】
上記の場合において更に、スイッチ装置10は、第3半導体スイッチ部330が接続されている第3端子23と第2端子22との間の電位差を検出する電圧計を備え、制御回路40を介した制御装置5による制御によって、第3半導体スイッチ部330をオンとした後に、第3端子23と第2端子22との間の電位差が基準以下となったことに応じて、機械式スイッチ部310を第3端子23および第1半導体スイッチ部220の間を接続している状態に切り替えてもよい。
【0088】
以上の複数の実施形態において、第2半導体スイッチ部230または第3半導体スイッチ部330がIGBTを含むものとして説明したが、例えばIGBTを用いる場合に比べてイッチング速度が速いものが求められる一方で耐電圧が低くても構わない用途においては、IGBTの代わりにパワーMOSFETを用いてもよい。この場合、パワーMOSFETのソースからドレインに向かって電流が流れるように接続することで、いわゆる同期整流によって電流導通損失を減らしてもよい。
【0089】
以上の第2実施形態および第3実施形態において、第2半導体スイッチ部230または第3半導体スイッチ部330が、ダイオードが逆並列に接続されたIGBTを含むものとして説明したが、これに代えて、逆阻止IGBT(RB−IGBT)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0090】
5 制御装置、10 スイッチ装置、21 第1端子、22 第2端子、23 第3端子、25 制御端子、30 電流検出部、40 制御回路、41 保護回路、42 パルス分配回路、43 駆動回路、100、200、300 スイッチ部、110、310 機械式スイッチ部、120、220 第1半導体スイッチ部、130、230 第2半導体スイッチ部、221、222 第1半導体スイッチ、231 第2半導体スイッチ、232 キャパシタ、240、340 ダイオードブリッジ、241、242、243、244、341、342、343、344 ダイオード、330 第3半導体スイッチ部、331 第3半導体スイッチ、332 キャパシタ
図1
図2
図3
図4
図5