特開2020-45418(P2020-45418A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンテック株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2020045418-油面用粘着シート 図000011
  • 特開2020045418-油面用粘着シート 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-45418(P2020-45418A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】油面用粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20200303BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20200303BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20200303BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J11/06
   C09J11/08
   C09J133/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-174701(P2018-174701)
(22)【出願日】2018年9月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】河村 明
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AA17
4J004AB01
4J004CA01
4J004CB03
4J004CC02
4J004CE01
4J004DB02
4J004FA08
4J040BA172
4J040BA202
4J040DB022
4J040DF012
4J040DF031
4J040DF062
4J040DN032
4J040JB09
4J040KA16
4J040KA26
4J040LA06
4J040LA10
(57)【要約】
【課題】油面に対する粘着性、透明性および再剥離性に優れた油面用粘着シートを提供する。
【解決手段】(a)式(1)で表されるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位 50〜95質量%と、(b)式(2)で表されるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位 5〜45質量%と、(c)カルボキシル基含有不飽和単量体および水酸基含有不飽和単量体の少なくとも一方由来の構成単位 0.1〜20質量%と、(d)前記(a)、(b)および(c)と共重合可能な不飽和単量体由来の構成単位 0〜20質量%と、を含むアクリル系共重合体(この際、前記(a)、(b)、(c)および(d)由来の構成単位の合計が100質量%)と、脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種と、架橋剤と、を含有する粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する油面用粘着シートである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式(1):
【化1】
式(1)中、Xは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1〜9のアルキル基である:で表されるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位 50〜95質量%と、
(b)下記式(2):
【化2】
式(2)中、Xは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数16〜24の脂肪族アルキル基または炭素数3〜16の脂環式アルキル基である:で表されるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位 5〜45質量%と、
(c)カルボキシル基含有不飽和単量体および水酸基含有不飽和単量体の少なくとも一方由来の構成単位 0.1〜20質量%と、
(d)前記(a)、(b)および(c)と共重合可能な不飽和単量体由来の構成単位 0〜20質量%と、
を含むアクリル系共重合体(この際、前記(a)、(b)、(c)および(d)由来の構成単位の合計が100質量%)と、脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種の粘着付与剤と、架橋剤と、を含有する粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する油面用粘着シート。
【請求項2】
前記アクリル系共重合体100質量部に対する前記脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種の合計含有量が5〜40質量部である、請求項1に記載の油面用粘着シート。
【請求項3】
前記脂環族系石油樹脂の軟化点が140℃以下である、請求項1または2に記載の油面用粘着シート。
【請求項4】
前記粘着剤組成物がさらに重合ロジン系エステル樹脂を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の油面用粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油面用粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用途などの機械加工された金属製品には、防錆や潤滑を目的として油が金属表面に塗布されていることが多い。油が塗布された金属表面に工程管理用として必要な情報を記載した粘着シートを貼付することが行われる。しかしながら、金属表面に存在する油の影響で粘着シートの粘着性が著しく低下し、貼付後に粘着シートが剥がれ落ちるといった事象が見られることがあった。
【0003】
このため、溶剤を浸み込ませた布などで油面を拭くなどして金属表面の脱脂を行った後、粘着シートを貼付することが行われてきた。このような脱脂作業により作業効率が低下するため、油面に対しても粘着性の低下しない油面用粘着シートが求められている。
【0004】
特許文献1には、表面基材、粘着剤層、および剥離紙(剥離ライナー)を積層した粘着シートにおいて、粘着剤層の吸油量が0.1g/g以上、かつ、粘着剤層の油滴下直後の油接触角が30〜60°である、粘着シートが開示されている。そして、かような粘着剤層を構成するアクリル系重合体の単量体成分として2−エチルヘキシルアクリレートを70重量%以上用い、さらにイソシアネート系架橋剤を用いた粘着剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−116908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の粘着剤から形成される粘着シートは、油面に対する粘着力は十分なものとは言えないため、油面に対する粘着性のさらなる向上が望まれていた。また、粘着シートには、被着体の色調を損なわないよう透明性が要求される場合も多い。加えて、粘着シートは、剥離した際に被着体表面に糊残りが生じにくい(すなわち再剥離性に優れる)ことが好ましい。
【0007】
そこで本発明は、油面に対する粘着性、透明性および再剥離性に優れた油面用粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(a)下記式(1):
【0009】
【化1】
【0010】
式(1)中、Xは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1〜9のアルキル基である:で表されるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位 50〜95質量%と、
(b)下記式(2):
【0011】
【化2】
【0012】
式(2)中、Xは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数16〜24の脂肪族アルキル基または炭素数3〜16の脂環式アルキル基である:で表されるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位 5〜45質量%と、
(c)カルボキシル基含有不飽和単量体および水酸基含有不飽和単量体の少なくとも一方由来の構成単位 0.1〜20質量%と、
(d)前記(a)、(b)および(c)と共重合可能な不飽和単量体由来の構成単位 0〜20質量%と、
を含むアクリル系共重合体(この際、前記(a)、(b)、(c)および(d)由来の構成単位の合計が100質量%)と、脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種と、架橋剤と、を含有する粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する油面用粘着シートである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、油面に対する粘着性、透明性および再剥離性に優れた油面用粘着シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】粘着シートの一実施形態を示す断面模式図である。
図2】粘着シートの他の実施形態を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第一実施形態は、
(a)下記式(1):
【0016】
【化3】
【0017】
式(1)中、Xは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1〜9のアルキル基である:で表されるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位 50〜95質量%と、
(b)下記式(2):
【0018】
【化4】
【0019】
式(2)中、Xは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数16〜24の脂肪族アルキル基または炭素数3〜16の脂環式アルキル基である:で表されるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位 5〜45質量%と、
(c)カルボキシル基含有不飽和単量体および水酸基含有不飽和単量体の少なくとも一方由来の構成単位 0.1〜20質量%と、
(d)前記(a)、(b)および(c)と共重合可能な不飽和単量体由来の構成単位 0〜20質量%と、
を含むアクリル系共重合体(この際、前記(a)、(b)、(c)および(d)由来の構成単位の合計が100質量%)と、脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種と、架橋剤と、を含有する粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する油面用粘着シートである。当該実施形態に係る油面用粘着シートは、油面に対する粘着性、透明性および再剥離性に優れる。
【0020】
上記特許文献1に記載される粘着シートは、油面に対する粘着力が十分とは言えなかった。そこで本発明者は、特許文献1に記載されるようなアクリル系粘着剤に対し、粘着付与剤として脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂またはスチレン系樹脂を添加することを検討した。上記粘着付与剤を添加することで、粘着剤組成物が疎水化し、また油面に接触した際に油剤を吸収して、油面に対する粘着性を向上できるのではないかと考えたためである。しかしながら、上記の検討を行ったところ、所望の油面粘着力が得られないばかりか、粘着剤層が白化するという新たな問題も生じた(後述の比較例1、4、5参照)。粘着シートには被着体の色調を損なわないよう透明性が求められる場合も多く、この場合には粘着剤層の白化を抑制する必要がある。
【0021】
本発明者は、上記の結果が主剤であるアクリル系共重合体と粘着付与剤との相溶性の乏しさに起因するのではないかと考え、主剤の組成を鋭意検討した。その結果、上記実施形態とすることで、粘着剤層の白化を抑制して優れた透明性を発現することができ、かつ油面に対する粘着性も顕著に向上することを見出した。
【0022】
主剤であるアクリル系共重合体を構成する単量体成分として、上記式(1)で表されるような短鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、式(2)で表されるような長鎖または脂環式アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとを併用することで、疎水化した主剤が得られる。かような主剤に粘着付与剤(脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種)を添加すると、両剤が良く相溶し、粘着付与剤が凝集しにくくなる。ゆえに、粘着剤層の白化が抑制される(すなわち粘着シートの透明性が向上する)と考えられる。また、上述のように、主剤が疎水化し、またこれによって主剤と粘着付与剤(脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種)とが良く相溶することで、油剤に対する吸油速度および吸油量が向上し、油面に対する粘着性が向上すると考えられる。
【0023】
また、アクリル系共重合体に含まれる(c)由来の構成単位と、架橋剤とが反応することで、粘着剤層の強度が向上する。ゆえに、粘着シートを被着体から剥離する際、粘着剤層が破断しにくく、被着体表面に糊残りが生じにくい(再剥離性に優れる)と考えられる。
【0024】
なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら限定されるものではない。
【0025】
本明細書において、「透明」とは、可視光領域における透過率が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上であることをいう(上限値:100%)。粘着シートの透過率は、JIS K7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部:シングルビーム法)により測定することができる。
【0026】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を指し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸および/またはメタクリル酸」を指す。
【0027】
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
【0028】
<粘着剤組成物>
以下、粘着剤組成物に含まれる各成分について説明する。
【0029】
(アクリル系共重合体)
[(a)成分]
本発明のアクリル系共重合体は、(a)下記式(1)で表されるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む。かような構成単位を含むことで、主剤であるアクリル系共重合体の粘着性を制御することができる。
【0030】
【化5】
【0031】
式(1)中、Xは水素原子またはメチル基であり、好ましくは水素原子である。
【0032】
式(1)中、Rは、炭素数1〜9のアルキル基であり、粘着付与剤(脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種)との相溶性ひいては粘着シートの透明性をさらに高める観点から、好ましくは炭素数3〜9のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜9のアルキル基であり、さらにより好ましくは炭素数6〜9のアルキル基である。アルキル基は、直鎖または分岐鎖のいずれであってもよいが、好ましくは分岐鎖である。
【0033】
炭素数1〜9のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。中でも、Rは2−エチルヘキシル基であることが好ましい。
【0034】
(a)成分すなわち式(1)で表されるアルキル(メタ)アクリレートは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0035】
本発明のアクリル系共重合体において、(a)由来の構成単位の含有量は、(a)、(b)、(c)および(d)由来の構成単位の合計を100質量%としたとき、50〜95質量%である。50質量%未満の場合、粘着性が不十分となる。一方、95質量%を超える場合、主剤が十分に疎水化しないため、粘着付与剤(脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種)との相溶性に乏しく、粘着剤層の白化を抑制することができない。中でも、本発明の効果を一層高める観点から、60〜85質量%であることが好ましく、65〜80質量%であることがより好ましい。なお、当該割合は、アクリル系共重合体の製造に使用する(a)〜(d)の合計質量に対する(a)の質量の割合と実質的に等しい。したがって、アクリル系共重合体の原料単量体の仕込み比を調節することにより、当該割合を所望の範囲内に制御することができる。
【0036】
[(b)成分]
本発明のアクリル系共重合体は、(b)下記式(2)で表されるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む。かような構成単位を含むことで、主剤であるアクリル系共重合体が疎水化し、粘着付与剤(脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種)との相溶性が向上すると考えられる。
【0037】
【化6】
【0038】
式(2)中、Xは水素原子またはメチル基であり、好ましくは水素原子である。
【0039】
式(2)中、Rは、炭素数16〜24の脂肪族アルキル基であってもよく、好ましくは炭素数18〜22の脂肪族アルキル基である。脂肪族アルキル基は、直鎖または分岐鎖のいずれであってもよいが、直鎖であることが好ましい。炭素数16〜24の脂肪族アルキル基の例としては、パルミトイル基、ステアリル基、イソステアリル基、ベヘニル基などが挙げられる。
【0040】
あるいは、式(2)中、Rは、炭素数3〜16の脂環式アルキル基であってもよく、好ましくは炭素数5〜12の脂環式アルキル基であり、より好ましくは炭素数6〜10の脂環式アルキル基である。脂環式アルキル基は、単環または多環のいずれであってもよい。炭素数3〜16の脂環式アルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基等が挙げられる。
【0041】
(b)成分すなわち式(2)で表されるアルキル(メタ)アクリレートは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0042】
本発明のアクリル系共重合体において、(b)由来の構成単位の含有量は、(a)、(b)、(c)および(d)由来の構成単位の合計を100質量%としたとき、5〜45質量%である。5質量%未満の場合、主剤が十分に疎水化しないため、粘着付与剤(脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種)との相溶性に乏しく、粘着剤層の白化を抑制することができない。一方、45質量%を超える場合、主剤の粘着性が不十分となる。中でも、本発明の効果を一層高める観点から、10〜35質量%であることが好ましく、15〜30質量%であることがさらにより好ましい。なお、当該割合は、アクリル系共重合体の製造に使用する(a)〜(d)の合計質量に対する(b)の質量の割合と実質的に等しい。したがって、アクリル系共重合体の原料単量体の仕込み比を調節することにより、当該割合を所望の範囲内に制御することができる。
【0043】
[(c)成分]
本発明のアクリル系共重合体は、(c)カルボキシル基含有不飽和単量体および水酸基含有不飽和単量体の少なくとも一方に由来する構成単位を含む。当該構成単位は、架橋剤と反応し、粘着剤層の強度を向上させる。ゆえに、粘着シートを被着体から剥離する際、粘着剤層が破断しにくく、被着体表面に糊残りが生じにくい(再剥離性に優れる)と考えられる。また、切断刃などを用いて粘着シートに切り込み線を入れる際、粘着剤による切断刃や粘着シートの汚染が抑制される(すなわち、加工性が向上する)ことも期待できる。
【0044】
カルボキシル基含有不飽和単量体としては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつカルボキシル基を有するものであれば特に限定されない。カルボキシル基含有不飽和単量体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などの不飽和カルボン酸、例えば、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸などの不飽和ジカルボン酸モノエステル、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、2−メタクリロイルオキシエチルピロメリット酸などの不飽和トリカルボン酸モノエステル、例えば、カルボキシエチルアクリレート(β−カルボキシエチルアクリレートなど)、カルボキシペンチルアクリレートなどのカルボキシアルキルアクリレート、アクリル酸ダイマー(商品名:アロニックスM−5600、東亞合成化学工業(株)製)、アクリル酸トリマー、例えば、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸などの不飽和ジカルボン酸無水物などが挙げられる。中でも、粘着性を向上させる観点からは、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸を用いることが好ましく、(メタ)アクリル酸を用いることがより好ましく、アクリル酸を用いることがさらに好ましい。これらのカルボキシル基含有不飽和単量体は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0045】
水酸基含有不飽和単量体としては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ水酸基を有するものであれば特に限定されない。アルキル(メタ)アクリレートとの共重合性の点からは、水酸基含有不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルであることが好ましい。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、および(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどが挙げられる。中でも、粘着性を向上させる観点からは、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、および(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチルを用いることが好ましく、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルを用いることがより好ましい。これらの水酸基含有不飽和単量体は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0046】
(c)成分としては、カルボキシル基含有不飽和単量体または/および水酸基含有不飽和単量体を使用することができるが、カルボキシル基含有不飽和単量体を使用することが好ましい。
【0047】
本発明のアクリル系共重合体において、(c)由来の構成単位の含有量は、(a)、(b)、(c)および(d)由来の構成単位の合計100を質量%としたとき、0.1〜20質量%である。0.1質量%未満の場合、架橋剤との反応点が少ないため、粘着剤層の強度が低く、再剥離性に劣る(後述の比較例3参照)。一方、20質量%を超える場合、架橋剤との反応点が多すぎるため、粘着剤層が硬くなり粘着性が低下する。中でも、本発明の効果を一層高める観点から、0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。なお、当該割合は、アクリル系共重合体の製造に使用する(a)〜(d)の合計質量に対する(c)の割合と実質的に等しい。したがって、アクリル系共重合体の原料単量体の仕込み比を調節することにより、当該割合を所望の範囲内に制御することができる。
【0048】
[(d)成分]
本発明のアクリル系共重合体は、上記(a)〜(c)由来の構成単位の他に、(d):(a)、(b)および(c)と共重合可能な不飽和単量体(以下、その他の不飽和単量体とも称する)に由来する構成単位を含んでもよい。
【0049】
その他の不飽和単量体としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド等のアミノ基を有するアクリルモノマー;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するアクリルモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するアクリルモノマー;2−メタクリロイルオキシエチルジフェニルホスファート(メタ)アクリレート、トリメタクリロイルオキシエチルホスファート(メタ)アクリレート、トリアクリロイルオキシエチルホスファート(メタ)アクリレート等のリン酸基を有するアクリルモノマー;スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基を有するアクリルモノマー;ウレタン(メタ)アクリレート等のウレタン基を有するアクリルモノマー;p−tert−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート等のフェニル基を有するアクリルビニルモノマー;2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエチル)シラン、ビニルトリアセチルシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン基を有するビニルモニマー;スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリロニトリル、ビニルピリジン等が挙げられる。これらその他の不飽和単量体は、単独で使用してもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0050】
本発明のアクリル系共重合体において、(d)由来の構成単位の含有量は、本発明の範囲を損なわない範囲内であり、たとえば、(a)、(b)、(c)および(d)由来の構成単位の合計を100質量%としたとき、20質量%以下であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下である(下限値:0質量%)。当該割合は、アクリル系共重合体の製造に使用する(a)〜(d)の合計質量に対する(d)の割合と実質的に等しい。したがって、アクリル系共重合体の原料単量体の仕込み比を調節することにより、当該割合を所望の範囲に制御することができる。
【0051】
[アクリル系共重合体の製造方法]
アクリル系共重合体の製造方法は、特に制限されず、重合開始剤を使用する溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、薄膜重合法、噴霧重合法など従来公知の方法を用いることができる。また、重合開始剤により重合を開始させる方法の他に、放射線、電子線、紫外線等を照射して重合を開始させる方法を採用することもできる。中でも重合開始剤を使用する溶液重合法が、分子量の調節が容易であり、また不純物も少なくできるために好ましい。例えば、溶剤として酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトンなどを用い、単量体の合計量100質量部に対して、重合開始剤を好ましくは0.01〜0.50質量部を添加し、窒素雰囲気下で、例えば反応温度60〜90℃で、3〜10時間反応させることで得られる。
【0052】
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド等の有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。
【0053】
また、アクリル系共重合体の分子量を適切に制御する目的で、モノマー溶液中に連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、β−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸オクチル、β−メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、チオグリコール酸ブチル、プロパンチオール類、ブタンチオール類、チオホスファイト類等のチオール化合物や四塩化炭素などのハロゲン化合物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。
【0054】
アクリル系共重合体の分子量は、特に制限されるものではないが、粘着性および保存安定性の観点からは、重量平均分子量(Mw)が100,000〜1,000,000であることが好ましく、500,000〜1,000,000であることがより好ましい。本明細書において重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により標準ポリスチレン換算分子量として測定されたものを用いる。
【0055】
(脂環族系石油樹脂)
石油樹脂とは、石油類のスチームクラッキングによるエチレン類の製造の際に副生する分解油の、留分中のジオレフィン及びモノオレフィン類を、公知の方法で重合して得られるものである。留分がイソプレン、1,3−ペンタジエン、シクロペンテン、シクロペンタジエンなどのC5留分を原料とするものがC5系石油樹脂であり、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン、アルキルインデン、ジシクロペンタジエンなどのC9留分を原料とするものがC9系石油樹脂である。
【0056】
脂環族系石油樹脂としては、例えば、C5系石油樹脂を環化二量体化した後重合させた脂環式炭化水素系樹脂、環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン、エチリデンビシクロヘプテン、ビニルシクロヘプテン、テトラヒドロインデン、ビニルシクロヘキセン、リモネンなど)の重合体又はその水素添加物、C9系石油樹脂またはC5/C9系樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂などが挙げられる。
【0057】
中でも、脂環族系石油樹脂としては、C5系石油樹脂/C9系石油樹脂に水素添加して得られた脂環族系石油樹脂が好ましい。
【0058】
このような脂環族系石油樹脂は、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、アルコン(登録商標)シリーズ(アルコン(登録商標)P−90、P−100、P−115、P−125、P−140、M−90、M−100、M−115、M−135(以上、荒川化学工業社製))、Quintone(登録商標)シリーズ(Quintone(登録商標)1105、1325、1340、TD−401、1500、1525L、1920、2940など)(以上、日本ゼオン社製)などが挙げられる。
【0059】
脂環族系石油樹脂は非極性であることが好ましい。ここで「非極性」とは、極性基である水酸基およびカルボキシル基を有しないことを指す。非極性であることで、架橋剤との反応点がなく、架橋剤が水酸基および/またはカルボキシル基を有するアクリル系共重合体に効率的に作用するため、粘着性が向上する。
【0060】
脂環族系石油樹脂の軟化点は、他の粘着剤組成物を構成する成分との相溶性ひいては粘着シートの透明性を高める観点から、140℃以下であることが好ましく、115℃以下であることがより好ましく、60〜115℃であることがさらに好ましく、90〜115℃であることが特に好ましい(後述の実施例5および14参照)。なお、軟化点は、JIS K5902−1969またはJIS K2207−1996に記載された環球法によって測定される。また、複数種の脂環族系石油樹脂を用いる場合には、軟化点は各樹脂の軟化点に配合質量比を掛けたものの和とする。例えば、軟化点a℃の脂環族系石油樹脂Aを50質量%、軟化点b℃の脂環族系石油樹脂Bを50質量%用いた場合には、脂環族系石油樹脂の軟化点(℃)=(a×50/100+b×50/100)とする。以下、重合ロジン系エステル樹脂の軟化点についても同様である。
【0061】
脂環族系石油樹脂は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0062】
(テルペン系樹脂)
テルペン系樹脂としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、これらを水素化した水添テルペン樹脂などが挙げられ、中でも芳香族変性テルペン樹脂が好ましい。
【0063】
テルペン系樹脂は、市販品を用いてもよい。テルペン樹脂としては、YSレジン(登録商標)PX1250、PX1150、PX1000、PX800、PX1150N、PX300N(以上、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。テルペンフェノール樹脂としては、YSポリスター(登録商標)U130、U115、T160、T145、T130、T115、T100、T80、T30、S145、G150、G125、N125、K125、TH130(以上、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、YSレジン(登録商標)TO125、TO115、TO105、TO85(以上、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。水添テルペン樹脂としては、YSポリスター(登録商標)UH115(以上、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。
【0064】
テルペン系樹脂は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0065】
(スチレン系樹脂)
スチレン系樹脂とは、スチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、および必要に応じてこれと共重合可能な単量体を重合してなる樹脂である。
【0066】
スチレン系樹脂は、市販品を用いてもよく、例えば、FTR(登録商標)0100、2120、2140、6100、6110、6125、7100、8100、8120、FMR(登録商標)0150(以上、三井化学社製)等が挙げられる。
【0067】
スチレン系樹脂は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0068】
脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種の合計含有量は、アクリル系共重合体100質量部に対して、5〜40質量部であることが好ましい。5質量部以上であれば油面に対する粘着性がより良好に発現し、40質量部以下であれば粘着剤層の白化が良好に抑制される。中でも、油面に対する粘着性および透明性の両立の観点から、好ましくは10〜35質量部であり、より好ましくは15〜30質量部であり、さらにより好ましくは15〜25質量部である。
【0069】
油面粘着性および透明性を良好に両立する観点から、本実施形態の粘着シートの粘着剤組成物は、脂環族系石油樹脂を含むことが好ましい。
【0070】
(重合ロジン系エステル樹脂)
本実施形態の粘着シートの粘着剤組成物は、さらに重合ロジン系エステル樹脂を有することが好ましい。上記粘着付与剤(脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種)と重合ロジン系エステル樹脂とを併用することで、油面に対する粘着性が向上する。重合ロジン系エステル樹脂を単独で用いると、架橋剤が重合ロジン系エステル樹脂の水酸基と反応して粘着力の低下を引き起こすが(後述の比較例2参照)、上記粘着付与剤と併用することにより、重合ロジン系エスエル樹脂の吸油性を維持したまま、この反応が抑えられるためと考えられる。
【0071】
重合ロジン系エステル樹脂は、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどのロジン類をメタノール、エタノール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどのアルコール類でエステル化した硬質の樹脂であり、本発明ではいずれの重合ロジンを使用することもできる。また、これらを水添した重合水添ロジンも使用することができる。
【0072】
重合ロジン系エステル樹脂は市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、ペンセルD−125、ペンセルD−160(以上、荒川化学工業社製)等が挙げられる。また、重合ロジン系エステル樹脂の軟化点は、他の粘着剤組成物を構成する成分との相溶性の観点からは、160℃以下であることが好ましく、100〜160℃であることがより好ましい。
【0073】
重合ロジン系エステル樹脂は単独で用いても、2種以上組み合わせてもよい。
【0074】
重合ロジン系エステル樹脂の粘着剤組成物中の配合量は、粘着付与剤(脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種)と重合ロジン系エステル樹脂との質量比(粘着付与剤:重合ロジン系エステル樹脂)として、1:0.1〜5であることが好ましく、1:0.5〜2であることがより好ましい。かような範囲であると油面粘着性の向上が顕著であることから好ましい。
【0075】
(架橋剤)
架橋剤としては、公知の架橋剤が使用できる。例えば、以下に制限されないが、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。中でも、反応性の観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
【0076】
イソシアネート系架橋剤としては、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート;ならびに上記ジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、上記ジイソシアネート化合物のビウレット体やイソシアヌレート体などのイソシアネート誘導体が挙げられる。
【0077】
また、エポキシ系架橋剤としてはポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、アルコール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0078】
金属キレート系架橋剤としては、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、鉄、亜鉛、コバルト、マンガン、ジルコニウム等の金属のアセチルアセトネート錯体等が挙げられる。
【0079】
架橋剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0080】
架橋剤の添加量は、アクリル系共重合体100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。
【0081】
粘着剤組成物は、従来公知のその他の添加剤をさらに含みうる。かような添加剤としては、例えば、充填剤、顔料、紫外線吸収剤などが挙げられる。充填剤としては、例えば、亜鉛華、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0082】
<粘着シート>
図1は、粘着シートの一実施形態を示す断面模式図である。図1において、粘着シート10は、基材11、粘着剤層12、および剥離ライナー13から構成される。
【0083】
図2は、粘着シートの他の実施形態を示す断面模式図である。図2において、粘着シート20は、基材21、粘着剤層22、および剥離ライナー23から構成される。図2の実施形態においては、基材21の両面に粘着剤層22が配置され、さらにその外側に2つの剥離ライナー23が配置される。
【0084】
本明細書における「油面用」粘着シートとは、油分が付着している被着体表面に貼付される粘着シートを指す。
【0085】
粘着シートの粘着剤層面におけるSAE粘度分類で10W−30である鉱物油系潤滑油の油滴滴下直後の接触角(以下、単に接触角とする)が60°以下であることが好ましい。粘着剤層の接触角が上記範囲内であることで、油面に対する粘着剤としての機能が発揮されやすいため好ましい。接触角は45°以下であることがより好ましい。なお、接触角は小さければ小さいほど好ましいため、その下限は特に限定されないが、通常30°以上である。また、上記接触角は下記実施例に記載の方法により測定された値を採用する。
【0086】
以下、粘着シートを構成する各構成部材について説明する。
【0087】
(粘着剤層)
上記粘着剤組成物を用いて粘着剤層が形成される。
【0088】
粘着剤層の形成方法は、特に限定されるものではないが、基材上に粘着剤組成物を直接塗工して粘着剤層を形成してもよく、また、剥離ライナー上に粘着剤層を形成した後、これを基材と貼合してもよい。具体的には、剥離ライナー上に粘着剤組成物を塗布し、粘着剤組成物からなる粘着剤層を基材に転写する方法が挙げられる。
【0089】
粘着剤組成物の基材または剥離ライナーへの塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。
【0090】
粘着剤層の厚み(乾燥後膜厚)は、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
【0091】
(基材)
基材としては、透明性を有する基材が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリスチレンフィルムなどのプラスチックフィルムが挙げられる。
【0092】
プラスチックフィルムは、無延伸フィルム及び延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムのいずれをも用いることができる。また、基材の粘着剤層が設けられる面には、下塗り剤の塗布、コロナ放電処理などの表面処理が施されていてもよい。
【0093】
また、基材には、必要に応じて、安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、加工助剤、軟化剤、金属粉、防曇剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難撚剤等を適宜に含有していてもよい。
【0094】
基材の厚みは、通常10〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
【0095】
(剥離ライナー)
剥離ライナーは、粘着剤層を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。そして、剥離ライナーは、油面に貼付する際に粘着シートから剥離される。このため、本発明における粘着シートは、剥離ライナーを有していないものも包含される。
【0096】
剥離ライナーとしては、特に限定されるものではないが、上質紙、グラシン紙、クレーコート紙、ポリエチレンラミネート紙などの紙;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム;などが挙げられる。
【0097】
剥離ライナーの厚みは、通常10〜400μm程度である。また、剥離ライナーの表面には、粘着剤層の剥離性を向上させるためのシリコーンなどから構成される剥離剤からなる層が設けられてもよい。かような層が設けられる場合の当該層の厚みは、通常0.01〜5μm程度である。
【0098】
本発明の油面用粘着シートは、表面に油分が付着している被着体に粘着剤層面が貼付されて用いられる。
【0099】
被着体を形成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)などのプラスチック、鉄、銅、ステンレスなどの金属、塗装金属板、炭素繊維などを挙げることができる。
【0100】
被着体表面に付着した油分としては、防錆油、切削油、エンジンオイル、ギヤ油、グリースなどの鉱物油、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン等の炭化水素類;アブラナ種子油、パーム油、アボカド油、アルモンド油、アンズ核油、エゴマ油、オレンジ油、オリーブ油、キウイ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、米胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、セージ油、大豆油、チャ種子油、トウモロコシ油、菜種油、月見草油、ツバキ油、パーシック油、ハトムギ油、ピーナッツ油、ひまわり油、ブドウ種子油、メドウフォーム油、ローズマリー油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ラベンダー油、ローズヒップ油、ミンク油、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、乳脂、魚油等の動植物油;トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル(デカイソステアリン酸ポリグリセリル−10)、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、デカイソステアリン酸ポリグリセリル−10、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリトリット、炭酸ジアルキル、トリメリト酸トリトリデシル、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物等のエステル類;オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類;オレイルアルコール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール、イソステアリルアルコール、2−ヘキシルデカノール等の高級アルコール類;ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラトリフロロプロピルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタトリフロロプロピルシクロペンタシロキサン、ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン等のシリコーン油類;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類;酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル等の液状の紫外線吸収剤等の液状油;カカオ脂、シアバター、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、硬化ヤシ油、ワセリン、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−ジ(オクチルドデシル/コレステリル/ベヘニル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)等のペースト状の油剤;パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミチン酸セチル、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリベヘン酸グリセリル、コレステロール、フィトステロール、ステアリル変性ポリシロキサン、硬化油、ワセリン等の固形状の油剤が挙げられる。
【0101】
特に第一実施形態の油面用粘着シートは、油分が付着しているプラスチックに対する粘着性が高い。このため、本発明の他の実施形態は、油分が付着したプラスチック系被着体に上記油面用粘着シートが貼付して得られる積層体である。
【0102】
また、図2の形態のように、粘着剤層が基材の両面に配置される形態においては、粘着シートの被着体が貼付されている側とは逆側に、他の被着体を設け、2つの被着体を接着することもできる。この際、他の被着体の粘着剤層貼付面は、油面であっても油剤が塗布されていない非油面であってもよい。
【0103】
粘着シートの非油面に対する粘着力(以下、非油面粘着力とも称する)は、10N/25mm以上であることが好ましく、15N/25mm以上であることがより好ましい。なお、非油面に対する粘着力は以下の方法により測定された値である;粘着シートを25mm幅、150mm長のサンプルとし、剥離ライナーを剥がした後、露出した粘着剤層をメラミン塗装板(パルテック社製、品番:SPCC−SD)に貼付し、JIS Z0237:2009に規定された質量2kgのローラを1往復させた後、23℃、50%RHの条件下で30分間放置する。引張試験機を用い、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で粘着力(N/25mm)を測定する。
【0104】
粘着シートの油面に対する粘着力(以下、油面粘着力とも称する)は、5N/25mm以上であることが好ましく、10N/25mm以上であることがより好ましい。なお、油面粘着力は、上記の非油面粘着力の測定において、メラミン塗装板の表面にエンジンオイル(SAE粘度分類で10W−30である鉱物油系潤滑油)を2g/mで塗布したものを被着体とすること以外は同様にして測定し、チャートから得られる粘着力の平均値を指す。
【0105】
非油面粘着力に対する油面粘着力の割合は、50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。上記範囲であれば、油面に対する粘着性が良好であると言える。
【実施例】
【0106】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
【0107】
<粘着シートの作成>
(実施例1)
還流器および攪拌機を備えたフラスコに、(a)2−エチルヘキシルアクリレート70質量%、(b)ステアリルアクリレート25質量%、および(c)アクリル酸5質量%の単量体混合物(単量体混合物100質量%)、アゾ系重合開始剤およびトルエン(溶剤)を混合し、窒素置換を行いながら加温し、重合を行って、アクリル系共重合体を得た(重量平均分子量Mw=700,000)。
【0108】
上記アクリル系共重合体100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(商品名:コロネート(登録商標、以下同じ)L)1質量部(固形分0.75質量部)、および脂環族系石油樹脂(アルコン(登録商標、以下同じ)P−100、荒川化学工業社製、軟化点100℃)10質量部を混合して粘着剤組成物を得た。
【0109】
得られた粘着剤組成物を剥離ライナー(厚さ170μm)にナイフコーターを用いて塗布し乾燥することにより厚さ25μmの粘着剤層を形成した。ポリエチレンテレフタレート基材(厚さ50μm)に粘着剤層面を転写して、23℃で1週間静置し、粘着シートを作成した。
【0110】
(実施例2)
ステアリルアクリレートの代わりにベヘニルアクリレートを用いてアクリル系共重合体を製造したこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作成した。
【0111】
(実施例3)
ステアリルアクリレートの代わりにシクロヘキシルアクリレートを用いてアクリル系共重合体を製造したこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作成した。
【0112】
(実施例4)
ステアリルアクリレートの代わりにイソボルニルアクリレートを用いてアクリル系共重合体を製造したこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作成した。
【0113】
(実施例5)
脂環族系石油樹脂の添加量を20質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作成した。
【0114】
(実施例6)
脂環族系石油樹脂の添加量を20質量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして、粘着シートを作成した。
【0115】
(実施例7)
脂環族系石油樹脂の添加量を20質量部に変更したこと以外は実施例3と同様にして、粘着シートを作成した。
【0116】
(実施例8)
脂環族系石油樹脂の添加量を20質量部に変更したこと以外は実施例4と同様にして、粘着シートを作成した。
【0117】
(実施例9)
脂環族系石油樹脂の添加量を30質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作成した。
【0118】
(実施例10)
脂環族系石油樹脂の添加量を30質量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして、粘着シートを作成した。
【0119】
(実施例11)
脂環族系石油樹脂の添加量を30質量部に変更したこと以外は実施例3と同様にして、粘着シートを作成した。
【0120】
(実施例12)
脂環族系石油樹脂の添加量を30質量部に変更したこと以外は実施例4と同様にして、粘着シートを作成した。
【0121】
(実施例13)
実施例1において、重合ロジン系エステル樹脂(ペンセル(登録商標、以下同じ)D−125、荒川化学工業社製、軟化点125℃)10質量部をさらに添加して粘着剤組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
【0122】
(実施例14)
実施例5において、脂環族系石油樹脂としてアルコンP−100の代わりにアルコンP−140(荒川化学工業社製、軟化点140℃)を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、粘着シートを作成した。
【0123】
(実施例15)
実施例5において、脂環族系石油樹脂(アルコンP−100)の代わりに、テルペン系樹脂(YSレジン(登録商標)TO105、ヤスハラケミカル社製、芳香族変性テルペン樹脂)を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、粘着シートを作成した。
【0124】
(実施例16)
実施例5において、脂環族系石油樹脂(アルコンP−100)の代わりに、スチレン系樹脂(FTR(登録商標)7100、三井化学社製)を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、粘着シートを作成した。
【0125】
(比較例1)
実施例5において、ステアリルアクリレートの代わりにn−ブチルアクリレートを用いてアクリル系共重合体を製造したこと以外は、実施例5と同様にして、粘着シートを作成した。
【0126】
(比較例2)
実施例5において、脂環族系石油樹脂の代わりに重合ロジン系エステル樹脂(ペンセルD−125、荒川化学工業社製、軟化点125℃)を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、粘着シートを作成した。
【0127】
(比較例3)
実施例5において、(a)2−エチルヘキシルアクリレート70質量%、(b)ステアリルアクリレート30質量%の単量体混合物(単量体混合物100質量%)を用いてアクリル系共重合体を製造したこと以外は実施例5と同様にして、粘着シートを作成した。
【0128】
<油接触角の測定>
上記作成した粘着シートから剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層の表面に、エンジンオイル(SAE粘度分類で10W−30である鉱物油系潤滑油)を滴下し、自動接触角計DSA100(KRUSS社製)により、エンジンオイルの接触角を測定した。
【0129】
<油面に対する粘着性(油面粘着性)の評価>
メラミン塗装板(パルテック社製、品番:SPCC−SD)に上記油接触角測定で用いたものと同じエンジンオイルを滴下し、滴下したオイルをベンコット(旭化成社の登録商標)で広げ、2g/mになるように重量で確認した被着体を準備した。粘着シートを25mm幅、150mm長のサンプルとし、剥離ライナーを剥がした後、露出した粘着剤層を上記被着体に貼付し、JIS Z0237:2009に規定された質量2kgのローラを1往復させた後、23℃、50%RHの条件下で30分間放置した。引張試験機を用い、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で油面粘着力(N/25mm)を測定した。なお、評価は添付時の位置ずれを修正することを考慮し、30分後を初期として粘着力を測定した。なお、油面粘着力の測定においては、油剤塗布の不均一性に起因して、得られるチャートが一定の幅をもって算出される。このため、チャートから得られる粘着力の平均値を油面粘着力(N/25mm)とした。
【0130】
また、エンジンオイルを表面に付していない上記メラミン塗装板を被着体として用い、上記の油面粘着力の測定と同様にして、非油面粘着力(N/25mm)を測定した。
【0131】
非油面粘着力に対する油面粘着力の割合(%)を算出し、下記基準に基づき判定した(B以上であれば、油面に対する粘着性が良好であると判断した)。
【0132】
A:75%以上
B:50%以上75%未満
C:25%以上50%未満
D:25%未満。
【0133】
<透明性の評価>
上記作成した粘着シートから剥離ライナーを剥がし、粘着シートのヘーズをヘーズメーター(日本電色工業社製、NDH2000)で測定し、下記基準に基づき判定した(B以上であれば、透明性が良好であると判断した)。
【0134】
A:4%未満
B:4%以上10%未満
C:10%以上。
【0135】
<再剥離性の評価>
上記の油面粘着力測定を行った後の被着体表面を目視で観察し、下記基準に基づき判定した(○であれば、再剥離性が良好であると判断した)。
【0136】
○:被着体表面に糊残りがない
×:被着体表面に糊残りがある。
【0137】
各粘着シートの評価結果を下記表1に示す。なお、表1における各表記は以下のとおりである;
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
STA:ステアリルアクリレート
BEA:ベヘニルアクリレート
CHA:シクロヘキシルアクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
BA:n−ブチルアクリレート
AA:アクリル酸。
【0138】
【表1】
【0139】
上記表1に示すように、実施例1〜16の粘着シートは、油面に対する粘着性、透明性および再剥離性に優れていた。中でも、実施例5〜8の粘着シートは、油面に対する粘着性および透明性の両立の面で特に優れていた。
【0140】
一方、比較例1、4および5の粘着シートは、油面に対する粘着性に乏しく、外観が不透明であった。比較例1、4および5では、主剤であるアクリル系共重合体の単量体成分として、(b)成分のような長鎖アルキル基または脂環式アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用していない。このため、主剤の疎水性が低く、粘着付与剤(脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種)とあまり相溶しないため、上記結果となったものと考えられる。
【0141】
また、比較例2の粘着シートは、油面に対する粘着性に乏しかった。比較例2は、粘着付与剤(脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびスチレン系樹脂の少なくとも1種)の代わりに、重合ロジン系エステル樹脂を用いて作成したものであるが、重合ロジンエステル樹脂のほうが上記粘着付与剤よりも親油性が低いためであると考えられる。
【0142】
また、比較例3の粘着シートは、油面に対する粘着性および透明性に優れるものの、再剥離性に乏しかった。比較例3は、主剤であるアクリル系共重合体が(c)由来の構成単位を含んでいないため、主剤と架橋剤とが反応せず、粘着剤層の強度が低下したためであると考えられる。
【符号の説明】
【0143】
10、20 粘着シート、
11、21 基材、
12、22 粘着剤層、
13、23 剥離ライナー。
図1
図2