特開2020-45836(P2020-45836A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-45836(P2020-45836A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】回転式流体機械
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/22 20060101AFI20200303BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20200303BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
   F04D29/22 C
   F04C29/00 D
   F04C15/00 K
   F04D29/22 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-175619(P2018-175619)
(22)【出願日】2018年9月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】陳 卓
【テーマコード(参考)】
3H044
3H129
3H130
【Fターム(参考)】
3H044CC14
3H044DD05
3H044DD07
3H129AA01
3H129BB33
3H129CC05
3H129CC16
3H130AA03
3H130AA29
3H130AB12
3H130AB22
3H130AB47
3H130AC30
3H130BA24C
3H130BA24D
3H130BA24Z
3H130BA73C
3H130BA73D
3H130BA73Z
3H130CB07
3H130DA02Z
3H130DB01Z
3H130DC03Z
3H130DC06Z
3H130DD01Z
3H130DJ01Z
3H130EA03C
3H130EA03D
3H130EA03Z
3H130EA07C
3H130EA07D
3H130EA07Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】羽根止めナットを使用する必要がないポンプを提供する。また、回転軸に対する回転体の軸線方向位置を容易に調整することができる回転式流体機械を提供する。
【解決手段】回転軸2と、回転軸によって駆動される回転体4と、回転軸の周囲に配置され、回転軸に対する回転体の軸線方向位置を変更する位置変更部材7と、回転軸に対する位置変更部材の位置を固定する固定部材17と、を備え、位置変更部材及び固定部材は、回転体の後面側に配置されている、回転式流体機械1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸によって駆動される回転体と、
前記回転軸の周囲に配置され、前記回転軸に対する前記回転体の軸線方向位置を変更する位置変更部材と、
前記回転軸に対する前記位置変更部材の位置を固定する固定部材と、を備え、
前記位置変更部材及び前記固定部材は、前記回転体の後面側に配置されている、
回転式流体機械。
【請求項2】
前記回転体は、前記回転軸を受け入れる穴部を画定する内周面を有し、
前記回転軸の外周面及び前記回転体の内周面のうちの一方に第1のネジ部が形成されており、
前記位置変更部材は、前記第1のネジ部とかみ合う第2のネジ部を有する、
請求項1に記載の回転式流体機械。
【請求項3】
前記位置変更部材は、前記回転軸の長さ方向に延びており、
前記位置変更部材は、前記回転軸の長さ方向における一端部に、前記第2のネジ部を有しており、前記回転軸の長さ方向における他端部に、前記固定部材が取り付けられる取り付け部を有している、
請求項2に記載の回転式流体機械。
【請求項4】
前記一端部は、前記回転体に近い側の端部であり、前記他端部は、前記回転体から離れた側の端部である、
請求項3に記載の回転式流体機械。
【請求項5】
前記位置変更部材の外周面は、操作部材により操作される操作部を含み、前記操作部は面取り加工されている、
請求項3または4に記載の回転式流体機械。
【請求項6】
前記第1のネジ部は、前記回転軸の外周面に形成される雄ネジ部であり、
前記第2のネジ部は、前記位置変更部材の内周面に形成される雌ネジ部である、
請求項3〜5のいずれか一項に記載の回転式流体機械。
【請求項7】
前記固定部材は、ネジ部材であり、前記位置変更部材は、前記回転軸に向けて前記位置変更部材を径方向に貫通するネジ穴を有する、
請求項6に記載の回転式流体機械。
【請求項8】
前記固定部材が、第1の固定部材であり、前記回転式流体機械は、前記位置変更部材と前記回転体とを軸線方向に関して固定する第2の固定部材を備える、
請求項7に記載の回転式流体機械。
【請求項9】
前記第2の固定部材は、雄ネジ部を有するロッド状部材であり、前記回転体は、前記位置変更部材に向けて前記回転体を径方向に貫通するネジ穴を有し、前記位置変更部材は、前記ロッド状部材の先端を受け入れ可能な外周溝を有する、
請求項8に記載の回転式流体機械。
【請求項10】
前記位置変更部材の軸方向端面は、前記回転体を軸線方向に押圧可能な押圧面を有する、
請求項6〜9のいずれか一項に記載の回転式流体機械。
【請求項11】
前記第1のネジ部は、前記回転体の内周面に形成される雌ネジ部であり、
前記第2のネジ部は、前記位置変更部材の外周面に形成される雄ネジ部である、
請求項3〜5のいずれか一項に記載の回転式流体機械。
【請求項12】
前記固定部材は、ネジ部材であり、前記位置変更部材は、前記回転軸に向けて前記位置変更部材を径方向に貫通するネジ穴を有する、
請求項11に記載の回転式流体機械。
【請求項13】
前記回転軸に、前記回転軸に対する前記位置変更部材の軸線方向移動を阻止する停止部が設けられている、
請求項12に記載の回転式流体機械。
【請求項14】
前記停止部は、前記回転軸の外周面に形成された段部である、
請求項13に記載の回転式流体機械。
【請求項15】
前記停止部は、前記回転軸の外周面に形成された、前記ネジ部材の先端を受け入れ可能な外周溝である、
請求項13に記載の回転式流体機械。
【請求項16】
前記第1のネジ部は、前記回転軸の外周面に形成される雄ネジ部であり、
前記第2のネジ部は、前記位置変更部材の内周面に形成される雌ネジ部であり、
前記固定部材は、前記位置変更部材と前記回転体とを軸線方向に関して固定するように構成される、
請求項2に記載の回転式流体機械。
【請求項17】
前記固定部材は、頭部と軸部とを備えるネジ部材であり、前記回転体は、前記回転体の後面で開口し軸線方向に延在するネジ穴を有し、前記位置変更部材は、前記ネジ部材の頭部と前記後面との間で締め付けられるように構成されている、
請求項16に記載の回転式流体機械。
【請求項18】
前記位置変更部材の軸方向端面は、前記回転体を軸線方向に押圧可能な押圧面を有する、
請求項16または17に記載の回転式流体機械。
【請求項19】
前記回転軸は、回転軸本体と前記回転軸本体の外周面を覆うスリーブ部材とを備えており、
前記位置変更部材は、前記スリーブ部材の周囲に配置されている、
請求項1〜18のいずれか一項に記載の回転式流体機械。
【請求項20】
前記回転式流体機械は、ポンプであり、前記回転体は、羽根車である、
請求項1〜19のいずれか一項に記載の回転式流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転式流体機械の一例としてのポンプにおいて、回転軸と、回転軸によって駆動される回転体としての羽根車との固定は、羽根車のボス部に挿通させた回転軸の端部に羽根止めナットを取り付けることにより行われる。図7は、従来のポンプの一例を示す部分側断面図である。図7に示すポンプ100は、回転軸102と、回転軸102によって駆動される羽根車104と、を有する。回転軸102は、モータ(図示せず)に結合されて回転する回転軸本体106と回転軸本体106の外周面を覆うように配置される保護スリーブ108とを備えることができる。保護スリーブ108は、特に、ポンプ100の取り扱い液が薬液、海水等の場合に、回転軸本体106を取り扱い液から保護するために設けることができる。
【0003】
図7中、110は、グランドパッキン等の軸封装置112が取り付けられるグランドカバーであり、114は、羽根車104を受け入れるケーシングである。グランドカバー110とケーシング114とは、図示しないボルト等により結合される。また、グランドカバー110は、モータ側(図7の左方)に延在する軸受ケーシング113とボルト等によって結合される。尚、ポンプ100の回転軸102は、モータ側の回転軸と羽根車側の回転軸(図7の例では、回転軸本体106)をカップリングで連結することにより構成されていてもよい。
【0004】
回転軸102は、グランドカバー110及び軸封装置112を通り、その先端部が、ケーシング114内に配置される羽根車104のボス部116に挿通される。羽根止めナット118が、羽根車104のボス部116から突出した回転軸本体106の先端部の全体を覆うように配置され、ボス部116に対して締め付けられる。
【0005】
ポンプ100に使用される羽根車104及び羽根止めナット118は、一般に、ポンプ100の取り扱い液(例えば、薬液、海水等)に対する耐腐食性等を考慮して、樹脂で製造される場合がある。この場合、図7に示すように、取り付けネジ部120及びキー溝形成部122を含む金属部分が、樹脂製の羽根車本体104A及びナット本体118Aに内蔵される。
【0006】
このように金属部分が内蔵された樹脂製の羽根車104及び羽根止めナット118では、製造工程中、樹脂部分が、金属部分との膨張率の差による応力を受ける。ポンプ100の組立て時、互いに締め付けられる羽根止めナット118及び羽根車104は、これらの間にシール面を形成するように切削加工される。この際、応力の影響で、シール面を形成するナット本体118Aと羽根車本体104Aの比較的薄い樹脂製の壁には、クラックが発生し易い。
【0007】
また、ポンプ100の組立て工程では、羽根車104の羽根126の前面とケーシング114との間に所定のクリアランス(図7のT)を確保する必要がある。従来、クリアランスTの調整は、回転軸102と羽根車104との間に調整シート124を配置することにより行われる。これにより、所望のクリアランスTを得るように羽根車104をその軸線方向Aに沿って移動させることができる。具体的には、いったん、ポンプ100を組立てた後に、羽根車104の吐出口からすきまゲージによって羽根車104の羽根126の前面とケーシング114との間のクリアランスTを測定し、測定値と設計値との差を求め
る。そして、求められた差に相当する厚みの調整シート124を配置する。
【0008】
調整シート124を配置するためには回転軸102と羽根車104とを分離する必要がある。このとき、従来のポンプ100では、羽根止めナット118を取り外し、回転軸102と羽根車104を分離した後に調整シート124の厚みを調整し、その後、再度羽根止めナット118を締め付けて回転軸102と羽根車104を固定する。従来のポンプ100では、クリアランスTの調整のために、このようなポンプ100の分解・組み立て作業を繰り返す必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一実施形態は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、羽根止めナットを使用する必要がないポンプを提供することである。また、本発明の一実施形態の目的の一つは、回転軸に対する回転体の軸線方向位置を容易に調整することができる回転式流体機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、回転軸と、回転軸によって駆動される回転体と、回転軸の周囲に配置され、回転軸に対する回転体の軸線方向位置を変更する位置変更部材と、回転軸に対する位置変更部材の位置を固定する固定部材と、を備え、位置変更部材及び固定部材は、回転体の後面側に配置されている、回転式流体機械が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態によるポンプの概略部分側断面図である。
図1A図1の部分拡大詳細図である。
図2A】第1実施形態の位置変更部材の軸方向端面図である。
図2B】第1実施形態の位置変更部材の側断面図である。
図3】本発明の第2実施形態によるポンプの概略部分側断面図である。
図3A】第2実施形態の位置変更部材の側断面図である。
図4】第2実施形態の位置変更部材の軸方向端面図である。
図5】本発明の第3実施形態によるポンプの概略部分側断面図である。
図6】本発明の第4実施形態によるポンプの概略部分側断面図である。
図6A】第4実施形態の固定部材を取り除いた図である。
図6B図6Aに示す固定部材の取付け部の拡大詳細図である。
図6C】本発明の第5実施形態によるポンプの概略部分側断面図である。
図6D】本発明の第6実施形態によるポンプの概略部分側断面図である。
図6E】第6実施形態の固定ロッドを取り除いた図である。
図6F図6Eに示す固定ロッドの取り付け方法を説明する図である。
図7】従来のポンプの回転軸に対する羽根車の固定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明はあくまでも一例を示すものであって、本願発明の技術的範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。また、図面では、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、以下に説明される本発明の各実施形態において、回転式流体機械の一例としてポンプが説明され、ポンプの一例として、回転軸が実質的に水平になるように設置面に配置される横軸ポンプが説明される。「上」、「下」等の方向を示す用語は、横軸ポンプの設置状態における方向を意味する。また、「前」、「後」は、ポンプの回転軸の長さ方向に沿う前後方向を意味する。「前」は、回転軸を駆動するモータから離れる方向を意味し、「後」は、その反対方向(すなわち、モータに向かう方向)を意味す
る。しかし、本発明の他の実施形態によれば、回転式流体機械はポンプに限られない。また、ポンプは、立軸ポンプでもよく、ポンプの設置状態における回転軸の向きは特に限られない。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態によるポンプ1の概略部分側断面図を示す。図1Aは、図1の詳細拡大図である。ポンプ1は、回転軸2と、回転軸2によって駆動される羽根車4と、を有する。羽根車4は、ケーシング18に受け入れられ、軸線Aを有する。回転軸2は、モータ(図示せず)に結合されて回転する回転軸本体6と回転軸本体6の外周面を部分的に覆うように配置される保護スリーブ8とを備える。保護スリーブ8は、従来、ポンプ1の取り扱い液が薬液または海水等である場合に、回転軸本体6を取り扱い液から保護するために設けることができる部材である。保護スリーブ8は、取付けネジ等によって回転軸本体6に固定することができる。しかし、後述するように、本発明の他の実施形態では、保護スリーブ8は、設けられていなくてもよい。
【0014】
回転軸本体6は、キー(図示せず)が挿入されるキー溝24が形成された外周面を有する小径部6Bと、小径部6Bに隣接する大径部6Cとを有する。キーは、回転軸本体6と羽根車4との間に配置される回り止め用の部材である。キーは、回転軸本体6のキー溝24と、羽根車4に形成されキー溝24に対向するように配置されるキー溝(図示せず)に嵌め込まれる。これにより、回転軸本体6と羽根車4とは、互いに回転不能に固定される。保護スリーブ8は、大径部6Cと小径部6Bとの間で終端する。25は、保護スリーブ8の内周面に形成された溝に配置されるOリングである。
【0015】
羽根車4は、樹脂で形成される羽根車本体4Aと、羽根車本体4Aに内蔵される、上記のキー溝を形成する金属部分14と、を備える。羽根車4は、その後面3で開口し、回転軸2を受け入れる穴部10を有する。ここで、「羽根車の後面」とは、羽根車の軸線方向において、回転軸を駆動するモータが配置される側(図1の左側)の表面を意味する。回転軸2は、グランドカバー20に配置されたグランドパッキン22等の軸封装置を通り、回転軸本体6の小径部6Bが羽根車4の穴部10に配置される。
【0016】
穴部10は、金属部分14を貫通し、羽根車4の前面の中央突起12の内部で終端する。換言すれば、穴部10は、回転軸2を挿通させることなく、ケーシング18に向けて閉じられた端部を有している。また、穴部10は、金属部分14の後端で拡径し、回転軸本体6の小径部6Bの周囲の保護スリーブ8を受け入れる。29は、穴部10の内周面に形成された溝に配置されるOリングである。
【0017】
また、従来技術と同様に、グランドカバー20は、羽根車4を受け入れるケーシング18及びモータ側(図1の左方)に延在する軸受ケーシング26の各々と、ボルト等により結合されることができる。
【0018】
本実施形態では、羽根車4の後面3側の回転軸2の周囲に位置変更部材7が設けられている。位置変更部材7は、回転軸2に対する羽根車4の軸線方向位置(換言すれば、軸線Aに沿う方向における位置)を変更するように構成されている。図1Aは、位置変更部材7及びその近傍を拡大して示す。図2Aは、図1に示す位置変更部材7の軸方向端面図(具体的には、モータ側(図1の左方)から見た図)であり、図2Bは、図1AのB−B線に沿う側断面図である。
【0019】
本実施形態では、位置変更部材7は、保護スリーブ8の周囲に配置されている。図2Aに示すように、位置変更部材7は、環状の形態を有し、その内周面に雌ネジ部9を備えている。これに対応して、保護スリーブ8の外周面には、雌ネジ部9とかみ合う雄ネジ部1
1が形成されている。位置変更部材7は、雌ネジ部9と雄ネジ部11を介して保護スリーブ8に螺合される。従って、位置変更部材7を回転させることによって、位置変更部材7を保護スリーブ8に沿って軸線Aに沿う方向(以下、軸線方向A)に移動させることができる。保護スリーブ8の周囲に配置される位置変更部材7及び後述する固定部材17を受け入れるように、羽根車4の穴部10はさらに拡径され、これにより、羽根車4の後面3に凹部13が形成されている。
【0020】
位置変更部材7における、羽根車4の後面3(具体的には、凹部13の底面)に対向する軸方向端面15(図2B参照)は、羽根車4を軸線方向Aに押圧する押圧面を形成することができる。従って、位置変更部材7が回転しながら軸線方向Aに移動する間、押圧面15によって羽根車4を軸線方向Aに押圧することができる。これにより、羽根車4の軸線方向位置を変更することができる。
【0021】
ポンプ1は、さらに、回転軸2に対する位置変更部材7の位置を固定する固定部材17を備えている。固定部材17は、羽根車4の後面3側に配置される。図1及び図1Aに示すように、本実施形態では、固定部材17は、一例として、止めネジ(換言すれば、ネジ部材)である。止めネジ17は、その軸部が、軸線方向Aを向くように配置される。止めネジ17の頭部は、位置変更部材7の軸方向端面16(図2B参照)に接触することができる。尚、図示の例では、位置変更部材7における、羽根車4の後面3と反対側の軸方向端面16が段部7Aを形成しており、止めネジ17の頭部は段部7Aに接触するように構成されている。しかし、位置変更部材7の軸方向端面16は、段部7Aを含まない全体に平坦な表面であってもよい。
【0022】
羽根車4の後面3(具体的には、凹部13の底面)には、止めネジ17に対応するネジ穴19が形成されている。ネジ穴19は、後面3で開口し軸線方向Aに延在する。止めネジ17をネジ穴19にねじ込むことによって、位置変更部材7を羽根車4の後面3に押し付け、羽根車4に固定することができる。具体的には、位置変更部材7は、止めネジ17の頭部と羽根車4との間で締め付けられる。上記したように、羽根車4と回転軸2とは、キー結合により互いに対して回転不能に固定されている。従って、位置変更部材7を羽根車4に固定することによって、位置変更部材7の回転軸2に対する回転が阻止される(換言すれば、回転軸2に対する位置変更部材7の回転位置が固定される)。従って、回転軸2に対する位置変更部材7の軸線方向位置が固定される。また、位置変更部材7と羽根車4とは、止めネジ17によって軸線方向Aで固定されるので、羽根車4の軸線方向位置も固定される。尚、固定部材17は、必ずしも図示のような止めネジでなくてもよい。固定部材17は、位置変更部材7が回転軸2に対して移動することを阻止できるように構成された部材であればよい。
【0023】
第1実施形態において、羽根車4の羽根28の前面とケーシング18との間のクリアランスTの調整は、例えば次のような手順で行うことができる。
(1)ポンプ1を組立てる。
(2)羽根車4の吐出口(図示せず)からすきまゲージによってクリアランスTを測定する。
(3)クリアランスTの測定値と設計値との差を求める。
(4)求められた差が許容値を超える場合には、ケーシング18からグランドカバー20及び軸受ケーシング26等を分離し、位置変更部材7と固定部材17を外部からアクセス可能に露出させる。
(5)固定部材17を取り外し、求められた差に対応する距離だけ位置変更部材7が前進するように、位置変更部材7を回転させる。尚、位置変更部材7の回転は、作業者の手作業で行われてもよいし、適宜の操作部材を使用して行われてもよい。
(6)再度クリアランスTの測定値と設計値との差を求め、差が許容値の範囲内である
ことを確認する。
(7)固定部材17を締め付けることにより、位置変更部材7を羽根車4に固定する。
(8)ケーシング18にグランドカバー20及び軸受ケーシング26等を取り付ける。
尚、クリアランス調整の具体的な作業手順は、上記に限られない。
【0024】
第1実施形態によれば、クリアランスTの調整作業を、位置変更部材7と位置変更部材7の位置を固定する固定部材17によって行うことができる。これにより、従来技術で使用される羽根止めナット118が不要になる。従って、ポンプ組立て時に羽根車の樹脂部にクラックが生じる問題点を回避することができる。
【0025】
また、従来技術で使用される調整シート124が不要になるので、クリアランスTの調整の際、調整シート124を配置するために羽根車を回転軸から分離する作業が不要になる。また、位置変更部材7と固定部材17が共に羽根車4の後面3側に配置されているので、クリアランスTの調整作業を、実質的に羽根車4の後面3側でのみ行うことができる。従って、従来技術と比較して、クリアランス調整のための作業の簡素化及び作業時間の短縮を実現することができる。
【0026】
尚、第1実施形態では、位置変更部材7の内周面に雌ネジ部9が形成され、回転軸2の外周面に雄ネジ部11が形成されている。すなわち、第1実施形態は、位置変更部材7が回転軸2と螺合するように構成されている。しかし、他の実施形態によれば、位置変更部材7は、羽根車4と螺合するように構成されてもよい。すなわち、位置変更部材7の外周面に雄ネジ部を形成し、羽根車4の内周面(例えば、凹部13の周面)に雌ネジ部を形成することができる。この場合、回転軸2に対する位置変更部材7の軸線方向移動を阻止するための停止部を、例えば回転軸2の外周面に適宜設けることができる。これにより、位置変更部材7と羽根車4とを相対回転させ、羽根車4を軸線方向Aに移動させることができる。
【0027】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態によるポンプ30の概略部分側断面図である。第2実施形態では、主に第1実施形態と異なる構成を有する部分を説明し、第1実施形態と同様の構成を有する部分については詳しい説明を省略する。
【0028】
第2実施形態では、位置変更部材27が、回転軸2Aの長さ方向に延びる全体的に筒状の形態を有する。位置変更部材27は、回転軸2Aの長さ方向における一端部にネジ部43を有しており、他端部に固定部材37が取り付けられる取付け部を有している。
【0029】
図3Aは、図3の位置変更部材27を単体で示す側断面図であり、図4は、位置変更部材27をモータ側(図3の左方)から見た軸方向端面図である。第2実施形態では、ネジ部43は、位置変更部材27の外周面に形成される雄ネジ部43である。雄ネジ部43とかみ合う雌ネジ部(符号省略)が、羽根車4の内周面(図示の例では、後面3に形成される凹部の周面)に形成されている。しかし、他の実施形態では、位置変更部材27は、雄ネジ部43の代わりに雌ネジ部を有することができ、雌ネジ部にかみ合う雄ネジ部が、回転軸2A(図示の例では保護スリーブ8A)の外周面に形成されていてよい。図3に示されるように、雄ネジ部43が形成される位置変更部材27の一端部は、羽根車4に近い側の端部(換言すれば、前端部)であり、固定部材37が取り付けられる他端部は、羽根車4から離れた側の端部(換言すれば、後端部)である。第1実施形態と同様に、第2実施形態の回転軸2Aは、モータ(図示せず)に結合されて回転する回転軸本体6Aと回転軸本体6Aの外周面を部分的に覆うように配置される保護スリーブ8Aとを備える。図3に示すように、保護スリーブ8Aは、取付けネジ32によって回転軸本体6Aに固定されることができる。しかし、他の実施形態では、保護スリーブ8Aは設けられなくてもよい。
【0030】
図3Aに示すように、位置変更部材27は、回転軸2Aの長さ方向に沿って延在するように配置される実質的に筒状の本体部40と、本体部40の長さ方向一端部で径方向外側に延びる環状の外側突出部41と、本体部40の長さ方向他端部で径方向内側に延びる環状の内側突出部42と、を備える。雄ネジ部43は、外側突出部41の外周面に形成されている。内側突出部42は、固定部材としての止めネジ37を受け入れる1つまたは複数(図示の例では4つ)のネジ穴44を備える。ネジ穴44は、回転軸2Aに向けて、位置変更部材27を径方向に貫通する。図3に示すように、内側突出部42は、保護スリーブ8Aの後端を越えた位置で回転軸本体6Aと接触するように配置される。止めネジ37は、ネジ穴44にねじ込まれることにより、その先端が回転軸本体6Aと接触する(または回転軸本体6Aに押し付けられる)ように構成されている。これにより、回転軸2Aに対する位置変更部材27の回転位置及び軸線方向位置を固定することができる。
【0031】
また、位置変更部材27の後端部は、位置変更部材27を回転するために操作される操作部として、面取り加工された表面46を含むことができる。
【0032】
図3に示されるように、位置変更部材27は、グランドパッキン22等を含む軸封装置及びグランドカバー20を通って延在する。固定部材37が配置される位置変更部材27の後端部が、軸受ケーシング26内に配置されている。軸受ケーシング26は、従来、軸封装置の目視点検等に使用される側面開口26Aを備えている。第2実施形態では、固定部材37の取り付け・取り外し、及び位置変更部材27の回転を、軸受ケーシング26の側面開口26Aを通して行うことができる。
【0033】
図3に示すように、位置変更部材27は、内側突出部42の内側表面42A(図3A参照)が保護スリーブ8Aの後端と接触するように配置されることができる。また、位置変更部材27は、外側突出部41が保護スリーブ8Aの前端に形成されたフランジ部38の内側表面38Aに接触するように配置されることができる。保護スリーブ8Aの後端及び保護スリーブ8Aのフランジ部38は、回転軸2Aの段部を形成している。上記したように、保護スリーブ8Aは、取付けネジ32によって回転軸本体6Aに固定されている。従って、後述するクリアランス調整作業において、位置変更部材27を固定する固定部材37が取り外された(または緩められた)とき、回転軸2Aの段部を形成する保護スリーブ8Aの後端及び/または保護スリーブ8Aのフランジ部38は、位置変更部材27が回転軸2A上で前進することを阻止する停止部として作用することができる。これにより、位置変更部材27の軸線方向位置を固定したまま位置変更部材27を回転させることができる。従って、羽根車4を軸線方向Aに移動させることができる。そして、固定部材37によって位置変更部材27を所望の回転位置(換言すれば、角度位置)で固定することにより、羽根車4の軸線方向位置を固定することができる。図3の例では、位置変更部材27は、軸線方向Aの2か所(すなわち、内側突出部42と外側突出部41)で保護スリーブ8Aと接触するように構成されている。換言すれば、保護スリーブ8Aの停止部が、軸線方向Aの2か所に設けられている。しかし、これは、本実施形態を限定しない。位置変更部材27と保護スリーブ8Aとは、軸線方向Aの少なくとも1か所で接触していればよい。
【0034】
第2実施形態において、羽根車4の羽根28の前面とケーシング18との間のクリアランスTの調整は、例えば次のような手順で行うことができる。
(1)ポンプ30を組立てる。
(2)羽根車4の吐出口(図示せず)からすきまゲージによってクリアランスTを測定する。
(3)クリアランスTの測定値と設計値との差を求める。
(4)求められた差が許容値を超える場合には、軸受ケーシング26の側面開口26A
から位置変更部材27にアクセスし、固定部材37を取り外す(又は緩める)。そして、求められた差に対応する距離だけ羽根車4が移動するように、位置変更部材27を回転させる。
(5)再度クリアランスTの測定値と設計値との差を求め、差が許容値の範囲内であることを確認する。
(6)固定部材37をねじ込み、位置変更部材27を固定する。
尚、クリアランス調整の作業手順は、上記に限られない。
【0035】
第2実施形態によれば、第1実施形態と実質的に同様の効果を得ることができる。さらに、第2実施形態では、位置変更部材27が回転軸2Aの長さ方向に延びているので、固定部材37を、羽根車4から離れた位置に配置することができる。また、作業者は、位置変更部材27を、羽根車4から離れた位置で操作することができる。すなわち、固定部材37の取り付け・取り外し(又はねじ込み・緩め作業)、及び位置変更部材27の回転を、軸受ケーシング26の側面開口26Aを通して行うことができる。従って、第1実施形態と異なり、固定部材37と位置変更部材27を露出させるために、ケーシング18からグランドカバー20及び軸受ケーシング26等を分離する必要がない。
【0036】
位置変更部材27の回転は、作業者の手作業で行われてもよいし、適宜操作部材を使用して行われてもよい。図4に参照して説明したように、第2実施形態では、位置変更部材27は面取り加工された操作部46を有している。操作部46は、径方向に対向する位置で面取り加工されている。例えば適宜のクランプ部材で径方向の両側から操作部46をクランプし、位置変更部材27を容易に回転させることができる。
【0037】
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態を示す。第3実施形態のポンプ50は、図1図2Bに示す第1実施形態の変形例であり、回転軸2は、保護スリーブを備えていない。従って、位置変更部材7の雌ネジ部9とかみ合うように構成される雄ネジ部11は、回転軸2を構成する回転軸本体6に形成されている。その他の構成は、第1実施形態と実質的に同様である。第3実施形態では、第1実施形態と実質的に同様の効果を得ることができる。すなわち、クリアランスTの調整作業を、位置変更部材7と位置変更部材7の位置を固定する固定部材17によって行うことができる。これにより、従来技術で使用される羽根止めナット118が不要になる。従って、ポンプ組立て時に羽根車の樹脂部にクラックが生じる問題点を回避することができる。
【0038】
また、従来技術で使用される調整シート124が不要になるので、クリアランスTの調整の際、調整シート124を配置するために羽根車を回転軸から分離する作業が不要になる。また、位置変更部材7と固定部材17が共に羽根車4の後面3側に配置されているので、クリアランスTの調整作業を、実質的に羽根車4の後面3側でのみ行うことができる。従って、従来技術と比較して、クリアランス調整のための作業の簡素化及び作業時間の短縮を実現することができる。
【0039】
第3実施形態では、位置変更部材7と回転軸2とが螺合するように、位置変更部材7に雌ネジ部9が形成され、回転軸2(具体的には、回転軸本体6)に雄ネジ部11が形成されている。しかし、第3実施形態の位置変更部材7は、羽根車4と螺合するように構成されてもよい。すなわち、位置変更部材7の外周面に雄ネジ部を形成し、羽根車4の内周面に雌ネジ部を形成することができる。この場合、回転軸2に対する位置変更部材7の軸方向移動を阻止するための停止部を、例えば回転軸2の外周面に適宜設けることができる。これにより、位置変更部材7と羽根車4とを相対回転させ、羽根車4を軸線方向Aに移動させることができる。
【0040】
[第4実施形態]
図6図6A及び図6Bは、本発明の第4実施形態を示す。図6は、第4実施形態によるポンプ70の概略部分側断面図である。図6Aは、図6に示す固定部材37を取り除いた図である。図6Bは、固定部材37の取付け部の拡大詳細図である。第3実施形態と同様に、第4実施形態では、回転軸2が保護スリーブを備えていない。第4実施形態では、位置変更部材47が、回転軸2の長さ方向に延びる全体的に筒状の形態を有する。位置変更部材47は、その長さ方向における一端部に雄ネジ部49を有しており、他端部に固定部材37が取り付けられる取付け部を有している。雄ネジ部49とかみ合うように構成された雌ネジ部(符号省略)が、羽根車4の内周面(具体的には、後面3に形成される凹部の周面)に形成されている。また、図示の例では、固定部材は、止めネジ37である。図6A及び図6Bに示すように、取付け部は、止めネジ37に対応するネジ穴48Aを有する。位置変更部材47の周方向に沿って1つ又は複数のネジ穴48Aを配置することができる。また、図6A及び図6Bに示すように、回転軸2の外周面には、周方向に延在する外周溝48Bが形成されている。外周溝48Bとネジ穴48Aとは、互いに対応する位置に配置される。外周溝48Bの幅は、止めネジ37の先端を受け入れ可能な寸法に設定される。外周溝48Bの幅を、止めネジ37の外径と実質的に等しいか、これより僅かに大きくなるように設定することが好ましい。止めネジ37をネジ穴48A及び外周溝48Bに配置することにより、回転軸2に対する位置変更部材47の軸線方向位置を固定することができる。止めネジ37を、その先端が外周溝48Bの底面と接触する(または外周溝48Bの底面に押し付けられる)までネジ穴48Aにねじ込むことにより、回転軸2に対する位置変更部材47の回転を防止することができる。止めネジ37を緩めることにより、止めネジ37を外周溝48Bに沿って移動させることができ、従って、位置変更部材47を回転軸2に対して回転させることができる。
【0041】
位置変更部材47は、グランドパッキン22等を含む軸封装置及びグランドカバー20を通って延在する。固定部材37が配置される位置変更部材47の後端部が、軸受ケーシング26内に配置されている。第2実施形態と同様に、第4実施形態では、固定部材37のねじ込み・緩め作業、及び位置変更部材47の回転を、軸受ケーシング26の側面開口26Aを通して行うことができる。
【0042】
従って、クリアランス調整時には、軸受ケーシング26の側面開口26Aから位置変更部材47にアクセスし、固定部材37を緩めることができる。そして、固定部材37の先端を外周溝48B内に配置したまま、位置変更部材47を回転させ、所望の軸線方向位置まで羽根車4を移動させることができる。このとき、固定部材37の先端が外周溝48Bに沿って移動するので、回転軸2に対する位置変更部材47の軸線方向位置が保持される。羽根車4を所望の軸線方向位置まで移動させたら、固定部材37をねじ込み、回転軸2に対する位置変更部材47の回転位置を固定することができる。これにより、羽根車4の軸線方向位置も固定される。位置変更部材47は、例えば、図4に示すような、面取り加工された操作部を有していてもよい。
【0043】
このように、第4実施形態によれば、位置変更部材47が回転軸2の長さ方向に延びているので、固定部材37を、羽根車4から離れた位置に配置することができる。また、作業者は、位置変更部材47を、羽根車4から離れた位置で操作することができる。すなわち、固定部材37のねじ込み・緩め作業、及び位置変更部材47の回転を、軸受ケーシング26の側面開口26Aを通して行うことができる。従って、固定部材37と位置変更部材47を露出させるために、ケーシング18からグランドカバー20及び軸受ケーシング26等を分離する必要がない。
【0044】
[第5実施形態]
図6Cは、本発明の第5実施形態によるポンプ80の概略部分側断面図である。第5実
施形態は、回転軸2の外周面が、固定部材37のための外周溝48Bを有しない点で、第4実施形態とは異なっている。第5実施形態では、外周溝48Bの代わりに、回転軸2の外周面に拡径した段部45が形成されている。位置変更部材47を、その後端部が段部45に接触するように配置することができる。これにより、段部45は、位置変更部材47が、回転中に軸線方向に移動することを阻止するための停止部として機能することができる。第5実施形態では、図3図3A及び図4に示す第2実施形態と同様に、止めネジ37は、位置変更部材47に形成されたネジ穴(符号省略)にねじ込まれることにより、その先端が回転軸2の外周面と接触する(または回転軸2の外周面に押し付けられる)ように構成されている。これにより、位置変更部材47の回転位置及び軸線方向位置を固定することができる。
【0045】
クリアランス調整時には、軸受ケーシング26の側面開口26Aから位置変更部材47にアクセスし、固定部材37を緩めるまたは取り外すことができる。そして、回転軸2に対して位置変更部材47を回転させ、所望の軸線方向位置まで羽根車4を移動させることができる。このとき、位置変更部材47の後端を回転軸2の段部45に接触させることにより、回転中の位置変更部材47の軸線方向位置を保持することができる。羽根車4を所望の軸線方向位置まで移動させたら、固定部材37をねじ込み、回転軸2に対する位置変更部材47の回転位置を固定することができる。これにより、羽根車4の軸線方向位置も固定される。
【0046】
[第6実施形態]
図6D図6E及び図6Fは、本発明の第6実施形態を示す。図6Dは、本発明の第6実施形態によるポンプ90の概略部分側断面図である。図6Eは、図6Dに示す固定ロッド66を取り除いた図である。図6Fは、固定ロッド66の取り付け方法を説明する図である。第6実施形態では、回転軸2が保護スリーブを備えていない。また、第6実施形態では、位置変更部材57が、回転軸2の長さ方向に延びる全体的に筒状の形態を有する。位置変更部材57は、その長さ方向における一端部に雌ネジ部59を有しており、他端部に固定部材37が取り付けられる取付け部を有している。雌ネジ部59とかみ合うように構成された雄ネジ部(符号省略)が、回転軸2の外周面に形成されている。位置変更部材57の前端面58が羽根車4の後面3(具体的には、後面3に形成される凹部の底面)に接触するように配置される。これにより、第6実施形態では、位置変更部材57の前端面58が羽根車4を軸線方向Aに押圧する押圧面を形成する。また、図示の例では、固定部材は、止めネジ37である。止めネジ37の取付け部の構成は、図3等に参照して説明した第2実施形態の取付け部と実質的に同様であるので詳しい説明は省略する。止めネジ37は、位置変更部材57に形成されたネジ穴(符号省略)にねじ込まれることにより、回転軸2と接触する(または回転軸2に押し付けられる)ことができる。これにより、位置変更部材57の回転位置(従って、軸線方向位置)を固定することができる。
【0047】
第6実施形態では、位置変更部材57は雌ネジ部59によって回転軸2と螺合するように構成されている。従って、固定部材37によって回転軸2に対する位置変更部材57の位置を固定するのみでは、羽根車4の軸線方向位置を固定することができない(羽根車4は、キー結合によって回転軸2に対して回り止めされているのみである)。従って、第6実施形態では、図6Dに示されるように、羽根車4と位置変更部材57とを軸線方向に関して互いに固定する固定ロッド66が設けられている。固定ロッド66は、位置変更部材57と羽根車4とが軸線方向で互いに対して移動することを阻止する、固定部材37とは別個の第2の固定部材である。固定ロッド66は、雄ネジが切られた外周面を有する棒状の形態を有する。
【0048】
図6E及び図6Fに示すように、羽根車4(具体的には羽根車本体4A)は、軸線方向Aを横切る方向に延在し、羽根車4の周方向に沿って配置される1つ又は複数のネジ穴6
4を有する。また、位置変更部材57は、外周溝62を有する。図6E及び図6Fに示すように、外周溝62とネジ穴64とは、互いに対応する位置に配置される。外周溝62の幅は、固定ロッド66の先端を受け入れ可能な寸法に設定される。外周溝62の幅を、固定ロッド66の先端の外径と実質的に等しいか、またはこれより僅かに大きくなるように設定することが好ましい。固定ロッド66は、ネジ穴64にねじ込まれたとき、その先端が外周溝62内に位置するように構成される。外周溝62によって、位置変更部材57は、羽根車4に対して回転可能である。
【0049】
尚、図示の例では、固定ロッド66の外周溝62内に挿入される先端部にネジは切られていない。しかし、固定ロッド66が外周溝62に沿って移動できる限り、固定ロッド66は、ネジが切られた先端部を有していてもよい。また、他の実施形態によれば、回転軸2は、外周溝62と共に、第5実施形態の段部45を備えていてもよい。
【0050】
クリアランス調整時には、軸受ケーシング26の側面開口26Aから位置変更部材57にアクセスし、固定部材37を緩めるまたは取り外すことができる。そして、回転軸2に対して位置変更部材57を回転させることができる。このとき、固定ロッド66が外周溝62に沿って移動することができる。位置変更部材57は、その前端面58によって羽根車4を押圧しながら回転軸2に対して前進することができる。これにより、所望の軸線方向位置まで羽根車4を前進させることができる。羽根車4を所望の軸線方向位置まで移動させたら、固定部材37をねじ込み、回転軸2に対する位置変更部材57の回転位置(従って、回転軸2に対する位置変更部材57の軸線方向位置)を固定することができる。これにより、羽根車4の軸線方向位置も固定される。位置変更部材57は、例えば、図4に示すような、面取り加工された操作部を有していてもよい。
【0051】
このように、第6実施形態によれば、位置変更部材57が回転軸2の長さ方向に延びているので、固定部材37を、羽根車4から離れた位置に配置することができる。また、作業者は、位置変更部材57を、羽根車4から離れた位置で操作することができる。すなわち、固定部材37のねじ込み・緩め作業、及び位置変更部材57の回転を、軸受ケーシング26の側面開口26Aを通して行うことができる。従って、固定部材37と位置変更部材57を露出させるために、ケーシング18からグランドカバー20及び軸受ケーシング26等を分離する必要がない。
【0052】
尚、図6Dに示す固定部材37と固定ロッド66の組み合わせは、図1図2B及び図5に示す位置変更部材7にも適宜適用することができる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0054】
本発明は、以下の態様を含む。
1.回転軸と、
回転軸によって駆動される回転体と、
回転軸の周囲に配置され、回転軸に対する回転体の軸線方向位置を変更する位置変更部材と、
回転軸に対する位置変更部材の位置を固定する固定部材と、を備え、
位置変更部材及び固定部材は、回転体の後面側に配置されている、
回転式流体機械。
2.回転体は、回転軸を受け入れる穴部を画定する内周面を有し、
回転軸の外周面及び回転体の内周面のうちの一方に第1のネジ部が形成されており、
位置変更部材は、第1のネジ部とかみ合う第2のネジ部を有する、
上記1.に記載の回転式流体機械。
3.位置変更部材は、回転軸の長さ方向に延びており、
位置変更部材は、回転軸の長さ方向における一端部に、第2のネジ部を有しており、回転軸の長さ方向における他端部に、固定部材が取り付けられる取り付け部を有している、上記2.に記載の回転式流体機械。
4.一端部は、回転体に近い側の端部であり、他端部は、回転体から離れた側の端部である、
上記3.に記載の回転式流体機械。
5.位置変更部材の外周面は、操作部材により操作される操作部を含み、操作部は面取り加工されている、
上記3.または4.に記載の回転式流体機械。
6.第1のネジ部は、回転軸の外周面に形成される雄ネジ部であり、
第2のネジ部は、位置変更部材の内周面に形成される雌ネジ部である、
上記3.〜5.のいずれかに記載の回転式流体機械。
7.固定部材は、ネジ部材であり、位置変更部材は、回転軸に向けて位置変更部材を径方向に貫通するネジ穴を有する、
上記6.に記載の回転式流体機械。
8.固定部材が、第1の固定部材であり、回転式流体機械は、位置変更部材と回転体とを軸線方向に関して固定する第2の固定部材を備える、
上記7.に記載の回転式流体機械。
9.第2の固定部材は、雄ネジ部を有するロッド状部材であり、回転体は、位置変更部材に向けて回転体を径方向に貫通するネジ穴を有し、位置変更部材は、ロッド状部材の先端を受け入れ可能な外周溝を有する、
上記8.に記載の回転式流体機械。
10.位置変更部材の軸方向端面は、回転体を軸線方向に押圧可能な押圧面を有する、
上記6.〜9.のいずれかに記載の回転式流体機械。
11.第1のネジ部は、回転体の内周面に形成される雌ネジ部であり、
第2のネジ部は、位置変更部材の外周面に形成される雄ネジ部である、
上記3.〜5.のいずれかに記載の回転式流体機械。
12.固定部材は、ネジ部材であり、位置変更部材は、回転軸に向けて位置変更部材を径方向に貫通するネジ穴を有する、
上記11.に記載の回転式流体機械。
13.回転軸に、回転軸に対する位置変更部材の軸線方向移動を阻止する停止部が設けられている、
上記12.に記載の回転式流体機械。
14.停止部は、回転軸の外周面に形成された段部である、
上記13.に記載の回転式流体機械。
15.停止部は、回転軸の外周面に形成された、ネジ部材の先端を受け入れ可能な外周溝である、
上記13.に記載の回転式流体機械。
16.第1のネジ部は、回転軸の外周面に形成される雄ネジ部であり、
第2のネジ部は、位置変更部材の内周面に形成される雌ネジ部であり、
固定部材は、位置変更部材と回転体とを軸線方向に関して固定するように構成される、上記2.に記載の回転式流体機械。
17.固定部材は、頭部と軸部とを備えるネジ部材であり、回転体は、回転体の後面で開口し軸線方向に延在するネジ穴を有し、位置変更部材は、ネジ部材の頭部と後面との間で締め付けられるように構成されている、
上記16.に記載の回転式流体機械。
18.位置変更部材の軸方向端面は、回転体を軸線方向に押圧可能な押圧面を有する、
上記16.または17.に記載の回転式流体機械。
19.回転軸は、回転軸本体と回転軸本体の外周面を覆うスリーブ部材とを備えており、位置変更部材は、スリーブ部材の周囲に配置されている、
上記1.〜18.のいずれかに記載の回転式流体機械。
20.回転流体機械は、ポンプであり、回転体は、羽根車である、
上記1.〜19.のいずれかに記載の回転式流体機械。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、回転軸と、回転軸によって駆動される回転体を備える各種流体機械に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
A 軸線
T クリアランス
1 ポンプ
2 回転軸
2A 回転軸
3 後面
4 羽根車
4A 羽根車本体
6 回転軸本体
6A 回転軸本体
6B 小径部
6C 大径部
7 位置変更部材
7A 段部
8 保護スリーブ
8A 保護スリーブ
9 雌ネジ部
10 穴部
11 雄ネジ部
12 中央突起
13 凹部
14 金属部分
15 軸方向端面(押圧面)
16 軸方向端面
17 固定部材
18 ケーシング
19 ネジ穴
20 グランドカバー
22 グランドパッキン
24 キー溝
25 Oリング
26 軸受ケーシング
26A 側面開口
27 位置変更部材
28 羽根
29 Oリング
30 ポンプ
32 取付けネジ
37 固定部材
38 フランジ部
38A 内側表面
40 本体
41 外側突出部
42 内側突出部
42A 内側表面
43 雄ネジ部
44 ネジ穴
45 段部
46 操作部
47 位置変更部材
48A ネジ穴
48B 外周溝
49 雄ネジ部50 ポンプ
57 位置変更部材
58 前端面(押圧面)
59 雌ネジ部
62 外周溝
64 ネジ穴
66 固定ロッド
70 ポンプ
80 ポンプ
90 ポンプ
100 ポンプ
102 回転軸
104 羽根車
104A 羽根車本体
106 回転軸本体
108 保護スリーブ
110 グランドカバー
112 軸封装置
113 軸受ケーシング
114 ケーシング
116 ボス部
118 羽根止めナット
118A ナット本体
120 取り付けネジ部
122 キー溝形成部
124 調整シート
126 羽根
図1
図1A
図2A
図2B
図3
図3A
図4
図5
図6
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7