特開2020-46235(P2020-46235A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2020-46235人物における端末の装着位置を推定するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-46235(P2020-46235A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】人物における端末の装着位置を推定するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20200303BHJP
【FI】
   G01S5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-173188(P2018-173188)
(22)【出願日】2018年9月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】星 尚志
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062BB05
5J062CC15
5J062CC18
5J062FF02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人物における端末の装着位置を推定するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】複数のエリアそれぞれに対応した発信機と、人物に装着された端末と、各エリアに人物動線が存在する時間帯を検知する人物検知装置と、エリアに存在する人物動線の人物における当該端末の装着位置を推定する装着位置推定装置とを有する。装着位置推定装置は、エリア毎に、検索対象となる複数の発信機の発信機IDを登録したマップテーブルと、当該エリアに人物動線が存在する時間帯に、当該エリアにおける発信機IDの広報パケットを受信した対象端末と当該人物動線とを対応付ける人物動線対応付け手段と、対象端末について、マップテーブルを用いて当該エリアに対応する発信機IDを検索する発信機ID検索手段と、当該エリアに存在する人物は、当該対象端末を、受信強度が相対的に高い発信機側の位置に装着していると推定する装着位置推定手段とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアそれぞれに対応した異なる発信機ID(IDentifier)を含む広報パケットを発信する発信機と、
人物に装着された状態で、前記広報パケットを受信する端末と、
撮影装置を用いて、各エリアに人物動線が存在する時間帯を検知する人物検知装置と、
前記端末から前記広報パケットの発信機ID、端末ID及び受信強度を取得し、エリアに存在する人物動線の人物における当該端末の装着位置を推定する装着位置推定装置と
を有するシステムであって、
前記装着位置推定装置は、
エリア毎に、検索対象となる複数の発信機の発信機IDを登録したマップテーブルと、
当該エリアに人物動線が存在する時間帯に、当該エリアにおける発信機IDの広報パケットを受信した対象端末と当該人物動線とを対応付ける人物動線対応付け手段と、
前記対象端末について、前記マップテーブルを用いて当該エリアに対応する発信機IDを検索する発信機ID検索手段と、
当該エリアに存在する人物は、当該対象端末を、受信強度が相対的に高い発信機側の位置に装着していると推定する装着位置推定手段と
を有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記人物検知装置は、当該エリアで検知された人物の人数が、所定数以下である場合にのみ、前記時間帯を検知する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記装着位置推定装置の前記人物動線対応付け手段について、前記対象端末は、当該エリアにおける発信機IDの広報パケットを最も多く受信した端末、又は、当該エリアにおける発信機IDの広報パケットを相対的に高い受信強度で受信した端末である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記撮影装置は、各エリアを撮影するカメラ、又は、各エリアに光波を照射するLIDER(light detection and ranging)である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記人物検知装置は、当該エリアにおける人物が前向きで存在する時間帯を検知し、
前記装着位置推定装置の前記装着位置推定手段は、当該対象端末の装着位置として、人物の前向きに対して複数の側を推定する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記装着位置推定装置の前記装着位置推定手段について、前記複数の側は、人物を中心に等角度に位置する2つ以上の側である
ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記端末は、角速度センサを搭載し又は接続し、
前記人物検知装置は、検知した人物の前向きを、前記端末から受信した角速度に基づいて補正する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記端末は、角速度センサ又は加速度センサを搭載し又は接続し、
前記人物検知装置は、前記端末から受信した前記角速度又は前記加速度が所定閾値以上変化した場合、機能を停止する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
発信機及び端末は、BLE(Bluetooth Low Energy)若しくはiBeacon(登録商標)又は無線LANの同一の近距離無線規格に基づくデバイスであり、
広報パケットに含まれる発信機IDは、Advertising Packetに含まれるビーコンIDである
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
複数のエリアそれぞれに対応した異なる発信機IDを含む広報パケットを発信する発信機と、
人物に装着された状態で、前記広報パケットを受信する端末と、
各エリアに人物動線が存在する時間帯を検知する人物検知装置と、
前記端末から前記広報パケットの発信機ID、端末ID及び受信強度を取得し、エリアに存在する人物動線の人物における当該端末の装着位置を推定する装着位置推定装置と
を有するシステムの装着位置推定方法であって、
前記装着位置推定装置は、
エリア毎に、検索対象となる複数の発信機の発信機IDを登録したマップテーブルを有し、
当該エリアに人物動線が存在する時間帯に、当該エリアにおける発信機IDの広報パケットを受信した対象端末と当該人物動線とを対応付ける第1のステップと、
前記対象端末について、前記マップテーブルを用いて当該エリアに対応する発信機IDを検索する第2のステップと、
当該エリアに存在する人物は、当該対象端末を、受信強度が相対的に高い発信機側の位置に装着していると推定する第3のステップと
を有することを特徴とするシステムの装着位置推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離無線通信方式の電波を用いて、人物の位置を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内空間における人物の位置を、タグデバイスから発信された近距離無線通信方式の電波によって推定する技術がある。
室内空間の至る所に、広報パケットを発信するタグデバイスを配置する。その室内を、端末(例えばスマートフォン)を所持した人物が移動する。端末は、BLEのスキャナ機能によって、各タグデバイスに接近する度に、その広報パケットを受信する。このとき、端末は、受信した広報パケットに含まれるビーコンIDやその受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)を取得し、アクセスネットワークを介して、位置推定装置へ送信する。
【0003】
位置推定装置は、端末から受信したビーコンIDや受信強度によって、その端末を所持する人物が、どこに位置しているかを推定する。具体的には、複数の所定位置毎に、学習フェーズとして、複数のタグデバイスからのRSSIの組を事前に計測した「フィンガープリント」を用いる。このフィンガープリントとしてのタグデバイス毎の受信強度群と、現時点で受信したクエリとなるタグデバイス単位の受信強度群とを比較する。そして、最も類似するフィンガープリントの受信強度群における参照点位置を、端末を所持する人物の位置と推定する。
【0004】
他の従来技術として、ユーザの行動コンテキストの把握のために、室内空間における人物の位置を、加速度センサ等によって推定する歩行者自律航行(PDR:Pedestrian Dead Reckoning)の技術もある。
その中でも、例えば人物が腰回りのどの箇所に、端末を装着しているかを推定する技術がある(例えば非特許文献1参照)。この技術によれば、端末に搭載された加速度センサを用いて、歩行によって加速度・角速度のデータを収集し、機械学習によって識別する。
具体的には、人物の歩行に使用する各関節の角度と、加速度センサの装着位置との関係を表す関節角表データを、事前に作成する。これは、人物の腰部又は腹部に装着した加速度センサから送信される加速度データを収集し、その加速度データを平滑化して最大値及び最小値を検出する。そして、2階の時間積分を行って事前に作成したテーブルに近い位置を、加速度センサの接地点に対する位置として算出する。
【0005】
また、他の従来技術として、店内を行動する人物の動線を解析する技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、動線解析装置が店内を撮影した映像に含まれる人物を追跡することにより、当該移動体に対応する動線を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−258782号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「加速度・角速度を用いたセンサデバイスの装着位置・方向推定手法」、情報処理学会第74回全国大会 6X-6、[online]、[平成30年9月10日検索]、インターネット<URL:https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_action_common_download&item_id=110210&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
端末を所持する人物が、室内の同じ位置にいても、人物が装着する端末の位置によっては、タグデバイスから受信する電波強度が異なるという現象がある。端末からみて、タグデバイスからの受信強度が、見通しが良い状態なのか、遮蔽物が介在した状態なのかを認識することはできない。
1つの原因として、端末を装着する人物自身が、タグデバイスから受信する電波に対する遮蔽物となる場合がある。例えば、人物が端末を左側に装着している場合、見通しの良い左側のタグデバイスからの電波強度は高くても、人物自身が遮蔽物となった右側のタグデバイスからの電波強度は低くなる。結果的に、推定される人物の位置も、大きく誤る可能性がある。
【0009】
しかしながら、前述した非特許文献1によって人物における端末の装着位置を推定しようとしても、事前学習が必要であると共に、歩行していないと識別できないという問題点がある。また、非特許文献1は、人物の動き(歩く、走る、階段上る、階段下る)に影響を与えるであろう、腰周辺の装着位置を推定しようとしたものである。
これに対し、本願の発明者は、電波の受信強度に影響を与えるであろう、人物における端末の装着位置を推定する必要があると考えた。
【0010】
そこで、本発明は、人物における端末の装着位置を推定するシステム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、複数のエリアそれぞれに対応した異なる発信機ID(IDentifier)を含む広報パケットを発信する発信機と、
人物に装着された状態で、広報パケットを受信する端末と、
各エリアに人物動線が存在する時間帯を検知する人物検知装置と、
端末から広報パケットの発信機ID、端末ID及び受信強度を取得し、エリアに存在する人物動線の人物における当該端末の装着位置を推定する装着位置推定装置と
を有するシステムであって、
装着位置推定装置は、
エリア毎に、検索対象となる複数の発信機の発信機IDを登録したマップテーブルと、
当該エリアに人物動線が存在する時間帯に、当該エリアにおける発信機IDの広報パケットを受信した対象端末と当該人物動線とを対応付ける人物動線対応付け手段と、
対象端末について、マップテーブルを用いて当該エリアに対応する発信機IDを検索する発信機ID検索手段と、
当該エリアに存在する人物は、当該対象端末を、受信強度が相対的に高い発信機側の位置に装着していると推定する装着位置推定手段と
を有することを特徴とする。
【0012】
本発明のシステムにおける他の実施形態によれば、
人物検知装置は、当該エリアで検知された人物の人数が、所定数以下である場合にのみ、時間帯を検知することも好ましい。
【0013】
本発明のシステムにおける他の実施形態によれば、
装着位置推定装置の人物動線対応付け手段について、対象端末は、当該エリアにおける発信機IDの広報パケットを最も多く受信した端末、又は、当該エリアにおける発信機IDの広報パケットを相対的に高い受信強度で受信した端末である
ことも好ましい。
【0014】
本発明のシステムにおける他の実施形態によれば、
撮影装置は、各エリアを撮影するカメラ、又は、各エリアに光波を照射するLIDER(light detection and ranging)である
ことも好ましい。
【0015】
本発明のシステムにおける他の実施形態によれば、
人物検知装置は、当該エリアにおける人物が前向きで存在する時間帯を検知し、
装着位置推定装置の装着位置推定手段は、当該対象端末の装着位置として、人物の前向きに対して複数の側を推定する
ことも好ましい。
【0016】
本発明のシステムにおける他の実施形態によれば、
装着位置推定装置の装着位置推定手段について、複数の側は、人物を中心に等角度に位置する2つ以上の側である
ことも好ましい。
【0017】
本発明のシステムにおける他の実施形態によれば、
端末は、角速度センサを搭載し又は接続し、
人物検知装置は、検知した人物の前向きを、端末から受信した角速度に基づいて補正する
ことも好ましい。
【0018】
本発明のシステムにおける他の実施形態によれば、
端末は、角速度センサ又は加速度センサを搭載し又は接続し、
人物検知装置は、端末から受信した角速度又は加速度が所定閾値以上変化した場合、機能を停止する
ことも好ましい。
【0019】
本発明のシステムにおける他の実施形態によれば、
発信機及び端末は、BLE(Bluetooth Low Energy)若しくはiBeacon(登録商標)又は無線LANの同一の近距離無線規格に基づくデバイスであり、
広報パケットに含まれる発信機IDは、Advertising Packetに含まれるビーコンIDである
ことも好ましい。
【0020】
本発明によれば、複数のエリアそれぞれに対応した異なる発信機IDを含む広報パケットを発信する発信機と、
人物に装着された状態で、広報パケットを受信する端末と、
各エリアに人物動線が存在する時間帯を検知する人物検知装置と、
端末から広報パケットの発信機ID、端末ID及び受信強度を取得し、エリアに存在する人物動線の人物における当該端末の装着位置を推定する装着位置推定装置と
を有するシステムの装着位置推定方法であって、
装着位置推定装置は、
エリア毎に、検索対象となる複数の発信機の発信機IDを登録したマップテーブルを有し、
当該エリアに人物動線が存在する時間帯に、当該エリアにおける発信機IDの広報パケットを受信した対象端末と当該人物動線とを対応付ける第1のステップと、
対象端末について、マップテーブルを用いて当該エリアに対応する発信機IDを検索する第2のステップと、
当該エリアに存在する人物は、当該対象端末を、受信強度が相対的に高い発信機側の位置に装着していると推定する第3のステップと
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のシステム及び方法によれば、人物における端末の装着位置を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明におけるシステム構成図である。
図2】人物が存在する室内空間を表すフロアマップである。
図3】人物動線対応付け部の処理を表す説明図である。
図4】発信機ID検索部及び装着位置推定部の処理を表す説明図である。
図5】端末の装着位置に基づく電波の受信強度を表す説明図である。
図6】端末の装着位置に基づく電波の受信強度の矛盾を表す説明図である。
図7】発信機ID毎の受信強度を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0025】
図1によれば、店舗の室内で、店員が、カウンタを介して顧客に商品説明をしている状況が表されている。ここで、行動認識対象となる人物が店員である場合、その店員における端末の装着位置を推定することによって、その店員に対する近距離無線通信方式の電波を用いた行動認識の精度を高めることができる。
【0026】
図1のシステムによれば、装着位置推定装置1と、発信機2と、端末3と、人物検知装置4と、撮影装置5とを有する。
【0027】
[発信機2]
発信機2は、複数のエリアそれぞれに設置され、エリア毎に異なる発信機ID(IDentifier)を含む広報パケットを発信する。
発信機2は、近距離無線通信方式のタグデバイスであって、広報パケット(Advertising Packet)を常時発信している。近距離無線通信方式としては、例えばBluetooth(登録商標)やZigbee(登録商標)、又は、無線LANが用いられる。その中でも、特に電波の到達範囲が狭いBLE(Bluetooth Low Energy)」が適する。低消費電力版Bluetoothとして、1/3程度の電力で動作するために、ボタン電池であっても数年稼働する。また、広報パケットは、例えば100ms(規格として20ms〜10.24s)の間隔で、周期的に送信される。尚、Apple社のiOS7以降のOSに基づくiBeacon(登録商標)も、BLEに基づくものである。
BLE規格によれば、発信機2は「advertiser」として機能し、広報パケットには、発信機IDとして「ビーコンID」が含められる。ビーコンIDは、タグモジュールを識別するUUID(Universally Unique Identifier)を含む。
【0028】
図2は、人物が存在する室内空間を表すフロアマップである。
【0029】
図2によれば、店舗の室内空間は、複数のエリアに区分されている。例えば、カウンタ毎に、店員が滞在(着席)するエリアSと、顧客が滞在(着席)するエリアCとが分割されている。そして、行動認識対象が店員であるとすると、各エリアSに、人物が存在しているか否かが認識される。
【0030】
各エリアのカウンタの上(又は下)に、発信機2が配置されている。
また、エリアとビーコンIDとを対応付けた「マップテーブル」が既定されている。
図2によれば、マップテーブルには、エリアID毎に、少なくとも2つの発信機から発信されるビーコンIDが対応付けられている。
以下では、人物が自身の左側又は右側に、端末3を装着している場合を例として説明する。
・当該エリアに人物が滞在する場合に当該人物の左側となる発信機のビーコンID
・当該エリアに人物が滞在する場合に当該人物の右側となる発信機のビーコンID
尚、装着位置は、左右の2つの側に限られることなく、前後左右の4つの側や、人物の前向きに対して複数の側(例えば、人物を中心に等角度に位置する側)としてもよい。
図2によれば、例えばエリアS4には、人物が滞在する場合に当該人物の左側となる発信機のビーコンID:b4と、当該人物の右側となる発信機のビーコンID:b5とが対応付けられている。
【0031】
[端末3]
端末3は、人物に装着された状態で、広報パケットを受信する。端末3は、行動認識対象の人物である店員に所持された、例えばスマートフォンのようなものである。店員が、端末3を装着した状態で室内を移動することによって、端末3は、近接した発信機2から発信された広報パケットを受信する。即ち、端末3は、例えばBLE規格におけるスキャナとして機能する。
端末3は、その広報パケットに含まれるビーコンID(発信機ID)及び受信強度を取得する。そして、端末3は、広報パケットを受信する毎に記録された「受信時刻」「端末ID」「ビーコンID」「受信強度」を含むデータを、装着位置推定装置1へ送信する。
【0032】
他の実施形態として、端末3は、角速度センサ又は加速度センサを搭載し又は接続したものであってもよい。
端末3を所持した人物にとって、急に向きを変えた場合、大きい値の角速度が検知される。角速度とは、単位時間あたりの回転角である。人物が端末3を装着した状態で、人物が向きを変えたということは、端末3によって検知される各発信機からの広報パケットの受信強度も変化することとなる。
また、端末3を所持した人物が、着席しているときには加速度の変化が小さいのに対して、急に立ち上がった場合、大きい値の加速度が検知される。人物が端末3を装着した状態で、人物が急に立ち上がったということは、端末3によって検知される各発信機からの広報パケットの受信強度も変化することとなる。
端末3は、更に、角速度センサ又は加速度センサの計測値を、広報パケットを受信した際に送信するデータに含めて、装着位置推定装置1へ送信するものであってもよい。
【0033】
[撮影装置5]
撮影装置5は、エリア周辺の映像を撮影する。撮影装置5としては、例えば、一般的なカメラであってもよいし、レーザによる画像を検出するLIDAR(light detection and ranging)であってもよい。
例えば全方位カメラの場合、天井などに設置され、室内を撮影し、その全方位画像を人物検知装置4へ送信する。
【0034】
[人物検知装置4]
人物検知装置4は、撮影装置5によって検知された映像に基づいて、人物の動線を解析する。映像内に映り込む人物を検知し、映像上の人物検出座標と撮影領域の物理空間上の座標系とから、人物の位置を検出する。そして、その人物が移動した位置を結ぶ動線に、任意の動線IDを付与し、その動線IDの人物を追跡する。
そして、人物検知装置4は、エリア毎に、人物動線が存在する時間帯を検知する。その人物動線が存在する「エリアID」及び「時間帯」と、その人物の「動線ID」とを、装置位置推定装置1へ送信する。
例えば図2によれば、エリアS3にはその時間帯に人物動線が存在していないために「人が不在」と検知され、エリアS4にはその時間帯に人物動線が存在しているために「人が存在」と検知される。
【0035】
人物検知装置4は、当該エリアで検知された人物の人数が、所定数(例えば1人)以下である場合にのみ、時間帯を検知することが好ましい。一般的にカウンタには、店員は1人であるために、その店員についてのみ端末3の装着位置を推定することができればよい。逆に、1つのエリアに、所定数より多い(例えば2人以上)の人物が存在する場合、端末の装着位置の推定を実行しない。
【0036】
また、人物検知装置4は、当該エリアにおける人物が「前向き」で存在する時間帯を検知するものであってもよい。接客カウンタを挟んで人物同士が存在する場合、エリアS4に存在する人物は、必ずカウンタを前向きにしている。そのために、カウンタを介して人物同士(店員と顧客)が対面している場合にのみ、人物を検知することも好ましい。例えば図2のエリアS4及びC4のように、カウンタを介して両方のエリアに人物が検知された場合のみ、エリアS4の人物が前向きに存在するとして、その時間帯を検知する。
【0037】
他の実施形態として、端末3から受信するデータに、角速度及び/又は加速度が含まれている場合、人物検知装置4は、以下のように機能する。
(1)角速度を受信した場合、人物検知装置4は、検知された人物の前向きを、端末3から受信した角速度に基づいて補正する。
(2)角速度又は加速度を受信した場合、人物検知装置4は、端末3から受信した角速度又は加速度が所定閾値以上変化した場合、機能を停止する。これによって、人物が前向きとなっている時間帯のみを抽出することができる。
【0038】
[装着位置推定装置1]
装着位置推定装置1は、人物における端末3の装着位置を推定する。装着位置推定装置1は、端末3から広報パケットの「発信機ID」「端末ID」「受信強度」を取得し、人物検知装置4によって検知されたエリアに滞在する人物における当該端末の装着位置を推定する。
【0039】
図1によれば、装着位置推定装置1は、マップテーブル101と、人物動線対応付け部11と、発信機ID検索部12と、装着位置推定部13とを有する。これら機能構成部は、装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、装着位置推定方法としても理解できる。
【0040】
<人物動線対応付け部11>
人物動線対応付け部11は、当該エリアに人物動線が存在する時間帯に、当該エリアにおける発信機IDの広報パケットを受信した対象端末と当該人物動線とを対応付ける。
【0041】
図3は、人物動線対応付け部の処理を表す説明図である。
【0042】
図3(a)は、各端末が広報パケットを受信する毎に記録した「受信時刻」「端末ID」「ビーコンID」「受信強度」を表すテーブルである。
<受信時刻><端末ID><ビーコンID><受信強度>
10:00 e2 b0 -65dBm
10:01 e1 b3 -70dBm
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
【0043】
図3(b)は、エリア毎に、人物の存在を検知した時間帯を表すテーブルである。これは、人物検知装置4から受信したものである。
<人物動線ID><エリアID><時間帯>
・・・ ・・・ ・・・
201 S2 9:45−9:49
202 S4 10:00−10:10
・・・ ・・・ ・・・
【0044】
図3(c)は、図3(a)を、端末ID毎に、図3(b)の「時間帯」に区分してまとめたものである。
<端末ID><ビーコンID><平均受信強度><時間帯>
e1 b3 -80dBm 10:00−10:10
e1 b4 -65dBm 10:00−10:10
e1 b5 -70dBm 10:00−10:10
e2 b4 -75dBm 10:00−10:10
e2 b5 -70dBm 10:00−10:10
・・・ ・・・ ・・・ ・・・・・・
また、端末ID毎に、図3(b)の時間帯に受信したビーコンIDと、ビーコンID毎の平均受信強度とを対応付けている。
【0045】
図3(d)は、図3(c)から、以下のようないずれかの方法で、「対象端末」となる端末IDを選択する。
(1)当該エリアにおける発信機IDの広報パケットを相対的に多く受信した端末
(2)当該エリアにおける発信機IDの広報パケットを相対的に高い受信強度で受信した端末
具体的には、例えばエリアS4に人物が存在している時間帯に、そのエリアS4に滞在する対象端末は、ビーコンID:b4を相対的に高い受信強度で受信することとなる。
【0046】
例えば、人物検知装置4によって、エリアS4で時間帯10:00〜10:10に、人物動線ID202の人物が検知されたとする。その場合、端末ID毎に、時間帯10:00〜10:10に受信したビーコンIDを収集し、ビーコンID毎の平均受信強度を取得する。そして、エリアS4におけるその時間帯10:00〜10:10で、ビーコンID:b4の平均受信強度が相対的に高い端末ID:e1を検索する。
これによって、対象端末の端末IDに、その時間帯に滞在するエリアID及び人物動線IDを対応付ける(例えば「カウンタIDマッチング」と称す)。
【0047】
これによって、人物動線対応付け部11は、当該エリアに人物動線が存在する時間帯に、当該エリアにおける発信機IDの広報パケットを受信した対象端末と当該人物動線とを対応付けることができる。
【0048】
<発信機ID検索部12>
発信機ID検索部12は、対象端末について、マップテーブル101を用いて当該エリアに対応する発信機IDを検索する。マップテーブル101は、図2で前述したように、エリアとビーコンIDとを対応付けたものである。
【0049】
図4は、発信機ID検索部及び装着位置推定部の処理を表す説明図である。
【0050】
図4によれば、対象端末について、マップテーブル101を用いて、そのエリアS4に対応付けられた左側のビーコンID:b4と、右側のビーコンID:b5とが検索される。
【0051】
例えば、具体的に以下のように、各エリアに各発信機が配置されていたとする。
エリア3に配置された発信機の発信機ID:b3
エリア4に配置された発信機の発信機ID:b4
エリア5に配置された発信機の発信機ID:b5
この場合、エリア4に滞在する人物における対象端末の装着位置が、左側か右側かを判断するために使用されるビーコンIDは、マップテーブル101によれば、ビーコンID:b4+b5となっている。
このとき、マップテーブルは、エリア4に対して、他の対応付けとしてビーコンID:b3+b5であってもよい。
【0052】
即ち、マップテーブルに登録されるエリアIDとビーコンIDとは、エリア毎に、最適なビーコンIDが登録されていればよい。即ち、当該エリアに対して必ずしも隣接するエリアに配置された発信機のビーコンIDに限られない。また、図2のように、エリアID4について、必ずしもビーコンID:b4を含む必要性もない。勿論、エリア4に対して、その他のID:b2+b6が対応付けられていてもよい。
【0053】
<装着位置推定部13>
装着位置推定部13は、人物検知装置4によって当該エリアに存在する人物は、当該対象端末を、受信強度が相対的に高い発信機側の位置に装着していると推定する。最も簡単には、装着位置推定部13は、当該対象端末の装着位置として、人物の前向きに対して右側又は左側を推定する。
【0054】
図5は、端末の装着位置に基づく電波の受信強度を表す説明図である。
【0055】
図5によれば、エリアS4に滞在する人物(店員)が、端末3を腰に装着している。
人物が端末3を左側に装着している場合、左側の発信機のビーコンID:b4の受信強度は、右側の発信機のビーコンID:b5の受信強度よりも高くなっている。
一方で、人物が端末3を右側に装着している場合、エリアS4の右側の発信機のビーコンID:b5の受信強度は、エリアS4の左側の発信機のビーコンID:b4の受信強度よりも高くなっている。
このような広報パケットの受信強度の違いは、人物自身が電波遮蔽となっていることに基づく。
【0056】
図6は、端末の装着位置に基づく電波の受信強度の矛盾を表す説明図である。
【0057】
図6(a)によれば、人物が端末を左側に装着している場合、左側の発信機からの受信強度が、右側の発信機からの受信強度よりも高くなるのが、通常である。右側の発信機から受信強度は、人物自身の遮蔽物によって低下しているからである。
人物における端末の装着位置は左側:
左側発信機からの平均受信強度 > 右側発信機からの平均受信強度
【0058】
図6(b)によれば、人物が端末を左側に装着している場合、右側の発信機からの受信強度が、左側の発信機からの受信強度よりも大きくなるということは、矛盾する。
【0059】
図6(c)によれば、人物が端末を右側に装着している場合、右側の発信機からの受信強度が、左側の発信機からの受信強度よりも高くなるのが、通常である。左側の発信機から受信強度は、人物自身の遮蔽物によって低下しているからである。
人物における端末の装着位置は右側:
左側発信機からの平均受信強度 < 右側発信機からの平均受信強度
【0060】
図6(d)によれば、人物が端末を右側に装着している場合、左側の発信機からの受信強度が、右側の発信機からの受信強度よりも大きくなるということは、矛盾する。
【0061】
図7は、発信機ID毎の受信強度を表すグラフである。
【0062】
図7によれば、端末e1における、縦軸に受信強度[dBm]と、横軸に経過時間とが表されている。
(1)横軸には、人物検知装置4によって例えばエリアS4に人物が検知された時間帯が表されている。
(2)端末e1は、他の端末と比較して、ビーコンID:b4の平均受信強度が相対的に高いために、エリアS4には、当該端末e1を所持する人物が滞在していると判断される。ここで、前述した図2のマップテーブルを用いて、ビーコンID:b4、b5を検索し、その平均受信強度も取得される。
(3)ここでは、ビーコンID:b4の平均受信強度は、ビーコンID:b5の平均受信強度よりも高い。
(4)そのために、端末e1を所持した人物は、端末e1を左側に装着していると判定することができる。前述の説明では、左右の装着位置を判断するために、発信機の平均受信強度を用いたが、その代わりに、所定以上の受信強度の発信機からの広報パケットの受信回数(即ち、受信回数の多い方の発信機の側に装着していると判定すること)を用いてもよい。
【0063】
尚、前述した装着位置推定装置1は、例えば各店員について1日の1回、実行されればよい。端末は、それほど頻繁に付け替えるものでないためである。また、1日の中で実行する時間を固定してもよいし、任意に変化させるものであってもよい。
【0064】
以上、詳細に説明したように、本発明のシステム及び方法によれば、人物における端末の装着位置を推定することができる。
本発明によれば、端末の装着位置の推定のために、学習フェーズも必要ないし、人物自身が歩行する必要もない。特に、接客等のためにカウンタで静止する時間帯の多い店員に適する。
【0065】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0066】
1 装着位置推定装置
101 マップテーブル
11 人物端末対応付け部
12 発信機ID検索部
13 装着位置推定部
2 発信機
3 端末
4 人物検知装置
5 撮影装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7