特開2020-48268(P2020-48268A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミツバの特許一覧
特開2020-48268電動モータおよび電動モータの製造方法
<>
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000003
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000004
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000005
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000006
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000007
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000008
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000009
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000010
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000011
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000012
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000013
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000014
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000015
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000016
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000017
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000018
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000019
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000020
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000021
  • 特開2020048268-電動モータおよび電動モータの製造方法 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-48268(P2020-48268A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】電動モータおよび電動モータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20060101AFI20200303BHJP
   H02K 15/03 20060101ALI20200303BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
   H02K1/27 501C
   H02K15/03 Z
   H02K1/27 501H
   H02K15/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-172839(P2018-172839)
(22)【出願日】2018年9月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮下 直幸
【テーマコード(参考)】
5H615
5H622
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB07
5H615PP02
5H615SS04
5H615SS19
5H622CA01
5H622CA05
5H622CA10
5H622PP03
5H622PP12
5H622PP18
(57)【要約】
【課題】高品質の電動モータを歩留まり良く製造し得るようにする。
【解決手段】電動モータ10はモータケース11に収容されるステータ16と、シャフト18およびロータ本体部20を備えたロータ17とからなり、シャフト18はモータケース11に回転自在に軸支され、ロータ本体部20はステータ16の内側に配置されるリングマグネット29を有する。ロータ本体部20が挿入されるマグネットカバー53は、リングマグネット29の外周面を覆う円筒部54と、ロータ本体部20の端面51に当接する折返し部55とを有し、シャフト18にはロータ本体部20の端面52を覆うように鍔部50が設けられ、マグネットカバー53の他端部には、鍔部50の外周面に径方向に加締め付けられて軸方向の弾性力を円筒部54に発生させる締結端部69が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータケースに収容されるステータと、前記モータケースに回転自在に軸支されるシャフトと前記ステータの内側に配置されるマグネットを有するロータ本体部とを備えたロータと、からなる電動モータであって、
前記マグネットの外周面を覆う円筒部と、前記円筒部の一端部に設けられ前記ロータ本体部の一方の端面に当接する折返し部とを有するマグネットカバーと、
前記ロータ本体部の他方の端面を覆うように前記シャフトに設けられる鍔部と、を有し、
前記鍔部の外周面に径方向に加締め付けられて軸方向の弾性力を前記円筒部に発生させる締結端部を、前記マグネットカバーの他端部に設けた、電動モータ。
【請求項2】
請求項1記載の電動モータにおいて、前記マグネットの一端面と前記折返し部との間に隙間が設けられ、前記マグネットの他端面に前記鍔部が当接する、電動モータ。
【請求項3】
請求項1または2記載の電動モータにおいて、前記鍔部は前記シャフトとは別部材である、電動モータ。
【請求項4】
請求項1または2記載の電動モータにおいて、前記鍔部は前記シャフトに一体に設けられている、電動モータ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、前記マグネットはリングマグネットである、電動モータ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、前記鍔部は前記マグネットの外周面に連なる外周面と、当該外周面から軸方向外方に向けて小径となったテーパ面とを有する、電動モータ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、自動車の電動ブレーキを駆動するために使用される、電動モータ。
【請求項8】
モータケースに収容されるステータと、前記モータケースに回転自在に軸支されるシャフトと前記ステータの内側に配置されるマグネットを有するロータ本体部とを備えたロータと、からなる電動モータの製造方法であって、
円筒部と、該円筒部の一端部に一体に設けられ径方向内方に突出する折返し部とを有するマグネットカバーをプレス加工する加工工程と、
前記マグネットを有するロータ本体部と前記シャフトとを備えたロータを組み立てる組立工程と、
前記折返し部を前記ロータ本体部の一方の端面に当接させた状態のもとで、前記ロータ本体部の他方の端面を覆うように前記シャフトに設けられた鍔部の外周面に前記マグネットカバーの他端部を径方向に加締めて当該他端部に締結端部を形成し、軸方向の弾性力を前記円筒部に発生させる加締め工程と、
を有する、電動モータの製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の電動モータの製造方法において、
前記折返し部の外周部に軸方向外方に突出する凸部を設け、前記締結端部を加締め加工するときに前記凸部を収縮変形させ、前記凸部が前記円筒部に軸方向の弾性力を付加する、電動モータの製造方法。
【請求項10】
請求項8または9記載の電動モータの製造方法において、
前記ロータの前記マグネットカバーの折返し部に突き当てられる突き当て面と、前記円筒部の外周面に接触する円弧面とを備えるワーク支持治具に前記ロータを装着し、前記マグネットカバーの他端部を押圧する加締めローラを回転させながら、前記ロータの中心軸を中心に加締めローラの回転中心軸を相対的に公転運動させることにより、前記加締め工程において締結端部を形成する、電動モータの製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の電動モータの製造方法において、
前記ロータに前記突き当て面に向かう方向の押圧力を押圧部材により加え、前記折返し部の外周部に設けられ軸方向外方に突出する凸部を前記突き当て面により前記加締め工程において収縮変形させる、電動モータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトのマグネット装着部に直接またはロータコアを介して装着されるマグネットを有する電動モータおよび電動モータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータには、電機子巻線が設けられてモータケースに収容されるステータと、モータケースに回転自在に軸支されるシャフトと、シャフトに装着され、ステータの内側に配置されるマグネット、つまり永久磁石とからなるインナーロータ型がある。インナーロータ型の電動モータには、シャフトのマグネット装着部に直接マグネットが装着される形態と、シャフトのマグネット装着部にロータコアを介してマグネットが装着される形態とがある。
【0003】
マグネットカバーによりマグネットを覆うことにより、マグネットを保護するようにした電動モータが特許文献1、2に記載されている。特許文献1に記載された電動モータは、マグネットの外周を覆う円筒部と、円筒部の一端部から折り曲げられた第1の挟持部と、円筒部の他端部から折り曲げられた第2の挟持部とを有するロータカバーつまりマグネットカバーを有している。底部側の第1の挟持部が形成されたマグネットカバー内に、ロータコアとマグネットからなるロータコアユニットが収容された状態のもとで、開口端側の第2の挟持部が押圧加工される。両方の挟持部はマグネットの端面に密着される。
【0004】
特許文献2に記載される電動モータは、それぞれ断面カップ形状の2つのマグネットカバーを有し、一方のマグネットカバーはマグネットの軸方向一方側を覆い、他方のマグネットカバーは、マグネットの軸方向他方側を覆う。それぞれのマグネットカバーの折り曲げ片には、ロータコアに形成された肉盗み部に嵌合され、マグネットカバーはマグネットに対して回転することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−28837号公報
【特許文献2】特開2008−295140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるように、開口端側の第2の挟持部を押圧加工するために、ロータコアユニットを外型に配置し、外側コレットと内側コレットとによりマグネットカバーの開口端部を挟んで径方向内方に引っ張っている。第2の挟持部はマグネットの外周エッジ部の部分を基端部として円筒部に対して直角方向に折り曲げ加工されるので、マグネットには第2の挟持部から折り曲げ力が加えられる。このため、マグネットの外周エッジの部分にマグネットカバーから大きな外力が加わることになり、マグネットが損傷するおそれがある。
【0007】
上述のように、外側コレットと内側コレットを使用することなく、加締めポンチによってマグネットカバーの開口端部を押圧して挟持部を径方向に折り曲げ加工することは可能である。しかしながら、マグネットカバーの円筒部内にマグネットを挿入してマグネットの外周面にマグネットカバーが密着しないようにすると、加締めポンチによりマグネットカバーの開口端部を折り曲げ加工すると、マグネットカバーの円筒部が径方向外方に膨らんでしまうことになる。
【0008】
一方、マグネットカバーの円筒部内にマグネットを圧入してマグネットの外周面にマグネットカバーを密着させると、加締めポンチによりマグネットカバーの開口端部を折り曲げ加工しても、マグネットカバーの円筒部が径方向外方に膨らんでしまうことはないが、圧入荷重と圧入時の発生応力が高く、マグネットを破損してしまうおそれがある。
【0009】
このように、マグネットカバーをマグネットに組み付ける際に、マグネットが損傷してしまうと、そのような電動モータは製品化することができず、電動モータの製造歩留まりを低下させることになる。
【0010】
本発明の目的は、高品質の電動モータを歩留まり良く製造し得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電動モータは、モータケースに収容されるステータと、前記モータケースに回転自在に軸支されるシャフトと前記ステータの内側に配置されるマグネットを有するロータ本体部とを備えたロータと、からなる電動モータであって、前記マグネットの外周面を覆う円筒部と、前記円筒部の一端部に設けられ前記ロータ本体部の一方の端面に当接する折返し部とを有するマグネットカバーと、前記ロータ本体部の他方の端面を覆うように前記シャフトに設けられる鍔部と、を有し、前記鍔部の外周面に径方向に加締め付けられて軸方向の弾性力を前記円筒部に発生させる締結端部を、前記マグネットカバーの他端部に設けた。
【0012】
本発明の電動モータの製造方法は、モータケースに収容されるステータと、前記モータケースに回転自在に軸支されるシャフトと前記ステータの内側に配置されるマグネットを有するロータ本体部とを備えたロータと、からなる電動モータの製造方法であって、円筒部と、該円筒部の一端部に一体に設けられ径方向内方に突出する折返し部とを有するマグネットカバーをプレス加工する加工工程と、前記マグネットを有するロータ本体部と前記シャフトとを備えたロータを組み立てる組立工程と、前記折返し部を前記ロータ本体部の一方の端面に当接させた状態のもとで、前記ロータ本体部の他方の端面を覆うように前記シャフトに設けられた鍔部の外周面に前記マグネットカバーの他端部を径方向に加締めて当該他端部に締結端部を形成し、軸方向の弾性力を前記円筒部に発生させる加締め工程と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
マグネットカバーの円筒部には軸方向の弾性力つまりばね力が発生しており、この弾性力によりマグネットカバーの一端部の折返しはロータ本体部の一端部に押し付けられ、マグネットカバーの他端部の締結端部は鍔部に押し付けられ、マグネットカバーはマグネットに確実に固定される。マグネットカバーは、シャフトに設けられる鍔部の外周面に径方向に加締め付けられて軸方向の弾性力を円筒部に発生させる締結端部を有しており、締結端部はマグネットに接触することはない。これにより、マグネットカバーの締結端部がマグネットを損傷させることなく、高品質のロータを有する電動モータを歩留まり良く製造することができる。
【0014】
マグネットカバーの一端部は折返し部がロータ本体部の一端面に当接し、マグネットカバーの他端部は締結端部が縁部に締結されるので、マグネットには軸方向の外力が加わることがない。これにより、マグネットに損傷が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施の形態である電動モータを示す斜視図である。
図2図1の縦断面図である。
図3図2の拡大横断面図である。
図4】モータの回転制御回路を示すブロック図である。
図5図2に示されたロータの拡大断面図である。
図6図5に示されたロータの下端面を示す底面図である。
図7】ロータの分解斜視図である。
図8図7における8A−8A線方向から見たマグネットカバーを示す断面図である。
図9】(A)〜(E)は、マグネットカバーを製造するためのプレス加工手順を示す工程図である。
図10】(A)〜(C)は、電動モータを製造する際におけるロータのマグネットカバー内への挿入手順を示す工程図である。
図11】(A)、(B)は、マグネットカバーの開口端部をロータ本体部の鍔部に締結する手順を示す工程図である。
図12】(A)、(B)は、マグネットカバーの開口端部をロータ本体部の鍔部に締結する手順を示す工程図である。
図13図12(A)における13−13線断面図である。
図14】他の実施の形態である電動モータを示す斜視図である。
図15図14の縦断面図である。
図16図14の拡大横断面図である。
図17図15に示されたロータの拡大断面図である。
図18図17に示されたロータの下端面を示す底面図である。
図19】ロータの分解斜視図である。
図20】(A)〜(C)は電動モータを製造する際におけるロータのマグネットカバー内への挿入手順を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2に示されるように、電動モータ10はモータケース11を備えている。モータケース11は、金属板を深絞り等のプレス加工を施すことにより形成され、図2に示されるように、底壁部11aと円筒部11bを有し、円筒部11bの開口端部12にはフランジ部11cが一体に設けられている。フランジ部11cには、樹脂材料からなるブラケット13が複数のねじ部材14により取り付けられる。
【0017】
ブラケット13には複数のカラー15が取り付けられており、それぞれのカラー15を貫通するねじ部材により、電動モータ10は図示しない部材に取り付けられる。この電動モータ10は、自動車のブレーキ装置駆動用に適用することができ、その場合には、モータケース11はカラー15を貫通するねじ部材により減速機に取り付けられる。
【0018】
図2に示されるように、モータケース11にはステータ16が収容され、ステータ16はモータケース11の円筒部11bに固定される。電動モータ10はロータ17を有し、ロータ17は、モータケース11に回転自在に軸支されるシャフト18と、ステータ16の内側に隙間19を介して配置されるロータ本体部20とを備えている。シャフト18は、マグネット装着部18aと、その両端部に一体となった軸部18b、18cとを有しており、マグネット装着部18aの外径は軸部18b、18cよりも大径である。シャフト18の基端部側の軸部18cは軸受21によりモータケース11に回転自在に軸支され、先端部側の軸部18bは軸受22によりブラケット13に回転自在に軸支される。軸受21は、モータケース11の底壁部11aに設けられた筒部23に装着され、軸受22はブラケット13に取り付けられたホルダー24に装着される。
【0019】
シャフト18の図2における下端部をシャフト18の基端部とし、上端部を先端部とすると、先端部にはピニオンギヤ25が取り付けられる。この電動モータ10がブレーキ装置駆動用に適用される場合には、ピニオンギヤ25の回転は、図示しない減速歯車機構を介して送りねじ軸に伝達される。送りねじ軸は、ブレーキ装置のキャリパに軸方向に往復動自在に装着された往復動部材にねじ結合されている。往復動部材とこれに対向するキャリパの爪部とには、それぞれ自動車の電動ブレーキ装置のブレーキディスクに押圧されるパッドが設けられており、電動モータ10により自動車には制動力が加えられる。
【0020】
図3に示されるように、ロータ本体部20は円筒形状のロータコア26を有し、ロータコア26の挿通孔27にはシャフト18が貫通して挿入される。ロータコア26の外周には接着剤28によりリングマグネット29が固定される。図1図3に示される電動モータ10においては、シャフト18のマグネット装着部18aにロータコア26を介してリングマグネット29が装着される。ロータコア26はマグネット装着部18aとリングマグネット29との間に装着される。このように、ロータ本体部20は、リングマグネット29とロータコア26とシャフト18のマグネット装着部18aを備えている。
【0021】
挿通孔27には複数の凹溝31が軸方向に延びて設けられている。ロータコア26は、プレス加工により略環状に打ち抜かれた金属板(電磁鋼板)を複数枚積層することにより形成される。それぞれの金属板には、積層時の位置決め用の貫通孔32と、ロータコア26の軽量化のための長孔33とが形成されている。長孔33は、図3に示されるように、ロータコア26の円周方向に等間隔に6つ設けられている。長孔33はロータコア26の円周方向が長径であり、図2に示されるように、ロータコア26の軸方向に延在している。
【0022】
リングマグネット29は、磁性材料からなる円筒形状の部材に、磁極としてのN極とS極とを円周方向にずらして交互に着磁することにより形成される。図3に示されるリングマグネット29には、円周方向に10個の磁極が着磁されており、ロータ本体部20は10極の極数を有している。図3においては、リングマグネット29の磁極の境界部分が破線で示されている。このように、電動モータ10のロータ本体部20のマグネットをリングマグネット型とすると、表面磁石型や埋込磁石型のマグネットと相違して、円周方向に均等に磁極を割り付けることができるとともに、少ない組み立て工数でロータ17を製造することができる。ロータ本体部20のマグネットとしては、上述した表面磁石型としても良く、埋込磁石型としても良い。表面磁石型のマグネットは、円筒形状の部材の外周面に貼り付けられた円弧形状の磁石が外れることが考えられるが、リングマグネット型とすることにより、電動モータ10の耐久性を向上させることができる。
【0023】
ステータ16は、略円筒形状のステータコア34を有している。ステータコア34は、図3に示されるように、9つのティース部35を円周方向に組み合わせることにより形成される。それぞれのティース部35は、プレス加工により打ち抜かれた金属板(電磁鋼板)を複数枚積層することにより形成される。それぞれの金属板には、積層時の位置決め用の図示省略した貫通孔が設けられている。それぞれのティース部35には絶縁性の樹脂材料からなるインシュレータ36が装着され、インシュレータ36の外側にはコイル37が巻き付けられている。9つのティース部35にコイル37が巻き付けられており、図3に示されるステータ16は、9つのコイル37を有している。
【0024】
それぞれのコイル37は、円周方向に順にU相、V相、W相の3相を構成し、それぞれの相は、3つのコイル37により形成される。図2に示されるように、ステータ16の先端側の端面にはバスバーユニット38が配置されている。バスバーユニット38により各コイル37の端子と外部電源とが電気的に接続される。電動モータ10はブラシレスモータであり、シャフト18には、ロータ17の回転方向の位置を検出するために、センサディスク40が取り付けられている。センサディスク40には、図示しないマグネットが設けられている。センサディスク40に対向してセンサ基板41がブラケット13に取り付けられており、センサディスク40に設けられたマグネットの磁力に感応するホール素子42がセンサ基板41に設けられている。
【0025】
図4はモータの回転制御回路を示すブロック図である。回転制御回路は、3相のコイルに対応させて3つのホール素子42a〜42cを有し、それぞれのホール素子は上述のように、図2に示したセンサ基板41に取り付けられている。図2のセンサ基板41には、1つのホール素子42が示されているが、円周方向にずらして3つのホール素子42a〜42cがセンサ基板41に設けられている。それぞれのホール素子42a〜42cは、センサディスク40に設けられたマグネットの磁束を検出することにより、ロータ17の磁極部の極性がN極からS極の中性点となったときに検出信号を出力する磁界検出素子であり、ホール素子からの検出信号に基づいてロータ17の位置を検出し、それぞれのコイル37に対する通電切換動作が行われる。回転位置を検出するためのセンサとしては、ホール素子のみに限られず、コンパレータの機能を有する電子素子とホール素子をワンチップ化したホールICを用いるようにしても良い。
【0026】
モータの回転制御回路は、U相、V相およびW相の各コイル37に対する駆動電流を制御するためのインバータ回路43を有している。インバータ回路43は、3相フルブリッジインバータ回路であり、それぞれ直列に接続された2つのスイッチング素子T1、T2と、2つのスイッチング素子T3、T4と、2つのスイッチング素子T5、T6とを有し、それぞれは直流電源44の正極と負極の出力端子に接続される。2つのスイッチング素子T1、T2の間には、U相のコイル37の一方の接続端子が接続される。2つのスイッチング素子T3、T4の間には、V相のコイル37の一方の接続端子が接続される。2つのスイッチング素子T5、T6の間には、W相のコイル37の一方の接続端子が接続される。U相、V相およびW相のそれぞれのコイル37の他方の接続端子は、相互に接続されており、各コイル37はスター結線となっている。なお、結線方式としては、デルタ結線としても良い。それぞれのスイッチング素子に供給される制御信号のタイミングを調整することにより、各コイル37に対する転流動作が制御される。
【0027】
モータの回転制御回路は、コントローラ45を有しており、コントローラ45からは制御信号出力回路46を介してインバータ回路43に制御信号が送られる。回転位置検出センサとしてのホール素子42a〜42cの検出信号は、回転子位置検出回路47に送られる。回転子位置検出回路47からはコントローラ45に信号が送られる。コントローラ45は制御信号を演算するマイクロプロセッサと、制御プログラムおよびデータ等が格納されるメモリとを有している。
【0028】
インバータ回路43、コントローラ45、回転子位置検出回路47等はモータの外部に設けられており、各相のコイルの一方の接続端子とインバータ回路43とを接続するリード線は、図1に示されるように、ブラケット13に設けられたケーブルガイド48を通って外部に案内される。3つのホール素子42a〜42cと回転子位置検出回路47とを接続するリード線は、ブラケット13に設けられたケーブルガイド49を通って外部に案内される。
【0029】
図5図2および図3に示されたロータ17の拡大断面図である。図6図5におけるロータの下端部を示す底面図であり、図7はロータの分解斜視図であり、図8図7における8A−8A線方向から見たマグネットカバーを示す断面図である。
【0030】
ロータ本体部20は図5において上下に端面を有し、一方の端面を第1の端面51とし、他方の端面を第2の端面52とする。シャフト18には鍔部50が設けられており、鍔部50の内面にはロータコア26の端面に当接する部分と、リングマグネット29の端面に当接する部分とを有し、鍔部50はロータ本体部20の第2の端面52に当接する。リングマグネット29はマグネットカバー53により覆われる。マグネットカバー53は、非磁性材料であるステンレス材料SUS304,SUS305により製造されており、リングマグネット29の磁路に影響を与えることなく、モータ性能の低下を防止する。
【0031】
マグネットカバー53は、リングマグネット29の外周面を覆う円筒部54と、円筒部54の一端部に環状に設けられる折返し部55とを有している。折返し部55は円筒部54の端部から円筒部の径方向中心部に向けて径方向内方に折り曲げられ、ロータ本体部20の第1の端面51に当接する。折返し部55はリングマグネット29の端面には当接することなく、折返し部55とリングマグネット29の端面との間には隙間56が設けられている。
【0032】
折返し部55には、円周方向に等間隔を隔てて3つの係合爪部57が設けられている。係合爪部57は折返し部55に対して直角方向に折り曲げられ、折返し部55からロータ本体部20の軸方向に延在し、円筒部54に対してほぼ平行である。係合爪部57は長孔33の位置に対応しており、マグネットカバー53をリングマグネット29の外側に挿入すると、係合爪部57は長孔33の内部に入り込んで長孔33の円周方向の内面に係合する。マグネットカバー53の円筒部54の内径は、リングマグネット29の外径よりも僅かに大径である。したがって、マグネットカバー53は円筒部54をリングマグネット29に外力を加えて圧入することなく、緩く滑らせることにより、リングマグネット29の外側に挿入される。このように、マグネットカバー53の円筒部54はリングマグネット29に圧入されていないが、係合爪部57が係合孔としての長孔33に係合することにより、マグネットカバー53はリングマグネット29に対して回転する方向にずれることが防止される。
【0033】
係合爪部57は、図8に示されるように、折返し部55側の基端部58と先端部59とを有している。係合爪部57の基端部側には圧入部61が設けられ、圧入部61の幅寸法L0は、長孔33の長径と同一か長径よりも僅かに大きく設定されており、マグネットカバー53をリングマグネット29に挿入すると、圧入部61は長孔33の内周面に密着して圧入される。先端部59は先端面に向けて幅寸法が漸次減少するテーパ形状に形成されている。これにより、マグネットカバー53をリングマグネット29に挿入するときには、先端部59が長孔33に入り込み、先端部59の側面がガイド部62となって、係合爪部57が長孔33の内周面に案内されて長孔33に挿入される。係合爪部57を容易に長孔33内に入り込ませることができるように、ガイド部62の軸方向長さL1は、圧入部61の長さL2よりも長く設定されている。ガイド部62の長さL1は圧入部61の長さL2の2倍以上とすることが好ましい。
【0034】
長孔33は6つ形成され、係合爪部57は3つ設けられており、6つの長孔33のうち3つに係合爪部57が係合するようになっている。ただし、係合爪部57を3つ以上、例えば6つ設ければ、全ての長孔33に係合爪部57が係合される。係合孔としての長孔33の数も、6つに限られず、3つ以上設ければ良い。係合爪部57が係合される係合孔としては、長孔に限られず、真円の孔でも良い。
【0035】
図8に示されるように、係合爪部57の基端部の左右の側辺部分には、折り曲げ加工用の切り欠き部63が設けられている。このように、係合爪部57の基端部つまり係合爪部57と折返し部55との境界部に切り欠き部63を設けると、係合爪部57を折返し部55に対してほぼ直角方向に折り曲げ加工するときに、係合爪部57の折り曲げ加工を高精度で容易に行うことができる。切り欠き部63を係合爪部57の左右両側に設けることなく、一方側のみでも折り曲げ加工性を高めることができる。
【0036】
係合爪部57の基端部の幅方向中央部には、位置決め孔64が設けられている。この位置決め孔64は、マグネットカバー53内にロータ本体部20を挿入するときに、マグネットカバー53を治具の位置決めピンに装着するために使用される。位置決め孔64は、左右両側の2つの切り欠き部63の間に設けられており、切り欠き部63に加えて、係合爪部57の折り曲げ加工性を容易にする機能も有している。
【0037】
図9(A)〜図9(E)は、マグネットカバー53を製造するためのプレス加工手順を示す加工工程図である。
【0038】
図9(A)は、上述した非磁性材料のブランク材を深絞りして断面カップ形状の加工途中のマグネットカバー素材53aを示す。このマグネットカバー素材53aは、円筒部54と底壁部65とを有し、円筒部54の一端には底壁部65よりも軸方向外方に突出した凸部66が形成される。マグネットカバー素材53aの深絞り加工時に発生したフランジ部67を切断加工すると、図9(B)に示されるように、円筒部54と底壁部65とからなる加工途中のマグネットカバー素材53bが加工される。図9(C)は、底壁部65をプレスにより打ち抜き加工した状態のマグネットカバー素材53cを示す縦断面図であり、図9(D)は図9(C)における9D−9D線断面図である。マグネットカバー素材53cの底壁部65には、図9(D)に示されるように、環状の折返し部55と、折返し部55から径方向内方に突出した3つの係合爪部57とが形成される。さらに、係合爪部57の基端部の両側には切り欠き部63が形成され、係合爪部57の幅方向中央部には位置決め孔64が形成される。
【0039】
このマグネットカバー素材53cにおいては、図9(D)に示されるように、2つの切り欠き部63と位置決め孔64とが二点鎖線で示すように、一直線状に配置されており、この部分を折り曲げ中心として、3つの係合爪部57を折返し部55に対してほぼ直角方向に折り曲げ加工すると、図9(E)に示されるように、係合爪部57が折返し部55に対して折り曲げられたマグネットカバー53が製造される。上述のように、係合爪部57の折り曲げ部つまり基端部に切り欠き部63が設けられているので、係合爪部57の折り曲げ加工を高精度で容易に行うことができる。
【0040】
このように、図9に示すプレス加工工程により、マグネットカバー53は製造される。製造時におけるマグネットカバー53は、円筒部54とこの円筒部54の一端部に設けられた折返し部55と係合爪部57とを有し、円筒部54は他端部に向けて真っ直ぐに伸びている。また、折返し部55の外周部には、軸方向外方に突出した凸部66が形成される。
【0041】
図10(A)〜図10(C)は、電動モータ10を製造する際におけるロータ17のマグネットカバー53内への挿入手順を示す挿入工程図である。ロータ17は、図示しないロータ組立工程において、図7に示されるように組み立てられる。
【0042】
図10(A)に示されるように、マグネットカバー53は挿入治具71の上に位置決め固定される。挿入治具71は、マグネットカバー53を支持する支持孔を有し、挿入治具71の底部には3つの位置決めピン72が設けられている。それぞれの位置決めピン72は、図9(D)に示した位置決め孔64に嵌合される。これにより、マグネットカバー53は挿入治具71に位置決め固定される。なお、図10においては、挿入治具71の一部のみが示されている。
【0043】
次いで、ロータ17がマグネットカバー53内に挿入される。このときには、ロータ本体部20の外径はマグネットカバー53の内径よりも僅かに小径となっており、容易に挿入することができる。図10(B)は、係合爪部57の先端部59が係合孔としての長孔33に入り込んだ状態を示す。先端部59はテーパ形状となっており、長孔33の長径よりも先端部59の幅は小さいので、マグネットカバー53に対するロータ17の回転方向の位置決めを高精度に行うことなく、容易に係合爪部57を長孔33の中に容易に入り込ませることができる。
【0044】
図10(C)は、ロータ本体部20の下側の端面つまり第1の端面51に折返し部55の端面が当接するまでロータ17がマグネットカバー53内に挿入された状態を示す。このときには、係合爪部57の基端部側に設けられた圧入部61が長孔33の内周面に密着して圧入される。これにより、マグネットカバー53は圧入部61によりロータ17に固定されて、マグネットカバー53がロータ17に対して回転することが防止される。リングマグネット29は、ロータ17の組立工程において、接着剤28によりロータコア26に固定され、リングマグネット29の一方の端面が、ロータコア26およびマグネット装着部18aの端面よりずれ、他方の端面が鍔部50に当接して組み立てられている。したがって、ロータ本体部20をマグネットカバー53に挿入すると、リングマグネット29と折返し部55の間には隙間56が形成され、折返し部55がリングマグネット29の端面に当接することはない。
【0045】
図11図13は、マグネットカバー53の開口端部をロータ本体部20の鍔部50に締結する工程を示す加締め工程図である。
【0046】
図11(A)に示されるように、マグネットカバー53内に挿入されたロータ17は、ワーク支持治具73に取り付けられる。なお、マグネットカバー53の開口部には、図11に示されるように、開口端面に向けて径が漸次大径となる拡径部68が設けられている。このように、拡径部68を設けると、ロータ本体部20を容易にマグネットカバー53に挿入することができる。拡径部68を、図9(E)に示す形状にマグネットカバー53が製造されてから加工するようにしても良く、図9(A)に示すように深絞り加工工程において加工するようにしても良い。また、拡径部68を設けないようにしても良い。
【0047】
ワーク支持治具73は、マグネットカバー53の円筒部54の外周面に接触する支持孔74を有し、支持孔74の底部側の端部には、折返し部55に対向する径方向の突き当て面75が形成されている。ロータ17を支持孔74に挿入すると、ロータ17の中心軸は、ワーク支持治具73の治具中心軸Ojと同心状態になる。突き当て面75の径方向外側の部分には弾性力付与部75aが設けられており、ロータ17の凸部66は弾性力付与部75aに接触する。突き当て面75は、図11(A)に示されるように、ロータ17がワーク支持治具73に取り付けられたときに、凸部66の先端が接触する弾性力付与部75aと、これのよりも径方向内方部分の締め付け部75bとを有している。
【0048】
図11(A)に示されるように、ロータ17がワーク支持治具73に支持された状態のもとでは、ロータ17に軸方向の外力を加えると、ロータ17は軸方向に移動できる程度の力で支持されている。
【0049】
ワーク支持治具73に隣接して加締めローラー76が配置され、加締めローラー76は回転中心軸Orを中心に回転自在に支持軸77に装着されている。支持軸77は図示しないアームにより、ロータ17の治具中心軸Ojを中心に旋回移動自在、つまりロータ17の径方向外側を公転移動自在に取り付けられており、支持軸77は治具中心軸Ojに対して径方向に移動自在である。図11(A)は、矢印Rで示されるように、加締めローラー76をロータ17に接近させてマグネットカバー53の拡径部68に加締めローラー76が接触した状態を示す。
【0050】
図11(B)に示されるように、ロータ17がワーク支持治具73により支持された状態のもとで、矢印Sで示されるように、押圧部材78によりロータ17はワーク支持治具73の突き当て面75に向けて軸方向に押圧力が加えられる。ロータ17に突き当て面75に向かう方向の押圧力が加えられると、図11(B)に示されるように、凸部66は弾性力付与部75aによりロータ17の軸方向に収縮変形される。さらに、折返し部55はロータ本体部20の第1の端面51と、ワーク支持治具73の締め付け部75bとの間で締め付けられる。これにより、円筒部54には軸方向Eに押し付け力が加えられ、凸部66には軸方向の弾性力が付加される。凸部66が軸方向につぶれて、ばね部材のように、内部に弾性力、つまりばね力が蓄積される。
【0051】
次いで、図12(A)に矢印Rで示されるように、支持軸77を治具中心軸Ojに向けて接近移動させるとともに、図13に示されるように、支持軸77を矢印Tで示すように、治具中心軸Ojを中心に旋回運動、つまり公転運動させる。これにより、加締めローラー76は、矢印Qで示すように、回転運動しながらマグネットカバー53の開口端部を、鍔部50の外周面に加締め付け、マグネットカバー53の開口端部には締結端部69が形成される。マグネットカバー53が鍔部50の外周面に加締め付けられるときには、図12(A)において矢印Fで示すように、円筒部54には開口端部に形成される締結端部69に向けて引っ張られる方向の弾性力が加えられる。したがって、締結端部69が加工された後に、ロータ17をワーク支持治具73から取り外すと、図12(B)に矢印Gで示されるように、円筒部54には締結端部69を鍔部50に向けて押し付ける反力が発生し、この反力により折返し部55にはロータ本体部20の端面51に向かう方向に押し付け力、つまり弾性力が発生する。
【0052】
このように、マグネットカバー53はその一端部の折返し部55がリングマグネット29の一端面に接触することなく、ロータ本体部20の端面51に押し付けられる。一方、リングマグネット29の他端面には鍔部50が接触し、マグネットカバー53の締結端部69が鍔部50に押し付けられるので、リングマグネット29には軸方向の負荷が加えられることはない。これにより、リングマグネット29が破損することが防止される。しかも、図12(B)に示されるように、鍔部50の外周面は、軸方向のストレート面50aと、鍔部50の外側端面に向けて漸次小径となったテーパ面50bとを有している。ストレート面50aの外径をリングマグネット29の外径よりも僅かに小さく設定すると、マグネットカバー53に締結端部69を形成しても、リングマグネット29にはマグネットカバー53から外力が加えられることはない。
【0053】
図11および図12に示すように、支持軸77を治具中心軸Ojを中心に公転運動させているが、ワーク支持治具73を加締めローラー76の回転中心軸Orを中心に公転運動させるようにしても良く、回転中心軸Orと治具中心軸Ojの公転運動は相対的であれば良い。
【0054】
このように電動モータ10の製造方法は、上述のように、ロータ17を製造する工程を有しており、モータケース11に組み付けられたステータ16に、ロータ17を組み付ける工程等を経て電動モータ10が製造される。なお、図7および図8においては、締結端部69が設けられた状態でマグネットカバー53が示されている。
【0055】
図14は他の実施の形態である電動モータ10aを示す斜視図であり、図15図14の縦断面図であり、図16図14の拡大横断面図である。これらの図においては、上述した電動モータ10を構成する部材と共通性を有する部材には同一の符号が付されている。
【0056】
電動モータ10aは、電動モータ10と同様に、自動車のブレーキ装置駆動用に適用することができる。その場合には、モータケース11はカラー15を貫通するねじ部材により図示しない減速機歯車機構に取り付けられ、電動モータ10と同様に、電動モータ10aにより自動車には制動力が加えられる。
【0057】
電動モータ10aのモータケース11の径は、電動モータ10のモータケース11よりも小径である。図16に示されるように、シャフト18のマグネット装着部18aにはリングマグネット29が接着剤28により直接固定され、マグネット装着部18aとリングマグネット29とによりロータ本体部20が形成されている。リングマグネット29は、上述した電動モータ10と同様に、極数が10極である。ステータコア34も、同様に、コイル37が巻き付けられる9つのティース部35を有し、それぞれのコイル37は、U相、V相、W相の3相を構成している。
【0058】
図15に示されるように、マグネットが設けられたセンサディスク40がシャフト18には取り付けられ、センサディスク40に対向してセンサ基板41がブラケット13に取り付けられている。マグネットに感応するホール素子42a〜42cがセンサ基板41に設けられており、図4に示した回転制御回路と同様にインバータ回路43を有する回転制御回路により、各コイル37に対する転流動作が制御される。図14および図15に示されるように、1つのケーブルガイド48aがブラケット13に設けられている。ケーブルガイド48aには、コイル37に接続されるパワー配線と、ホール素子42a〜42cに接続されるセンサ配線と、センサ基板41に設けられた素子等に電力を供給するための電源用とグランド用の配線とが設けられている。図15においては、1つのパワー配線の端子39aと、1つのセンサ配線の端子39bと、電源用の配線の端子とが示されている。
【0059】
図17図15に示されたロータの拡大断面図である。図18図17に示されたロータの下端面を示す底面図であり、図19はロータの分解斜視図である。
【0060】
マグネット装着部18aには2つのリングマグネット29が接着されており、2つのリングマグネット29とマグネット装着部18aとによりロータ本体部20が形成される。シャフト18には鍔部50が一体に設けられており、鍔部50にはリングマグネット29の端面が当接される。ロータ本体部20の第1の端面51はマグネット装着部18aの端面により形成され、第2の端面52はリングマグネット29の端面により形成される。なお、2つのリングマグネット29の長さの1つのリングマグネット29をマグネット装着部18aに固定するようにしても良く、上述した電動モータ10の鍔部50と同様に、鍔部50とシャフト18と別部材としても良い。
【0061】
マグネットカバー53は、図17に示されるように、リングマグネット29の外周面を覆う円筒部54と、ロータ本体部20の第1の端面51を覆う折返し部55と、鍔部50に締結される締結端部69とを有している。図18に示されるように、折返し部55には円周方向に180度ずれた位置に2つの係合爪部57aが相互に対向して設けられている。それぞれの係合爪部57aは折返し部55から径方向内方に延在し、ロータ17を構成するシャフト18の外周面に係合する。係合爪部57aがシャフト18の外周面に係合することにより、マグネットカバー53がリングマグネット29に対して円周方向に回転することが防止される。
【0062】
シャフト18の外周面には、係合爪部57aに対応させて2つの平坦面81が形成されている。2つの平坦面81は相互に平行であり、二方取り面とも言われる。二方取り面としての2つの平坦面81は、図17および図19に示されるように、シャフト18の端面側の幅寸法Hのガイド面81aと、これよりも幅寸法が大きく設定されたロータ本体部20側の係合面81bとを有しており、ガイド面81aと係合面81bとの間には段差部82が設けられている。ガイド面81aと係合面81bは段差部82を介して軸方向に連なっている。
【0063】
一方、係合爪部57aの先端面は、図18に示されるように、平坦面81の幅方向に沿って延びており、係合爪部57aの両側には切り欠き部83が設けられている。切り欠き部83を設けることにより、係合爪部57aの先端部が軸方向に弾性変形する。係合爪部57aの先端部には、3つの突起84が設けられている。
【0064】
一方の係合爪部57aの突起84と他方の係合爪部57aの突起84との間の間隔は、ガイド面81aの幅寸法Hつまり厚み寸法よりも大きく設定され、係合面81bの幅寸法よりも小さく設定されている。これにより、マグネットカバー53をリングマグネット29の外側に挿入する際に、係合爪部57aの突起84はガイド面81aに軽く接触してマグネットカバー53の挿入動作が案内される。挿入動作により係合爪部57aの突起84が段差部82を超えて係合面81bの位置まで挿入されると、突起84は係合面81bに係合する。突起84は係合力により軸方向に僅かに弾性変形する。このように、係合爪部57aの先端の突起84が係合面81bに係合して押し付けられた状態となることにより、マグネットカバー53がリングマグネット29に対して回転方向にずれることが確実に防止される。
【0065】
図20(A)〜図20(C)は電動モータ10aを製造する際におけるロータ17のマグネットカバー53内への挿入手順を示す工程図である。ロータ17は、図示しないロータ組立工程において、図19に示されるように組み立てられる。
【0066】
図20(A)に示されるように、マグネットカバー53は挿入治具71の上に配置される。次いで、図20(B)に示されるように、マグネットカバー53の開口端部からロータ17が挿入される。このときには、ロータ本体部20の外径はマグネットカバー53の内径よりも僅かに小径となっており、容易に挿入することができる。図20(B)は、
係合爪部57aの先端の突起84が平坦面81のガイド面81aの位置となるまでロータ17がマグネットカバー53内に挿入された状態を示す。このときには、突起84と平坦面81との間には隙間があり、平坦面81を係合爪部57aの位置として容易にロータ17をマグネットカバー53内に挿入することができる。
【0067】
図20(C)はロータ本体部20の端面51が折返し部55に当接するまで、ロータ17がマグネットカバー53内に挿入された状態を示す。このときには、係合爪部57aの先端に設けられた突起84が平坦面81の係合面81bに密着して圧入される。これにより、マグネットカバー53は係合面81bによりロータ17に固定されて、マグネットカバー53がロータ17に対して回転することが防止される。
【0068】
リングマグネット29は、ロータ17の組立工程において、接着剤28によりマグネット装着部18aに固定され、リングマグネット29の一方の端面が、マグネット装着部18aの端面51よりずれ、他方の端面が鍔部50に当接して組み立てられている。したがって、ロータ本体部20をマグネットカバー53に挿入すると、リングマグネット29と折返し部55の間には隙間56が形成され、折返し部55がリングマグネット29の端面に当接することはない。
【0069】
このようにして、マグネットカバー53に挿入されたロータ17は、図1図3に示したロータ17を製造する場合と同様に、加締め加工のための図11に示したワーク支持治具73と同様のワーク支持治具に搬送される。これにより、図11および図12に示した加締め工程と同様の工程により、マグネットカバー53の開口端部がロータ本体部の鍔部50に締結され、マグネットカバー53の端部には締結端部69が加工される。
【0070】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
11 モータケース
13 ブラケット
16 ステータ
17 ロータ
18 シャフト
18a マグネット装着部
20 ロータ本体部
26 ロータコア
29 リングマグネット
33 長孔
34 ステータコア
37 コイル
40 センサディスク
41 センサ基板
50 鍔部
50a ストレート面
50b テーパ面
51 第1の端面
52 第2の端面
53 マグネットカバー
54 円筒部
55 折返し部
56 隙間
57、57a 係合爪部
58 基端部
59 先端部
61 圧入部
62 ガイド部
63 切り欠き部
64 位置決め孔
66 凸部
67 フランジ部
68 拡径部
69 締結端部
71 挿入治具
72 位置決めピン
73 ワーク支持治具
76 加締めローラー
77 支持軸
78 押圧部材
81 平坦面
81a ガイド面
81b 係合面
82 段差部
83 切り欠き部
84 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20