特開2020-48353(P2020-48353A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-48353(P2020-48353A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】回転電機及び回転電機の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/28 20060101AFI20200303BHJP
   H02K 23/00 20060101ALI20200303BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
   H02K1/28 C
   H02K23/00 A
   H02K15/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-175980(P2018-175980)
(22)【出願日】2018年9月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】神田 哲
【テーマコード(参考)】
5H601
5H615
5H623
【Fターム(参考)】
5H601AA08
5H601BB18
5H601CC01
5H601CC09
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601GA02
5H601GA23
5H601GA32
5H601GA40
5H601GB12
5H601GB33
5H601GC12
5H601JJ05
5H601JJ10
5H601KK07
5H601KK13
5H601KK20
5H601KK30
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB04
5H615PP02
5H615PP07
5H615PP24
5H615PP26
5H615SS19
5H615SS20
5H623AA10
5H623BB07
5H623GG11
5H623JJ05
5H623LL02
5H623LL03
5H623LL06
5H623LL13
(57)【要約】
【課題】安価に組み付け精度の良い回転電機及び回転電機の製造方法を提供する。
【解決手段】電動モータは、ロータコア21と、シャフト3と、コンミテータと、心棒28とを備えている。ロータコア21には、複数の第1連通孔36と、複数の開口部37と、複数の第1組付け片部38及び複数の第2組付け片部39と、が備えられている。第1連通孔36に心棒28が挿通された状態において、第1外側部位及び第2外側部位が心棒28により径方向内側に押圧されている。これにより、第1内側部位及び第2内側部位がシャフトの外周面3aに当接して、ロータコア21がシャフト3の外周面に好適に結合されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薄板が重ねられることにより形成されるロータコアと、
前記ロータコアが外周面に結合可能なシャフトと、
前記ロータコアとともに前記シャフトに取り付けられ、前記ロータコアに対して軸方向に離間して配置されるコンミテータと、
前記ロータコアに備えられた、軸方向に連通する第1連通孔と、前記第1連通孔に連通されて径方向内側に開口する開口部と、前記開口部を形成する組付け片部と、
前記第1連通孔に挿通されて、前記組付け片部のうち径方向外側における少なくとも一部に当接されることにより前記薄板を積層状態に保持する心棒と、
を備え、
前記組付け片部のうち径方向内側における少なくとも一部が前記シャフトの外周面と当接することにより、前記シャフトに前記ロータコアが結合していることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記組付け片部と前記シャフトとのどちらか一方は、
前記組付け片部と前記シャフトとのどちらか他方に対し、塑性変形することにより前記一方及び前記他方が結合していることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記コンミテータは、
前記第1連通孔と軸方向において同軸上に配置される第2連通孔を備え、
前記第2連通孔に前記心棒が挿通されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記心棒は、
前記第1連通孔に挿通された状態に保持可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項5】
コンミテータと、複数の薄板が重ねられたロータコアとをシャフトに嵌合する工程と、
前記ロータコアの第1連通孔と、前記コンミテータの第2連通孔とに心棒を挿通することにより、前記第1連通孔を形成する組付け片部を前記シャフトの外周面と当接する工程と、
を備えることを特徴とする回転電機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機及び回転電機の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転電機のアーマチュアに設けられているコンミテータにブラシを摺接させることにより、アーマチュアを回転させるブラシ付モータが知られている。このブラシ付モータは、例えば、磁極を有する筒状のヨークを有しており、このヨーク内にアーマチュアが回転自在に支持されている。アーマチュアは回転軸(以下、シャフトという)を有し、このシャフトに、ロータコアと、コンミテータとが外嵌固定されている。
コンミテータに摺接するブラシは、外部電力に電気的に接続可能に構成されており、ヨークの開口部を閉塞するように設けられた樹脂製のブラシホルダに保持されている。
【0003】
ところで、回転電機のなかには、シャフトにロータコアを取り付けるために、例えば、シャフトの外周面に係止凸部を形成する構成が知られている。この回転電機によれば、複数枚の中空円板(以下、薄板という)を積層したロータコアをシャフトの係止凸部に圧入することにより、係止凸部を楔効果でロータコアの内周面に食い込ませる。これにより、ロータコアをシャフトに取り付けることが可能になる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、回転電機として、例えば、シャフトにキー溝を設け、ロータコアにキーを形成し、ロータコアのキーの近傍に連通孔を形成する構成が知られている。この回転電機によれば、連通孔に心棒を圧入することにより、キーが開いてキー溝に当接する。これにより、シャフトにロータコアを取り付けることが可能になる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−328883号公報
【特許文献2】特開2007−181270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の回転電機の場合、ロータコアをシャフトの係止凸部に圧入させて係止凸部を楔効果でロータコアの内周面に食い込ませるためには、シャフトとロータコアとの組付け精度を高める必要があり、そのことがコストを抑える妨げになっている。
また、特許文献2の回転電機の場合、シャフトにキー溝を設ける必要があり、そのことがコストを抑える妨げになっている。さらに、シャフトにキー溝を設けることによりシャフトの強度に影響を与えることが考えられる。
【0007】
そこで、この発明は、安価に組み付け精度の良い回転電機及び回転電機の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る回転電機は、複数の薄板が重ねられることにより形成されるロータコアと、前記ロータコアが外周面に結合可能なシャフトと、前記ロータコアとともに前記シャフトに取り付けられ、前記ロータコアに対して軸方向に離間して配置されるコンミテータと、前記ロータコアに備えられた、軸方向に連通する第1連通孔と、前記第1連通孔に連通されて径方向内側に開口する開口部と、前記開口部を形成する組付け片部と、前記第1連通孔に挿通されて、前記組付け片部のうち径方向外側における少なくとも一部に当接されることにより前記薄板を積層状態に保持する心棒と、を備え、前記組付け片部のうち径方向内側における少なくとも一部が前記シャフトの外周面と当接することにより、前記シャフトに前記ロータコアが結合していることを特徴とする。
【0009】
このように構成することで、ロータコアの第1連通孔に心棒を挿通することにより、組付け片部の径方向外側に心棒を当接させることができる。よって、心棒の押圧力で組付け片部をシャフト側に変形させることができる。これにより、組付け片部の径方向内側がシャフトの外周面と当接してシャフトにロータコアを結合させることができる。
よって、例えば、ロータコアをシャフトの係止凸部に圧入させて係止凸部をロータコアの内周面に食い込ませる場合と比較して、シャフトに対するロータコアの芯ズレを抑制できる。これにより、シャフトに対するロータコアの芯ズレを修正する工程を不要にできる。
また、組付け片部の径方向内側をシャフトの外周面と当接させてシャフトにロータコアを結合させることにより、シャフトにロータコアを結合させるためのキー溝をシャフトから不要にできる。
このように、シャフに対するロータコアの芯ズレを抑制し、キー溝をシャフトから不要にすることにより、安価に組み付け精度の良い回転電機を得ることができる。
【0010】
ここで、例えば、従来のロータコアは、隣接する薄板に凸部、凹部が形成され、複数の薄板を重ね合わせて積層する際に、凹部に凸部を嵌入させた状態で、凹部と凸部とを加締めることにより複数の薄板が積層した状態に保持される。このため、複数の薄板を重ね合わせて積層する際に、凹部に凸部を嵌入させて加締める工程が必要になる。
また、凹部に凸部を嵌入させて加締めることにより、凹部と凸部とが潰れて接触して磁路が形成される。磁路が形成されることにより、渦電による渦電流損が発生し、そのことが鉄損を低減させる妨げになる。
【0011】
さらに、ロータコアは、複数の薄板を板材(素材)からプレスで抜きつつ積層することにより形成される。ここで、複数の薄板を板材からプレスで抜く際に、例えば複数の薄板の所定の部位が板材の端部でされることが考えられる。この場合、複数の薄板の所定の部位に板材の端部の「くせ」が反映される。この状態において、複数の薄板の所定の部位が重なり続けると、薄板の「くせ」がロータコアに反映され、凹部に凸部を嵌入させ難くなる。この対策として、薄板を回転させて積層する回転積層設備が必要となり、そのことがコストを抑える妨げになっている。
【0012】
これに対して、本発明に係る回転電機は、前記組付け片部の径方向外側に心棒を当接させることにより、複数の薄板を心棒で積層状態に保持するように構成した。よって、従来のロータコアのように、複数の薄板を積層する際に、凹部に凸部を嵌入させて凹部と凸部とを加締めることにより複数の薄板を積層させる必要がない。
これにより、凹部と凸部とで磁路を形成することを防ぐことができる。これにより、渦電流損の発生を抑えることができ、鉄損を低減させることができる。
【0013】
また、隣接する薄板の凹部に凸部を嵌入させる必要がないので、複数の薄板の所定の部位に反映される板材の端部の「くせ」を考慮して、複数の薄板を回転させて積層する必要がない。これにより、複数の薄板を回転させて積層する回転積層設備を不要にでき、コストをさらに抑えることができる。
【0014】
本発明に係る回転電機は、前記組付け片部と前記シャフトとのどちらか一方は、前記組付け片部と前記シャフトとのどちらか他方に対し、塑性変形することにより前記一方及び前記他方が結合していることを特徴とする。
【0015】
このように構成することで、組付け片部の径方向内側をシャフトの外周面と当接させる際に、組付け片部とシャフトとのどちらか一方を塑性変形させることができる。これにより、シャフトにロータコアを好適に結合させることができる。
【0016】
本発明に係る回転電機は、前記コンミテータは、前記第1連通孔と軸方向において同軸上に配置される第2連通孔を備え、前記第2連通孔に前記心棒が挿通されていることを特徴とする。
【0017】
このように構成することで、第1連通孔に挿通させた心棒を第2連通孔に挿通することができる。これにより、ロータコアとコンミテータとの進角ズレを心棒で矯正することができ、磁気音のばらつきを低減することができる。
また、第1連通孔に心棒を挿通させてシャフトにロータコアを結合させる工程において、第2連通孔に心棒を貫通させる一連の動作により、ロータコアに対してコンミテータを位置決めした状態に固定できる。これにより、ロータコアに対してコンミテータを位置決めする工程を不要にできる。
【0018】
本発明に係る回転電機は、前記心棒は、前記第1連通孔に挿通された状態に保持可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
このように構成することで、第1連通孔に心棒を挿通した状態に確実に保持することができる。
【0020】
本発明に係る回転電機の製造方法は、コンミテータと、複数の薄板が重ねられたロータコアとをシャフトに嵌合する工程と、前記ロータコアの第1連通孔と、前記コンミテータの第2連通孔とに心棒を挿通することにより、前記第1連通孔を形成する組付け片部を前記シャフトの外周面と当接する工程と、を備えることを特徴とする。
【0021】
このように構成することで、ロータコアの第1連通孔に心棒を挿通することにより、組付け片部の径方向外側に心棒を当接させることができる。よって、心棒の押圧力で組付け片部をシャフト側に変形させることができる。これにより、組付け片部の径方向内側がシャフトの外周面と当接してシャフトにロータコアを結合させることができる。
よって、例えば、ロータコアをシャフトの係止凸部に圧入させて係止凸部をロータコアの内周面に食い込ませる場合と比較して、シャフトに対するロータコアの芯ズレを抑制できる。これにより、シャフトに対するロータコアの芯ズレを修正する工程を不要にできる。
また、組付け片部の径方向内側をシャフトの外周面と当接させてシャフトにロータコアを結合させることにより、シャフトにロータコアを結合させるためのキー溝をシャフトから不要にできる。
このように、シャフに対するロータコアの芯ズレを抑制し、キー溝をシャフトから不要にすることにより、安価に組み付け精度の良い回転電機を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ロータコアの第1連通孔に心棒を挿通することにより、組付け片部の径方向内側をシャフトの外周面と当接させてシャフトにロータコアを結合させることができる。これにより、安価に組み付け精度の良い回転電機及び回転電機の製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態におけるワイパモータの斜視図である。
図2】本発明の実施形態における図1のA−A線に沿う断面図である。
図3】本発明の実施形態におけるアーマチュアを示す断面図である。
図4】本発明の実施形態における図3のB−B線に沿う断面図である。
図5】本発明の実施形態における図4のC部を拡大した正面図である。
図6】本発明の実施形態におけるロータコアの第1連通孔に心棒を挿通する前の状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は実施形態におけるワイパモータ装置1の斜視図であり、図2図1のA−A線に沿う断面図である。
図1図2に示すように、ワイパモータ装置1は、例えば車両のフロントウィンドウを払拭するフロントワイパを駆動させるものである。具体的には、ワイパモータ装置1は、電動モータ(回転電機)2と、減速機構4と、ハウジング5と、を備えている。
【0025】
電動モータ2は、有底筒状のヨーク7と、ヨーク7内に回転可能に設けられたアーマチュア6と、を備えている。ヨーク7のうち、筒部11の内周面には、複数のマグネット12がシャフト(回転軸)3周りの周方向に沿って配設されている。
減速機構4は、アーマチュア6のシャフト3に連結されている。ハウジング5は、減速機構4や電動モータ2の一部を収容するように形成されている。
電動モータ2の駆動力を減速機構4で減速した後、減速機構4の出力軸8を介してフロントワイパに電動モータ2の駆動力が伝達される。なお、以下の説明において、シャフト3の軸線方向を軸方向O1という場合がある。
【0026】
(アーマチュア)
図3図2のアーマチュア6を示す断面図である。
図2図3に示すように、アーマチュア6は、ロータコア(アーマチュアコア)21と、シャフト3と、コンミテータ23と、複数の心棒28とを備えている。
【0027】
ロータコア21は、シャフト3の外周面3aに嵌合孔35が外嵌された状態において結合されている。この状態において、嵌合孔35の内周面35aはシャフト3に対して間隔(クリアランス)をおいて配置されている。
ロータコア21は、プレス加工等によって打ち抜かれた磁性材料の薄板(板材)31が軸方向O1に複数枚重ねられて積層されることにより形成されている。ロータコア21は、複数のティース32(図4も参照)が放射状に形成され、複数のティース32にアーマチュアコイル(不図示)が巻装されている。
ロータコア21の薄板31は、例えば、シャフト3に対して硬度が高い材料で形成されている。
【0028】
図4図3のB−B線に沿う断面図である。
ロータコア21には、複数の第1連通孔36と、複数の開口部37と、複数の第1組付け片部(取付け片部)38及び複数の第2組付け片部(取付け片部)39と、が備えられている。なお、ロータコア21の第1連通孔36、開口部37、第1組付け片部38、及び複数の第2組付け片部39については図5等に基づいて詳しく後述する。
【0029】
図2図3に戻って、コンミテータ23は、ロータコア21とともにシャフト3の外周面3aに取り付けられ、ロータコア21に対して軸方向O1に離間して配置されている。コンミテータ23は、外周面に導電材で形成されたセグメント24が複数枚取り付けられている。セグメント24は軸方向O1に延びる長い板状の金属片からなり、互いに絶縁された状態で周方向に沿って等間隔に並列に固定されている。
【0030】
各セグメント24において、軸方向O1に沿う一端部には、径方向の外側に折り返す形で折り曲げられたライザ25(図2参照)が一体成形されている。ライザ25には、アーマチュアコイルの端末部が掛け回わされ、ヒュージングなどにより固定されている(不図示)。これにより、セグメント24と、これに対応するアーマチュアコイルと、が導通される。
【0031】
また、同電位となるセグメント24にそれぞれ対応するライザ25には、接続線(不図示)が掛け回され、この接続線がヒュージングによりライザ25に固定されている。接続線は、同電位となるセグメント24同士を短絡するためのものであって、コンミテータ23とロータコア21との間に引き回されている。
コンミテータ23のセグメント24には、ブラシ(不図示)が摺接されている。ブラシはセグメント24に摺接することにより、セグメント24を介してアーマチュアコイルに電流を供給するように構成されている。
【0032】
さらに、コンミテータ23は、複数の第2連通孔42を備えている。複数の第2連通孔42は、周方向に等間隔をおいて、軸方向O1に連通(貫通)された状態に形成されている。さらに、複数の第2連通孔42は、複数の第1連通孔36に対して同軸上に形成されている。
【0033】
図5図4のC部を拡大した正面図である。
図4図5に示すように、ロータコア21の嵌合孔35をシャフト3に嵌合した状態において、ロータコア21(すなわち、嵌合孔35)の内周面35aはシャフト3に対して間隔(クリアランス)をおいて配置される。ロータコア21は、前述したように、複数の第1連通孔36と、複数の開口部37と、複数の第1組付け片部38及び複数の第2組付け片部39とを備えている。
【0034】
複数の第1連通孔36は、複数のティース32の基部32aのうち、1つのティース32の基部32aをとばした状態において等間隔に形成されている。第1連通孔36は、ティース32の基部32aにおいて、軸方向O1(図3参照)に向けて連通(貫通)されている。
ロータコア21においてティース32の基部32aに、第1連通孔36が形成されることにより、ロータコア21の強度を損なうことなく、ロータコア21に第1連通孔36を形成することができる。
また、第1連通孔36は、コンミテータ23の第2連通孔42に対して同軸上に形成されている。第1連通孔36は、第1径方向面45と、第2径方向面46と、第1周方向面47と、第2周方向面48とを有する。
【0035】
第1径方向面45は、例えば、径方向外側において周方向へ平坦に形成されている。第2径方向面46は、例えば、第1径方向面45に対して径方向内側に間隔をおいて形成されている。第1周方向面47は、例えば、第1径方向面45の一端と、第2径方向面46の一端とに連結され、第1径方向面45に交差(直交)するように平坦に形成されている。第2周方向面48は、例えば、第1径方向面45の他端と、第2径方向面46の他端とに連結され、第1周方向面47に対して周方向に間隔をおいて第1径方向面45に交差(直交)するように平坦に形成されている。
第1径方向面45、第2径方向面46、第1周方向面47、及び第2周方向面48により第1連通孔36が、例えば矩形状に形成されている。なお、第1連通孔36は、矩形状に限らないで、その他の形状に形成することも可能である。
【0036】
第2径方向面46は、例えば、第1組付け片部38と、第2組付け片部39とにより形成されている。第1組付け片部38は、第1周方向面47の径方向内端47aから第2周方向面48の径方向内端48a側に延出されることにより、第1周方向面47の径方向内端47aに片持ち支持されている。
第2組付け片部39は、第2周方向面48の径方向内端48aから第1周方向面47の径方向内端47a側に延出されることにより、第2周方向面48の径方向内端48aに片持ち支持されている。
【0037】
第1組付け片部38の先端部38aと、第2組付け片部39の先端部39aとは、周方向に間隔をおいて対向された状態に配置されている。よって、第1組付け片部38の先端部38aと、第2組付け片部39の先端部39aとにより開口部37が形成されている。開口部37は、第1連通孔36に連通されて径方向内側(すなわち、シャフト3の外周面3a側)に開口されている。
【0038】
第1連通孔36には心棒28が挿通されている。心棒28は、例えば、第1径方向面45に当接されている。さらに、心棒28は、第1組付け片部38のうち径方向外側における少なくとも第1外側部位(一部)38bに当接され、第2組付け片部39のうち径方向外側における少なくとも第2外側部位(一部)39bに当接されている。これにより、ロータコア21を形成する複数の薄板31は、複数の心棒28で積層状態に保持されている。
【0039】
また、心棒28が第1外側部位38b及び第2外側部位39bに当接することにより、第1外側部位38b及び第2外側部位39bが心棒28により径方向内側に押圧される。これにより、第1組付け片部38及び第2組付け片部39は、各基端部を支点として各先端部38a,39aが径方向内側(すなわち、シャフト3の外周面3a側)に移動するように塑性変形される。
第1組付け片部38が塑性変形することにより、第1組付け片部38の先端部38aのうち径方向内側における少なくとも第1内側部位(一部)38cがシャフト3の外周面3aに当接する。また、第2組付け片部39が塑性変形することにより、第2組付け片部39の先端部39aのうち径方向内側における少なくとも第2内側部位(一部)39cがシャフト3の外周面3aに当接する。
【0040】
ところで、前述したように、ロータコア21の薄板31は、シャフト3に対して硬度が高い材料で形成されている。よって、第1内側部位38c及び第2内側部位39cがシャフト3の外周面3aに当接することにより、第1内側部位38c及び第2内側部位39cでシャフト3の外周面3aを塑性変形させて、第1内側部位38c及び第2内側部位39cを外周面3aに食い込ませることができる。これにより、ロータコア21は、シャフト3の外周面3aに好適に結合されている。
【0041】
ここで、例えば、従来のロータコアは、隣接する薄板に凸部、凹部が形成され、複数の薄板を重ね合わせて積層する際に、凹部に凸部を嵌入させた状態で、凹部と凸部とを加締めることにより複数の薄板が積層した状態に保持される。このため、複数の薄板を重ね合わせて積層する際に、凹部に凸部を嵌入させて加締める工程が必要になる。
また、凹部に凸部を嵌入させて加締めることにより、凹部と凸部とが潰れて接触して磁路が形成される。磁路が形成されることにより、渦電流による渦電流損が発生し、そのことが鉄損を低減させる妨げになる。
【0042】
これに対して、実施形態の電動モータ2は、第1外側部位38b及び第2外側部位39bに心棒28を当接させることにより、複数の薄板31を心棒28で積層状態に保持するように構成されている。よって、従来のロータコアのように、複数の薄板を積層する際に、凹部に凸部を嵌入させて凹部と凸部とを加締めることにより複数の薄板を積層させる必要がない。
これにより、凹部と凸部とで磁路を形成することを防ぐことができる。よって、渦電流損の発生を抑えることができ、鉄損を低減させることができる。
【0043】
さらに、ロータコアは、複数の薄板を板材(素材)からプレスで抜きつつ積層することにより形成される。ここで、複数の薄板を板材からプレスで抜く際に、例えば複数の薄板の所定の部位が板材の端部でされることが考えられる。この場合、複数の薄板の所定の部位に板材の端部の「くせ」が反映される。この状態において、複数の薄板の所定の部位が重なり続けると、薄板の「くせ」がロータコアに反映され、凹部に凸部を嵌入させ難くなる。また、ロータコアのティースに「そり」などの歪みが発生してしまい、製品精度を低下させる虞がある。この対策として、薄板を回転させて積層する回転積層設備が必要となり、そのことがコストを抑える妨げになっている。
【0044】
これに対して、実施形態の電動モータ2は、隣接する薄板の凹部に凸部を嵌入させる必要がないので、複数の薄板31の所定の部位に反映される板材(素材)の端部の「くせ」やティースの「そり」を考慮して、複数の薄板31を回転させて積層する必要がない。これにより、複数の薄板31を回転させて積層する回転積層設備を不要にでき、コストをさらに抑えることができる。
【0045】
また、図3に示すように、実施形態の電動モータ2は、第1連通孔36がコンミテータ23の第2連通孔42に対して同軸上に形成されている。第1連通孔36に挿通された心棒28は、第2連通孔42に挿通されている。具体的には、心棒28は、第2連通孔42に圧入されて貫通されている。これにより、ロータコア21とコンミテータ23との進角ズレを心棒28で矯正することができ、磁気音のばらつきを低減することができる。
【0046】
さらに、第1連通孔36に心棒28を挿通させてシャフト3にロータコア21を結合させる工程において、第2連通孔42に心棒28を貫通させる一連の動作により、ロータコア21に対してコンミテータ23を位置決めした状態に固定できる。これにより、ロータコア21に対してコンミテータ23を位置決めする工程を不要にできる。
【0047】
また、心棒28は、第1連通孔36及び第2連通孔42に挿通された状態において保持可能に構成されている。具体的には、心棒28は、例えば、一端部に形成された折曲部51と、他端部に形成された雄ねじ部52とを有する。
第1連通孔36と第2連通孔42とに心棒28が挿通された状態において、折曲部51がコンミテータ23の端面23aに接触し、雄ねじ部52が第1連通孔36(すなわち、ロータコア21の端面21a)から突出する。雄ねじ部52にナット53をねじ結合することによりナット53がロータコア21の端面21aに接触する。
よって、折曲部51及びナット53により、心棒28が第1連通孔36と第2連通孔42とから抜け出すことを防止できる。これにより、第1連通孔36及び第2連通孔42に心棒28を取り付けた状態に確実に保持することができる。
【0048】
(アーマチュア6の製造方法)
つぎに、電動モータ2(具体的には、アーマチュア6)の製造方法を図3図6に基づいて説明する。
図6はロータコア21の第1連通孔36に心棒28を挿通する前の状態を示す正面図である。
図3に示すように、第1工程において、コンミテータ23をシャフト3に嵌合する。
図3図4に示すように、第2工程において、複数の薄板31が軸方向O1に重ねられたロータコア21の嵌合孔35をシャフト3に嵌合する。
【0049】
図6に示すように、第1連通孔36の第2径方向面46は、第1組付け片部38と、第2組付け片部39とにより形成されている。第1組付け片部38は、第1周方向面47の径方向内端47aからシャフト3の外周面3aに沿って第2周方向面48の径方向内端48a側に延出されている。第2組付け片部39は、第2周方向面48の径方向内端48aからシャフト3の外周面3aに沿って第1周方向面47の径方向内端47a側に延出されている。
ロータコア21をシャフト3に嵌合した状態において、ロータコア21の内周面35aはシャフト3の外周面3aに対して間隔をおいて配置される。また、第1組付け片部38及び第2組付け片部39は、シャフト3に隣接あるいは接触した状態に配置される。
【0050】
図3に示すように、第3工程において、ロータコア21の第1連通孔36と、コンミテータ23の第2連通孔42とに心棒28を挿通する。
図5に示すように、心棒28が第1組付け片部38の第1外側部位38bに当接し、第2組付け片部39の第2外側部位39bに当接する。これにより、ロータコア21を形成する複数の薄板31を、複数の心棒28で積層状態に保持できる。
【0051】
また、心棒28が第1外側部位38b及び第2外側部位39bに当接することにより、第1外側部位38b及び第2外側部位39bが心棒28により径方向内側(すなわち、シャフト3の外周面3a側)に押圧される。よって、第1組付け片部38及び第2組付け片部39は、各基端部を支点として各先端部38a,39aが径方向内側に塑性変形する。
第1組付け片部38及び第2組付け片部39が塑性変形することにより、第1内側部位38c及び第2内側部位39cをシャフト3の外周面3aに当接させて食い込ませることができる。これにより、ロータコア21をシャフト3の外周面3aに好適に結合することができる。
【0052】
よって、例えば、従来技術のように、ロータコアをシャフトの係止凸部に圧入させて係止凸部をロータコアの内周面に食い込ませる場合と比較して、実施形態においては、シャフト3に対するロータコア21の芯ズレを抑制できる。これにより、シャフト3に対するロータコア21の芯ズレを修正する工程を不要にできる。
また、実施形態においては、第1組付け片部38の第1内側部位38c及び第2組付け片部39の第2内側部位39cをシャフト3の外周面3aと当接させてシャフト3にロータコア21を結合させることができる。これにより、シャフト3の外周面3aにロータコア21を結合させるためのキー溝を、シャフト3の外周面3aから不要にできる。
このように、実施形態によれば、シャフト3に対するロータコア21の芯ズレを抑制し、キー溝をシャフト3から不要にすることにより、安価に組み付け精度の良いアーマチュア6(すなわち、電動モータ2)を得ることができる。
【0053】
尚、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、電動モータ2をワイパモータ装置1に適用した例について説明したが、その他の装置に電動モータ2を適用することも可能である。
【0054】
また、上述の実施形態では、ロータコア21の薄板31をシャフト3に対して硬度が高い材料で形成した例について説明したが、これに限らない。その他の例として、ロータコア21の薄板31に対してシャフト3を硬度が高い材料で形成することも可能である。
この場合においても、第1内側部位38c及び第2内側部位39cがシャフト3の外周面3aに当接することにより、第1内側部位38c及び第2内側部位39cをシャフト3の外周面3aに対して塑性変形させることができる。これにより、実施形態と同様に、ロータコア21をシャフト3の外周面3aに好適に結合できる。
【0055】
さらに、上述の実施形態では、心棒28の一端部に折曲部51、他端部に雄ねじ部52を形成して、雄ねじ部52にナット53をねじ結合することにより、ナット53及び折曲部51で心棒28の抜け出を防止する例について説明したが、これに限らない。
その他の例として、例えば、心棒28を第1連通孔36及び第2連通孔42に挿通された状態において心棒28の他端部を折り曲げることにより、心棒28の抜け出を防止することも可能である。また、心棒28の両端部に雄ねじを形成し、それぞれの雄ねじにナットをねじ結合することにより、心棒28の抜け出を防止することも可能である。さらに、心棒28をボルトで形成し、先端部の雄ねじにナットをねじ結合することにより、ボルトの頭部及びナットで心棒28の抜け出を防止することも可能である。さらに、心棒28との固定に関し、第2連通孔42内に接着剤を塗布することで固定し、第1連通孔36は心棒28を軽圧入して固定することにしてもよい。これによりナットや心棒のねじ加工などをなくすことが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1 ワイパモータ装置
2 電動モータ(回転電機)
3 シャフト
3a 外周面
21 ロータコア
23 コンミテータ
28 心棒
31 薄板
36 第1連通孔
37 開口部
38,39 第1、第2の取付け片部(取付け片部)
38b 第1外側部位(組付け片部のうち径方向外側における少なくとも一部)
38c 第1内側部位(組付け片部のうち径方向内側における少なくとも一部)
39b 第2外側部位(組付け片部のうち径方向外側における少なくとも一部)
39c 第2内側部位(組付け片部のうち径方向内側における少なくとも一部)
42 第2連通孔
O1 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6