特開2020-74941(P2020-74941A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-74941(P2020-74941A)
(43)【公開日】2020年5月21日
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20200424BHJP
【FI】
   A47J27/00 103E
   A47J27/00 109H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-210212(P2018-210212)
(22)【出願日】2018年11月8日
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】村上 誠
(72)【発明者】
【氏名】太田 勝之
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 杏奈
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA03
4B055AA09
4B055BA63
4B055CA36
4B055CB09
4B055CC29
4B055GB09
4B055GC03
4B055GC33
4B055GD05
(57)【要約】
【課題】鍋内を減圧して沸騰を起こし、沸騰水で米を上下に撹拌させながら糊化させて鍋内の上下方向におけるご飯の炊きムラを少ない炊飯器を提供する。
【解決手段】炊飯器本体1と、炊飯器本体1内に配置された鍋2と、鍋2の開口部2aを覆う蓋部4と、蓋部4に配され鍋2内と連通する内蓋排気口3aを有する内蓋3と、蓋部4に配され外気と連通する蓋部排気口1aと、鍋2を加熱する加熱部7と、鍋2内を減圧する減圧部5と、水蒸気から水分を分離する気液分離部11と、内蓋3の内蓋排気口3aと蓋部4の蓋部排気口1aとが連通する通路6と、加熱部7に与える加熱量を制御し炊飯工程を順次実行する制御部15と、を備え、通路6内で蓋部排気口1a側に減圧部5が配されるとともに、通路6内で内蓋排気口3a側に気液分離部11が配され、制御部15は、減圧部5を炊き上げ工程で所定時間駆動する構成としたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、
前記炊飯器本体内に配置された鍋と、
前記鍋の開口部を覆う蓋部と、
前記蓋部に配され前記鍋内と連通する内蓋排気口を有する内蓋と、
前記蓋部に配され外気と連通する蓋部排気口と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
前記鍋内を減圧する減圧部と、
水蒸気から水分を分離する気液分離部と、
前記内蓋の内蓋排気口と前記蓋部の蓋部排気口とが連通する通路と、
前記加熱部に与える加熱量を制御し吸水工程と、炊き上げ工程と、沸騰工程と、むらし工程の炊飯工程を順次実行する制御部と、
を備え、
前記通路内で前記蓋部排気口側に前記減圧部が配されるとともに、前記通路内で前記内蓋排気口側に前記気液分離部が配され、
前記制御部は、前記減圧部を前記炊き上げ工程で所定時間駆動する構成とした炊飯器。
【請求項2】
気液分離部は、通路の一部を冷やす冷却部を有する請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
冷却部は、通路を構成する通路壁に強制的に送風するファンを有する請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
冷却部は、通路を構成する通路壁を冷やすペルチェユニットを有する請求項2に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関し、特に炊飯中に減圧を行う炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、本体に鍋を収納自在に設け、この鍋を覆うように蓋体を設けた炊飯器が、例えば特許文献1などに開示されている。このような炊飯器では、本体内を大気圧よりも低い状態にする減圧手段を備えたものが知られている。
【0003】
図7は、特許文献1に記載された従来の炊飯器500を示すものである。図7に示すように、従来の炊飯器500は、炊飯器500の外郭をなす上枠50aと外枠50bとから形成された本体50と、外枠50bの底部開口を覆う底板51と、上枠50aの上面内周部から一体に垂下させて形成されるほぼ筒状の鍋収容部52と、鍋収容部52の下面開口を覆って設けられた内枠53と、内枠53の外面の発熱体に対向する側面下部および底面部に設けられた加熱コイル54と、鍋55を収納する有底筒状で非磁性材料からなる鍋収容体56と、鍋収容体56内に着脱自在に収納された有底筒状の鍋55と、蓋体57を本体50に閉じた状態で鍋55内を通常の大気圧よりも低くするために設けた減圧手段58と、を有している。減圧手段58は、本体50の後部に設けた減圧駆動源としての減圧ポンプと、この減圧ポンプから本体50および蓋体57を経て、内蓋59に設けた孔に至る管状の経路61とにより構成される。
【0004】
図8は、特許文献2に記載された従来の炊飯器600を示すものである。図8に示すように、従来の炊飯器600は、米粒と炊飯水を投入する炊飯釜70と、炊飯釜70の開口部を密封する蓋71と、蓋71に設けられ炊飯釜70の内外を連通する排気口と、排気口に接続され炊飯釜70内を減圧する減圧排気手段72と、炊飯釜70を加熱する加熱手段と、減圧排気手段72及び加熱手段を制御する制御部とを備えている。制御部は、炊飯釜70内の炊飯水の温度が米粒の糊化温度になる前のタイミングで、炊飯水の沸点温度が米粒の糊化温度未満となるように、減圧排気手段72を制御して炊飯釜70内の圧力を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−200180号公報
【特許文献2】特開2017−63957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の減圧を行う炊飯器においては、鍋を覆う内蓋と、鍋内を減圧する減圧ポンプが直接連通して水分を分離する構成を有していないため、鍋内に存在する水の飽和蒸気圧まで減圧させた状態で水を沸騰させると、減圧ポンプと連通する通路を水蒸気が通過して、減圧ポンプ内に直接水蒸気が侵入しまうことがあった。その際、減圧ポンプ内で水蒸気が結露して、減圧ポンプの性能が低下する、また、減圧ポンプに過度な負荷がかかって減圧ポンプが故障してしまうことがあった。そのため、鍋内に水が存在する状態において、減圧ポンプを駆動できる条件が限定されて、十分な効果が得られないという課題があった。
【0007】
つまり、特許文献1に記載の炊飯器においては、予約炊飯時のひたし工程と炊飯完了後の保温工程に限定されており、炊き上げ工程において減圧ポンプを駆動することができず
、米粒を十分に撹拌することができない。
【0008】
また、特許文献2に記載の炊飯器においては、炊飯釜内の炊飯水の温度が米粒の糊化温度になる前に炊飯釜内を減圧して炊飯水の沸点温度を下げているが、炊飯水の沸騰はすぐに開始するため、沸騰を検知してから減圧ポンプを休止すると、実質沸騰時間が短くなり、十分な撹拌効果が得られないという課題があった。逆に、沸騰を検知してから減圧ポンプを休止しないと、水蒸気が減圧ポンプに直接流入して減圧性能が低下する、また、減圧ポンプに過度な負荷がかかって減圧ポンプが故障してしまうという課題があった。
【0009】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、内蓋と本体排気口を連通させた通路において、鍋内で発生した水蒸気から水分を分離しながら減圧することにより、炊き上げ工程において、沸騰水の対流で米を上下に撹拌させながら糊化することができるので、鍋内の上下方向におけるご飯の水分量の差を少なくし、鍋内のご飯を略均一に炊くことができる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明の炊飯器は、
炊飯器本体と、
前記炊飯器本体内に配置された鍋と、
前記鍋の開口部を覆う蓋部と、
前記蓋部に配され前記鍋内と連通する内蓋排気口を有する内蓋と、
前記蓋部に配され外気と連通する蓋部排気口と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
前記鍋内を減圧する減圧部と、
水蒸気から水分を分離する気液分離部と、
前記内蓋の内蓋排気口と前記蓋部の蓋部排気口とが連通する通路と、
前記加熱部に与える加熱量を制御し吸水工程と、炊き上げ工程と、沸騰工程と、むらし工程の炊飯工程を順次実行する制御部と、
を備え、
前記通路内で前記蓋部排気口側に前記減圧部が配されるとともに、前記通路内で前記内蓋排気口側に前記気液分離部が配され、
前記制御部は、前記減圧部を前記炊き上げ工程で所定時間駆動する構成としたものである。
【0011】
これにより、炊き上げ工程において、沸騰水の対流で米を上下に撹拌させながら糊化することができるので、鍋内の上下方向におけるご飯の水分量の差を少なくし、鍋内のご飯を略均一に炊くことができる炊飯器を提供することができる。また、気液分離部は、鍋内で発生した水蒸気から水分を分離して減圧部へ水分が流入するのを抑制することができるので、減圧部の性能低下や故障を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の炊飯器によれば、大気圧よりも低い圧力環境下で沸騰を発生させて、沸騰水の対流で米を上下に撹拌させながら糊化することができるので、鍋内の上下方向におけるご飯の水分量の差を少なくし、鍋内のご飯を略均一に炊くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の減圧時の状態を示す模式図
図2】本発明の実施の形態1における炊飯器の通常時の状態を示す模式図
図3】本発明の実施の形態1における炊飯器の炊飯工程を示すフロー図
図4】本発明の実施の形態1における炊飯器の温度センサの検知温度を示す特性図
図5】本発明の実施の形態1における炊飯器の鍋内の圧力と水の沸点を示す特性図
図6】本発明の実施の形態1における炊飯器の他の構成を示す模式図
図7】従来の炊飯器を示す断面図
図8】従来の炊飯器を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、
炊飯器本体と、
前記炊飯器本体内に配置された鍋と、
前記鍋の開口部を覆う蓋部と、
前記蓋部に配され前記鍋内と連通する内蓋排気口を有する内蓋と、
前記蓋部に配され外気と連通する蓋部排気口と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
前記鍋内を減圧する減圧部と、
水蒸気から水分を分離する気液分離部と、
前記内蓋の内蓋排気口と前記蓋部の蓋部排気口とが連通する通路と、
前記加熱部に与える加熱量を制御し吸水工程と、炊き上げ工程と、沸騰工程と、むらし工程の炊飯工程を順次実行する制御部と、
を備え、
前記通路内で前記蓋部排気口側に前記減圧部が配されるとともに、前記通路内で前記内蓋排気口側に前記気液分離部が配され、
前記制御部は、前記減圧部を前記炊き上げ工程で所定時間駆動する構成としたものである。
【0015】
これにより、炊き上げ工程において、鍋内に沸騰を発生させて、沸騰水の対流で米を上下に撹拌させながら糊化することができるので、鍋内の上下方向におけるご飯の水分量の差を少なくし、鍋内のご飯を略均一に炊くことができる炊飯器を提供することができる。
【0016】
第2の発明は、特に第1の発明において、気液分離部は、通路の一部を冷やす冷却部を有する炊飯器としたものである。これにより、減圧部で鍋内を水の飽和蒸気圧まで減圧させた際に、鍋内の水が沸騰することで発生する水蒸気は、減圧部に吸い込まれる状態で内蓋の内蓋排気口から排出され、内蓋排気口と蓋部排気口と連通する通路内で水蒸気は冷却部に接して冷やされるので、水蒸気に含まれる水分は通路内で結露する。減圧部を通過する気体には含まれる水分量は水蒸気に比べて大幅に少なくなり、減圧部の減圧性能の低下や故障を防ぐことができる。
【0017】
第3の発明は、特に第2の発明において、冷却部は、通路を構成する通路壁に強制的に送風するファンを有する炊飯器としたものである。これにより、冷却部を容易に構成することができるとともに、ファンの流量を変更して冷却部の冷却性能を調整できるので、水蒸気から水分を除去しやすくすることができる。
【0018】
第4の発明は、特に第2の発明において、冷却部は、通路を構成する通路壁を冷やすペルチェユニットを有する炊飯器としたものである。これにより、送風冷却に比べてより低い温度まで通路壁をペルチェユニットで冷却できるようになり、水蒸気から水分を分離する性能を向上することができる。
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の炊飯器の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
本発明の炊飯器の実施の形態1について、以下、図1図5を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における炊飯器の減圧時の状態を示す模式図である。図2は、本発明の実施の形態1における炊飯器の通常時の状態を示す模式図である。図3は、本発明の実施の形態1における炊飯器の炊飯工程を示すフロー図である。図4は、本発明の実施の形態1における炊飯器の温度センサの検知温度を示す特性図である。図5は、本発明の実施の形態1における炊飯器の鍋内の圧力と水の沸点を示す特性図である。図6は、本発明の実施の形態1における炊飯器の他の構成を示す模式図である。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態における炊飯器100は、炊飯器本体1と、炊飯器本体1内に配置された鍋2と、鍋2の開口部2aを覆う蓋部4と、蓋部4に配され鍋2内と連通する内蓋排気口3aを有する内蓋3と、蓋部4に配され外気と連通する蓋部排気口1aと、鍋2を加熱する加熱部7と、鍋2内を減圧する減圧部5である減圧ポンプ5と、水蒸気から水分を分離する気液分離部11と、内蓋3の内蓋排気口3aと蓋部4の蓋部排気口1aとが連通する通路6と、鍋2の温度を検知する温度検知部8と、を備えている。
【0022】
炊飯器100は、さらに、加熱部7に与える加熱量を制御し、吸水工程と、炊き上げ工程と、沸騰工程と、むらし工程の炊飯工程を順次実行する制御部15と、を備えている。制御部15は、炊飯工程に応じて減圧部5である減圧ポンプ5を制御する。
【0023】
炊飯器本体1の上部に配された蓋部4は、内蓋3と、減圧ポンプ5と、蓋部排気口1aと、通路6と、気液分離部11と、を有している。蓋部排気口1aは、蓋部4の外部である外気と連通している。
【0024】
通路6内で蓋部排気口1a側に減圧部5である減圧ポンプ5が配されるとともに、通路6内で内蓋排気口3a側に気液分離部11が配されている。
【0025】
ここで、加熱部7は、炊飯器本体1の鍋収納部に配置された鍋2を加熱するように構成されていればよい。例えば、鍋2を誘導加熱する加熱コイル7で構成されていてもよく、または、鍋2に接触し鍋2を直接加熱する電気抵抗式のヒータで構成されていてもよい。また、温度検知部8は、炊飯器本体1の鍋収納部に配置された鍋2の温度を検知するよう構成されていればよい。例えば、サーミスタなど、鍋2に接触して鍋2の温度を接触式の温度センサで構成されていてもよく、または、赤外線センサなど、鍋2に接触せずに鍋2の温度を測定する非接触式の温度センサ8で構成されていてもよい。なお、本実施の形態においては、加熱部7が誘導加熱の加熱コイル7で構成されており、かつ、温度検知部8が接触式の温度センサ8で構成されている構成について説明する。
【0026】
また、加熱コイル7と減圧ポンプ5は、鍋底に接する温度センサ8の検知温度に応じて制御部15で制御される。減圧ポンプ5の吸込み側には減圧制御弁9が配置されており、また内蓋3と蒸気排気口1bとの間には制御弁10が配置されている。減圧制御弁9と制御弁10とは制御部15で開閉状態を駆動制御される。図1に示すように、減圧ポンプ5で鍋2内を減圧する際には、減圧制御弁9は開状態になり、かつ制御弁10は閉状態になることで、内蓋3と蒸気排気口1bを連通する通路は塞がれて、内蓋3と蓋部排気口1aを連通する通路6のみに気体Aが流れることが可能になる。逆に、図2に示すように、鍋2内を減圧しない場合には、減圧制御弁9を閉状態にして、かつ制御弁10を開状態にすることで、内蓋3と蓋部排気口1aとを連通する通路6を塞ぎ、内蓋3と蒸気排気口1bとを連通する通路のみに気体Bが流れるようにすることが可能である。つまり、制御部15で減圧制御弁9と制御弁10の開閉状態を制御することで、内蓋3と蓋部排気口1aもしくは蒸気排気口1bとを連通する2つの通路を鍋2内の状況に応じて選択することが可能になる。
【0027】
図1に示すように、内蓋3と蓋部排気口1aとを連通する通路6において、内蓋3の内蓋排気口3aと減圧制御弁9の間には、気液分離部11である冷却部11が設けられている。冷却部11は、通路6の一部を冷やすように蓋部4に収納されている。冷却部11は、通路6を構成する通路壁に対して強制的に送風するファン12を有している。ファン12は制御部15により駆動制御される。
【0028】
冷却部11の上部に配置されたファン12が駆動された際に、ファン12から冷却部11に強制的に送風される冷却風によって冷却部11が冷やされることになる。冷却部11の下面は通路6と熱抵抗の低い状態で接続されている。例えば、冷却部11と炊飯器本体1蓋とが金属で形成され溶接で結合されている、もしくは、高い熱伝導性を有する接着材等で接着して形成してもよい。または、冷却部11の下面が通路6の一部分を形成していてもよい。なお、本実施の形態においては、冷却部11の材質をアルミニウムにして、通路6の一部分を冷却部11の下面が形成するように構成した。ファン12のブレード枚数、形状や回転数に応じてファン12から冷却部11へ送風される冷却風の流量を制御することができ、流量を増やすことで冷却部11を冷やす効果を上げることが可能である。ファン12に流入する空気は蓋部4の外部から取り込まれているため、炊飯中には加熱部7によって鍋2が加熱されており、内蓋3と蓋部排気口1aとを連通する通路6を流れる蒸気とは温度差が大きくなる。そのため、ファン12で冷却部11に送風する空気でも、通路6を通過する蒸気を十分に冷却することができる。
【0029】
以上のように構成された炊飯器100について、以下その動作、作用を説明する。
使用者が所定量の米と水を鍋2に投入して炊飯工程を開始すると、加熱コイル7に電流が流れ、誘導加熱によって鍋2自体が発熱する。鍋2が発熱することで、鍋2内の米と水が加熱される。図3に示すように、本実施の形態の炊飯器100により実行される炊飯工程は、時間順に、吸水工程、炊き上げ工程、沸騰維持工程、むらし工程の4つの工程を備えている。
【0030】
制御部15は、加熱コイル7に与える加熱量を制御し吸水工程、炊き上げ工程、沸騰維持工程、むらし工程の炊飯工程を順次実行する。吸水工程は、糊化温度よりも低温の水に米を浸し、予め米に吸水させておくことで、以降の工程において、米の中心部まで十分に糊化させるための工程である。炊き上げ工程は、加熱コイル7で鍋2の底面を加熱し、水の温度を水の沸点まで上昇させる工程である。沸騰維持工程は、加熱コイル7で鍋2の底面を適時加熱し、鍋2の水の沸騰状態を維持するとともに、鍋2内の水が無くなるまで適時加熱する工程である。むらし工程は、炊き上げ工程で炊き上げられた米が芯まで糊化するように、米が乾燥したり、焦げたりしない温度で、かつ鍋2全体すなわち米を高温の状態に保つ工程である。炊飯器100は、鍋2の中央下部に配置された温度センサ8で鍋2の温度を検知している。
【0031】
図4に示すように、炊飯工程中に温度センサ8で検知される検知温度Taは、上記4つの工程において異なり、検知温度T0は炊飯開始時の初期温度(例えば、常温20℃等)、検知温度T1は吸水工程において米の糊化は進行させずに、米内部への吸水を促進させるために適切な温度(例えば、40℃〜60℃等)、検知温度T2は大気圧において水が沸騰する温度(通常は100℃)、検知温度T3は鍋2内の水がなくなったことを検知するために設定された温度、を示す。吸水工程が終了して炊き上げ工程に移行すると、鍋2内の温度は検知温度T2から検知温度T3へ徐々に上がっていく。炊き上げ工程においては、米の糊化が急速に進む温度に達するため、米が鍋2内の水を吸水しながら糊化していく。鍋2が加熱される場合、鍋2に接している米は鍋2からの熱伝導と、米周囲からに存在する水から熱を授受することになる。一方、鍋2に接していない米に関しては、米周囲に存在する水からのみ熱を授受されるので、鍋2との接点がある米とない米では、鍋2加
熱時の伝熱状態が異なる。米の糊化が進むと、米は吸水して大きくなるため、米の表面積が増える。鍋2と接点がある米の場合、米の表面積が大きくなると、鍋2との接する面積が増える。炊飯工程中、鍋2の中央下部に配置された温度センサ8で検知する温度によって、鍋2の加熱は制御されているが、厳密には鍋2自体の温度は、鍋2内の水温よりも高くなる瞬間が存在する。つまり、鍋2の発熱と、鍋2内の水への熱伝導には僅かではあるが時間差が存在し、鍋2内に存在する水の温度は鍋2の温度以上に高くなることはない。また、鍋2内の上下においても、水の温度に若干の差は存在し、温度差によって鍋2内の対流が発生することになる。
【0032】
また、炊き上げ工程において、米の糊化が進むと、米内部のデンプンが鍋2内の水に流出して、粘性の高い水(以下、おねばと呼ぶ)になる。米の吸水が進んで、鍋2内の水量が減少していくと、おねばの粘性はより高くなる。おねばは米を覆うように存在し、鍋2と接点のある米は鍋2に付着しやすい状態になるため、鍋2内の対流が発生しても、米は対流によって撹拌されにくくなる。
【0033】
本実施の形態においては、炊き上げ工程時に、炊飯器100内の制御部15によって、制御弁10が閉状態になり、減圧制御弁9が開状態になり、減圧ポンプ5とファン12が所定時間駆動する。ファン12が駆動すると、ファン12から冷却部11へ強制的に送風されるようになり、冷却部11が冷やされた状態になる。また、減圧ポンプ5が駆動すると、鍋2内に存在する空気が、内蓋3の内蓋排気口3aと蓋部排気口1aとを連通する通路6を通過して蓋部4の外部に排出されて、鍋2内が減圧される。
【0034】
図5に示すように、鍋2内の圧力が大気圧から下がっていくと、鍋2内の水の沸点も100℃から下がっていく。つまり、炊き上げ工程において、鍋2内の温度が上昇していく過程において、制御部15により減圧ポンプ5を所定時間駆動することにより鍋2内を減圧していくと、鍋2内の水の沸点が下がっていくため、鍋2の中央下部に配置された温度センサ8で検知される温度T2とT3の間で水が沸騰し始める。水が沸騰し始めると、鍋2内で水蒸気が発生して内蓋3の内蓋排気口3aから流出し始める。内蓋3の内蓋排気口3aから流出した水蒸気は、減圧ポンプ5側へ通路6を流れていく中で、ファン12で冷却されている冷却部11に接する。水蒸気は冷却部11で冷やされて温度が下がり、水蒸気に含まれている水分が通路6内で結露して、水蒸気から水分が除去されていく。残りの空気は減圧ポンプ5を通過して蓋部排気口1aから蓋部4の外部へ流出する。つまり、鍋2内を減圧させた状態で鍋2内の水を沸騰させても、減圧ポンプ5を通過する空気は水分が少ない空気になるため、減圧ポンプ5の減圧性能を低下させることなく、鍋2内の減圧沸騰を継続することができる。
【0035】
炊き上げ工程において、鍋2内に存在する水の温度が90℃を超えると、炊飯前に投入した水は米の糊化のための吸水で減少して鍋2内で自由に動ける水の量は少なく、米が吸水しているため、対流による米の撹拌効果は小さい。また、吸水工程においては、米の糊化が進行しにくく、鍋2内の自由に動ける水の量は多いが、仮に吸水工程で鍋2内を減圧して沸騰させたとしても、鍋2内で米の撹拌は起こるが、鍋2内の水量が減少するだけで糊化が進まず、きちんとしたご飯が炊けない。
【0036】
つまり、炊き上げ工程で、鍋2内の水がある程度存在する段階において、減圧部5である減圧ポンプ5を駆動させることにより、鍋2内を減圧沸騰させ、鍋2内の米を対流で撹拌させながら糊化させることで、鍋2内の米を適度に撹拌しながら糊化することができるので、鍋2内の上下のご飯の水分量の差が小さい、炊きムラの少ない均一な炊きあがりにすることができる。本実施の形態では、鍋2の中央下部に配置された温度センサが、60℃〜90℃の範囲で鍋2内を減圧沸騰させている。
【0037】
以上のように、本実施の形態の炊飯器100は、炊飯器本体1と、炊飯器本体1内に配置された鍋2と、鍋2の開口部2aを覆う蓋部4と、蓋部4に配され鍋2内と連通する内蓋排気口3aを有する内蓋3と、蓋部4に配され外気と連通する蓋部排気口1aと、鍋2を加熱する加熱部7と、鍋2内を減圧する減圧部5と、水蒸気から水分を分離する気液分離部11と、内蓋3の内蓋排気口3aと蓋部4の蓋部排気口1aとが連通する通路6と、加熱部7に与える加熱量を制御し吸水工程と、炊き上げ工程と、沸騰工程と、むらし工程の炊飯工程を順次実行する制御部15と、を備え、
通路6内で蓋部排気口1a側に減圧部5が配されるとともに、通路6内で内蓋排気口3a側に気液分離部11が配され、制御部15は、減圧部5を炊き上げ工程で所定時間駆動する構成としたものである。
【0038】
これにより、炊き上げ工程において、鍋2内に沸騰を発生させて、沸騰水の対流で米を上下に撹拌させながら糊化することができるので、鍋2内の上下方向におけるご飯の水分量の差を少なくし、鍋2内のご飯を略均一に炊くことができる炊飯器100を提供することができる。
【0039】
また、気液分離部11は、鍋2内で発生した水蒸気から水分を分離して減圧部5へ水分が流入するのを抑制することができるので、減圧部5の性能低下や故障を防ぐことができる。
【0040】
また、本実施の形態の炊飯器100における気液分離部11は、通路6の一部を冷やす冷却部11を有するものである。これにより、減圧部5で鍋2内を水の飽和蒸気圧まで減圧させた際に、鍋2内の水が沸騰することで発生する水蒸気は、減圧部5に吸い込まれる状態で内蓋3の内蓋排気口3aから排出され、内蓋排気口3aと蓋部排気口1aと連通する通路6内で水蒸気は冷却部11に接して冷やされるので、水蒸気に含まれる水分は通路6内で結露する。減圧部5を通過する気体には含まれる水分量は水蒸気に比べて大幅に少なくなり、減圧部5の減圧性能の低下や故障を防ぐことができる。
【0041】
また、冷却部11は、通路6を構成する通路壁に強制的に送風するファン12を有するものである。これにより、冷却部11を容易に構成することができるとともに、ファン12の流量を変更して冷却部11の冷却性能を調整できるので、水蒸気から水分を除去しやすくすることができる。
【0042】
なお、本実施の形態1においては、制御部15は、冷却部11の上部に配置されたファン12を駆動して、炊飯器100の外部の空気を冷却部11に当てることで冷却部11を冷やす構成で説明した。しかし、これに限定されるものではなく、図6に示すように、冷却部11は通路6を構成する通路壁を冷やすペルチェユニット14を有する構成としてもよく、ペルチェユニット14の低温側を通路6と熱抵抗の低い状態で結合し、高温側13をファン12などで放熱させる構成にしてもよく、ファン12で冷却部11を送風冷却するのに比べて、より低い温度まで冷却することができるので、冷却部11の温度を下げて、内蓋3と蓋部排気口1aとを連通する通路6を通過する水蒸気からより効率的に水分を除去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の炊飯器によれば、鍋内を減圧し、鍋内に存在する水を大気圧よりも低い圧力環境下で沸騰を発生させて、沸騰水で米を上下に撹拌させながら糊化させて鍋内の上下方向におけるご飯の炊きムラを少なくすることができるので、家庭用及び業務用の炊飯器の分野・用途に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 炊飯器本体
1a 蓋部排気口
1b 蒸気排気口
2 鍋
2a 開口部
3 内蓋
3a 内蓋排気口
4 蓋部
5 減圧部(減圧ポンプ)
6 通路
7 加熱部(加熱コイル)
8 温度検知部(温度センサ)
9 減圧制御弁
10 制御弁
11 気液分離部(冷却部)
12 ファン
13 高温側
14 ペルチェユニット
15 制御部
100 炊飯器
図1
図2
図3
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図6
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図8