特開2020-75457(P2020-75457A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-75457(P2020-75457A)
(43)【公開日】2020年5月21日
(54)【発明の名称】延伸ポリエステルフィルム
(51)【国際特許分類】
   B29C 55/12 20060101AFI20200424BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20200424BHJP
   B29C 61/06 20060101ALI20200424BHJP
   B29K 67/00 20060101ALN20200424BHJP
   B29K 105/02 20060101ALN20200424BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20200424BHJP
【FI】
   B29C55/12
   B32B27/36
   B29C61/06
   B29K67:00
   B29K105:02
   B29L9:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-211710(P2018-211710)
(22)【出願日】2018年11月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】岸本 好弘
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 浩之
(72)【発明者】
【氏名】小西 健太
【テーマコード(参考)】
4F100
4F210
【Fターム(参考)】
4F100AA17B
4F100AA19
4F100AK21
4F100AK41A
4F100AK42A
4F100AK52
4F100BA02
4F100BA03
4F100EH46C
4F100EH66B
4F100EJ38A
4F100JA03A
4F100JD02C
4F100JD04
4F100YY00A
4F210AA24
4F210AD33
4F210AG01
4F210AG03
4F210AH54
4F210AR20
4F210QC05
4F210QG01
4F210QW31
4F210RA03
4F210RC02
4F210RG04
4F210RG30
(57)【要約】
【課題】ポリエステルフィルムの蒸着層上にバリアコート層を積層し、その際に乾燥(加熱)工程を経た後であっても、ガスバリア性(特に水蒸気バリア性)に優れるバリアフィルムを製造することができる延伸ポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】本発明による延伸ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムに単位断面積当たり荷重2.92×10N/mを負荷しながら、温度20℃で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で150℃まで昇温し、温度150℃で10分間保持した後、降温速度10℃/分で20℃まで降温させた後に測定したポリエステルフィルムのMD方向の熱収縮率が、0%以上1.00%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルフィルムに単位断面積当たり荷重2.92×10N/mを負荷しながら、温度20℃で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で150℃まで昇温し、温度150℃で10分間保持した後、降温速度10℃/分で20℃まで降温させた後に測定したポリエステルフィルムのMD方向の熱収縮率が、0%以上1.00%以下であることを特徴とする、延伸ポリエステルフィルム。
【請求項2】
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1に記載の延伸ポリエステルフィルム。
【請求項3】
無機酸化物蒸着層が積層されたバリアフィルムの蒸着用基材として用いられる、請求項1または2に記載の延伸ポリエステルフィルム。
【請求項4】
無機酸化物蒸着層上にさらにバリアコート層が積層されたバリアフィルムの蒸着用基材として用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の延伸ポリエステルフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延伸ポリエステルフィルムに関し、より詳細には、特定の条件で測定した熱収縮率が小さい延伸ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品、日用品、および医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制し、それらの機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これら気体を遮断するガスバリア性を備えることが求められてきた。そのため、高分子の中ではガスバリア性に優れる塩化ビニリデン系樹脂のフィルムまたはそれらの樹脂をコーティングしたフィルム等が良く用いられてきた。しかし、それらは温度や湿度等によるガスバリア性の影響が大きく、高度なガスバリア性の要求には対応できないという技術的課題が存在していた。
【0003】
そこで、高度なガスバリア性を要求されるものについては、アルミニウム等の金属からなる金属箔等をガスバリア層として用いた包装材料が用いられてきた。しかし、アルミニウム等の金属からなる金属箔等を用いた包装材料は、温度や湿度の影響がなく高度なガスバリア性を持つが、包装材料を透視して内容物を確認することができない、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならない、検査の際に金属探知器が使用できない等の技術的課題が存在していた。
【0004】
近年、これらの技術的課題を解決するために、酸化珪素、酸化アルミニウム、および酸化マグネシウム等の無機酸化物の蒸着薄膜層を真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により高分子フィルム上に積層した蒸着フィルムがバリアフィルムとして使用されている。
【0005】
しかし、上記のようなバリアフィルムのガスバリア性は、必ずしも十分ではなく、また、ガスバリア性にバラツキが生じるという技術的課題が存在している。そこで、このような技術的課題を解決するために、特定の熱条件(160℃×5分)における縦方向および横方向熱収縮率がそれぞれ1.0%〜2.0%および0.5〜1.0%であるSiOx蒸着用二軸延伸ポリエステルフィルムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−6393号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で提案されているSiOx蒸着用二軸延伸ポリエステルフィルムであっても、蒸着層上にバリアコート層を積層したガスバリアフィルムのガスバリア性(特に水蒸気バリア性)の検討は十分ではなかった。
本発明者は、ポリエステルフィルム上の無機酸化物蒸着層上にバリアコート層を形成する場合、バリアコート層の乾燥(加熱)工程において、ポリエステルフィルムが熱収縮を起こし、無機酸化物蒸着層ないしバリアコート層に微細なクラック等が発生することで、バリアフィルムとしてガスバリア性(特に水蒸気バリア性)を維持できないという新たな技術的課題を知見した。
【0008】
本発明は上記の背景技術および新たな技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、延伸ポリエステルフィルムの無機酸化物蒸着層上にバリアコート層を積層し、その際に乾燥(加熱)工程を経た後であっても、ガスバリア性(特に水蒸気バリア性)に優れるバリアフィルムを製造することができる延伸ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、熱機械分析装置(TMA)を用いて、特定の条件で測定した延伸ポリエステルフィルムのMD方向の熱収縮率を一定の範囲に調節することにより、上記課題を解決できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明の一態様によれば、
ポリエステルフィルムに単位断面積当たり荷重2.92×10N/mを負荷しながら、温度20℃で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で150℃まで昇温し、温度150℃で10分間保持した後、降温速度10℃/分で20℃まで降温させた後に測定したポリエステルフィルムのMD方向の熱収縮率が、0%以上1.00%以下であることを特徴とする、延伸ポリエステルフィルムが提供される。
【0011】
本発明の上記の態様においては、延伸ポリエステルフィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
【0012】
本発明の上記の態様においては、延伸ポリエステルフィルムが蒸着用基材として用いられることが好ましい。
【0013】
本発明の上記の態様においては、延伸ポリエステルフィルムが無機酸化物蒸着層上にさらにバリアコート層が積層されたバリアフィルムの蒸着用基材として用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、延伸ポリエステルフィルムの無機酸化物蒸着層上にバリアコート層を積層し、その際に乾燥(加熱)工程を経た後であっても、ガスバリア性(特に水蒸気バリア性)に優れるバリアフィルムを製造することができる延伸ポリエステルフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(延伸ポリエステルフィルム)
本発明のポリエステルフィルムは、一軸方向または二軸方向に延伸したポリエステルフィルムであり、熱機械分析装置(TMA)を用いて下記条件で測定した延伸ポリエステルフィルムのMD方向の熱収縮率が一定の範囲内に調節されたものである。
【0016】
熱機械分析装置(TMA)を用いた熱収縮率の具体的な測定条件は以下の通りである。
ポリエステルフィルムに単位断面積当たり荷重2.92×10N/mを負荷しながら、温度20℃で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で150℃まで昇温し、温度150℃で10分間保持した後、降温速度10℃/分で20℃まで降温させた後にポリエステルフィルムの熱収縮率を測定する。
熱機械分析装置(TMA)としては、市販の製品を用いることができ、例えば、セイコーインスツル株式会社製の機種名:EXSTAR6000を用いることができる。
【0017】
ポリエステルフィルムは、上記の条件で測定したMD方向の熱収縮率が、0%以上1.00%以下であり、好ましくは0.95%以下であり、より好ましくは0.90%以下である。
ポリエステルフィルムの熱収縮率は、ポリエステルフィルムの延伸倍率、延伸後の熱固定温度、熱弛緩温度、ポリエステルの含水率や重合度を変更することで、調節することができる。ポリエステルフィルムの熱収縮率が上記範囲内であれば、バリアコート層形成時の乾燥工程等の加熱によってフィルムが収縮しても、フィルム上に形成された蒸着層やバリアコート層に微細なクラック等が生じにくく、蒸着層やバリアコート層により得られるガスバリア性を維持することができる。そのため、本発明のポリエステルフィルムは、蒸着用基材として好適に用いることができる。さらに、本発明のポリエステルフィルムは、蒸着層とバリアコート層とを備えるバリアフィルムの基材として好適に用いることができる。
【0018】
(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
ポリエステルフィルムの種類は特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられ、具体的には、一般的な石化燃料由来のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることができる。
また、一般的な石化燃料由来のポリエチレンテレフタレートフィルム以外にも、以下のポリエステルフィルムを用いることもできる。
【0019】
(ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT))
ポリブチレンテレフタレートフィルムは、熱変形温度が高く、機械的強度、電気的特性にすぐれ、成型加工性も良いことなどから、食品などの内容物を収容する包装袋に用いると、レトルト処理を施す際に包装袋が変形したり、その強度が低下したりすることを抑制することができる。ポリブチレンテレフタレートフィルムは、主成分としてポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも記す)を含むフィルムであり、好ましく、60質量%以上のPBTを含む樹脂フィルムである。
【0020】
(バイオマス由来のポリエステルフィルム)
バイオマス由来のポリエステルフィルムは、ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなる樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物が、ジオール単位がバイオマス由来のエチレングリコールであり、ジカルボン酸単位が化石燃料由来のジカルボン酸であるポリエステルを、樹脂組成物全体に対して、50〜95質量%、好ましくは50〜90質量%含んでなるものである。
【0021】
バイオマス由来のエチレングリコールは、サトウキビ、トウモロコシ等のバイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
【0022】
ポリエステルのジカルボン酸単位は、化石燃料由来のジカルボン酸を使用する。ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、およびそれらの誘導体を使用することができる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸およびイソフタル酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステル等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、ジメチルテレフタレートが好ましい。
【0023】
バイオマス由来のポリエステルフィルムを形成する樹脂組成物中に5〜45質量%の割合で含まれてもよいポリエステルは、化石燃料由来のポリエステル、化石燃料由来のポリエステル製品のリサイクルポリエステル、バイオマス由来のポリエステル製品のリサイクルポリエステルである。
【0024】
(リサイクルポリエチレンテレフタレート)
メカニカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンテレフタレートを含むポリエチレンテレフタレートフィルムで、具体的には、PETボトルをメカニカルリサイクルによりリサイクルしたPETを含み、このPETは、ジオール成分がエチレングリコールであり、ジカルボン酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸を含む。イソフタル酸成分の含有量は、PETを構成する全ジカルボン酸成分中に、0.5モル%以上5モル%以下であることが好ましく、1.0モル%以上2.5モル%以下であることがより好ましい。
【0025】
ここで、メカニカルリサイクルとは、一般に、回収されたPETボトル等のポリエチレンテレフタレート樹脂製品を粉砕、アルカリ洗浄してPET樹脂製品の表面の汚れ、異物を除去した後、高温・減圧下で一定時間乾燥してPET樹脂の内部に留まっている汚染物質を拡散させ除染を行い、PET樹脂からなる樹脂製品の汚れを取り除き、再びPET樹脂に戻す方法である。
【0026】
リサイクルポリエチレンテレフタレートは、リサイクルPETを50重量%以上95重量%以下の割合で含むことが好ましく、ヴァージンPETを含んでいてもよい。ヴァージンPETとしては、一般的なジオール成分がエチレングリコールであり、ジカルボン酸成分がテレフタル酸のもの、さらにおよびイソフタル酸を含むものであってもよい。
【0027】
(ポリエステルフィルムの特性)
ポリエステルフィルムは、下記の無機酸化物蒸着層を形成後に、温度40℃および湿度100%RHの環境下でJIS K7129法に準拠して測定した水蒸気透過度が、5.0g/m・day以下を達成できることが好ましく、4.0g/m・day以下を達成できることがより好ましく、3.0g/m・day以下を達成できることがさらに好ましく、2.0g/m・day以下を達成できることがさらにより好ましい。
ポリエステルフィルムは、下記の無機酸化物蒸着層およびバリアコート層を形成後に、温度40℃および湿度100%RHの環境下でJIS K7129法に準拠して測定した水蒸気透過度が、1.0g/m・day以下を達成できることが好ましく、0.8g/m・day以下を達成できることがより好ましく、0.7g/m・day以下を達成できることがさらに好ましく、0.5g/m・day以下を達成できることがさらにより好ましい。
水蒸気透過度が上記数値範囲を満たせば、好適な水蒸気バリア性を有しているため、水蒸気バリア性が要求される様々な用途に利用することができる。
【0028】
ポリエステルフィルムは、下記の無機酸化物蒸着層を形成後に、温度23℃および湿度90%RHの環境下でJIS K7126法に準拠して測定した酸度透過度が、5.0cc/m・atm・day以下を達成できることが好ましく、4.0cc/m・atm・day以下を達成できることがより好ましく、3.0cc/m・atm・day以下を達成できることがさらに好ましく、2.0cc/m・atm・day以下を達成できることがさらにより好ましい。
また、ポリエステルフィルムは、下記の無機酸化物蒸着層およびバリアコート層を形成後に、温度23℃および湿度90%RHの環境下でJIS K7126法に準拠して測定した酸度透過度が、1.0cc/m・atm・day以下を達成できることが好ましく、0.8cc/m・atm・day以下を達成できることがより好ましく、0.6cc/m・atm・day以下を達成できることがさらに好ましく、0.5cc/m・atm・day以下を達成できることがさらにより好ましい。
酸素透過度が上記数値範囲を達成できれば、好適な酸素バリア性を有しているため、酸素バリア性が要求される様々な用途に利用することができる。
【0029】
ポリエステルフィルムの膜厚は、特に限定されるものではないが、好ましくは5μm以上2000μm以下であり、より好ましくは7μm以上1000μm以下であり、さらに好ましくは8μm以上100μm以下である。
【0030】
(表面処理)
本発明では、上記の延伸ポリエステルフィルムに無機酸化物蒸着膜を形成する前に、予め表面処理をおこなってもよい。これによって無機酸化物蒸着膜との接着性を向上させることができる。同様に、蒸着層上に表面処理を行い、ガスバリア性塗布膜との接着性を向上させることもできる。このような表面処理としては、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の前処理などがある。
【0031】
また、プライマーコート剤、アンダーコート剤、あるいは、蒸着アンカーコート剤等を任意に塗布し、表面処理とすることもできる。なお、前記コート剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0032】
このような表面処理の中でも、特に、コロナ処理やプラズマ処理を行うことが好適である。例えばプラズマ処理としては、気体をアーク放電により電離させることにより生じるプラズマガスを利用して表面改質を行なうプラズマ処理がある。プラズマガスとしては、上記のほかに、酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の無機ガスを使用することができる。例えば、インラインでプラズマ処理を行うことにより、延伸ポリエステルフィルムの表面の水分、塵などを除去すると共にその表面の平滑化、活性化等の表面処理を可能とすることができる。また、蒸着後にプラズマ処理を行い、接着性を向上させることもできる。本発明では、プラズマ処理としては、プラズマ出力、プラズマガスの種類、プラズマガスの供給量、処理時間、その他の条件を考慮してプラズマ放電処理を行うことが好ましい。また、プラズマを発生する方法としては、直流グロー放電、高周波放電、マイクロ波放電等の装置を使用することができる。また、大気圧プラズマ処理法によりプラズマ処理を行なうこともできる。
【0033】
(無機酸化物蒸着層)
延伸ポリエステルフィルム上に形成する蒸着層は、化学気相成長法(CVD法)または物理気相成長法(PVD法)により形成される無機酸化物の蒸着膜である。
【0034】
無機酸化物は特に限定されるものではないが、珪素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウム等の酸化物の蒸着膜を使用することができる。特に、無機酸化物蒸着層は、酸化アルミニウムまたは酸化珪素の蒸着膜であることが好ましく、酸化アルミニウムの蒸着膜であることがより好ましい。無機酸化物の表記は、例えば、AlO、SiO等のようにMO(ただし、式中、Mは無機元素を表し、Xの値は無機元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。本発明においては、透明性やガスバリア性の観点から、Mがアルミニウム(Al)の場合、Xの値は好ましくは0.5〜2.0であり、Mが珪素(Si)の場合、Xの値は好ましくは1〜2である。
【0035】
無機酸化物蒸着層としては、蒸着材料としての扱いやすさから、物理気相成長法により、酸化アルミニウム蒸着膜を設けることが好ましい。物理気相成長法により形成される酸化アルミニウム蒸着膜は、ガスバリア性塗布膜表面との接着性に優れる。物理気相成長法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)が挙げられる。
【0036】
具体的には、アルミニウムまたはその酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを延伸ポリエステルフィルムの一方の上に蒸着する真空蒸着法、例えば、原料としてアルミニウムまたはその酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて延伸ポリエステルフィルムの一方の上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。なお、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
【0037】
また、無機酸化物蒸着層が酸化珪素蒸着膜の場合、耐屈曲性やガスバリア性の観点から、化学気相成長法により、酸化珪素蒸着膜を設けることが好ましい。化学気相成長法としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、低温プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等がある。具体的には、延伸ポリエステルフィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キャリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素蒸着膜を形成することができる。低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができる。高活性の安定したプラズマが得られる点で、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが好ましい。
【0038】
酸化珪素蒸着膜を形成する有機珪素化合物の蒸着用モノマーガスとしては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等を使用することができる。これらの中でも、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に好ましい。なお、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
【0039】
酸化珪素の蒸着膜は、酸化珪素を主体とするものであるが、更に、炭素、水素、窒素、珪素または酸素の1種類または2種類以上の元素からなる化合物の少なくとも1種類を化学結合等により含有してもよい。例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラーレン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合がある。例えば、CH部位を持つハイドロカーボン、SiHシリル、SiHシリレン等のハイドロシリカ、SiHOHシラノール等の水酸基誘導体等を挙げることができる。なお、上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素蒸着膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
【0040】
無機酸化物蒸着層の膜厚は、好ましくは3nm以上100nm以下であり、より好ましくは4nm以上50nm以下であり、より好ましくは5nm以上30nm以下である。無機酸化物蒸着層の膜厚が上記範囲内であれば、十分なガスバリア性を発現することができる。
【0041】
(バリアコート層)
無機酸化物蒸着層上に形成するバリアコート層は、ガスバリア性を有する層であり、塗布膜であることが好ましい。さらに、バリアコート層は、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子との硬化膜であることが好ましい。バリアコート層は、例えば、下記のガスバリア性塗布膜により形成することができる。ガスバリア性塗布膜は、高温多湿環境下でのガスバリア性を保持する塗膜であり、ガスバリア性塗布膜は、高温多湿環境下でのガスバリア性を保持する塗膜であり、一般式RM(OR(ただし、式中、R、Rは、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上の金属アルコキシドと、水溶性高分子とを含有し、更に、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合してなるバリアコート組成物からなる塗布膜である。
【0042】
上記一般式RM(OR中、Rとしては、分岐を有していてもよい炭素数1〜8、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などを挙げることができる。
【0043】
上記一般式RM(OR中、Rとしては、分岐を有していてもよい炭素数1〜8、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等を挙げることができる。なお、同一分子中に複数の(OR)が存在する場合には、(OR)は同一であっても、異なってもよい。
【0044】
上記一般式RM(OR中、Mで表される金属原子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム等を例示することができる。
【0045】
上記一般式RM(ORで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解縮合物の少なくとも1種以上を使用することができ、また、上記アルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されるものに限定されず、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよく、更に、加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2〜6量体のものを使用してもよい。
【0046】
本発明では、上記一般式RM(ORで表されるアルコキシドとして、MがSiであるアルコキシシランを好適に使用することができる。好適なアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシランSi(OCH、テトラエトキシシランSi(OC、テトラプロポキシシランSi(OC、テトラブトキシシランSi(OC、メチルトリメトキシシランCHSi(OCH、メチルトリエトキシシランCHSi(OC、ジメチルジメトキシシラン(CHSi(OCH、ジメチルジエトキシシラン(CHSi(OC等が挙げられる。本発明において、これらのアルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的には、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエメトキシシラン等を使用することができる。
【0047】
本発明では、上記一般式RM(ORで表されるアルコキシドとして、MがZrであるジルコニウムアルコキシドも好適に使用することができる。好適なジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシジルコニウムZr(OCH、テトラエトキシジルコニウムZr(OC、テトラiプロポキシジルコニウムZr(iso−OC、テトラnブトキシジルコニウムZr(OC等を例示することができる。
【0048】
また、上記一般式RM(ORで表されるアルコキシドとして、MがTiであるチタニウムアルコキシドも好適に使用することができる。好適なチタニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシチタニウムTi(OCH、テトラエトキシチタニウムTi(OC、テトライソプロポキシチタニウムTi(iso−OC、テトラnブトキシチタニウムTi(OC等を例示することができる。
【0049】
また、上記一般式RM(ORで表されるアルコキシドとして、MがAlであるアルミニウムアルコキシドも好適に使用することができる。好適なアルミニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシアルミニウムAl(OCH、テトラエトキシアルミニウムAl(OC、テトライソプロポキシアルミニウムAl(iso−OC、テトラnブトキシアルミニウムAl(OC等を例示することができる。
【0050】
本発明では、上記アルコキシドは、2種以上を併用してもよい。例えばアルコキシシランとジルコニウムアルコキシドを混合して用いると、得られるバリアフィルムの靭性、耐熱性等を向上させることができる。また、アルコキシシランとチタニウムアルコキシドを混合して用いると、得られるガスバリア性塗布膜の熱伝導率が低くなり、耐熱性が著しく向上する。
【0051】
本発明で使用する水溶性高分子は、ポリビニルアルコール系樹脂、またはエチレン・ビニルアルコ一ル共重合体を単独で各々使用することができ、あるいは、ポリビニルアルコ一ル系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせて使用することができる。本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することにより、ガスバリア性、耐水性、耐候性、その他等の物性を著しく向上させることができる。
【0052】
ポリビニルアルコ一ル系樹脂としては、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でも、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでも、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、特に限定されるものではない。
【0053】
エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。例えば、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではない。ただし、ガスバリア性の観点から好ましいケン化度は、80モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは、95モル%以上であるものを使用することが好ましい。なお、上記エチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは、20〜45モル%であるものことが好ましい。
【0054】
また、バリアコート層にシランカップリング剤を添加してもよい。例えば、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、アセトキシ基、アミノ基、エポキシ基などの反応基を有するシランカップリング剤が、使用できる。
【0055】
更に、上記のバリアコート組成物において用いられる有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等を用いることができる。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記アルコキシドやシランカップリング剤などを含む塗工液中で溶解した状態で取り扱われることが好ましく、上記有機溶媒の中から適宜選択することができる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用する場合には、n−ブタノールを使用することが好ましい。
【0056】
バリアコート層は、以下の方法で製造することができる。まず、上記金属アルコキシド、必要に応じてシランカップリング剤、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、酸、水、有機溶媒等を混合し、バリアコート組成物(バリアコート液)を調製する。
【0057】
次いで、該バリアコート組成物を上記無機酸化物蒸着層の上に塗布する。バリアコート組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータ等の塗布手段により、1回あるいは複数回の塗布で、乾燥膜厚が、0.01〜30μm、好ましくは、0.1〜10μm位の塗布膜を形成することができる。
【0058】
次いで、上記バリアコート組成物を塗布したフィルムを120℃〜200℃、かつ延伸ポリエステルフィルムの融点以下の温度、好ましくは130℃〜180℃、より好ましくは140℃〜160℃の範囲の温度で、3秒〜10分間加熱・乾燥する。これによって、重縮合が行われ、バリアコート層を形成することができる。また、上記バリアコート組成物を無機酸化物蒸着層の上に重ねて塗布して塗布膜を2層以上重層し、120℃〜200℃、かつ、上記樹脂基材の融点以下の温度で3秒〜10分間加熱乾燥処理して、バリアコート層を2層以上重層した複合ポリマー層を形成してもよい。以上により、上記バリアコート組成物によるバリアコート層を1層ないし2層以上形成することができる。
【0059】
バリアコート層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは10nm以上5000nm以下であり、より好ましくは50nm以上1000nm以下であり、さらに好ましくは100nm以上500nm以下であり、さらにより好ましくは150nm以上400nm以下である。バリアコート層の厚さが上記範囲程度であれば、ガスバリア性が発現できて、かつ柔軟性を備えた層として無機酸化物蒸着層表面を被覆することができる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0061】
[実施例1〜2]、[比較例1]
<延伸ポリエステルフィルムの製造>
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「フィルムI」という)を準備した。なお、フィルムIは、フィルム延伸倍率、延伸後の熱固定温度、熱弛緩温度、PETフィルムの含水率や重合度を調節して、熱収縮率が異なるものを3種類用意した。
【0062】
(無機酸化物蒸着層の形成)
各フィルムIの無機酸化物蒸着層を形成する面にプラズマ前処理を施し、連続してプラズマ処理面上に下記条件において真空蒸着法の加熱手段として反応性抵抗加熱方式により、厚さ12nmの酸化アルミニウム蒸着膜(無機酸化物蒸着層)を形成したPETフィルム(以下、「フィルムII」という)を得た。
(酸化アルミニウム成膜条件)
・真空度:8.1×10−2Pa
【0063】
(バリアコート層の形成)
また、表1に示す組成に従って、調製した組成Aの混合液に、予め調製した組成Bの加水分解液を加えて攪拌し、無色透明のバリアコート組成物を得た。
【表1】
【0064】
次に、各フィルムIIの酸化アルミニウム蒸着膜上に、上記で調製したバリアコート組成物をダイレクトグラビア法によりコーティングした。その後、150℃で60秒間、加熱処理して、厚さ300nm(乾操状態)のバリアコート層を形成し、バリアフィルム(以下、「フィルムIII」という)を得た。
【0065】
(熱収縮率の測定)
上記で製造した各フィルムI〜IIIについて、縦20mm、横5mmの大きさで、PETフィルムのMD方向が縦方向となるように試験片を作製した。作製した試験片について、熱機械分析装置(TMA、セイコーインスツル株式会社、機種名:EXSTAR6000)を用いて、フィルムに単位断面積当たり荷重2.92×10N/mを負荷しながら、温度20℃で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で150℃まで昇温し、温度150℃で10分間保持した後、降温速度10℃/分で20℃まで降温させた。その後、PETフィルムのMD方向の熱収縮率(%)を測定した。測定結果を表2に示した。
【0066】
(水蒸気透過度の測定)
上記で製造した各フィルムI〜IIIについて、水蒸気透過度測定装置(モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN)3/33〕)を用いて、センサー側が延伸ポリエステルフィルム面となるようにセットし、40℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K7129法に準拠して、水蒸気透過度(g/m・day)を測定した。測定結果を表2に示した。
【0067】
(酸素透過度の測定)
上記で製造した各フィルムI〜IIIについて、酸素透過度測定装置(モダンコントロール(MOCON)社製〔機種名:オクストラン(OX−TRAN)2/21〕)を用いて、酸素供給側が延伸ポリエステルフィルム面となるようにセットし、23℃、90%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K7126法に準拠して、酸素透過度(cc/m・atm・day)を測定した。測定結果を表2に示した。
【0068】
【表2】
【0069】
表1の結果から、延伸ポリエステルフィルム単体のフィルムIの熱収縮率の値に関わらず、バリコート層形成後のフィルムIIIは、バリコート層形成前のフィルムIIに比べて酸素透過度を向上できていた。
また、フィルムIの熱収縮率の値が1.00%以下のものでは、フィルムIIIは、フィルムIIに比べて水蒸気透過度を向上できていたが、一方で、フィルムIの熱収縮率の値が1.00%を超えるものでは、フィルムIIIは、フィルムIIに比べて水蒸気透過度が劣化していた。この理由は、フィルムIの熱収縮率の値が1.00%を超えるものでは、バリアコート層の150℃での乾燥時に、フィルムの熱収縮に無機酸化物蒸着層やバリアコート層が追従できず、フィルムと無機酸化物蒸着層の界面で僅かな剥がれが発生したり、無機酸化物蒸着層やバリアコート層に微細なクラック等が発生したりすることで、酸素に比べて分子の小さい水に対するバリア機能が低下するものと考えられる。