特開2020-75527(P2020-75527A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-75527(P2020-75527A)
(43)【公開日】2020年5月21日
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/42 20060101AFI20200424BHJP
【FI】
   B60N2/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-208037(P2018-208037)
(22)【出願日】2018年11月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】森 和也
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CD04
3B087DE06
(57)【要約】
【課題】サブマリン現象の発生を防止又は抑制する機構を構成する部品の点数を削減する。
【解決手段】車両用シート10は、シートクッション12と、左右一対のサイドフレーム22と、ラップウェビング部46を有するウェビング40と、バックル44と、を備えている。また、車両用シート10は、ウェビング40が接続された第1リンクブラケット34Rと、バックル44が接続されラップウェビング部46が引っ張られることで第1リンクブラケット34Rと共に一方側へ傾動される第2リンクブラケット34Lと、を備えている。さらに、車両用シート10は、第1リンクブラケット34Rと第2リンクブラケット34Lとをシート幅方向に繋ぎ、第1リンクブラケット34R及び第2リンクブラケット34Lが一方側へ傾動されることでシート上方側へ移動されて、シートクッションに着座した乗員のシート前方側への移動を規制する規制バー36を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の臀部を支持するシートクッションと、
前記シートクッションの骨格の一部を構成し、シート幅方向に間隔を空けて配置された左右一対のサイドフレームと、
前記シートクッションに着座した乗員の腰部に沿ってシート幅方向に掛け渡されるラップウェビング部を有するウェビングと、
前記ウェビングが挿通されたタングが係合されるバックルと、
一方の前記サイドフレームにシート幅方向を軸方向として傾動可能に支持され、前記ウェビングの一方側の端部が接続された第1リンクブラケットと、
他方の前記サイドフレームに前記第1リンクブラケットの傾動軸と同じ軸まわりに傾動可能に支持されていると共に前記バックルにおいて前記タングが係合される側とは反対側が接続され、車両の急減速時に乗員の腰部によって前記ラップウェビング部が引っ張られることで前記第1リンクブラケットと共に一方側へ傾動される第2リンクブラケットと、
前記第1リンクブラケットと前記第2リンクブラケットとをシート幅方向に繋ぎ、該第1リンクブラケット及び該第2リンクブラケットが一方側へ傾動されることでシート上方側へ移動されて、前記シートクッションに着座した乗員のシート前方側への移動を規制する規制部材と、
を備えた車両用シート。
【請求項2】
シート側面視で、前記第1リンクブラケットの傾動軸から前記規制部材までの距離及び前記第2リンクブラケットの傾動軸から前記規制部材までの距離が、前記第1リンクブラケットの傾動軸から該第1リンクブラケットにおいて前記ウェビングが接続された部分までの距離及び前記第2リンクブラケットの傾動軸から該第2リンクブラケットにおいて前記バックルが接続された部分までの距離よりも長い距離に設定された請求項1記載の車両用シート。
【請求項3】
前記第1リンクブラケット及び前記第2リンクブラケットが他方側へ傾動される方向に該第1リンクブラケット及び該第2リンクブラケットを付勢する付勢部材がさらに設けられた請求項1又は請求項2記載の車両用シート。
【請求項4】
前記左右一対のサイドフレームには、前記規制部材の一部が挿通される長孔状の開口部が形成されており、
前記規制部材が、前記開口部の長手方向に沿って移動される請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記第1リンクブラケット及び前記第2リンクブラケットの少なくとも一方には、車両の急減速時に前記ラップウェビング部をシート下方側に引込むラップウェビング部引込装置が設けられている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シートベルト装置によって車両用シートに拘束された乗員が、車両の前面衝突時にシートクッションに沿ってシート前方側へ滑る現象(所謂サブマリン現象)が生じることを抑制した車両用シート構造が開示されている。この文献に記載された車両用シート構造では、シートクッションフレームのシート幅方向両側に左右一対の支持アームが設けられており、一対の支持アーム間にサブマリン規制部材が架設されている。また、シートクッションフレームのシート幅方向一方の側に設けられた作動プレートと3点式シートベルト装置のバックルとがケーブルワイヤを介して連結されている。さらに、この作動プレートの回動に連動して支持アームが回動するようになっている。そして、車両の前面衝突時に、乗員がシート前方へ移動して、バックルが前方へ引っ張られると、ケーブルワイヤの牽引力により作動プレ―トが所定の位置より下方側に移動されて、支持アームが所定の位置まで回動される。これにより、サブマリン規制部材がシート上方側へ移動されることで、サブマリン現象の発生を防止又は抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−189097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された構成は、サブマリン現象の発生を防止又は抑制するという観点では有用な構成ではあるが、サブマリン現象の発生を防止又は抑制する機構を構成する部品の点数を削減するという点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、サブマリン現象の発生を防止又は抑制する機構を構成する部品の点数を削減することができる車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の車両用シートは、乗員の臀部を支持するシートクッションと、前記シートクッションの骨格の一部を構成し、シート幅方向に間隔を空けて配置された左右一対のサイドフレームと、前記シートクッションに着座した乗員の腰部に沿ってシート幅方向に掛け渡されるラップウェビング部を有するウェビングと、前記ウェビングが挿通されたタングが係合されるバックルと、一方の前記サイドフレームにシート幅方向を軸方向として傾動可能に支持され、前記ウェビングの一方側の端部が接続された第1リンクブラケットと、他方の前記サイドフレームに前記第1リンクブラケットの傾動軸と同じ軸まわりに傾動可能に支持されていると共に前記バックルにおいて前記タングが係合される側とは反対側が接続され、車両の急減速時に乗員の腰部によって前記ラップウェビング部が引っ張られることで前記第1リンクブラケットと共に一方側へ傾動される第2リンクブラケットと、前記第1リンクブラケットと前記第2リンクブラケットとをシート幅方向に繋ぎ、該第1リンクブラケット及び該第2リンクブラケットが一方側へ傾動されることでシート上方側へ移動されて、前記シートクッションに着座した乗員のシート前方側への移動を規制する規制部材と、を備えている。
【0007】
請求項1記載の車両用シートによれば、シートクッションに着座した乗員が、ウェビングが挿通されたタングをバックルに係合させる。これにより、ウェビングが乗員の身体に装着されて、ウェビングのラップウェビング部が乗員の腰部に沿ってシート幅方向に掛け渡される。また、ウェビングが乗員の身体に装着された状態で、車両が急減速をすると、乗員の腰部がウェビングのラップウェビング部を引っ張る。これにより、第1リンクブラケット及び第2リンクブラケットが一方側へ傾倒されて、規制部材がシート上方側へ移動される。その結果、シートクッションに着座した乗員のシート前方側への移動が規制され、サブマリン現象の発生を防止又は抑制することができる。ここで、請求項1記載の車両用シートでは、第1リンクブラケットと第2リンクブラケットとを規制部材によってつなぐと共に、ウェビングの一方側の端部及びバックルを第1リンクブラケット及び第2リンクブラケットにそれぞれ接続するという単純な構成により、サブマリン現象の発生を防止又は抑制することができる。
【0008】
請求項2記載の車両用シートは、請求項1記載の車両用シートにおいて、シート側面視で、前記第1リンクブラケットの傾動軸から前記規制部材までの距離及び前記第2リンクブラケットの傾動軸から前記規制部材までの距離が、前記第1リンクブラケットの傾動軸から該第1リンクブラケットにおいて前記ウェビングが接続された部分までの距離及び前記第2リンクブラケットの傾動軸から該第2リンクブラケットにおいて前記バックルが接続された部分までの距離よりも長い距離に設定されている。
【0009】
請求項2記載の車両用シートによれば、シート側面視における上記各々の距離を上記のように設定することにより、ラップウェビング部の引き代に対する規制部材のシート上方側への移動量を大きくすることができる。
【0010】
請求項3記載の車両用シートは、請求項1又は請求項2記載の車両用シートにおいて、前記第1リンクブラケット及び前記第2リンクブラケットが他方側へ傾動される方向に該第1リンクブラケット及び該第2リンクブラケットを付勢する付勢部材がさらに設けられている。
【0011】
請求項3記載の車両用シートによれば、第1リンクブラケット及び第2リンクブラケットが付勢部材によって付勢されている。これにより、車両が急減速した後に、第1リンクブラケット及び第2リンクブラケットが他方側へ傾動し易くなっている。その結果、車両が急減速した後に、規制部材をシート下方側へ速やかに移動させる(車両が急減速する前の位置側へ戻す)ことができる。
【0012】
請求項4記載の車両用シートは、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記左右一対のサイドフレームには、前記規制部材の一部が挿通される長孔状の開口部が形成されており、前記規制部材が、前記開口部の長手方向に沿って移動される。
【0013】
請求項4記載の車両用シートによれば、規制部材の一部が左右一対のサイドフレームに形成された長孔状の開口部に挿通されている。そして、規制部材は、開口部の長手方向に沿って移動されるようになっている。これにより、規制部材の移動軌跡を安定させることができる。
【0014】
請求項5記載の車両用シートは、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記第1リンクブラケット及び前記第2リンクブラケットの少なくとも一方には、車両の急減速時に前記ラップウェビング部をシート下方側に引込むラップウェビング部引込装置が設けられている。
【0015】
請求項5記載の車両用シートによれば、車両が急減速すると、ラップウェビング部引込装置によってラップウェビング部がシート下方側に引込まれる。これにより、請求項5記載の車両用シートでは、乗員の腰部がウェビングのラップウェビング部を引っ張る力に加えてラップウェビング部引込装置がラップウェビング部を引き込む力により、第1リンクブラケット及び第2リンクブラケットを一方側へ傾倒させることができる。これにより、ラップウェビング部引込装置を備えていない構成と比べて、規制部材をシート上方側へ速やかに移動させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両用シートは、サブマリン現象の発生を防止又は抑制する機構を構成する部品の点数を削減することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る車両用シートを示す側面図である。
図2】サブマリン抑制機構をシート斜め前方側から見た斜視図である。
図3】第1実施形態に係る車両用シートを示す図1に対応する側面図であり、車両が急減速した状態を示している。
図4】第2実施形態に係る車両用シートを示す図1に対応する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1図3を用いて本発明の第1実施形態に係る車両用シートについて説明する。なお、以下の説明において前後左右上下の方向を示して説明するときは、車両用シートに着座した乗員から見た前後左右上下の方向を示すものとし、また各図に適宜示す矢印FRはシート前方向、矢印UPはシート上方向、矢印RHはシート右方向、矢印LHはシート左方向をそれぞれ示すものとする。また、左右の方向は、シート幅方向と一致している。
【0019】
図1に示されるように、本実施形態の車両用シート10は、車両のキャビン内に設けられており、シート前方側が車両の前方側へ向けられた状態でキャビンのフロアに固定されている。具体的には、車両用シート10は、乗員の臀部を支持するシートクッション12と、シートクッション12の後端部に取付けられ乗員の背部を支持するシートバック14と、を備えている。
【0020】
シートクッション12は、当該シートクッション12の骨格を構成するシートクッションフレーム16と、表皮材に覆われていると共にシートクッションフレーム16に取付けられたシートクッションパッド18と、を備えている。また、本実施形態のシートクッション12には、車両用シート10に着座した乗員が車両の急減速時にシートクッション12に沿って前方側へ滑る現象(所謂サブマリン現象)が生じることを抑制するサブマリン抑制機構20が設けられている。
【0021】
シートクッションフレーム16は、シート幅方向に間隔を空けて配置された左右一対のサイドフレーム22を備えている。なお、図1においては左側のサイドフレーム22を図示している。また、左側のサイドフレーム22と右側のサイドフレーム22とは、シート幅方向にほぼ対称に構成されているため、以下の説明においては左側のサイドフレーム22について説明し、右側のサイドフレーム22の説明は省略する。
【0022】
サイドフレーム22は、鋼板材にプレス加工等が施されることにより構成されている。このサイドフレーム22は、シート幅方向を厚み方向として上下方向及び前後方向に延在するメイン部24を備えている。このメイン部24は、シート側面視で(左側から見て)前後方向を長手方向とする矩形状に形成されている。
【0023】
メイン部24の後方側の部分には、後述するリンクブラケット34(第1リンクブラケット34R、第2リンクブラケット34L)がシート幅方向を軸方向として傾動可能に取付けられている。また、メイン部24の前方側の部分には、後述する規制バー36の一部が挿通される長孔状の開口部26が形成されている。この開口部26の長手方向と直交する方向の一対の縁26A、26Bは、リンクブラケット34(第1リンクブラケット34R、第2リンクブラケット34L)の傾動中心(傾動軸28)まわりへ円弧状に湾曲された形状とされている。また、開口部26の幅寸法W(一対の縁26A、26Bの間隔W)は、一定の間隔となっている。さらに、メイン部24の前後方向の中間部の下方側には、後述するスプリング38の一方側の端部が係止される第1スプリング係止部30が設けられている。
【0024】
図2に示されるように、サブマリン抑制機構20は、車両の前面衝突等の急減速時に車両用シート10に着座した乗員の身体を拘束する3点式のシートベルト装置32と、互いに同一の軸(傾動軸28)まわりに傾動する左右一対のリンクブラケット34(第1リンクブラケット34R、第2リンクブラケット34L)と、左右一対のリンクブラケット34の前端部をシート幅方向に繋ぐ規制部材としての規制バー36と、を備えている。また、図1に示されるように、サブマリン抑制機構20は、リンクブラケット34とサイドフレーム22との間に設けられた付勢部材としてのスプリング38と、を備えている。
【0025】
図2に示されるように、3点式のシートベルト装置32は、帯状に形成されたウェビング40と、ウェビング40が挿通されたタング42と、タング42が係合されるバックル44と、ウェビング40が巻取られる図示しないウェビング巻取装置と、を含んで構成されている。本実施形態のシートベルト装置32では、車両用シート10に着座した乗員が、ウェビング40をウェビング巻取装置から引き出して、ウェビング40が挿通されたタング42をバックル44に係合させることで、ウェビング40が車両用シート10に着座した乗員の身体に装着されるようになっている。ここで、乗員に装着されたウェビング40において乗員の腰部に沿ってシート幅方向に掛け渡される部分をラップウェビング部46と呼ぶ。また、乗員に装着されたウェビング40において乗員の上体に沿ってシート幅方向に斜めに掛け渡される部分をショルダウェビング部48と呼ぶ。また、本実施形態では、車両が急減速した際に、ウェビング40のウェビング巻取装置からの引出しを制限するロック機構が当該ウェビング巻取装置に設けられている。
【0026】
左右一対のリンクブラケット34は、シート側面視でその外縁がほぼ同じ形状に形成されている。ここで、左右一対のリンクブラケット34のうち右側に配置されたリンクブラケット34を第1リンクブラケット34Rと呼び、左側に配置されたリンクブラケット34を第2リンクブラケット34Lと呼ぶ。
【0027】
第1リンクブラケット34Rは、シート幅方向を厚み方向とする板状に形成されていると共にシート側面視で略L字(J字)状に形成されている。この第1リンクブラケット34Rは、右側のサイドフレーム22のメイン部24(図1参照)のシート幅方向外側(右側)に配置されている。
【0028】
具体的には、第1リンクブラケット34Rは、右側のサイドフレーム22のメイン部24の後方側の部分にシート幅方向を軸方向として傾動可能に支持される(取付けられる)被支持部50を備えている。また、第1リンクブラケット34Rは、被支持部50から前方側へ向けて延びると共に被支持部50とは反対側に向かうにつれて次第に窄まるように形成された第1アーム部52を備えている。この第1アーム部52における被支持部50とは反対側の端部は、後述する規制バー36が固定される規制バー固定部54とされている。さらに、第1リンクブラケット34Rは、被支持部50から下方側へ向かうにつれて前方側へ傾斜するように延びる第2アーム部56を備えている。この第2アーム部56における被支持部50とは反対側の端部は、ウェビング40の一方側の端部が固定されるウェビング固定部58とされている。本実施形態では、被支持部50に対して第1アーム部52が延びる方向と被支持部50に対して第2アーム部56が延びる方向とのなす角度θが鋭角となっている。また、本実施形態では、シート側面視における被支持部50(傾動軸28)から規制バー固定部54までの距離L1が、被支持部50(傾動軸28)からウェビング固定部58までの距離L2よりも長い距離に設定されている。
【0029】
図1及び図2に示されるように、第2リンクブラケット34Lは、左側のサイドフレーム22のメイン部24のシート幅方向外側(左側)に配置されている。この第2リンクブラケット34Lは、第1リンクブラケット34Rの被支持部50、第1アーム部52、規制バー固定部54及び第2アーム部56とそれぞれ対応する部分を備えている。なお、第2リンクブラケット34Lにおいて第1リンクブラケット34Rと対応する部分及び寸法には、当該第1リンクブラケット34Rと対応する部分及び寸法と同じ符号を付している。また、本実施形態では、第2リンクブラケット34Lの被支持部50と第1リンクブラケット34Rの被支持部50とが、接続ロッド60を介してシート幅方向に繋がれている。
【0030】
第2リンクブラケット34Lにおいて第1リンクブラケット34Rのウェビング固定部58と対応する部分は、バックル44においてタング42が係合される側とは反対側の端部が固定されるバックル固定部62とされている。図1に示されるように、第2リンクブラケット34Lの第1アーム部52の長手方向の中間部には、スプリング38の他方側の端部が係止される第2スプリング係止部64が設けられている。ここで、スプリング38は引張りコイルスプリングである。そして、スプリング38がサイドフレーム22の第1スプリング係止部30及び第2リンクブラケット34Lの第2スプリング係止部64に係止された状態では、スプリング38が自然長よりも伸ばされている。これにより、第1リンクブラケット34R及び第2リンクブラケット34Lが、左側から見て反時計回りに回動(傾動)する方向に付勢されている。なお、図2においては、スプリング38及び第2スプリング係止部64の図示を省略している。
【0031】
規制バー36は、シート幅方向を長手方向とする丸棒状に形成されている。この規制バー36は、左右一対のサイドフレーム22のメイン部24の間に配置される大径部66を備えている。この大径部66の左側の端の中心部からは、大径部66よりも小径とされた小径部68が左側へ向けて突出している。この小径部68は、左側のサイドフレーム22のメイン部24に形成された開口部26に挿通されている。ここで、小径部68の外径D
は、開口部26の幅寸法Wよりも若干小さな寸法に設定されている。また、小径部68の左側の端は、第2リンクブラケット34Lの規制バー固定部54に固定されている。
【0032】
図示は省略するが、大径部66の右側の端の中心部からは、大径部66よりも小径とされた小径部68が右側へ向けて突出している。この小径部68は、右側のサイドフレーム22のメイン部24に形成された開口部26に挿通されている。また、この小径部68の右側の端は、第1リンクブラケット34Rの規制バー固定部54に固定されている。
【0033】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0034】
図1及び図2に示されるように、以上説明した本実施形態の車両用シート10に着座した乗員が、ウェビング40が挿通されたタング42をバックル44に係合させると、ウェビング40が乗員の身体に装着される。すなわち、ウェビング40のラップウェビング部46が乗員の腰部に沿ってシート幅方向に掛け渡されると共に、ショルダウェビング部48が乗員の上体に沿ってシート幅方向に斜めに掛け渡される。
【0035】
ここで、ウェビング40が乗員の身体に装着された状態で、車両が前面衝突すること等により車両が急減速をすると、ウェビング40のウェビング巻取装置からの引出しが制限される。これにより、慣性力により前方側へ移動しようとする乗員の身体がウェビング40によって拘束される。
【0036】
また、乗員の身体がウェビング40によって拘束された状態においても、慣性力により乗員が前方側へ移動しようとする。特に、乗員の臀部がシートクッション12上を前方側へ滑るように移動しようとすると、乗員の腰部がウェビング40のラップウェビング部46を引っ張る。これにより、図3に示されるように、第1リンクブラケット34R及び第2リンクブラケット34Lが、左側から見て時計回りに回動(傾動)して、規制バー36がシート上方側へ移動する。その結果、シートクッション12に着座した乗員の臀部の前方側への移動がシートクッションパッド18及び規制バー36を介して規制され、サブマリン現象の発生を防止又は抑制することができる。
【0037】
ここで、本実施形態の車両用シート10では、第1リンクブラケット34Rと第2リンクブラケット34Lとを規制バー36によってつなぐと共に、ウェビング40の一方側の端部及びバックル44を第1リンクブラケット34R及び第2リンクブラケット34Lにそれぞれ接続するという単純な構成により、サブマリン現象の発生を防止又は抑制することができる。すなわち、構成部品の点数が少ないサブマリン抑制機構20によってサブマリン現象の発生を防止又は抑制することができる。この構成のサブマリン抑制機構20を用いて車両用シート10を構成することにより、車両用シート10のコストアップ及び重量アップを抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態では、第1リンクブラケット34R及び第2リンクブラケット34Lが、スプリング38によって左側から見て反時計回りに回動(傾動)する方向に付勢されている。これにより、車両が急減速した後においては、シートクッションパッド18を介して規制バー36に入力される乗員からの荷重に加えてスプリング38の付勢力によって、第1リンクブラケット34R及び第2リンクブラケット34Lに固定された規制バー36を下方側へ速やかに移動させる(車両が急減速する前の位置側へ戻す)ことができる。
【0039】
また、本実施形態の車両用シート10では、シート側面視における第1リンクブラケットの被支持部50から規制バー固定部54までの距離L1が、被支持部50からウェビング固定部58までの距離L2よりも長い距離に設定されていると共に、第2リンクブラケットの被支持部50から規制バー固定部54までの距離L1が、被支持部50からバックル固定部62までの距離L2よりも長い距離に設定されている。これにより、ラップウェビング部46の引き代に対する規制バー36のシート上方側への移動量を大きくすることができる。
【0040】
また、本実施形態では、規制バー36の小径部68が左右一対のサイドフレーム22のメイン部24に形成された長孔状の開口部26に挿通されている。これにより、規制バー36の移動時の振れや捩れが抑制され、当該規制バー36の移動軌跡を安定させることができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、図4を用いて本発明の第2実施形態に係る車両用シート70について説明する。なお、第2実施形態に係る車両用シート70において前述の第1実施形態に係る車両用シート10と対応する部材及び部分には、第1実施形態に係る車両用シート10と対応する部材及び部分と同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0042】
図4に示されるように、本実施形態の車両用シート70は、車両の急減速時にバックル44をシート下方側へ移動させるラップウェビング部引込装置としてのバックルプリテンショナ72が第2リンクブラケット34Lのバックル固定部62に設けられている(固定されている)ことに特徴がある。
【0043】
本実施形態の車両用シート70では、車両の急減速時にバックルプリテンショナ72が作動されて、バックル44がシート下方側(第2リンクブラケット34Lのバックル固定部62側)へ移動される。これにより、ウェビング40のラップウェビング部46がシート下方側へ引込まれる。その結果、乗員の腰部がウェビング40のラップウェビング部46を引っ張る力に加えてバックルプリテンショナ72の作動によりラップウェビング部46が引き込まれる力により、第1リンクブラケット34R及び第2リンクブラケット34Lを左側から見て時計回りに回動(傾動)させることができる。これにより、バックルプリテンショナ72を備えていない構成と比べて、規制バー36を上方側へ速やかに移動させることができる。
【0044】
なお、バックルプリテンショナ72に代えて、車両の急減速時にウェビング40の一方側の端部(ウェビング巻取装置とは反対側の端部)を巻取ることで、ラップウェビング部46をシート下方側へ引込むラップウェビング部引込装置を第1リンクブラケット34Rのウェビング固定部58に設けてもよい。また、このラップウェビング部引込装置と前述のバックルプリテンショナ72の両方を設けてもよい。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
10 車両用シート
12 シートクッション
22 サイドフレーム
26 開口部
28 傾動軸
34R 第1リンクブラケット
34L 第2リンクブラケット
36 規制バー(規制部材)
38 スプリング(付勢部材)
40 ウェビング
42 タング
44 バックル
46 ラップウェビング部
70 車両用シート
72 バックルプリテンショナ(ラップウェビング部引込装置)
L1 第1リンクブラケットの被支持部50から規制バー固定部54までの距離(第1リンクブラケットの傾動軸から規制部材までの距離)
L1 第2リンクブラケットの被支持部50から規制バー固定部54までの距離(第2リンクブラケットの傾動軸から規制部材までの距離)
L2 第1リンクブラケットの被支持部50からウェビング固定部58までの距離(第1リンクブラケットの傾動軸から第1リンクブラケットにおいてウェビングが接続された部分までの距離)
L2 第2リンクブラケットの被支持部50からバックル固定部62までの距離(第2リンクブラケットの傾動軸から第2リンクブラケットにおいてバックルが接続された部分までの距離)
図1
図2
図3
図4