特開2020-75529(P2020-75529A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-75529(P2020-75529A)
(43)【公開日】2020年5月21日
(54)【発明の名称】ハイブリッド自動車
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/16 20160101AFI20200424BHJP
   B60K 6/445 20071001ALI20200424BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20200424BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20200424BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20200424BHJP
   F01N 3/033 20060101ALI20200424BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20200424BHJP
   F02D 41/04 20060101ALI20200424BHJP
【FI】
   B60W20/16ZHV
   B60K6/445
   B60W10/06 900
   B60W10/08 900
   B60L11/14
   F01N3/033 Z
   F01N3/023 Z
   F02D41/04 305A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-208042(P2018-208042)
(22)【出願日】2018年11月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牟田 浩一郎
【テーマコード(参考)】
3D202
3G190
3G301
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA03
3D202BB08
3D202BB09
3D202BB16
3D202BB35
3D202BB53
3D202CC06
3D202CC22
3D202CC46
3D202DD01
3D202DD05
3D202DD07
3D202DD18
3D202DD19
3D202DD20
3D202DD24
3D202DD26
3D202DD44
3D202DD45
3G190AA03
3G190AA12
3G190AA13
3G190BA22
3G190CA01
3G190CA13
3G190CA14
3G190CB18
3G190CB34
3G190CB35
3G190DA02
3G190DA08
3G190DA09
3G190DB02
3G190DB12
3G190DB22
3G190DC14
3G190DD02
3G190EA01
3G190EA02
3G190EA07
3G190EA14
3G190EA24
3G190EA26
3G190EA32
3G190EA41
3G190EA52
3G301HA01
3G301HA02
3G301JA24
3G301JA33
3G301KA06
3G301KA16
3G301MA01
3G301MA24
3G301NE15
3G301PA01B
3G301PD02Z
3G301PD11Z
3G301PE03Z
3G301PE08Z
3G301PF01Z
3G301PF07Z
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125CA08
5H125CB02
5H125DD11
5H125EE41
5H125EE42
5H125EE70
(57)【要約】
【課題】フィルタの過熱を抑制する。
【解決手段】排気系に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられたエンジンと、第1モータと、エンジンと第1モータと車軸に連結された駆動軸とに3つの回転要素が共線図においてモータ、エンジン、駆動軸の順に並ぶように接続されたプラネタリギヤと、駆動軸に接続された第2モータと、第1モータおよび第2モータと電力をやりとりする蓄電装置とを備え、アクセルオフ時には、燃料噴射を停止したエンジンの第1モータによるモータリングおよび/または第2モータの回生駆動により車両に制動力を作用させる。そして、アクセルオフ時に、フィルタに堆積している粒子状物質の堆積量が所定量以上のときには、燃料噴射を停止したエンジンの第1モータによるモータリングを制限する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気系に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられたエンジンと、
第1モータと、
前記エンジンと前記第1モータと車軸に連結された駆動軸とに3つの回転要素が共線図において前記第1モータ、前記エンジン、前記駆動軸の順に並ぶように接続されたプラネタリギヤと、
前記駆動軸に接続された第2モータと、
前記第1モータおよび前記第2モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
アクセルオフ時には、燃料噴射を停止した前記エンジンの前記第1モータによるモータリングおよび/または前記第2モータの回生駆動により車両に制動力を作用させる制御装置と、
を備えるハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、アクセルオフ時に、前記フィルタに堆積している粒子状物質の堆積量が所定量以上のときには、燃料噴射を停止した前記エンジンの前記第1モータによるモータリングを制限する、
ハイブリッド自動車。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、アクセルオフ時に、前記堆積量が前記所定量以上のときには、前記エンジンを自立運転する、
ハイブリッド自動車。
【請求項3】
請求項1または2記載のハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、前記堆積量が前記所定量以上のときには、シフトポジションとして、アクセルオフ時の要求制動力をドライブポジションよりも大きくするブレーキポジションの選択を禁止する、
ハイブリッド自動車。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちの何れか1つの請求項に記載のハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、前記堆積量が前記所定量以上のときには、シフトポジションとして、アクセルオフ時の要求制動力を複数段階に変更するシーケンシャルシフトの選択を禁止する、
ハイブリッド自動車。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちの何れか1つの請求項に記載のハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、前記エンジンを運転する際に、前記堆積量が前記所定量以上のときには、空燃比がリーンとなるように前記エンジンを制御する、
ハイブリッド自動車。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちの何れか1つの請求項に記載のハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、メンテナンスモードでのアクセルオフ時に、前記堆積量が所定量以上のときには前記堆積量が前記所定量未満のときに比して前記第1モータによる前記エンジンのモータリングを制限する、
ハイブリッド自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車に関し、詳しくは、排気系に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられたエンジンを備えるハイブリッド自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハイブリッド自動車としては、排気系に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられたエンジンと、エンジンの出力軸に接続されたモータと、モータと電力をやりとりするバッテリと、を備えるハイブリッド自動車において、フィルタの再生を行なうものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド自動車では、フィルタの再生が要求されるときには、フィルタの再生が要求されないときよりもバッテリの残存容量の制御範囲を拡大し、残存容量を制御範囲の拡大前の下限値よりも減少させてから制御範囲の拡大前の上限値よりも増加させ、その後に、エンジンの燃料噴射を停止させると共にモータによりエンジンをモータリングする。エンジンの燃料噴射を停止すると、フィルタに酸素を含む空気が供給されて粒子状物質が燃焼することにより、フィルタの再生が行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−202832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のハイブリッド自動車において、フィルタの再生を行なうために、エンジンの燃料噴射を停止すると、フィルタに堆積した粒子状物質の燃焼によるフィルタの温度上昇により、フィルタが過熱する可能性がある。
【0005】
本発明のハイブリッド自動車は、フィルタの過熱を抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッド自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のハイブリッド自動車は、
排気系に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられたエンジンと、
第1モータと、
前記エンジンと前記第1モータと車軸に連結された駆動軸とに3つの回転要素が共線図において前記第1モータ、前記エンジン、前記駆動軸の順に並ぶように接続されたプラネタリギヤと、
前記駆動軸に接続された第2モータと、
前記第1モータおよび前記第2モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
アクセルオフ時には、燃料噴射を停止した前記エンジンの前記第1モータによるモータリングおよび/または前記第2モータの回生駆動により車両に制動力を作用させる制御装置と、
を備えるハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、アクセルオフ時に、前記フィルタに堆積している粒子状物質の堆積量が所定量以上のときには、燃料噴射を停止した前記エンジンの前記第1モータによるモータリングを制限する、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明のハイブリッド自動車では、アクセルオフ時には、燃料噴射を停止したエンジンの第1モータによるモータリングおよび/または第2モータの回生駆動により車両に制動力を作用させる。そして、アクセルオフ時に、フィルタに堆積している粒子状物質の堆積量が所定量以上のときには、燃料噴射を停止したエンジンの第1モータによるモータリングを制限する。これにより、アクセルオフ時に、フィルタに供給される空気量を制限することができるから、フィルタに堆積した粒子状物質の燃焼によるフィルタの温度上昇を抑制し、フィルタの過熱を抑制することができる。
【0009】
こうした本発明のハイブリッド自動車において、前記制御装置は、アクセルオフ時に、前記堆積量が前記所定量以上のときには、前記エンジンを自立運転するものとしてもよい。こうすれば、フィルタの過熱をより抑制することができる。この場合、前記制御装置は、アクセルオフ時に前記堆積量が前記所定量以上のときには、前記エンジンを自立運転すると共に前記許容入力電力の範囲内で前記第2モータの回生駆動を行なうものとしてもよい。こうすれば、蓄電装置に過大な電力が入力されるのを抑制しつつ車両に制動力を作用させることができる。
【0010】
本発明のハイブリッド自動車において、前記制御装置は、前記堆積量が前記所定量以上のときには、シフトポジションとして、アクセルオフ時の要求制動力をドライブポジションよりも大きくするブレーキポジションの選択を禁止するものとしてもよい。また、前記制御装置は、前記堆積量が前記所定量以上のときには、シフトポジションとして、アクセルオフ時の要求制動力を複数段階に変更するシーケンシャルシフトの選択を禁止するものとしてもよい。これらのようにすれば、車両に大きい制動力が要求されないようにすることができる。
【0011】
本発明のハイブリッド自動車において、前記制御装置は、前記エンジンを運転する際に、前記堆積量が前記所定量以上のときには、空燃比がリーンとなるように前記エンジンを制御するものとしてもよい。こうすれば、エンジンの運転中に、フィルタに空気(酸素)を供給してフィルタに堆積した粒子状物質を燃焼させることができる。
【0012】
本発明のハイブリッド自動車において、前記制御装置は、メンテナンスモードでのアクセルオフ時に、前記堆積量が所定量以上のときには前記堆積量が前記所定量未満のときに比して前記第1モータによる前記エンジンのモータリングを制限するものとしてもよい。メンテナンスモードでは、運転者(例えばディーラの作業者)がそのことを認識しているから、アクセルオフ時に第1モータによるエンジンのモータリングを制限しても、運転者が違和感を感じる可能性が低いと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
図2】HVECU70により実行される制御ルーチンの一例を示す説明図である。
図3】走行用トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
図4】プラネタリギヤ30の共線図の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、蓄電装置としてのバッテリ50と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
【0016】
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されており、ダンパ28を介してプラネタリギヤ30のキャリヤに接続されている。エンジン22の排気系には、浄化装置25と、粒子状物質除去フィルタ(以下、「PMフィルタ」という)25fと、が取り付けられている。浄化装置25は、エンジン22の排気中の未燃焼燃料や窒素酸化物を浄化する触媒25aを有する。PMフィルタ25fは、セラミックスやステンレスなどにより多孔質フィルタとして形成されており、排気中の煤などの粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕捉する。エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24により運転制御されている。
【0017】
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。エンジンECU24に入力される信号としては、例えば、エンジン22のクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23aからのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ23bからの冷却水温Twを挙げることができる。また、エンジン22の排気系のうち浄化装置25よりも上流側に取り付けられた空燃比センサ25bからの空燃比AFや、エンジン22の排気系のうち浄化装置25よりも下流側に取り付けられた酸素センサ25cからの酸素信号O2も挙げることができる。さらに、PMフィルタ25fの前後の差圧(上流側と下流側との差圧)を検出する差圧センサ25gからの差圧ΔPも挙げることができる。エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。
【0018】
エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23aからのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算したり、水温センサ23bからの冷却水温Twなどに基づいて触媒25aの温度(触媒温度)Tcを演算(推定)したりしている。また、エンジンECU24は、エアフローメータ(図示省略)からの吸入空気量Qaとエンジン22の回転数Neとに基づいて、体積効率(エンジン22の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の比)KLを演算している。さらに、エンジンECU24は、差圧センサ25gからの差圧ΔPに基づいて、PMフィルタ25fに堆積した粒子状物質の堆積量としてのPM堆積量Qpmを演算したり、エンジン22の回転数Neや体積効率KLに基づいて、PMフィルタ25fの温度としてのフィルタ温度Tfを演算したりしている。
【0019】
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されており、サンギヤと、リングギヤと、それぞれサンギヤおよびリングギヤに噛合する複数のピニオンギヤと、複数のピニオンギヤを自転(回転)かつ公転自在に支持するキャリヤとを有する。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、上述したように、ダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。したがって、モータMG1、エンジン22、駆動軸36およびモータMG2は、プラネタリギヤ30の共線図においてこの順に並ぶようにプラネタリギヤ30の3つの回転要素としてのサンギヤ、キャリヤ、リングギヤに接続されていると言える。
【0020】
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41,42は、モータMG1,MG2の駆動に用いられると共に電力ライン54を介してバッテリ50に接続されている。電力ライン54には、平滑用のコンデンサ57が取り付けられている。モータMG1,MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によってインバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
【0021】
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の各相に流れる電流を検出する電流センサ45u,45v,46u,46vからの相電流Iu1,Iv1,Iu2,Iv2などが入力ポートを介して入力されている。モータECU40からは、インバータ41,42の複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の電気角θe1,θe2や角速度ωm1,ωm2,回転数Nm1,Nm2を演算している。
【0022】
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、電力ライン54に接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52により管理されている。
【0023】
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に取り付けられた電圧センサ51aからのバッテリ50の電圧Vbや、バッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ib、バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。バッテリECU52は、電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいて蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbとに基づいてバッテリ50の入出力制限Win,Woutを演算したりしている。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力量の割合であり、入出力制限Win,Woutは、バッテリ50を充放電してもよい許容入出力電力である。
【0024】
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ88からの車速Vも挙げることができる。HVECU70からは、各種情報を表示するディスプレイ89への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52と通信ポートを介して接続されている。
【0025】
ここで、シフトポジションSPとしては、駐車時に用いる駐車ポジション(Pポジション)や、後進走行用のリバースポジション(Rポジション)、中立のニュートラルポジション(Nポジション)、前進走行用の通常のドライブポジション(Dポジション)、アクセルオフ時の要求制動力をDポジションよりも大きくするブレーキポジション(Bポジション)、アクセルオフ時の要求制動力をDポジションよりも大きい範囲内で複数段階(例えば6段階)に変更するシーケンシャルポジション(Sポジション)などが用意されている。このSポジションでは、仮想的な有段変速機による変速感を運転者に与えることができる。
【0026】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、エンジン22の回転を伴って走行するハイブリッド走行モード(HV走行モード)や、エンジン22の回転停止を伴って走行する電動走行モード(EV走行モード)で走行する。
【0027】
HV走行モードでアクセルオンのときには、HVECU70は、シフトポジションSPとアクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行に要求される(駆動軸36に要求される)走行用トルクTd*を設定し、設定した走行用トルクTd*に駆動軸36の回転数Nd(モータMG2の回転数Nm2)を乗じて走行に要求される走行用パワーPd*を計算する。続いて、走行用パワーPd*からバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じてエンジン22の目標パワーPe*を演算し、演算した目標パワーPe*がエンジン22から出力されると共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で走行用トルクTd*(走行用パワーPd*)が駆動軸36に出力されるようにエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する。そして、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。エンジンECU24は、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を受信すると、エンジン22が目標回転数Ne*および目標トルクTe*に基づいて運転されるようにエンジン22の運転制御(吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火制御など)を行なう。モータECU40は、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を受信すると、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようにインバータ41,42の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。HV走行モードでアクセルオフのときの制御については後述する。
【0028】
EV走行モードでは、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行用トルクTd*を設定し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で走行用トルクTd*が駆動軸36に出力されるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。モータECU40によるインバータ41,42の制御については上述した。
【0029】
また、実施例のハイブリッド自動車20では、HV走行モードでアクセルオンのときに、PMフィルタ25fを再生するためのフィルタ再生条件が成立しているときには、フィルタ再生条件が成立していないときに比して空燃比をリーンとしてエンジン22を運転する。これにより、PMフィルタ25fに空気(酸素)が供給されてPMフィルタ25fに堆積した粒子状物質が燃焼し、PMフィルタ25fの再生が行なわれる。ここで、フィルタ再生条件としては、PM堆積量Qpmが閾値Qpmref以上で且つPMフィルタ25fのフィルタ温度Tfが閾値Tfref以上である条件が用いられる。閾値Qpmrefは、PMフィルタ25fの再生が必要であるか否かを判断するための閾値であり、例えば、3g/Lや4g/L、5g/Lなどが用いられる。閾値Tfrefは、フィルタ温度TfがPMフィルタ25fの再生に適した再生可能温度に至っているか否かを判断するための閾値であり、例えば、580℃や600℃、620℃などが用いられる。
【0030】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、HV走行モードでアクセルオフのときの動作について説明する。図2は、HVECU70により実行される制御ルーチンの一例を示す説明図である。このルーチンは、HV走行モードでアクセルオフのときに繰り返し実行される。
【0031】
図2の制御ルーチンが実行されると、HVECU70は、最初に、PM堆積量Qpmを入力し(ステップS100)、入力したPM堆積量Qpmを上述の閾値Qpmrefと比較する(ステップS110)。ここで、PM堆積量Qpmは、エンジンECU24により演算された値を通信により入力するものとした。
【0032】
PM堆積量Qpmが閾値Qpmref未満のときには、シフトポジションSPや車速V、バッテリ50の入力制限Winを入力する(ステップS120)。ここで、シフトポジションSPは、シフトポジションセンサ82により検出された値を入力するものとした。車速Vは、車速センサ88により検出された値を入力するものとした。バッテリ50の入力制限Winは、バッテリECU52により演算された値を通信により入力するものとした。
【0033】
こうしてデータを入力すると、入力したシフトポジションSPと車速Vとに基づいて走行用トルクTd*を設定する(ステップS130)。ここで、走行用トルクTd*は、実施例では、シフトポジションSPと車速Vと走行用トルクTd*との関係を予め定めて走行用トルク設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、シフトポジションSPと車速Vとが与えられると、このマップから対応する走行用トルクTd*を導出して設定するものとした。図3は、走行用トルク設定用マップの一例を示す説明図である。走行用トルクTd*は、図示するように、車速Vが閾値Vref異常の領域では、負の範囲内で、シフトポジションSPがBポジションやSポジションのときにDポジションのときに比して小さくなるように(絶対値としては大きくなるように)且つSポジションのときには変速段が低速段側ほど小さくなるように設定される。
【0034】
続いて、バッテリ50の入力制限WinとシフトポジションSPとに基づいてバッテリ50の制御用入力制限Win*を設定する(ステップS140)。この処理では、シフトポジションSPがDポジションのときには、バッテリ50の入力制限Winを制御用入力制限Win*に設定し、シフトポジションSPがBポジションやSポジションのときには、バッテリ50の入力制限Winに値1よりも小さい補正係数kb,ksを乗じた値を制御用入力制限Win*に設定する。なお、補正係数ksとしては、一律の値を用いるものとしてもよいし、変速段が低速段側であるほど小さい値を用いるものとしてもよい。
【0035】
そして、バッテリ50の制御用入力制限Win*の範囲内で走行用トルクTd*が駆動軸36に出力されるようにモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定し(ステップS150)、エンジン22の燃料カット指令または自立運転指令をエンジンECU24に送信すると共にモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。エンジンECU24は、燃料カット指令を受信すると、エンジン22の燃料噴射制御および点火制御を停止し、自立運転指令を受信すると、エンジン22が自立運転されるようにエンジン22の運転制御を行なう。モータECU40によるモータMG1,MG2の制御については上述した。
【0036】
実施例では、走行用パワーPd*に駆動軸36の回転数Nd(モータMG2の回転数Nm2)を乗じて得られる走行用パワーPd*がバッテリ50の制御用入力制限Win*の範囲内のときには、エンジン22を自立運転すると共にモータMG2の回生駆動により走行用トルクTd*を駆動軸36に出力し、走行用パワーPd*がバッテリ50の制御用入力制限Win*の範囲外のときには、燃料噴射を停止したエンジン22のモータMG1によるモータリングとモータMG2の回生駆動とにより走行用トルクTd*を駆動軸36に出力するものとした。
【0037】
図4は、プラネタリギヤ30の共線図の一例を示す説明図である。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるプラネタリギヤ30のサンギヤの回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるプラネタリギヤ30のキャリヤの回転数を示し、R軸は駆動軸36の回転数NdおよびモータMG2の回転数Nm2であるプラネタリギヤ30のリングギヤの回転数を示す。また、図中、「ρ」は、プラネタリギヤ30のギヤ比(サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)を示す。モータMG1によるエンジン22のモータリングとモータMG2の回生駆動とを行なう場合、図3から分かるように、モータMG1,MG2をトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動したときに、駆動軸36には、モータMG2から出力されて駆動軸36に作用するトルクTm2*と、モータMG1から出力されてプラネタリギヤ30を介して駆動軸36に作用するトルク(−Tm1*/ρ)とが出力される。モータMG1のトルク指令Tm1*は、エンジン22の回転数Neを大きくするほど大きくなる。これは、エンジン22の回転数Neが大きいほどそのフリクションが大きくなるためである。そして、上述したように、シフトポジションSPがBポジションやSポジションのときには、Dポジションのときに比して、走行用トルクTd*の絶対値が大きくなり且つ制御用入力制限Win*の絶対値が小さくなるから、モータMG2のトルク指令Tm2*の絶対値が小さくなると共に、エンジン22の回転数NeおよびモータMG1のトルク指令Tm1*の絶対値が大きくなる。
【0038】
ステップS110でPM堆積量Qpmが閾値Qpmref以上のときには、シフトポジションSPとしてBポジションやSポジションの選択を禁止する(ステップS170)。そして、車速Vやバッテリ50の入力制限Winを入力し(ステップS180)、シフトポジションSPがDポジションであるとして車速Vと図3の走行用トルク設定用マップとを用いて走行用トルクTd*を設定する(ステップS190)。
【0039】
続いて、バッテリ50の入力制限Winを制御用入力制限Win*に設定し(ステップS200)、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共にバッテリ50の入力制限Win*の範囲内で走行用トルクTd*が駆動軸36に出力されるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS210)、エンジン22の自立運転指令をエンジンECU24に送信すると共にモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。
【0040】
このようにエンジン22を自立運転することにより、エンジン22の燃料カットを行なうものに比して、PMフィルタ25fに供給される空気量を少なくすることができるから、PMフィルタ25fに堆積した粒子状物質の燃焼によるPMフィルタ25fの温度上昇を抑制することができ、PMフィルタ25fの過熱を抑制することができる。なお、この場合、エンジン22を自立運転し、エンジン22の燃料カットおよびモータMG1によるエンジン22のモータリングを行なわないから、バッテリ50の入力制限Winの絶対値が小さいほどモータMG2の回生パワーが小さくなり、車両の制動力が小さくなる。運転者がある程度大きい制動力(減速度)を所望しているときに車両の制動力が小さいと、運転者に違和感を与える可能性があることから、実施例では、シフトポジションSPとしてBポジションやSポジションの選択を禁止するものとした。シフトポジションSPとしてBポジションやSポジションの選択を禁止した旨をディスプレイ89に表示するなどして運転者に報知するのが好ましい。
【0041】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20では、アクセルオフ時にPM堆積量Qpmが閾値Qpmref以上のときには、エンジン22を自立運転する。これにより、エンジン22の燃料カットおよびモータMG1によるエンジン22のモータリングを行なうものに比して、PMフィルタ25fに供給される空気量を少なくすることができるから、PMフィルタ25fに堆積した粒子状物質の燃焼によるPMフィルタ25fの温度上昇を抑制することができ、PMフィルタ25fの過熱を抑制することができる。
【0042】
実施例のハイブリッド自動車20では、アクセルオフ時にPM堆積量Qpmが閾値Qpmref以上のときには、シフトポジションSPとしてBポジションやSポジションの選択を禁止するものとしたが、これらの選択を禁止しないものとしてもよい。
【0043】
実施例のハイブリッド自動車20では、アクセルオフ時において、PM堆積量Qpmが閾値Qpmref以上のときには、エンジン22を自立運転するものとしたが、燃料噴射を停止したエンジン22ののモータMG1によるモータリングを制限するものであればよく、例えば、エンジン22の燃料カットを行なうと共にPM堆積量Qpmが閾値Qpmref未満のときに比してエンジン22が小さい回転数で回転するようにモータMG1によりエンジン22をモータリングするものとしてもよい。
【0044】
実施例のハイブリッド自動車20では、PM堆積量Qpmが閾値Qpmref以上のときにおいて、アクセルオンでフィルタ再生条件が成立しているときに、空燃比をリーンとしてエンジン22を運転することにより、PMフィルタ25fに堆積した粒子以上物質を燃焼させてPMフィルタ25fを再生させたり、アクセルオフのときに、エンジン22を自立運転することにより、エンジン22の燃料カットを行なうものに比してPMフィルタ25fの過熱を抑制したりするものとした。しかし、こうした制御をディーラーなどでメンテナンスモードが設定されたときにだけ行なうものとしてもよい。メンテナンスモードでは、運転者(例えばディーラの作業者)がそのことを認識しているから、アクセルオフ時に、エンジン22を自立運転しても(エンジン22の燃料カットおよびモータMG1によるエンジン22のモータリングを行なわなくても)、更にこれにより車両の制動力が低下しても、運転者が違和感を感じる可能性が低いと考えられる。なお、この場合、メンテナンスモードが設定されていないときには、PM堆積量Qpmが閾値Qpmref以上でのアクセルオフ時に、エンジン22の燃料カットを行なうの許容することになる。このため、エンジン22を運転する際に、エンジン22の出力(目標パワーPe*)を制限してフィルタ温度Tfをある程度低くしておくことにより、その後にエンジン22の燃料カットを行なったときのPMフィルタ25fの過熱を抑制することが考えられる。
【0045】
実施例のハイブリッド自動車20では、シフトポジションSPとして、DポジションやBポジション、Sポジションなどが用意されているものとしたが、BポジションおよびSポジションのうちの少なくとも一方が用意されていないものとしてもよい。
【0046】
実施例のハイブリッド自動車20では、蓄電装置として、バッテリ50を用いるものとしたが、バッテリ50に代えて、キャパシタを用いるものとしてもよい。
【0047】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とHVECU70とを備えるものとしたが、これらのうちの少なくとも2つを単一の電子制御ユニットとして構成するものとしてもよい。
【0048】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータMG1が「第1モータ」に相当し、プラネタリギヤ30が「プラネタリギヤ」に相当し、モータMG2が「第2モータ」に相当し、バッテリ50が「蓄電装置」に相当し、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40とが「制御装置」に相当する。
【0049】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0050】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23a クランクポジションセンサ、23b 水温センサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、25 浄化装置、25a 触媒、25b 空燃比センサ、25c 酸素センサ、25f PMフィルタ、25g 差圧センサ、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、45u,45v,46u,46v 電流センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、57 コンデンサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 ディスプレイ、MG1,MG2 モータ。
図1
図2
図3
図4