特開2020-75531(P2020-75531A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-75531(P2020-75531A)
(43)【公開日】2020年5月21日
(54)【発明の名称】ハイブリッド自動車
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/16 20160101AFI20200424BHJP
   B60K 6/445 20071001ALI20200424BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20200424BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20200424BHJP
   F01N 3/033 20060101ALI20200424BHJP
【FI】
   B60W20/16ZHV
   B60K6/445
   B60W10/06 900
   B60L11/14
   F01N3/033 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-208114(P2018-208114)
(22)【出願日】2018年11月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牟田 浩一郎
【テーマコード(参考)】
3D202
3G190
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA03
3D202BB08
3D202BB09
3D202BB53
3D202CC47
3D202DD01
3D202DD05
3D202DD22
3D202DD24
3D202DD26
3D202DD44
3D202DD45
3G190AA03
3G190AA13
3G190BA48
3G190CA01
3G190CA13
3G190CA14
3G190CB18
3G190CB34
3G190CB35
3G190DA02
3G190DB02
3G190DB12
3G190DB22
3G190DC12
3G190DC14
3G190EA01
3G190EA02
3G190EA07
3G190EA14
3G190EA24
3G190EA32
3G190EA41
3G190EA52
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BD17
5H125DD11
5H125EE42
(57)【要約】
【課題】フィルタの昇温を促進させる際に、フィルタに流入する粒子状物質の量が過度に多くなるのを抑制する。
【解決手段】フィルタの昇温が要求されているときには、走行に要求される走行用パワーよりも大きい範囲内でエンジンの目標パワーを設定し、エンジンからの目標パワーの出力とモータによる発電とを伴って走行用パワーに基づいて走行するようにエンジンとモータとを制御するフィルタ昇温制御を実行する。そして、フィルタ昇温制御を実行する際には、走行用パワーおよびエンジンの温度のうちの少なくとも一方に基づいて目標パワーを設定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気系に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられたエンジンと、
前記エンジンの出力軸に接続されたモータと、
前記モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
前記フィルタの昇温が要求されているときには、走行に要求される走行用パワーよりも大きい範囲内で前記エンジンの目標パワーを設定し、前記エンジンからの前記目標パワーの出力と前記モータによる発電とを伴って前記走行用パワーに基づいて走行するように前記エンジンと前記モータとを制御するフィルタ昇温制御を実行する制御装置と、
を備えるハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、前記フィルタ昇温制御を実行する際には、前記エンジンの温度および前記走行用パワーのうちの少なくとも一方に基づいて前記目標パワーを設定する、
ハイブリッド自動車。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、前記フィルタ昇温制御を実行する際に、前記エンジンの温度が低いときには高いときに比して小さくなるように前記目標パワーを設定する、
ハイブリッド自動車。
【請求項3】
請求項1または2記載のハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、前記フィルタ昇温制御を実行する際に、前記走行用パワーが大きいときには小さいときに比して小さくなるように前記目標パワーを設定する、
ハイブリッド自動車。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちの何れか1つの請求項に記載のハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、前記フィルタの昇温が要求されているときに、アクセルオンのときには前記フィルタ昇温制御を実行し、アクセルオフのときには前記フィルタ昇温制御を実行しない、
ハイブリッド自動車。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちの何れか1つの請求項に記載のハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、前記フィルタ昇温制御を実行する際には、前記エンジンが所定回転数以上で回転するように前記エンジンを制御する、
ハイブリッド自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車に関し、詳しくは、排気系に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられたエンジンを備えるハイブリッド自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハイブリッド自動車としては、排気系に排気浄化用のフィルタが取り付けられたエンジンと、エンジンにクラッチを介して接続されたモータジェネレータと、モータジェネレータと電力をやりとりするバッテリとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド自動車では、フィルタに堆積した粒子状物質を燃焼させることが望まれる所定条件が満たされたときには、モータジェネレータに回生発電を実行させてエンジンの負荷を増加させることにより、フィルタに流入する排気の温度を粒子状物質の燃焼温度以上にさせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−149233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のハイブリッド自動車では、フィルタの昇温を促進させる際に、エンジンの状態を考慮することなくエンジンの負荷を増加させるから、フィルタに流入する粒子状物質の量が過度に多くなってしてしまう可能性がある。
【0005】
本発明のハイブリッド自動車は、フィルタの昇温を促進させる際に、フィルタに流入する粒子状物質の量が過度に多くなるのを抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッド自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のハイブリッド自動車は、
排気系に粒子状物質を除去するフィルタが取り付けられたエンジンと、
前記エンジンの出力軸に接続されたモータと、
前記モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
前記フィルタの昇温が要求されているときには、走行に要求される走行用パワーよりも大きい範囲内で前記エンジンの目標パワーを設定し、前記エンジンからの前記目標パワーの出力と前記モータによる発電とを伴って前記走行用パワーに基づいて走行するように前記エンジンと前記モータとを制御するフィルタ昇温制御を実行する制御装置と、
を備えるハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、前記フィルタ昇温制御を実行する際には、前記エンジンの温度および前記走行用パワーのうちの少なくとも一方に基づいて前記目標パワーを設定する、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明のハイブリッド自動車では、フィルタの昇温が要求されているときには、走行に要求される走行用パワーよりも大きい範囲内でエンジンの目標パワーを設定し、エンジンからの目標パワーの出力とモータによる発電とを伴って走行用パワーに基づいて走行するようにエンジンとモータとを制御するフィルタ昇温制御を実行する。そして、フィルタ昇温制御を実行する際には、走行用パワーおよびエンジンの温度のうちの少なくとも一方に基づいて目標パワーを設定する。したがって、フィルタ昇温制御を実行する際に、走行用パワーやエンジンの温度を考慮して適切に目標パワーを設定すれば、フィルタの昇温を促進させる際に、フィルタに流入する粒子状物質の量が過度に多くなるのを抑制することができる。
【0009】
こうした本発明のハイブリッド自動車において、前記制御装置は、前記フィルタ昇温制御を実行する際に、前記エンジンの温度が低いときには高いときに比して小さくなるように前記目標パワーを設定するものとしてもよい。エンジンの温度が低いほど燃料が気化しにくく、フィルタに流入する粒子状物質の量が多くなりやすい。したがって、このように目標パワーを設定することにより、フィルタに流入する粒子状物質の量が過度に多くなるのを抑制することができる。
【0010】
また、本発明のハイブリッド自動車において、前記制御装置は、前記フィルタ昇温制御を実行する際に、前記走行用パワーが大きいときには小さいときに比して小さくなるように前記目標パワーを設定するものとしてもよい。エンジンからのパワーが大きいほどエンジンに供給される燃料が多くなっており、フィルタに流入する粒子状物質が多くなりやすい。したがって、このように目標パワーを設定することにより、フィルタに流入する粒子状物質の量が過度に多くなるのを抑制することができる。
【0011】
本発明のハイブリッド自動車において、前記制御装置は、前記フィルタの昇温が要求されているときに、アクセルオンのときには前記フィルタ昇温制御を実行し、アクセルオフのときには前記フィルタ昇温制御を実行しないものとしてもよい。アクセルオフのときにフィルタ昇温制御を実行すると、アクセルオフでエンジンからある程度のパワーが出力されて蓄電装置が充電され、運転者に違和感を与える可能性がある。これに対して、アクセルオフのときにはフィルタ昇温制御を実行しないことにより、こうした違和感を運転者に与えるのを抑制することができる。
【0012】
本発明のハイブリッド自動車において、前記制御装置は、前記フィルタ昇温制御を実行する際には、前記エンジンが所定回転数以上で回転するように前記エンジンを制御するものとしてもよい。こうすれば、アクセル操作量(目標パワー)が小さいときでも、エンジンの単位時間あたりの空気量すなわちフィルタに流入する単位時間あたりの排気量をある程度確保することができ、フィルタの昇温をある程度促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
図2】エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する様子とを示す説明図である。
図3】HVECU70により実行される充放電要求パワー設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図4】第1充放電要求パワー設定用マップの一例を示す説明図である。
図5】第2充放電要求パワー設定用マップの一例を示す説明図である。
図6】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、蓄電装置としてのバッテリ50と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
【0016】
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されており、ダンパ28を介してプラネタリギヤ30のキャリヤに接続されている。エンジン22の排気系には、浄化装置25と、粒子状物質除去フィルタ(以下、「PMフィルタ」という)25fと、が取り付けられている。浄化装置25は、エンジン22の排気中の未燃焼燃料や窒素酸化物を浄化する触媒25aを有する。PMフィルタ25fは、セラミックスやステンレスなどにより多孔質フィルタとして形成されており、排気中の煤などの粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕捉する。エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24により運転制御されている。
【0017】
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。エンジンECU24に入力される信号としては、例えば、エンジン22のクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23aからのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ23bからの冷却水温Twを挙げることができる。また、エンジン22の排気系のうち浄化装置25よりも上流側に取り付けられた空燃比センサ25bからの空燃比AFや、エンジン22の排気系のうち浄化装置25よりも下流側に取り付けられた酸素センサ25cからの酸素信号O2も挙げることができる。さらに、PMフィルタ25fの前後の差圧(上流側と下流側との差圧)を検出する差圧センサ25gからの差圧ΔPも挙げることができる。エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。
【0018】
エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23aからのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算したり、水温センサ23bからの冷却水温Twなどに基づいて触媒25aの温度(触媒温度)Tcを演算(推定)したりしている。また、エンジンECU24は、エアフローメータ(図示省略)からの吸入空気量Qaとエンジン22の回転数Neとに基づいて、体積効率(エンジン22の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の比)KLを演算している。さらに、エンジンECU24は、差圧センサ25gからの差圧ΔPに基づいて、PMフィルタ25fに堆積した粒子状物質の堆積量としてのPM堆積量Qpmを演算したり、エンジン22の回転数Neや体積効率KLに基づいて、PMフィルタ25fの温度としてのフィルタ温度Tfを演算したりしている。
【0019】
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されており、サンギヤと、リングギヤと、それぞれサンギヤおよびリングギヤに噛合する複数のピニオンギヤと、複数のピニオンギヤを自転(回転)かつ公転自在に支持するキャリヤとを有する。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、上述したように、ダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。したがって、モータMG1、エンジン22、駆動軸36およびモータMG2は、プラネタリギヤ30の共線図においてこの順に並ぶようにプラネタリギヤ30の3つの回転要素としてのサンギヤ、キャリヤ、リングギヤに接続されていると言える。
【0020】
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41,42は、モータMG1,MG2の駆動に用いられると共に電力ライン54を介してバッテリ50に接続されている。電力ライン54には、平滑用のコンデンサ57が取り付けられている。モータMG1,MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によってインバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
【0021】
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の各相に流れる電流を検出する電流センサ45u,45v,46u,46vからの相電流Iu1,Iv1,Iu2,Iv2などが入力ポートを介して入力されている。モータECU40からは、インバータ41,42の複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の電気角θe1,θe2や角速度ωm1,ωm2,回転数Nm1,Nm2を演算している。
【0022】
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、電力ライン54に接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52により管理されている。
【0023】
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に取り付けられた電圧センサ51aからのバッテリ50の電圧Vbや、バッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ib、バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。バッテリECU52は、電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいて蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbとに基づいてバッテリ50の入出力制限Win,Woutを演算したりしている。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力量の割合であり、入出力制限Win,Woutは、バッテリ50を充放電してもよい許容入出力電力である。
【0024】
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ88からの車速Vも挙げることができる。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52と通信ポートを介して接続されている。
【0025】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、エンジン22の回転を伴って走行するハイブリッド走行モード(HV走行モード)や、エンジン22の回転停止を伴って走行する電動走行モード(EV走行モード)で走行する。
【0026】
HV走行モードでアクセルオンのときには、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行に要求される(駆動軸36に要求される)走行用トルクTd*を設定し、設定した走行用トルクTd*に駆動軸36の回転数Nd(モータMG2の回転数Nm2)を乗じて走行に要求される走行用パワーPd*を計算する。続いて、走行用パワーPd*からバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じてエンジン22の目標パワーPe*を演算し、演算した目標パワーPe*がエンジン22から出力されるようにエンジン22の目標運転ポイントとしての目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する。実施例では、エンジン22の目標パワーPe*とエンジン22を効率よく運転するための動作ラインとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定するものとした。図2は、エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する様子とを示す説明図である。エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*の設定は、エンジン22の目標パワーPe*が一定の曲線とエンジン22の動作ラインとの交点の回転数Ne1およびトルクTe1を目標回転数Ne*および目標トルクTe*として設定することにより行なわれる。
【0027】
次に、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*となるようにモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共に走行用トルクTd*とモータMG1のトルク指令Tm1*とに基づいて走行用トルクTd*(走行用パワーPd*)が駆動軸36に出力されるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する。そして、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。エンジンECU24は、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を受信すると、エンジン22が目標回転数Ne*および目標トルクTe*に基づいて運転されるようにエンジン22の運転制御(吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火制御など)を行なう。モータECU40は、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を受信すると、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようにインバータ41,42の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
【0028】
HV走行モードでアクセルオフのときには、HVECU70は、車速Vに基づいて走行用トルクTd*(基本的に負の値)を設定し、エンジン22の燃料カットとモータMG1によるエンジン22のモータリングとモータMG2の回生駆動とにより、または、エンジン22の自立運転とモータMG2の回生駆動とによりバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で走行用トルクTd*が駆動軸36に出力されるようにモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する。そして、エンジン22の燃料カット指令または自立運転指令をエンジンECU24に送信すると共に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。エンジンECU24は、燃料カット指令を受信すると、エンジン22の燃料噴射制御および点火制御を停止し、自立運転指令を受信すると、エンジン22が自立運転されるようにエンジン22の運転制御を行なう。モータECU40によるインバータ41,42の制御については上述した。
【0029】
EV走行モードでは、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行用トルクTd*を設定し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で走行用トルクTd*が駆動軸36に出力されるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。モータECU40によるインバータ41,42の制御については上述した。
【0030】
また、実施例のハイブリッド自動車20では、HV走行モードで、PMフィルタ25fを再生するためのフィルタ再生条件が成立しているときに、アクセルオフされてエンジン22の燃料カット(およびモータMG1によるエンジン22のモータリング)が行なわれると、PMフィルタ25fに空気(酸素)が供給されてPMフィルタ25fに堆積した粒子状物質が燃焼することにより、PMフィルタ25fの再生が行なわれる。ここで、フィルタ再生条件としては、PM堆積量Qpmが閾値Qpmref以上で且つPMフィルタ25fのフィルタ温度Tfが閾値Tfref以上である条件が用いられる。閾値Qpmrefは、PMフィルタ25fの再生が必要であるか否かを判断するための閾値であり、例えば、3g/Lや4g/L、5g/Lなどが用いられる。閾値Tfrefは、フィルタ温度TfがPMフィルタ25fの再生に適した再生可能温度に至っているか否かを判断するための閾値であり、例えば、580℃や600℃、620℃などが用いられる。
【0031】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、バッテリ50の充放電要求パワーPb*を設定する際の動作について説明する。図3は、HVECU70により実行される充放電要求パワー設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、HV走行モードでアクセルオンのときに繰り返し実行される。
【0032】
図3の充放電要求パワー設定ルーチンが実行されると、HVECU70は、最初に、エンジン22の冷却水温TwやPM堆積量Qpm、フィルタ温度Tf、バッテリ50の蓄電割合SOC、走行用パワーPd*などのデータを入力する(ステップS100)。ここで、エンジン22の冷却水温Twは、水温センサ23bにより検出された値をエンジンECU24から通信により入力するものとした。PM堆積量Qpmやフィルタ温度Tfは、エンジンECU24により演算された値を通信により入力するものとした。バッテリ50の蓄電割合SOCは、バッテリECU52により演算された値を通信により入力するものとした。走行用パワーPd*は、上述のようにアクセル開度Accと車速Vとに基づいて設定した値を入力するものとした。
【0033】
こうしてデータを入力すると、入力したPM堆積量Qpmとフィルタ温度Tfとに基づいてフィルタ昇温条件が成立しているか否かを判定する(ステップS110)。ここで、フィルタ昇温条件としては、PM堆積量Qpmが閾値Qpmref以上で且つフィルタ温度Tfが閾値Tfref未満である条件が用いられる。
【0034】
ステップS110でフィルタ昇温条件が成立していないとき(上述のフィルタ再生条件が成立しているときを含む)には、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて充放電要求パワーPb*を設定して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。ステップS120の処理では、バッテリ50の蓄電割合SOCと充放電要求パワーPb*との関係を予め定めて第1充放電要求パワー設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、蓄電割合SOCが与えられると、このマップから対応する充放電要求パワーPb*を導出して設定するものとした。
【0035】
図4は、第1充放電要求パワー設定用マップの一例を示す説明図である。バッテリ50の充放電要求パワーPb*は、図示するように、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*(例えば、50%や55%、60%など)のときには値0が設定され、蓄電割合SOCが目標割合SOC*よりも小さいときには負(バッテリ50を充電する側)の範囲内で蓄電割合SOCが小さいほど小さくなる(絶対値としては大きくなる)ように設定され、蓄電割合SOCが目標割合SOC*よりも大きいときには正の範囲内で蓄電割合SOCが大きいほど大きくなるように設定される。このようにバッテリ50の充放電要求パワーPb*を設定することにより、バッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*付近にすることができる。
【0036】
ステップS110でフィルタ昇温条件が成立しているときには、エンジン22の冷却水温Twと走行用パワーPd*とに基づいてバッテリ50の充放電要求パワーPb*を設定して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。
【0037】
ステップS130の処理では、エンジン22の冷却水温Twおよび走行用パワーPd*とバッテリ50の充放電要求パワーPb*との関係を予め定めて第2充放電要求パワー設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、エンジン22の冷却水温Twおよび走行用パワーPd*が与えられると、このマップから対応する充放電要求パワーPb*を導出して設定するものとした。図5は、第2充放電要求パワー設定用マップの一例を示す説明図である。バッテリ50の充放電要求パワーPb*は、図示するように、負の範囲内で、エンジン22の冷却水温Twが低いほど大きくなる(絶対値としては小さくなる)ように設定され、且つ、走行用パワーPd*が大きいほど大きくなる(絶対値としては小さくなる)ように設定される。
【0038】
バッテリ50の充放電要求パワーPb*を負の範囲内で設定することにより、エンジン22の目標パワーPe*が走行用パワーPd*よりも大きくなり、走行用パワーPd*を駆動軸36に出力して走行すると共にエンジン22の目標パワーPe*と走行用パワーPd*との差分のパワーがバッテリ50に充電される。これにより、エンジン22の目標パワーPe*が走行用パワーPd*以下になるときに比してPMフィルタ25fの昇温を促進させることができる。以下、バッテリ50の充放電要求パワーPb*を負の範囲内で設定し、この充放電要求パワーPb*を用いてエンジン22の目標パワーPe*を設定し、エンジン22からの目標パワーPe*の出力とモータMG1による発電とを伴って走行用トルクTd*(走行用パワーPd*)に基づいて走行するようにエンジン22とモータMG1,MG2とを制御する制御を「フィルタ昇温制御」という。ところで、エンジン22の冷却水温Twが低いほど燃料が気化しにくく、PMフィルタ25fに流入する粒子状物質が多くなりやすい。また、エンジン22からのパワーが大きいほどエンジン22に供給される燃料が多くなっており、PMフィルタ25fに流入する粒子状物質が多くなりやすい。これを踏まえて、実施例では、フィルタ昇温制御を実行する際には、図5の傾向に充放電要求パワーPb*を設定するものとした。これにより、エンジン22の冷却水温Twが低いほど且つ走行用パワーPd*が大きいほどエンジン22の目標パワーPe*の走行用パワーPd*に対する増加分を小さくすることができるから、PMフィルタ25fに流入する粒子状物質の量が過度に多くなるのを抑制することができる。
【0039】
なお、実施例では、上述したように、HV走行モードでアクセルオフのときには、エンジン22の燃料カットとモータMG1によるエンジン22のモータリングとモータMG2の回生駆動とにより、または、エンジン22の自立運転とモータMG2の回生駆動とにより走行用トルクTd*に基づいて走行するようにエンジン22とモータMG1,MG2とを制御する。即ち、HV走行モードでアクセルオフのときには、フィルタ昇温制御を実行しないのである。HV走行モードでアクセルオフのときに、フィルタ昇温制御を行なうと、エンジン22からある程度のパワーが出力されてバッテリ50が充電され、運転者に違和感を与える可能性がある。これに対して、実施例では、HV走行モードでアクセルオフのときにはフィルタ昇温制御を実行しないことにより、こうした違和感を運転者に与えるのを抑制することができる。
【0040】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20では、アクセルオンでフィルタ昇温条件が成立しているときには、負の範囲内でエンジン22の冷却水温Twが低いほど大きくなる(絶対値としては小さくなる)ように且つ走行用パワーPd*が大きいほど大きくなる(絶対値としては小さくなる)ようにバッテリ50の充放電要求パワーPb*を設定し、走行用パワーPd*からバッテリ50の充放電要求パワーPb*を減じてエンジン22の目標パワーPe*を設定する。これにより、エンジン22の冷却水温Twが低いほど且つ走行用パワーPd*が大きいほどエンジン22の目標パワーPe*の走行用パワーPd*に対する増加分を小さくすることができるから、PMフィルタ25fに流入する粒子状物質の量が過度に多くなるのを抑制することができる。
【0041】
実施例のハイブリッド自動車20では、フィルタ昇温条件が成立しているときには、エンジン22の冷却水温Twと走行用パワーPd*とに基づいてバッテリ50の充放電要求パワーPb*を設定するものとしたが、エンジン22の冷却水温Twと走行用パワーPd*とのうちの何れかだけに基づいて充放電要求パワーPb*を設定するものとしてもよい。
【0042】
実施例のハイブリッド自動車20では、フィルタ昇温条件が成立しているときに、アクセルオンのときにはフィルタ昇温制御を実行し、アクセルオフのときにはフィルタ昇温制御を実行しないものとした。しかし、フィルタ昇温条件が成立しているときには、アクセルオンかアクセルオフかに拘わらずにフィルタ昇温制御を実行するものとしてもよい。
【0043】
実施例のハイブリッド自動車20では、説明していないが、ステップS120またはステップS130でバッテリ50の充放電要求パワーPb*を設定した後に他要件との調停処理を行なって最終的なバッテリ50の充放電要求パワーPb*を設定するものとしてもよい。調停処理では、例えば、バッテリ50の蓄電割合SOCが許容下限割合Slo(例えば、30%や35%、40%など)未満のときや、バッテリ50の電圧Vbが許容下限電圧Vblo未満のときには、ステップS120またはステップS130で設定したバッテリ50の充放電要求パワーPb*に代えて、負の範囲内の十分に小さい(絶対値としては大きい)値をバッテリ50の充放電要求パワーPb*に設定する。これにより、バッテリ50を十分に大きい電力で強制的に充電し、バッテリ50の過放電を抑制することができる。
【0044】
実施例のハイブリッド自動車20では、HV走行モードでは、エンジン22の目標パワーPe*についての等パワー曲線とエンジン22の動作ラインとの交点の回転数Ne1およびトルクTe1を目標回転数Ne*および目標トルクTe*として設定するものとしたが、交点の回転数Ne1を許容下限回転数Neminで下限ガードした回転数を目標回転数Ne*に設定すると共にエンジン22の目標パワーPe*を目標回転数Ne*で除したトルクを目標トルクTe*に設定するものとしてもよい。ここで、許容下限回転数Neminは、エンジン22の単位時間あたりの空気量すなわちPMフィルタ25fに流入する単位時間あたりの排気量をある程度確保できると共にアクセル開度Accが小さいとき(エンジン22の目標パワーPe*が小さいとき)に運転者に騒音を感じさせない回転数として定められ、例えば、1500rpmや1700rpm、2000rpmなどが用いられる。このようにしてエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定することにより、アクセル開度Accが小さいときでも、PMフィルタ25fに流入する排気量をある程度確保することができ、PMフィルタ25fの昇温をある程度促進させることができる。また、アクセル開度Accが小さいときに、運転者に騒音を感じさせるのを抑制することもできる。
【0045】
実施例のハイブリッド自動車20では、蓄電装置として、バッテリ50を用いるものとしたが、バッテリ50に代えて、キャパシタを用いるものとしてもよい。
【0046】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とHVECU70とを備えるものとしたが、これらのうちの少なくとも2つを単一の電子制御ユニットとして構成するものとしてもよい。
【0047】
実施例のハイブリッド自動車20では、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36にプラネタリギヤ30を介してエンジン22およびモータMG1を接続すると共に駆動軸36にモータMG2を接続し、モータMG1,MG2に電力ラインを介してバッテリ50を接続する構成とした。しかし、図6の変形例のハイブリッド自動車120に示すように、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36に変速機130を介してモータMGを接続すると共にモータMGにクラッチ129を介してエンジン22を接続し、モータMGに電力ラインを介してバッテリ50を接続する構成としてもよい。
【0048】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータMG1が「モータ」に相当し、バッテリ50が「蓄電装置」に相当し、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40とが「制御装置」に相当する。
【0049】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0050】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23a クランクポジションセンサ、23b 水温センサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、25 浄化装置、25a 触媒、25b 空燃比センサ、25c 酸素センサ、25f PMフィルタ、25g 差圧センサ、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、45u,45v,46u,46v 電流センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、57 コンデンサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、129 クラッチ、130 変速機、MG,MG1,MG2 モータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6