特開2020-76089(P2020-76089A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化学工業株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2020076089-粘着テープ 図000004
  • 特開2020076089-粘着テープ 図000005
  • 特開2020076089-粘着テープ 図000006
  • 特開2020076089-粘着テープ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-76089(P2020-76089A)
(43)【公開日】2020年5月21日
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20200424BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20200424BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20200424BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20200424BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20200424BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J133/00
   C09J11/06
   C09J11/08
   C09J175/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-197397(P2019-197397)
(22)【出願日】2019年10月30日
(31)【優先権主張番号】特願2018-204223(P2018-204223)
(32)【優先日】2018年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小栗 彩葉
(72)【発明者】
【氏名】戸田 智基
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA04
4J004AA10
4J004AB01
4J004BA02
4J004CA01
4J004CA04
4J004CA06
4J004CB02
4J004CB03
4J004CB04
4J004CC02
4J004CD00
4J004CE01
4J004DA03
4J004DB02
4J004EA05
4J004FA08
4J040BA202
4J040DF061
4J040EF282
4J040GA05
4J040HB44
4J040HD43
4J040JB09
4J040KA16
4J040KA26
4J040LA01
4J040LA06
4J040NA16
4J040NA17
4J040NA19
4J040PA23
(57)【要約】
【課題】薄い粘着テープ又は線幅の狭い粘着テープであっても優れた粘着力を有し、定荷重がかかったときに剥がれにくい粘着テープを提供する。
【解決手段】粘着剤層を有する粘着テープであって、前記粘着剤層は、架橋性官能基を有するアクリル系ポリマー、架橋剤、重量平均分子量が8000〜50万の粘着付与樹脂A及び重量平均分子量が500〜5000の粘着付与樹脂Bを含有する、粘着テープ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層を有する粘着テープであって、前記粘着剤層は、架橋性官能基を有するアクリル系ポリマー、架橋剤、重量平均分子量が8000〜50万の粘着付与樹脂A及び重量平均分子量が500〜5000の粘着付与樹脂Bを含有する、粘着テープ。
【請求項2】
前記粘着付与樹脂A又は前記粘着付与樹脂Bの少なくとも一方はロジン系樹脂である、請求項1記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着剤層はゲル分率が15重量%以上55重量%以下である、請求項1又は2記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着付与樹脂Bは1分子中にアルコール性水酸基を有し、前記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーは水酸基を有し、前記架橋剤はイソシアネート系である、請求項1、2又は3記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記粘着付与樹脂Bの1分子中に含まれるアルコール性水酸基の数が0.8個以上である、請求項4に記載の粘着テープ。
【請求項6】
前記粘着付与樹脂Aの含有量が、前記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマー100重量部に対して0.05重量部以上である、請求項1、2、3、4又は5記載の粘着テープ。
【請求項7】
前記粘着付与樹脂Bの含有量が、前記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマー100重量部に対して5重量部以上35重量部以下である、請求項1、2、3、4、5又は6記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄い粘着テープ又は線幅の狭い粘着テープであっても優れた粘着力を有し、定荷重がかかったときに剥がれにくい粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープは簡便に接合が可能なことから各種産業分野に用いられている。電気電子分野では、例えばパソコン、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の電子デバイス中で、モジュール組み立て、モジュール類の筐体への貼り合わせ等に粘着テープが用いられている。より具体的には、例えば、画像表示装置又は入力装置を搭載した携帯電子機器(例えば、携帯電話、携帯情報端末等)において、組み立てのために両面粘着テープが用いられている。例えば、携帯電子機器の表面を保護するためのカバーパネルをタッチパネルモジュール又はディスプレイパネルモジュールに接着したり、タッチパネルモジュールとディスプレイパネルモジュールとを接着したりするために両面粘着テープが用いられている。このような両面粘着テープは、例えば、額縁状等の形状に打ち抜かれ、表示画面の周辺に配置されるようにして用いられる(例えば、特許文献1、2)。また、車輌部品(例えば、車載用パネル)を車両本体に固定する用途にも、粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する両面粘着テープが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−242541号公報
【特許文献2】特開2009−258274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の大型の携帯電子機器における部品の接着固定、車輌部品の接着固定等の用途においては、部品の小型化、薄化又は軽量化、或いは、省資源化へのニーズの増大に従って、従来よりも薄い粘着テープが要望されている。また、表示画面の周辺を狭くしてより広い画面を確保する、いわゆる狭額縁化が進んでおり、狭額縁化した携帯電子機器では画面の周辺部の幅が極めて狭いため、従来よりも線幅が狭い(接着面積が狭い)粘着テープが要望されている。
しかしながら、薄い粘着テープ又は線幅の狭い粘着テープでは充分な粘着力が得られず、定荷重がかかったときに剥がれやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、薄い粘着テープ又は線幅の狭い粘着テープであっても優れた粘着力を有し、定荷重がかかったときに剥がれにくい粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、粘着剤層を有する粘着テープであって、前記粘着剤層は、架橋性官能基を有するアクリル系ポリマー、架橋剤、重量平均分子量が8000〜50万の粘着付与樹脂A及び重量平均分子量が500〜5000の粘着付与樹脂Bを含有する、粘着テープである。
以下、本発明を詳述する。
【0007】
本発明の粘着テープは、粘着剤層を有する粘着テープである。
上記粘着剤層は、架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーと、架橋剤と、粘着付与樹脂とを含有する。
このような粘着剤層においては、上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマー間が上記架橋剤により(場合によっては、上記架橋剤と上記粘着付与樹脂とにより)架橋された架橋構造が構築されている。これにより、粘着テープの粘着力が向上し、定荷重がかかったときに剥がれにくくなる。
【0008】
上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーは、架橋性官能基を有するアクリル系モノマーを含むモノマー混合物を重合することにより得られる。上記架橋性官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、グリシジル基、アミノ基、アミド基、ニトリル基等が挙げられる。なかでも、上記粘着剤層のゲル分率の調整が容易であることから、水酸基又はカルボキシル基が好ましく、水酸基がより好ましい。
【0009】
水酸基を有するモノマーとしては、例えば、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
グリシジル基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
アミド基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ニトリル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0010】
上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーは、上記架橋性官能基を有するアクリル系モノマーに由来する構成成分の含有量の好ましい下限が0.01重量%、好ましい上限が20重量%であることが好ましい。上記架橋性官能基を有するアクリル系モノマーに由来する構成成分の含有量をこの範囲内とすることにより、上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマー間が充分に架橋されるため、粘着テープの粘着力が向上し、定荷重がかかったときに剥がれにくくなる。上記架橋性官能基を有するアクリル系モノマーに由来する構成成分の含有量のより好ましい下限は0.05重量%、より好ましい上限は10重量%である。
【0011】
上記モノマー混合物は、上記架橋性官能基を有するアクリル系モノマー以外の他のラジカル重合性モノマーを含んでいてもよい。上記他のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、他の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、上記粘着剤層において上記架橋剤による架橋に関与しない、アミノ基、アミド基及びニトリル基等の他の極性官能基を有するアクリル系モノマーも用いることができる。更に、上記架橋性官能基を有するアクリル系モノマーに加えて、ビニル化合物をモノマーとして用いてもよい。
【0012】
上記他の(メタ)アクリル酸エステルは特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記他の(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
上記ビニル化合物は特に限定されず、例えば、スチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。これらのビニル化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーは、リビングラジカル重合により得られたアクリル系ポリマー(以下、「リビングラジカル重合アクリル系ポリマー」ともいう。)であることが好ましい。
リビングラジカル重合は、重合反応が停止反応又は連鎖移動反応等の副反応で妨げられることなく分子鎖が生長していく重合である。リビングラジカル重合によれば、例えばフリーラジカル重合等と比較してより均一な分子量及び組成を有するポリマーが得られ、低分子量成分等の生成を抑えることができるとともに、ほとんど全てのポリマーが架橋に関与することができる。これにより、粘着テープの粘着力が向上し、定荷重がかかったときに剥がれにくくなる。
【0015】
図1にリビングラジカル重合を説明する模式図を示した。
リビングラジカル重合は、重合反応が停止反応又は連鎖移動反応等の副反応で妨げられることなく分子鎖が生長していく重合である。リビングラジカル重合では、生長末端ラジカルが失活することなく、また反応中に新しくラジカル種が発生することもなく、反応が進行する。その反応途中では、全てのポリマーが均一にモノマーと反応しながら重合し、全てのポリマーの組成は均一に近づく。そのため、架橋性官能基含有モノマー112は、得られるアクリル系ポリマー11の全てのポリマーに含まれる。このようなリビングラジカル重合により得られたアクリル系ポリマー11を架橋剤と組み合わせれば、ほぼ全てのポリマーが架橋に関与することができる。
【0016】
図2に、リビングラジカル重合により得られたアクリル系ポリマーを架橋した場合を説明する模式図を示した。
リビングラジカル重合により得られたアクリル系ポリマーでは、全てのポリマーの組成は均一であり、架橋性官能基含有モノマーを含むことから、全てのポリマーが架橋に関与している。なお、図2では架橋性官能基の例として水酸基を記載した。
【0017】
このような効果は、従来のフリーラジカル重合により得られたアクリル系ポリマー(以下、「フリーラジカル重合アクリル系ポリマー」ともいう。)を用いても得ることはできない。図3にフリーラジカル重合を説明する模式図を示した。
フリーラジカル重合では、反応中に連続的にラジカル種が発生してモノマーに付加し、重合が進行する。そのためフリーラジカル重合では、反応の途中で生長末端ラジカルが失活したポリマー123や、反応中に新しく発生したラジカル種により生長したポリマー124が生成する。そのため、架橋性官能基を含有するアクリル系ポリマーをフリーラジカル重合で製造すると、比較的低分子量の架橋性官能基含有モノマーを含まないポリマーが生成してしまう。このようなフリーラジカル重合により得られたアクリル系ポリマー12を、架橋剤を用いて架橋しても、架橋性官能基含有モノマーを含まないポリマーは、架橋に関与することができない。
【0018】
図4に、フリーラジカル重合により得られたアクリル系ポリマーを架橋した場合を説明する模式図を示した。
フリーラジカル重合により得られたアクリル系ポリマーでは、ポリマーの組成が不均一であり、比較的低分子量の架橋性官能基含有モノマーを含まないポリマーを含むことから、架橋に関与できないポリマーが存在している。なお、図4では架橋性官能基の例として水酸基を記載した。
上記粘着剤層において、架橋に関与できない架橋性官能基含有モノマーを含まない部位は剥離しやすいことから、リビングラジカル重合アクリル系ポリマーを用いた場合に比べると、充分な粘着力が得られない。
【0019】
このようにリビングラジカル重合アクリル系ポリマーは、フリーラジカル重合等と比較してより均一な分子量及び組成を有し、低分子量成分の含有量が少なく、ほぼ全てのポリマーに架橋性官能基含有モノマーが含まれるという性質を有する。薄い粘着テープ又は線幅の狭い粘着テープであっても優れた粘着力を有し、定荷重がかかったときに剥がれにくいという本発明の効果は、リビングラジカル重合アクリル系ポリマーを用いた場合に特に優れたものとなる。
【0020】
リビングラジカル重合は一般的に用いられるものであれば特に限定されず、TERP法、RAFT法、NMP法等が挙げられる。TERP法においては有機テルル化合物、RAFT法においてはRAFT剤、NMP法においてはニトロキシド化合物が用いられ、必要に応じてラジカル重合開始剤を組み合わせて使用する。
上記有機テルル化合物として、例えば、2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオン酸、(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼンが挙げられる。
RAFT剤として、例えば、S−シアノメチル−S−ドデシルトリチオ炭酸、ジチオ安息香酸2−シアノ−2−プロピル、S−(2−シアノ−2−プロピル)−S−ドデシルトリチオ炭酸、2−メチル−2−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸が挙げられる。
ニトロキシド化合物として、例えば、ジ−tert−ブチル−ニトロキシド、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、テトラメチル−イソインドリン−1−オキシル、テトラエチル−イソインドリン−1−オキシル、N−tert−ブチル−N−[1−ジエチルフォスフォノ−(2,2−ジメチルプロピル)]ニトロキシド、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシド等が挙げられる。
【0021】
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物が挙げられる。上記アゾ化合物は、ラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル−1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。これらのアゾ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
上記リビングラジカル重合においては、分散安定剤を用いてもよい。上記分散安定剤として、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記リビングラジカル重合の方法として、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。
上記リビングラジカル重合において重合溶媒を用いる場合、該重合溶媒は特に限定されない。具体的には、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等の非極性溶媒や、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド等の高極性溶媒を用いることができる。これらの重合溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、重合温度は、重合速度の観点から0〜110℃が好ましい。
【0023】
上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーは、重量平均分子量(Mw)の好ましい下限が30万、好ましい上限が200万である。上記重量平均分子量をこの範囲内とすることにより、粘着テープの粘着力が向上する。上記重量平均分子量のより好ましい下限は40万、より好ましい上限は150万である。
【0024】
上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーは、分子量分布(Mw/Mn)の好ましい下限が1.05、好ましい上限が2.5である。上記分子量分布をこの範囲内とすることにより、低分子量成分等の含有量が少なくなるため、粘着テープの粘着力が向上し、定荷重がかかったときに剥がれにくくなる。上記分子量分布のより好ましい上限は2.0であり、更に好ましい上限は1.8である。
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である。
【0025】
上記重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によりポリスチレン換算分子量として測定される。具体的には、以下の方法で測定することができる。
まず、架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーをテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルターで濾過する。次いで、測定機器として2690 Separations Module(Waters社製)、検出器として示差屈折計、カラムとしてGPC KF−806L(昭和電工社製)を用い、サンプル流量1mL/min、カラム温度40℃の条件で得られた濾液に対してGPC測定を行う。
【0026】
上記粘着剤層は、重量平均分子量が8000〜50万の粘着付与樹脂A及び重量平均分子量が500〜5000の粘着付与樹脂Bを含有する。
本発明の粘着テープは、重量平均分子量の大きい粘着付与樹脂Aを用いることで粘着テープの粘着力が向上し、定荷重がかかったときに剥がれにくくすることができる。重量平均分子量の大きい粘着付与樹脂Aを用いることで粘着力と耐剥離性が向上する理由は明らかでないが、定荷重がかかったときにはボイドが形成されて粘着剤層の応力分散性が向上したり、粘着付与樹脂がブリードして被着体との界面に偏析したりすることによって、粘着テープが剥がれにくくなるためだと考えられる。また、粘着付与樹脂Aに加えて重量平均分子量の小さい粘着付与樹脂Bを併用することで、上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーと粘着付与樹脂Bとが架橋剤を介して結合した構造を構築し、より粘着テープの粘着力及び耐剥離性を向上させることができる。特に、上記粘着付与樹脂Bが1分子中にアルコール性水酸基を有し、上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーが水酸基を有し、上記架橋剤がイソシアネート系である場合、耐熱性と耐剥離性を更に高めることができる。なお、上記粘着付与樹脂A及び上記粘着付与樹脂Bの重量平均分子量は、上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーの重量平均分子量と同様の方法で測定することができる。
【0027】
上記粘着付与樹脂Aは上記分子量を満たしていれば特に限定されないが、低分子量の粘着付与樹脂を架橋剤によって会合させた会合体であることが好ましい。上記粘着付与樹脂Aが会合体であることで、分子量を上記範囲へ調節することが容易となる。上記粘着付与樹脂Aが会合体である場合、上記粘着付与樹脂Aは、上記粘着剤層形成時に上記粘着剤層中で形成してもよいし、予め調製して、上記粘着剤層形成時に用いる粘着剤溶液に配合してもよい。なかでも、より確実に重量平均分子量を上記範囲とすることができることから、粘着付与樹脂Aは、予め調製して、上記粘着剤層形成時に用いる粘着剤溶液に配合することが好ましい。
【0028】
上記粘着付与樹脂A及び上記粘着付与樹脂Bは、上記重量平均分子量の範囲を満たしていれば特に限定されないが、耐熱性が向上することから上記粘着付与樹脂A又は粘着付与樹脂Bの少なくとも一方はロジン系樹脂であることが好ましい。上記ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン樹脂、不均化ロジン樹脂、水添ロジン樹脂、重合ロジン樹脂等が挙げられる。
【0029】
より粘着力を向上させる観点から、上記粘着付与樹脂Aの重量平均分子量の好ましい下限は1万、より好ましい下限は3万、更に好ましい下限は5万、特に好ましい下限は10万である。同様の観点から、上記粘着付与樹脂Aの重量平均分子量の好ましい上限は48万、より好ましい上限は45万、更に好ましい下限は40万、特に好ましい上限は35万である。
【0030】
上記粘着付与樹脂Aを予め調製して、上記粘着剤層形成時に用いる粘着剤溶液に配合する場合、上記粘着付与樹脂Aの含有量は、上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマー100重量部に対する好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が5重量部である。上記粘着付与樹脂Aの含有量が上記範囲内であると、粘着力と耐剥離性をより両立しやすくすることができる。同様の観点から、上記粘着付与樹脂Aの含有量のより好ましい下限は0.1重量部、更に好ましい下限は0.15重量部、より好ましい上限は4重量部、更に好ましい上限は3重量部である。
【0031】
上記粘着付与樹脂Aを予め調製して、上記粘着剤層形成時に用いる粘着剤溶液に配合する場合、上記粘着付与樹脂Aの製造方法は特に限定されず、例えば、粘着付与樹脂と上記架橋剤とを反応させることにより得られる。例えば、上記粘着付与樹脂Aはアルコール性水酸基を有する粘着付与樹脂とイソシアネート系架橋剤とを反応させることにより得られる。また、例えば粘着付与樹脂がカルボキシル基を有する場合、上記架橋剤としてエポキシ系架橋剤を用いることにより、上記粘着付与樹脂Aを得られる。上記粘着付与樹脂Aを調製するために用いる粘着付与樹脂は上記粘着付与樹脂Bと同じものであってもよく異なるものであってもよい。
【0032】
上記粘着付与樹脂Bは、1分子中にアルコール性水酸基を有することが好ましい。
上記粘着付与樹脂Bがアルコール性水酸基を有することにより耐熱性と耐剥離性をより向上させることができる。また、上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーが水酸基を有し、上記架橋剤がイソシアネート系である場合は、耐熱性と耐剥離性を更に向上させることができる。上記1分子中にアルコール性水酸基を有する粘着付与樹脂としては、例えば、ロジンエステル系樹脂や水添テルペンフェノール系樹脂等が挙げられる。なお、本明細書においてアルコール性水酸基とは、架橋反応に関与できるsp混成軌道を有する炭素原子に結合した水酸基であって、フェノール性水酸基とは明確に区別される水酸基を意味する。
【0033】
上記粘着付与樹脂Bは1分子中に含まれるアルコール性水酸基の数が0.8個以上であることが好ましい。
1分子中に含まれるアルコール性水酸基が0.8個未満の粘着付与樹脂と比較し、化学構造上「1分子中に含まれるアルコール性水酸基が0.8個以上である」粘着付与樹脂は、アルコール性水酸基周辺の立体障害が減る。このため、上記粘着付与樹脂と上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーとの上記架橋剤を介しての反応性が高くなる。これにより、上記粘着層のバルク強度が向上することで粘着テープの粘着力が向上し、定荷重がかかったときにより剥がれにくくなる。上記1分子中に含まれるアルコール性水酸基は0.9個以上であることがより好ましく、1.0個以上であることが更に好ましい。上記1分子中に含まれるアルコール性水酸基の上限は特に限定されないが、上記粘着付与樹脂Bと上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーとの上記架橋剤を介しての反応性の観点、及び、化学構造上の観点から、3.0個以下であることが好ましい。
【0034】
上記粘着付与樹脂Bの1分子中に含まれるアルコール性水酸基数は、例えば、以下のようにして測定される。
まず、粘着付与樹脂Bをテトラヒドロフラン(THF)によって100倍に希釈して得られた希釈液を、フィルター(例えば、ポリテトラフルオロエチレンからなるポア径0.2μmのフィルター)で濾過する。得られた濾液をゲルパミエーションクロマトグラフ(GPC、例えばWaters社製、2690 Separations Module)に供給して、サンプル流量1mL/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、ポリスチレン換算分子量を測定して、数平均分子量を求める。更に、JIS K0070(無水酢酸法)により水酸基価を測定し、下記式(1)を用いて粘着付与樹脂Bの1分子中に含まれるアルコール性水酸基数を算出する。
水酸基数=(Mn×OHV)/56110 (1)
(Mn:粘着付与樹脂Bの数平均分子量、OHV:粘着付与樹脂Bのアルコール性水酸基の水酸基価(mgKOH/g))
【0035】
上記アルコール性水酸基の数を満たす粘着付与樹脂としては、例えば、ロジンエステル系樹脂や水添テルペンフェノール系樹脂等が挙げられる。
上記ロジンエステル系樹脂とは、アビエチン酸を主成分とするロジン樹脂、不均化ロジン樹脂及び水添ロジン樹脂や、アビエチン酸等の樹脂酸の二量体(重合ロジン樹脂)等を、アルコール類によってエステル化させて得られる樹脂である。上記ロジンエステル系樹脂は、エステル化に用いたアルコール類の水酸基の一部がエステル化に使用されずに樹脂内に含有されてなることで、1分子中に含まれるアルコール性水酸基数が上記範囲に調整される。
ロジン樹脂をエステル化したものがロジンエステル樹脂、不均化ロジン樹脂をエステル化したものが不均化ロジンエステル樹脂、水添ロジン樹脂をエステル化したものが水添ロジンエステル樹脂、重合ロジン樹脂をエステル化したものが重合ロジンエステル樹脂である。上記エステル化に使用されるアルコール類としては、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールが挙げられる。
上記水添テルペンフェノール系樹脂とは、フェノールの存在下においてテルペンを重合させて得られたテルペンフェノール系樹脂において、樹脂内の不飽和二重結合の一部又は全てが適当な操作により水素添加された樹脂である。
これらの粘着付与樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記粘着付与樹脂Bの1分子中に含まれるアルコール性水酸基数を制御する方法としては特に限定されないが、例えば粘着付与樹脂Bがロジンエステル系樹脂である場合には、原料となるロジン系樹脂酸とアルコール類とのエステル化反応の度合いを調整することにより制御することができる。具体的には例えば、アルコール類として多価アルコールを用い、エステル化の度合いを低くすることにより、高水酸基化された、分子中のアルコール性水酸基量の多いロジンエステル系樹脂を得ることができる。また、例えば粘着付与樹脂Bが水添テルペンフェノール系樹脂である場合には、原料となるテルペンフェノール系樹脂のフェノール共重合量と水添の度合いを調整することにより制御することができる。具体的には例えば、テルペンフェノール系樹脂のフェノール共重合量を増やしたり、テルペンフェノール系樹脂の分子量を大きくして水添の度合いを多くしたりすることにより、高水酸基化された、分子中のアルコール性水酸基量の多い水添テルペンフェノール系樹脂を得ることができる。
【0037】
上記粘着付与樹脂Bの重量平均分子量は、より粘着力を向上させる観点から、好ましい下限は0.05万、より好ましい下限は0.07万、更に好ましい下限は0.09万、特に好ましい下限は0.1万である。同様の観点から、上記粘着付与樹脂Bの重量平均分子量の好ましい上限は0.49万、より好ましい上限は0.45万、更に好ましい上限は0.4万、特に好ましい上限は0.35万である。
【0038】
上記粘着付与樹脂Bの含有量は、上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマー100重量部に対する好ましい下限が5重量部、好ましい上限が35重量部である。
上記粘着付与樹脂Bの含有量をこの範囲内とすることにより、上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーと上記粘着付与樹脂Bとが架橋剤により架橋された架橋構造が充分に構築され、粘着力と耐剥離性をより両立しやすくすることができる。上記粘着付与樹脂Bの含有量のより好ましい下限は7重量部、より好ましい上限は28重量部である。
【0039】
上記粘着付与樹脂A及び上記粘着付与樹脂Bは、軟化温度の好ましい下限が100℃、好ましい上限が180℃である。上記軟化温度をこの範囲内とすることにより、粘着テープの粘着力が向上し、定荷重がかかったときにより剥がれにくくなる。
なお、軟化温度とは、JIS K2207環球法により測定した軟化温度である。
【0040】
上記架橋剤は特に限定されず、上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーと、上記粘着付与樹脂A及び上記粘着付与樹脂Bとの組合せに応じて、これらと反応可能な架橋剤を適宜選択する。上記架橋剤は、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、基材に対する密着安定性に優れるため、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
上記イソシアネート系架橋剤として、例えば、コロネートHX(日本ポリウレタン工業社製)、コロネートL(日本ポリウレタン工業社製)、コロネートHL(東ソー社製)、マイテックNY260A(三菱化学社製)等が挙げられる。上記エポキシ系架橋剤として、例えば、テトラッドX(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
【0041】
上記架橋剤の含有量は、上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマー100重量部に対する好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が5重量部である。上記架橋剤の含有量をこの範囲内とすることにより、上記粘着剤層においては、上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマー間が上記架橋剤により架橋された架橋構造が充分に構築される。また、上記粘着付与樹脂Aが会合体であり、上記粘着剤層形成時に上記粘着剤層中で形成される場合は、架橋剤の含有量が上記範囲であることで、上記粘着付与樹脂Aが充分に形成される。これにより、粘着テープの粘着力が向上し、定荷重がかかったときにより剥がれにくくなる。
また、上記架橋剤の種類又は量を適宜調整することによって、粘着剤層のゲル分率を調整することができる。
【0042】
上記粘着剤層は、上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマー以外の他のポリマーを含有してもよい。
ただし、全ポリマー成分中の上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーの含有量の好ましい下限は60重量%であり、ポリマー成分の全量(100重量%)が上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーであることが好ましい。全ポリマー成分中の上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーの含有量を60重量%以上とすることにより、粘着テープの粘着力が充分なものとなる。
なお、粘着付与樹脂は、ポリマー成分には含まない。
【0043】
上記粘着剤層は、必要に応じて、可塑剤、乳化剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料、シランカップリング剤、酸化防止剤等の添加剤等のその他の樹脂等を含有していてもよい。
【0044】
上記粘着剤層は、ゲル分率が15重量%以上55重量%以下であることが好ましい。
上記ゲル分率が15重量%以上であると、上記粘着剤層の粘着性が高まり、より粘着力と耐剥離性に優れた粘着テープとすることができる。上記ゲル分率が55重量%以下であると、上記粘着剤層の架橋密度が高くなりすぎず、より粘着力と耐剥離性に優れた粘着テープとすることができる。
同様の観点から、上記ゲル分率のより好ましい下限は20重量%、更に好ましい下限は25重量%、より好ましい上限は50重量%、更に好ましい上限は40重量%である。
なお、ゲル分率は、次のようにして測定される。
粘着テープの粘着剤層のみを0.1gこそぎ取って酢酸エチル50ml中に浸漬し、振とう機で温度23度、120rpmの条件で24時間振とうする(以下、こそぎ取った粘着剤層のことを粘着剤組成物という)。振とう後、金属メッシュ(目開き#200メッシュ)を用いて、酢酸エチルと酢酸エチルを吸収し膨潤した粘着剤組成物を分離する。分離後の粘着剤組成物を110℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の金属メッシュを含む粘着剤組成物の重量を測定し、下記式を用いて粘着剤層のゲル分率を算出する。
ゲル分率(重量%)=100×(W−W)/W
(W:初期粘着剤組成物重量、W:乾燥後の金属メッシュを含む粘着剤組成物重量、W:金属メッシュの初期重量)
【0045】
上記粘着剤層の厚みは用途によって設定されるので特に限定されないが、好ましい下限が1μm、好ましい上限が100μmである。上記厚みが1μm以上であることで、粘着テープがより剥がれ難くなり、上記厚みが100μm以下であることで、薄い粘着テープとすることができる。上記厚みのより好ましい下限は5μm、より好ましい上限は75μm、さらに好ましい上限は30μm、更により好ましい上限は20μmである。
【0046】
本発明の粘着テープは、基材を有するサポートタイプであってもよいし、基材を有さないノンサポートタイプであってもよい。サポートタイプの場合には、基材の片面に粘着剤層が形成された片面粘着テープであってもよく、基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープであってもよい。
なお、本発明の粘着テープが基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープである場合、一方の面のみの粘着剤層が上述したような粘着剤層であってもよく、両面の粘着剤層が上述したような粘着剤層であってもよい。なかでも、粘着テープの粘着力がより向上し、定荷重がかかったときにより剥がれにくくなることから、両面の粘着剤層が上述したような粘着剤層であることが好ましい。
【0047】
上記基材は特に限定されないが、樹脂フィルム、樹脂発泡体、紙、不織布、ヤーンクロス布等が挙げられる。
上記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系樹脂フィルム、PETフィルム等のポリエステル系樹脂フィルム等が挙げられる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−アクリル酸エステル共重合体等の変性オレフィン系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、シクロオレフィンポリマー樹脂フィルム等が挙げられる。
上記樹脂発泡体としては、例えば、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、アクリルフォーム、ウレタンフォーム、エチレンプロピレンゴムフォーム等が挙げられる。
上記ヤーンクロス布としては、例えば、ポリエチレンフラットヤーンを織ったものや、その表面に樹脂フィルムをラミネートしたもの等が挙げられる。
【0048】
上記基材の厚みは用途によって設定されるので特に限定されないが、例えばフィルム基材の場合には1〜100μmが好ましく、5〜75μmがより好ましい。上記基材の厚みが1μm以上であることで、粘着テープの機械的強度をより高めることができる。上記基材の厚みが100μm以下であることで、被着体の形状に沿ってより密着させて貼り合わせることができる。
【0049】
本発明の粘着テープの製造方法は特に限定されない。例えば、まず上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマー、架橋剤、上記粘着付与樹脂A及び上記粘着付与樹脂Bと、必要に応じて配合するその他の成分とを混合し、攪拌して粘着剤溶液を調製する。続いて、この粘着剤溶液を離型処理したPETフィルムに塗工乾燥させて粘着剤層を形成し、得られた粘着剤層を基材の片面又は両面に転着させる方法等が挙げられる。粘着剤溶液を基材に直接塗工乾燥させてもよい。また、粘着剤溶液を離型処理したPETフィルムに塗工乾燥させて形成した粘着剤層を、基材なしでそのままノンサポートタイプの両面粘着テープとしてもよい。また、粘着剤溶液を調製する際には、粘着付与樹脂と架橋剤とを予め混合して上記粘着付与樹脂Aを調製した後、これに架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーと架橋剤と粘着付与樹脂Bとを添加してもよい。
【0050】
本発明の粘着テープの用途は特に限定されないが、例えば、電子機器部品の固定や車載部品の固定に特に好適に用いることができる。具体的には、大型の携帯電子機器における電子機器部品の接着固定、車載部品(例えば、車載用パネル)の接着固定等に、本発明の粘着テープを用いることができる。
本発明の粘着テープの形状は特に限定されないが、長方形、額縁状、円形、楕円形、ドーナツ型等が挙げられる。本発明の粘着テープは、優れた粘着力を有し、定荷重がかかったときに剥がれにくいことから、1mm以下の狭い線幅であっても、電子機器部品の固定や車載部品の固定に特に好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、薄い粘着テープ又は線幅の狭い粘着テープであっても優れた粘着力を有し、定荷重がかかったときに剥がれにくい粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】リビングラジカル重合を説明する模式図である。
図2】リビングラジカル重合により得られたアクリル系ポリマーを架橋した場合を説明する模式図である。
図3】フリーラジカル重合を説明する模式図である。
図4】フリーラジカル重合により得られたアクリル系ポリマーを架橋した場合を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0054】
(架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーの調製)
重合開始剤6.38g(50mmol)をテトラヒドロフラン(THF)50mLに懸濁させ、これに1.6mol/Lのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液34.4mL(55mmol)を、室温でゆっくり滴下した。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで攪拌した。この反応溶液に、エチル−2−ブロモ−イソブチレート10.7g(55mmol)を室温で加え、2時間攪拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、黄色油状物の2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオン酸エチルを得た。
アルゴン置換したグローブボックス内で、反応容器中に、製造した2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオン酸エチル19μL、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル1.4mg、酢酸エチル1mLを投入した後、反応容器を密閉し、反応容器をグローブボックスから取り出した。続いて、反応容器にアルゴンガスを流入しながら、反応容器内に、混合モノマーの合計100gを投入した。混合モノマーは、アクリル酸2−エチルへキシル(2EHA)82重量部、アクリル酸ブチル(BA)10重量部、アクリル酸エチル(EA)5重量部、アクリル酸(AAc)2.9重量部、及び、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)0.1重量部とした。重合溶媒として酢酸エチル66.5gを投入し、60℃で20時間重合反応を行い、リビングラジカル重合アクリル系ポリマー含有溶液を得た。
なお、原料は以下のものを用いた。
重合開始剤:Tellurium、金属テルル、40メッシュ、アルドリッチ社製
n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液:アルドリッチ社製
2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル:V−65、和光純薬工業社製
【0055】
得られたリビングラジカル重合アクリル系ポリマー含有溶液をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液を、ポア径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過した。その後、得られた濾液をゲルパミエーションクロマトグラフに供給してGPC測定を行った。ポリマーのポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めたところ、それぞれ128万及び1.8であった。なお、詳しい測定条件は以下の通りとした。
ゲルパミエーションクロマトグラフ:2690 Separations Model、Waters社製
カラム:GPC KF−806L、昭和電工社製
検出器:示差屈折計
サンプル流量:1mL/min
カラム温度:40℃
溶出液:THF
【0056】
<粘着付与樹脂Aの調製>
(粘着付与樹脂1の調製)
ロジン系樹脂 5gを酢酸エチルに溶解させ、架橋剤を1.0g加え、バットの中に流し入れた。そのバットを110℃のオーブンに1時間入れ、酢酸エチルで溶解させ、粘着付与樹脂1の酢酸エチル溶液を得た。得られた粘着付与樹脂1の重量平均分子量(Mw)を求めたところ、30万であった。なお、ロジン系樹脂、架橋剤及び重量平均分子量の測定条件は以下の通りとした。
ロジン系樹脂:D135(荒川化学社製)
架橋剤:コロネートL−45(日本ポリウレタン工業社製)
(測定条件)
ゲルパミエーションクロマトグラフ:2690 Separations Model、Waters社製
カラム:GPC KF−806L、昭和電工社製
検出器:示差屈折計
サンプル流量:1mL/min
カラム温度:40℃
溶出液:THF
【0057】
(粘着付与樹脂2の調製)
粘着付与樹脂D135 5gと架橋剤コロネートL−45 1gを酢酸エチル15mlに加えた。その後、110℃で5時間加熱攪拌し、粘着付与樹脂2の酢酸エチル溶液を得た。上記粘着付与樹脂1と同様の方法で粘着付与樹脂2の重量平均分子量(Mw)を求めたところ、15万であった。
【0058】
(粘着付与樹脂3の調製)
架橋剤量を0.5gにした以外は粘着付与樹脂2と同様にして粘着付与樹脂3を得た。上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーと同様の方法で粘着付与樹脂3の重量平均分子量(Mw)を求めたところ、9万であった。
【0059】
(粘着付与樹脂4の調製)
架橋剤量を0.2gにした以外は粘着付与樹脂2と同様にして粘着付与樹脂4を得た。上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーと同様の方法で粘着付与樹脂4の重量平均分子量(Mw)を求めたところ、0.8万であった。
【0060】
<粘着付与樹脂Bの調製>
(粘着付与樹脂5の調製)
架橋剤量を0.01gにし、加熱時間を0.5時間にした以外は粘着付与樹脂2と同様にして粘着付与樹脂5を得た。上記架橋性官能基を有するアクリル系ポリマーと同様の方法で粘着付与樹脂5の重量平均分子量(Mw)を求めたところ、5000であった。
【0061】
(粘着付与樹脂6、7の調製)
粘着付与樹脂6、7は以下のものをそのまま用いた。
粘着付与樹脂6:ロジンエステル系樹脂D135(荒川化学社製)、重量平均分子量:2000、1分子中に含まれるアルコール性水酸基の数(水酸基数):0.8
粘着付与樹脂7:ロジンエステル系樹脂D125(荒川化学社製)、重量平均分子量:2000、1分子中に含まれるアルコール性水酸基の数(水酸基数):0.5
【0062】
(架橋剤)
(イソシアネート系架橋剤)
コロネートL(日本ポリウレタン工業社製)を用いた。
【0063】
(エポキシ系架橋剤)
テトラッドX(三菱ガス化学社製)を用いた。
【0064】
(実施例1〜20、比較例1〜2)
得られたアクリル系ポリマー含有溶液の不揮発分100重量部に対して酢酸エチルを加えて攪拌し、表1、2に示すように粘着付与樹脂A(固形分量)、粘着付与樹脂B(固形分量)及び架橋剤を添加して攪拌し、不揮発分30重量%の粘着剤溶液を得た。厚み50μmの離型処理したPETフィルムに、得られた粘着剤溶液を、乾燥後に粘着剤層の厚みが10μmとなるように塗工した後、100℃で10分間乾燥させ、ノンサポートタイプの両面粘着テープを得た。なお、粘着剤層の両側の表面には、粘着剤層を保護するための離型フィルムを積層した。
【0065】
(ゲル分率の測定)
得られた粘着テープの粘着剤層のみを0.1gこそぎ取って酢酸エチル50ml中に浸漬し、振とう機で温度23度、120rpmの条件で24時間振とうした(以下、こそぎ取った粘着剤層のことを粘着剤組成物という)。振とう後、金属メッシュ(目開き#200メッシュ)を用いて、酢酸エチルと酢酸エチルを吸収し膨潤した粘着剤組成物を分離した。分離後の粘着剤組成物を110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の金属メッシュを含む粘着剤組成物の重量を測定し、下記式を用いて粘着剤層のゲル分率を算出した。
ゲル分率(重量%)=100×(W−W)/W
(W:初期粘着剤組成物重量、W:乾燥後の金属メッシュを含む粘着剤組成物重量、W:金属メッシュの初期重量)
【0066】
<評価>
実施例、比較例で得られた両面粘着テープについて、下記の評価を行った。結果を表1、2に示した。
【0067】
(1)粘着力の測定
幅20mm×75mmの裏打ちした粘着テープをポリカーボネート(PC)板に貼り、23℃、50%湿度で20分養生した。その後、JIS Z 0237:2009に従い、引張速度300mm/minの条件で180°剥離試験を行い、23℃における接着力(N/20mm)を測定した。
【0068】
(2)定荷重剥離長さの測定
幅20mm×50mmの裏打ちした粘着テープをポリカーボネート樹脂板に貼り、外気温23℃、湿度50%下で一晩養生した後、85℃で90°の方向に50gの荷重を掛け、24分後の剥離長さ(20mm幅)を測定した。また、狭幅での評価として幅1mm×50mmの裏打ちした粘着テープをポリカーボネート樹脂板に貼り、外気温23℃、湿度50%下で一晩養生した後、85℃で90°の方向に3gの荷重を掛け、24分後の剥離長さ(1mm幅)を測定した。
【0069】
(3)アンカー性の評価
上記定荷重剥離長さを測定する際、どこからの剥離が起きているかを観察した。ポリカーボネートから剥離している場合を「〇」、裏打ち面から剥離している場合を「△」としてアンカー性を評価した。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、薄い粘着テープ又は線幅の狭い粘着テープであっても優れた粘着力を有し、定荷重がかかったときに剥がれにくい粘着テープを提供することができる。
【符号の説明】
【0073】
11 リビングラジカル重合により得られたアクリル系ポリマー
111 架橋性官能基を含まないモノマー
112 架橋性官能基含有モノマー
12 フリーラジカル重合により得られたアクリル系ポリマー
121 架橋性官能基を含まないモノマー
122 架橋性官能基含有モノマー
123 反応の途中で生長末端ラジカルが失活したポリマー
124 反応中に新しく発生したラジカル種により生長したポリマー
図1
図2
図3
図4