特開2020-78899(P2020-78899A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2020-78899画像処理装置、記録装置、画像処理方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-78899(P2020-78899A)
(43)【公開日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】画像処理装置、記録装置、画像処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20200501BHJP
   B41J 2/205 20060101ALI20200501BHJP
   B41J 2/52 20060101ALI20200501BHJP
【FI】
   B41J2/01 201
   B41J2/01 123
   B41J2/01 451
   B41J2/01 209
   B41J2/205
   B41J2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-213075(P2018-213075)
(22)【出願日】2018年11月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大矢 将史
(72)【発明者】
【氏名】武末 直也
(72)【発明者】
【氏名】石川 尚
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
2C262
【Fターム(参考)】
2C056EA08
2C056EA09
2C056EB13
2C056EB27
2C056EB42
2C056EB45
2C056EB58
2C056EB59
2C056EC69
2C056EC70
2C056ED01
2C056ED05
2C056FA04
2C056FA13
2C056HA42
2C057AF26
2C057AF31
2C057AL31
2C057AL36
2C057AL38
2C057AN05
2C057BA14
2C057CA01
2C057CA05
2C262AA02
2C262AA16
2C262AA24
2C262AB05
2C262AC03
2C262BB08
2C262BC01
2C262EA08
(57)【要約】
【課題】スジムラ抑制効果が期待できない領域における粒状性の低下を防ぎつつ、スジムラ抑制効果が期待できる領域において、スジムラを抑制すること。
【解決手段】本発明は、記録する入力画像を表現した入力画像信号を取得する取得手段と、前記入力画像信号に基づき、記録するドット数を表すドット記録量を、画素毎に決定する決定手段と、画素サイズをはみ出して記録されるドットのハミ出し量を導出する導出手段と、ドットを高分散に配置する第1の配置決定手法と、ドットをクラスタ化する第2の配置決定手法とが少なくとも含まれる複数の配置決定手法の中から、前記ドット記録量と前記ハミ出し量とに基づいて選択した配置決定手法に従って、ドットを配置するか否かを画素毎に決定するドット配置決定手段とを有することを特徴とする画像処理装置である。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録素子が配列した記録ヘッドを用いて記録媒体に記録される画像に対する処理を行う画像処理装置であって、
記録する入力画像を表現した入力画像信号を取得する取得手段と、
前記入力画像信号に基づき、記録するドット数を表すドット記録量を、画素毎に決定する決定手段と、
画素サイズをはみ出して記録されるドットのハミ出し量を導出する導出手段と、
ドットを高分散に配置する第1の配置決定手法と、ドットをクラスタ化する第2の配置決定手法とが少なくとも含まれる複数の配置決定手法の中から、前記ドット記録量と前記ハミ出し量とに基づいて選択した配置決定手法に従って、ドットを配置するか否かを画素毎に決定するドット配置決定手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
予め作成された、前記ドット記録量と、スジが発生する度合いを示すスジ発生レベルとの間の対応関係を保持するルックアップテーブルを更に有し、
前記ドット配置決定手段は、前記ルックアップテーブルを用いて、前記決定手段により決定された前記ドット記録量に対応するスジ発生レベルを導出し、該導出したスジ発生レベルと、前記ハミ出し量とに基づき、前記複数の配置決定手法の中から、1つの配置決定手法を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ドット配置決定手段は、
前記導出手段により導出されたハミ出し量が所定の第1の閾値より大きいこと、及び、前記ドット配置決定手段により導出されたスジ発生レベルが所定の第2の閾値より大きいことを満たす場合、前記第2の配置決定手法を選択する一方、
前記導出手段により導出されたハミ出し量が前記第1の閾値以下であることと、前記ドット配置決定手段により導出されたスジ発生レベルが前記第2の閾値以下であることとの少なくとも一方を満たす場合、前記第1の配置決定手法を選択する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2の配置決定手法を用いた場合、前記記録ヘッドにおいて前記複数の記録素子が配列する方向に沿って、複数のドットが連続配置されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の記録素子のそれぞれは、ドット径がそれぞれ異なる複数種類のドットを記録可能であり、
前記決定手段は、前記ドット記録量をドット径毎に決定し、
前記ドット配置決定手段は、ドットを配置するか否かをドット径毎に決定する
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記導出手段は、記録特性に基づき前記ハミ出し量を導出し、
前記記録特性には、前記記録素子が記録媒体に記録するドットの直径と、印刷品位に応じて決定される記録解像度に基づき算出される画素サイズとが含まれることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記導出手段は、以下の式(1)を用いて、前記ハミ出し量を算出することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【数1】
尚、Rはドットの直径を示し、Pは画素サイズを示す。
【請求項8】
前記導出手段は、記録特性に基づき前記ハミ出し量を導出し、
前記記録特性には、記録媒体の種類と、印刷品位とが含まれることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
記録媒体に記録されるドットにおける角度毎のドット径の情報を予め保持し、
前記導出手段は、スジが伸長する方向と直交する角度のドット径に基づき、前記ハミ出し量を導出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記複数の記録素子の夫々に対応する吐出変動量に基づき、前記ハミ出し量を補正する補正手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
画素毎の、有色インクと、該有色インクに先んじて記録媒体に吐出される反応インクとの接触の有無に基づき、前記ハミ出し量を補正する補正手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の画像処理装置と、
前記記録ヘッドと
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項13】
複数の記録素子が配列した記録ヘッドを用いて記録媒体に記録される画像に対する処理を行う画像処理装置で実行される画像処理方法であって、
記録する入力画像を表現した入力画像信号を取得するステップと、
前記入力画像信号に基づき、記録するドット数を表すドット記録量を、画素毎に決定するステップと、
画素サイズをはみ出して記録されるドットのハミ出し量を導出するステップと、
ドットを高分散に配置する第1の配置決定手法と、ドットをクラスタ化する第2の配置決定手法とが少なくとも含まれる複数の配置決定手法の中から、前記ドット記録量と前記ハミ出し量とに基づいて選択した配置決定手法に従って、ドットを配置するか否かを画素毎に決定するステップと
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
コンピュータに請求項13に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、記録装置、画像処理方法、及びプログラムに関し、特に、多値画像データを2値画像データに変換する量子化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年普及している、商業印刷向けのインクジェット方式のプリンタでは、印刷物の生産性を高めるため、シングルパスで描画する方式(いわゆるシングルパス方式、フルライン方式またはフルマルチ方式とも呼ばれる)が多く採用されている。
【0003】
シングルパス方式のプリンタでは、記録媒体の搬送方向と垂直な媒体幅方向について描画領域の全範囲をカバーするノズル配列を備えた長尺のラインヘッドを、記録媒体の搬送方向に対して垂直方向に延在させる構成が採用される。シングルパス方式は、ヘッドに対して記録媒体を1回だけ相対移動すれば良いため、インクジェット方式の小型の写真プリンタや大判プリンタの多くで採用される、複数回の走査で画像を完成させるマルチパス方式と比べ、印刷速度が速いという特徴がある。
【0004】
ラインヘッドにかかるコストを抑制するため、シングルパス方式のインクジェットプリンタでは、記録媒体上の同一画素位置を形成可能なノズルを1〜2個程度に限定する場合が多い。そのため、個々のノズルの吐出特性が印刷物に反映され易く、ノズルの吐出方向ばらつき(飛行曲がりとも言う)や吐出量ばらつきに起因するバンディング(いわゆるスジムラ)が発生し易い。このバンディングを抑制するための施策として、ノズルが配列する方向と平行な方向に沿って、ドットをクラスタ化する手法がある。しかし、ドットをクラスタ化すると、記録媒体上の粒状の濃度ムラが顕著となり画像のガサツキを示す粒状性が低下してしまう。つまり、バンディング抑制と高粒状性の実現とがトレードオフな関係になってしまうという問題があった。
【0005】
このような問題に対し、特許文献1では、ドットの記録量に基づき、優先すべき画質課題を見極め、粒状性を優先する場合には分散性が高いドット配置を用いる一方、バンディング抑制を優先する場合にはドットをクラスタ化するドット配置を用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−104470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、記録解像度と紙面上でのインク液滴サイズ(具体的には、ドット径)との大小関係によっては、ドットをクラスタ化することによるバンディング抑制効果が小さい場合がある。そのため、従来技術では、スジムラ抑制効果が弱い記録条件においても、スジムラを抑制するためにドットをクラスタ化してしまうことから、スジムラを抑制することなく粒状性の低下のみを発生させてしまうという課題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記の課題に鑑み、スジムラ抑制効果が期待できない領域における粒状性の低下を防ぎつつ、スジムラ抑制効果が期待できる領域において、スジムラを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の記録素子が配列した記録ヘッドを用いて記録媒体に記録される画像に対する処理を行う画像処理装置であって、記録する入力画像を表現した入力画像信号を取得する取得手段と、前記入力画像信号に基づき、記録するドット数を表すドット記録量を、画素毎に決定する決定手段と、画素サイズをはみ出して記録されるドットのハミ出し量を導出する導出手段と、ドットを高分散に配置する第1の配置決定手法と、ドットをクラスタ化する第2の配置決定手法とが少なくとも含まれる複数の配置決定手法の中から、前記ドット記録量と前記ハミ出し量とに基づいて選択した配置決定手法に従って、ドットを配置するか否かを画素毎に決定するドット配置決定手段とを有することを特徴とする画像処理装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、スジムラ抑制効果が期待できない領域における粒状性の低下を防ぎつつ、スジムラ抑制効果が期待できる領域において、スジムラを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】記録装置によって記録媒体に画像を記録する様子を表す模式図。
図2】ハミ出し量の説明図。
図3】ハミ出し量が大きい場合に、ドットのクラスタ化によるスジムラ抑制効果が大きいことを説明するための図。
図4】ハミ出し量が小さい場合に、ドットのクラスタ化によるスジムラ抑制効果が小さいことを説明するための図。
図5】情報処理装置および記録装置のハードウェア構成を示すブロック図。
図6】記録装置における画像処理部のソフトウェア構成を示すブロック図。
図7】記録装置における画像処理部のソフトウェア構成を示すブロック図。
図8】画像信号値とドット記録量との対応関係を保持するLUT。
図9】ドット配置決定部の詳細な機能構成を示すブロック図。
図10】LUTで保持される拡散係数の組み合わせを説明するための図。
図11】ドット配置決定手法毎のドット配置を示す図。
図12】画像処理のフローチャート。
図13】ドット配置決定処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。但し、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、以下の実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。また、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
以下、シングルパス方式のインクジェットプリンタに本実施形態を適用するケースについて説明する。図1に示すように、シングルパス方式のインクジェットプリンタでは、記録媒体12の搬送方向(主走査方向)と垂直な媒体幅方向(副走査方向)の描画領域の全てをカバーするノズル配列を備えた長尺の記録ヘッド11が用いられる。シングルパス方式のインクジェットプリンタは、記録ヘッド11のノズル(記録素子ともいう)からインクを吐出すること、および、記録媒体12を搬送方向に送ることで、記録媒体12上に画像を記録する。尚、以降では、「インクジェットプリンタ」を単純に「記録装置」と記載する。
【0014】
<ハミ出し量について>
以下、本実施形態で用いるハミ出し量について説明する。図2は、ハミ出し量の説明図であり、詳しくは、ドット径と画素サイズとを用いて定義されるハミ出し量の模式図である。本実施形態では、入力された画像信号に応じて階調表現可能な記録媒体上での最小単位を画素とし、その1画素にインク液滴を記録した際に、画素サイズを超過して記録される量をハミ出し量と定義する。より具体的には、ハミ出し量とは、画素の中心と対象ドットの中心とが一致するという仮定のもとに、図2の矢印に示すような、画素をハミ出て記録される量を表す。尚、ハミ出し量の算出手法については後述する。以上が、本実施形態で用いるハミ出し量の内容である。
【0015】
<スジムラを抑制するドット配置の特徴について>
次に、ハミ出し量とドット配置によるスジムラ抑制効果との関係について述べる。図3及び図4は、ハミ出し量によって異なる、ドット配置によるスジムラ抑制効果を説明するための図である。図3は、インク液滴が大きくハミ出し量が大きいケースを示し、図4は、インク液滴が小さくハミ出し量が小さいケースを示す。さらに、図3図4との夫々において、(a)は、ノズル毎の吐出方向ばらつきが小さい理想的な構造の記録ヘッドを用いてインクを吐出した結果、スジムラが発生しないケースを示す。これに対し、(b)は、ノズルの配列方向に吐出方向ばらつきが大きい記録ヘッドを用いてインクを吐出した結果、搬送方向(図中横方向)に沿って伸長する白スジ等によるスジムラが発生するケースを示す。図3(b)及び図4(b)に示すように、ノズルの配列方向においてドットの粗密が大きくなることで、搬送方向に沿って伸長する白スジ等が現れ、ノズルの配列方向に沿ったムラが生じる。
【0016】
従来、各ノズルの吐出方向ばらつきに起因するスジムラの発生を抑制するため、ドットのクラスタ化が行われる。クラスタ化とは、例えば図3図4で示すような、スジが伸びる方向と直行する方向に沿って複数の(本例では2個)ドットを連続配置する処理である。図3(a)及び図3(b)に示すように、このようなクラスタ化を行うことで、ドットを周辺のドットと予め重複させることで吐出方向ばらつきの有無によるドット重複率の変化を小さくし、ノズルの配列方向の濃度ムラを抑制することで、スジムラを抑制する。一方、背景技術でも述べた通り、ドットをクラスタ化した場合にドットの分散性が低下し、印刷物の粒状性が低下することが知られている。そのため、これまでは、記録するドット数に応じて優先する画質課題を考慮、つまり、バンディング抑制と高粒状性の実現との何れを優先するかを考慮し、ドット配置を使い分ける処理を行ってきた。
【0017】
しかしながら、上記のような処理を行う場合に、ハミ出し量を考慮する必要があることに発明者は気付いた。ハミ出し量を考慮する理由は、図4に示すようにハミ出し量が小さい場合には、予めドットを重複させることができず、吐出ばらつきによるドット重複率の変化をコントロールすることができないためである。そのため、例えば、ドット径が小さい記録条件においては、クラスタ化を行っても、スジムラの発生を抑制できず、却って分散性の低下による粒状性低下のみが顕著に現れてしまうことがあった。
【0018】
本実施形態では、上記の現象を考慮し、ドット径と画素サイズとに基づいてハミ出し量を予め推定し、該推定したハミ出し量を用いて、スジムラ抑制効果の度合いを見積もった上でドット配置を決定する。このような見積もりを行うことで、スジムラが抑制されにくい領域において、粒状性を不必要に低下させてしまうことを防止できる。以上が、スジムラを抑制するドット配置の特徴の内容である。
【0019】
<情報処理装置、記録装置のハードウェア構成について>
以下、本実施形態に係る情報処理装置および記録装置のハードウェア構成について、図5を用いて説明する。図5(a)は、本実施形態に係る情報処理装置51のハードウェア構成例を示すブロック図である。情報処理装置とは、例えばPC(パーソナルコンピュータ)であり、図5(a)に示すように、情報処理装置51は、CPU511と、ROM512と、RAM513とを備える。CPU511は、RAM513をワークメモリとして用いて、ROM512やHDD(ハードディスクドライブ)53等に格納されているオペレーティングシステム(以下OS)や各種プログラムを実行する。また、CPU511は、システムバス518を介して、情報処理装置51の各構成要素を制御する。尚、ROM512やHDD53等に格納されているプログラムコードがRAM513に展開され、該展開されたプログラムをCPU511が実行する。
【0020】
VC(ビデオカード)514には、ディスプレイ52が接続される。汎用I/F(インターフェース)515には、シリアルバス56を介して、マウスやキーボードなどの入力デバイス(不図示)や記録装置58が接続される。SATA(シリアルATA)I/F516には、シリアルバス57を介して、HDD53や各種記録メディアの読み書きを行う汎用ドライブ54が接続される。NIC(ネットワークインターフェースカード)517は、シリアルバス55を介して、外部装置との間で情報の入出力を行う。CPU511は、HDD53や汎用ドライブ54にマウントされた各種記録メディアを、各種データの格納場所として使用する。CPU511は、プログラムによって提供されるUI(ユーザインターフェース)をディスプレイ52に表示し、入力デバイスを介して受け付けるユーザ指示などの入力を受信する。
【0021】
図5(b)は、本実施形態に係る記録装置58のハードウェア構成例を示すブロック図である。記録装置58において、CPU583は、ROM585に格納されているプログラムに従ってRAM584をワークエリアとしながら各種処理を実行する。また、記録装置58は、高速な画像処理を行うための画像処理アクセラレータ581を備える。画像処理アクセラレータ581は、CPU583よりも高速に画像処理を実行可能なハードウェアである。画像処理アクセラレータ581は、CPU583が画像処理に必要なパラメータとデータをRAM584の所定のアドレスに書き込むことにより起動される。画像処理アクセラレータ581は、RAM584に書き込まれたパラメータとデータを読み込んだ後、このデータに対し所定の画像処理を実行する。尚、画像処理アクセラレータ581は必須の構成要素ではなく、記録装置58が画像処理アクセラレータ581を備えずとも、同等の処理をCPU583で実行することが可能である。
【0022】
尚、ROM585等に格納されているプログラムコードがRAM584に展開され、該展開されたプログラムをCPU583が実行する。これにより、後述のソフトウェアコンポーネントが実現され、また、後述のフローチャートに示す一連の処理が実行される。以上が、本実施形態に係る情報処理装置および記録装置のハードウェア構成の内容である。
【0023】
<記録装置のソフトウェア構成について>
以下、本実施形態に係る記録装置のソフトウェア構成について、図6(a)を用いて説明する。図6(a)は、本実施形態に係る記録装置58における画像処理部61のソフトウェア構成例を示すブロック図である。図6(a)に示すように、記録装置58は、画像処理部61と、記録部62とから成る。画像処理部61は、画像信号入力端子611と、記録特性入力端子612と、記録量決定部613と、ハミ出し量設定部615と、ドット配置決定部616と、出力データ生成部618と、出力端子619とを備える。
【0024】
<<画像処理部について>>
記録量決定部613は、画像信号入力端子611を介して画像処理部61に入力される、印刷対象の画像を表現する画像信号Inを取得し、該取得した画像信号Inを、各画素に記録するインクドットの数を表すデータに変換する。この変換は、記録量テーブル記憶部614に予め格納されている、図8(a)に示すような、画像信号Inで指定する濃度値に対応したインクドット数(ドット記録量とする)を保持するルックアップテーブル(LUTと略記する)を用いて行う。記録量決定部613は、かかる変換により導出したドット記録量のデータ(ドット記録量データとする)Dをドット配置決定部616に送る。
【0025】
ハミ出し量設定部615は、記録特性入力端子612を介して画像処理部61に入力された記録特性Cを取得する。記録特性Cには、ドット径と、画素サイズとの2因子が含まれる。ハミ出し量設定部615は、これら2因子に基づきハミ出し量を算出し、ハミ出し量データAをドット配置決定部616に送る。ハミ出し量設定部615における詳しい処理内容は、後述する。
【0026】
ドット配置決定部616には、記録量決定部613により送られたドット記録量データDと、ハミ出し量設定部615により送られたハミ出し量データAとが入力される。ドット配置決定部616は、ドット記録量とハミ出し量とに基づき、画素毎にドットを記録するか否かを決定する(つまり、画素毎に、ドットを記録するか否かを示す2値のデータを生成する)。これにより、各画素が1ビットの値を有するビットマップ形式のドット配置データDoutを生成する。ここで図9に、ドット配置決定部616の詳細な機能構成を示す。本実施形態では、公知の誤差拡散法を用いて、ドット記録量データDに基づきドット配置データDoutを生成する。ドット配置記憶部617には、ドット配置内のドットの分散性を制御可能なドット配置生成手法(具体的には、量子化誤差の拡散係数の組み合わせ)を少なくとも2つ以上保持するためのLUTが格納されている(図10(b)参照)。
【0027】
図10(a)は、図中*で表される量子化対象画素とその画素における量子化誤差の拡散範囲を表す模式図であり、図10(b)に、ドット配置記憶部617に格納されるドット配置生成手法を保持するLUTの一例を示す。本実施形態に係るLUTは、2種類の手法を保持する。2種類の手法とは具体的には、ドットの分散性が高く粒状性を重視した手法と、搬送方向に沿って伸長するスジによりノズル列方向に現れるムラ(「ノズル列方向のスジムラ」とする)を抑制するためにノズル列方向に沿ってドットをクラスタ化する手法である。同一のドット記録量データを入力とし、拡散係数の組み合わせID0を用いて決定したドット配置を図11(a)に、ID1を用いて決定したドット配置を図11(b)に示す。拡散係数の組み合わせID0は対象画素から等方に量子化誤差を拡散する設計となっているため、図11(a)に示すように、ドット間の分散性が高く粒状性に有利な配置となる。一方、拡散係数の組み合わせID1は対象画素から搬送方向に集約して量子化誤差を拡散する設計となっているため、図11(b)に示すように、ノズル列方向に沿ってドットをクラスタ化する。従って、拡散係数の組み合わせID1を用いた場合、ノズル列方向のスジムラに有利な配置となる。
【0028】
最後に、出力データ生成部618は、送られたドット配置データDOutに基づき記録ヘッド駆動用データOutを生成し、該生成した記録ヘッド駆動用データOutを記録部62に送る。
【0029】
画像処理部61で生成された記録ヘッド駆動用データOutは、記録部62に入力される。記録ヘッド制御部586が記録ヘッド駆動用データOutに基づいて記録ヘッド11を制御することで、インクドットを記録媒体12に記録する。図1で示したように、記録部62は、搬送方向と垂直な媒体幅方向の描画領域の全てをカバーするノズル配列を備えた長尺の記録ヘッド11を備える。以上が、本実施形態に係る記録装置のソフトウェア構成の内容である。
【0030】
<画像処理について>
以下、本実施形態に係る画像処理部61により実行される画像処理について、図12を用いて説明する。
【0031】
ステップS1201(以降「ステップS〜」を単純に「S〜」と略記する。)において、記録量決定部613は、画像信号入力端子611を介して入力される画像信号(入力画像信号とする)Inを取得する。画像信号Inとは、例えば画素毎に記録するインクの濃度を表す8ビットグレースケール画像データである。記録量決定部613は、記録量テーブル記憶部614に予め格納されている変換用LUTを参照し、画素毎に信号値をドット記録量に変換することで、8ビット画像データであるドット記録量データDを生成する。図8(a)は、変換用LUTの一例を示す図である。図8(a)に示す通り、変換用LUTは、信号値と、記録するドット数を表すドット記録量との対応関係を保持している。このような変換用LUTは、記録するドット数を変えたチャートの濃度を測定することで、記録するドット数と濃度値との関係を把握し、入力画像における信号値で再現したい濃度値に応じたドット数となるように、予め作成されている。記録量決定部613は、生成したドット記録量データDをドット配置決定部616に送る。
【0032】
S1202において、ハミ出し量設定部615は、記録特性入力端子612を介して入力された記録特性Cを取得する。前述したように、記録特性Cには、記録媒体12上にドットを記録した場合のドット径Rと、画像の印刷品位に基づいて決定される画素サイズPとの情報が含まれる。ハミ出し量設定部615は、これら2つの因子を数値データとして取得する。ドット径Rは、記録媒体12上にドットを定着させた出力チャートを顕微鏡等の測定器を用いて測定し、ドットの直径[um]の平均を算出することで予め導出する。また、画素サイズPは、印刷品位に基づいて決定される記録解像度[dpi]に基づき、1画素辺りの実サイズ[um]を算出することで導出する。これらドット径Rと画素サイズPとに基づき、記録媒体12上でのハミ出し量を、以下の式(1)を用いて算出する。
【0033】
【数1】
【0034】
ハミ出し量設定部615は、算出したハミ出し量の情報(ハミ出し量データA)をドット配置決定部616に送る。尚、上記の例では、ハミ出し量設定部615がドット径と画素サイズとの情報を直接取得する形態について述べたが、ハミ出し量の導出手法は、このような形態に限定されず、ハミ出し量を導出可能な任意の手法を採用して良い。例えば、図6(b)に示すように、記録媒体の種類とドット径との対応関係、及び、印刷品位と画素サイズとの対応関係を保持するLUTをハミ出し量記憶部620に予め格納する構成を採用しても良い。この構成を採用する場合、ドット配置決定部616は、ハミ出し量記憶部620に格納されているLUTを参照して、ユーザが指定する記録媒体の種類や印刷品位に応じたハミ出し量を求めることとなる。
【0035】
S1203において、ドット配置決定部616は、ハミ出し量データAに基づいて、予め備えている複数のドット配置決定手法の中から1つのドット配置決定手法を選択する。そして、ドット配置決定部616は、ドット記録量データDに基づき、選択したドット配置決定手法に従い、ドットを配置するか否かを画素毎に決定していく。最終的に、本ステップによりドット配置データDoutが生成される。尚、S1203の詳細な処理については後述する。
【0036】
S1204において、出力データ生成部618は、ドット配置データDoutに基づいて、記録ヘッド11を制御するための画像データである記録ヘッド駆動用データOutを生成し、該生成した記録ヘッド駆動用データOutを記録部62に送る。記録ヘッド制御部586は、出力データ生成部618により送られた記録ヘッド駆動用データOutに基づき、記録ヘッド11を制御するための駆動信号を生成する。以上が、本実施形態に係る画像処理の内容である。
【0037】
<ドット配置決定処理の詳細について>
以下、本実施形態に係るドット配置決定処理(図12のS1203)の詳細について、図13(a)を用いて説明する。
【0038】
S1301において、ドット配置決定部616は、ドット記録量データDを取得する。S1301より後のS1303からS1315の処理は、ドット記録量データにおける画素毎に行い、全画素に対する処理を終えるまで繰り返す。ここで行う画素毎の処理とは量子化処理を含む処理であり、前述の通り、誤差拡散法を用いて行う。
【0039】
誤差拡散法の概要について述べる。画像処理部61は、入力値と量子化値との間の誤差を保持するためのメモリ(誤差バッファメモリとする)を備える。誤差拡散法では、選択した画素の入力値と周囲の画素からの誤差値とを加算することで得た値と、閾値とを比較することで、該入力値を、ドットを記録するか否かの2値に量子化する。この量子化の際に発生する、入力値と量子化値との間の差(量子化誤差とする)に、ドット配置記憶部617に格納されているLUTで保持する拡散係数を掛け合わせることで、周囲の画素の誤差値を更新する。以下、本実施形態の詳細な処理を述べる。
【0040】
S1303において、ドット配置決定部616は、取得したドット記録量データにおいて量子化処理を終えていない画素の中から1つの画素を選択する。ここで選択する画素を「注目画素」と呼ぶ。ドット配置決定部616は、ドット記録量データに基づき、注目画素に対する、ドットの記録量を表す入力値を取得する。さらに、ドット配置決定部616は、誤差バッファメモリを用いて注目画素位置における誤差を取得し、また、量子化に用いる閾値(量子化閾値とする)も取得する。
【0041】
S1305において、ドット配置決定部616は、入力値と周囲の画素からの誤差とを加算した値と、量子化閾値とを比較し、比較結果に応じて該入力値を2値化する量子化処理を行う。具体的には、加算後の値が量子化閾値以上の場合、注目画素に対するドット記録データを、ドットを記録することを表す値(本例では1)とする。一方、加算後の値が量子化閾値よりも小さい場合、注目画素に対するドット記録データを、ドットを記録しないことを表す値(本例では0)とする。さらに、ドット配置決定部616は、入力値のレンジに変換したドット記録データと入力値(ドット記録量)との間の差分値を、量子化誤差として算出する。
【0042】
S1307において、ドット配置決定部616は、ドットの記録量とスジ発生レベルとの間の対応関係を保持するLUTを用いて、ドットの記録量を表す入力値に対応するスジ発生レベルVを導出する。ドットの記録量とスジ発生レベルとの間の対応関係を保持するLUTの一例として、特許文献1の図15に示されるようなグラフがある。このようなドットの記録量とスジ発生レベルとの間の対応関係を保持するLUTが、ドットの記録量を変えたチャートを粒状性重視のドット配置決定手法(ID0)で作成し、該作成したチャートを印刷した出力物を目視評価することで、予め作成されている。
【0043】
S1309〜S1313では、ドット配置決定部616は、S1307で導出したスジ発生レベルVとS1202で算出したハミ出し量Aとに基づき、複数のドット配置決定手法の中から1つのドット配置決定手法を選択する。詳しく説明すると、まずS1309において、ドット配置決定部616は、スジ発生レベルVと予め保持する閾値Vthとの大小関係、及び、ハミ出し量Aと予め保持する閾値Athとの大小関係を判定、具体的には、V>VthかつA>Athを満たすか判定する。S1309の判定結果が真の場合、S1313に進む。一方、S1309の判定結果が偽の場合、S1311に進む。
【0044】
S1309で用いる閾値Vthは、例えば特許文献1の図15に記載されているように、出力物に対する目視評価に基づき、具体的には、スジを許容できるか否かの許容限界に基づいて設定される。つまり、スジ発生レベルVが閾値Vthより大きい場合に、スジが目視されるレベルで発生する可能性が高くなるように、閾値Vthは設定される。これに対し、閾値Athは、ドットをクラスタ化した場合にドットが接触するか否かに基づき設定される。つまり、ドットをクラスタ化した時にスジムラ抑制効果が期待できるハミ出し量が閾値Athより大きくなるように、閾値Athは設定される。
【0045】
S1309の判定結果が偽、つまり、V≦VthまたはA≦Ath(スジ発生レベルが所定の閾値以下またはハミ出し量が所定の閾値以下)を満たす場合、スジムラが発生しない、または、スジムラ抑制効果が期待できないとみなされる。この場合、処理はS1311に進み、ドット配置決定部616は、ドット配置決定手法として、図10(b)に符号ID0で示すような、ドットを高分散に配置する誤差拡散係数の組み合わせを選択する。
【0046】
S1309の判定結果が真、つまり、V>VthかつA>Athを満たす場合、スジムラが発生し易く、かつ、スジムラ抑制効果が期待できるとみなされる。この場合、処理はS1313に進み、ドット配置決定部616は、ドット配置決定手法として、図10(b)に符号ID1で示すような、ドットをクラスタ化する誤差拡散係数の組み合わせを選択する。このように、スジムラが発生するか否か(VとVthとの大小関係)のみでなく、ハミ出し量に基づきスジムラ抑制効果が期待できるか(AとAthとの大小関係)を判定した上でドット配置決定手法を決定する。その結果、スジムラ抑制効果が弱いドット径を用いる記録条件において、粒状性が必要以上に低下することを防止できる。
【0047】
S1315において、ドット配置決定部616は、S1305で生じた量子化誤差について、S1311又はS1313で取得した誤差拡散係数の組み合わせを用いて、該量子化誤差を注目画素の周辺画素に拡散させるように誤差バッファメモリを更新する。
【0048】
ドット配置決定部616は、以上説明したS1303〜S1315の処理を画素毎に行うことで、全画素においてドット記録量を量子化したドット配置データDoutを生成し、該生成したドット配置データDoutを出力データ生成部618に送る。以上が、本実施形態に係るドット配置決定処理の内容である。
【0049】
<本実施形態の効果、変形例について>
以上説明したように、本実施形態では、予めドット径と画素サイズとに基づきハミ出し量を推定し、該推定したハミ出し量に基づきスジムラ抑制効果の度合いを見積もる。そして、この見積もりに基づいてドット配置決定手法を選択する。このような構成にすることで、スジムラが抑制されにくい領域において、粒状性が必要以上に低下してしまうことを防止することが可能となる。
【0050】
<<ドット径が異なる複数種類のドットを記録可能なケース>>
前述の例では、1種類のドットを記録可能な記録装置を用いたが、記録装置の構成は前述のものに限定されない。例えば、ピエゾ方式の記録ヘッド11を用い、ドット径がそれぞれ異なる複数種類のドットを各ノズルが記録可能な記録装置であっても良い。但し、このような記録装置に本実施形態を適用する場合、図7(a)に示すように複数種類のドットを記録可能な記録装置に対応した画像処理部を用いる必要がある。この画像処理部の構成については、前述した画像処理部(図6(a)参照)と同一のため説明を省略するが、各構成要素における詳細な動作が前述の形態と若干異なるため、以下で説明する。
【0051】
記録装置が複数種類のドットを記録可能な場合、記録量テーブル記憶部614において、図8(b)に例示するような、入力された画像信号値に対応する濃度を実現可能な、ドット径毎のドット記録量の組み合わせを保持するLUTが格納されている。このLUTは、前述の実施形態と同様に、記録するドット数と吐出量とを変化させたチャートを記録装置で印刷して得た出力物の濃度を測定すること等により、予め作成されている。
【0052】
さらに、ハミ出し量設定部615において、ドット径毎にハミ出し量を算出する。ドット配置決定部616は、ドット径毎のドット記録量とハミ出し量とに基づき、ドット径毎のドット配置を決定する(ドット径毎のドット配置データDout1、Dout2を生成する)。出力データ生成部618は、ドット径毎のドット配置データに基づき、ドット径毎の記録ヘッド駆動用データOut1、Out2(1ビット2プレーンのデータ)を生成する。尚、出力データ生成部618がドット径毎の記録ヘッド駆動用データを生成するのではなく、ドット径毎のドット配置を合成して、2ビット1プレーンの記録ヘッド駆動用データを生成するような形態も考えられる。
【0053】
<<記録特性が経時変化するケース>>
前述の例では、記録特性として、ドット径と画素サイズといった2因子を取得したが、用いる記録特性はこれらに限定されない。例えば、吐出量はノズル毎に経時的に変化する。この経時変化によって予め想定されている吐出量との間で差異が生じる結果、理論上のハミ出し量と実際のハミ出し量との間で差異が発生し、スジムラの抑制度合いの見積もりを誤ることがある。このような課題を解決するための形態を以下に示す。
【0054】
一例として、画像処理部61は、実際に画像を記録する前にテストチャートを出力し、その出力物をスキャンすることでノズル毎のドット径の変化量を導出する変化量導出部を備えていても良い。この変化量導出部では、スキャン画像を測定して得た濃度値に基づきノズル毎の吐出変動量を推定し、該推定した吐出変動量を用いて、ノズル毎にドット径の変化量ΔR[um]を算出する。変化量導出部で算出されたノズル毎のドット径の変化量は、ドット配置決定部に入力される。その後、ドット配置決定部において、画像データとノズルとの対応関係を用いて、注目画素に対応するノズルのドット径の変化量を取得し、ハミ出し量を補正する。ここで図13(b)に、ノズル毎のドット径の変化量を考慮する場合のドット配置決定処理のフローチャート示す。図13(b)に示すフローは、図13(a)に示した経時変化を考慮しない場合のフローと比べると、S1306−1の処理が存在する点で相違する。
【0055】
S1306−1において、ノズル毎のドット径の変化量に基づき、ハミ出し量を補正する。詳しく説明すると、まず量子化処理を行う対象として選択した画素(注目画素)に対応するノズルを特定し、該特定したノズルのドット径の変化量ΔR[um]を取得する。そして、取得したドット径の変化量ΔR[um]とハミ出し量Aとに基づき、以下の式(2)を用いて、補正後のハミ出し量A’を算出する。
【0056】
【数2】
【0057】
以上述べた通り、予め把握している印字特性(解像度、ドット径)に加え、経時的に変化するノズル毎の吐出変動量も考慮することで、より正確なハミ出し量を求めることが可能となる。
【0058】
<<拡散係数の組み合わせがドット記録量毎に異なるケース>>
前述の例では、ドット配置決定手法として、2種類の拡散係数の組み合わせを予め保持する形態を述べたが、拡散係数の保持形態はこれに限定されない。拡散係数はドット間距離の平均に基づいて設計するのが望ましく、より好適には、例えば図10(d)に示すように、ドット記録量とハミ出し量Aとの組み合わせ毎に保持することが望ましい。また、前述の例では、ドットを高分散に配置する拡散係数の組み合わせと、ドットをクラスタ化する拡散係数の組み合わせとの2種類を保持する形態について述べたが、拡散係数の保持形態はこれに限定されない。保持する拡散係数の組み合わせは3種類以上であっても良く、例えば分散性とクラスタ化とを調整した中間的な特性を実現する拡散係数の組み合わせを加えた、3種類の拡散係数の組み合わせを保持しても良い。
【0059】
<<ハミ出しの方向を考慮してハミ出し量を算出するケース>>
前述の例では、ドット径として、ドットの直径の平均を用いる形態を述べたが、用いるドット径はこれに限定されない。前述した通り、スジが伸長する方向と直交する方向(つまり、ムラが現れる方向)に沿って、ドットをクラスタ化させることがスジムラ抑制に有効であるため、より好適にはスジが伸長する方向と直交する方向のドット径を用いることが望ましい。そのため、ドット形状が、角度に寄らず直径が一定となる真円に近ければ、ドットの直径の平均を用いても良いが、例えば、楕円のように角度毎に径が異なる場合には、スジが伸長する方向と直交する角度のドット径を用いることが望ましい。
【0060】
具体的な一例としては、ドットの直径の平均の代わりに、角度毎のドット径の情報を予め保持し、記録特性としてスジが伸長する方向の角度を取得し、該取得した角度と直交する角度のドット径に基づいて、ハミ出し量Aを算出するような形態が考えられる。
【0061】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、記録装置58が、記録媒体12上にインクのみを吐出する形態について説明した。ところで、商業印刷向けのインクジェットプリンタの中には、画像を記録するための有色インクのみでなく、有色インクの定着性を向上させるために、記録媒体12上のドットの滲みを化学反応によって制御する反応インクを先駆けて吐出する物が存在する。このようなインクジェットプリンタにおいて、より正確なハミ出し量を求めるためには、反応インクによるドットの滲みを考慮する必要がある。そこで、本実施形態では、有色インクに先んじて吐出される反応インクの記録データに基づいて、記録媒体12上の領域毎にハミ出し量Aを算出する。
【0062】
以下、本実施形態に係る画像処理部61の機能構成について、図7(b)を用いて説明する。尚、以下では主に、第1の実施形態と異なる点を説明し、第1の実施形態と同様の内容については、説明を簡略化または省略する。
【0063】
図7(b)に示すように、本実施形態に係る画像処理部61は、図6(a)で示した第1の実施形態に係る画像処理部の構成要素に加え、反応インク信号の入力端子621を備える。入力端子621を介して取得される反応インク信号Gは、ドット配置決定部616に入力される。反応インク信号とは具体的には、入力画像と同一の画素数のビットマップ形式画像データであり、各画素は、反応インクが打たれるか否かを示す1ビットデータで表現される。ここで図13(c)に、反応インク信号を取得する場合のドット配置決定処理のフローチャートを示す。図13(c)に示すフローは、図13(a)に示したフローと比べると、S1306−2の処理が存在する点で相違する。
【0064】
S1306−2において、反応インク信号に基づき、ハミ出し量を補正する。詳しく説明すると、まず量子化処理を行う対象として選択した画素(注目画素)に対応する反応インク信号における画素値に基づき、注目画素における有色インクと反応インクとの接触の有無を判定する。そして、有色インクと反応インクとが接触する場合には、予め保持されている反応インクによるドット径の変化量ΔR[um]に基づき、ハミ出し量Aを補正する。一方で、有色インクと反応インクとが接触しない場合には、ハミ出し量の補正を行わない。尚、本ステップにおけるハミ出し量の補正手法は、第1の実施形態の変形例に記載されている、ノズル毎の吐出量が経時的に変化する場合と同様のため、説明を省略する。
【0065】
このように本実施形態では、ドット径と画素サイズに加え、有色インクと反応インクとの接触の有無を考慮して、記録する画像の画素毎のハミ出し量を推定し、該推定したハミ出し量に基づきスジムラ抑制効果の度合いを見積もる。そして、この見積もりに基づいてドット配置決定手法を選択することで、スジムラが抑制されにくい領域における粒状性を向上させることができる。
【0066】
<本実施形態の効果、変形例について>
以上説明したように、本実施形態により、有色インクに先んじて反応インクを吐出する記録装置で記録する場合に、スジムラが抑制されにくい領域において、粒状性が必要以上に低下してしまうことを防止することが可能となる。
【0067】
尚、前述の例では、入力される画像信号と同一の画素数の反応インク信号を取得する形態について述べたが、反応インク信号の画素数はこれに限定されない。好適には、反応インクの記録媒体12上での滲みを考慮するために、より高解像度な反応インク信号を用い、よりミクロな領域で反応インクとの接触の有無を判定することが望ましい。
【0068】
また、本実施形態と第1の実施形態とを、適宜組み合わせて用いても良い。
【0069】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0070】
11 記録ヘッド
61 画像処理部
611 入力端子
613 記録量決定部
615 ハミ出し量設定部
616 ドット配置決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13