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特開2020-79767放射線撮像装置及びその製造方法、並びに、放射線撮像システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-79767(P2020-79767A)
(43)【公開日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】放射線撮像装置及びその製造方法、並びに、放射線撮像システム
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20200501BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20200501BHJP
【FI】
   G01T1/20 L
   A61B6/00 300Q
   G01T1/20 E
   G01T1/20 G
   G01T1/20 D
   G01T1/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-213680(P2018-213680)
(22)【出願日】2018年11月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】市村 知昭
(72)【発明者】
【氏名】猿田 尚志郎
(72)【発明者】
【氏名】竹中 克郎
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
【Fターム(参考)】
2G188AA03
2G188AA27
2G188BB02
2G188BB04
2G188BB05
2G188BB06
2G188CC15
2G188CC16
2G188CC17
2G188CC18
2G188CC22
2G188CC25
2G188DD05
2G188DD12
2G188DD28
2G188DD33
2G188DD35
2G188DD42
2G188DD43
2G188DD44
2G188DD47
2G188EE07
2G188EE29
2G188EE36
2G188FF15
4C093AA01
4C093CA38
4C093EB12
4C093EB16
4C093EB17
4C093EB20
4C093FC01
(57)【要約】
【課題】基板に形成された凹部にシンチレータを配置する放射線撮像装置において、機械的強度の向上を実現する仕組みを提供する。
【解決手段】放射線401が入射する側に位置する第1の面102に、光を電気信号に変換する画素が複数設けられており、第1の面102とは反対側に位置する第2の面103に凹部104が設けられたセンサ基板101と、凹部104に設けられ、放射線401を光に変換するシンチレータ111と、センサ基板101の第2の面103及びシンチレータ111に対して、接着層112を介して接着された基板113を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線が入射する側に位置する第1の面に、光を電気信号に変換する画素が複数設けられており、前記第1の面とは反対側に位置する第2の面に凹部が設けられたセンサ基板と、
前記凹部に設けられ、前記放射線を前記光に変換するシンチレータと、
前記第2の面および前記シンチレータに対して、接着層を介して接着された基板と、
を有することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項2】
前記シンチレータは、前記凹部の底部および側部に設けられており、
前記基板は、前記接着層を介して、前記第2の面における前記凹部を除く頂部の少なくとも一部および前記シンチレータに接着されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像装置。
【請求項3】
前記センサ基板において前記第1の面の側に設けられ、前記放射線を前記光に変換する前記シンチレータとは別のシンチレータを更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線撮像装置。
【請求項4】
複数の前記画素は、
前記シンチレータで変換された光および前記別のシンチレータで変換された光を前記電気信号に変換する第1の画素と、
前記シンチレータで変換された光を前記電気信号に変換する第2の画素と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の放射線撮像装置。
【請求項5】
前記第2の画素は、前記別のシンチレータとの間に、当該別のシンチレータで変換された光を遮光する遮光層を備えることを特徴とする請求項4に記載の放射線撮像装置。
【請求項6】
前記接着層は、ホットメルト樹脂の層であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
【請求項7】
前記接着層は、白色の層であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
【請求項8】
複数の前記画素の動作を制御する制御部と、
複数の前記画素から出力される前記電気信号を処理する信号処理部と、
を更に有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の放射線撮像装置と、
前記放射線を照射する放射線源と、
を有することを特徴とする放射線撮像システム。
【請求項10】
入射した放射線を電気信号として取得する放射線撮像装置の製造方法であって、
前記放射線が入射する側に位置する第1の面に、光を前記電気信号に変換する画素が複数設けられており、前記第1の面とは反対側に位置する第2の面に凹部が設けられたセンサ基板を準備する工程と、
前記凹部に、前記放射線を前記光に変換するシンチレータを形成する工程と、
前記第2の面および前記シンチレータに対して、接着層を介して基板を接着する工程と、
を有することを特徴とする放射線撮像装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮像装置及びその製造方法、並びに、放射線撮像システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療画像診断や非破壊検査において、放射線撮像パネルとしてフラットパネルディテクタ(FPD)を用いた放射線撮像装置が広く使用されている。この放射線撮像装置は、主に、入射した放射線を直接電気信号に変換する直接変換型と、入射した放射線をシンチレータで光に変換した後にこの光を電気信号に変換する間接変換型と、に分類することができる。間接変換型の放射線撮像装置では、シンチレータとして針状結晶を形成するタリウム賦活ヨウ化セシウム蛍光体を用いることが、高い空間分解能を得る上で有利である。なお、タリウム賦活ヨウ化セシウム蛍光体を形成する方法としては、予め別の支持体上に形成し防湿保護処理されたものをセンサ基板に貼りつける間接型形成方法と、センサ基板上に直接蒸着形成する直接型形成方法が知られている。高い空間分解能を得る上では、直接型形成方法が有利である。
【0003】
例えば、特許文献1では、放射線の入射側に光電変換素子が形成され、基板の入射側とは反対側の面に凹部を形成して基板の厚みを薄くし、この凹部にシンチレータを形成することにより、基板による放射線の吸収を抑えて感度を向上させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5604323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
具体的に、特許文献1には、収容基板において放射線が入射する側とは反対側の面に形成された凹部にシンチレータを配置し、当該凹部の開口を閉塞すべく収容基板の厚板部に対して接着部を介して支持基板等を接着させた放射線画像検出装置が提案されている。しかしながら、特許文献1に記載の放射線画像検出装置では、この接着に関する装置の機械的強度が不十分であるため、例えば外部応力が加わった際に機械的な破壊を招く恐れがあった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、基板に形成された凹部にシンチレータを配置する放射線撮像装置において、機械的強度の向上を実現する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の放射線撮像装置は、放射線が入射する側に位置する第1の面に、光を電気信号に変換する画素が複数設けられており、前記第1の面とは反対側に位置する第2の面に凹部が設けられたセンサ基板と、前記凹部に設けられ、前記放射線を前記光に変換するシンチレータと、前記第2の面および前記シンチレータに対して、接着層を介して接着された基板と、を有する。
また、本発明は、上述した放射線撮像装置の製造方法を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板に形成された凹部にシンチレータを配置する放射線撮像装置において、機械的強度の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る放射線撮像装置を含む放射線撮像システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る放射線撮像装置の放射線撮像パネルにおける概略構成の一例を示す図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る放射線撮像装置の放射線撮像パネルにおける概略構成の一例を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る放射線撮像パネルにおいて、空間周波数によるDQEの変化を示す測定結果の図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る放射線撮像装置の放射線撮像パネルにおける概略構成の一例を示す図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る放射線撮像装置で得られる骨分離画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。この際、以下の説明及び図面においては、複数の図面に渡って共通する構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。また、本発明における放射線には、放射線崩壊によって放出される粒子(光子を含む)の作るビームであるα線、β線、γ線などの他に、同程度以上のエネルギーを有するビーム、例えばX線や粒子線、宇宙線なども含みうる。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮像装置100を含む放射線撮像システム10の概略構成の一例を示す図である。この放射線撮像システム10は、放射線401で形成される検査対象Tの光学像を電気的に撮像し、電気的な放射線画像(即ち、放射線画像データ)を得るように構成されている。具体的に、放射線撮像システム10は、図1に示すように、放射線撮像装置100、コンピュータ200、曝射制御装置300、及び、放射線源400を有して構成されている。
【0013】
放射線源400は、曝射制御装置300からの曝射指令に従って、放射線401の照射を開始する。放射線源400から放射された放射線401は、検査対象Tを透過して放射線撮像装置100に入射する。また、放射線源400は、曝射制御装置300からの停止指令に従って、放射線401の照射を停止する。
【0014】
放射線撮像装置100は、放射線401を用いて検査対象Tの放射線画像を撮像する装置である。この放射線撮像装置100は、図1に示すように、放射線撮像パネル110、放射線撮像パネル110を制御するための制御部120、及び、放射線撮像パネル110から出力される信号を処理するための信号処理部121を有して構成されている。この際、図1に示す例では、信号処理部121が制御部120の内部に設けられている場合を例示しているが、本実施形態においてはこの態様に限定されるものではない。例えば、信号処理部121が制御部120の外部に別構成として設けられている態様も、本実施形態に適用可能である。
【0015】
放射線撮像パネル110は、入射した放射線401(検査対象Tを透過した放射線401を含む)に応じた画像信号を生成する。この画像信号に基づき、上述した放射線画像が取得される。
【0016】
制御部120は、放射線撮像装置100の動作を制御するとともに、各種の処理を行う。この制御部120は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのPLD(Programmable Logic Device)や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラムが組み込まれた汎用コンピュータ、または、これらの全部または一部の組み合わせによって構成されうる。
【0017】
信号処理部121は、例えば、放射線撮像パネル110から出力された画像信号をA/D変換し、これをコンピュータ200に放射線画像データとして出力しうる。また、信号処理部121は、例えば、放射線撮像パネル110から出力された画像信号に基づいて、放射線源400からの放射線401の照射停止を行うための停止信号を生成してもよい。この場合、停止信号は、コンピュータ200を介して曝射制御装置300に供給され、曝射制御装置300は、この停止信号に応答して放射線源400に対して停止指令を送る。
【0018】
コンピュータ200は、放射線撮像システム10の動作を統括的に制御するとともに、各種の処理を行う。コンピュータ200は、例えば、放射線撮像装置100及び曝射制御装置300の制御や、放射線撮像装置100から放射線画像データを受信し、放射線画像として表示するための処理を行いうる。また、コンピュータ200は、例えば、ユーザが放射線画像の撮像条件を入力するための入力部としての機能も備える。
【0019】
曝射制御装置300は、曝射スイッチを有して構成されている。曝射制御装置300は、ユーザがこの曝射スイッチをオンにすると、曝射指令を放射線源400に送信するとともに、放射線401の放射開始を示す開始通知をコンピュータ200に送信する。この開始通知を受信したコンピュータ200は、開始通知に応答して、放射線401の照射開始を放射線撮像装置100の制御部120に通知する。放射線撮像装置100の制御部120は、この通知に応じて、放射線撮像パネル110に対して入射する放射線401に応じた画像信号の生成を行わせる。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮像装置100の放射線撮像パネル110における概略構成の一例を示す図である。具体的に、図2では、図1に示す放射線401の入射方向における放射線撮像パネル110の断面図を示している。以降の説明においては、この図2に示す第1の実施形態に係る放射線撮像パネル110を「放射線撮像パネル110−1」として説明する。また、図2では、図1に示す放射線401として、例えばX線を適用しうる。
【0021】
放射線撮像パネル110−1は、図2に示すように、センサ基板101、シンチレータ111、接着層112、補強基板113、及び、接続端子部114を有して構成されている。また、図2では、センサ基板101において、放射線401が入射する側に位置する第1の面102と、放射線401が入射する側とは反対側に位置する第2の面103を図示している。
【0022】
センサ基板101は、第1の面102に、有効画素領域105及びダミー画素領域106が設けられており、第1の面102とは反対側に位置する第2の面103に凹部104が設けられている第1の基板である。有効画素領域105には、シンチレータ111で放射線401から変換された光に応じた電気信号を生成する光電変換素子をそれぞれ含む複数の画素が、2次元アレイ状(例えば、行列状)に配置されている。本実施形態では、例えば、大きさが550mm×445mm程度のセンサ基板101に対して、有効画素領域105及びダミー画素領域106として3300画素×2800画素の画素が設けられている。具体的に、本実施形態では、この3300画素×2800画素のうち、外周に配置された10画素の領域をダミー画素領域106とし、その内側に配置された3280画素×2780画素の領域を有効画素領域105として構成しうる。なお、本実施形態においては、センサ基板101に設ける画素の数や有効画素領域105に設ける画素の数は、センサ基板101の大きさや検査対象Tなどに応じて、適宜設定しうる。
【0023】
また、有効画素領域105には、さらにそれぞれの画素で生成される電気信号を取り出すための列信号線や、有効画素領域105のそれぞれの画素に含まれる各素子を駆動するための行信号線などが設けられている。また、これらの列信号線や行信号線は、それぞれ、読出回路基板や駆動回路基板とフレキシブル配線基板などを介して、電気的に接続されうる。また、本実施形態では、列信号線及び行信号線と、読出回路基板及び駆動回路基板との接続を行うために、センサ基板101の第1の面102上には、接続端子部114が設けられている。本実施形態では、この接続端子部114を介して、有効画素領域105のそれぞれの画素で生成された電気信号が、画像信号として放射線撮像パネル110から出力される。
【0024】
上述した例では、読出回路基板及び駆動回路基板が放射線撮像パネル110の外部に配置される例を説明したが、読出回路基板及び駆動回路基板が放射線撮像パネル110の一構成として配置される形態であってもよい。この形態の場合であっても、センサ基板101には接続端子部114が設けられ、有効画素領域105のそれぞれの画素で生成された電気信号は、接続端子部114を介して放射線撮像パネル110から出力されうる。例えば、本実施形態では、有効画素領域105及びダミー画素領域106を含む複数の画素の動作は、図1に示す制御部120によって行われる。また、例えば、本実施形態では、有効画素領域105及びダミー画素領域106を含む複数の画素から出力される電気信号は、図1に示す信号処理部121によって処理される。
【0025】
放射線撮像パネル110−1では、上述したように、センサ基板101の第2の面103に、凹部104が形成されている。図2では、この凹部104を構成する具体的な部分として、凹部の頂部1041、凹部の側部1042及び凹部の底部1043を図示している。この際、凹部の頂部1041は、「センサ基板101の第2の面103における凹部104を除く頂部」と定義することもできる。そして、図2に示す例では、放射線撮像パネル110−1は、凹部104の形状に沿って凹部104を埋め込むように、凹部の底部1043及び凹部の側部1042にシンチレータ111が形成されている。
【0026】
シンチレータ111は、上述したようにセンサ基板101の第2の面103に形成された凹部104に設けられ、入射した放射線401を光に変換する蛍光体である。
【0027】
補強基板113は、センサ基板101の第2の面103(具体的には、凹部の頂部1041の少なくとも一部)及びシンチレータ111に対して、接着層112を介して接着された第2の基板である。この補強基板113は、凹部104にシンチレータ111を設けたセンサ基板101を含む放射線撮像パネル110−1を支持し補強するための基板である。本実施形態においては、センサ基板101の第2の面103のみならずシンチレータ111に対しても、接着層112を介して補強基板113を接着させる形態を採る。この形態を採ることにより、例えばセンサ基板101の第2の面103のみに対して接着層112を介して補強基板113を接着させる場合と比較して、放射線撮像パネル110−1の機械的強度の向上を実現することができる。
【0028】
次に、第1の実施形態に係る放射線撮像パネル110−1の製造方法について説明する。
【0029】
まず、放射線撮像パネル110−1の製造では、例えば、センサ基板101の母材として、大きさが550mm×445mm程度で厚みが500μm程度の無アルカリガラス基板を用意する。次いで、このガラス基板の一方の面に、成膜工程、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を繰り返し行うことにより、可視光を電荷(電気信号)に変換する光変換素子と、当該電気信号を出力するスイッチング素子と、を含む画素が行列状に複数設けられた画素領域(有効画素領域105及びダミー画素領域106)を形成してセンサ基板101を形成するとともに、センサ基板101の第1の面102にそれぞれの画素で生成された電気信号を外部に出力するための複数の接続端子部114を形成する。
【0030】
このようにして、センサ基板101及び接続端子部114を形成した後、有効画素領域105に形成された画素の動作をチェックするためのアレイ検査を実施する。
【0031】
このアレイ検査において、画素の動作が良好であって欠損した画素が無いことが確認されると、まず、接続端子部114を保護する目的でセンサ基板101の周辺部分をマスキングフィルムでマスキングする。次いで、センサ基板101の第1の面102に、有効画素領域105のフッ酸エッチングからの保護を目的として、微粘着の樹脂フィルムを転写する。
【0032】
続いて、センサ基板101の第2の面103に、凹部の底部1043を形成するためのマスクパターンを形成する。具体的に、本実施形態では、まず、センサ基板101の第2の面103を上側にしてスピンコータにセットし、フォトレジストを塗布する。次いで、フォトレジストによって覆われたセンサ基板101をUV露光台に載置し、所定のフォトマスクを用いて露光する。ここで、フォトマスクは、センサ基板101の第2の面103に対する正射影において、センサ基板101の有効画素領域105よりも広い領域が開口されたものである。これによって、後工程において凹部の底部1043を含む領域に形成されるシンチレータ111が、確実に有効画素領域105を覆うように形成することが可能となる。露光後、炭酸ナトリウム水溶液にセンサ基板101を浸漬することによってフォトレジストの現像を行い、次いで、純水リンス洗浄後に乾燥を行う。なお、本実施形態において、マスクパターンの形成はこの態様に限定されるものではない。例えば、レジストフィルムを用いてフォトリソグラフィを行う方法で形成する態様でもよく、また、パターンが単純であるため、保護フィルムを転写して所望の領域を切断剥離する方法で形成する態様でもよい。この態様の場合、フォトレジスト工程は不要となるため、大幅にコストを下げることが可能である。
【0033】
続いて、マスクパターンが形成されたセンサ基板101を10%のフッ酸溶液に浸漬する。例えば、この際の浸漬時間は予め算出したエッチングレートよって決定し、所望の厚さまでエッチングを行う。例えば、本実施形態では400μmのエッチングを行うため、センサ基板101の第1の面102と凹部の底部1043との厚みは100μm程度である。次いで、エッチング後、純水を用いてセンサ基板101を十分にリンスし、更にレジスト剥離液に浸漬させてマスクパターンを剥離する。
【0034】
続いて、センサ基板101の第1の面102に貼り付けた樹脂フィルム剥離し、凹部104を有するセンサ基板101を形成する。このようにして、センサ基板101を準備する。
【0035】
続いて、凹部104の形状に沿って凹部104を埋め込むように、凹部の底部1043及び凹部の側部1042にシンチレータ111を形成する。具体的に、本実施形態では、まず、センサ基板101に周辺部分を覆う蒸着マスクをセットした後、凹部104が蒸着面となるようにセンサ基板101を蒸着装置に載置する。次いで、Tl濃度がCsIに対して1mol%程度となるようにヨウ化セシウム(CsI)とヨウ化タリウム(TlI)を共蒸着し、膜厚350μm程度のシンチレータ111を形成する。この際、蒸着の性質上、原材料の粒子は拡散しながら対象物に付着するため、蒸着マスクの外部にも蛍光体材料が付着し、その結果、凹部の底部1043のみならず凹部の側部1042にもシンチレータ111が形成される。また、本実施形態においては、シンチレータ111の外縁は、有効画素領域105の外縁よりも外側に位置する。
【0036】
このままの状態では、センサ基板101の凹部の底部1043にシンチレータ111の全重量がかかり破損する恐れがあるため、放射線撮像パネル110−1の補強のために、補強基板113を配置する。具体的に、本実施形態では、まず、補強基板113として、センサ基板101と同じ材質で厚みが0.5mmの無アルカリガラス基板を用意する。次いで、補強基板113として用意した無アルカリガラス基板を熱転写装置に載置し、この補強基板113上に、例えば接着層112として厚みが30μm程度のホットメルト樹脂の層を熱転写し、接着層112が付着した補強基板113を用意する。
【0037】
ここでは、接着層112として一種類の接着層(ホットメルト樹脂の層)を用いる例を説明したが、本実施形態においてはこれに限定されるものではなく、例えばシンチレータ111と凹部の頂部1041の各々に適した複数の接着層を用いてもよい。また、本実施形態においては、接着層112を着色する形態も採りうる。本実施形態においては、例えば接着層112を白色の層として着色する形態を採ることが好適である。例えば、接着層112を酸化チタンやアルミナ等により白色に着色した場合、シンチレータ111で生じた光のうち、有効画素領域105に向かう方向とは異なる方向に進む光を反射することにより、シンチレータ111で生じた光を効率的に利用することができる。これにより、放射線撮像パネル110−1の感度を向上させることができる。また、本実施形態においては、補強基板113は、シンチレータ111の蛍光体を水分から保護する防湿保護層としての機能も兼ね備えているものとする。この場合、接着層112の厚みは、100μm以下であることが好ましい。
【0038】
続いて、シンチレータ111が凹部104に形成されたセンサ基板101を熱転写装置に載置する。次いで、接着層112がセンサ基板101の第2の面103における凹部の頂部1041及びシンチレータ111と接するように熱転写することにより、センサ基板101及びシンチレータ111に対して補強基板113を貼り合わせて接着する。これにより、センサ基板101の凹部104における補強を行うことができる。この際、本実施形態においては、接着層112は、図2に示すセンサ基板101の凹部の頂部1041及びシンチレータ111のみならず、センサ基板101の凹部の側部1042における一部の領域にも接着されていてもよい。
【0039】
その後、接続端子部114に異方性導電フィルムを介して配線材や駆動基板類を接続することによって、本実施形態における放射線撮像パネル110−1を形成する。
【0040】
そして、本実施形態における放射線撮像パネル110−1に駆動系をセットし、RQA5の線質条件でMTFとDQEの測定を行ったところ、2lp/mmでのMTFは0.35、DQEは0.42であった。このことから、本実施形態における放射線撮像パネル110−1では、高いMTF及びDQEが得られる結果、十分に信頼性の高い高性能な放射線撮像パネルを実現することが可能である。
【0041】
上述したように、本実施形態における放射線撮像パネル110−1では、接着層112を介して補強基板113を、センサ基板101の第2の面103及びシンチレータ111に対して接着するようにしている。
かかる構成によれば、例えばセンサ基板101の第2の面103のみに対して接着層112を介して補強基板113を接着させる場合と比較して、放射線撮像パネル110の機械的強度の向上を実現することができる。これにより、十分に信頼性の高い高性能な放射線撮像パネル110を実現することが可能である。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第2の実施形態の説明では、上述した第1の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1の実施形態と異なる事項について説明を行う。
【0043】
第2の実施形態に係る放射線撮像システムの概略構成は、上述した図1に示す第1の実施形態に係る放射線撮像システム10の概略構成と同様である。このため、第2の実施形態に係る放射線撮像装置の概略構成は、上述した図1に示す第1の実施形態に係る放射線撮像装置100の概略構成と同様となる。
【0044】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る放射線撮像装置100の放射線撮像パネル110における概略構成の一例を示す図である。この図3では、図2と同様に、図1に示す放射線401の入射方向における放射線撮像パネル110の断面図を示している。以降の説明においては、この図3に示す第2の実施形態に係る放射線撮像パネル110を「放射線撮像パネル110−2」として説明する。また、図3では、図1に示す放射線401として、例えばX線を適用しうる。
【0045】
放射線撮像パネル110−2は、図3に示すように、センサ基板101、シンチレータ111、接着層112、補強基板113、接続端子部114、シンチレータ115、及び、反射層116を有して構成されている。また、図3では、センサ基板101において、放射線401が入射する側に位置する第1の面102と、放射線401が入射する側とは反対側に位置する第2の面103と、第2の面103に形成された凹部104を図示している。さらに、図3では、凹部104を構成する具体的な部分として、凹部の頂部1041、凹部の側部1042及び凹部の底部1043を図示している。この図3において、図2と同様の構成については同じ符号を付しているため、その詳細な説明は省略する。
【0046】
この図3に示すように、第2の実施形態における放射線撮像パネル110−2は、図2に示す第1の実施形態における放射線撮像パネル110−1の構成に加えて、センサ基板101の第1の面102の上(より詳細には、有効画素領域105及びダミー画素領域106の上)に、シンチレータ115及び反射層116を順次形成した構造となっている。シンチレータ115は、シンチレータ111とは別のシンチレータである。また、以降の説明においては、シンチレータ111を「第1のシンチレータ111」として説明し、シンチレータ115を「第2のシンチレータ115」として説明する。
【0047】
本実施形態におけるセンサ基板101の有効画素領域105の各画素は、第1のシンチレータ111で放射線401から変換された光と第2のシンチレータ115で放射線401から変換された光とに応じた電気信号を生成する形態を採る。
【0048】
第2のシンチレータ115は、反射層116を介して入射した放射線401を光に変換する蛍光体である。
【0049】
反射層116は、第2のシンチレータ115を覆うように設けられ、第2のシンチレータ115で発生した光のうち、有効画素領域105に向かう方向とは異なる方向に進む光を反射(当該光を有効画素領域105に導くべく反射)する層である。この反射層116によって、第2のシンチレータ115で発生した光を効率的に利用することが可能となり、放射線撮像パネル110−2の感度を向上させることができる。また、この反射層116は、防湿保護層としての機能を具備させることがより好適である。
【0050】
その他のセンサ基板101、第1のシンチレータ111、接着層112、及び、補強基板113、接続端子部114については、図2に示す第1の実施形態の各構成と同様であるため、その説明は省略する。
【0051】
次に、第2の実施形態に係る放射線撮像パネル110−2の製造方法について説明する。
【0052】
まず、放射線撮像パネル110−2の製造では、センサ基板101の第1の面102が上になるように載置し、凹部104以外の部分に第2のシンチレータ115が形成されることのないようにマスキングを行う。次いで、センサ基板101の第1の面102が下側になるようにセンサ基板101を蒸着装置に載置する。次いで、Tl濃度がCsIに対して1mol%程度となるようにヨウ化セシウム(CsI)とヨウ化タリウム(TlI)を共蒸着し、膜厚350μm程度の第2のシンチレータ115を形成する。
【0053】
続いて、第2のシンチレータ115が第1の面102に形成されたセンサ基板101を熱転写装置に載置し、上述した第1の実施形態と同様にして、センサ基板101の第2の面103における凹部104に第1のシンチレータ111を形成する。次いで、上述した第1の実施形態と同様にして、センサ基板101及びシンチレータ111に対して接着層112を介して補強基板113を貼り合わせて接着する。この際、本実施形態では、接着層112としては、反射層としての機能を持たせるために、酸化チタンを含有させたホットメルト樹脂を用いる。
【0054】
続いて、第2のシンチレータ115を覆うように、反射層116を形成する。具体的に、本実施形態では、まず、センサ基板101の第1の面102が上になるようにしてセンサ基板101を熱転写装置に載置する。次いで、約30μm厚のホットメルト樹脂がコーティングされている約20μm厚のアルミニウム薄膜を、第2のシンチレータ115を完全に被覆するように熱転写することによって、反射層116を形成する。
【0055】
その後、接続端子部114に異方性導電フィルムを介して駆動基板類を接続することによって、本実施形態における放射線撮像パネル110−2を形成する。なお、本実施形態においては、補強基板113及び反射層116は、防湿保護層としての機能も兼ね備えているものとする。
【0056】
本実施形態における放射線撮像パネル110−2に駆動系をセットし、RQA5の線質条件で、放射線401としてX線を図3の矢印の方向に入射させてMTFとDQEの測定を行ったところ、2lp/mmでのMTFについては0.35であった。また、DQEについては、図4を用いて以下に説明する。
【0057】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る放射線撮像パネル110−2において、空間周波数によるDQEの変化を示す測定結果の図である。この図4では、比較として測定結果210が第1の実施形態に係る放射線撮像パネル110−1のDQEの変化を示す測定結果であり、測定結果220が第2の実施形態に係る放射線撮像パネル110−2のDQEの変化を示す測定結果である。
【0058】
この図4に示す測定結果から、第2の実施形態に係る放射線撮像パネル110−2のDQEは、第1の実施形態に係る放射線撮像パネル110−1のDQEと比べて、3lp/mm以下の低周波数域で高い値を示していることがわかる。このことから、本実施形態における放射線撮像パネル110−2では、十分に実用に耐えうる信頼性のより高い高性能な放射線撮像パネルを実現することが可能である。
【0059】
上述したように、本実施形態における放射線撮像パネル110−2では、第1の実施形態と同様に、接着層112を介して補強基板113を、センサ基板101の第2の面103及びシンチレータ111に対して接着するようにしている。
かかる構成によれば、例えばセンサ基板101の第2の面103のみに対して接着層112を介して補強基板113を接着させる場合と比較して、放射線撮像パネル110の機械的強度の向上を実現することができる。この観点からも、第2の実施形態によれば、十分に信頼性の高い高性能な放射線撮像パネル110を実現することが可能である。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第3の実施形態の説明では、上述した第1及び第2の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1及び第2の実施形態と異なる事項について説明を行う。
【0061】
第3の実施形態に係る放射線撮像システムの概略構成は、上述した図1に示す第1の実施形態に係る放射線撮像システム10の概略構成と同様である。このため、第3の実施形態に係る放射線撮像装置の概略構成は、上述した図1に示す第1の実施形態に係る放射線撮像装置100の概略構成と同様となる。
【0062】
第3の実施形態に係る放射線撮像パネル110は、第2の実施形態に係る放射線撮像パネル110−2と基本的には同様の構造であるが、有効画素領域105(更にはダミー画素領域106も同様としてもよい)に形成する画素として2種類の画素を形成する。
【0063】
図5は、本発明の第3の実施形態に係る放射線撮像装置100の放射線撮像パネル110における概略構成の一例を示す図である。以降の説明においては、この図5に示す第3の実施形態に係る放射線撮像パネル110を「放射線撮像パネル110−3」として説明する。また、この図5では、第3の実施形態に係る放射線撮像パネル110−3の構成のうち、例えば図3に示す有効画素領域105に相当する領域のみを放射線401の入射方向から見た図を示しているが、他の構成については図3に示す各構成を備えているものとする。また、図5では、図1に示す放射線401として、例えばX線を適用しうる。
【0064】
この図5に示すように、第3の実施形態に係る放射線撮像パネル110−3では、有効画素領域105に、通常の画素(第1の画素)301及び遮光層が設けられた画素(第2の画素)302の2種類の画素が設けられている。
【0065】
通常の画素301には、第2の実施形態における有効画素領域105の各画素と同様に、第1のシンチレータ111で放射線401から変換された光と第2のシンチレータ115で放射線401から変換された光との両方の光が入射する。そして、通常の画素301は、これらの光に応じた電気信号を生成する。
【0066】
遮光層が設けられた画素302は、具体的に本実施形態では、第2のシンチレータ115と有効画素領域105との間の位置に、第2のシンチレータ115で放射線401から変換された光が当該画素302の光電変換素子に入射することを抑制する遮光層が設けられている。このため、遮光層が設けられた画素302には、第2のシンチレータ115で発生した光は入射せずに、第1のシンチレータ111で発生した光の一部のみが入射することになる。そして、遮光層が設けられた画素302は、第1のシンチレータ111で発生し入射した光に応じた電気信号を生成する。
【0067】
第3の実施形態に係る放射線撮像パネル110−3では、放射線(X線)401が入射した場合、遮光層が設けられた画素302は、第3の実施形態に係る第2のシンチレータ115においてビームハードニングされた高エネルギー成分の放射線(X線)401に基づく光を捉えることになる。また、通常の画素301は、ビームハードニングされていない低エネルギー成分を含む放射線(X線)401に基づく光と第2のシンチレータ115においてビームハードニングされた高エネルギー成分の放射線(X線)401に基づく光との両方を捉えることになる。
【0068】
ここで、通常の画素301で生成される電気信号の信号値をAとし、遮光層が設けられた画素302で生成される電気信号の信号値をBとすると、
A−B=低エネルギー画像
B =高エネルギー画像
となる。即ち、例えば信号処理部121で適当な補間処理を行うことにより、高低2つのエネルギーに係る放射線画像を取得することが可能となる。そして、例えば、信号処理部121は、ここで得られた高エネルギー画像と低エネルギー画像とを用いてエネルギーサブトラクション処理を行うことができる。ここで、エネルギーサブトラクションとは、高エネルギーと低エネルギーとの異なるエネルギーの放射線を用いた放射線画像(高エネルギー画像及び低エネルギー画像と呼ぶ場合がある。)を取得し、これらの差分などから、エネルギー吸収率の異なる物質を分離し、表示等する方法である。例えば、骨と骨以外の組織との分離などを行うことが可能であり、診断能の著しい向上が期待できる。
【0069】
通常、高低のエネルギー画像は、2回の放射線401の曝射により容易に取得することが可能である。しかしながら、本実施形態では、1回の放射線401の照射によってエネルギーサブトラクション画像の取得が可能である。即ち、本実施形態では、放射線401の被曝線量を抑制することが可能である。
【0070】
本実施形態においては、遮光層が設けられた画素302の配置パターンは、図5に示した態様に限定されるものではなく、適宜変更可能である。この際、有効画素領域105において遮光層が設けられた画素302の比率が高くなると、通常の画素301の画素ピッチが広がってしまい、得られる放射線画像の画質低下を招いてしまう可能性がある。通常の画素301は、周辺の画素と著しく異なる電気信号を出力する欠陥画素と同様に、画像補てん技術によって補うことができるが、遮光層が設けられた画素302の比率が高くなった場合、補てん後の画質低下が大きくなりうる。
【0071】
そこで、例えば、遮光層が設けられた画素302の数が、有効画素領域105の全画素数(通常の画素301の数と遮光層が設けられた画素302の数との合計)の1/2以下となるように、通常の画素301と遮光層が設けられた画素302を調整してもよい。なお、本実施形態においては、この態様に限定されるものではなく、例えば、遮光層が設けられた画素302の数が、有効画素領域105の全画素数の1/3以下,1/4以下,または、1/5以下になるようにしてもよい。
【0072】
次に、第3の実施形態に係る放射線撮像パネル110−3の製造方法について説明する。具体的に、以下には、放射線撮像パネル110−3の製造方法のうち、有効画素領域105(より詳細には、遮光層が設けられた画素302)の製造方法のみを説明し、他の構成の製造方法は上述した第2の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0073】
本実施形態では、センサ基板101の母材に予めフォトレジストを塗布し、パターニングすることによって、通常の画素301上に開口を有するマスクパターンを形成する。
【0074】
続いて、スピンコートによって低反射率クロム分散液を塗布し、現像することによって、遮光層が設けられた画素302を形成する。本実施形態では、遮光層が設けられた画素302は、例えば、その膜厚が約1.2μmであり、可視光透過率が約1.0%であって十分に遮光が可能である。なお、遮光層の形成に関しては、上述した方法以外にも、例えば、カーボンブラックによる方法や背面電極の開口を調整する方法などもあり、本実施形態においては十分な遮光が得られれば如何なる方法も適用可能である。
【0075】
また、本実施形態の上述した処理で得られた高低のエネルギー画像は、以下に示す方法によって、2物質のそれぞれの厚みtにより画像分離を行った。ここで、複数の成分を含む物質を放射線401が透過した際に、それぞれの画素から出力される信号値は、以下の(1)式で表される。
【0076】
【数1】
【0077】
この(1)式において、Eは放射線401のエネルギーを示し、μiは成分iの線減弱定数を示し、tiは成分iの厚みを示し、N(E)は照射した放射線401のエネルギー分布を示す。この(1)式に、高低のエネルギー画像のそれぞれ観測された信号値を用いて、積分方程式を解くことによって各成分の厚みtiを計算することができる。この際、本実施形態では、高エネルギーの信号値及び低エネルギーの信号値は、それぞれ、以下のようにして求めた。
・高エネルギーの信号値=画素302で観測された信号値
・低エネルギーの信号値=(画素302を取り囲む周辺8つの画素301の信号値のメジアン平均値)−(画素302で観測された信号値)
【0078】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る放射線撮像装置100で得られる骨分離画像の一例を示す図である。具体的に、図6は、管電圧を80kVとした放射線源400によって、検査対象Tとして適用した手ファントムの放射線撮影を行い、当該撮影によって得られた透過画像を用いて、上述した(1)式の処理によって取得した骨分離画像を示している。この図6から、本実施形態に係る放射線撮像装置100では、十分に高品位な骨分離画像が得られることがわかる。
【0079】
また、本実施形態における放射線撮像パネル110−3に駆動系をセットし、RQA5の線質条件で、放射線401としてX線を図1の矢印の方向に入射させてMTFとDQEの測定を行ったところ、2lp/mmでのMTF及びDQEの挙動は、上述した第2の実施形態と同様であった。即ち、本実施形態も、第2の実施形態と同様に、高いMTFと、3lp/mm以下の低周波数域で高いDQEが得られる。
【0080】
以上のことから、本実施形態における放射線撮像パネル110−3によれば、第1及び第2の実施形態における放射線撮像パネル110の効果に加えて、十分に実用に耐えうる1回曝射でのエネルギーサブトラクションが可能で、且つ信頼性を有した高性能な放射線撮像パネル110を実現することが可能である。
【0081】
なお、本実施形態では、遮光層が設けられた画素302は、第2のシンチレータ115と有効画素領域105との間の位置に遮光層が設けられている形態を示したが、本発明のおいてはこの形態に限定されるものではない。例えば、遮光層が設けられた画素302は、第1のシンチレータ111と有効画素領域105との間の位置に遮光層が設けられ、第1のシンチレータ111で発生した光は入射せずに、第2のシンチレータ115で発生した光が入射する形態も、本発明に適用可能である。
【0082】
なお、上述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0083】
10:放射線撮像システム、100:放射線撮像装置、101:センサ基板、102:センサ基板の第1の面、103:センサ基板の第2の面、104:凹部、1041:凹部の頂部(センサ基板の第2の面103における凹部104を除く頂部)、1042:凹部の側部、1043:凹部の底部、105:有効画素領域、106:ダミー画素領域、110:放射線撮像パネル、111:第1のシンチレータ、112:接着層、113:補強基板、114:接続端子部、115:第2のシンチレータ、116:反射層、120:制御部、121:信号処理部、200:コンピュータ、300:曝射制御装置、400:放射線源、401:放射線、T:検査対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6