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特開2020-80128情報処理装置および情報処理装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-80128(P2020-80128A)
(43)【公開日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20200501BHJP
【FI】
   G05B19/05 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-214055(P2018-214055)
(22)【出願日】2018年11月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 宏章
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220AA06
5H220BB09
5H220CC03
5H220CC06
5H220CX01
5H220HH08
5H220JJ12
5H220JJ16
5H220JJ26
5H220JJ53
(57)【要約】
【課題】通常動作における制御対象機器の制御データからケーブルからの受信信号に含まれるノイズと制御対象機器との関係を得る。
【解決手段】ネットワークにおいてケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズの時系列データの変動と、ネットワークにおける制御対象機器の制御データの時系列データの変動との相関値を導出する相関導出部を、備えている情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークにおいてケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズのレベルを示す信号品質の時系列データおよびネットワークにおいて制御対象機器の動作を制御する制御データの時系列データを取得する取得部と、
前記信号品質の時系列データにおける変動と前記制御データの時系列データにおける変動との相関値を導出する相関導出部とを、備えている情報処理装置。
【請求項2】
前記制御対象機器は複数あり、
前記相関導出部は、前記信号品質の時系列データにおける変動と各制御対象機器を制御する制御データの時系列データにおける変動との相関値を導出し、
前記相関値に応じて、前記信号に含まれるノイズの発生源を複数の前記制御対象機器から特定するノイズ発生源特定部を備えている請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ノイズ発生源特定部は、前記信号品質の時系列データの変動と制御データがアナログ信号である制御対象機器の制御データの時系列データの変動との相関値、または、前記信号品質の時系列データの変動と制御データがデジタル信号である制御対象機器の制御データの時系列データの変動との相関値の何れか一方に係数を乗じた調整相関値を導出し、当該調整相関値を用いて前記信号に含まれるノイズの発生源を特定する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
複数の前記制御対象機器は、前記ケーブルを含む1つのコントローラが制御する1つのネットワーク内にある制御対象機器である請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の前記制御対象機器は、
1つのコントローラが制御する前記ケーブルを含む1つのネットワーク内にある前記制御対象機器と、
前記1つのコントローラとは異なるコントローラが制御する前記ケーブルを含む1つのネットワークとは異なるネットワーク内にある制御対象機器とを含む請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ノイズの発生源として特定された前記制御対象機器の制御データの時系列データおよび前記信号品質の時系列データを並べて表示することを表示入力装置に指示する特定結果出力制御部を備えている請求項2から5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記相関導出部が導出した相関値の時系列データを記憶する記憶部と、
前記相関値の時系列データの変動が閾値以上である場合、当該相関値の時系列データに対応する前記制御対象機器に異常があると判定する異常判定部とを備えている請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記相関導出部は、前記信号品質の時系列データにおける前記ノイズのレベルが所定の値よりも高い期間を特定し、特定した当該期間において前記相関値を導出する請求項1から7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記制御対象機器の動作を制御する制御データとして、前記制御対象機器の消費電流に影響を及ぼすアナログ制御信号を取得する請求項1から8の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記取得部は、前記信号品質として、前記信号に含まれるノイズのレベルを表す指標を取得する請求項1から9の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記取得部はマスタスレーブ制御システムにおいてスレーブ装置に入力される信号の信号品質を取得する請求項1から10の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
ネットワークにおいてケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズのレベルを示す信号品質の時系列データおよびネットワークにおいて制御対象機器の動作を制御する制御データの時系列データを取得する取得ステップと、
前記信号品質の時系列データにおける変動と前記制御データの時系列データにおける変動との相関値を導出する相関導出ステップとを、含む情報処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は信号に含まれるノイズを解析する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷装置をシーケンス制御する装置等が従来技術として知られている。例えば、特許文献1には、プログラマブルコントローラにおいて、ハードウェアで吸収不可能な仕様範囲を超えたノイズが重畳した場合にも誤動作をしない技術が開示されている。
【0003】
詳細には、特許文献1に開示のプログラマブルコントローラは、ノイズ検知用信号のループバック系を形成している。該ループバック系中において、ノイズ検知手段に通電したノイズ検知用信号はデジタル信号に変換される。該デジタル信号に基づき、ノイズ検知用信号のON状態等第1の状態またはOFF状態等第2の状態等の状態の認識可否が判定される。該所定状態の認識が不可能と判定されるとき、ノイズ検知用信号には許容範囲を超えるレベルのノイズが重畳しているとされる。また、該ノイズ検知手段に対応したノイズ発生源部へのシーケンス制御信号の出力の停止、またはシーケンス制御系からの該ノイズ発生源部の切離しが行われる。
【0004】
さらに詳細には、特許文献1には、複数のスイッチのそれぞれが、対応する信号線それぞれの接続および非接続を切り替える構成が開示されている。特許文献1に開示の構成では、特定のスイッチがONであるとノイズが検知され、かつ、該スイッチをOFFにするとノイズが検知されない場合、該スイッチに対応する信号線をノイズ発生源と特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−185570号公報(2004年7月2日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来技術はケーブルからの受信信号に含まれるノイズの発生源を特定するために、ループバック系におけるノイズ発生源の候補の接続および非接続を切り替えて、ノイズを検知する試験が必須となる。すなわち、上述のような従来技術では、ノイズ発生源の候補の通常動作とノイズとの相関性を導出することができない。
【0007】
本発明の一態様は、通常動作における制御対象機器の制御データから当該ノイズと制御対象機器との関係を得ることができる情報処理装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、ネットワークにおいてケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズのレベルを示す信号品質の時系列データおよびネットワークにおいて制御対象機器の動作を制御する制御データの時系列データを取得する取得部と、前記信号品質の時系列データにおける変動と前記制御データの時系列データにおける変動との相関値を導出する相関導出部とを、備えている。
【0009】
また、本発明の一態様に係る情報処理装置の制御方法は、ネットワークにおいてケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズのレベルを示す信号品質の時系列データおよびネットワークにおいて制御対象機器の動作を制御する制御データの時系列データを取得する取得ステップと、前記信号品質の時系列データにおける変動と前記制御データの時系列データにおける変動との相関値を導出する相関導出ステップとを、含む。
【0010】
前記の構成によれば、ケーブルを介して入力される信号の信号品質の時系列データの変動と制御データの時系列データの変動とから、該信号に含まれるノイズと制御対象機器との関係を得ることができる。例えば、通常動作における制御対象機器の制御データからノイズと制御対象機器との関係を得ることができる。
【0011】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記制御対象機器は複数あり、前記相関導出部は、前記信号品質の時系列データにおける変動と各制御対象機器を制御する制御データの時系列データにおける変動との相関値を導出し、前記相関値に応じて、前記信号に含まれるノイズの発生源を複数の前記制御対象機器から特定するノイズ発生源特定部を備えていてもよい。
【0012】
前記の構成によれば、ノイズの発生源を信号品質の時系列データにおける変動と各制御対象機器を制御する制御データの時系列データにおける変動との相関値に応じて特定することができる。例えば、ノイズ発生源特定部は以下の制御対象機器の両方をノイズの発生源として特定してもよい。
【0013】
1:アナログ制御信号に制御される複数の制御対象機器のうち該相関値が最大である制御データに対応する機器。
【0014】
2:デジタル制御信号に制御される複数である制御対象機器のうち該相関値が最大である制御データに対応する機器。
【0015】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記ノイズ発生源特定部は、前記信号品質の時系列データの変動と制御データがアナログ信号である制御対象機器の制御データの時系列データの変動との相関値、または、前記信号品質の時系列データの変動と制御データがデジタル信号である制御対象機器の制御データの時系列データの変動との相関値の何れか一方に係数を乗じた調整相関値を導出し、当該調整相関値を用いて前記信号に含まれるノイズの発生源を特定してもよい。
【0016】
前記の構成によれば、制御データがデジタル信号である制御対象機器と制御データがアナログ信号である制御対象機器とを含む複数の制御対象機器からノイズの発生源を特定することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、複数の前記制御対象機器は前記ケーブルを含む1つのコントローラが制御する1つのネットワーク内にある制御対象機器であってもよい。
【0018】
前記の構成によれば、1つのコントローラが制御する1つのネットワーク内にある複数の制御対象機器からノイズの発生源を特定することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、複数の前記制御対象機器は1つのコントローラが制御する前記ケーブルを含む1つのネットワーク内にある前記制御対象機器と、前記1つのコントローラとは異なるコントローラが制御する前記ケーブルを含む1つのネットワークとは異なるネットワーク内にある御対象機器とを含んでもよい。
【0020】
前記の構成によれば、例えば、あるネットワーク内のノイズと、当該ネットワークとは異なるネットワーク内にある制御対象機器との関係を得ることができる。
【0021】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記ノイズの発生源として特定された前記制御対象機器の制御データの時系列データおよび前記信号品質の時系列データを並べて表示することを表示入力装置に指示する特定結果出力制御部を備えていてもよい。
【0022】
前記の構成によれば、ユーザは特定された制御対象機器の制御データの時系列データと信号品質の時系列データとの相関を視覚的に認識することができる。
【0023】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記相関導出部が導出した相関値の時系列データを記憶する記憶部と、前記相関値の時系列データの変動が閾値以上である場合、当該相関値の時系列データに対応する前記制御対象機器に異常があると判定する異常判定部とを備えていてもよい。
【0024】
例えば、ケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズの発生源となっている制御対象機器(コンタクタやソレノイド等)が故障すると、当該制御対象機器が発生させるノイズは減少する。すなわち、ケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズに対する該制御対象機器による影響は小さくなる。よって、当該制御対象機器の故障の前後で、信号品質の時系列データにおける変動と制御データの時系列データにおける変動との相関値に変動が生じ得る。そのため、前記の構成によれば、ノイズの発生源となっている制御対象機器の異常を特定することができる。
【0025】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記相関導出部は、前記信号品質の時系列データにおける前記ノイズのレベルが所定の値よりも高い期間を特定し、特定した当該期間において前記相関値を導出する。
【0026】
前記の構成によれば、ノイズが発生している期間における信号に含まれるノイズと制御対象機器との関係を得ることができる。
【0027】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記取得部は、前記制御対象機器の動作を制御する制御データとして、前記制御対象機器の消費電流に影響を及ぼすアナログ制御信号を取得する。
【0028】
制御対象機器の消費電流に影響を及ぼす制御パラメータとは、例えば、制御対象機器がモータを備えている機器であれば、前記制御パラメータとしてモータの加速度、速度等を例に挙げることができる。また、制御対象機器がヒータであれば、前記制御パラメータとして温度等を例に挙げることができる。
【0029】
制御対象機器の消費電流の大きさに応じて、制御対象機器が発生させるノイズは大きくなる傾向にある。前記の構成によれば、消費電流に影響を及ぼすアナログ制御信号の時系列データにおける変動と信号品質の時系列データにおける変動との相関を導出する。そのため、信号に含まれるノイズと制御対象機器との関係を、正確に、得ることができる。
【0030】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記取得部は、前記信号品質として、前記信号に含まれるノイズのレベルを表す指標を取得してもよい。
【0031】
ここで、信号に含まれるノイズのレベルを表す指標とは、信号クオリティインジケータ(SQI)の値等である。前記の構成によれば当該指標の変動から、該信号に含まれるノイズと制御対象機器との関係を得ることができる。
【0032】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記取得部はマスタスレーブ制御システムにおいてスレーブ装置に入力される信号の信号品質を取得してもよい。
【0033】
前記の構成によれば、マスタスレーブ制御システムにおける入力される信号のノイズと制御対象機器との関係を得ることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の一態様によれば、制御対象機器の通常動作における制御データからノイズと制御対象機器との関係を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施形態1に係るマスタ装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態1に係るマスタ装置が適用されているマスタスレーブ制御システムの一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態1に係るスレーブ装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態1に係るPHY部の構成の一例を示すブロック図である。
図5】(a)および(b)は、本発明の実施形態1に係るデジタル信号である制御データの時系列データの一例を示す図である。
図6】(a)および(b)は、本発明の実施形態1に係るアナログ信号である制御データの時系列データの一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態1に係る信号品質の時系列データの一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態1に係る相関導出部が相関値を導出するために用いる計算式の一例を示す図である。
図9】(a)および(b)は、本発明の実施形態1に係る発生源特定制御部が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態1に係るマスタ装置が適用されているマスタスレーブ制御システムの変形例を示す図である。
図11】本発明の実施形態2に係るマスタ装置の構成を示すブロック図である。
図12】(a)は、本発明の実施形態2に係る制御対象機器が正常状態である場合におけるSQI値(信号品質)の時系列データの一例を示す図である。(b)は、本発明の実施形態2に係る制御対象機器が正常状態である場合における制御対象機器の制御デジタル信号の時系列データの一例を示す図である。
図13】(a)は、本発明の実施形態2に係る制御対象機器が異常状態である場合におけるSQI値(信号品質)の時系列データの一例を示す図である。(b)は、本発明の実施形態2に係る制御対象機器が異常状態である場合における制御対象機器の制御デジタル信号の時系列データの一例を示す図である。
図14】本発明の実施形態2に係る異常判定制御部が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0037】
§1 適用例
図2は、本実施形態に係る、マスタ装置13(情報処理装置)が適用されているマスタスレーブ制御システム1の一例を示す図である。はじめに、図2を用いてマスタ装置13の適用例の概要を説明する。図2に示すように、マスタスレーブ制御システム1は、マスタ装置13を含む。また、マスタスレーブ制御システム1はマスタ装置13によって制御される制御対象機器を含む。当該制御対象機器は、図2に示すスレーブ装置11またはスレーブ装置11に接続している外部装置16である(図3参照)。
【0038】
マスタ装置13は、マスタスレーブ制御システム1におけるネットワークにおいてケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズのレベルを示す信号品質の時系列データを取得する。また、マスタ装置13は、マスタスレーブ制御システム1におけるネットワークにおいて制御対象機器の動作を制御する制御データの時系列データを取得する。また、マスタ装置13は、取得した信号品質の時系列データにおける変動と取得した制御データの時系列データにおける変動との相関値を導出する。
【0039】
例えば、ケーブル内の信号に混入するノイズの例としては、以下を挙げることができる。
【0040】
1.機械的な要因によるノイズ
機械的な要因によるノイズには機械的振動などが含まれる。
【0041】
ここで、前記機械的振動とは、ケーブルと制御対象機器との電気的な接続が不完全な状態の場合に生じるケーブル内の信号のノイズの混入の原因となる機械的振動である。
【0042】
2.電気ノイズ
電気ノイズは、ケーブルに印加され、ケーブル内の信号に混入する電気的なノイズである。例えば、電気ノイズは、ケーブル近くに設置されている制御対象機器から、空気中を伝播してケーブル内の信号に混入する電磁波ノイズである。また、その他の電気ノイズとしては、サーボ機構から発生してケーブル内の信号に混入する伝導ノイズを例として挙げることもできる。伝導ノイズはケーブル内の信号に混入し、当該信号が入力される機器に誤動作を生じさせ得る。電気ノイズは外部ノイズと表現することもできる。
【0043】
前記の構成によれば、ケーブルを介して入力される信号の信号品質の時系列データの変動と制御データの時系列データの変動とから、該信号に含まれるノイズと制御対象機器との関係を得ることができる。例えば、通常動作における制御対象機器の制御データからノイズと制御対象機器との関係を得ることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る、マスタスレーブ制御システム1は複数の制御対象機器を含んでもよい。マスタ装置13は、取得した信号品質の時系列データにおける変動と各制御対象機器を制御する制御データの時系列データにおける変動との相関値を導出する。マスタ装置13は、相関値に応じて、ネットワークにおいてケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズの発生源を複数の制御対象機器から特定する。
【0045】
なお、図2に示す例では、信号の入力に用いられるケーブルと制御対象機器とは1つのマスタ装置13(コントローラ)が制御する1つのネットワーク内にある。換言すると、本実施形態に係る複数の制御対象機器は、前記ケーブルを含む1つのコントローラが制御する1つのネットワーク内にある。
【0046】
前記の構成によれば、1つのマスタ装置13が制御する1つのネットワーク内にある複数の制御対象機器からノイズの発生源を特定することができる。
【0047】
§2 構成例
(マスタスレーブ制御システム1)
マスタスレーブ制御システム1は、工場での製造工程の自動化を実現するシステムである。一例として、図2に示すように、マスタスレーブ制御システム1は、スレーブ装置11、信号中継装置12、マスタ装置13、表示入力装置14等を含む。マスタスレーブ制御システム1においては、マスタ装置13とスレーブ装置11とを接続するネットワーク上をデータフレームが順次転送されることで、両装置の間でデータが送受信される。図2に示す例では、信号中継装置12の通信下流側にて、スレーブ装置11が形成する通信経路が複数に分岐している。
【0048】
(スレーブ装置11)
スレーブ装置11は、マスタ装置13の制御にしたがって製造工程に関する1または複数の機能を実行する。スレーブ装置11は、ネットワークを介して、マスタ装置13と通信し、マスタ装置13の制御下で外部装置16の駆動を制御する。スレーブ装置11は、マスタ装置13と外部装置16との間でデータの送受信を行なうための中継装置として機能する。なお、スレーブ装置11は中継装置に限定されない。中継装置以外のスレーブ装置11の例として、サーボ機構、ロボットを制御するロボットコントローラ等を挙げることができる。
【0049】
図3は、本実施形態に係るスレーブ装置11の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、スレーブ装置11は、PHY部110および外部装置制御部111を備えている。
【0050】
(PHY部110)
PHY部110は、マスタ装置13に近い側(通信上流側)のスレーブ装置11およびマスタ装置13から遠い側(通信下流側)のスレーブ装置11との通信のための通信部である。例えば、PHY部110は、通信を行う物理層の素子が実行する機能を表す機能ブロックである。
【0051】
図4は本実施形態に係るPHY部110の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、PHY部110は信号品質算出部1101を備えている。信号品質算出部1101はPHY部110にケーブルを介して入力された信号の信号品質を算出する。
【0052】
信号品質算出部1101は、例えば、信号に含まれるノイズのレベルを表す指標を算出する。前記指標は、例えば、信号クオリティインジケータ(SQI:Signal Quality Indicator)の値であってもよい。信号品質算出部1101は算出した信号品質を示す信号を他のスレーブ装置11、信号中継装置12等を介してマスタ装置13に出力する。
【0053】
(外部装置制御部111)
外部装置制御部111は、マスタ装置13の制御下で外部装置16の駆動を制御する。外部装置16は、製造装置または検査装置などの機械である。外部装置16は、例えば、センサ(温度センサ、光センサなど)、スイッチ(押ボタンスイッチ、リミットスイッチ、圧力スイッチなど)のような入力機器であってもよいし、または、アクチュエータ、リレー、電磁弁などのような出力機器であってもよい。本実施形態では、特に、外部装置16の例として、ケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズの発生源になる可能性が高い消費電流が大きい機器であるファン、ヒータ、電磁弁、ロボット(ロボットアーム)等を挙げることができる。マスタスレーブ制御システム1においては、マスタ装置13が、スレーブ装置11を介して、外部装置16の動作制御および外部装置16の出力データの受信を行う。
【0054】
(信号中継装置12)
信号中継装置12は、マスタ装置13等を含む上位ネットワークとスレーブ装置11との間でデータを中継する中継装置である。信号中継装置12は、例えば、集線装置(ハブ)である。信号中継装置12はマスタ装置13と上位バス、すなわち、上位通信ネットワークを介して接続されるスレーブ装置ということもできる。
【0055】
(マスタ装置13)
マスタ装置13は、マスタスレーブ制御システム1の全体を統括して制御する制御装置であり、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)である。マスタ装置13は、マスタスレーブ制御システム1において信号中継装置12およびスレーブ装置11のマスタ装置として動作する。マスタ装置13には、図2に示すように、接続ケーブルなどを介して、表示入力装置14等が接続していてもよい。
【0056】
図1は、本実施形態に係るマスタ装置13の構成を示すブロック図である。図1に示すように、マスタ装置13は通信部131、制御部132および記憶部133を備えている。
【0057】
(通信部131)
通信部131は、信号中継装置12を介し、スレーブ装置11と通信を行う。本実施形態では、特に、スレーブ装置11からスレーブ装置11が算出した信号品質を示す信号を受信する。通信部131は、受信した信号品質を更新部13210に出力する。
【0058】
また、通信部131は、スレーブ装置11の動作を制御する制御信号、外部装置16の動作を制御する制御信号等をスレーブ装置11に出力する。
【0059】
また、通信部131は、特定結果出力制御部13214の指示に従いノイズ発生源特定部13213が行った特定結果を示す信号等を表示入力装置14に出力する。
【0060】
(制御部132)
制御部132は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う。制御部132は、発生源特定制御部1321およびスレーブ装置制御部1322を備えている。
【0061】
(スレーブ装置制御部1322)
スレーブ装置制御部1322は、制御対象機器(スレーブ装置11またはスレーブ装置11に接続している外部装置16)の動作を制御する。詳細には、スレーブ装置制御部1322は、制御対象機器が動作を行うための制御パラメータをスレーブ装置11に出力する。すなわち、制御パラメータ(制御データ)は、制御対象機器に送信される。
【0062】
制御パラメータは、例えば、制御対象機器のON/OFFを指示するデジタル信号などである。また、他の制御パラメータの例としては、制御対象機器がモータを備えている機器であれば、モータの加速度、モータの速度等を指示するアナログ信号を例に挙げることができる。また、制御対象機器がヒータであれば、制御パラメータとして温度等を示すアナログ信号を例に挙げることができる。また、制御対象機器がロボットであれば、制御パラメータとして指令値のパラメータ(例えば、速度(m/s)、加速度(m/s)等)を例に挙げることができる。
【0063】
なお、制御パラメータは、上述のアナログ信号の代わりに複数のデジタル信号を組み合せた、加速度、速度、温度等を指示するデジタル信号であってもよい。
【0064】
スレーブ装置制御部1322は、制御パラメータをスレーブ装置11に出力すると、出力した制御パラメータを用いて記憶部133が記憶する制御履歴1332を更新する。制御履歴1332は制御対象機器の動作を制御した制御パラメータ(制御データ)の時系列データである。例えば、記憶部133は、複数の制御対象機器に対して、制御対象機器毎の制御履歴1332を記憶していてもよい。
【0065】
また、制御履歴1332として記憶されている制御パラメータは制御対象機器の消費電流に影響を及ぼす制御パラメータであってもよい。
【0066】
制御対象機器の消費電流の大きさに応じて、制御対象機器が発生させるノイズは大きくなる傾向にある。前記の構成によれば、マスタ装置13は消費電流に影響を及ぼすアナログ制御信号の時系列データにおける変動と信号品質の時系列データにおける変動との相関を導出する。そのため、信号に含まれるノイズと制御対象機器との関係を、正確に、得ることができる。
【0067】
図5の(a)および(b)はデジタル信号である制御データの時系列データの一例を示す図である。縦軸はデジタル信号が示す値(0または1)を示しており、横軸は時間(ms)を示している。
【0068】
図6の(a)および(b)はアナログ信号である制御データの時系列データの一例を示す図である。図6に示す例では、縦軸はモータの速度(r/min)を示しており、横軸は時間(ms)を示している。
【0069】
また、制御履歴1332として記憶されている制御パラメータは、制御対象機器の動作の測定値でもよい。また、制御履歴1332として記憶されている制御パラメータは、制御対象機器の消費電力でもよい。この場合、制御履歴1332は各制御対象装置の最大消費電力に対する相対値を示してもよい。
【0070】
(発生源特定制御部1321)
発生源特定制御部1321は、更新部13210、取得部13211、相関導出部13212、ノイズ発生源特定部13213および特定結果出力制御部13214を備えている。
【0071】
(更新部13210)
更新部13210は、スレーブ装置(制御対象機器)11から受信したケーブルを介して入力された信号の信号品質を用いて、記憶部133が記憶する信号品質履歴1331を更新する。信号品質履歴1331はマスタスレーブ制御システム1におけるネットワークにおいてケーブルを介して入力される信号の信号品質の時系列データである。
【0072】
図7は信号品質の時系列データの一例を示す図である。縦軸は信号に含まれているノイズレベルに対応する値であるSQI値を示しており、横軸は時間(ms)を示している。SQI値が低い場合、信号に含まれているノイズは少ない。また、SQI値が高い場合、信号に含まれているノイズは多い。
【0073】
(取得部13211)
取得部13211は、記憶部133が記憶する信号品質履歴1331を取得する。また、取得部13211は、記憶部133が記憶する制御履歴1332を取得する。取得部13211は、取得した信号品質履歴1331および制御履歴1332を相関導出部13212に出力する。
【0074】
(相関導出部13212)
相関導出部13212は、取得部13211から信号品質履歴1331および制御履歴1332を受信する。
【0075】
相関導出部13212は、信号品質履歴1331(信号品質の時系列データ)における変動と制御履歴1332(制御データの時系列データ)における変動との相関値を導出する。
【0076】
また、図2に示すようにマスタスレーブ制御システム1は複数の制御対象機器を含む。相関導出部13212は取得した信号品質の時系列データにおける変動と各制御対象機器を制御する制御データの時系列データにおける変動との相関値を導出する。相関導出部13212は導出した相関値を示す信号をノイズ発生源特定部13213に出力する。
【0077】
例えば、相関導出部13212は、表示入力装置14等から受け付けたユーザの指示に応じて、当該相関値を導出してもよい。また、相関導出部13212はマスタ装置13が信号品質を受信しているリアルタイムで、当該相関値を導出してもよい。また、相関導出部13212は、当該相関値を所定の時間間隔にて自動に導出するように設定されていてもよい。
【0078】
図8は、相関導出部13212が当該相関値を導出するために用いる計算式の一例を示す図である。図8に示す式はCorrel関数であり、相関導出部13212は当該関数を用いて、信号品質の時系列データと制御データの時系列データとの相関係数を算出する。
【0079】
図8に示すxは、ある時間の信号品質の値を示し、図8に示すyは同時間の制御データの値を示す。また、図8に示すxバーは信号品質の値の標準偏差を示し、yバーは制御データの値の標準偏差を示す。
【0080】
相関係数は-1以上、1以下の値で示される。相関係数の値が1に近い場合、正の相関が高いことを示す。また、相関係数の値が-1に近い場合、負の相関が高いことを示す。相関係数の値が0に近い場合、相関が低いことを示す。
【0081】
例えば、図8に示す関数を用いて、図7に示す信号品質の時系列データに対する図5の(a)および(b)に示すデジタル制御信号の時系列データの相関係数を算出すると以下のようになる。図5の(a)に示すデジタル制御信号の時系列データの相関係数は0.84となり、図5の(b)に示すデジタル制御信号の時系列データの相関係数は-0.13となる。すなわち、図7に示す信号品質の時系列データに対して、図5の(b)に示すデジタル制御信号の時系列データよりも図5の(a)に示すデジタル制御信号の時系列データの方が相関係数が高い。
【0082】
また、図8に示す関数を用いて、図7に示す信号品質の時系列データに対する図6の(a)および(b)に示すアナログ制御信号の時系列データの相関係数を算出すると以下のようになる。図5の(a)に示すアナログ制御信号の時系列データの相関係数は0.73となり、図5の(b)に示すアナログ制御信号の時系列データの相関係数は-0.02となる。すなわち、図7に示す信号品質の時系列データに対して、図6の(b)に示すデジタル制御信号の時系列データよりも図6の(a)に示すデジタル制御信号の時系列データの方が相関係数は高い。
【0083】
また、相関導出部13212は、信号品質履歴1331(信号品質の時系列データ)においてノイズのレベルが所定の値よりも高い期間を特定し、特定した当該期間において当該相関値を導出してもよい。
【0084】
前記の構成によれば、ノイズが発生している期間における信号に含まれるノイズと制御対象機器との関係を得ることができる。
【0085】
(ノイズ発生源特定部13213)
上述のようにマスタスレーブ制御システム1は複数の制御対象機器を含む。ノイズ発生源特定部13213は相関導出部13212から受信した相関値に応じて、信号に含まれるノイズの発生源を複数の制御対象機器から特定する。
【0086】
前記の構成によれば、ノイズの発生源を信号品質の時系列データにおける変動と各制御対象機器を制御する制御データの時系列データにおける変動との相関値に応じて特定することができる。例えば、ノイズ発生源特定部13213は以下の制御対象機器の両方をノイズの発生源として特定してもよい。
【0087】
1:アナログ制御信号に制御される複数の制御対象機器のうち該相関値が最も高い制御データに対応する機器。
【0088】
2:デジタル制御信号に制御される複数である制御対象機器のうち該相関値が最も高い制御データに対応する機器。
【0089】
また、ノイズ発生源特定部13213を以下の構成としてもよい。ノイズ発生源特定部13213は、信号品質の時系列データに対するアナログ制御信号の時系列データの相関値、または、信号品質の時系列データに対するデジタル制御信号の時系列データの相関値の何れか一方に係数を乗じた調整相関値を導出する。
【0090】
例えば、デジタル制御信号の時系列データの相関値に係数を乗じる場合、ノイズ発生源特定部13213はノイズ発生源を以下に示すように特定する。ノイズ発生源特定部13213は、アナログ制御信号の時系列データの相関値と、調整値を乗じたデジタル制御信号の時系列データの相関値(調整相関値)とから最も高い値の相関値または調整相関値を特定する。ノイズ発生源特定部13213は、特定した相関値または調整相関値に対応する制御対象機器をノイズの発生源として特定する。
【0091】
また、アナログ制御信号の時系列データの相関値に係数を乗じる場合、ノイズ発生源特定部13213はノイズ発生源を以下に示すように特定する。ノイズ発生源特定部13213は、デジタル制御信号の時系列データの相関値と、調整値を乗じたアナログ制御信号の時系列データの相関値(調整相関値)とから最も高い値の相関値または調整相関値を特定する。ノイズ発生源特定部13213は、特定した相関値または調整相関値に対応する制御対象機器をノイズの発生源として特定する。
【0092】
前記の構成によれば、ノイズ発生源特定部13213は制御データがデジタル信号である制御対象機器と制御データがアナログ信号である制御対象機器とを含む複数の制御対象機器からノイズの発生源を特定することができる。
【0093】
ノイズ発生源特定部13213は特定した制御対象機器を示す信号を特定結果出力制御部13214に出力する。例えば、ノイズ発生源特定部13213は当該信号、信号品質履歴1331および特定した制御対象機器の制御履歴1332を特定結果出力制御部13214に出力してもよい。
【0094】
(特定結果出力制御部13214)
特定結果出力制御部13214はノイズ発生源特定部13213が特定した制御対象機器を示す信号を、通信部131を介して表示入力装置14に出力する。
【0095】
例えば、特定結果出力制御部13214は、ノイズの発生源として特定された制御対象機器の制御データの時系列データおよび信号品質の時系列データを並べて表示することを、通信部131を介して表示入力装置14に指示してもよい。
【0096】
前記の構成によれば、ユーザは特定された制御対象機器の制御データの時系列データと信号品質の時系列データとの相関を視覚的に認識することができる。
【0097】
また、特定結果出力制御部13214は、制御対象機器の制御データの時系列データのグラフおよび信号品質の時系列データのグラフにおいて、特に相関性の高い部分を強調して表示することを、通信部131を介して表示入力装置14に指示してもよい。
【0098】
(記憶部133)
記憶部133は、例えば、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置であり、上述の信号品質履歴1331、制御履歴1332等を記憶する。
【0099】
(表示入力装置14)
表示入力装置14は、例えば、タッチパネル式の表示入力装置である。マスタスレーブ制御システム1のユーザは、表示入力装置14を介してマスタ装置13を操作したり、表示入力装置14にてマスタスレーブ制御システム1の動作状態を確認したりすることができる。
【0100】
本実施形態では、特に、表示入力装置14は、マスタ装置13の特定結果等を表示する。例えば、上述のように表示入力装置14は、特定結果出力制御部13214の指示を受信し、ノイズの発生源と特定された制御対象装置の制御履歴を示すグラフと信号品質履歴を示すグラフとを並べて表示してもよい。
【0101】
なお、上述の実施形態では、スレーブ装置11がケーブルを介して入力された信号の信号品質を算出し、当該算出した信号品質をマスタ装置13に出力する構成について説明した。その他の構成として、例えば、信号中継装置12が上述の信号品質算出部1101と同様の構成を備えており、算出した信号品質を信号中継装置12がマスタ装置13に出力してもよい。
【0102】
また、マスタスレーブ制御システム1の外部のサーバ装置が信号品質を示す信号を受信し、上述のマスタ装置13が行う信号に含まれるノイズの原因判定処理を行ってもよい。詳細には、前記外部のサーバ装置としてはマスタ装置13に接続されたサーバ装置であってもよいし、クラウドサーバ装置であってもよい。
【0103】
§3 動作例
図9は、マスタ装置13が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図9の(a)は、マスタ装置13が実行する判定処理の流れの概要の一例を示すフローチャートである。図9の(b)は、ノイズ発生源特定部13213が実行する信号に含まれるノイズの発生源特定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図9の(a)に示すように、取得部13211は記憶部133に格納されている信号品質履歴1331および制御履歴1332を取得する(S1:取得ステップ)。続いて、相関導出部13212は信号品質履歴1331におけるノイズのレベルが所定の値よりも高い期間を特定する(S2)。なお、S2における工程は、本処理において必須の工程ではない。そのため、S2における工程は適宜省略されてもよい。続いて、相関導出部13212は信号品質履歴1331における信号品質の変動と制御履歴1332における制御データの変動との相関値を導出する(S3:相関導出ステップ)。本処理がS2における工程を含む場合、相関導出部13212は特定した期間における当該相関値を導出する。続いて、ノイズ発生源特定部13213はノイズ発生源を特定するノイズ発生源特定処理を行う(S4)。続いて、特定結果出力制御部13214が、S4にて行われた特定の結果を表示入力装置14に出力し(S5)、処理は終了する。なお、上述したように、特定結果出力制御部13214は、ノイズの発生源として特定された制御対象機器の制御データの時系列データおよび信号品質の時系列データを並べて表示することを、表示入力装置14に指示してもよい。すなわち、特定結果出力制御部13214は、特定された制御対象機器の制御履歴1332および信号品質履歴1331を、通信部131を介して表示入力装置14に出力してもよい。
【0104】
次に、図9の(b)を用いて、ノイズ発生源特定部13213が実行するノイズ発生源特定処理(S4)の流れの一例を説明する。図9の(b)に示すように、ノイズ発生源特定部13213は、アナログ信号の制御履歴1332から導出された相関値またはデジタル信号の制御履歴1332から導出された相関値の何れか一方に調整係数を乗じる(S41)。続いて、ノイズ発生源特定部13213は、最も高い値の相関値または調整相関値に対応する制御対象機器をノイズ発生源に特定する(S42)。その後、処理はS5に続く。
【0105】
§4 変形例
本実施形態の変形例について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0106】
図10は本変形例に係る、マスタ装置13(情報処理装置)が適用されているマスタスレーブ制御システム1bおよび1cの一例を示す図である。本変形例に係るマスタ装置13は上述の実施形態1にて説明した構成に加え、以下の構成を備えている。
【0107】
本変形例に係るマスタ装置13は、信号品質の時系列データとして自機を含むネットワークのケーブルを介して入力される信号の信号品質の時系列データを用いる。例えば、図10に示す例では、当該信号品質の時系列データは、マスタスレーブ制御システム1bのケーブル15を介して入力される信号の信号品質の時系列データである。
【0108】
また、本変形例に係るマスタ装置13は、制御対象機器の動作を制御する制御データの時系列データとして、以下の2つの時系列データを用いる。一つは、実施形態1と同様に、自機を含むネットワークと同じネットワークに含まれる制御対象機器の動作を制御する制御データの時系列データである。もう一つは、自機を含むネットワークとは異なるネットワークに含まれる制御対象機器の動作を制御する制御データの時系列データである。例えば、図10に示す例では、マスタスレーブ制御システム1bに含まれるマスタ装置13は、以下の2つの制御データの時系列データを用いる。一つは、マスタスレーブ制御システム1bのスレーブ装置11cの動作を制御する制御データの時系列データである。もう一つは、マスタスレーブ制御システム1cのスレーブ装置11cの動作を制御する制御データの時系列データである。
【0109】
本変形例では、マスタスレーブ制御システム1bおよび1cのそれぞれに含まれるマスタ装置13間において、マスタ装置13それぞれが制御する制御対象機器の制御履歴1332の送受信が行われる。例えば、マスタスレーブ制御システム1bに含まれるマスタ装置13は、マスタスレーブ制御システム1cに含まれるマスタ装置13から制御履歴1332を受信する。
【0110】
本変形例に係るマスタ装置13は、以下のように表現することもできる。
【0111】
マスタ装置13は、ネットワークにおいてケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズのレベルを示す信号品質の時系列データおよびネットワークにおいて制御対象機器の動作を制御する制御データの時系列データを取得する。マスタ装置13は、前記信号品質の時系列データにおける変動と前記制御データの時系列データにおける変動との相関値を導出する。
【0112】
複数の制御対象機器は、以下の2つの制御対象機器を含む。
【0113】
1:1つのコントローラが制御する前記ケーブルを含む1つのネットワーク内にある前記制御対象機器。
【0114】
2:前記1つのコントローラとは異なるコントローラが制御する前記ケーブルを含む1つのネットワークとは異なるネットワーク内にある御対象機器。
【0115】
前記の構成によれば、あるネットワーク内のノイズと、当該ネットワークとは異なるネットワーク内にある制御対象機器との関係を得ることができる。
【0116】
そのため、マスタ装置13は、自機を含むネットワーク内のノイズの発生源が自機を含むネットワークとは異なるネットワーク内にある機器である場合においても、ノイズの発生源を特定することができる。
【0117】
例えば、図10に示すように、マスタスレーブ制御システム1bに含まれるケーブルを介して入力される信号のノイズの発生源として、マスタスレーブ制御システム1cに含まれるスレーブ装置11cを特定することができる。
【0118】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0119】
§1 適用例
本実施形態に係る、マスタ装置(情報処理装置)13dが適用されているマスタスレーブ制御システム1dは図2に示すマスタスレーブ制御システム1が含むマスタ装置13の代わりにマスタ装置13dを含む。
【0120】
マスタ装置13dは、相関導出部13212が導出した相関値の時系列データである相関係数履歴1333dを記憶する。また、マスタ装置13dは、相関係数履歴1333dが示す相関係数の変動が閾値以上である場合、該相関値の時系列データに対応する制御対象機器に異常があると判定する。
【0121】
例えば、ケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズの発生源となっている制御対象機器(コンタクタやソレノイド等)が故障すると、当該対象機器が発生させるノイズは減少する。よって、対象機器の故障の前後で、信号品質の時系列データにおける変動と制御データの時系列データにおける変動との相関値に変動が生じ得る。そのため、前記の構成によれば、ノイズの発生源となっている制御対象機器の異常(故障など)を特定することができる。
【0122】
§2 構成例
(マスタスレーブ制御システム1)
上述のように本実施形態に係る、マスタ装置13dが適用されているマスタスレーブ制御システム1dは図2に示すマスタスレーブ制御システム1が含むマスタ装置13の代わりにマスタ装置13dを含む。その他の構成についてはマスタスレーブ制御システム1と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0123】
(マスタ装置13d)
マスタ装置13dは、マスタスレーブ制御システム1dの全体を統括して制御する制御装置であり、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)である。
【0124】
図11は、本実施形態に係るマスタ装置13dの構成を示すブロック図である。図11に示すように、マスタ装置13dは通信部131d、制御部132dおよび記憶部133dを備えている。
【0125】
(通信部131d)
通信部131dは、信号中継装置12を介し、スレーブ装置11と通信を行う。本実施形態では、特に、スレーブ装置11からスレーブ装置11が算出した信号品質を示す信号を受信する。通信部131は、受信した信号品質を更新部13210に出力する。
【0126】
また、通信部131dは、スレーブ装置11の動作を制御する制御信号、外部装置16の動作を制御する制御信号等をスレーブ装置11に出力する。
【0127】
また、通信部131dは、判定結果出力制御部13216dの指示に従い異常判定部13215dが行った判定結果を示す信号等を表示入力装置14に出力する。
【0128】
(制御部132d)
制御部132dは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う。制御部132dは、異常判定制御部1321dおよびスレーブ装置制御部1322を備えている。スレーブ装置制御部1322については、実施形態1にて説明した構成と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0129】
(異常判定制御部1321d)
異常判定制御部1321dは、更新部13210、取得部13211、相関導出部13212d、異常判定部13215dおよび判定結果出力制御部13216dを備えている。更新部13210および取得部13211については、実施形態1にて説明した構成と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0130】
(相関導出部13212d)
相関導出部13212dは、相関導出部13212と同様に信号品質履歴1331における変動と制御履歴1332における変動との相関値(相関係数)を導出する。相関導出部13212dは導出した相関係数を用いて、記憶部133dが記憶する相関係数履歴1333dを更新する。相関係数履歴1333dは信号品質の時系列データの変動と制御対象機器の動作を制御する制御データの変動との相関係数の時系列データである。例えば、記憶部133dは制御対象機器毎の相関係数履歴1333dを記憶していてもよい。また、相関導出部13212dは、ある制御対象機器の相関係数が所定の値よりも高い値をとなった場合に、当該制御対象機器の相関係数の時系列データを相関係数履歴1333dとして記憶部133dに記憶させてもよい。相関導出部13212dによる相関係数(相関値)の導出方法は、実施形態1の相関導出部13212と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0131】
(異常判定部13215d)
異常判定部13215dは制御対象機器に異常があるか否かを判定する。
【0132】
詳細には、異常判定部13215dは、相関係数履歴1333d(相関値の時系列データ)の変動が閾値以上である場合、当該相関係数履歴1333dに対応する制御対象機器に異常があると判定する。
【0133】
例えば、ケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズの発生源となっている制御対象機器(コンタクタやソレノイド等)が故障すると、当該制御対象機器が発生させるノイズは減少する。すなわち、ケーブルを介して入力される信号に含まれるノイズに対する該制御対象機器による影響は小さくなる。そのため、信号品質の時系列データにおける変動と当該対象機器の制御データの時系列データにおける変動との相関値は低くなる。よって、当該対象機器の故障の前後で、信号品質の時系列データにおける変動と制御データの時系列データにおける変動との相関値に変動が生じ得る。なお、本実施形態においては、制御履歴1332として記憶されている制御データは制御対象機器の動作の測定値ではなく、制御対象機器に送信された制御パラメータである。
【0134】
図12は、制御対象機器が正常状態である場合における(a)SQI値(信号品質)の時系列データおよび(b)制御対象機器の制御デジタル信号の時系列データの一例を示す図である。
【0135】
図13は、制御対象機器が異常状態である場合における(a)SQI値(信号品質)の時系列データおよび(b)制御対象機器の制御デジタル信号の時系列データの一例を示す図である。
【0136】
図12の(a)および図13の(a)の縦軸はSQI値によるノイズレベルを示しており、横軸は時間(ms)を示している。図12の(b)および図13の(b)の縦軸はデジタル信号が示す値(0または1)を示しており、横軸は時間(ms)を示している。
【0137】
図12および図13に示す例では、マスタ装置13dはSQI値を継続的に取得する。一方で、相関導出部13212dは、所定の期間(例えば、1分毎)にて該相関値を導出する。異常判定部13215dは相関導出部13212dが新たに導出した相関値が、前回導出した相関値から閾値以上変化しているか否かを判定する。新たに導出した相関値が前回導出した相関値から閾値以上変化している場合、異常判定部13215dは当該相関値に対応する制御対象機器に異常があると判定する。なお、前回導出した相関値からの相関値の変動に限らず、所定期間内の相関値の変動が閾値以上である場合、異常判定部13215dは当該相関値に対応する制御対象機器に異常があると判定する構成としてもよい。例えば、相関導出部13212dは相関値を新たに導出し相関係数履歴1333dを更新すると、当該更新を示す信号を異常判定部13215dに出力する構成としてもよい。異常判定部13215dは、この信号の受信をトリガーとして、異常判定の処理を開始してもよい。
【0138】
図12に示す制御対象機器が正常状態である場合、信号品質の時系列データにおける変動と制御データの時系列データにおける変動との相関係数は0.84となる。一方で、図13に示す制御対象機器が異常状態である場合、信号品質の時系列データにおける変動と制御データの時系列データにおける変動との相関係数は0.46となる。制御対象機器が正常状態である場合の相関係数と制御対象機器が異常状態である場合の相関係数との差は0.38となる。例えば、異常判定の基準値なる前記閾値を0.2とした場合、異常判定部13215dは制御対象機器に異常があると判定する。なお、説明の便宜上、異常判定の基準値なる閾値を0.2としたが、当該閾値は特に限定されない。
【0139】
前記構成によれば、ノイズの発生源となっている制御対象機器の異常(故障等)を特定することができる。
【0140】
異常判定部13215dは異常があると判定した制御対象機器を示す信号を判定結果出力制御部13216に出力する。
【0141】
なお、異常判定部13215dは、表示入力装置14等から受け付けたユーザの指示に応じて、制御対象機器の異常判定を行ってもよい。また、異常判定部13215dはマスタ装置13が信号品質を受信しているリアルタイムで、当該判定を行ってもよい。また、異常判定部13215dは、当該判定を所定の時間間隔にて自動に判定するように設定されていてもよい。
【0142】
(判定結果出力制御部13216d)
判定結果出力制御部13216dは異常判定部13215dにより異常があると判定された制御対象機器を示す信号を、通信部131を介して表示入力装置14に出力する。
【0143】
(記憶部133d)
記憶部133dは、例えば、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置であり、信号品質履歴1331、制御履歴1332、相関係数履歴1333d等を記憶する。
【0144】
§3 動作例
図14は、マスタ装置13dが実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図14に示すS1からS3の工程は実施形態1にて説明した工程と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。S3に続いて、異常判定部13215dは、相関係数履歴1333dの変動が閾値以上であるか否かを判定する(S11)。相関係数履歴1333dの変動が閾値以上である場合(S11でYES)、異常判定部13215dは当該相関係数履歴1333dに対応する制御対象機器に異常があると判定する(S12)。続いて、判定結果出力制御部13216dが、S12にて判定された結果を表示入力装置14に出力し(S13)、処理は終了する。
【0145】
また、相関係数履歴1333dの変動が閾値よりも小さい場合(S11でNO)、異常判定部13215dは当該相関係数履歴1333dに対応する制御対象機器は正常であると判定し(S14)、処理は終了する。
【0146】
〔ソフトウェアによる実現例〕
マスタ装置13の制御ブロック(特に更新部13210、取得部13211、相関導出部13212、ノイズ発生源特定部13213および特定結果出力制御部13214)およびマスタ装置13dの制御ブロック(特に更新部13210、取得部13211、相関導出部13212d、異常判定部13215dおよび判定結果出力制御部13216d)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0147】
後者の場合、マスタ装置13およびマスタ装置13dは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、前記コンピュータにおいて、前記プロセッサが前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0148】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0149】
1、1b、1c、1d マスタスレーブ制御システム
11 スレーブ装置11(制御対象機器)
13 マスタ装置(情報処理装置)
13211 取得部
13212、13212d 相関導出部
13213 ノイズ発生源特定部
13214 特定結果出力制御部
13215d 異常判定部
133d 記憶部
1331 信号品質履歴(信号品質の時系列データ)
1332 制御履歴(制御データの時系列データ)
1333d 相関係数履歴(相関値の時系列データ)
14 表示入力装置
16 外部装置(制御対象機器)
S1 取得ステップ
S3 相関導出ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14